説明

テレビジョンカメラ

【課題】 テレビジョンカメラにおいて、電子ズーム機能と蓄積方式感度増加機能を併用する場合に、フィールド毎に電子ズーム倍率を変化させることが可能で、ホワイトバランス調整の自動追従やレンズの自動絞り制御などの映像信号処理速度がより早くなり、蓄積方式感度増加時の間欠フィールド補間用フィールドメモリの容量をより小さくする。
【解決手段】 撮像素子からの映像信号を蓄積する、前記蓄積方式感度増加のためのフィールド補間用のフィールドメモリと、撮像素子からの映像信号とフィールドメモリに蓄積された映像信号とを入力しいずれか一方を選択出力するセレクタと、前記セレクタからの映像信号を信号処理する、前記電子ズームのための水平走査ライン補間用の映像信号処理手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撮像された映像信号を補間処理することで拡大された映像を表示するための映像信号を生成する電子ズーム処理を行うと共に、CCD撮像素子において光電変換された電荷を長時間連続蓄積することで感度増加を実現する蓄積方式感度増加処理を行うようにしたテレビジョンカメラの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のテレビジョンカメラにおいて電子ズーム処理を行う場合、CCD撮像素子からの映像信号出力時に、電子ズーム拡大範囲外のところで蓄積された水平走査ライン映像信号を出力しないで、その拡大範囲内のところで蓄積された水平走査ライン映像信号を出力する。ここで、出力対象の水平走査ライン映像信号は、電子ズーム拡大率に応じた出力間隔でもって、例えば、その拡大率が2倍であれば1水平ライン期間おきに蓄積電荷に応じた信号レベルを有する映像信号が出力されるように制御する。そうすることで、フィールド期間毎のCCD撮像素子から蓄積電荷に基づく撮像映像信号の出力ライン数を減らし、水平走査ライン期間毎に撮像による蓄積電荷に基づく映像信号(撮像映像信号)の間に黒レベル信号のみの映像信号(黒レベル映像信号)を挿入するようにして、CCD撮像素子から出力された映像信号を基に補間処理を行ってフィールド画像を生成することで、電子ズーム拡大機能を実現する。
【0003】また、蓄積方式感度増加機能を実現する場合、CCD撮像素子の露光時間をより長時間、例えば、複数フィールド期間になるように制御し、その露光時間にCCD撮像素子で光電変換されて得られた電荷が蓄積され、その露光時間に応じた複数フィールド期間に一度の割合でもって間欠的に、上記蓄積電荷に関わる1フィールド画像分の映像信号がCCD撮像素子から出力されるようにする。さらに、その出力されたフィールド映像信号が、上記複数フィールド期間に応じた各フィールド期間毎に、テレビジョンカメラから繰り返し出力されるようにするための間欠フィールド補間用フィールドメモリを配置して、蓄積方式感度増加機能を実現する。
【0004】ここで、電子ズーム機能と蓄積方式感度増加機能とを両方有する従来のテレビジョンカメラにおいて、その回路の構成としては、例えば、CCD撮像素子で撮像された映像信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換器を有し、その変換されたディジタル映像信号にホワイト・バランス調整やガンマ補正等のディジタル映像信号処理を施すためのディジタル映像信号処理器を有し、そのディジタル映像信号処理器の後段に電子ズーム信号補間処理器を有し、さらに、その電子ズーム信号補間処理器の後段に蓄積方式感度増加時の間欠フィールド補間用フィールドメモリを配置するとする構成のものがあった。
【0005】このように従来のテレビジョンカメラにおいて、蓄積方式感度増加時の間欠フィールド補間用フィールドメモリを電子ズーム信号補間処理器の後段に配置することで、電子ズーム機能とCCD露光時間を制御した蓄積方式感度増加機能とを同時に動作させる場合、電子ズーム信号補間処理器と蓄積方式感度増加用間欠フィールド補間用フィールドメモリの両方共、互いの動作に影響し合わないで独立に制御することが可能で、それらの制御の方法が簡便であった。
