説明

テレビ電話システム

【課題】テレビ電話で通信中の両者間でリアルタイムにテレビ電話および動画情報を含むメディアデータの転送をするに好適なテレビ電話システムを提供する。
【解決手段】ネットワークに接続されて、メディア音声情報および/またはメディア動画情報を有する複数のメディアデータを保持するメディアサーバと、前記ネットワークにそれぞれ接続されて前記メディアサーバに保持された前記メディアデータを受信する複数のクライアントと具備し、前記各クライアントは、前記メディアサーバに保持された前記メディアデータを受信するメディアデータ受信部と、他の前記クライアントに前記メディアデータ受信部が受信した前記メディアデータを転送するメディアデータ転送処理部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビ電話システムに係り、特にVoIPテレビ電話にて通話中、リアルタイムにストリーミングデータを転送するに好適なテレビ電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IPネットワークを用いた電話通信方式としてVoIP(voice over IP)が知られている。このVoIPは、電話通信に係る音声情報を送信側で所定のディジタルデータに符号化してIPネットワークにパケットとして送出する一方、受信側ではIPネットワークを介して受信したパケットを復号し、音声情報にして出力する。
またこのような電話通信方式にあっては、ブロードバンド環境の広がりとともに、音声情報だけでなく動画情報もあわせて相互に送受して通信を行うテレビ電話システムも試みられてきている。
【0003】
ちなみに、この種のテレビ電話システムにおいて通信中に相手側のテレビ電話端末(通話相手端末)に対して例えばメディアサーバに保持されたメディア情報(例えば、ビデオデータ)の情報を転送する場合は、例えばFTP等の通信プロトコルを用いてこのメディア情報をファイルデータとして通信相手方(受信者側)に転送した後、受信者側が受信したファイルデータを再生する。
【0004】
この種のファイルデータの転送方法としては、パケット転送装置およびその方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このパケット転送装置およびその方法は、ネットワークの状態に基づいてビデオデータのパケット課程におけるコーディングの方式を変更し、メディアデータの貯蔵効率と転送効率が最適になるように考慮されている。
【特許文献1】特開2004−7480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の発明は、メディアデータの貯蔵効率と転送効率が最適になるように考慮されているものの、メディアデータの送信側と受信側との間で動画像データを同期して再生することや一時停止、早送り・巻き戻しなどができないという問題があった。
そこでメディアデータを配信する送信側のテレビ電話端末から、このメディアデータを受け取る受信側のテレビ電話端末へ配信する手段として動画像再生機器によって再生制御を行い、その出力データを通信相手方のテレビ電話端末に送る方式が考えられる。しかしこの方式は、動画像再生機器が必要であり、コストが高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、テレビ電話で通信中の両者間でリアルタイムにテレビ電話および動画情報を含むメディアデータの転送および同期再生をするに好適なテレビ電話システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成すべく本発明のテレビ電話システムは、ネットワークに接続されて、メディア音声情報および/またはメディア動画情報を有する複数のメディアデータを保持するメディアサーバと、前記ネットワークにそれぞれ接続されて前記メディアサーバに保持された前記メディアデータを受信する複数のクライアントとを具備し、
前記各クライアントは、前記メディアサーバに保持された前記メディアデータを受信するメディアデータ受信部と、他の前記クライアントに前記メディアデータ受信部が受信した前記メディアデータを転送するメディアデータ転送処理部を備えることを特徴としている。
【0008】
好ましくは前記各クライアントは、所定の画像伝送プロトコルに従ってカメラデバイスから入力された動画情報を変換して出力するカメラ動画出力処理部と、所定の音声伝送プロトコルに従って音声デバイスから入力された音声情報を変換して出力する音声出力処理部と、他の前記クライアントが備える前記カメラ動画出力処理部から出力された前記動画情報を受けてこの動画情報を出力する動画出力部と、他の前記クライアントが備える前記音声出力処理部から出力された前記音声情報を受けてこの音声情報を出力する音声出力部とを具備し、
