説明

チューブ絞り具

【課題】チューブ容器本体の内部の内容物を無駄なく使用することができるとともに、その使用期間中において内容物の塗布用のへらを紛失することなくチューブ容器本体と一体的な状態で保管することができるチューブ絞り具の提供を課題とする。
【解決手段】摘み板10の上面にはチューブ容器本体の頭部部分に残っている内容物を押し出す押圧突起14が形成されている。チューブ容器本体を挟んで巻き付けることができる2本のチューブ挟持体11,12の間には、チューブ容器本体の端部を挟むための隙間13が形成されている。2本のチューブ挟持体11,12の先端部に着脱自在に係合するジョイント部材20によって隙間13の幅は一定の幅に保たれる。チューブ容器本体内の内容物を塗布するためのへら5は摘み板10内に収納することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器本体に収納されている内容物をチューブ容器本体から絞り出すチューブ絞り具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から医薬品やその他の多くの物品が図14(a)に示したようなチューブ容器本体1に収納された状態で販売され、使用されている。
【0003】
このような変形自在なチューブ容器本体1は、通常、図14(a)に示したように、端部の一方側が閉止状態に加工されており、他方側には、円筒状の注出口2とその下端部に連設され注出口2の周辺方向に延在する肩部3とからなる頭部4を具えている。
【0004】
チューブ容器本体1の内容物を使用する場合、使用者は、図14(b)に示したようにチューブ容器本体1を押して注出口2から適量の内容物を外部に注出させてこれを使用する。そして、図15に示したように、チューブ容器本体1を絞っても注出口2から内容物が出てこなくなった最終使用段階になったとき、使用者はこのチューブ容器本体1を廃棄して、新たなチューブ容器に収納されている内容物を使用することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図15のような状態になって廃棄されるチューブ容器本体1の頭部4の内には、まだ内容物が残っており、この頭部4内に残存している内容物を使用する場合、使用者は、チューブ容器本体1を切断した後、スプーン等を用いて頭部4内の内容物を掻き出すなどしなければならなかった。
【0006】
即ち、従来は、最終使用段階にあるチューブ容器本体1の頭部4内の残存内容物は容易に使用することができないという問題点があった。殊に、内容物が少量で高価である医療品である場合には、この頭部4内の残存内容物の量が1ないし数回の使用量になることもあり、チューブ容器本体1とともにこの残存内容物を使用せずに廃棄するというこの問題点は、医療費の高騰を招く一因ともなってしまう。
【0007】
さらに、チューブ容器本体1の内容物の種類によっては、例えば内容物が水虫の治療薬等の場合には、図14(a),(b)に示したように内容物を患部に塗布するためのへら5が付属品となっているときがある。このようなへら5は、チューブ容器本体1とは別体であるために、チューブ容器本体1の内部に内容物が残っている状態であっても、紛失してしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の問題点を解消するために、本発明の第1の手段は、円筒状の注出口と該注出口の下端部に連設され当該注出口の周辺方向に延在する肩部とからなる頭部を一端部側に具備し、他端部側が閉止状態となっている変形自在なチューブ容器本体に収納されている内容物を絞り出すチューブ絞り具であって、使用者の手の指で摘むことが可能な大きさの平板状の摘み板と、該摘み板の側面部から延在する互に平行な2本のチューブ挟持体であって、当該2本のチューブ挟持体は前記摘み板の上面および下面と平行な方向に形成され且つ当該2本のチューブ挟持体の間には前記チューブ容器本体の前記他端部側が挿入可能な隙間が形成されている2本のチューブ挟持体と、該2本のチューブ挟持板の2つの先端部に着脱自在に係合する当該2本の挟持体のジョイント部材とからなり、前記摘み板には、前記チューブ容器本体内の前記内容物を塗布するへらを収納可能なへら収納部が形成され、前記摘み板の上面または下面には、前記チューブ容器本体の前記肩部の形状と略同じ形状の押圧突起が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