【0006】しかしながら、蓄積方式感度増加のための間欠フィールド補間用フィールドメモリを電子ズーム信号補間処理器の後段に配置することでは、電子ズーム処理と同時に蓄積方式感度増加処理させる場合、電子ズーム信号補間処理が施された後の映像信号が蓄積方式感度増加時の間欠フィールド補間用フィールドメモリに複数フィールド期間記録されるため、その記録期間には、ある一つの電子ズーム倍率でもって電子ズーム処理された映像信号が記録される。そのため、上記蓄積期間に応じた期間には、その期間内の各フィールド期間毎の電子ズーム倍率を変化させることができず、その期間内の全てのフィールド期間の映像信号に施される電子ズーム倍率が同じになってしまい、各フィールド期間毎に電子ズーム倍率を異ならせるようには、倍率変化速度を早くすることができない。
【0007】また、蓄積方式感度増加時に用いる、間欠フィールド補間用フィールドメモリをディジタル映像信号処理器(DSP)の後段に配置することから、CCD蓄積時間が長時間に、例えば、複数フィールド期間の場合は、DSPへ入力される映像信号がそのCCD蓄積時間中に、1フィールド画像分に相当する同一の映像信号が繰り返し入力される。そのため、複数フィールド映像信号間の信号レベル等の違いを比較することにより、補正量あるいは調整量をフィードバック制御するホワイトバランス調整動作や、レンズの自動絞り制御などの映像信号処理が動作する場合に、一つの蓄積期間内に同一の映像信号のみが出力されることでは、その蓄積期間に上述の映像信号処理のための制御量が変化しないことになる。従って、各フィールド期間毎に映像信号レベルが変化するような場合に較べ、より多くのフィールド期間にわたって上述のフィードバック制御が行われることになる。そのため、それらフィードバック制御によるホワイトバランス調整動作や、レンズの自動絞り制御などの映像信号処理の速度がより遅くなる。
【0008】さらに、蓄積方式感度増加時の映像信号は、DSPでディジタル映像信号処理が施された後、蓄積方式感度増加のための間欠フィールド補間用フィールドメモリに記録されるが、このとき、DSPで映像信号処理が施された映像信号は、さらに輝度信号と色信号とに分離されている。そのため、その分離がなされた後では、その映像信号処理が施されて分離される前と較べてディジタル映像信号の情報量が増えたものとなる。その結果、分離後の映像信号を蓄積するとした蓄積方式感度増加のための間欠フィールド補間用フィールドメモリは、分離前の映像信号を蓄積するとしたものよりも容量の大きいメモリが必要となり、より高コストとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来のテレビジョンカメラにおいて電子ズーム機能と蓄積方式感度増加機能の同時動作を実現する場合、感度増加のために用いる間欠フィールド補間用フィールドメモリを電子ズーム信号補間処理器の後段に配置する回路構成であるので、蓄積方式感度増加時はフィールド毎に電子ズーム倍率を変化させることができない。また、ホワイトバランス調整の自動追従やレンズの自動絞り制御などの映像信号処理速度が遅くなる。さらに、蓄積方式感度増加時の間欠フィールド補間用フィールドメモリとして、より容量の大きいメモリが必要となり高コストになるなどの欠点がある。
【0010】本発明の目的は、電子ズーム信号補間処理方式による電子ズーム機能と蓄積方式感度増加機能を併用した場合に、フィールド毎に電子ズーム倍率を変化させることが可能で、ホワイトバランス調整の自動追従やレンズの自動絞り制御などの映像信号処理速度がより早くなり、さらに、蓄積方式感度増加時の間欠フィールド補間用フィールドメモリとしては、輝度信号と色信号とに分離される前のより少ないデータ量の映像信号に応じた、より容量の小さいメモリを用いることで低コスト化したテレビジョンカメラを実現することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解決するために、電子ズームと蓄積方式感度増加とを行うテレビジョンカメラにおいて、撮像素子からの映像信号を蓄積する、前記蓄積方式感度増加のためのフィールド補間用のフィールドメモリと、前記撮像素子からの映像信号と前記フィールドメモリに蓄積された映像信号とを入力し、入力された映像信号のうちいずれか一方を選択出力するセレクタと、前記セレクタからの映像信号を信号処理する、前記電子ズームのための水平走査ライン補間用の映像信号処理手段とを有するものである。
