説明

テープ型の使い捨ておむつ

【課題】使い捨ておむつが着用された際,腹部周りにおいて着用者に圧迫感を与えることのないフロントパッチを備えたテープ型の使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】止着テープ10とフロントパッチ20を有するテープ型の使い捨ておむつに関し、少なくともフロントパッチの上縁辺側にフロントパッチの内側方向に向かって凹む中央切り欠き部21が形成され、この中央切り欠き部の凹頂部はフロントパッチの中央領域に位置している。着用者の腹部が当たる可能性のある箇所に切り欠きを設けることにより、着用者の腹がフロントパッチに当たることを防止でき、着用感を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,使い捨ておむつに関する。具体的に説明すると,本発明は,後身頃に設けられた止着テープを前身頃に止め付けることにより,着用者の身体に装着されるテープ型の使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,後身頃に止着テープが取り付けられ,前身頃にフロントパッチが設けられたテープ型の使い捨ておむつが知られている。止着テープとフロントパッチは,例えばフック材(雄部材)とループ材(雌部材)の面ファスナーにより機械的に結合できるようになっている。このため,後身頃に設けられた止着テープを前身頃に設けられたフロントパッチに止め付けることで,使い捨ておむつを着用者の身体に装着することが可能である。
【0003】
このように,フロントパッチは,テープ型の使い捨ておむつを着用者の身体に固定するための重要な役割を担うものである。従って,フロントパッチは,止着テープの止め付け易くするために,可能な限り広い面積で前身頃の外表面に設けることが好ましいとされていた。
【0004】
また,従来のフロントパッチは,一般的に,その形状が四角形状で形成されている(特許文献1及び特許文献2参照)。例えば,従来のフロントパッチは,使い捨ておむつの前身頃の左右方向を長手とする長方形状で形成されるものであった。従来の四角形状のフロントパッチは,使い捨ておむつの製造ラインにおいて比較的容易に形成することができるため,大量生産しやすいとされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−057713号公報
【特許文献2】特開2011−30604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方,使い捨ておむつの着用者には,高齢者や幼児が多く,使い捨ておむつの着用時に姿勢が前傾になる傾向がある。特に,高齢者は,使い捨ておむつを着用したまま前屈みになり座位姿勢を取ることも多い。そして,使い捨ておむつを着用した者が,前傾姿勢や座位姿勢をとると,その腹部と脚部の付け根の距離が近くなるため,使い捨ておむつ前身頃が寄せられてシワが形成されるという状況が生じている。
【0007】
このような状況のもと,従来技術のように,止着テープの止め付け易さを考慮して,四角形状に形成されたフロントパッチを前身頃の外表面に可能な限り広い面積で設けることとすると,着用者が前屈みになった際,その腹部がフロントパッチの上縁に当たってしまい,着用感が低下するという事態が生じていた。特に,フロントパッチは,その全面に止着テープを止め受けるための面ファスナーを有し,比較的硬い素材で形成されたものであるため,直接着用者の腹部が当たると,その肌を傷つけてしまうという恐れもあった。
【0008】
同様に,フロントパッチを四角形状に形成すると,着用者が前屈みになった際,その脚部の付け根がフロントパッチの下縁に当たることとなる。このため,使い捨ておむつの着用感が低下するばかりか,フロントパッチの下縁のうち着用者の脚部が当たる箇所は,脚部の可動域においてシワとなり,止着テープを止め受けるというフロントパッチ本来の機能を有しないものであった。
【0009】
なお,図10は,従来のフロントパッチが取り付けられた従来の使い捨ておむつの例を示している。そして,図10においては,使い捨ておむつの着用者が前傾姿勢や座位姿勢をとった際に,着用者の腹部や脚部の付け根が当たる可能性があるフロントパッチの箇所を円で囲んで表示している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで,本発明の発明者は,上記従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,フロントパッチのうち,着用者の腹部又は両脚部の付け根が当たる可能性のある箇所に切り欠きを設けることにより,着用者の腹部又は両脚部の付け根がフロントパッチに当たることを防止でき,着用感を向上させることができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に本発明は,以下の構成を有する。
