説明

チョコレート被覆ソフトクリーム

【課題】チョコレートの食感を楽しむことができる、チョコレート被覆ソフトクリームを提供する。
【解決手段】ソフトクリームミックスなどの原料をソフトクリーム製造機にかけて、ノズルから吐出させる際に、ノズルの内部からソフトクリーム原料を、周縁部からチョコレート3でソフトクリーム2を覆うように吐出させるようにし、該吐出物をカップコーン1などの可食容器に盛り付けることによりチョコレート層で覆われたソフトクリームを得る。なお、チョコレート層の厚さを200〜2500μmに調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョコレート被覆ソフトクリームに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトクリームとして、従来、例えばバニラとチョコの2種類のソフトクリーム材料をノズルより同時に押し出してらせん状にコーンカップに載せてソフトクリームとすることや、異種食品をソフトクリーム材料と同時に押し出してソフトクリームとすることが知られていた(特許文献1)。
【0003】
また、らせん状に積重したソフトクリームの表面にチョコレートをかけて、外表面をチョコレートで覆うことで、チョコレートとソフトクリームの2種類の食感を楽しむことが知られていた。
【0004】
チョコレートは、常温で良好な口溶けを有する固体の商品であり、このチョコレートをソフトクリーム製造後に被覆すると、内部の冷たいソフトクリームによりチョコレートがすぐに固まるのでチョコレート層が相当厚くなり、表面のチョコレートが硬く、バリバリした食感になり、冷たい口溶け不良なチョコレートとなる不具合があった。
【特許文献1】特開昭61-12659
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ソフトクリームとチョコレートの2種類の味覚を楽しみつつ、硬くバリバリしたチョコレートの食感を改善したチョコレート被覆ソフトクリームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、チョコレートの食感を改良したソフトクリームを得るために検討を重ねた結果、ノズルから吐出された吐出ソフトクリームの周囲をチョコレートで覆い、これをらせん状に容器に載せて盛り上げることで、ソフトクリームが本体の内部においてもチョコレートで囲まれた(チョコレート被覆層同士がらせん状のソフトクリーム本体において重ねられている)新規なソフトクリームが得られることを見出した。
【0007】
本発明は、以下のチョコレート被覆ソフトクリームを提供するものである。
項1. チョコレート層で覆われた吐出ソフトクリームをらせん状に積重したソフトクリーム本体を可食容器に盛り付けてなるチョコレート被覆ソフトクリーム。
項2. ソフトクリーム本体が、らせん状の溝を有する項1に記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。
項3. 前記チョコレートが、らせん状の模様を有する項1に記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。
項4. 前記模様がチョコレートで被覆されていないらせん状のソフトクリーム露出部から構成されている、項3に記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。
項5. 前記模様が、ホワイトチョコレートをらせん状にチョコレートの上に形成させてなる、項3に記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。
項6. 前記チョコレート層の厚さが200〜2500μmである、項1〜5のいずれかに記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容器上にらせん状に盛リ上げられたソフトクリーム本体において、吐出ソフトクリームはチョコレートで覆われており、ソフトクリーム本体の内部においても薄いチョコレートを噛み砕くパリパリ感ないし歯ごたえを楽しむことができる。これは、チョコレートとソフトクリームを一体的に吐出しているため、チョコレートの分布に偏りがあるためである。
【0009】
また、本発明では、ソフトクリームを覆うチョコレートの層を薄くすることができ、ソフトクリームの内部にある低温のチョコレートであっても口溶けを楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書において、吐出ソフトクリームは、ソフトクリームミックスなどの原料をソフトクリーム製造機にかけて、ノズルから吐出されたものを意味する。ソフトクリームミックスなどの原料としては、通常のソフトクリームと同様なものが使用できる。
【0011】
チョコレート層は、ソフトクリーム製造機のノズルから吐出された吐出ソフトクリームを部分的に又は完全に覆っている。ここで、「部分的に覆う」とは、吐出ソフトクリームの表面積の50%以上、70%以上、80%以上、或いは90%以上かつ100%未満がチョコレートで覆われることを意味し、「完全に覆う」とは、吐出ソフトクリームがチョコレートで完全に覆われて吐出ソフトクリーム表面が露出していないことを意味する。
【0012】