前記メディアデータ転送処理部は、受信した前記メディアデータに含まれる前記メディア音声情報を取り出すメディア音声取得部と、受信した前記メディアデータに含まれる前記メディア動画情報を取り出すメディア動画取得部と、前記メディア音声取得部から取り出された前記メディア音声情報を前記音声出力部に与えるとともに、その分岐してメディア音声情報を分岐して出力する音声分岐処理部と、前記メディア動画取得部から取り出された前記メディア動画情報を前記動画出力部に与えるとともに、その分岐してメディア動画情報を分岐して出力する動画分岐処理部と、所定の音声伝送プロトコルに従って前記音声分岐処理部から分岐されて出力された前記メディア音声情報を変換して出力するメディア音声コーデック部と、所定の動画伝送プロトコルに従って前記動画分岐処理部から分岐されて出力された前記メディア動画情報を変換して出力するメディア動画コーデック部と
を具備し、
前記音声出力処理部は、他の前記クライアントに前記メディア音声コーデック部によって変換された音声情報と前記音声デバイスから入力された音声情報とを混合して送出する音声データ混合部を備えることが望ましい。
【0009】
また前記音声出力処理部は、他の前記クライアントに前記音声デバイスから入力された音声情報またはこの音声情報と前記メディア音声情報とを混合した混合音声情報の何れかを送出する出力情報切替部を備えて構成される。
好ましくは、前記メディアデータ転送処理部は、前記出力情報切替部から出力される情報を切り替えるメディア制御部を備えることが望ましい。
【0010】
より好ましくは前記メディア制御部は、前記メディアサーバが保持する複数の前記メディアデータを選択し、このメディアデータの再生、一時停止、早送りおよび巻き戻しの指令をするものとして構成される。
【発明の効果】
【0011】
上述したように本発明のテレビ電話システムによれば、ネットワークとして例えばIPネットワークに接続された各クライアント(テレビ電話端末)がメディアサーバに保持されたメディアデータ(動画像データ等)を受信するメディアデータ受信部と、他のクライアントにメディアデータ受信部が受信したメディアデータを転送するメディアデータ転送処理部を備えているので、メディアデータを取得・再生しながら通信相手方にこのメディアデータをリアルタイムに転送することができるとともに、メディア制御部によってメディアサーバから取得したメディアデータの再生制御と同期制御を行うことが可能である。
【0012】
更に本願発明のテレビ電話システムは、既存のテレビ電話システムとしてのVoIPテレビ電話端末に、メディアデータ転送処理部を付加した構成を取っているため、従来のVoIPテレビ電話システムに適用されている課金方式を適用することができる他、メディアサーバに保持されたメディアデータ(コンテンツ)に対する課金をそのアクセス時間として実施することができる等の実用上多大なる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るテレビ電話システムの一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。尚、これらの添付図面は、本発明のテレビ電話システムを説明するための一例に過ぎず、これらの図によって本発明が限定されるものではない。
さて、図1は、本発明のテレビ電話システムにおける各種機器の接続形態を示す概略構成図である。この図において1は、テレビ電話端末(クライアント)となる例えばパソコン(以下、テレビ電話端末と称する)である。このテレビ電話端末1には、動画を撮影するカメラデバイス3および図示しないマイクを備え、詳細は後述するがテレビ電話端末1の機能を実現するアプリケーションソフトウェア(VoIPテレビ電話通信ソフト)が実装される。このテレビ電話端末1は、インターネット、イントラネット等に代表されるIPネットワーク2に接続される。
【0014】
IPネットワーク2には、このIPネットワーク2に接続されて、二者のテレビ電話端末1間におけるVoIPテレビ電話通信の制御を行うSIPプロキシサーバ4、メディア音声情報および/またはメディア動画情報を有する複数のメディアデータを保持するメディアサーバ5が接続されている。
尚、テレビ電話端末1、SIPプロキシサーバ4およびメディアサーバ5とIPネットワーク2には、図示しないルータが介挿されることがある。
【0015】