【0012】また、本発明は、前記フィールドメモリに記憶された映像信号の読み出し開始アドレスを前記電子ズームのズーム倍率に応じたアドレスとするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明によるテレビジョンカメラの実施例を、図1〜図4を使用して説明する。図1は、本発明によるテレビジョンカメラのブロック構成の一例を示した図で、本発明の主要部の説明に必要な構成を主に記載している。
【0014】図1において、1は入射光を電荷に光電変換し、その電荷を蓄積し、蓄積された電荷に応じた撮像映像信号を出力するCCD撮像素子(CCD)、2はCCD1から出力された映像信号をサンプルホールドし、さらに所要レベルまで増幅して出力するサンプルホールドおよび自動利得制御回路(CDS&AGC回路)、3はCDS&AGC回路2からのアナログ映像信号をディジタル映像信号に変換するA/D変換器、4はA/D変換器3で変換されたディジタル映像信号を入力し1フィールド画像分の映像信号を記録するようにしたフィールドメモリ、5はA/D変換器3からの映像信号とフィールドメモリ4からの映像信号とをそれぞれ入力し、入力された2信号の内のいずれか一方を選択して出力するセレクタ、6はセレクタ5から出力された映像信号にホワイトバランス調整やガンマ補正などのディジタル映像処理を施すためのディジタル映像信号処理器(DSP)、7はCCD駆動のために必要な駆動信号を出力するCCD駆動信号発生器、8はDSP6からの映像信号をディジタル信号処理によって画像が拡大されるように補間処理するための電子ズーム信号補間処理器、9は、DSP6、フィールドメモリ4、および電子ズーム信号補間処理器8などを制御するためのマイクロコンピュータ(CPU)、10はディジタル映像信号をアナログ映像信号に変換するD/A変換器、11はアナログ映像信号をモニタ(図示せず)で画像表示可能な映像信号となるように変調するための変調器(エンコーダ)である。
【0015】以下、図1に示すテレビジョンカメラの各部の動作を説明する。この図において、CCD1に入射された入射光が光電変換されることで得られたCCD出力映像信号aは、CDS&AGC回路2へ出力される。このCCD1は、CCD駆動信号発生器7から出力されるCCD駆動信号lによって駆動される。
【0016】CCD駆動信号発生器7は、電子ズーム信号補間処理器8から出力されるCCD垂直転送制御信号j、すなわち、電子ズーム機能動作における電子ズーム倍率に応じた垂直転送制御を行うための制御信号を入力する。そして、入力されたCCD垂直転送制御信号jに応じて、CCD1の垂直転送動作時の水平ライン転送をについて所定のライン毎に転送動作させるか、あるいは転送動作を停止させるかを制御するためのCCD駆動信号lを生成してCCD1へ出力する。
【0017】この結果、電子ズーム動作時には、CCD垂直転送制御信号jのタイミングに同期して、拡大対象範囲内の蓄積電荷に応じた信号レベル(撮像信号レベル)を保持した撮像映像信号が水平ライン期間毎に順次選択され出力される場合と、上述の停止動作により撮像信号レベルでは出力されずに黒レベルのみの黒レベル映像信号が水平ライン期間に出力される場合とが、上述の電子ズーム倍率に応じた所定の順列でもって織り交ぜられた信号、例えば、電子ズーム倍率が2倍の場合であれば撮像信号レベルの水平ライン期間の映像信号と黒レベル信号の水平ライン期間の映像信号が交互となるような順列でもって生成された信号が、CCD出力映像信号aとしてCCD1から出力される。このとき、撮像された映像の拡大対象とされた範囲に応じて、その拡大対象範囲以外の水平ライン期間に関わる映像信号は出力されない。
【0018】以上のようにして、CCD1で撮像されたフレーム画像を構成する複数水平ライン期間映像信号の内、所定の水平ライン期間の映像信号が選択出力されることで、電子ズーム動作に適したCCD出力映像信号を得る。
【0019】一方、蓄積方式感度増加時には、CPU9から出力されるCCD1の蓄積時間を制御するための蓄積時間制御信号pがCCD駆動信号発生器7に入力されることで、フィールド期間毎にCCD1の垂直転送が動作されるか、あるいは停止されるかを制御するようにしたCCD駆動信号lがCCD駆動信号発生器7から出力されCCD1へ入力される。CCD1からは、そのCCD駆動信号lにより蓄積時間制御信号pのタイミングに同期しフィールド画像の出力される期間毎に、撮像された映像信号が出力されるフィールド期間、あるいは、撮像された映像信号が出力されない(黒レベル信号のみ出力される)フィールド期間のいずれかとなるように選択され、その選択に応じたCCD出力映像信号aが出力される。このとき、撮像された映像信号が出力されるフィールド期間の映像信号レベルは、蓄積時間に応じて電荷の蓄積量が増加された結果得られた信号レベルとなる。
