ティシュペーパー製品の製造方法
【課題】原反ロールから連続シートを巻き出す際の巻きずれを防止することにある。
【解決手段】
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、二次原反ロールの管軸側内周面を、外周面に比して、停止状態からの回転と加速をし難くし、回転状態からの停止と減速をし易くすることで、前記二次原反ロールの回転開始時及び回転の加速時に二次原反ロールの巻きが締まり、減速時及び回転の停止時に巻きの締まりが戻るようにする。
【解決手段】
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、二次原反ロールの管軸側内周面を、外周面に比して、停止状態からの回転と加速をし難くし、回転状態からの停止と減速をし易くすることで、前記二次原反ロールの回転開始時及び回転の加速時に二次原反ロールの巻きが締まり、減速時及び回転の停止時に巻きの締まりが戻るようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー製品の製造方法に関し、特に、マルチスタンド式インターフォルダにおいて、薬液が塗布された二次連続シートを巻取った二次原反ロールから巻きずれなく、前記二次連続シートを供給して、薬液が塗布されたティシュペーパー製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[ティシュペーパー製品]
複数枚のティシュペーパーからなる束が収納箱内に収納され、その収納箱(カートン箱或いはティシュカートンとも称される)の一面に設けられた取出口からティシュペーパーを順次一枚ずつ引き出して使用するティシュペーパー製品はよく知られる(シートを取り出すとそれに連続して次のシートが取出口から引き出される形式をポップアップ式ともいう)。
【0003】
このティシュペーパー製品においては、収納されるティシュペーパーに保湿性、柔軟性を付与する薬液を塗布した薬液塗布タイプのものと、薬液等が塗布されていない汎用品或いは汎用タイプのものがある。
【0004】
薬液が塗布されたティシュペーパーは、表面の滑らかさや柔らかさにおいて汎用品のものよりも優れる。
【0005】
薬液塗布タイプの製品は、花粉症やインフルエンザが流行する時期など洟をかむ機会が増える時期に需要が増加する傾向にあったが、近年では、表面の滑らかさや柔らかさ等の使用感における利点が評価され、季節、時期を問わずに使用されるようになってきており、その需要は拡大している。
【0006】
[薬液塗布タイプの製品に用いられる薬液の種類]
上記保湿性、柔軟性を付与する薬液を塗布した薬液塗布タイプの製品に用いられる薬液は種々存在するが、大きくは、水及びポリオールを含む水系薬液(通常「水系ローション剤」、「水系ローション薬液」とも呼ばれる)、主に非水溶性のワックス等を含み常温で半固形である油系薬液に大別される。水系薬液は取り扱い性に優れ安価であるという特徴がある。
【0007】
また、水系薬液はシートに塗布した場合にシートを構成するパルプ繊維との親和性に優れ、シートの厚み方向(Z方向とも称される)に含浸し、シート全体及びその表面性を改質するように作用する。これに対して油系薬液は主にその表面をコーティングするように作用し、表面の滑らかさを向上させるように作用する。
【0008】
そして、水系薬液は、シートに含浸することから塗布後、シートにクレープを伸ばす作用が大きいが、油系薬液ではそのような作用が小さい。
【0009】
この両者の特質によって製造上の問題点等の課題において異なるところがある。
【0010】
そして、安価、大量生産に適しているのは水系薬液である。
【0011】
[ティシュペーパー製品の従来の製造方法の概要]
ティシュペーパー製品の製造工程は次のとおりである。
まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造する。
【0012】
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)からなる二次原反ロールを製造する。
【0013】
次いで、二次原反ロールをインターフォルダと呼ばれる折畳み設備に移行し、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートを折畳むとともに順次積層し、裁断してティシュペーパー束を製造する。次いで、このティシュペーパー束を収納箱内に収納してティシュペーパー製品とする。
【0014】
[ティシュペーパー製品の製造に用いられるインターフォルダの種類]
ここで、ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダ(下記特許文献1、2)とロータリー式インターフォルダ(特許文献3、4)の2種のインターフォルダが使用されている。
【0015】
前者のマルチスタンド式インターフォルダは、特許文献1、2にも示されるように、折り板を有する折畳み機構部がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、折り畳み機構部に対応する二次原反ロール支持部に二次原反ロールを固定し、その二次原反ロールから二次連続シートを巻きだして折り畳み機構部に二次連続シートを供給する。その際、マルチスタンド式インターフォルダは、各折り畳み機構部に対して、ティシュペーパーの幅と同幅にスリットした二次原反ロールを2セット並べ、同時に二次原反ロールから二次連続シートを連続的に供給し、各折畳み機構部で二次連続シートの折り畳みが行なわれるとともに、ライン上流側の折畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートの上にそれよりもライン下流側の折畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートが順次積層されるものであり、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成される。
【0016】
ここで折畳み機構部の1機とは、二次連続シートを互いに内側に折り込むように折り畳む設備の単位であり、マルチスタンド式インターフォルダの基本となる機構部の単位である。
【0017】
ここで、マルチスタンド式インターフォルダでは、多数の折り畳み機構部を有することから、多数の二次原反ロールを要する。そして、その取付けの煩雑さを低下させるべく、二次原反ロールは、ティシュペーパーの幅と同幅にスリットされた二次連続シートを複数一つの管軸に並べて巻取ったものがよく用いられる。通常は、上記折り畳み機構への供給を好適に行えるようにすべく、二次原反ロールが2セット、一つの管軸に巻いたものが用いられる。なお、ティシュペーパーの幅の2〜10倍幅程度にスリットされた連続シートを巻き取った二次原反ロールを用い、ティシュペーパー幅にスリットする工程をマルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部の直前にて行なう場合もある。
【0018】
一方、ロータリー式インターフォルダは、一対の二次原反ロールから繰り出された、
【0019】
各二次連続シートを先端側から回転式の折り板によって折り畳みつつ裁断し、その裁断した各二次原反ロールからのシートが順次重ね合わせられて積層シート束を形成する。
【0020】
そして、ロータリー式インターフォルダでは、概ねティシュペーパー幅の5倍幅以上の原反ロールが用いられている。
【0021】
したがって、このロータリー式インターフォルダでは、連続操業の中で所定の積層枚数のところで適宜マーキングして手動で分割する、あるいは所定積層枚数のところで自動で分割するなどして積層シート束を得る操作を擁する。しかも得られる積層シート束は、二次原反ロールの幅長とほぼ同じ長さの比較的短いものである。このためマルチスタンド式インターフォルダと比較すると生産性には劣る。
【0022】
具体例を示せば、ロータリー式インターフォルダでは、ティシュペーパーの幅の5倍幅の原反ロールを用いて、加工速度を100m/分でティシュペーパー束を生産すると、約25束/分要しているのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは、加工速度を100m/分で435束/分を生産することが可能である。
【0023】
[ティシュペーパー製品の種類とインターフォルダの種類との関係]
上述のとおり、マルチスタンド式インターフォルダは生産性が高いことから多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に用いられており、ロータリー式インターフォルダは、汎用タイプに比して生産量が少ない薬液塗布タイプの製造に用いられている(例えば、下記特許文献5)。
【0024】
また、ロータリー式インターフォルダでは、幅広の原反ロールを用いるとともに折り畳み機構に起因して操業速度が遅いことから二次原反ロールから巻き出した二次連続シートに対してオンラインで薬液を塗布することが容易であるのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは多数の二次原反ロールをセットする必要があることから、多数の各二次原反ロールに対して薬液塗布設備を設置するなど、各原反ロールの塗布量調整などの品質管理の点で煩雑さがありオンライン塗布がし難いということも、各インターフォルダにおけるティシュペーパー製品の製造種を異ならしめる要因となっている。
【0025】
なお、従来の薬液塗布タイプの製品の製造方法は、下記特許文献5〜7に製造方法や設備が例示されている。
【0026】
しかし、上述のとおり薬液塗布タイプのティシュペーパー製品の需要拡大による生産量増加を考慮すると、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品においてもマルチスタンド式インターフォルダでの製造が望まれる。
【0027】
しかし、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品をマルチスタンド式インターフォルダにより製造するには、塗布に関する課題のほか以下のような技術的な問題点があり困難であった。
【0028】
[薬液塗布タイプの製品をマルチスタンド式インターフォルダで製造する際の問題点]
マルチスタンド式インターフォルダで薬液塗布タイプのティシュペーパーを製造する場合、上述のとおり薬液の二次原反ロールへのオンライン塗布では煩雑さを要することから、予め薬液が塗布された二次連続シートを巻取った二次原反ロールを用意するのが都合がよい。かかる二次原反ロールは、マルチスタンド式インターフォルダとは別のプリンタ設備等の薬液塗布設備や、上記マルチスタンド式インターフォルダの前段設備である一次原反ロールから二次原反ロールを製造するプライマシンに印刷機などを設けて薬液塗布を行えば製造が可能である。
【0029】
しかし、マルチスタンド式インターフォルダでは、薬液が塗布された二次原反ロール(以下、単に二次原反ロールともいう)を用いたとしても、二次原反ロールの巻きずれが発生するという問題があり生産性を高めがたい。この問題についてさらに詳述する。
【0030】
マルチスタンド式インターフォルダでは、上記説明のとおり各折り畳み機構部に対して、ティシュペーパー幅で極めて長い二次連続シートを供給する必要性がある。そして、通常は、用いられる二次原反ロールは、小幅大径なものであり、ティシュペーパー幅の複数倍幅の連続シートを巻取ったものでもロータリー式インターフォルダに用いるものと比較すると小幅のものを用いることが多い。そして、このような小幅大径の二次原反ロールから効率よく二次連続シートを巻き出すべく、マルチスタンド式インターフォルダでは、二次原反ロールの外周面に駆動ベルトを当接させ、この駆動ベルトにより理想的には加速度の小さい安定した速度で二次原反ロールを回転させて外周側から二次連続シートを巻き出すことや、二次原反ロールからプルロールによって二次連続シートを引っ張り出すようにして、前記二次原反ロールを回転させるとともに、二次原反ロールから二次連続シートを巻き出すことが行なわれる。
【0031】
他方、薬液が塗布された二次原反ロールを構成する二次連続シートは、薬液そのものによる作用の他、薬液塗布によりクレープが伸ばされることによって、シート表面の摩擦抵抗が非薬液塗布の二次連続シートよりも低くなる傾向にある。また、マルチスタンド式インターフォルダでは、上述のとおりインターフォルダとは別の設備で薬液を塗布することから、薬液塗布二次原反ロールは製造から使用までに所定時間を要し、シート間における薬液の拡散浸透時間、吸湿してクレープが伸ばされるため、上記表面の摩擦抵抗の低下が増長される傾向にある。さらに、二次原反ロールとされた後の吸湿等によって二次連続シートが伸ばされる場合、二次原反ロールの巻きそのものが緩められる。これは、上述の水系薬液において特に顕著となる。
【0032】
そして、このような薬液塗布に起因する要因と小幅大径の形状とが相まって、二次原反ロールから駆動ベルトやプルロールにより二次連続シートの巻きだしを行なうと、二次原反ロールの外周側については二次連続シートの巻きだしに応じた適正な速度で回転するものの、二次原反ロールの巻き芯側では回転速度が外周面側に比して早くなることがあり、これにより芯側と外周面側で巻きがずれるいわゆる巻きずれが発生する。なお、巻きずれ発生の原理は定かではないが、二次原反ロールの外周面と管軸との慣性の相違等によるものとも推測される。
【0033】
このように巻きずれが発生した場合には、二次原反ロールから巻き出された二次連続シートが進行方向に対して左右に、および/または前後にずれて折り畳み機構部に供給され、この結果製造されたティシュペーパー製品にしわが入る、あるいは折込み不良となる、さらに、折込み不良によってポップアップ機構が不連続なものとなるなどの問題が生ずる。
【0034】
ここで、巻きずれは小幅大径の二次原反ロールで顕著に発生するが、比較的幅広の二次原反ロールにおいても発生することがある。
【0035】
マルチスタンド式インターフォルダにおいて、比較的幅広の二次原反ロールを用いる場合に巻きずれが発生すると、折り畳み機構部前に行なうスリット工程において不具合が発生するという問題が生ずる。
【0036】
また、マルチスタンド式インダーフォルダでは、二次原反ロールの幅に関係なく、他の多数の二次原反ロールから巻きだした二次連続シートとともに、積層連続シート束を形成する折り畳み機構であることから、ある二次原反ロールで巻きずれが発生すると、その他の二次原反ロールから巻き出された二次連続シートが正常に巻き出されていても、問題のある連続積層シート束が形成されてしまう。すなわち、その他の二次原反ロールから正常に巻き出された二次連続シートのすべてが無駄になる。
【0037】
また、マルチスタンド式インターフォルダでは、二次原反ロールから巻き出された二次連続シートが、折り畳み機構部にて適宜のロールに巻き掛けられてその進行方向を変えて折り板によって折り畳まれて積層連続シート束とされ、その積層連続シート束がプルロールによって搬送される。したがって、巻きずれにより二次連続シートの搬送が左右、前後にずれると前記ロールに巻き掛けられて進行方向が変更される際等に、当該ロールから脱落したり、皺が入った状態で折り板に供給されて、不良積層連続シート束が形成されてしまう。
【0038】
そして、マルチスタンド式インターフォルダでは、連続積層シート束を最終段のカッターにて箱詰めカットすることから、問題のあるシート束のみを事後的に除去するということが困難である。
【0039】
このように、マルチスタンド式インターフォルダでは、複数の用いられる二次原反ロールの一つで発生した巻きずれが製造上の問題として顕在化する。
【0040】
なお、ロータリー式インターフォルダにおいて、予め薬液が含浸された幅広の二次原反ロールを用いる場合にも若干の巻きずれが発生することはあるが、ロータリー式インターフォルダでは、一対の二次原反ロールから巻きだした各二次連続シートをその進行方向を変更することなく、折り畳み機構部に供給し、相互に互い違いに折り畳むことから、巻きずれに起因する二次連続シートの搬送方向に対するずれがあっても、搬送方向のずれは搬送過程容易に補正され、また、左右方向のずれは左右縁部の通常有するトリムカット工程によって補正されることから、折り畳み機構に供給する前に巻きずれに起因する二次連続シートの搬送ずれが補正され、製造上の問題として顕在化しない。