概略的には、上述したように構成されたテレビ電話システムにおいて、テレビ電話端末1に搭載されるVoIPテレビ電話通信ソフトの構成に関して図2を参照しながら説明する。尚、この図は、二つのテレビ電話端末1a,1b間でテレビ電話による通話を行いながらメディアサーバ5に保持されたメディアデータを一方のテレビ電話端末1aから他方のテレビ電話端末1bへ転送するものを例示している。
【0016】
テレビ電話端末1a,1bのVoIPテレビ電話通信ソフトは、概略的にはIPネットワーク上で、電話の呼設定を実現するためのテキストベースのアプリケーションプロトコルであるSIPクライアント7、リアルタイムに音声や動画を送受信するためのプロトコルであるRTSPクライアント8、リアルタイムに音声動画を送受信するためのトランスポートプロトコルであるRTPプロトコル9を備えて構成される。
【0017】
そうしてテレビ電話端末1a,1b間の呼設定は、SIPプロトコルによってなされ、動画情報および音声情報のやりとりは、RTPプロトコルによってなされる。また、テレビ電話端末1aとメディアサーバ5に対する指令等のやりとりはRTSPプロトコルによってなされるとともに、メディアサーバ5からのメディアデータの配信(テレビ電話端末に対する送信)は、RTP等のメディア配信プロトコルを用いてメディア動画情報およびメディア音声情報のやりとりがなされる。
【0018】
ここでより詳細にテレビ電話端末1(1a,1b)の構成について図3を参照しながら説明する。このVoIPテレビ電話通信ソフトは、例えばITU−TのHシリーズ勧告であるH.263等の画像伝送プロトコルに従ってUSBカメラ等のカメラデバイス3から入力された動画情報を変換して出力するカメラ動画出力処理部10、例えばITU−TのGシリーズ勧告であるG.711等の音声伝送プロトコルに従って図示しない音声デバイスから入力された音声を含む音響情報を変換して出力する音声出力処理部20およびメディアサーバ5に保持されたメディアデータを他のテレビ電話端末1に転送するメディアデータ転送処理部30を備えて構成される。
【0019】
カメラ動画出力処理部10は、カメラデバイス3が出力した動画情報を取り込むカメラ動画入力部11と、このカメラ動画入力部11が取り込んだ動画情報を例えばH.263等の画像伝送プロトコルに従って変換するビデオコーデック部12およびビデオコーデック部12によって変換された動画情報をネットワーク2に接続された他のテレビ電話端末1に送出するカメラ動画パケット送信部13を備える。
【0020】
音声出力処理部20は、音声デバイス(図示せず)から入力された音声を含む音響情報を取り込む音声入力部21と、この音声入力部21が取り込んだ音響情報を例えばG.711等の音声伝送プロトコルに従って変換する音声コーデック部22、この音声コーデック部22の出力と、後述するメディアデータ転送処理部から与えられるメディア音声情報とを混合した出力にするか否かを選択する出力情報切替部23と、この出力情報切替部23が音声デバイスから入力された音響情報とメディア音声情報とを混合した音声情報を出力する音声データ混合部24および出力情報切替部23から出力されるテレビ電話のみの音声情報と、音声データ混合部24によって混合された音声情報をIPネットワーク2によって他のテレビ電話端末1へ送出する音声パケット送信部25を備える。
【0021】
メディアデータ転送処理部30は、メディアサーバ5が保持する複数のメディアデータを指定する情報(例えば、URL等)、メディアデータの再生、一時停止、早送り、巻き戻しの要求を出力するメディア制御部31、このメディア制御部31から与えられる要求を受けて例えばRTP,RTSP,TCP等のプロトコルによってメディアサーバ5に保持されたメディアデータを取り込むメディアデータ受信部32、このメディアデータ受信部32が受信したメディアデータに含まれるメディア音声情報およびメディア動画情報をそれぞれ取り出すメディア音声取得部33およびメディア動画取得部34、他のテレビ電話端末が備える音声出力処理部20およびカメラ動画出力処理部10からそれぞれ出力された音声情報および動画情報を受けてこれらの音声情報および動画像情報をそれぞれ出力する音声出力部35および動画出力部36と、メディア音声取得部33から取り出されたメディア音声情報を音声出力部35に与えるとともに、そのメディア音声情報を分岐して出力する音声分岐処理部37と、メディア動画取得部34から取り出されたメディア動画情報を動画出力部36に与えるとともに、そのメディア動画情報を分岐して出力する動画分岐処理部38と、例えばG.711等の音声伝送プロトコルに従って音声分岐処理部37から分岐されて出力されたメディア音声情報を変換して出力するメディア音声コーデック部39と、例えばH.263等の動画伝送プロトコルに従って動画分岐処理部38から分岐されて出力されたメディア動画情報を変換して出力するメディア動画コーデック部40、通信相手のテレビ電話端末1から受信した音声データを受けて予め定められたプロトコル(例えば、G.711等)によって復号して音声出力部35に与える音声パケット受信部41、メディア動画コーデック部40により符号化されたメディア動画情報を通信相手のテレビ電話端末1へ送出するメディア動画送信部42を備えて構成される。
