説明

テーブル

【課題】外力が作用した場合にも天板に対するパネルの位置が不用意に変更される事態を招来することなく異なる複数の向きにパネルを取り付けることができ、かつ煩雑な作業を要することなく天板の上面を一つの作業領域としても使用することができる。
【解決手段】天板2の上方に上下方向に沿った姿勢で設置されるパネル30を備えたテーブルにおいて、天板2の上面に互いにピッチが異なる複数対のロッド挿通孔13,21を互いに異なる方向に沿って並設する一方、パネル30にロッド挿通孔13,21のピッチに対応したピッチで複数対のロッド取付孔31を設け、ロッド取付孔31に取り付けた一対の支持ロッド40を、対応する対のロッド挿通孔13,21に挿入することにより、天板2にパネル30を支持させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の上面にパネルを備えたテーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
比較的大型のテーブルには、天板の上面を複数の作業領域に仕切るため、天板の上面にデスクトップパネルと称されるパネルを配設したものが提供されている。パネルは、支持軸を介して天板の上面から離隔した位置に立設しており、鉛直方向に沿った支持軸の軸心回りに回転することが可能である(例えば、特許文献1参照)。このテーブルによれば、パネルを回転させることで、天板の上面を異なる領域に仕切ることができ、着座位置を任意に変更できる等、使い勝手が良好なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−259714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように天板に対してパネルを回転可能に支持したテーブルにあっては、特にパネルの左右方向寸法が大きい場合、パネルがガタ付く恐れがある。このため、特許文献1のテーブルにおいては、パネルの両端と天板の上面との間に別途支持脚を配設することにより、パネルのガタ付きを防止するようにしている。
【0005】
しかしながら、上述のテーブルは、天板に対してパネルが回転する構成であるため、支持脚を天板に固定することができない。従って、パネルを回転させる方向に外力が作用した場合には、これに抗することが困難であり、天板に対するパネルの位置が不用意に変更される恐れがある。
【0006】
また、パネルをガタ付くことなく取り付けるには、パネルの回転支持機構を天板に対して強固に取り付ける必要がある。このため、天板の上面を一つの作業領域として使用する場合には、強固に取り付けた回転支持機構を天板から取り外さなければならず、煩雑な作業が必須となる。しかも、再びパネルを取り付けるべく回転支持機構を元の状態に戻したとしても、取付状態によってはパネルにガタ付きを招来する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、外力が作用した場合にも天板に対するパネルの位置が不用意に変更される事態を招来することなく異なる複数の向きにパネルを取り付けることができ、かつ煩雑な作業を要することなく天板の上面を一つの作業領域としても使用することのできるテーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るテーブルは、天板の上方に上下方向に沿った姿勢で設置されるパネルを備えたテーブルにおいて、前記天板の上面に互いにピッチが異なる複数対のロッド挿通孔を互いに異なる方向に沿って並設する一方、前記パネルに前記ロッド挿通孔のピッチに対応したピッチで複数対のロッド取付孔を設け、前記ロッド取付孔に取り付けた一対の支持ロッドを、対応する対のロッド挿通孔に挿入することにより、前記天板に前記パネルを支持させたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述したテーブルにおいて、対となるロッド取付孔の軸心間を結ぶ線の中点を、前記パネルの下面において長手方向の中心となる位置に合致させて形成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述したテーブルにおいて、前記天板に通孔を形成するとともに、前記通孔の内部に支持部材を装着し、前記支持部材の上面に前記ロッド挿通孔を開口させたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述したテーブルにおいて、前記ロッド挿通孔には、前記支持ロッドを挿入した場合にその先端面に当接して前記支持ロッドの挿入長さを規定する当接部材を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述したテーブルにおいて、前記天板の外形形状に対して相似形状となる通孔を、対応する辺が平行となるように前記天板の中央部に形成し、前記通孔の開口縁部において辺の中点となる部位及び角部にそれぞれ前記ロッド挿通孔を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パネルを一対の支持ロッドによって天板に支持するようにしているため、外力が作用した場合にも天板に対するパネルの位置が不用意に変更される事態を招来する恐れがない。