【0041】
以上のようにマルチスタンド式インターフォルダにおいて薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を製造するにあたっては、二次原反ロールの巻きずれの問題があり、その製造を困難ならしめている。
【0042】
なお、ロール紙の巻き取りに関しては、下記特許文献8〜10に示される技術が開示されているが、二次原反ロールからの二次連続シートの巻き出し時における巻きずれを防止するようなものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献2】特開2006−240750号公報
【特許文献3】特開昭61−37668号公報
【特許文献4】特開平5−124770号公報
【特許文献5】特開2004−322034号公報
【特許文献6】特表2008−525103号公報
【特許文献7】特開2008−264564号公報
【特許文献8】特開昭63−123743号公報
【特許文献9】特開2009−220991号公報
【特許文献10】特開2007−106508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
そこで、本発明の主たる課題は、マルチスタンド式インターフォルダにおいて薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を製造するにあたって生じていた巻きずれの問題を解決し、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0045】
上記課題を解決した本発明は以下のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
二次原反ロールの停止状態からの回転開始時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その回転開始を遅らせることにより、二次原反ロールの回転開始時に二次原反ロールの巻きが締まるようする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0046】
〔請求項2記載の発明〕
管軸の回転を制動することで、管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その回転開始を遅らせる請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0047】
〔請求項3記載の発明〕
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
二次原反ロールの停止状態からの回転開始後、一定速度となるまでの加速段階時に、前記管軸の角速度を、二次原反ロールの外周面の角速度に比して、遅くすることにより、二次原反ロールの回転速度の加速段階で二次原反ロールの巻きが締まるようする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0048】
〔請求項4記載の発明〕
管軸の回転を制動することで、前記管軸の角速度を、二次原反ロールの外周面の角速度に比して、遅くする請求項3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0049】
〔請求項5記載の発明〕
二次原反ロールの一定速度からの減速開始時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その減速開始を遅らせることにより、前記二次原反ロールの減速開始時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項1又は3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0050】
〔請求項6記載の発明〕
二次原反ロールの外周面と管軸とで、慣性に差を設けることで、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その減速開始を遅らせる請求項5記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0051】
〔請求項7記載の発明〕
管軸に質量負荷をかけることで、慣性に差を設ける請求項6記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0052】
〔請求項8記載の発明〕
二次原反ロールの回転の停止時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その停止を遅らせることにより、前記二次原反ロールの停止時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項1又は3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0053】
〔請求項9記載の発明〕
二次原反ロールの回転の減速時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その角速度を早くすることで、前記二次原反ロールの減速時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項8記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【発明の効果】
【0054】
以上の本発明によれば、マルチスタンド式インターフォルダにおいて薬液塗布ティシュペーパー製品を製造するにあたって生じていた巻きずれの問題が解決され、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を効率よく製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】一次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図2】薬液塗布二次原反ロールの製造設備(プライマシン)及び製造方法を示す概略図である。
【図3】本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダの概略図である。
【図4】本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダの他の概略図である。
【図5】本発明にかかる薬液塗布二次原反ロールユニットを一部断面図である。
【図6】本発明にかかるコアプラグを説明するための図である。
【図7】本発明にかかるコアプラグの他の説明するための図である。
【図8】本発明の二次連続シートの巻き出しを説明するための図である。
【図9】本発明の二次連続シートの他の巻き出しを説明するための図である。
【図10】本発明にかかる制動手段の概略図である。
【図11】折り畳み機構部を説明するための斜視図である。
【図12】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図13】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図14】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図15】二次連続シートの折り畳み方を示す束断面図である。
【図16】収納工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に本発明にかかる薬液塗布タイプのティシュペーパー製品の製造形態例について、図面を参照しながら詳述する。
[抄紙工程〔一次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
本発明に用いる薬液が塗布された二次原反ロールを好ましく製造するには、図1に示す抄紙設備例X1により、一次原反ロールJR(ジャンボロールとも称される)を以下のようにして製造する。
【0057】
まず、ヘッドボックス31からパルプスラリーに適宜の薬品を添加して予め調整した紙料をワイヤーパート32のワイヤ32w上に供給して湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、次にこの湿紙Wをプレスパート33のフェルト34に移送したにのち対をなす脱水ロール34,35によって挟持して脱水する(脱水工程)。
【0058】
次いで、脱水された湿紙をヤンキードライヤー36の表面に付着させて乾燥させた後にドクターブレード37によって掻き剥がしてクレープを有する乾燥原紙S1(後述の一次連続シート)とする(乾燥工程)。
【0059】
そして、この乾燥原紙S1をワインディングドラム39に有する巻取り手段38によって、前記乾燥原紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するようして(巻き取り内面となるようにして)巻き取り、一次原反ロールJRとする(一次原反巻取り工程)。
【0060】
この一次原反ロールJRは、抄紙設備X1の性能によっても相違するが、概ね直径が1000〜5000mm、長さ(幅)が1500〜9200mm、巻き長さが5000〜80000mである。
【0061】
なお、一次原反巻き取り工程の前段にドクターブレード37により掻き剥がした乾燥原紙S1に対してカレンダー工程(図示せず)を設け表裏面の平滑化処理をしてもよい。
【0062】
ここで、乾燥原紙S1の裏面とは、ヤンキードライヤー36のシリンダと接していた面の反対側の面のことを意味する。なお、カレンダー工程の有無にもよるが一般には鏡面のヤンキードライヤーに接していた表面のほうが滑らかで表面性に優れる。
【0063】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%、好ましくは12〜25%、より好ましくは13〜20%である。クレープ率が10%未満であると、後段の加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパーとなる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しやすくなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパーとなりやすくなる。
【0064】
また、一次連続シートS1の抄紙にあたっては、製品の紙力を適宜の値とすべく、公知の方法により調整することができる。例えば、乾燥紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添する、紙料のフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、原料パルプのNBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の既知の手法を適宜組み合わせることができる。
【0065】
なお、乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。
【0066】
湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0067】
[薬液が塗布された二次原反ロールの製造例]
本発明にかかる二次原反ロールは、上述の抄紙工程で製造された一次原反ロールを適宜の薬液塗布設備に移送し、そこで薬液を塗布して薬液塗布一次原反ロールとし、さらにこの薬液塗布一次原反ロールから薬液塗布一次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダに適するティシュペーパーの幅と同幅又は複数倍幅にスリットしたものを適宜数管軸に巻取ることで二次原反ロールとすることができる。なお、製造容易性及び巻きずれが小幅原反ロールで顕著となることから、本願発明は、特にティシュペーパー幅と同幅の連続シートを巻取った二次原反ロールとするのが望ましい。
【0068】
また、薬液一次原反ロールを製造することなく、一次原反ロールから一次連続シートを巻き出して、一次連続シートに薬液を塗布し、それをマルチスタンド式インターフォルダに適する幅にスリットしたものを適宜数管軸に巻取ることで二次原反ロールとすることができる。
【0069】
さらに、上述の抄紙工程で一次原反ロールに巻取る前に、薬液を塗布し、これを適宜幅にスリットして一次原反ロールを介することなく二次原反ロールとしてもよい。
【0070】
このように本発明における薬液塗布二次原反ロールは、薬液が塗布された連続シートをマルチスタンド式インターフォルダに適する幅にスリットしたものを適宜数、一つの管軸に巻取って形成されたものを意味する。
【0071】
薬液の塗布については、フレキソ印刷、スプレー塗布、インクジェット印刷等の既知の薬液塗布手段を採用できる。刷版の柔軟性、高速対応性、薬液の飛散防止、塗布量の調整が容易である等の要件からフレキソ印刷が適する。さらに、紙面に刷版ロール等を接触させないことから紙厚の低下を招かないという点では、刷版ロール等を用いず直接的に薬液を紙面に付与する非接触形の塗布形態であるスプレー塗工、インクジェット印刷が適する。
【0072】
ここで、ティシュペーパー製品においては、通常は2プライ、3プライといった複数のクレープ紙が積層されて構造を採ることから、複数の一次原反ロールから一次連続シート巻き出し、それらを積層加工した後に、この積層連続シートを巻取って二次原反ロールとするのが一般的である。そして、かかる積層加工及びマルチスタンド式インターフォルダに適する幅にスリットする工程、それらの適宜のシート数で管軸に巻取る工程は、プライマシンと称される設備で行なわれるのが一般的である。
【0073】
また、プライマシンは元来高速に可動する設備であるとともに、マルチスタンド式インターフォルダ用の二次原反ロールを複数一度に製造できるため、生産性の高いマルチスタンド式インターフォルダの生産速度に見合う二次原反ロールを製造でき、プライマシンで薬液塗布を行なうこととして、薬液塗布二次原反ロールを製造するのが生産性の点で極めて有用である。
【0074】
したがって、本発明において特に好ましくプライマシンで薬液が塗布された二次原反ロールを製造することが採用される。以下にこの製造例について詳述する。
【0075】
[プライマシンでの薬液塗布二次原反ロールの製造例]
プライマシンX2では、図2に示すように、抄紙工程で製造された一次原反ロールJRを、必要数(図2では二つ)セットし、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)を積層する工程、薬液を塗布する薬液塗布工程、カレンダー処理するカレンダー工程、積層したシート同士を一体化するコンタクトエンボス工程、マルチスタンド式インターフォルダに適するティシュペーパー幅又はその複数倍幅にシートをスリットするスリット工程、スリットされたシートを適宜のシート数単位で管軸に巻取る巻き取り工程が連続的に行なわれる。なお、カレンダー工程及びコンタクトエンボス工程は必須ではない。
【0076】
一次連続シートを積層する工程は、既知のニップロールなどの重ね合わせ部51によって行なわれる。すなわち、各一次原反ロールJR,JRから巻き出した各一次連続シートS11,S12をその連続方向に沿って重ね合わせた後、積層状態でニップすることで行なわれる。
【0077】