本発明において、吐出ソフトクリームがチョコレートで部分的に覆われるときには、非被覆部分はらせん状のほぼ規則的な模様を描くのが好ましい。例えばノズルの内部からソフトクリームを、ノズルの周縁部からチョコレートを同時に吐出する場合において、ノズルの周縁部の一部におけるチョコレートの吐出を抑制すれば、その抑制部分が模様となり、マーブル状の模様を楽しめる。なお、吐出ノズルの形状を工夫するか、吐出ノズルの周縁部のチョコレートの吐出量に規則的なむらを生じさせることで、内部の吐出ソフトクリームが見えない部分と、チョコレート層が薄くて内部の吐出ソフトクリームが見える部分を形成し、模様としてもよい。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、吐出ノズルは、内部からソフトクリーム原料と、周縁部からチョコレートをソフトクリームを覆うように吐出する。このチョコレート層の横断面は、円形、楕円形、多角形(5角形、6角形など)、或いは星形、花形などの周縁部に凹凸のある形状などが挙げられる。吐出ソフトクリームをらせん状に積み重ねるためには、チョコレート層の横断面は円形よりも多角形、星形、花形などの凹凸があった方が積み重ねやすく、この場合、ソフトクリーム本体においてらせん状に溝が形成される。
【0014】
チョコレートとホワイトチョコレート(他の色に着色したチョコレートでもよい)を同時に吐出し、ホワイトチョコレートによってらせん状且つすじ状の模様を形成することもできる。
【0015】
チョコレートは、ソフトクリームと一緒に吐出したときに、吐出ソフトクリームの外表面部分が溶けないように低融点のチョコレートが好ましく使用される。チョコレートの融点としては、10〜30℃程度であり、吐出時のチョコレートの温度は30〜50℃程度、ソフトクリーム材料の吐出時の温度は、-3.0〜-7.0℃程度である。
【0016】
ソフトクリームを被覆するチョコレートの厚さは、2.5mm以下、好ましくは0.5〜2.0mm程度である。
【0017】
ソフトクリームの容器は特に限定されないが、通常ソフトクリームに使用されているカップコーン或いは円錐形のコーンが好ましく使用される。コーンとしては、ワッフル系コーン、モナカ系コーンをいずれも使用できる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことは言うまでもない。
実施例1
星形のノズルの内部からソフトクリーム、ノズルの周縁部からチョコレートを同時に吐出し、コーンカップを手で動かしながら、らせん状のソフトクリーム本体をカップ上に形成した。ソフトクリームは、完全にチョコレートに覆われていた。チョコレート層の厚みは、約1mmであった。
【0019】
原料として日世(株)製ソフトクリームミックス、不二製油(株)製冷菓向けチョコレートコーチングを使用し、(株)愛産製作所製ソフトクリーム製造機を用いてチョコレート被覆ソフトクリームを得た。
得られたチョコレート被覆ソフトクリームを食べると、薄いチョコレート層を噛み砕くときにパリパリ感があり、チョコレートの食感を楽しむことができた。
【0020】
比較例1
従来のソフトクリームを製造後、冷却し、カップコーン上のらせん状のソフトクリーム本体をチョコレート液(40℃)に浸漬後すぐに引き上げ、ソフトクリーム本体がチョコレートで被覆された従来のチョコレート被覆ソフトクリームを得た。チョコレートの厚さは約4mmであった。
【0021】
得られたソフトクリームを食べたところ、硬いチョコレートを噛み砕くのが困難であり、チョコレートの口溶けも不良であった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のチョコレート被覆ソフトクリームの縦断面図を示す。
【図2】本発明のチョコレート被覆ソフトクリームを示す。
【符号の説明】
【0023】
1 カップコーン
2 ソフトクリーム本体
3 チョコレート
4 ホワイトチョコレート(模様)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョコレート層で覆われた吐出ソフトクリームをらせん状に積重したソフトクリーム本体を可食容器に盛り付けてなるチョコレート被覆ソフトクリーム。
【請求項2】
ソフトクリーム本体が、らせん状の溝を有する請求項1に記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。
【請求項3】
前記チョコレートが、らせん状の模様を有する請求項1に記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。
【請求項4】
前記模様がチョコレートで被覆されていないらせん状のソフトクリーム露出部から構成されている、請求項3に記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。
【請求項5】
前記模様が、ホワイトチョコレートをらせん状にチョコレートの上に形成させてなる、請求項3に記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。
【請求項6】
前記チョコレート層の厚さが200〜2500μmである、請求項1〜5のいずれかに記載のチョコレート被覆ソフトクリーム。

【図1】
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【図2】
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