以上の問題点を解消するために、本発明の第2の手段は、円筒状の注出口と該注出口の下端部に連設され当該注出口の周辺方向に延在する肩部とからなる頭部を一端部側に具備し、他端部側が閉止状態となっている変形自在なチューブ容器本体に収納されている内容物を絞り出すチューブ絞り具であって、使用者の手の指で摘むことが可能な大きさの平板状の摘み板と、該摘み板の側面部から延在する互に平行な2本のチューブ挟持体であって、当該2本のチューブ挟持体は前記摘み板の上面および下面と平行な方向に形成され且つ当該2本のチューブ挟持体の間には前記チューブ容器本体の前記他端部側が挿入可能な隙間が形成されている2本のチューブ挟持体と、該2本のチューブ挟持板の2つの先端部に着脱自在に係合する当該2本の挟持体のジョイント部材とからなり、前記ジョイント部材には、前記チューブ容器本体内の前記内容物を塗布するへらを収納可能なへら収納部が形成され、前記摘み板の上面または下面には、前記チューブ容器本体の前記肩部の形状と略同じ形状の押圧突起が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、以上の第1,第2の手段において、前記2本のチューブ挟持体の外側の前記摘み板の側壁部には、前記チューブ挟持体と平行な方向に延在する係止用突片が複数個くし状に配設されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、チューブ容器本体の内部の内容物を無駄なく使用することができるとともに、その使用期間中において内容物の塗布用のへらを紛失することなくチューブ容器本体と一体的な状態で保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例1の使用方法の説明図である。
【図4】本発明の実施例1の使用方法の説明図である。
【図5】本発明の実施例1の使用方法の説明図である。
【図6】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図7】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図8】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図9】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図10】本発明の実施例2の構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例2の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例2の使用方法の説明図である。
【図13】本発明の実施例2の使用方法の説明図である。
【図14】従来のチューブ容器本体の説明図である。
【図15】従来のチューブ容器本体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の実施例1の構成を示した斜視図であり、(a)は分解斜視図、(b)は組み立てた状態における斜視図である。図2は、図1(b)の断面図である。
【0015】
図1,図2において、10は使用者の手の指で摘むことができる大きさの平板状の摘み板であり、その平面形状については特に限定条件はない。
【0016】
11,12は、摘み板10の側面部から延在する互に平行なチューブ挟持体である。この2本のチューブ挟持体11,12は、摘み板10の上面および下面の面方向とも平行に配設されている。チューブ挟持体11とチューブ挟持体12との間にはチューブ容器本体の閉止状態となっている端部側が挿入可能な隙間13が形成されている。
【0017】
20は、2本のチューブ挟持体11,12の先端部に着脱自在に係合するジョイント部材である。このジョイント部材20には、2本のチューブ挟持体11,12の先端部が挿入可能な先端部挿入口21が形成されている。また、先端部挿入口21の側面には係合凹部22が形成されており、チューブ挟持体11,12の先端部が挿入された状態においては、この先端部に形成されている係合凸部23と係合凹部22が係合状態となる。このジョイント部材20をチューブ挟持体11,12の先端部に装着した図1(b)に示す状態においてはチューブ挟持体11とチューブ挟持体12との間の隙間13の幅は広がらないので、チューブ挟持体11,12はその間に存在するチューブ容器本体を確実に挟持している状態を保つことができる。
【0018】
摘み板10の上面にはチューブ容器本体の注出口側の肩部と略同じ形状の押圧突起14が形成されている。なお、この押圧突起14は摘み板10の下面に形成されていてもよい。
【0019】