ここで、図示例では、各一次原反ロールJR,JRから繰り出される一次連続シートS11,S12の表面が、それぞれ重ね合わせ後の積層連続シートS3の表面(ここで積層連続シートの「表面」とは積層外面である表裏面のことである)となるようして重ね合わせ部51に供給されるようになっている。一次連続シートS11,S12の裏面がそれぞれ積層連続シートS3の表面となるよう構成してもよいし、一次連続シートS11,S12のどちらか一方の裏面が積層連続シートS3の表面となり、他方の表面が積層連続シートS3の表面となるようしてもよいが、一次原反シートS11,S12の表面は、乾燥時にヤンキードライヤーの表面に接していることから裏面と比較して毛羽立ちが少なく滑らかで肌触りが良いので、一次連続シート(乾燥原紙S1)の表面が積層連続シートS3の表裏面を構成するようにするのが望ましい。
【0078】
薬液塗布工程は、プライマシンX2の適宜の位置で行なうことができるが好ましくは、重ね合わせ部51の後段に薬液塗布手段53を設けて、積層連続シートS3に対して連続的に薬液を塗布する。図示例ではこの形態となっている。薬液の塗布は、上述のとおりフレキソ印刷、スプレー塗布、インクジェット印刷等の既知の薬液塗布手段を採用できる。薬液塗布手段53は、単数或いは複数設置することができ、複数設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくすることができるため、加工速度を高速とすることができ、上下方向に並設すると水平方向における設置スペースを小さくすることができる。図示例では、積層連続シートS3の両面に対して薬液を塗布すべく、二機のドクターチャンバー方式のフレキソ印刷機53A,53Bを設けた例である。
【0079】
カレンダー工程は、既知のカレンダー手段によって、表面の平滑性を向上させる。図示例においては二機のカレンダー手段52,52を設けている。なお、カレンダー処理は必ずしも行なう必要はない。
【0080】
コンタクトエンボス工程は、積層連続シートS3を構成する二枚の一次連続シートS11,S12のプライ剥離をし難くすべくコンタクトエンボスの付与を行なう工程である。コンタクトエンボス手段は図2では、符号54で示されている。
【0081】
スリット工程は、積層連続シートS3を連続方向にスリットしてティシュペーパー製品の幅又は複数倍幅とする工程である。スリット加工は、積層連続シートS3の幅方向(流れ方向と直行する方向)にティシュペーパー幅又はその複数倍幅の間隔を開けて並設された複数のロールカッター及び受け部からなるスリット手段55により行なうことができる。
【0082】
なお、以下、ティシュペーパー製品の幅にスリットした形態を例として説明する。
【0083】
薬液塗布手段53の後段には、積層連続シートS3巻取って薬液塗布二次原反ロール100とするための巻取り手段56が設けられている。この巻取り手段56は、薬液が塗布された積層連続シートS3を巻き取り手段56に案内しつつ管軸に巻取るための一対のワインディングドラムを有している。これら2つのワインディングドラム56A,56Aが薬液塗布二次原反ロールRの外周面に接して薬液が塗布された積層連続シートS3を案内しつつ管軸に対する巻き取りを補助する。
【0084】
本実施形態に係る二次原反ロール100の製造設備X2又は製造方法においては、加工速度は100〜1100m/分、好ましくは350〜1050m/分、より好ましくは450〜1000m/分とする。マルチスタンド式インターフォルダの生産性との関係により100m/分未満だと十分な生産性とは言えず本願発明の効果が得られがたくなる。他方、1100m/分超過であると安定的に生産するのが困難となる。
【0085】
[二次原反ロール及び二次連続シートの構成]
ここで、本発明は、下記に示す二次原反ロール及び二次連続シートである場合に、顕著な巻きずれ防止効果が発揮される。
【0086】
その本発明の効果が顕著となる二次原反ロールは、二次連続シートの巻き長さが10000〜25000m、直径が900〜25000mm、管軸直径が50〜300mmのものである。幅については、一つの管軸に巻取る二次連続シートの枚数、幅によるので、本発明では限定されない。なお、二次原反ロールは、2ワイドとも称される一つの管軸にティシュペーパーの製品幅の二次連続シートを2枚巻取ったものに対して特に効果的である。巻きずれが発生しやすいからである。
【0087】
また、二次連続シートを構成する各連続シートの坪量は、JIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2、好ましくは11〜20g/m2、より好ましくは12〜16g/m2である。本発明にかかる二次連続シートは、後にティシュペーパーに加工されるものであり、最終製品を構成するティシュペーパーと同等の坪量となる。坪量が10g/m2未満であると、ティシュペーパーの柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することが難しくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、ティシュペーパーが硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。また、紙厚はダイヤルシックネスゲージ(尾崎製作所製ピーコック)により測定し、80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとするのが望ましい。
【0088】
また、二次連続シートは、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0089】
また、二次連続シートは、薬液塗布量が0.3〜5.0g/m2とされ、好ましくは1.0〜4.0g/m2とされたものである。なお、3.9g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙や、品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。0.3g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布品との品質差を感じられなくなってしまう。また、この範囲であると巻きずれ防止の効果が顕著となる。
【0090】
二次連続シートは、塗布されている薬液が、水系薬液であり、特にポリオールを含むもの、さらに好ましくはポリオールを70〜90%、水分を1〜15%を含むもの、特に好ましくは、さらに機能性薬品を0.01〜22%含むものである。かかる水系薬液はクレープを伸ばす作用があり、本発明の効果が顕著なものとなる。
【0091】
なお、ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。特にグリセリンが効果、取り扱いの点で望ましい。
【0092】
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0093】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0094】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0095】
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とする場合には、薬液の粘度、塗布量を安定させる点で、塗布の点で好ましい。
【0096】
他方、二次連続シートは、その基紙がパルプ繊維を主材としたものである。パルプ繊維種は特に限定されず、この種のティシュペーパーに用いられる適宜の原料パルプを選択して使用することができる。具体例としては、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0097】
なかでもパルプ繊維は、NBKPとLBKPとで構成されているのが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、水系薬液との相性がよく、塗布後に折り畳む本発明の製造方法において望ましく、また得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0098】
[マルチスタンド式インターフォルダへの二次原反ロールの取付け]
上記製造例により製造された薬液が塗布された二次原反ロール100は、図3〜9などに示すように示すように、一対の折り板72,72を具備する折畳み機構部70がライン流れ方向に多数(通常80〜120基)並設された構造を有するマルチスタンド式インターフォルダX3の移行し、各折り畳み機構部に対応する原反ロール支持部71に回動自在に取付ける。
【0099】
図示例における原反ロール支持部71は、図4等に示されるように支持台80に形成された上方開放の凹溝81であり、二次原反ロールは、コアプラグ150と称される二次原反ロール100の管軸110と一体とされる回転支持具を介して回動自在に取付ける形態である。
【0100】
コアプラグ150は、特に、図4〜図7から理解されるように、一方端部が二次原反ロール100の端面101から管軸110内に挿入されて管軸110との連結を行なう連結部151とされ、他方端部が二次原反ロール100の端面101より外方に突出して、二次原反ロール100を前記原反ロール支持部71に対して回動自在に支承するための支持部152とされ、前記連結部151と支持部152との間にフランジ部150Fを有する。
【0101】
二次原反ロール100へのコアプラグ150の取付けは、二次原反ロール100の各端面101側に設置し、管軸110内に挿通される、シャフト部材153を介して連結するとともに、両コアプラグ150,150間を接近させるようにして各コアプラグ150を管軸110に対して固定する。詳細例をもって説明すると、特に図6、図7に示すように、コアプラグ150の中心に貫通孔154を形成し、両端にネジ部153Nを有するシャフト部材153を当該貫通孔154に通し、ナット部材155を前記ネジ部に螺合させ締付けることで、コアプラグ同士を連結するとともに接近させ、もって各コアプラグ150,150を管軸110に対して固定するように取付けられる。この際、前記フランジ150Fが管軸端面110E、さらに二次原反ロール100の端面101に押し当てられることで、一層の二次原反ロールとの一体化が図られる。なお、コアプラグ150の連結部は、管軸内に圧入されていてもよいし、嵌挿されていてもよい。
【0102】
また、本発明では、コアプラグ150と管軸110とは一体性が高いほうが望ましく、この観点から、管軸110と前記コアプラグ150とを係合させてコアプラグ150と管軸110とを固定するのが望ましい。固定するにあたっては、例えば、管軸110の端面110E又は内周面に固定用の凹部を設けるとともに、コアプラグ150のフランジ150F又は連結部151に前記固定用凹部に嵌合する固定用凸部を設け、コアプラグ150の連結・取付け時に前記固定用凹部に固定用凸部が嵌合するようにした固定手段が例示できる。
【0103】
なお、上記コアプラグ150の例ではシャフト部材153が、各コアプラグ150と別体の部材であるが、例えば、図7に示すように一方のコアプラグと一体の形態であってもよい。
【0104】
[マルチスタンド式インターフォルダにおける巻き出し]
次に、特に図3〜9を参照にしつつ、原反ロール支持部71に取付けた二次原反ロールからの二次連続シートの巻き出しについて、ティシュペーパー製品幅の二次連続シートを一つの管軸に巻取ったいわゆる2ワイドの二次原反ロールを例にして説明する。
【0105】
図4、図8に示す例は、駆動ベルト83によって二次連続シートの巻きだしを行なう形態である。この形態では、図示しないモータ等の駆動装置に繋がっていてこの駆動装置により回転される駆動ベルト83が、二次原反ロール100の上部に常時接する状態となるように上下動可能に配置され、この駆動ベルト83を回転させることで二次原反ロール100を回転させ、二次原反ロール100の外周側から帯状の二次連続シートS4a,S4bを巻き出す。図示例では、駆動ベルト83は、管軸110に巻かれている複数の二次連続シートS4a,S4bの巻き部の間を跨いで接するように配され、二次原反ロールから複数の二次連続シートS4a,S4bを効果的に巻き出すようになっている。
【0106】
駆動ベルト83の搬送速度は、各折り畳み機構部70,70…の後段の連続シート束10Cの搬送速度に応じた速度とされる。
【0107】
次に、図9に示す例は、二次原反ロールに近接して設置されたプルロール85により二次連続シートS4a,S4bをニップして引っ張り出すようにして行なう。プルロール85の基本構成は既知の構成とされている。例えば、周面がゴム製とされるなどして滑り止め効果を有する一対のニップロール85A,85Bを有し、このニップロール85A,85Bの一方又は双方が、図示しないモータ等の駆動装置に繋がっていてこの駆動装置により回転するように構成されている。二次連続シートは前記一対のニップロール85A,85Bにニップされ、その状態で各ニップロールが駆動装置により回転されることによって二次連続シートが引っ張りだされ送り出される。
【0108】
図示例では、プルロール85は、各ニップロール85A,85Bが、管軸110に巻かれている複数の二次連続シートS4a,S4bの双方に接するように配置され、二次原反ロールから複数の二次連続シートS4a,S4bを効果的に巻き出すようになっている。
【0109】
ニップロール85の回転の速度は、各折り畳み機構部70,70…の後段の連続シート束10Cの搬送速度に応じた速度とされる。
【0110】
ここで、連続シート束10Cの搬送速度は50〜120m/分であり、図8、図9に示される駆動ベルト83、プルロール85の速度は、この速度に対応する速度とされる。
【0111】
[二次原反ロールの巻きずれ防止策]
以上のような二次原反ロール100からの二次連続シートS4a,S4bの巻きだし態様をとるとともに、本発明においては、その二次連続シートS4a,S4bの巻きだし時における二次原反ロール100の巻きずれを防止すべく、二次原反ロールの回転開始時、或いは回転開始から回転速度が一定となるまでの加速段階において二次原反ロールの巻きが締まるようにする。図8、図9に示される例では、コアプラグ150の支持部152を、タイミングベルト180を介したベルト駆動装置181によりトルク制御可能に回転駆動するようにし、特に上記駆動ベルト83等によって二次連続シートS4a,S4bの巻きだしを開始する際、すなわち二次原反ロールが回転開始する際に、二次原反連続シートS4a,S4bの巻きだし開始に遅らせて前記ベルト駆動装置181によるコアプラグ150の回転を開始させることで、二次原反ロールの回転開始時に巻きが締まるようにする。また、二次原反ロール100の回転速度の加速段階においては、管軸110をトルク制御により二次原反ロール100の外周面100Aの角速度と同一かやや遅くなるようにすることで、二次次原反ロールの回転開始から回転速度が一定となるまでの加速段階において二次原反ロールの巻きが締まるようにしている。
【0112】
このように、二次原反ロールの回転開始時、或いはその回転開始から回転速度が一定となるまでの加速段階において二次原反ロールの巻きが締まるように調整することで、二次原反ロールの外周面に比して、過度に管軸が過回転することがなくなり、もって巻きずれが防止される。
【0113】
前記管軸110とコアプラグ150とは連結されていることから、このようにベルト駆動装置180を用いることで、二次原反ロールの外周面と管軸との回転に差を設けることが可能となる。
【0114】
なお、上記例ではベルト駆動装置を例としたがコアプラグの回転を制御するものであれば、ベルト駆動によるものに限定はされない。
【0115】
他方、二次原反ロールの回転開始時、或いは回転開始から回転速度が一定となるまでの加速段階において二次原反ロールの巻きが締まるようにするには、上記駆動ベルト装置を用いたものとするほか、管軸110の回転を制動することとしてもいよい。例えば、図10に示されるように、コアプラグ150の支持部152等に対して摺接可能に設置したブレーキシュー95B,95Bを有するブレーキシステム95を設け、前記ブレーキシュー95B,95Bの支持部152等に対する摺接具合を調整するようにすればよい。より具体的には、駆動ベルト83等による前記二次連続シートS4a,S4bの巻きだしに伴う二次原反ロール100の回転開始時にブレーキシュー95B,95Bを支持部152等に摺接させて管軸110の回転を抑制し、二次原反連続シートS4a,S4bの巻きだし開始に遅らせて前記ベルト駆動装置181によるコアプラグ150の回転を開始させる。