【0020】CCD1から出力されたCCD出力映像信号aは、CDS&AGC回路2へ入力され、そこでサンプルホールドされ、さらに所要レベルまで増幅されてアナログ映像信号bとなり、A/D変換器3へ出力される。
【0021】A/D変換器3ではアナログ映像信号bが入力され、その入力された映像信号が輝度信号/色信号分離前の状態においてディジタル映像信号cに変換されて、そのディジタル映像信号cがフィールドメモリ4およびセレクタ5へそれぞれ出力される。
【0022】フィールドメモリ4は、入力されたディジタル映像信号cを1フィールド期間分記録する。このとき、1フィールド画像分の映像信号が、その入力されたタイミングから複数フィールド期間、すなわち、蓄積時間に相当する期間にわたって記録される。そして、その記録された内容が、上述の蓄積時間に相当する期間の各フィールド期間毎に繰り返し出力され、その出力されたディジタル映像信号dはセレクタ5へ入力される。
【0023】このフィールドメモリ4では、蓄積方式感度増加時に、蓄積時間制御信号pによりCCD出力映像信号aのうちCCD1で撮像された映像の信号レベルが選択され記録される。すなわち、感度増幅された映像信号のみが記録されて、黒レベル信号にされた映像信号は記録されない。フィールドメモリ4において記録された1フィールド期間分の映像信号は、所定の期間繰り返してフィールドメモリ4から出力されるため、CCD出力映像信号aの黒レベル信号にされたフィールド期間の映像信号に対応するフィールド期間(間欠フィールド期間)に、フィールドメモリ4に記録されている撮像映像信号が繰り返し出力されることで補間がなされる。
【0024】また、このフィールドメモリ4で、CCD1の蓄積方式感度増加のための動作制御と電子ズーム機能動作時の垂直拡大のための動作制御とが同時に行われるとした場合、電子ズーム信号補間処理器8から出力される制御信号、すなわち、電子ズーム倍率に応じてCCD1における水平ライン転送するしないを制御するCCD垂直転送制御信号jに応じて、輝度信号/色信号分離前のディジタル映像信号cを書き込みむかまたは書き込み停止するかの制御と、ディジタル映像信号dを読み出するかまたは読み出し停止するかの制御とが行われる。そうすることで、上述したCCD出力映像信号aの出力映像信号における出力順序パターン、すなわち、A/D変換器3からセレクタ5へ出力されるパターンと同じパターンでもって、フィールドメモリ4に記録された輝度信号/色信号分離前ディジタル映像信号を出力させることが可能になる。
【0025】更に、このフィールドメモリ4で、上述と同様にCCD1の蓄積方式感度増加のための動作制御と電子ズーム機能動作時の垂直拡大のための動作制御とが同時に行われるとした場合、フィールドメモリ4内に記録されたデータのうち所望の部分のデータをマイクロコンピュータ9の制御により任意に読み出し可能とする、フィールドメモリ読み出し開始アドレス信号kがマイクロコンピュータ9からフィールドメモリ4へ各フィールド毎に出力される。その結果、蓄積方式感度増加時の間欠フィールド補間のために、同一の記録映像信号が繰り返し出力される期間であっても、フィールドメモリ読み出し開始アドレス信号kによって各フィールド毎に任意の位置を基準にして電子ズーム倍率を可変するようにフィールドメモリ4から映像信号を出力させることができる。
【0026】セレクタ5は、A/D変換器3からの輝度信号/色信号分離前のディジタル映像信号cとフィールドメモリ4からの輝度信号/色信号分離前のディジタル映像信号dのうちいずれか一方を選択し、選択された方の信号を輝度信号/色信号分離前のディジタル映像信号eとして出力する。なお、蓄積方式感度増加時にはフィールドメモリ4からのディジタル映像信号dが選択され出力される。