【0022】
このメディアデータ転送処理部30が備えるメディア制御部31は、詳細は後述するが音声出力処理部20が備える出力情報切替部23の出力切替制御を行う役割を担っている。また、メディア音声コーデック部39が出力したメディア音声情報は、音声データ混合部24に与えられて混合されて、音声パケット送信部25に与えられるようになっている。
【0023】
概略的には、上述したように構成された本発明のテレビ電話システムが特徴とするところは、ネットワークに接続されたテレビ電話端末は、メディアデータ転送処理部30がメディアサーバから受信したメディアデータを通信相手のテレビ電話端末に転送すると共に、それぞれのメディア制御部31による制御によって、メディアデータの再生、一時停止、早送りおよび巻き戻しの指令ができる点にある。
【0024】
このような特徴を有する本発明のテレビ電話システムの作動について図面を参照しながらより詳細に説明する。尚、ここでは便宜的に二者間の通信プロトコルをRTP(real-time transport protocol)にて説明するが、他の通信プロトコルを適用してもかまわない。
さてインターネット2にそれぞれ接続されたテレビ電話端末1a,1bの一方(ここでは、テレビ電話端末1a)は、相互間でテレビ通信を行うべくVoIPプロトコルによってセッションの確立をする(図4)。具体的にはテレビ電話端末1aは、プロキシサーバ(SIPプロキシサーバ)4に対してTCP(発信供給)を送出する。するとプロキシサーバ4は、この要求から通話相手先のテレビ電話端末1bに対してTCP(着信要求)を出す。するとこの着信要求を受けたテレビ電話端末1bは、プロキシサーバ4に対してTCP(応答要求)を返す。一方、このTCP(応答要求)を受けたプロキシサーバ4は、TCP(発信要求)を送出したテレビ電話端末1aにTCP(応答要求)を返して、テレビ電話1a,1b相互間のセッションが確立する(ステップS1)。以後、テレビ電話端末1a,1b間でRTPプロトコルに従って音声情報およびカメラデバイス3で撮影した動画情報を相互に送受する(ステップS2)。
【0025】
このようにしてテレビ電話端末1a,1b間の通信が確立した後、以下のようにして一方のテレビ電話端末1aは、メディアサーバ5が保持するメディアデータを受信して、通信相手のテレビ電話端末1bに転送する。
まずテレビ電話端末1aは、メディアサーバ5に対してメディア配信要求をRTSPプロトコルによって出力する(ステップS3)。するとメディアサーバ5は、この要求を受け付けると共に、要求元のテレビ電話端末1aにRTP等のプロトコルによってメディアデータ(ストリーミングデータ)の配信を開始する(ステップS4)。この配信を受けたテレビ電話端末1aは、メディアデータ受信部32でメディアデータの受信を行い、このメディアデータに含まれるメディア音声情報およびメディア動画情報をそれぞれメディア音声取得部33およびメディア動画取得部34が取得する。そして得られたメディア音声情報は、音声分岐処理部37によって音声出力部35とメディア音声コーデック部39に与えられる。すると音声出力部35からは、メディア音声情報が出力されるとともに、メディア音声コーデック部39に与えられたメディア音声情報は、例えばG.711に従ってコード化された後、音声データ混合部24および音声パケット送信部25を介してRTP等のプロトコルによって通信相手方のテレビ電話端末1bに転送される(ステップS5)。
【0026】
一方、メディア動画取得部34で取得されたメディア動画情報は、動画分岐処理部38によって動画出力部36とメディア動画コーデック部40に与えられる。すると動画出力部36からそのメディア動画情報が出力されるとともに、メディア動画コーデック部40に与えられたメディア動画情報は、例えばH.263に従ってコード化された後、メディア動画送信部42が行うRTP等のプロトコルによって通信相手方のテレビ電話端末1bに転送される(ステップS6)。
【0027】