【0116】
また、二次原反ロールの回転加速時に、前記ブレーキシュー95B,95Bの支持部152等に対する摺接具合を調整し、ブレーキシュー95B,95Bを支持部152等に摺接させて管軸110の回転を調整し、管軸110の角速度を二次原反ロール100の外周面100Aの角速度と同一かやや遅くなるようにする。
【0117】
なお、ブレーキシステム95の具体例については、図示例のものに限らず、例えば、コアプラグ150の半径方向に突出するブレーキディスクとブレーキシューを内在したブレーキキャリバーとを具備する既知のディスクブレーキシステムを採用することもできる。
【0118】
他方、二次原反ロールが回転開始する際に、二次原反連続シートS4a,S4bの巻きだし開始に遅らせてコアプラグ150の回転を開始させるには、上記方法のほか、管軸110或いはコアプラグ150の質量を既存のものより増加させる、或いは錘を取付ける等して質量負荷をかけ、凹溝81のコアプラグ150の支持部152との摩擦を増加させるようにすることもできる。さらに、上記質量増加等によって、管軸110の慣性モーメントを、二次原反ロール100の外周面に比して高めることでも達成できる。
【0119】
ここで、本発明においては、より好ましくは、一次的な操業停止のために二次原反ロールの回転を停止させた後、再度巻きだしの際に過度に巻きがしまることがないようにするため、或いは、二次原反ロールの巻きだし開始から巻きだし終了まで安定した巻きの締まり具合をもって操業するために、前記二次原反ロールの回転の減速開始時、或いは減速開始から回転停止するまで、さらに回転停止時に、上記方法によって巻きが締まった二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにしてもよい。
【0120】
前記二次原反ロールの回転の減速開始時に巻きが戻るようにするには、図8、図9に示すベルト駆動装置を用いるのならば二次原反ロール100の減速開始時、すなわち駆動ベルト83等の減速開始時に、やや先んじてトルク制御によりコアプラグ150を減速開始させればよい。また、減速開始から回転停止するまでに巻きの締まりを戻るようにするには、二次原反ロールの減速時にその角速度より管軸の角速度を遅くなるようにベルト駆動装置のトルクを制御すればよい。
【0121】
また、前記二次原反ロールの回転停止時に巻きの締まりが戻るようにするには、二次連続シートの巻きだし停止時に、管軸の回転の停止を遅らせて停止させるようにベルト駆動装置を停止させるようにすればよい。
【0122】
他方、図10に示されるように、コアプラグ150の支持部152等に対して摺接可能に設置したブレーキシュー95B,95Bを有するブレーキシステム95を設け、前記ブレーキシュー95B,95Bの支持部152等に対する摺接具合を調整するようにするならば、二次原反ロールの回転開始時、回転加速時、さらに等速回転時よりも、二次原反ロール100の減速開始時、減速時、さらに回転停止時に、ブレーキシュー95B,95Bの摺接具合を低下させる或いは摺接させないようにして、管軸110の慣性をもって巻きの締まりが戻るようにすることができる。
【0123】
ここで、上記ベルト駆動装置180の駆動、上記ブレーキシステム95におけるブレーキシュー95B,95Bの支持部152等への摺接は、前記駆動ベルト83の駆動やプルロール85の駆動と連動させるのがよく、その調整も自動調整とするのがよい。これらは、各装置、コアプラグの回転速度、周速度、角速度等を検知して、この検知信号に基づいて各装置を連動させるシステムを構築すればよい。図8、図9においては、検知信号、調整信号をそれぞれ符号D1,D2で示し、これらの信号を受けて計算、制御などする演算・制御装置を符号200で示している。なお、演算・制御装置200は、既知の汎用コンピューター、専用コンピューターを用いた、サーボシステム、制御システムにより達成することができる。本発明では、そのプログラムやシステムまでは限定されない。なお、二次原反ロール100と管軸110(支持部152)との角速度の差をどの程度まで許容するかは適宜の設計事項である。
【0124】
[マルチスタンド式インターフォルダにおける折り畳み工程]
次に、二次原反ロール100から巻き出された二次連続シートS4a,S4bの折り畳みについて説明する。二次原反ロール100から巻き出された二つのティシュペーパー幅の二次連続シートS4a,S4bは折畳み機構部70に供給され折り畳まれる。折り畳み機構部での折り畳みは、特に図3〜図16から理解される。折畳み機構部70には、折り板72が一対2つ具備されており各折り板72,72に対して二次連続シートS4a,S4bがガイドローラ74、ガイド丸棒部材75を介して送られる。各折り板72,72の下方には、それよりもライン上流側の折畳み機構部70で折り畳みながら積み重ねられた連続ティシュペーパー束10Cが位置しており、この連続ティシュペーパー束10Cに当該折畳み機構部70で折り畳まれた薬液塗布二次連続シートS4a,S4bが関連づけられて積み重ねられる。そしてこれらの連続ティシュペーパー束10Cはコンベアによって順次下流へと送られるように構成されている。すなわち、上流に位置する折畳み機構部70から下流に位置する折畳み機構部70へと行くにしたがって連続ティシュペーパー束10Cの積層数が多くなっていく。なお、この種の折り板72,72…を用いた折畳み機構部70は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。
【0125】
さらに、折畳み機構部70での折畳みについて詳述すると、折畳み機構部70に供給された各二次連続シートS4a,S4bを、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する二次連続シートS4a,S4bの側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。このとき、折畳み機構部70においては、各折り板72,72に対して、二次連続シートS4a,S4bが案内され、この際、二次連続シートS4a、S4bは、ガイド丸棒部材75,75によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0126】
折り板72,72に案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の二次連続シートS4aとし、上側に重なっている二次連続シートを第2の二次連続シートS4bとすると、これら二次連続シートは、第1の二次連続シートS4aの第2の二次連続シートS4bと重なっていない側端部e1が、折り板72の側板72eによって、第2の二次連続シートS4bの上側に折り返されるとともに、第2の二次連続シートS4bの第1の二次連続シートS4aと重なっていない側端部e2が、折り板72のスリット72sから折板下に引き込まれるようにして下側に折り返される。
【0127】
この際、上流の折り板において折り畳みながら積み重ねられた二次連続シートS4aの側端部e3(e1)が、折り板のスリットから第2の二次連続シートの折り返し部分間に案内される。
【0128】
このようにして、各二次連続シートは、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する二次連続シートの側端部相互が掛け合わされる。
【0129】
以上のように各折り板機構部70,70…によって折畳み重ねられて形成された薬液含有の連続ティシュペーパー束10Cは、図3に示すように、最下流の折り板機構部70の後段のカッター部160において流れ方向に所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束10とされる。ここで、カッター部160における処理速度は50〜120m/分であり、本発明においては係るカッターの処理速度によって原反ロール支持部71にセットされた二次原反ロール100からの二次連続シートS4a,S4bの繰り出し速度が定まる。そして、この速度は、上述の抄紙設備X1、プライマシンX2と比較すると遅い。そして、遅くても十分に高い生産性を発揮する。
【0130】
この理由は、マルチスタンド式インターフォルダX3では、通常折畳み機構部が80〜120機と多数あり、ここで使用される二次原反ロールの幅の総和は、抄紙設備X1やプライマシンX2で抄紙・加工される二次原反ロールの10〜30倍程度となるからである。すなわち、マルチスタンド式インターフォルダX3は、処理速度が遅くとも、二次原反ロールの消費速度は早いことによる。
【0131】
[ティシュペーパー束の収納箱への収納]
次いで、マルチスタンド式インターフォルダX3で形成されたティシュペーパー束10の収納箱2への収納例について特に図17を参照しながら説明する。なお、ティシューぺーパー束10の収納箱への収納方法は、この例に限定されず既知の方法を採用することができる。
【0132】
上記裁断工程によって裁断されて形成されたティシュペーパー束10は、マルチスタンド式インターフォルダX3の後段に連続する収納設備において収納箱2に収納される。
【0133】
具体的には、上述の上面、底面及びこれらを連接する側面と、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有する収納箱を、底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uが開いた状態、すなわち端面が開口された状態に半完成の状態に組立てるとともに、その開口部に対面するようにマルチスタンド式インターフォルダX3から送られてくるティシュペーパー束10の裁断面を付き合わせる。
【0134】
そして付き合わせたならば、ティシュペーパー束10をプッシュロッド等によって収納箱内へ押し込む。ティシュペーパー束10が収納箱内に押し込まれたら、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着する。
【0135】
この接着によって本発明のティシュペーパー製品の製造は完了する。
【0136】
なお、マルチスタンド式インターフォルダX3では、連続ティシュペーパー束10Cは、流れ方向が縦方向(MD方向)、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、連続ティシュペーパー束10Cを所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束10を構成するティシュペーパーの紙の方向は、図示例とおり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向に沿って縦方向(MD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となる。
【0137】
したがって、上述のように収納箱に収納された本発明によって製造されるティシュペーパー製品は、ティシュペーパーを収納箱から引き出す際には、その引き出し方向がティシュペーパーの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【符号の説明】
【0138】
X1…抄紙設備、JR…一次原反ロール(ジャンボロール)、W…湿紙、S1…乾燥原紙(一次連続シート)、31…ヘッドボックス、32…ワイヤーパート、32w…ワイヤ、333…プレスパート、33F…フェルト、34,35…脱水ロール、36…ヤンキードライヤー、36C…ヤンキードライヤーフード、37…ドクターブレード、38…巻き取り手段、39…ワインディングドラム、X2…プライマシン、S11 ,S12…一次連続シート、S3…積層連続シート、51…重ね合わせ部、53…薬液塗布手段、54…コンタクトエンボス手段、55…スリット手段、 56…巻き取り手段、100…二次原反ロール、100A…外周面、101…二次原反ロールの端面、110…管軸、110D…ダミー管軸、110E…管軸の端、150…コアプラグ、150F…フランジ、151…連結部、152…支持部、153…シャフト部材、153N…ネジ部、154…貫通孔、155…ナット部材、X3…マルチスタンド式インターフォルダ、S4a,S4b…二次連続シート、70…折り畳み機構部、71…原反ロール支持部、72…折り板、73,74…ガイドローラ、75…ガイド丸棒部材、10C…連続ティシュペーパー束、80…支持台、81…凹溝、83…駆動ベルト、85…プルロール、85A,85B…ニップロール、95…ブレーキシステム、95B…ブレーキキシュー、180…タイミングベルト、181…ベルト駆動装置、181S…サーボモータ、200…演算・制御装置、D1〜D2…演算信号、調整信号。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー製品の製造方法に関し、特に、マルチスタンド式インターフォルダにおいて、薬液が塗布された二次連続シートを巻取った二次原反ロールから巻きずれなく、前記二次連続シートを供給して、薬液が塗布されたティシュペーパー製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[ティシュペーパー製品]
複数枚のティシュペーパーからなる束が収納箱内に収納され、その収納箱(カートン箱或いはティシュカートンとも称される)の一面に設けられた取出口からティシュペーパーを順次一枚ずつ引き出して使用するティシュペーパー製品はよく知られる(シートを取り出すとそれに連続して次のシートが取出口から引き出される形式をポップアップ式ともいう)。
【0003】
このティシュペーパー製品においては、収納されるティシュペーパーに保湿性、柔軟性を付与する薬液を塗布した薬液塗布タイプのものと、薬液等が塗布されていない汎用品或いは汎用タイプのものがある。
【0004】
薬液が塗布されたティシュペーパーは、表面の滑らかさや柔らかさにおいて汎用品のものよりも優れる。
【0005】
薬液塗布タイプの製品は、花粉症やインフルエンザが流行する時期など洟をかむ機会が増える時期に需要が増加する傾向にあったが、近年では、表面の滑らかさや柔らかさ等の使用感における利点が評価され、季節、時期を問わずに使用されるようになってきており、その需要は拡大している。
【0006】
[薬液塗布タイプの製品に用いられる薬液の種類]
上記保湿性、柔軟性を付与する薬液を塗布した薬液塗布タイプの製品に用いられる薬液は種々存在するが、大きくは、水及びポリオールを含む水系薬液(通常「水系ローション剤」、「水系ローション薬液」とも呼ばれる)、主に非水溶性のワックス等を含み常温で半固形である油系薬液に大別される。水系薬液は取り扱い性に優れ安価であるという特徴がある。
【0007】
また、水系薬液はシートに塗布した場合にシートを構成するパルプ繊維との親和性に優れ、シートの厚み方向(Z方向とも称される)に含浸し、シート全体及びその表面性を改質するように作用する。これに対して油系薬液は主にその表面をコーティングするように作用し、表面の滑らかさを向上させるように作用する。
【0008】
そして、水系薬液は、シートに含浸することから塗布後、シートにクレープを伸ばす作用が大きいが、油系薬液ではそのような作用が小さい。
【0009】
この両者の特質によって製造上の問題点等の課題において異なるところがある。
【0010】
そして、安価、大量生産に適しているのは水系薬液である。
【0011】
[ティシュペーパー製品の従来の製造方法の概要]
ティシュペーパー製品の製造工程は次のとおりである。
まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造する。
【0012】
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)からなる二次原反ロールを製造する。
【0013】
次いで、二次原反ロールをインターフォルダと呼ばれる折畳み設備に移行し、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートを折畳むとともに順次積層し、裁断してティシュペーパー束を製造する。次いで、このティシュペーパー束を収納箱内に収納してティシュペーパー製品とする。