【0027】ディジタル信号処理器(DSP)6は、輝度信号/色信号分離前のディジタル映像信号eを入力し、その入力された信号から輝度信号と色信号とをそれぞれ分離する。さらに、輪郭補正、ホワイトバランス、ガンマ補正等の映像信号処理を施す。そうして得られた、輝度信号/色信号分離後でズーム補間処理前のディジタル映像信号fを電子ズーム信号補間処理器8へ出力する。電子ズーム信号補間処理器8ではディジタル映像信号fを基に、電子ズーム信号補間処理に関わる映像信号処理を行って、輝度信号/色信号分離後でズーム補間処理後のディジタル映像信号gを生成する。生成されたディジタル映像信号gは、電子ズーム信号補間処理器8からDSP6へ入力される。DSP6は、入力されたディジタル映像信号gを、輝度信号(Y)、色差信号(R−Y/B−Y)及び色信号(C)に変換して、映像信号処理後のディジタル映像信号mを生成して、D/A変換器10へ出力する。
【0028】上述の電子ズーム信号補間処理器8は、入力された輝度信号/色信号分離後でズーム補間処理前のディジタル映像信号fの、垂直拡大時の垂直補間、および水平拡大時の水平補間を行うことで電子ズーム信号補間処理を行う。そして、その補間処理により輝度信号/色信号分離後でズーム補間処理後のディジタル映像信号gを生成し、DSP6へ出力する。なお、電子ズーム信号補間処理器8は、マイクロコンピュータ9から出力される電子ズーム倍率制御信号iに基づく倍率に応じた電子ズーム補間処理を行う。
【0029】マイクロコンピュータ9は、種々の映像信号処理をそれぞれ制御するためのディジタル映像信号処理制御信号h、電子ズーム倍率制御信号i、CCD垂直転送制御信号j、フィールドメモリ読み出し開始アドレス信号k、蓄積時間制御信号p等を出力し、本発明の実施例に関わるテレビジョンカメラ全体の制御を行う。
【0030】D/A変換器10は、DSP6から入力された映像信号処理後のディジタル映像信号mをアナログ映像信号に変換し、変換されたアナログ映像信号nを変調器11へ出力する。
【0031】変調器11は、入力されたアナログ映像信号nをモニタ出力できる映像信号形態に変調し、その変調されたアナログ映像信号oを映像信号出力端子12から後段(図示せず)へ出力するようにする。
【0032】図2は、図1のテレビジョンカメラにおける蓄積方式感度増加動作時の電子ズーム信号補間処理動作を説明するための図であり、例として電子ズーム倍率2倍時の動作を説明する。以下、この図を用いて本発明の実施例の動作を説明する。
【0033】蓄積方式感度増加動作時にCCD1の受光面に結像された入射光像をもとに電子ズーム処理により2倍に拡大される場合、電子ズーム拡大範囲内の水平ライン期間の映像信号を出力するための期間であって、図2の例では第4水平走査ライン期間から第9水平走査ライン期間までの映像信号を出力するための期間に、1水平走査ライン期間毎にハイレベル、ロウレベルを繰り返すCCD垂直転送制御信号jが出力される。
【0034】CCD垂直転送制御信号jを入力するCCD駆動信号発生器7は、この制御信号jがハイレベル時にCCD1の水平ライン転送を停止させ、かつ、制御信号jがロウレベル時にCCD1の水平ライン転送を行わせるようにCCD1を制御するためのCCD駆動信号lをCCD1へ出力する。その結果、電子ズーム倍率2倍時には、CCD1から1水平ライン期間おきに撮像信号レベルを有するように垂直拡大されたCCD出力映像信号aが出力される。
【0035】この垂直拡大されたCCD出力映像信号aは、撮像映像信号レベルを有する水平ライン期間の映像信号を、CCD垂直転送制御信号jのタイミングに応じてフィールドメモリ4に書き込む。そのため、フィールドメモリ4では、CCD垂直転送制御信号jがロウレベル時に撮像映像信号レベルを有する水平ライン期間の映像信号が書き込まれ、ハイレベル時には黒レベル信号の水平ライン期間の映像信号が書き込み停止される。
【0036】このようにして、フィールドメモリ4にCCD垂直転送制御信号jのタイミングに応じて書き込まれた1フィールド画像分の輝度信号/色信号分離前のディジタル映像信号dは、書き込み時と同じタイミングのCCD垂直転送制御信号jを用いてフィールドメモリ4から読み出される。そうすることで、上述の垂直拡大されたCCD出力映像信号aと同様な信号として出力される。すなわち、このフィールドメモリ4から、CCD垂直転送制御信号jがロウレベル時に撮像映像信号レベルを有する水平ライン期間の映像信号が読み出されて後段に出力され、ハイレベル時には読み出し停止されることで黒レベルの信号が後段に出力される。
【0037】なお、上述の例では電子ズーム処理により2倍に拡大されるようにするとしたので、1水平走査ライン期間毎にハイレベル、ロウレベルを繰り返すCCD垂直転送制御信号jが出力されるが、別の倍率の場合、例えば電子ズーム処理により1.5倍に拡大される場合であれば、上述の期間には3水平走査ライン期間当たりロウレベルの期間が2かつハイレベルの期間が1となる割合でCCD垂直転送制御信号jが出力される。