尚、テレビ電話端末1a,1bがそれぞれ備えるカメラデバイス3が撮影した動画情報は、カメラ動画出力処理部10から送出されて、相互にやりとりされる。(ステップS7)。また、ステップS5で一方のテレビ電話端末1aから他方のテレビ電話端末1bへ音声情報とメディア音声情報とが音声データ混合部24で混合されて与えられるとともに、他方のテレビ電話端末1bから一方のテレビ電話端末1aに対して、音声出力処理部20から音声情報が与えられて相互にテレビ電話通信ができる。この場合、他方のテレビ電話端末1bの出力情報切替部23は、テレビ電話のみとなるようメディア制御部31からの指令によって切り替えられる。
【0028】
このようにして本発明のテレビ電話システムは、テレビ電話による通信を行いつつ、メディアサーバ5に保持されたメディアデータを相互に参照することができる。
次にメディアデータを相互に参照しながらテレビ電話による通信の最中に、メディアデータの再生、一時停止、早送りおよび巻き戻しの指令を行う場合について図5を参照しながら説明する。
【0029】
まず再生中のメディアデータを一時停止する場合、メディア制御部31は、メディアデータ受信部32に対して一時停止要求(SR)を発する。するとこの一時停止要求を受けたメディアデータ受信部32は、メディアサーバ5から配信中のメディアデータを一時停止(SA)して、メディア制御部31からの一時停止解除を待つ。
次に一時停止要求(SR)を解除して再生を再開させる場合、メディア制御部31は、メディアデータ受信部32に一時停止解除(RR)を与える。すると、メディアデータ受信部32は、メディアサーバ5に対して一時停止したメディアデータの再送を促す一時停止解除(RR)を与えるとともに、メディアサーバ5から再送が開始されたメディアデータをメディア音声取得部33およびメディア動画取得部34に与える。
【0030】
またメディア制御部31は、再生中または一時停止中のメディアデータの再生位置を変更する場合、メディアデータ受信部32に対して再生位置変更要求(PR)を発行する。するとメディアデータ受信部32は、この再生位置変更要求(PR)をメディアサーバ5に与える。メディアサーバ5は、この再生位置変更要求(PR)を受けて、この再生位置変更要求(PR)によって指示された再生位置から再びメディアデータの送信を開始する(RS)。そうしてメディアデータ受信部32は、メディアサーバ5から再生位置が変更されて再送されたメディアデータを受けて、このメディアデータを次段のメディア音声取得部33およびメディア動画取得部34に与える。
【0031】
尚、上述した実施形態は、テレビ電話端末1a(メディア制御端末)側からの一時停止要求、一時停止解除要求および再生位置変更要求をメディアサーバ5が受け付ける場合を例示したが、他方のテレビ電話端末1bにもメディア制御部31およびメディアデータ受信部32を備えているので、他のテレビ電話端末1bからも同様にメディアサーバ5に対して一時停止要求、一時停止解除要求および再生位置変更要求を与えることができる。
【0032】
かくして上述したように構成された本発明のテレビ電話システムによれば、ネットワークに接続されたテレビ電話端末1が、メディアサーバ5に保持されたメディアデータを受信するメディアデータ受信部32と、通信中の他のテレビ電話端末1にメディアデータ受信部が受信したメディアデータを転送するメディアデータ転送処理部30を備えているので、メディアサーバ5から配信される動画像データを再生中に二者間でのこの動画像データを同期させて再生することの他にメディアデータの再生、一時停止、早送りおよび巻き戻しをすることが可能である。
【0033】
また本発明のテレビ電話システムにおける音声出力処理部20は、他のテレビ電話端末1に音声デバイス(例えば、マイク等)から入力された音声情報またはこの音声情報とメディア音声情報とを混合した混合音声情報の何れかを送出する出力情報切替部23を備えると共に、メディアサーバ5が保持する複数のメディアデータを選択し、このメディアデータの再生、一時停止、早送りおよび巻き戻しの指令をするメディア制御部31を備えているので、単なるテレビ電話以外にも、メディアサーバ5に保持されたメディアデータを転送するだけでなく、二者間でメディアデータの同期再生をすることが可能である。
【0034】
したがって、例えばテレビ電話システムを用いて二者間で通信販売等の商品説明、販売店サポート等の技術支援、映画案内配信サービス等の場面において本発明は極めて有用である。つまり、これらのサービスを提供する場合、通信相手方であるユーザに案内の動画(ビデオ)情報を見せるだけでなく、ユーザの疑問、質問の内容にあわせて商品紹介の動画情報を切り替えて、必要な場面や繰り返しての動画再生も行うことが可能である。