【0014】
[ティシュペーパー製品の製造に用いられるインターフォルダの種類]
ここで、ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダ(下記特許文献1、2)とロータリー式インターフォルダ(特許文献3、4)の2種のインターフォルダが使用されている。
【0015】
前者のマルチスタンド式インターフォルダは、特許文献1、2にも示されるように、折り板を有する折畳み機構部がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、折り畳み機構部に対応する二次原反ロール支持部に二次原反ロールを固定し、その二次原反ロールから二次連続シートを巻きだして折り畳み機構部に二次連続シートを供給する。その際、マルチスタンド式インターフォルダは、各折り畳み機構部に対して、ティシュペーパーの幅と同幅にスリットした二次原反ロールを2セット並べ、同時に二次原反ロールから二次連続シートを連続的に供給し、各折畳み機構部で二次連続シートの折り畳みが行なわれるとともに、ライン上流側の折畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートの上にそれよりもライン下流側の折畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートが順次積層されるものであり、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成される。
【0016】
ここで折畳み機構部の1機とは、二次連続シートを互いに内側に折り込むように折り畳む設備の単位であり、マルチスタンド式インターフォルダの基本となる機構部の単位である。
【0017】
ここで、マルチスタンド式インターフォルダでは、多数の折り畳み機構部を有することから、多数の二次原反ロールを要する。そして、その取付けの煩雑さを低下させるべく、二次原反ロールは、ティシュペーパーの幅と同幅にスリットされた二次連続シートを複数一つの管軸に並べて巻取ったものがよく用いられる。通常は、上記折り畳み機構への供給を好適に行えるようにすべく、二次原反ロールが2セット、一つの管軸に巻いたものが用いられる。なお、ティシュペーパーの幅の2〜10倍幅程度にスリットされた連続シートを巻き取った二次原反ロールを用い、ティシュペーパー幅にスリットする工程をマルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部の直前にて行なう場合もある。
【0018】
一方、ロータリー式インターフォルダは、一対の二次原反ロールから繰り出された、
【0019】
各二次連続シートを先端側から回転式の折り板によって折り畳みつつ裁断し、その裁断した各二次原反ロールからのシートが順次重ね合わせられて積層シート束を形成する。
【0020】
そして、ロータリー式インターフォルダでは、概ねティシュペーパー幅の5倍幅以上の原反ロールが用いられている。
【0021】
したがって、このロータリー式インターフォルダでは、連続操業の中で所定の積層枚数のところで適宜マーキングして手動で分割する、あるいは所定積層枚数のところで自動で分割するなどして積層シート束を得る操作を擁する。しかも得られる積層シート束は、二次原反ロールの幅長とほぼ同じ長さの比較的短いものである。このためマルチスタンド式インターフォルダと比較すると生産性には劣る。
【0022】
具体例を示せば、ロータリー式インターフォルダでは、ティシュペーパーの幅の5倍幅の原反ロールを用いて、加工速度を100m/分でティシュペーパー束を生産すると、約25束/分要しているのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは、加工速度を100m/分で435束/分を生産することが可能である。
【0023】
[ティシュペーパー製品の種類とインターフォルダの種類との関係]
上述のとおり、マルチスタンド式インターフォルダは生産性が高いことから多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に用いられており、ロータリー式インターフォルダは、汎用タイプに比して生産量が少ない薬液塗布タイプの製造に用いられている(例えば、下記特許文献5)。
【0024】
また、ロータリー式インターフォルダでは、幅広の原反ロールを用いるとともに折り畳み機構に起因して操業速度が遅いことから二次原反ロールから巻き出した二次連続シートに対してオンラインで薬液を塗布することが容易であるのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは多数の二次原反ロールをセットする必要があることから、多数の各二次原反ロールに対して薬液塗布設備を設置するなど、各原反ロールの塗布量調整などの品質管理の点で煩雑さがありオンライン塗布がし難いということも、各インターフォルダにおけるティシュペーパー製品の製造種を異ならしめる要因となっている。
【0025】
なお、従来の薬液塗布タイプの製品の製造方法は、下記特許文献5〜7に製造方法や設備が例示されている。
【0026】
しかし、上述のとおり薬液塗布タイプのティシュペーパー製品の需要拡大による生産量増加を考慮すると、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品においてもマルチスタンド式インターフォルダでの製造が望まれる。
【0027】
しかし、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品をマルチスタンド式インターフォルダにより製造するには、塗布に関する課題のほか以下のような技術的な問題点があり困難であった。
【0028】
[薬液塗布タイプの製品をマルチスタンド式インターフォルダで製造する際の問題点]
マルチスタンド式インターフォルダで薬液塗布タイプのティシュペーパーを製造する場合、上述のとおり薬液の二次原反ロールへのオンライン塗布では煩雑さを要することから、予め薬液が塗布された二次連続シートを巻取った二次原反ロールを用意するのが都合がよい。かかる二次原反ロールは、マルチスタンド式インターフォルダとは別のプリンタ設備等の薬液塗布設備や、上記マルチスタンド式インターフォルダの前段設備である一次原反ロールから二次原反ロールを製造するプライマシンに印刷機などを設けて薬液塗布を行えば製造が可能である。
【0029】
しかし、マルチスタンド式インターフォルダでは、薬液が塗布された二次原反ロール(以下、単に二次原反ロールともいう)を用いたとしても、二次原反ロールの巻きずれが発生するという問題があり生産性を高めがたい。この問題についてさらに詳述する。
【0030】
マルチスタンド式インターフォルダでは、上記説明のとおり各折り畳み機構部に対して、ティシュペーパー幅で極めて長い二次連続シートを供給する必要性がある。そして、通常は、用いられる二次原反ロールは、小幅大径なものであり、ティシュペーパー幅の複数倍幅の連続シートを巻取ったものでもロータリー式インターフォルダに用いるものと比較すると小幅のものを用いることが多い。そして、このような小幅大径の二次原反ロールから効率よく二次連続シートを巻き出すべく、マルチスタンド式インターフォルダでは、二次原反ロールの外周面に駆動ベルトを当接させ、この駆動ベルトにより理想的には加速度の小さい安定した速度で二次原反ロールを回転させて外周側から二次連続シートを巻き出すことや、二次原反ロールからプルロールによって二次連続シートを引っ張り出すようにして、前記二次原反ロールを回転させるとともに、二次原反ロールから二次連続シートを巻き出すことが行なわれる。
【0031】
他方、薬液が塗布された二次原反ロールを構成する二次連続シートは、薬液そのものによる作用の他、薬液塗布によりクレープが伸ばされることによって、シート表面の摩擦抵抗が非薬液塗布の二次連続シートよりも低くなる傾向にある。また、マルチスタンド式インターフォルダでは、上述のとおりインターフォルダとは別の設備で薬液を塗布することから、薬液塗布二次原反ロールは製造から使用までに所定時間を要し、シート間における薬液の拡散浸透時間、吸湿してクレープが伸ばされるため、上記表面の摩擦抵抗の低下が増長される傾向にある。さらに、二次原反ロールとされた後の吸湿等によって二次連続シートが伸ばされる場合、二次原反ロールの巻きそのものが緩められる。これは、上述の水系薬液において特に顕著となる。
【0032】
そして、このような薬液塗布に起因する要因と小幅大径の形状とが相まって、二次原反ロールから駆動ベルトやプルロールにより二次連続シートの巻きだしを行なうと、二次原反ロールの外周側については二次連続シートの巻きだしに応じた適正な速度で回転するものの、二次原反ロールの巻き芯側では回転速度が外周面側に比して早くなることがあり、これにより芯側と外周面側で巻きがずれるいわゆる巻きずれが発生する。なお、巻きずれ発生の原理は定かではないが、二次原反ロールの外周面と管軸との慣性の相違等によるものとも推測される。
【0033】
このように巻きずれが発生した場合には、二次原反ロールから巻き出された二次連続シートが進行方向に対して左右に、および/または前後にずれて折り畳み機構部に供給され、この結果製造されたティシュペーパー製品にしわが入る、あるいは折込み不良となる、さらに、折込み不良によってポップアップ機構が不連続なものとなるなどの問題が生ずる。
【0034】
ここで、巻きずれは小幅大径の二次原反ロールで顕著に発生するが、比較的幅広の二次原反ロールにおいても発生することがある。
【0035】
マルチスタンド式インターフォルダにおいて、比較的幅広の二次原反ロールを用いる場合に巻きずれが発生すると、折り畳み機構部前に行なうスリット工程において不具合が発生するという問題が生ずる。
【0036】
また、マルチスタンド式インダーフォルダでは、二次原反ロールの幅に関係なく、他の多数の二次原反ロールから巻きだした二次連続シートとともに、積層連続シート束を形成する折り畳み機構であることから、ある二次原反ロールで巻きずれが発生すると、その他の二次原反ロールから巻き出された二次連続シートが正常に巻き出されていても、問題のある連続積層シート束が形成されてしまう。すなわち、その他の二次原反ロールから正常に巻き出された二次連続シートのすべてが無駄になる。
【0037】
また、マルチスタンド式インターフォルダでは、二次原反ロールから巻き出された二次連続シートが、折り畳み機構部にて適宜のロールに巻き掛けられてその進行方向を変えて折り板によって折り畳まれて積層連続シート束とされ、その積層連続シート束がプルロールによって搬送される。したがって、巻きずれにより二次連続シートの搬送が左右、前後にずれると前記ロールに巻き掛けられて進行方向が変更される際等に、当該ロールから脱落したり、皺が入った状態で折り板に供給されて、不良積層連続シート束が形成されてしまう。
【0038】
そして、マルチスタンド式インターフォルダでは、連続積層シート束を最終段のカッターにて箱詰めカットすることから、問題のあるシート束のみを事後的に除去するということが困難である。
【0039】
このように、マルチスタンド式インターフォルダでは、複数の用いられる二次原反ロールの一つで発生した巻きずれが製造上の問題として顕在化する。
【0040】
なお、ロータリー式インターフォルダにおいて、予め薬液が含浸された幅広の二次原反ロールを用いる場合にも若干の巻きずれが発生することはあるが、ロータリー式インターフォルダでは、一対の二次原反ロールから巻きだした各二次連続シートをその進行方向を変更することなく、折り畳み機構部に供給し、相互に互い違いに折り畳むことから、巻きずれに起因する二次連続シートの搬送方向に対するずれがあっても、搬送方向のずれは搬送過程容易に補正され、また、左右方向のずれは左右縁部の通常有するトリムカット工程によって補正されることから、折り畳み機構に供給する前に巻きずれに起因する二次連続シートの搬送ずれが補正され、製造上の問題として顕在化しない。
【0041】
以上のようにマルチスタンド式インターフォルダにおいて薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を製造するにあたっては、二次原反ロールの巻きずれの問題があり、その製造を困難ならしめている。
【0042】
なお、ロール紙の巻き取りに関しては、下記特許文献8〜10に示される技術が開示されているが、二次原反ロールからの二次連続シートの巻き出し時における巻きずれを防止するようなものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献2】特開2006−240750号公報
【特許文献3】特開昭61−37668号公報
【特許文献4】特開平5−124770号公報
【特許文献5】特開2004−322034号公報
【特許文献6】特表2008−525103号公報
【特許文献7】特開2008−264564号公報
【特許文献8】特開昭63−123743号公報
【特許文献9】特開2009−220991号公報
【特許文献10】特開2007−106508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
そこで、本発明の主たる課題は、マルチスタンド式インターフォルダにおいて薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を製造するにあたって生じていた巻きずれの問題を解決し、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0045】
上記課題を解決した本発明は以下のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
二次原反ロールの停止状態からの回転開始時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その回転開始を遅らせることにより、二次原反ロールの回転開始時に二次原反ロールの巻きが締まるようする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0046】
〔請求項2記載の発明〕
管軸の回転を制動することで、管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その回転開始を遅らせる請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0047】
〔請求項3記載の発明〕
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
二次原反ロールの停止状態からの回転開始後、一定速度となるまでの加速段階時に、前記管軸の角速度を、二次原反ロールの外周面の角速度に比して、遅くすることにより、二次原反ロールの回転速度の加速段階で二次原反ロールの巻きが締まるようする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0048】
〔請求項4記載の発明〕
管軸の回転を制動することで、前記管軸の角速度を、二次原反ロールの外周面の角速度に比して、遅くする請求項3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0049】
〔請求項5記載の発明〕
二次原反ロールの一定速度からの減速開始時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その減速開始を遅らせることにより、前記二次原反ロールの減速開始時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項1又は3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0050】
〔請求項6記載の発明〕