【0038】以上のようにしてフィールドメモリ4から出力されたディジタル映像信号dは、セレクタ5およびDSP6を介して電子ズーム信号補間処理器8に入力され、そこでCCD垂直転送信号jのタイミングに応じた電子ズーム補間処理が施される。その補間処理としては、例えば、水平ライン期間ごとに黒レベルの映像信号の代わりに、その近傍の撮像映像信号から補間演算によって得られた信号レベルを有する映像信号でもって置き換えて、電子ズーム信号補間処理器8から出力されるようにする。
【0039】なお、上述の説明では、フィールドメモリ4には、撮像信号レベルの映像信号しか記録しないとしたが、撮像信号レベルの映像信号と共に黒レベルの映像信号も書き込むように構成しても、本発明の一実施例をなすものであることは言うまでもない。
【0040】図3は、本発明による蓄積方式感度増加時の電子ズーム信号補間処理動作の一例を説明するための図であり、例として蓄積時間が4フィールドで、蓄積期間毎にズーム倍率を変化させ、フィールドメモリ読み出し開始アドレスを固定とした場合の動作を説明するものである。
【0041】この図において、蓄積時間が4フィールド期間連続して蓄積された場合にCCD1から出力される映像信号は、4フィールド期間毎に1フィールド画像分の映像信号が、例えば、1フィールド期間の間だけ出力される。そのため、4フィールド期間の残りの3フィールド期間には映像信号が出力されないで間欠したCCD出力映像信号aが出力される。なお、図3においてCCD出力映像信号aは、テレビジョンカメラが光学的に撮像倍率を変化させることなく画枠の中心に静止された円形の被写体を撮像し続けたときの出力映像信号aに対応して映像表示された様子が代わりに示されており、出力映像信号aに撮像映像信号が存するフィールド期間にはその映像を表示したときの様子が、また、黒レベル映像信号のフィールド期間にはその黒レベルの映像を表示したときの様子が代わりに示されている。
【0042】ここで、マイクロコンピュータ9からは、電子ズーム信号補間処理器8に対し電子ズーム倍率を制御するための電子ズーム倍率制御信号iが出力される。電子ズーム信号補間処理器7からは、入力された電子ズーム倍率制御信号iに応じたCCD垂直転送制御信号jが出力されフィールドメモリ4とCCD駆動信号発生器7とに入力される。また、マイクロコンピュータ9からは、CCD駆動信号発生器7に対し蓄積期間を制御するための蓄積時間制御信号pが出力される。さらにマイクロコンピュータ9からは、フィールドメモリ4に対しフィールドメモリ4の読み出し開始アドレスを制御するためのフィールドメモリ読み出し開始アドレス信号kが出力される。
【0043】CCD駆動信号発生器7は、入力されたCCD垂直転送制御信号jおよび蓄積時間制御信号pに応じたCCD駆動信号lをCCD1へ出力する。CCD1からは、そのCCD駆動信号lに応じて撮像信号レベルの水平ライン期間の映像信号と黒レベルの水平ライン期間の映像信号とが所定の組み合わせで組み合わされた1フィールド期間の映像信号を、4フィールド期間のうち1フィールド期間に出力する。
【0044】ここで、この図の左側から最初のフィールド期間には、CCD出力映像信号aとして撮像信号レベルの映像信号であって電子ズーム倍率が1.2倍で処理される映像信号が出力されることを表すフィールド画像が示されている。次の3フィールド期間には、撮像信号レベルの映像信号が出力されないで黒レベルの映像信号が出力される様子を示しており、他の黒塗り表示されたフィールド期間についても同様である。さらに、図の左側から5番目のフィールド期間には、撮像映像信号であって電子ズーム倍率が2.0倍で処理される映像信号が出力される様子を示し、図の右側から2番目のフィールド期間には、撮像映像信号であって電子ズーム倍率が2.8倍で処理される映像信号が出力される様子を示している。