しかも、パネルに取り付けた支持ロッドを天板のロッド挿通孔に挿通することで、天板にパネルを取り付けるようにしているため、支持ロッドを引き抜けば天板からパネルを取り外すことができる。従って、天板の上面を一つの作業領域として使用する際に煩雑な作業を要しない。また、対となるロッド挿通孔のピッチが互いに異なるため、予めパネルに支持ロッドを取り付けておけばパネルの向きを間違えることなく天板に取り付けることが可能となる。
【0014】
また、本発明によれば、一対の支持ロッドに均等に荷重が加わることとなり、パネルをより安定して支持することができる。
【0015】
また、本発明によれば、天板に直接ロッド挿通孔を形成する必要がなく、天板の外観品質を向上させることができるとともに、天板を製造する際の工程を増やすことがない。
【0016】
また、本発明によれば、ロッド挿通孔に挿入した支持ロッドの先端を当接部材に当接させれば、天板の上面に対するパネルの取付高さを規定することができる。
【0017】
また、本発明によれば、ロッド挿通孔に支持ロッドを挿通させれば、天板の上面を均等に仕切ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるテーブルを概念的に示した側面図である。
【図2】図2は、図1に示したテーブルの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示したテーブルの天板の要部を拡大したもので、右半部が通孔を開放した状態を示す平面図、左半部が通孔を蓋体によって覆った状態を示す平面図である。
【図4】図4は、図1に示したテーブルの天板を示す要部拡大断面側面図である。
【図5】図5は、図3におけるA−A線断面図である。
【図6】図6は、図3におけるB−B線断面図である。
【図7】図7は、図1に示したテーブルに適用するパネルの断面側面図である。
【図8】図8は、図7に示したパネルの要部を示す拡大断面側面図である。
【図9】図9は、図1に示したテーブルにおいて天板に対するパネルの向きを変更した状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、図1に示したテーブルにおいてパネルを取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るテーブルの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2は、本発明の実施の形態であるテーブルを示したものである。ここで例示するテーブルは、複数の脚体1の上端部間に平面視が正方形となる天板2を備えて構成したもので、天板2の中央部に通孔3を有している。通孔3は、上下方向に沿って形成した貫通孔であり、天板2の外径形状に対して相似形となる形状、つまり開口が正方形に形成してある。通孔3の開口縁は、それぞれ天板2の対応する端縁と平行となり、かつその中心が天板2の中心に合致している。この通孔3は、天板2の上下に配線ケーブルを通過させるための開口として機能するもので、その下方域は上端及び左右両端が開口した角筒状の箱体4によって覆ってある。
【0021】
図3に示すように、天板2において通孔3の四隅部に位置する部位には、それぞれ蓋体支持部材10が設けてある。蓋体支持部材10は、平面視がほぼ正方形となる基部11と、基部11の隣接する2つの端縁から互いに直角となる方向に連設した支持台部12とを有した平面視L字状を成すもので、支持台部12をそれぞれ通孔3の各開口縁に沿わせた状態で通孔3の内部に取り付けてある。
【0022】
蓋体支持部材10の基部11には、それぞれロッド挿通孔13が形成してある。ロッド挿通孔13は、図3及び図6に示すように、横断面が円形の開口であり、それぞれ鉛直方向に沿って形成してある。ロッド挿通孔13の周囲においてその下方に延長した部分には、円筒状部材14が配設してあり、かつその下端の開口が底壁部(当接部材)15によって閉塞してある。天板2の上面から底壁部15の上面までの距離は、それぞれの蓋体支持部材10で互いに一致している。
【0023】