二次原反ロールの外周面と管軸とで、慣性に差を設けることで、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その減速開始を遅らせる請求項5記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0051】
〔請求項7記載の発明〕
管軸に質量負荷をかけることで、慣性に差を設ける請求項6記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0052】
〔請求項8記載の発明〕
二次原反ロールの回転の停止時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その停止を遅らせることにより、前記二次原反ロールの停止時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項1又は3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0053】
〔請求項9記載の発明〕
二次原反ロールの回転の減速時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その角速度を早くすることで、前記二次原反ロールの減速時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項8記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【発明の効果】
【0054】
以上の本発明によれば、マルチスタンド式インターフォルダにおいて薬液塗布ティシュペーパー製品を製造するにあたって生じていた巻きずれの問題が解決され、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を効率よく製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】一次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図2】薬液塗布二次原反ロールの製造設備(プライマシン)及び製造方法を示す概略図である。
【図3】本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダの概略図である。
【図4】本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダの他の概略図である。
【図5】本発明にかかる薬液塗布二次原反ロールユニットを一部断面図である。
【図6】本発明にかかるコアプラグを説明するための図である。
【図7】本発明にかかるコアプラグの他の説明するための図である。
【図8】本発明の二次連続シートの巻き出しを説明するための図である。
【図9】本発明の二次連続シートの他の巻き出しを説明するための図である。
【図10】本発明にかかる制動手段の概略図である。
【図11】折り畳み機構部を説明するための斜視図である。
【図12】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図13】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図14】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図15】二次連続シートの折り畳み方を示す束断面図である。
【図16】収納工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に本発明にかかる薬液塗布タイプのティシュペーパー製品の製造形態例について、図面を参照しながら詳述する。
[抄紙工程〔一次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
本発明に用いる薬液が塗布された二次原反ロールを好ましく製造するには、図1に示す抄紙設備例X1により、一次原反ロールJR(ジャンボロールとも称される)を以下のようにして製造する。
【0057】
まず、ヘッドボックス31からパルプスラリーに適宜の薬品を添加して予め調整した紙料をワイヤーパート32のワイヤ32w上に供給して湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、次にこの湿紙Wをプレスパート33のフェルト34に移送したにのち対をなす脱水ロール34,35によって挟持して脱水する(脱水工程)。
【0058】
次いで、脱水された湿紙をヤンキードライヤー36の表面に付着させて乾燥させた後にドクターブレード37によって掻き剥がしてクレープを有する乾燥原紙S1(後述の一次連続シート)とする(乾燥工程)。
【0059】
そして、この乾燥原紙S1をワインディングドラム39に有する巻取り手段38によって、前記乾燥原紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するようして(巻き取り内面となるようにして)巻き取り、一次原反ロールJRとする(一次原反巻取り工程)。
【0060】
この一次原反ロールJRは、抄紙設備X1の性能によっても相違するが、概ね直径が1000〜5000mm、長さ(幅)が1500〜9200mm、巻き長さが5000〜80000mである。
【0061】
なお、一次原反巻き取り工程の前段にドクターブレード37により掻き剥がした乾燥原紙S1に対してカレンダー工程(図示せず)を設け表裏面の平滑化処理をしてもよい。
【0062】
ここで、乾燥原紙S1の裏面とは、ヤンキードライヤー36のシリンダと接していた面の反対側の面のことを意味する。なお、カレンダー工程の有無にもよるが一般には鏡面のヤンキードライヤーに接していた表面のほうが滑らかで表面性に優れる。
【0063】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%、好ましくは12〜25%、より好ましくは13〜20%である。クレープ率が10%未満であると、後段の加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパーとなる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しやすくなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパーとなりやすくなる。
【0064】
また、一次連続シートS1の抄紙にあたっては、製品の紙力を適宜の値とすべく、公知の方法により調整することができる。例えば、乾燥紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添する、紙料のフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、原料パルプのNBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の既知の手法を適宜組み合わせることができる。
【0065】
なお、乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。
【0066】
湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0067】
[薬液が塗布された二次原反ロールの製造例]
本発明にかかる二次原反ロールは、上述の抄紙工程で製造された一次原反ロールを適宜の薬液塗布設備に移送し、そこで薬液を塗布して薬液塗布一次原反ロールとし、さらにこの薬液塗布一次原反ロールから薬液塗布一次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダに適するティシュペーパーの幅と同幅又は複数倍幅にスリットしたものを適宜数管軸に巻取ることで二次原反ロールとすることができる。なお、製造容易性及び巻きずれが小幅原反ロールで顕著となることから、本願発明は、特にティシュペーパー幅と同幅の連続シートを巻取った二次原反ロールとするのが望ましい。
【0068】
また、薬液一次原反ロールを製造することなく、一次原反ロールから一次連続シートを巻き出して、一次連続シートに薬液を塗布し、それをマルチスタンド式インターフォルダに適する幅にスリットしたものを適宜数管軸に巻取ることで二次原反ロールとすることができる。
【0069】
さらに、上述の抄紙工程で一次原反ロールに巻取る前に、薬液を塗布し、これを適宜幅にスリットして一次原反ロールを介することなく二次原反ロールとしてもよい。
【0070】
このように本発明における薬液塗布二次原反ロールは、薬液が塗布された連続シートをマルチスタンド式インターフォルダに適する幅にスリットしたものを適宜数、一つの管軸に巻取って形成されたものを意味する。
【0071】
薬液の塗布については、フレキソ印刷、スプレー塗布、インクジェット印刷等の既知の薬液塗布手段を採用できる。刷版の柔軟性、高速対応性、薬液の飛散防止、塗布量の調整が容易である等の要件からフレキソ印刷が適する。さらに、紙面に刷版ロール等を接触させないことから紙厚の低下を招かないという点では、刷版ロール等を用いず直接的に薬液を紙面に付与する非接触形の塗布形態であるスプレー塗工、インクジェット印刷が適する。
【0072】
ここで、ティシュペーパー製品においては、通常は2プライ、3プライといった複数のクレープ紙が積層されて構造を採ることから、複数の一次原反ロールから一次連続シート巻き出し、それらを積層加工した後に、この積層連続シートを巻取って二次原反ロールとするのが一般的である。そして、かかる積層加工及びマルチスタンド式インターフォルダに適する幅にスリットする工程、それらの適宜のシート数で管軸に巻取る工程は、プライマシンと称される設備で行なわれるのが一般的である。
【0073】
また、プライマシンは元来高速に可動する設備であるとともに、マルチスタンド式インターフォルダ用の二次原反ロールを複数一度に製造できるため、生産性の高いマルチスタンド式インターフォルダの生産速度に見合う二次原反ロールを製造でき、プライマシンで薬液塗布を行なうこととして、薬液塗布二次原反ロールを製造するのが生産性の点で極めて有用である。
【0074】
したがって、本発明において特に好ましくプライマシンで薬液が塗布された二次原反ロールを製造することが採用される。以下にこの製造例について詳述する。
【0075】
[プライマシンでの薬液塗布二次原反ロールの製造例]
プライマシンX2では、図2に示すように、抄紙工程で製造された一次原反ロールJRを、必要数(図2では二つ)セットし、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)を積層する工程、薬液を塗布する薬液塗布工程、カレンダー処理するカレンダー工程、積層したシート同士を一体化するコンタクトエンボス工程、マルチスタンド式インターフォルダに適するティシュペーパー幅又はその複数倍幅にシートをスリットするスリット工程、スリットされたシートを適宜のシート数単位で管軸に巻取る巻き取り工程が連続的に行なわれる。なお、カレンダー工程及びコンタクトエンボス工程は必須ではない。
【0076】
一次連続シートを積層する工程は、既知のニップロールなどの重ね合わせ部51によって行なわれる。すなわち、各一次原反ロールJR,JRから巻き出した各一次連続シートS11,S12をその連続方向に沿って重ね合わせた後、積層状態でニップすることで行なわれる。
【0077】
ここで、図示例では、各一次原反ロールJR,JRから繰り出される一次連続シートS11,S12の表面が、それぞれ重ね合わせ後の積層連続シートS3の表面(ここで積層連続シートの「表面」とは積層外面である表裏面のことである)となるようして重ね合わせ部51に供給されるようになっている。一次連続シートS11,S12の裏面がそれぞれ積層連続シートS3の表面となるよう構成してもよいし、一次連続シートS11,S12のどちらか一方の裏面が積層連続シートS3の表面となり、他方の表面が積層連続シートS3の表面となるようしてもよいが、一次原反シートS11,S12の表面は、乾燥時にヤンキードライヤーの表面に接していることから裏面と比較して毛羽立ちが少なく滑らかで肌触りが良いので、一次連続シート(乾燥原紙S1)の表面が積層連続シートS3の表裏面を構成するようにするのが望ましい。
【0078】
薬液塗布工程は、プライマシンX2の適宜の位置で行なうことができるが好ましくは、重ね合わせ部51の後段に薬液塗布手段53を設けて、積層連続シートS3に対して連続的に薬液を塗布する。図示例ではこの形態となっている。薬液の塗布は、上述のとおりフレキソ印刷、スプレー塗布、インクジェット印刷等の既知の薬液塗布手段を採用できる。薬液塗布手段53は、単数或いは複数設置することができ、複数設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくすることができるため、加工速度を高速とすることができ、上下方向に並設すると水平方向における設置スペースを小さくすることができる。図示例では、積層連続シートS3の両面に対して薬液を塗布すべく、二機のドクターチャンバー方式のフレキソ印刷機53A,53Bを設けた例である。
【0079】
カレンダー工程は、既知のカレンダー手段によって、表面の平滑性を向上させる。図示例においては二機のカレンダー手段52,52を設けている。なお、カレンダー処理は必ずしも行なう必要はない。
【0080】
コンタクトエンボス工程は、積層連続シートS3を構成する二枚の一次連続シートS11,S12のプライ剥離をし難くすべくコンタクトエンボスの付与を行なう工程である。コンタクトエンボス手段は図2では、符号54で示されている。
【0081】
スリット工程は、積層連続シートS3を連続方向にスリットしてティシュペーパー製品の幅又は複数倍幅とする工程である。スリット加工は、積層連続シートS3の幅方向(流れ方向と直行する方向)にティシュペーパー幅又はその複数倍幅の間隔を開けて並設された複数のロールカッター及び受け部からなるスリット手段55により行なうことができる。
【0082】
なお、以下、ティシュペーパー製品の幅にスリットした形態を例として説明する。
【0083】
薬液塗布手段53の後段には、積層連続シートS3巻取って薬液塗布二次原反ロール100とするための巻取り手段56が設けられている。この巻取り手段56は、薬液が塗布された積層連続シートS3を巻き取り手段56に案内しつつ管軸に巻取るための一対のワインディングドラムを有している。これら2つのワインディングドラム56A,56Aが薬液塗布二次原反ロールRの外周面に接して薬液が塗布された積層連続シートS3を案内しつつ管軸に対する巻き取りを補助する。
【0084】
本実施形態に係る二次原反ロール100の製造設備X2又は製造方法においては、加工速度は100〜1100m/分、好ましくは350〜1050m/分、より好ましくは450〜1000m/分とする。マルチスタンド式インターフォルダの生産性との関係により100m/分未満だと十分な生産性とは言えず本願発明の効果が得られがたくなる。他方、1100m/分超過であると安定的に生産するのが困難となる。
【0085】
[二次原反ロール及び二次連続シートの構成]
ここで、本発明は、下記に示す二次原反ロール及び二次連続シートである場合に、顕著な巻きずれ防止効果が発揮される。
【0086】
その本発明の効果が顕著となる二次原反ロールは、二次連続シートの巻き長さが10000〜25000m、直径が900〜25000mm、管軸直径が50〜300mmのものである。幅については、一つの管軸に巻取る二次連続シートの枚数、幅によるので、本発明では限定されない。なお、二次原反ロールは、2ワイドとも称される一つの管軸にティシュペーパーの製品幅の二次連続シートを2枚巻取ったものに対して特に効果的である。巻きずれが発生しやすいからである。
【0087】
