説明

チューブ絞り具

【課題】最終使用段階にあるチューブ容器の頭部内に残っている内容物を、無駄にすることなく容易に使用することができるチューブ絞り具の提供を課題とする。
【解決手段】板状の挟持板20と挟持板30とは、その一端に設けられているヒンジ部40によって開閉自在に構成されている。挟持板20には、チューブ容器の注出口が挿通可能な挿入口21とチューブ容器の肩部が嵌合可能な凹部22とが設けられている。挟持板30には、挿入口21および凹部22によって形成される空間と略同形状で、この空間に埋没可能な大きさの突起部31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に収納されている内容物をチューブ容器から絞り出すチューブ絞り具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から医薬品やその他の多くの物品が図14(a)に示したようなチューブ容器1に収納された状態で販売され、使用されている。
【0003】
このような変形自在チューブ容器1は、通常、図14(a)に示したように、端部の一方側が閉止状態に加工されており、他方側には、円筒状の注出口2とその下端部に連設され注出口2の周辺方向に延在する肩部とからなる頭部4を具えている。
【0004】
チューブ容器1の内容物を使用する場合、使用者は、図14(b)に示したようにチューブ容器1を押して注出口2から適量の内容物を外部に注出させてこれを使用する。そして、図14(c)に示したように、チューブ容器1を絞っても注出口2から内容物が出てこなくなった最終使用段階になったとき、使用者はこのチューブ容器1を廃棄して、新たなチューブ容器(図1(a)の状態のチューブ容器)に収納されている内容物を使用することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図1(c)のような状態になって廃棄されるチューブ容器1の頭部4の内には、まだ内容物が残っており、この頭部4内に残存している内容物を使用する場合、使用者は、チューブ容器1を切断した後、スプーン等を用いて頭部4内の内容物を掻き出すなどしなければならなかった。
【0006】
即ち、従来は、最終使用段階にあるチューブ容器1の頭部4内の残存内容物は容易に使用することができないという問題点があった。殊に、内容物が少量で高価である医療品である場合には、この頭部4内の残存内容物の量が1ないし数回の使用量になることもあり、チューブ容器1とともにこの残存内容物を使用せずに廃棄するというこの問題点は、医療費の高騰を招く一因ともなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の問題点を解消するために、本発明は、円筒状の注出口と該注出口の下端部に連設され当該注出口の周辺方向に延在する肩部とからなる頭部を一端部側に有し、他端部側が閉止状態となっている変形自在なチューブ容器に収納されている内容物を絞り出すチューブ絞り具であって、板状の第1の挟持板と第2の挟持板とによって構成され、前記第1の挟持板には、前記チューブ容器の注出口が挿通可能な挿通口と、該挿通口の周辺部分に形成された凹部であって前記チューブ容器の肩部が嵌合可能な凹部とが形成され、前記第2の挟持板には、前記第1の挟持板の前記挿通口および前記凹部によって形成される空間と略同じ形状で且つ当該空間内に埋没可能な大きさを有する突起部が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、前記第2の挟持板の前記突起部を、前記第1の挟持板の前記挿通口および前記凹によって形成される空間に埋没させるように前記第2の挟持板を前記第1の挟持板に重ね合わせた状態から、前記第2の挟持板が前記第1の挟持板に対して回動可能となるように前記第2の挟持板の端部と前記第1の挟持板との間にヒンジ部が設けられていてもよい。さらに、前記第1の挟持板と前記第2の挟持板とは同形状の同じ大きさであり、前記ヒンジ部は、前記第2の挟持板を前記第1の挟持板に一致させるように重ね合わせた状態で前記第2の挟持板の前記端部に対向する前記第1の挟持板の端部と前記第2の挟持板の前記端部との間に設けられ、前記第1の挟持板および前記第2の挟持板の前記ヒンジ部が設けられている端部とは反対側のそれぞれの端部には、前記第2の挟持板を前記第1の挟持板に重ね合わせた状態で当該状態を保持するように互いに着脱自在に係合する係止部が設けられ、前記第2の挟持板の前記ヒンジ部から前記突起部までの長さは前記チューブ容器の幅よりも長い長さに選ばれるようにしてもよく、または、前記第1の挟持板と前記第2の挟持板に加えて、前記第1の挟持板と同形状の同じ大きさの第3の挟持板をさらに具え、前記第2の挟持板を前記第1の挟持板に重ね合わせ当該第2の挟持板が重ね合っている面とは反対側の前記第1の挟持板の面に前記第3の挟持板を前記第1の挟持板に一致するように重ね合わせた状態で、前記第1の挟持板の前記挿通口と対向する前記第3の挟持板の部分には当該挿通口と同じ径を有する挿通口が形成され、前記第1の挟持板と前記第3の挟持板との互いに対向している端部間には前記第1の挟持板に対して前記第3の挟持板が回動可能となるようなヒンジ部が設けられ、当該ヒンジ部とは反対側に位置する前記第1の挟持板と前記第3の挟持板との各端部には当該第1および第3の挟持板が重ね合った状態で当該状態を保持するように互いに着脱自在に係合する係止部がそれぞれに設けられ、前記第3の挟持板の前記ヒンジ部から前記挿通口までの長さは前記チューブ容器の幅よりも長い長さに選ばれるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、最終使用段階にあるチューブ容器の頭部内に残っている内容物を、無駄にすることなく容易に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の部品の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施例1の部品の構成を示す構成図である。