また、天板2には、図3に示すように、通孔3の内部において一対のロッド挿通孔13の相互間に位置する部位に一対のロッド支持部材20が設けてある。ロッド支持部材20は、図3〜図5に示すように、内部にロッド挿通孔21を有した筒状を成すロッド挿通部22と、ロッド挿通孔21の底面開口を閉塞する底壁部(当接部材)23と、ロッド挿通部22の一端部外周面から径外方向に向けて延在した取付部24とを一体に形成したもので、ロッド挿通孔21が通孔3の内部において鉛直方向に沿う状態で取付部24を介して天板2の下面に取り付けてある。ロッド支持部材20を取り付ける位置は、ロッド挿通孔21の軸心が、蓋体支持部材10に設けたそれぞれのロッド挿通孔13の軸心から等距離となる位置である。天板2の上面からそれぞれの底壁部23の上面までの距離及びロッド挿通孔21の内径は、いずれも蓋体支持部材10に設定したものと同一である。
【0024】
上記のようにして通孔3の内部に設けた蓋体支持部材10のロッド挿通孔(以下、「対角ロッド挿通孔13」という)とロッド支持部材20のロッド挿通孔(以下、「対辺ロッド挿通孔21」という)とは、対角ロッド挿通孔13の軸心間を結ぶ線の中点と対辺ロッド挿通孔21の軸心間を結ぶ線の中点とがそれぞれ通孔3の中心に一致しており、互いに軸心間を結ぶ線を延長した場合、天板2の上面を2等分することが可能である。
【0025】
このテーブルには、図1及び図2に示すように、天板2の上方にパネル30を取り付けることが可能である。パネル30は、左右方向に沿った幅が天板2の一辺と同じ長さを有した矩形の平板状を成すもので、その下面に一対の支持ロッド40を備えている。支持ロッド40は、図7及び図8に示すように、外周面にネジ溝を有した締結部40aと、締結部40aの一方の端面から延設した第1挿入部40bと、締結部40aの他方の端面から延設した第2挿入部40cとを有し、これらを互いに軸心を合致させて構成したものである。
【0026】
この支持ロッド40は、パネル30に設けたロッド取付孔31に第1挿入部40bを挿入させた後、締結部40aを螺合させることにより、第2挿入部40cを下面から突出させた状態でパネル30に着脱可能に取り付けてある。支持ロッド40の第2挿入部40cは、その外径が蓋体支持部材10に設けたロッド挿通孔13,21に挿通することのできる寸法に形成してある。また、第2挿入部40cの軸方向に沿った長さは、ロッド挿通孔13,21において天板2の上面から底壁部15,23の上面までの距離よりも十分に大きな寸法に形成してある。
【0027】
ロッド取付孔31は、支持ロッド40の第1挿入部40bを収容する収容孔部31aと、収容孔部31aの下端開口部に形成したネジ孔部31bとを有して構成したもので、パネル30の下面に開口している。本実施の形態では、互いに異なるピッチでパネル30に2対のロッド取付孔31が設けてある。対を成すロッド取付孔31の中点は、いずれもパネル30の左右方向に沿った幅の中点に合致させてある。ロッド取付孔31の収容孔部31aは、パネル30の下面から孔を直接形成することによって構成したものである。ロッド取付孔31のネジ孔部31bは、パネル30の下面に装着したブラケット32に形成してある。ブラケット32には、それぞれ2つのネジ孔部31bが設けてあり、互いに内側に設けたネジ孔部31bの相互間隔が天板2に設けた対辺ロッド挿通孔21のピッチに合致し、かつ互いに外側に設けたネジ孔部31bの相互間距離が天板2に設けた対角ロッド挿通孔13のピッチに合致するようにパネル30に配設してある。
【0028】
上記のように構成したテーブルでは、例えば、パネル30において内側のロッド取付孔31にそれぞれ支持ロッド40を取り付ければ、それぞれの支持ロッド40を天板2の対辺ロッド挿通孔21に挿通させることができる。対辺ロッド挿通孔21に挿通した支持ロッド40は、個々の下端面が底壁部23の上面に当接し、互いに挿入長さが同一となる。従って、図1及び図2に示すように、天板2の上面との間に一定の間隙を確保した状態でパネル30を上下方向に沿った姿勢に保持させることができる。この状態においては、パネル30が天板2の上面を2つの矩形領域に等分するように配置されることになり、例えば天板2の一つの端縁に2名ずつ着座して共同作業を行うことが可能となる。
【0029】
一方、パネル30において外側のロッド取付孔31にそれぞれ支持ロッド40を取り付ければ、それぞれの支持ロッド40を天板2の対角ロッド挿通孔13に挿通させることができる。対角ロッド挿通孔13に対する支持ロッド40の挿入長さが互いに同一になるのは先と同様である。従って、図9に示すように、天板2の上面との間に一定の間隙を確保した状態でパネル30を上下方向に沿った姿勢に保持させることができる。この状態においては、パネル30が天板2の上面を2つの三角領域に等分するように配置されることになり、例えば天板2の隣接する2つの端縁にそれぞれ1名ずつ着座して共同作業を行うことが可能となる。
【0030】