【0045】電子ズーム倍率制御信号iによっては、この例では4フィールド期間ごとに電子ズーム倍率が変化させられ、それ応じて垂直拡大されたCCD出力映像信号aがCCD1から出力される。蓄積期間制御信号pは、この例では4フィールド期間毎の1フィールド期間にハイレベルの信号となり、このハイレベルになったフィールド期間に撮像信号レベルの映像信号がCCD出力映像信号aとして出力される。フィールドメモリ読み出し開始アドレス信号kは、フィールド期間毎にフィールドメモリ4におけるどのアドレスのデータから出力開始されるかを制御する。図3の例では各フィールド期間とも00番地のデータから読み出し開始されるように制御されている。これは、各フィールドともフィールドメモリ4から出力される映像信号としては、そのメモリの最初のアドレスである00番地のデータからCCD垂直転送信号jのタイミングで読み出されることで、CCD出力映像信号aと同じ信号が出力されるようにするためである。
【0046】その結果、図3の電子ズーム処理後の映像信号について、CCD出力映像信号aと同様に映像表示された様子を代わりに示すと、図の左側の最初のフィールド期間から4番目のフィールド期間までの4フィールド期間は、電子ズーム処理で1.2倍にされたフィールド画像が得られる。次の4フィールド期間には2.0倍のフィールド画像がえられる。その次の4フィールド期間(ただし、図示してあるのは2フィールド期間のみ)には2.8倍のフィールド画像が得られる。ここで、各4フィールド期間の4つのフィールド画像の電子ズーム倍率は、それぞれ同じとなる。
【0047】図4は、本発明による蓄積方式感度増加時の電子ズーム信号補間処理動作の別の例を説明するための図であり、例として蓄積時間の長さが4フィールド期間で、フィールド期間毎にズーム倍率を変化させ、その電子ズーム倍率に応じてフィールドメモリ読み出し開始アドレスを可変する場合の動作を説明するものである。なお、この図4では、上述の図3で蓄積期間毎にズーム倍率を変化させた場合と較べて、より短いフィールド期間毎にズーム倍率を変化させた場合について説明するものである。具体的にはズーム倍率が、図の左側から最初のフィールド期間には1.2倍に制御され、次のフィールド期間には1.4倍に制御され、右側に行くに従い順次0.2倍ずつその電子ズーム倍率が大きくなるように制御されて、図の最も右端のフィールド期間においては3.0倍になるように電子ズーム制御されるものである。
【0048】この図において、蓄積時間が4フィールド期間連続して蓄積された場合にCCD1から出力される映像信号aは、図3に示したものと同様とし、ここでは詳細な説明を省略する。なお、撮像映像信号を有するフィールド期間のCCD出力映像信号aにおける電子ズーム倍率は、図3の場合と同じであり、図の左側から1番目のフィールド期間で1.2倍、同じく5番目のフィールド期間で2.0倍、図の右側から2番目のフィールド期間で2.8倍である。
【0049】この場合、図の左端のフィールド期間にCCD1から出力されてフィールドメモリ4に記録された映像信号は、最初のフィールドメモリ読み出し期間に、フィールドメモリ読み出し開始アドレス信号kにより00番地からCCD垂直転送信号jのタイミングでもって読み出し開始されて電子ズーム倍率1.2倍の電子ズーム拡大処理のための映像信号が出力される。次のフィールド期間には、フィールドメモリ読み出し開始アドレス信号kにより00番地よりも後の番地、すなわち、拡大率を1.2倍から0.2倍増しの1.4倍に拡大することに応じた開始アドレスから読み出し開始され、さらに、CCD垂直転送信号jのタイミングとは異なった、拡大率を1.2倍から0.2倍大きくすることに応じたタイミングの信号でもって出力されることで、1.4倍の電子ズーム拡大処理のための映像信号が出力される。同様に3番目のフィールド期間には拡大率を1.2倍から0.4倍増しの1.6倍に拡大することに応じた開始アドレスとタイミングでもって出力されることで1.6倍の電子ズーム拡大処理のための映像信号が出力される。さらに、4番目のフィールド期間には拡大率を1.2倍から0.6倍増しの1.8倍に拡大することに応じた開始アドレスとタイミングでもって出力されることで1.8倍の電子ズーム拡大処理のための映像信号が出力される。
【0050】次の5番目のフィールド期間には、新たにCCD1から出力されフィールドメモリ4に記憶された映像信号を、フィールドメモリ読み出し開始アドレス信号kにより00番地からCCD垂直転送信号jのタイミングでもって読み出し開始されて電子ズーム倍率2.0倍の電子ズーム拡大処理のための映像信号が出力される。以下、上述の動作と同様に各フィールド期間毎に所定の電子ズーム拡大処理のための映像信号が出力される。