また、二次連続シートを構成する各連続シートの坪量は、JIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2、好ましくは11〜20g/m2、より好ましくは12〜16g/m2である。本発明にかかる二次連続シートは、後にティシュペーパーに加工されるものであり、最終製品を構成するティシュペーパーと同等の坪量となる。坪量が10g/m2未満であると、ティシュペーパーの柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することが難しくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、ティシュペーパーが硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。また、紙厚はダイヤルシックネスゲージ(尾崎製作所製ピーコック)により測定し、80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとするのが望ましい。
【0088】
また、二次連続シートは、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0089】
また、二次連続シートは、薬液塗布量が0.3〜5.0g/m2とされ、好ましくは1.0〜4.0g/m2とされたものである。なお、3.9g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙や、品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。0.3g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布品との品質差を感じられなくなってしまう。また、この範囲であると巻きずれ防止の効果が顕著となる。
【0090】
二次連続シートは、塗布されている薬液が、水系薬液であり、特にポリオールを含むもの、さらに好ましくはポリオールを70〜90%、水分を1〜15%を含むもの、特に好ましくは、さらに機能性薬品を0.01〜22%含むものである。かかる水系薬液はクレープを伸ばす作用があり、本発明の効果が顕著なものとなる。
【0091】
なお、ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。特にグリセリンが効果、取り扱いの点で望ましい。
【0092】
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0093】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0094】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0095】
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とする場合には、薬液の粘度、塗布量を安定させる点で、塗布の点で好ましい。
【0096】
他方、二次連続シートは、その基紙がパルプ繊維を主材としたものである。パルプ繊維種は特に限定されず、この種のティシュペーパーに用いられる適宜の原料パルプを選択して使用することができる。具体例としては、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0097】
なかでもパルプ繊維は、NBKPとLBKPとで構成されているのが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、水系薬液との相性がよく、塗布後に折り畳む本発明の製造方法において望ましく、また得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0098】
[マルチスタンド式インターフォルダへの二次原反ロールの取付け]
上記製造例により製造された薬液が塗布された二次原反ロール100は、図3〜9などに示すように示すように、一対の折り板72,72を具備する折畳み機構部70がライン流れ方向に多数(通常80〜120基)並設された構造を有するマルチスタンド式インターフォルダX3の移行し、各折り畳み機構部に対応する原反ロール支持部71に回動自在に取付ける。
【0099】
図示例における原反ロール支持部71は、図4等に示されるように支持台80に形成された上方開放の凹溝81であり、二次原反ロールは、コアプラグ150と称される二次原反ロール100の管軸110と一体とされる回転支持具を介して回動自在に取付ける形態である。
【0100】
コアプラグ150は、特に、図4〜図7から理解されるように、一方端部が二次原反ロール100の端面101から管軸110内に挿入されて管軸110との連結を行なう連結部151とされ、他方端部が二次原反ロール100の端面101より外方に突出して、二次原反ロール100を前記原反ロール支持部71に対して回動自在に支承するための支持部152とされ、前記連結部151と支持部152との間にフランジ部150Fを有する。
【0101】
二次原反ロール100へのコアプラグ150の取付けは、二次原反ロール100の各端面101側に設置し、管軸110内に挿通される、シャフト部材153を介して連結するとともに、両コアプラグ150,150間を接近させるようにして各コアプラグ150を管軸110に対して固定する。詳細例をもって説明すると、特に図6、図7に示すように、コアプラグ150の中心に貫通孔154を形成し、両端にネジ部153Nを有するシャフト部材153を当該貫通孔154に通し、ナット部材155を前記ネジ部に螺合させ締付けることで、コアプラグ同士を連結するとともに接近させ、もって各コアプラグ150,150を管軸110に対して固定するように取付けられる。この際、前記フランジ150Fが管軸端面110E、さらに二次原反ロール100の端面101に押し当てられることで、一層の二次原反ロールとの一体化が図られる。なお、コアプラグ150の連結部は、管軸内に圧入されていてもよいし、嵌挿されていてもよい。
【0102】
また、本発明では、コアプラグ150と管軸110とは一体性が高いほうが望ましく、この観点から、管軸110と前記コアプラグ150とを係合させてコアプラグ150と管軸110とを固定するのが望ましい。固定するにあたっては、例えば、管軸110の端面110E又は内周面に固定用の凹部を設けるとともに、コアプラグ150のフランジ150F又は連結部151に前記固定用凹部に嵌合する固定用凸部を設け、コアプラグ150の連結・取付け時に前記固定用凹部に固定用凸部が嵌合するようにした固定手段が例示できる。
【0103】
なお、上記コアプラグ150の例ではシャフト部材153が、各コアプラグ150と別体の部材であるが、例えば、図7に示すように一方のコアプラグと一体の形態であってもよい。
【0104】
[マルチスタンド式インターフォルダにおける巻き出し]
次に、特に図3〜9を参照にしつつ、原反ロール支持部71に取付けた二次原反ロールからの二次連続シートの巻き出しについて、ティシュペーパー製品幅の二次連続シートを一つの管軸に巻取ったいわゆる2ワイドの二次原反ロールを例にして説明する。
【0105】
図4、図8に示す例は、駆動ベルト83によって二次連続シートの巻きだしを行なう形態である。この形態では、図示しないモータ等の駆動装置に繋がっていてこの駆動装置により回転される駆動ベルト83が、二次原反ロール100の上部に常時接する状態となるように上下動可能に配置され、この駆動ベルト83を回転させることで二次原反ロール100を回転させ、二次原反ロール100の外周側から帯状の二次連続シートS4a,S4bを巻き出す。図示例では、駆動ベルト83は、管軸110に巻かれている複数の二次連続シートS4a,S4bの巻き部の間を跨いで接するように配され、二次原反ロールから複数の二次連続シートS4a,S4bを効果的に巻き出すようになっている。
【0106】
駆動ベルト83の搬送速度は、各折り畳み機構部70,70…の後段の連続シート束10Cの搬送速度に応じた速度とされる。
【0107】
次に、図9に示す例は、二次原反ロールに近接して設置されたプルロール85により二次連続シートS4a,S4bをニップして引っ張り出すようにして行なう。プルロール85の基本構成は既知の構成とされている。例えば、周面がゴム製とされるなどして滑り止め効果を有する一対のニップロール85A,85Bを有し、このニップロール85A,85Bの一方又は双方が、図示しないモータ等の駆動装置に繋がっていてこの駆動装置により回転するように構成されている。二次連続シートは前記一対のニップロール85A,85Bにニップされ、その状態で各ニップロールが駆動装置により回転されることによって二次連続シートが引っ張りだされ送り出される。
【0108】
図示例では、プルロール85は、各ニップロール85A,85Bが、管軸110に巻かれている複数の二次連続シートS4a,S4bの双方に接するように配置され、二次原反ロールから複数の二次連続シートS4a,S4bを効果的に巻き出すようになっている。
【0109】
ニップロール85の回転の速度は、各折り畳み機構部70,70…の後段の連続シート束10Cの搬送速度に応じた速度とされる。
【0110】
ここで、連続シート束10Cの搬送速度は50〜120m/分であり、図8、図9に示される駆動ベルト83、プルロール85の速度は、この速度に対応する速度とされる。
【0111】
[二次原反ロールの巻きずれ防止策]
以上のような二次原反ロール100からの二次連続シートS4a,S4bの巻きだし態様をとるとともに、本発明においては、その二次連続シートS4a,S4bの巻きだし時における二次原反ロール100の巻きずれを防止すべく、二次原反ロールの回転開始時、或いは回転開始から回転速度が一定となるまでの加速段階において二次原反ロールの巻きが締まるようにする。図8、図9に示される例では、コアプラグ150の支持部152を、タイミングベルト180を介したベルト駆動装置181によりトルク制御可能に回転駆動するようにし、特に上記駆動ベルト83等によって二次連続シートS4a,S4bの巻きだしを開始する際、すなわち二次原反ロールが回転開始する際に、二次原反連続シートS4a,S4bの巻きだし開始に遅らせて前記ベルト駆動装置181によるコアプラグ150の回転を開始させることで、二次原反ロールの回転開始時に巻きが締まるようにする。また、二次原反ロール100の回転速度の加速段階においては、管軸110をトルク制御により二次原反ロール100の外周面100Aの角速度と同一かやや遅くなるようにすることで、二次次原反ロールの回転開始から回転速度が一定となるまでの加速段階において二次原反ロールの巻きが締まるようにしている。
【0112】
このように、二次原反ロールの回転開始時、或いはその回転開始から回転速度が一定となるまでの加速段階において二次原反ロールの巻きが締まるように調整することで、二次原反ロールの外周面に比して、過度に管軸が過回転することがなくなり、もって巻きずれが防止される。
【0113】
前記管軸110とコアプラグ150とは連結されていることから、このようにベルト駆動装置180を用いることで、二次原反ロールの外周面と管軸との回転に差を設けることが可能となる。
【0114】
なお、上記例ではベルト駆動装置を例としたがコアプラグの回転を制御するものであれば、ベルト駆動によるものに限定はされない。
【0115】
他方、二次原反ロールの回転開始時、或いは回転開始から回転速度が一定となるまでの加速段階において二次原反ロールの巻きが締まるようにするには、上記駆動ベルト装置を用いたものとするほか、管軸110の回転を制動することとしてもいよい。例えば、図10に示されるように、コアプラグ150の支持部152等に対して摺接可能に設置したブレーキシュー95B,95Bを有するブレーキシステム95を設け、前記ブレーキシュー95B,95Bの支持部152等に対する摺接具合を調整するようにすればよい。より具体的には、駆動ベルト83等による前記二次連続シートS4a,S4bの巻きだしに伴う二次原反ロール100の回転開始時にブレーキシュー95B,95Bを支持部152等に摺接させて管軸110の回転を抑制し、二次原反連続シートS4a,S4bの巻きだし開始に遅らせて前記ベルト駆動装置181によるコアプラグ150の回転を開始させる。
【0116】
また、二次原反ロールの回転加速時に、前記ブレーキシュー95B,95Bの支持部152等に対する摺接具合を調整し、ブレーキシュー95B,95Bを支持部152等に摺接させて管軸110の回転を調整し、管軸110の角速度を二次原反ロール100の外周面100Aの角速度と同一かやや遅くなるようにする。
【0117】
なお、ブレーキシステム95の具体例については、図示例のものに限らず、例えば、コアプラグ150の半径方向に突出するブレーキディスクとブレーキシューを内在したブレーキキャリバーとを具備する既知のディスクブレーキシステムを採用することもできる。
【0118】
他方、二次原反ロールが回転開始する際に、二次原反連続シートS4a,S4bの巻きだし開始に遅らせてコアプラグ150の回転を開始させるには、上記方法のほか、管軸110或いはコアプラグ150の質量を既存のものより増加させる、或いは錘を取付ける等して質量負荷をかけ、凹溝81のコアプラグ150の支持部152との摩擦を増加させるようにすることもできる。さらに、上記質量増加等によって、管軸110の慣性モーメントを、二次原反ロール100の外周面に比して高めることでも達成できる。
【0119】
ここで、本発明においては、より好ましくは、一次的な操業停止のために二次原反ロールの回転を停止させた後、再度巻きだしの際に過度に巻きがしまることがないようにするため、或いは、二次原反ロールの巻きだし開始から巻きだし終了まで安定した巻きの締まり具合をもって操業するために、前記二次原反ロールの回転の減速開始時、或いは減速開始から回転停止するまで、さらに回転停止時に、上記方法によって巻きが締まった二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにしてもよい。
【0120】
前記二次原反ロールの回転の減速開始時に巻きが戻るようにするには、図8、図9に示すベルト駆動装置を用いるのならば二次原反ロール100の減速開始時、すなわち駆動ベルト83等の減速開始時に、やや先んじてトルク制御によりコアプラグ150を減速開始させればよい。また、減速開始から回転停止するまでに巻きの締まりを戻るようにするには、二次原反ロールの減速時にその角速度より管軸の角速度を遅くなるようにベルト駆動装置のトルクを制御すればよい。
【0121】
また、前記二次原反ロールの回転停止時に巻きの締まりが戻るようにするには、二次連続シートの巻きだし停止時に、管軸の回転の停止を遅らせて停止させるようにベルト駆動装置を停止させるようにすればよい。
【0122】
他方、図10に示されるように、コアプラグ150の支持部152等に対して摺接可能に設置したブレーキシュー95B,95Bを有するブレーキシステム95を設け、前記ブレーキシュー95B,95Bの支持部152等に対する摺接具合を調整するようにするならば、二次原反ロールの回転開始時、回転加速時、さらに等速回転時よりも、二次原反ロール100の減速開始時、減速時、さらに回転停止時に、ブレーキシュー95B,95Bの摺接具合を低下させる或いは摺接させないようにして、管軸110の慣性をもって巻きの締まりが戻るようにすることができる。
【0123】
ここで、上記ベルト駆動装置180の駆動、上記ブレーキシステム95におけるブレーキシュー95B,95Bの支持部152等への摺接は、前記駆動ベルト83の駆動やプルロール85の駆動と連動させるのがよく、その調整も自動調整とするのがよい。これらは、各装置、コアプラグの回転速度、周速度、角速度等を検知して、この検知信号に基づいて各装置を連動させるシステムを構築すればよい。図8、図9においては、検知信号、調整信号をそれぞれ符号D1,D2で示し、これらの信号を受けて計算、制御などする演算・制御装置を符号200で示している。なお、演算・制御装置200は、既知の汎用コンピューター、専用コンピューターを用いた、サーボシステム、制御システムにより達成することができる。本発明では、そのプログラムやシステムまでは限定されない。なお、二次原反ロール100と管軸110(支持部152)との角速度の差をどの程度まで許容するかは適宜の設計事項である。
【0124】
[マルチスタンド式インターフォルダにおける折り畳み工程]