ここで、上述したテーブルによれば、いずれの状態であっても、パネル30を一対の支持ロッド40によって天板2に支持するようにしている。従って、天板2に外力が作用した場合にも天板2に対するパネル30の位置が不用意に変更される恐れがない。しかも、パネル30に取り付けた支持ロッド40がパネル30の左右方向に沿った幅の中点に対して等距離となる位置にあるため、一対の支持ロッド40に均等に荷重が加わることとなり、パネル30をより安定して支持することができる。
【0031】
さらに、パネル30に取り付けた支持ロッド40を天板2の対辺ロッド挿通孔21もしくは対角ロッド挿通孔13に挿通することで、天板2にパネル30を取り付けるようにしているため、支持ロッド40を引き抜けば、図10に示すように、天板2からパネル30を取り外すことができる。従って、天板2の上面を一つの作業領域として使用する際に煩雑な作業を要しない。
【0032】
この場合、上述した実施の形態のテーブルでは、通孔3の四隅部に蓋体支持部材10を設けるようにしているため、これらに蓋体50を載置させることで、図3の左半部及び図10に示すように、通孔3に蓋体50を配置してこれを覆うことができる。蓋体50は、通孔3よりも小さい寸法に形成した正方形の平板状を成し、4つの端縁部にそれぞれリップ部材51を備えたもので、リップ部材51を蓋体支持部材10の支持台部12に搭載することで通孔3を覆った位置に配置されるものである。
【0033】
蓋体50を配置した場合には、ロッド支持部材20に設けた対辺ロッド挿通孔21の開口についてもこれらを覆うことができる。従って、パネル30を取り外した場合の天板2の外観品質を向上させることができる。
【0034】
また、対となる対辺ロッド挿通孔21と対角ロッド挿通孔13とでは、互いのピッチが異なるため、予めパネル30のロッド取付孔31を選択して支持ロッド40を取り付けておけば、パネル30の向きを間違えることなく天板2に取り付けることが可能となる。
【0035】
尚、上述した実施の形態では、平面視が正方形となる天板2を有したテーブルを例示しているが、必ずしもこれに限定されず、長方形や円形等、外形が如何なる形状の天板にも適用することは可能である。また、通孔3の形状を天板2の外形形状に合致させるようにしているが、これに限らない。
【0036】
さらに、上述した実施の形態では、ロッド挿通孔13,21を直接天板2に設けていないため、天板2の外観品質を向上させることができるとともに、天板2を製造する際の工程を増やすことがなくなるが、ロッド挿通孔を直接天板に設けても構わない。また、対を成すロッド挿通孔13,21の数に関しても、必ずしも実施の形態に限らない。
【符号の説明】
【0037】
1 脚体
2 天板
3 通孔
10 蓋体支持部材
13,21 ロッド挿通孔
15,23 底壁部
20 ロッド支持部材
30 パネル
31 ロッド取付孔
40 支持ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の上方に上下方向に沿った姿勢で設置されるパネルを備えたテーブルにおいて、
前記天板の上面に互いにピッチが異なる複数対のロッド挿通孔を互いに異なる方向に沿って並設する一方、前記パネルに前記ロッド挿通孔のピッチに対応したピッチで複数対のロッド取付孔を設け、前記ロッド取付孔に取り付けた一対の支持ロッドを、対応する対のロッド挿通孔に挿入することにより、前記天板に前記パネルを支持させたことを特徴とするテーブル。
【請求項2】
対となるロッド取付孔の軸心間を結ぶ線の中点を、前記パネルの下面において長手方向の中心となる位置に合致させて形成したことを特徴とする請求項1に記載のテーブル。
【請求項3】
前記天板に通孔を形成するとともに、前記通孔の内部に支持部材を装着し、前記支持部材の上面に前記ロッド挿通孔を開口させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテーブル。
【請求項4】
前記ロッド挿通孔には、前記支持ロッドを挿入した場合にその先端面に当接して前記支持ロッドの挿入長さを規定する当接部材を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載のテーブル。
【請求項5】
前記天板の外形形状に対して相似形状となる通孔を、対応する辺が平行となるように前記天板の中央部に形成し、前記通孔の開口縁部において辺の中点となる部位及び角部にそれぞれ前記ロッド挿通孔を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載のテーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−100689(P2012−100689A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249022(P2010−249022)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】