【0051】その結果、図3と同様に図4の電子ズーム処理後の映像信号について、その映像信号により映像表示された様子を代わりに示すと、図の左側から順次1.2倍、1.4倍、…、3.0倍のフレーム画像が得られる。そうすることで、図3の場合と較べて隣り合ったフィールド画像間の電子ズーム倍率の差をより小さく、かつ、変化率をより一定にすることができるので、テレビジョンカメラの蓄積方式感度増加動作時でかつ電子ズーム倍率可変動作時であっても、よりなめらかに電子ズームアップまたはズームアウトする映像表示が可能な映像信号をテレビジョンカメラにおいて生成し出力することができ、より高品質な画像を撮像することが出来る。
【0052】次に、本発明の別の実施例について説明する。図5は、本発明によるテレビジョンカメラのブロック構成例を示した図である。図5において、1〜12は、上述の図1に関して説明したものと同様のものであり、説明を省略する。この図で1と異なるのは、A/D変換器3からの映像信号が、蓄積感度増加動作時にディジタル映像信号のノイズ除去を行う加算器13に入力され、その加算器13でセレクタ5からの選択出力された信号と所定の加算演算によって加算されたのち、フィールドメモリ4へ入力されることである。蓄積感度増加動作時には、フィールドメモリ4に複数フィールド期間にわたって映像信号が記憶されるため、動きの激しい映像についてはフィールド映像間の相関が低下してしまうため、非常に視認しづらい映像となっしまう。そのため、加算器13によってリカーシブル・フィルタを構成して、映像信号のノイズを低減し、映像を見やすくするものである。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電子ズーム信号補間処理方式による電子ズーム動作時に、蓄積方式感度増加機能を併用した場合において、フィールド毎に電子ズーム倍率を変化させることが可能で、ホワイトバランス調整の自動追従やレンズの自動絞り制御などの映像信号処理速度がより早くなり、さらに、蓄積方式感度増加時の間欠フィールド補間用フィールドメモリとしては、輝度信号と色信号とに分離される前のより少ないデータ量の映像信号に応じた、より容量の小さいメモリを用いることで低コスト化したテレビジョンカメラを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるテレビジョンカメラのブロック構成の一例を示した図。
【図2】図1のテレビジョンカメラにおける蓄積方式感度増加動作時の電子ズーム信号補間処理動作を説明するための図。
【図3】本発明による蓄積方式感度増加時の電子ズーム信号補間処理動作の一例を説明するための図。
【図4】本発明による蓄積方式感度増加時の電子ズーム信号補間処理動作の別の例を説明するための図。
【図5】本発明によるテレビジョンカメラのブロック構成例を示した図。
【符号の説明】
1:CCD撮像素子(CCD)、 2:サンプルホールドおよび自動利得制御回路(CDS&AGC回路)、 3:A/D変換器、 4:フィールドメモリ、5:セレクタ、 6:ディジタル映像信号処理器(DSP)、 7:CCD駆動信号発生器、 8:電子ズーム信号補間処理器、 9:マイクロコンピュータ(CPU)、 10:D/A変換器、 11:変調器(エンコーダ)、 12:映像信号出力端子、 13:加算器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子ズームと蓄積方式感度増加とを行うテレビジョンカメラにおいて、撮像素子からの映像信号を蓄積する、前記蓄積方式感度増加のためのフィールド補間用のフィールドメモリと、前記撮像素子からの映像信号と前記フィールドメモリに蓄積された映像信号とを入力し、入力された映像信号のうちいずれか一方を選択出力するセレクタと、前記セレクタからの映像信号を信号処理する、前記電子ズームのための水平走査ライン補間用の映像信号処理手段とを有することを特徴とするテレビジョンカメラ。
【請求項2】請求項1に記載のテレビジョンカメラにおいて、前記フィールドメモリに記憶された映像信号の読み出し開始アドレスを前記電子ズームのズーム倍率に応じたアドレスとすることを特徴とするテレビジョンカメラ。

【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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