【図4】本発明の実施例1の使用方法を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例1の使用方法を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例1の他の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例1の他の構成を示す構成図である。
【図8】本発明の実施例1の他の構成の使用方法を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例1の他の構成の使用方法を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例2の構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例2の他の構成を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施例2の他の構成の使用方法を示す説明図である。
【図13】本発明の実施例2の他の構成の使用方法を示す説明図である。
【図14】従来のチューブ容器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1の構成を示した斜視図である。図1に示したように本実施例1は板状の第1の挟持板20と、これと略同形状で同じ大きさの第2の挟持板30とによって構成されている。第1の挟持板20の平面図と断面図とを図2に示し、第2の挟持板30の平面図と断面図とを図3に示す。
【0013】
図1ないし図3において、第1の挟持板である挟持板20には、使用対象に予定されているチューブ容器の円筒状の注出口が挿通可能な挿通口21と、この挿通口21の周辺部分に形成された凹部であって使用対象に予定されているチューブ容器の肩部が嵌合できる形状に形成されている凹部22とが設けられている。
【0014】
また、第2の挟持板である挟持板30には、挟持板20に設けられている挿通口21および凹部22によって形成される空間と略同じ形状であり、この空間内に埋没可能な大きさを有する突起部31が形成されている。
【0015】
以上のように構成された本実施例1を用いれば、図4に示したように、最終使用段階のチューブ容器1の肩部21を挟持板20の凹部22に嵌合させ、その凹部22の下側に挟持板30の突起部31を位置させて、挟持板20と挟持板30との距離が縮まる方向に力を加えれば、チューブ容器1の頭部4内に残在している内容物を注出口2から外部に簡単に出すことができる。
【0016】
このようにして、チューブ容器1の頭部4内の残存内容物を外部に出し終った状態の断面図を図5に示す。
【0017】
以上説明した実施例1においては挟持板20に挟持板30が一致するように重ね合わせた状態において、それぞれの挟持板20,30の互いに対向することとなる端部に、図6に示したようにヒンジ部40を設けておいてもよい。図7は、図6に示した実施例の断面図と、挟持板20と挟持板30とを重ね合わせた状態における側面図である。
【0018】
ここで、図6,図7に示したように挟持板20と挟持板30とを重ね合わせた状態において互いに着脱自在に係合する係止部41a,41bをヒンジ部40とは反対側の挟持板20,30の端部に設けておき、且つ、挟持板30のヒンジ部40と突起部31との長さを、使用対象に予定されているチューブ容器の幅よりも長い長さに選んでおけば、本実施例は以下のように使用することができる。
【0019】
すなわち、図8に示したように、チューブ容器1内の内容物の量が少なくなった段階で、チューブ容器1の頭部4側に内容物を寄せておいて、その内容物が入っている部分の下側のチューブ容器を挟持板20と挟持板30とで挟み、この状態を係止部41a,41bによって保持するようにしておけば、使用者は、チューブ容器1の内容物の入っている部分を押すだけで簡単に適量の内容物を外部に出すことができる。
【0020】
そして、チューブ容器1の状態が最終使用段階になった場合には、図9に示したように、チューブ容器1の肩部3を挟持板20の凹部に嵌合させて、挟持板20と挟持板30とでチューブ容器1の肩部3を挟み込むように力を加えればチューブ容器1の頭部4内に残存している内容物を簡単に外部に出すことができる。
【実施例2】
【0021】
先に説明した実施例1においては、第1の挟持板20と第2の挟持板30とは略同形状で同じ大きさに選ばれていたが本発明は、このような挟持板の大きさによって限定されるものではない。