【0011】
本発明は,止着テープ10とフロントパッチ20を有するテープ型の使い捨ておむつに関するものである。
本発明に係る使い捨ておむつは,装着時において,着用者の背部を覆う後身頃1と,着用者の腹部を覆う前身頃2と,後身頃1と前身頃2の間に位置する股下部3から構成される。
後身頃1には,後身頃1の左右の側縁から延出するように止着テープ10が取り付けられている。
前身頃2には,止着テープ10を止め付けるためのフロントパッチ20が設けられている。
ここで,フロントパッチ20を,中央領域20aと,中央領域よりも左側方に位置する左側方領域20bと,中央領域よりも右側方に位置する右側方領域20cに区分した場合を想定する。これらの領域の区分は,フロントパッチ20を,中央領域20a,左側方領域20b,及び右側方領域20cに左右方向に三等分したものであってもよいし,中央領域20a,左側方領域20b,及び右側方領域20cを,例えば4:3:3や6:2:2のように任意の比率で区分することとしてもよい。
そして,本発明は,フロントパッチ20の上縁辺201側に,フロントパッチ20の内側方向に向かって凹む中央切り欠き部21が形成され,この中央切り欠き部21の凹頂部211は,フロントパッチ20の中央領域20aに位置することを特徴としている。
【0012】
本発明は,上記構成のように,フロントパッチ20の上縁辺201側の中央に中央切り欠き部21を設ける。このように,着用者の腹部の形状に沿って中央切り欠き部21が設けられているため,着用者が前傾姿勢や座位姿勢をとった場合であっても,その腹部がフロントパッチ20の上縁に当ることを防止できる。従って,本発明によれば,従来の使い捨ておむつと比較し,着用感を向上させることができる。また,本発明では,止着テープ10を止め付けるというフロントパッチ20の機能に鑑み,フロントパッチ20を必要なところのみに形成しているため,高価な資材を有効に使用することができる。
【0013】
本発明においては,左側方領域20b又は右側方領域20cに,フロントパッチ20の上端部202が位置し,フロントパッチ20の上端部202から左右方向に延びる直線と,中央切り欠き部の凹頂部211から左右方向に延びる直線の間の距離は,5mm以上80mm以下であることが好ましい。なお,フロントパッチ20の上端部202は,左側方領域20bと右側方領域20cのいずれに位置するものであってもよく,また,フロントパッチ20の上端部202は,実質的に,左側方領域20bと右側方領域20cの2箇所に形成されるものであってもよい。
【0014】
上記構成のように,中央切り欠き部21の凹み幅を5mm以上とすることにより,使い捨ておむつを装着したまま前屈みになった場合であっても,フロントパッチ20により腹部が圧迫されて着用感が低下する事態を防止できる。また,中央切り欠き部21の凹み幅が80mm以下であれば,後身頃1に設けられた止着テープ10を前身頃2に固定するというフロントパッチ20の機能を損なうこともない。
【0015】
本発明において,フロントパッチ20の上縁辺201は,中央切り欠き部21の凹頂部211とフロントパッチ20の上端部202を繋ぐ曲線を含むものであることが好ましい。さらに,本発明において,フロントパッチ20の上縁辺201は,上縁辺201と左側縁辺205の交点,中央切り欠き部の凹頂部211,及び上縁辺201と右側縁辺206の交点を繋ぐ曲線から形成されることとしてもよい。
【0016】
上記構成のように,中央切り欠き部21の凹頂部211とフロントパッチ20の上端部202を曲線で繋ぐことにより,着用者の腹部の形状に合わせて中央切り欠き部21が設けられることとなる。従って,使い捨ておむつの着用感をより向上させることができる。
【0017】
本発明において,フロントパッチ20の下縁辺203側には,フロントパッチ20の左下角を切り欠いた左下切り欠き部22と,フロントパッチ20の右下角を切り欠いた右下切り欠き部23が形成され,左下切り欠き部22の凹頂部221は左側方領域20bに位置し,右下切り欠き部23の凹頂部231は右側方領域20cに位置することが好ましい。
【0018】
上記構成のように,フロントパッチ20の下縁辺203の左右の角部に切り欠き(22,23)を形成することにより,着用者が前傾姿勢や座位姿勢をとっている場合であっても,両脚部の付け根(股関節周縁)の可動域を十分に確保することができる。これにより,従来の使い捨ておむつと比較して,着用感をさらに向上させることができる。
【0019】