【0035】
尚、本発明のテレビ電話システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るテレビ電話システムの概略構成を示す図。
【図2】図1に示すテレビ電話システムのソフトウェア構成を示す図。
【図3】図1に示すテレビ電話端末の構成を示すブロック図。
【図4】図1に示すテレビ電話システムにおける伝送制御手順を示す図。
【図5】図1に示すテレビ電話端末とメディアサーバとの間の通信制御手順を示す図。
【符号の説明】
【0037】
1(1a,1b) テレビ電話端末
2 IPネットワーク(インターネット)
3 カメラデバイス
4 プロキシサーバ
5 メディアサーバ
10 カメラ動画出力処理部
20 音声出力処理部
30 メディアデータ転送処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されて、メディア音声情報および/またはメディア動画情報を有する複数のメディアデータを保持するメディアサーバと、
前記ネットワークにそれぞれ接続されて前記メディアサーバに保持された前記メディアデータを受信する複数のクライアントと
を具備し、
前記各クライアントは、前記メディアサーバに保持された前記メディアデータを受信するメディアデータ受信部と、
他の前記クライアントに前記メディアデータ受信部が受信した前記メディアデータを転送するメディアデータ転送処理部を備えることを特徴とするテレビ電話システム。
【請求項2】
前記各クライアントは、所定の画像伝送プロトコルに従ってカメラデバイスから入力された動画情報を変換して出力するカメラ動画出力処理部と、
所定の音声伝送プロトコルに従って音声デバイスから入力された音声情報を変換して出力する音声出力処理部と、
他の前記クライアントが備える前記カメラ動画出力処理部から出力された前記動画情報を受けてこの動画情報を出力する動画出力部と、
他の前記クライアントが備える前記音声出力処理部から出力された前記音声情報を受けてこの音声情報を出力する音声出力部と、
を具備し、
前記メディアデータ転送処理部は、受信した前記メディアデータに含まれる前記メディア音声情報を取り出すメディア音声取得部と、
受信した前記メディアデータに含まれる前記メディア動画情報を取り出すメディア動画取得部と、
前記メディア音声取得部から取り出された前記メディア音声情報を前記音声出力部に与えるとともに、そのメディア音声情報を分岐して出力する音声分岐処理部と、
前記メディア動画取得部から取り出された前記メディア動画情報を前記動画出力部に与えるとともに、そのメディア動画情報を分岐して出力する動画分岐処理部と、
所定の音声伝送プロトコルに従って前記音声分岐処理部から分岐されて出力された前記メディア音声情報を変換して出力するメディア音声コーデック部と、
所定の動画伝送プロトコルに従って前記動画分岐処理部から分岐されて出力された前記メディア動画情報を変換して出力するメディア動画コーデック部と
を具備し、
前記音声出力処理部は、他の前記クライアントに前記メディア音声コーデック部によって変換された音声情報と前記音声デバイスから入力された音声情報とを混合して送出する音声データ混合部を備えることを特徴とする請求項1に記載のテレビ電話システム。
【請求項3】
前記音声出力処理部は、他の前記クライアントに前記音声デバイスから入力された音声情報またはこの音声情報と前記メディア音声情報とを混合した混合音声情報の何れかを送出する出力情報切替部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のテレビ電話システム。
【請求項4】
前記メディアデータ転送処理部は、前記出力情報切替部から出力される情報を切り替えるメディア制御部を備えることを特徴とする請求項3に記載のテレビ電話システム。
【請求項5】
前記メディア制御部は、前記メディアサーバが保持する複数の前記メディアデータを選択し、このメディアデータの再生、一時停止、早送りおよび巻き戻しの指令をするものである請求項4に記載のテレビ電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−85573(P2008−85573A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262476(P2006−262476)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】