図2に示すように、摘み板10には、チューブ容器本体の内容物の塗布用のへら5が挿入可能なへら収納部10aが形成されている。へら収納部10aの厚み方向の幅は、奥の方向になるに従って薄くなるように形成されているので、このへら収納部10aにへら5を差し込むと、へら5の先端部の上面と下面とがそれぞれ挟持された状態となり、へら5はその収納された状態を保つことができる。
【0020】
次に、以上のように構成された本実施例1の使用方法について説明する。
【0021】
図3(a)に示すように、本実施例1は、チューブ容器本体1の閉止状態となっている端部を2つのチューブ挟持体11,12で挟むような状態でチューブ容器本体1に装着されるものである。
【0022】
チューブ容器本体1内の内容物が十分に残っている状態においては、使用者はチューブ容器本体1自体を押圧して適量の内容物を注出口2から出して、その内容物を摘み板10から引き抜いたへら5を用いて患部に塗布する。そして、この塗布終了後に、へら5を摘み板10に差し込んで、次の使用時までこの状態でへら5を保管する。
【0023】
チューブ容器本体1の内容物の残量が少なくなった状態においては、使用者は図3(a)に示したように摘み板10を摘んで矢印方向に回転させて、図3(b)に示したようにチューブ挟持体11,12の周りにチューブ容器本体1を巻き付けるような状態にし、チューブ容器本体1内の内容物を注出口2から絞り出して使用する。なお、使用者は、チューブ容器本体1内の内容物の量が十分にある使用初期の状態から、チューブ容器本体1をチューブ挟持体11,12の周りに巻き付けるようにして、内容物を注出口2から出すように使用することもできる。
【0024】
図3(b)に示したように、チューブ容器本体1をチューブ挟持体11,12の周りに巻き付けるようにしながら内容物を絞り出すようにして使用して、このような状態で内容物が絞り出せない段階になったら、使用者は、図4(a)に示したようにチューブ挟持体11,12の先端部からジョイント部材20を抜き取り、その後に図4(b)に示したようにチューブ容器本体1を抜き取る。この際、ジョイント部材20を外した段階で、チューブ挟持体11,12によるチューブ容器本体1の挟持状態が解除されるので、チューブ容器本体1は、容易に抜き取ることができる。
【0025】
次に使用者は、図5に示すように、チューブ容器本体1の肩部3の後ろ側から摘み板10上に配設されている押圧突起14を押しつけて、頭部4内に残存している内容物を注出口2から押し出して使用する。
【0026】
以上のようにして使用者は、チューブ容器本体1内の内容物を無駄なく使用することができるとともに、この使用期間中において、へら5を、チューブ容器本体1と一体的な状態で紛失の虞なく保管しておくことができる。
【0027】
以上説明した本実施例1においては、2本のチューブ挟持体11,12が摘み板10の上面および下面に対して横方向に平行に配設される構成となっているが、このチューブ挟持体11,12が図6(a),(b)に示すように、摘み板10の上面および下面に対して縦方向に平行に配設されるように構成してもよい。また、図6(a),(b)に示したように、ジョイント部材20の先端部挿入口21も、2本のチューブ挟持体11,12のそれぞれの先端部が別の先端部挿入口21に挿入されるように2つ配設するように構成してもよい。図7は図6(b)の断面図を示したものである。
【0028】
さらに、図8(a),(b)に示すように、へら5を収納するへら収納部20aをジョイント部材20に形成するようにしても、本発明の効果を得ることができる。図9は図8(b)の断面図を示したものである。ここでへら収納部20aの横方向の幅を先端部に近づくにつれて狭くなるように形成しておけば、へら5を横方向から挟持した状態でへら5を保管することができる。
【実施例2】
【0029】
本実施例2は、チューブ容器本体1が金属製のチューブではなく、所謂ラミネートチューブのように、常にチューブが伸びた状態に戻るようなチューブ容器本体であるような場合に好適な構成の本発明の実施例である。
【0030】
図10は、本実施例2の構成を示した斜視図であり、(a)は分解斜視図、(b)は組み立てた状態における斜視図である。図11は、図10(b)の断面図である。
【0031】
ここで、図10(a),(b)および図11において、図1(a),(b)および図2と同一符号のものは同一のものを示しているのでその説明は省略する。
【0032】
本実施例2においては、へら収納部20aはジョイント部材20に設けられており、このジョイント部材20には、チューブ挟持体11,12の先端部に設けられた嵌合口25と着脱可能に嵌合する嵌合凸部が設けられている。
【0033】
ここで、本実施例2の構成においては、チューブ挟持体11,12の外側の摘み板10の側壁部に、チューブ挟持板11,12と平行な方向に延在するような係止用突片15が複数個くし状に配設されている。