また,本発明において,中央領域20aにはフロントパッチ20の下端部204が位置し,フロントパッチ20の下端部204から左右方向に延びる直線と,左下切り欠き部22の凹頂部221から左右方向に延びる直線及び右下切り欠き部23の凹頂部231から左右方向に延びる直線の間の距離は,5mm以上80mm以下であることが好ましい。
【0020】
上記構成のように,左下切り欠き部22の凹み幅と右下切り欠き部23の凹み幅を5mm以上とすることにより,使い捨ておむつを装着したまま前屈みになった場合であっても,フロントパッチ20下方の角部に脚部の付け根が当たるという事態を防止できる。また,左下切り欠き部22の凹み幅と右下切り欠き部23の凹み幅が80mm以下であれば,後身頃1に設けられた止着テープ10を前身頃2に固定するというフロントパッチ20の機能を損なうこともない。
【0021】
また,本発明において,フロントパッチ20の下縁辺203は,左下切り欠き部の凹頂部221,フロントパッチ20の下端部204,及び右下切り欠き部の凹頂部231を繋ぐ曲線を含むことが好ましい。さらに,本発明において,フロントパッチ20の下縁辺203は,下縁辺203と左側縁辺205の交点,フロントパッチ20の下端部204,及び下縁辺203と右側縁辺206の交点を繋ぐ曲線から形成されることとしてもよい。
【0022】
上記構成のように,左下切り欠き部の凹頂部221,フロントパッチ20の下端部204,及び右下切り欠き部の凹頂部231を曲線により繋ぐことにより,着用者の両脚部の可動域の形状に合わせてフロントパッチ20の下縁辺203を湾曲させることができる。従って,使い捨ておむつの着用感をより向上させることができる。
【0023】
さらに,本発明において,フロントパッチ20の上縁辺201を形成する曲線と,フロントパッチ20の下縁辺203を形成する曲線は,同一形状であることが好ましい。
【0024】
フロントパッチ20は,その製造工程において,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203に対応する位置で裁断されることにより形成される。このため,上縁辺201と下縁辺203を同一の曲線形状とすることにより,フロントパッチ20を同一の裁断刃で裁断することができるようになる。従って,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203を裁断する裁断手段(裁断刃)を別々に設ける必要がなくなるとともに,トリム回収手段も必要ないため,製造機に投じるコストを節減することができる。
【0025】
本発明において,フロントパッチ20は,中央領域20aと,左側方領域20bと,右側方領域20cに分割して形成されることとしてもよい。
【0026】
このように,フロントパッチ20は,中央領域20aに属する第1片と,左側方領域20bに属する第2片と,右側方領域20cに属する第3片により形成されることとしてもよい。このように,フロントパッチ20を別々に形成された3つの片を組み合わせにより製造した場合,中央領域20aに属する第1片を,第2片や第3片と比較し,前身頃2の下方にずらして取り付けることにより,中央切り欠き部21,左下切り欠き部22,及び右下切り欠き部23が形成されたフロントパッチ20を容易に製造することが可能になる。
【0027】
また,本発明の他の形態は,フロントパッチ20の上縁辺201に切り欠きを形成せず,下縁辺203にのみ切り欠きを形成するものであってもよい。
すなわち,本発明の他の形態では,フロントパッチ20の下縁辺203側にのみ,フロントパッチ20の左下角を切り欠いた左下切り欠き部22と,フロントパッチ20の右下角を切り欠いた右下切り欠き部23を形成し,左下切り欠き部の凹頂部221を左側方領域20bに位置させ,右下切り欠き部の凹頂部231を右側方領域20cに位置させることとしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明は,上述した発明特定事項を有することにより,着用者の腹部又は両脚部の付け根がフロントパッチ20に当たることを防止でき,着用感が向上したテープ型使い捨ておむつを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は,テープ型使い捨ておむつの例を示す斜視図である。
【図2】図2は,テープ型使い捨ておむつの例を示す展開図である。
【図3】図3は,ある実施形態に係るフロントパッチを示している。
【図4】図4は,他の実施形態に係るフロントパッチを示している。
【図5】図5は,他の実施形態に係るフロントパッチを示している。
【図6】図6は,他の実施形態に係るフロントパッチを示している。
【図7】図7は,他の実施形態に係るフロントパッチを示している。
【図8】図8は,さらに別の実施形態に係るフロントパッチを示している。
【図9】図9は,フロントパッチの製造工程の概要を説明するための図である。