次に、二次原反ロール100から巻き出された二次連続シートS4a,S4bの折り畳みについて説明する。二次原反ロール100から巻き出された二つのティシュペーパー幅の二次連続シートS4a,S4bは折畳み機構部70に供給され折り畳まれる。折り畳み機構部での折り畳みは、特に図3〜図16から理解される。折畳み機構部70には、折り板72が一対2つ具備されており各折り板72,72に対して二次連続シートS4a,S4bがガイドローラ74、ガイド丸棒部材75を介して送られる。各折り板72,72の下方には、それよりもライン上流側の折畳み機構部70で折り畳みながら積み重ねられた連続ティシュペーパー束10Cが位置しており、この連続ティシュペーパー束10Cに当該折畳み機構部70で折り畳まれた薬液塗布二次連続シートS4a,S4bが関連づけられて積み重ねられる。そしてこれらの連続ティシュペーパー束10Cはコンベアによって順次下流へと送られるように構成されている。すなわち、上流に位置する折畳み機構部70から下流に位置する折畳み機構部70へと行くにしたがって連続ティシュペーパー束10Cの積層数が多くなっていく。なお、この種の折り板72,72…を用いた折畳み機構部70は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。
【0125】
さらに、折畳み機構部70での折畳みについて詳述すると、折畳み機構部70に供給された各二次連続シートS4a,S4bを、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する二次連続シートS4a,S4bの側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。このとき、折畳み機構部70においては、各折り板72,72に対して、二次連続シートS4a,S4bが案内され、この際、二次連続シートS4a、S4bは、ガイド丸棒部材75,75によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0126】
折り板72,72に案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の二次連続シートS4aとし、上側に重なっている二次連続シートを第2の二次連続シートS4bとすると、これら二次連続シートは、第1の二次連続シートS4aの第2の二次連続シートS4bと重なっていない側端部e1が、折り板72の側板72eによって、第2の二次連続シートS4bの上側に折り返されるとともに、第2の二次連続シートS4bの第1の二次連続シートS4aと重なっていない側端部e2が、折り板72のスリット72sから折板下に引き込まれるようにして下側に折り返される。
【0127】
この際、上流の折り板において折り畳みながら積み重ねられた二次連続シートS4aの側端部e3(e1)が、折り板のスリットから第2の二次連続シートの折り返し部分間に案内される。
【0128】
このようにして、各二次連続シートは、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する二次連続シートの側端部相互が掛け合わされる。
【0129】
以上のように各折り板機構部70,70…によって折畳み重ねられて形成された薬液含有の連続ティシュペーパー束10Cは、図3に示すように、最下流の折り板機構部70の後段のカッター部160において流れ方向に所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束10とされる。ここで、カッター部160における処理速度は50〜120m/分であり、本発明においては係るカッターの処理速度によって原反ロール支持部71にセットされた二次原反ロール100からの二次連続シートS4a,S4bの繰り出し速度が定まる。そして、この速度は、上述の抄紙設備X1、プライマシンX2と比較すると遅い。そして、遅くても十分に高い生産性を発揮する。
【0130】
この理由は、マルチスタンド式インターフォルダX3では、通常折畳み機構部が80〜120機と多数あり、ここで使用される二次原反ロールの幅の総和は、抄紙設備X1やプライマシンX2で抄紙・加工される二次原反ロールの10〜30倍程度となるからである。すなわち、マルチスタンド式インターフォルダX3は、処理速度が遅くとも、二次原反ロールの消費速度は早いことによる。
【0131】
[ティシュペーパー束の収納箱への収納]
次いで、マルチスタンド式インターフォルダX3で形成されたティシュペーパー束10の収納箱2への収納例について特に図17を参照しながら説明する。なお、ティシューぺーパー束10の収納箱への収納方法は、この例に限定されず既知の方法を採用することができる。
【0132】
上記裁断工程によって裁断されて形成されたティシュペーパー束10は、マルチスタンド式インターフォルダX3の後段に連続する収納設備において収納箱2に収納される。
【0133】
具体的には、上述の上面、底面及びこれらを連接する側面と、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有する収納箱を、底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uが開いた状態、すなわち端面が開口された状態に半完成の状態に組立てるとともに、その開口部に対面するようにマルチスタンド式インターフォルダX3から送られてくるティシュペーパー束10の裁断面を付き合わせる。
【0134】
そして付き合わせたならば、ティシュペーパー束10をプッシュロッド等によって収納箱内へ押し込む。ティシュペーパー束10が収納箱内に押し込まれたら、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着する。
【0135】
この接着によって本発明のティシュペーパー製品の製造は完了する。
【0136】
なお、マルチスタンド式インターフォルダX3では、連続ティシュペーパー束10Cは、流れ方向が縦方向(MD方向)、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、連続ティシュペーパー束10Cを所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束10を構成するティシュペーパーの紙の方向は、図示例とおり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向に沿って縦方向(MD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となる。
【0137】
したがって、上述のように収納箱に収納された本発明によって製造されるティシュペーパー製品は、ティシュペーパーを収納箱から引き出す際には、その引き出し方向がティシュペーパーの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【符号の説明】
【0138】
X1…抄紙設備、JR…一次原反ロール(ジャンボロール)、W…湿紙、S1…乾燥原紙(一次連続シート)、31…ヘッドボックス、32…ワイヤーパート、32w…ワイヤ、333…プレスパート、33F…フェルト、34,35…脱水ロール、36…ヤンキードライヤー、36C…ヤンキードライヤーフード、37…ドクターブレード、38…巻き取り手段、39…ワインディングドラム、X2…プライマシン、S11 ,S12…一次連続シート、S3…積層連続シート、51…重ね合わせ部、53…薬液塗布手段、54…コンタクトエンボス手段、55…スリット手段、 56…巻き取り手段、100…二次原反ロール、100A…外周面、101…二次原反ロールの端面、110…管軸、110D…ダミー管軸、110E…管軸の端、150…コアプラグ、150F…フランジ、151…連結部、152…支持部、153…シャフト部材、153N…ネジ部、154…貫通孔、155…ナット部材、X3…マルチスタンド式インターフォルダ、S4a,S4b…二次連続シート、70…折り畳み機構部、71…原反ロール支持部、72…折り板、73,74…ガイドローラ、75…ガイド丸棒部材、10C…連続ティシュペーパー束、80…支持台、81…凹溝、83…駆動ベルト、85…プルロール、85A,85B…ニップロール、95…ブレーキシステム、95B…ブレーキキシュー、180…タイミングベルト、181…ベルト駆動装置、181S…サーボモータ、200…演算・制御装置、D1〜D2…演算信号、調整信号。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
二次原反ロールの停止状態からの回転開始時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その回転開始を遅らせることにより、二次原反ロールの回転開始時に二次原反ロールの巻きが締まるようする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項2】
管軸の回転を制動することで、管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その回転開始を遅らせる請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項3】
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
二次原反ロールの停止状態からの回転開始後、一定速度となるまでの加速段階時に、前記管軸の角速度を、二次原反ロールの外周面の角速度に比して、遅くすることにより、二次原反ロールの回転速度の加速段階で二次原反ロールの巻きが締まるようする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項4】
管軸の回転を制動することで、前記管軸の角速度を、二次原反ロールの外周面の角速度に比して、遅くする請求項3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項5】
二次原反ロールの一定速度からの減速開始時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その減速開始を遅らせることにより、前記二次原反ロールの減速開始時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項1又は3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項6】
二次原反ロールの外周面と管軸とで、慣性に差を設けることで、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その減速開始を遅らせる請求項5記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項7】
管軸に質量負荷をかけることで、慣性に差を設ける請求項6記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項8】
二次原反ロールの回転の停止時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その停止を遅らせることにより、前記二次原反ロールの停止時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項1又は3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項9】
二次原反ロールの回転の減速時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その角速度を早くすることで、前記二次原反ロールの減速時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項8記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項1】
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
二次原反ロールの停止状態からの回転開始時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その回転開始を遅らせることにより、二次原反ロールの回転開始時に二次原反ロールの巻きが締まるようする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項2】
管軸の回転を制動することで、管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その回転開始を遅らせる請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項3】
薬液が塗布された二次連続シートが管軸に巻かれてなる二次原反ロールを回転させ、その回転にともなって二次原反ロールから二次連続シートを巻き出して、マルチスタンド式インターフォルダの折り畳み機構部に供給する工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
二次原反ロールの停止状態からの回転開始後、一定速度となるまでの加速段階時に、前記管軸の角速度を、二次原反ロールの外周面の角速度に比して、遅くすることにより、二次原反ロールの回転速度の加速段階で二次原反ロールの巻きが締まるようする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項4】
管軸の回転を制動することで、前記管軸の角速度を、二次原反ロールの外周面の角速度に比して、遅くする請求項3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項5】
二次原反ロールの一定速度からの減速開始時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その減速開始を遅らせることにより、前記二次原反ロールの減速開始時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項1又は3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項6】
二次原反ロールの外周面と管軸とで、慣性に差を設けることで、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その減速開始を遅らせる請求項5記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項7】
管軸に質量負荷をかけることで、慣性に差を設ける請求項6記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項8】
二次原反ロールの回転の停止時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その停止を遅らせることにより、前記二次原反ロールの停止時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項1又は3記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項9】
二次原反ロールの回転の減速時に、前記管軸を、二次原反ロールの外周面よりも、その角速度を早くすることで、前記二次原反ロールの減速時に、二次原反ロールの巻きの締まりが戻るようにする、請求項8記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−116614(P2012−116614A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267737(P2010−267737)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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