【0034】
このように構成された本実施例2においては、図12(a)に示したように、チューブ挟持体11,12の周りにチューブ容器本体1を巻き付けるようにして内容物を絞り出して使用した後、図12(b)に示したように、チューブ挟持体11,12の周りに巻き付けられた状態のチューブ容器本体1を摘み板10の方向にスライドさせて、この巻き付けられた状態のチューブ容器本体1の側端部が、くし状に配設されている係止用突片15の間の隙間に挟まるようにして次の使用時まで保管しておく。図13は図12(b)のチューブ容器本体1の断面状態を示した断面図である。なお、図12(a),(b)においては、装着されているジョイント部材20は省かれている。
【0035】
このようにして、次の使用時まで保管しておけば、次の使用時においては、チューブ容器本体1の端部から改めてチューブ挟持体11,12の周りにチューブ容器本体1を巻き付けることなく、摘み板10から離れる方向にチューブ容器本体1をスライドさせるだけで、すぐに内容物を絞り出すことができる。
【0036】
本実施例2のその他の使用法については先に説明した実施例1と同様であるのでその説明は省略する。
【符号の説明】
【0037】
1 チューブ容器本体
2 注出口
3 肩部
4 頭部
5 へら
10 摘み板
10a,20a へら収納部
11,12 チューブ挟持体
13 隙間
14 押圧突起
15 係止用突片
20 ジョイント部材
21 先端部挿入口
22 係合凹部
23 係合凸部
24 嵌合凸部
25 嵌合口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の注出口と該注出口の下端部に連設され当該注出口の周辺方向に延在する肩部とからなる頭部を一端部側に具備し、他端部側が閉止状態となっている変形自在なチューブ容器本体に収納されている内容物を絞り出すチューブ絞り具であって、
使用者の手の指で摘むことが可能な大きさの平板状の摘み板と、
該摘み板の側面部から延在する互に平行な2本のチューブ挟持体であって、当該2本のチューブ挟持体は前記摘み板の上面および下面と平行な方向に形成され且つ当該2本のチューブ挟持体の間には前記チューブ容器本体の前記他端部側が挿入可能な隙間が形成されている2本のチューブ挟持体と、
該2本のチューブ挟持板の2つの先端部に着脱自在に係合する当該2本の挟持体のジョイント部材とからなり、
前記摘み板には、前記チューブ容器本体内の前記内容物を塗布するへらを収納可能なへら収納部が形成され、
前記摘み板の上面または下面には、前記チューブ容器本体の前記肩部の形状と略同じ形状の押圧突起が形成されていることを特徴とするチューブ絞り具。
【請求項2】
円筒状の注出口と該注出口の下端部に連設され当該注出口の周辺方向に延在する肩部とからなる頭部を一端部側に具備し、他端部側が閉止状態となっている変形自在なチューブ容器本体に収納されている内容物を絞り出すチューブ絞り具であって、
使用者の手の指で摘むことが可能な大きさの平板状の摘み板と、
該摘み板の側面部から延在する互に平行な2本のチューブ挟持体であって、当該2本のチューブ挟持体は前記摘み板の上面および下面と平行な方向に形成され且つ当該2本のチューブ挟持体の間には前記チューブ容器本体の前記他端部側が挿入可能な隙間が形成されている2本のチューブ挟持体と、
該2本のチューブ挟持板の2つの先端部に着脱自在に係合する当該2本の挟持体のジョイント部材とからなり、
前記ジョイント部材には、前記チューブ容器本体内の前記内容物を塗布するへらを収納可能なへら収納部が形成され、
前記摘み板の上面または下面には、前記チューブ容器本体の前記肩部の形状と略同じ形状の押圧突起が形成されていることを特徴とするチューブ絞り具。
【請求項3】
前記2本のチューブ挟持体の外側の前記摘み板の側壁部には、前記チューブ挟持体と平行な方向に延在する係止用突片が複数個くし状に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載のチューブ絞り具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−166812(P2012−166812A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28576(P2011−28576)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(591170500)石田プレス工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】