【0022】
図10は、本発明の実施例2の構成を示した斜視図である。
【0023】
図10に示したように、挟持板30の大きさは、挟持板20の大きさよりも小さくしても本発明の効果は十分に得ることができる。
【0024】
この場合、ヒンジ部40は、図10に示したように挟持板30の端部と挟持板20の上面との間に設けておけばよい。
【0025】
さらに、図11に示したように、挟持板20の挿通口21と同一の径を有する挿通口51が形成され、挟持板20と略同形状で同じ大きさの挟持板50と、挟持板20と挟持板50との間のヒンジ部60と、挟持板50と挟持板20とが重なり合った状態で互いに着脱自在に係合する係止部61a,61bとを設けておけば、図12に示したように、チューブ容器1の内容物の量が少なくなった場合には、先に実施例1で説明したようにチューブ容器1を挟持板50と挟持板20とで挟み込むことにより、残っている内容物を簡単に外部に出すようにすることができる。
【0026】
そして、チューブ容器1の状態が最終使用段階になった場合には、図13に示したように、挟持板20の凹部22にチューブ容器1の肩部3を嵌合させて、挟持板20と挟持板30とでチューブ容器1の頭部4を挟み込むように力を加えれば、頭部4内に残っている内容物を簡単に外部に出すことができる。
【符号の説明】
【0027】
1 チューブ容器
2 注出口
3 肩部
4 頭部
20,30,50 挟持板
21,51 挿通口
22 凹部
31 突起部
40,60 ヒンジ部
41a,41b,61a,61b 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の注出口と該注出口の下端部に連設され当該注出口の周辺方向に延在する肩部とからなる頭部を一端部側に有し、他端部側が閉止状態となっている変形自在なチューブ容器に収納されている内容物を絞り出すチューブ絞り具であって、
板状の第1の挟持板と第2の挟持板とによって構成され、
前記第1の挟持板には、前記チューブ容器の注出口が挿通可能な挿通口と、該挿通口の周辺部分に形成された凹部であって前記チューブ容器の肩部が嵌合可能な凹部とが形成され、
前記第2の挟持板には、前記第1の挟持板の前記挿通口および前記凹部によって形成される空間と略同じ形状で且つ当該空間内に埋没可能な大きさを有する突起部が形成されていることを特徴とするチューブ絞り具。
【請求項2】
前記第2の挟持板の前記突起部を、前記第1の挟持板の前記挿通口および前記凹によって形成される空間に埋没させるように前記第2の挟持板を前記第1の挟持板に重ね合わせた状態から、前記第2の挟持板が前記第1の挟持板に対して回動可能となるように前記第2の挟持板の端部と前記第1の挟持板との間にヒンジ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のチューブ絞り具。
【請求項3】
前記第1の挟持板と前記第2の挟持板とは同形状の同じ大きさであり、前記ヒンジ部は、前記第2の挟持板を前記第1の挟持板に一致させるように重ね合わせた状態で前記第2の挟持板の前記端部に対向する前記第1の挟持板の端部と前記第2の挟持板の前記端部との間に設けられ、前記第1の挟持板および前記第2の挟持板の前記ヒンジ部が設けられている端部とは反対側のそれぞれの端部には、前記第2の挟持板を前記第1の挟持板に重ね合わせた状態で当該状態を保持するように互いに着脱自在に係合する係止部が設けられ、前記第2の挟持板の前記ヒンジ部から前記突起部までの長さは前記チューブ容器の幅よりも長い長さに選ばれていることを特徴とする請求項2に記載のチューブ絞り具。
【請求項4】
前記第1の挟持板と前記第2の挟持板に加えて、前記第1の挟持板と同形状の同じ大きさの第3の挟持板をさらに具え、前記第2の挟持板を前記第1の挟持板に重ね合わせ当該第2の挟持板が重ね合っている面とは反対側の前記第1の挟持板の面に前記第3の挟持板を前記第1の挟持板に一致するように重ね合わせた状態で、前記第1の挟持板の前記挿通口と対向する前記第3の挟持板の部分には当該挿通口と同じ径を有する挿通口が形成され、前記第1の挟持板と前記第3の挟持板との互いに対向している端部間には前記第1の挟持板に対して前記第3の挟持板が回動可能となるようなヒンジ部が設けられ、当該ヒンジ部とは反対側に位置する前記第1の挟持板と前記第3の挟持板との各端部には当該第1および第3の挟持板が重ね合った状態で当該状態を保持するように互いに着脱自在に係合する係止部がそれぞれに設けられ、前記第3の挟持板の前記ヒンジ部から前記挿通口までの長さは前記チューブ容器の幅よりも長い長さに選ばれていることを特徴とする請求項2に記載のチューブ絞り具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−228771(P2010−228771A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76656(P2009−76656)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(591170500)石田プレス工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】