【図10】図10は,従来のテープ型使い捨ておむつの例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0031】
なお,本明細書において,「左右方向」とは,図2に示される展開された使い捨ておむつの短手方向(図2中の左右方向)を意味する。また,「上下方向」とは,図2に示される展開された使い捨ておむつの長手方向(図2中の上下方向)を意味する。「左右方向」と「上下方向」は,互いに直交する方向である。
また,本明細書において,「A〜B」とは,A以上B以下であることを意味する。
【0032】
(1.使い捨ておむつの基本構成)
図1は,テープ型の使い捨ておむつの例を示す斜視図であり,前身頃2の外表面に取り付けられたフロントパッチ20が見えるように,前身頃2を折り返した状態を描画したものである。図2は,テープ型の使い捨ておむつの例を示す展開図であり,使い捨ておむつを,装着時において着用者の肌に当接しない面(肌非当接面)側から見た状態を示している。
図1や図2に示されるように,本発明のテープ型使い捨ておむつ100は,装着時に着用者の背部を覆う後身頃1,着用者の腹部を覆う前身頃2,及び着用者の股下にあてがわれる股下部3の各部から構成される。
【0033】
テープ型の使い捨ておむつ100の後身頃1及び前身頃2には,左右両方向にサイドフラップが延設されている。また,後身頃1には,各サイドフラップの側縁から突出するように止着テープ10が取り付けられている。一方,前身頃2の肌非当接面側には,止着テープ10を止め付けるためのフロントパッチ20が設けられている。このため,テープ型の使い捨ておむつ100は,後身頃1を着用者の背部にあてがい,前身頃2を着用者の腹部にあてがった状態で,後身頃1に取り付けられている止着テープ10を,前身頃2に設けられたフロントパッチ20に止め付けることにより,着用者に装着することが可能である。
【0034】
後身頃1と前身頃2の間には股下部3が位置する。この股下部3を中心として,後身頃1から前身頃2にかけて,尿などの液体を吸収し保持するための吸収体31が配設されている。この吸収体31は,着用者の肌に当接する面(肌当接面)側から液透過性のトップシート32によって被覆され,反対側の肌非当接面側から液不透過性のバックシート33によって被覆されている。従って,尿などの液体は,トップシート32を透過して,吸収体31に吸収保持され,液透過性のバックシート33によって外部への漏出が阻止される。
【0035】
また,トップシート32の両側縁にはサイドシート34を配設することとしてもよい。サイドシート34は,疎水性を有しながらも通気性の高い材料によって形成されていることが好ましい。また,サイドシート34の一端をトップシート32の表面上に固定し,その他端に弾性伸縮材(立体ギャザー伸縮材)41を伸長状態で配設することにより,立体ギャザー35を形成することとしてもよい。この立体ギャザー35は,立体ギャザー伸縮材41が収縮すると,その収縮力を利用して起立する。起立した立体ギャザー35は,トップシート32の側方から液体が漏洩することを防止するための防漏壁として機能する。
【0036】
また,バックシート33の外表面には,バックシート33を補強し,その手触りを良くするために,カバーシート36を貼り合わせることとしてもよい。カバーシート36を形成する材料としては,例えば,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布,又は湿式不織布を用いることができる。
【0037】
(2.使い捨ておむつの各部構成)
以下,本発明に係るテープ型使い捨ておむつの各部の構成について説明する。
【0038】
(2−1.止着テープ)
止着テープ10は,使い捨ておむつ100を着用者に対して装着させるための止着手段11を備えた部材である。この止着テープ10は,前身頃2に設けられたフロントパッチ20とともにファスニング機構を構成する。止着テープ10は,後身頃1のサイドフラップの側縁から延出するように配置されており,前身頃2に設けられたフロントパッチ20止め付けられるようになっている。
【0039】
止着テープ10は,前身頃2に配置されたフロントパッチ20に届く程度の長さを有するものであればよく,その形状は図示されたものに限定されない。また,図1や図2においては,止着テープ10が後身頃1の左右の各側縁に2つずつ設けられた例が示されている。ただし,止着テープ10の数は,左右の各側縁に1つずつ設けられたものであってもよいし,3つ以上設けられていてもよい。
【0040】
各止着テープ10の先端近傍には,止着手段11が設けられている。止着手段11は,例えば,粘着剤や粘着テープにより固定を行うものであってもよいし,フロントパッチ20に機械的に結合される面状ファスナーであってもよい。止着テープ10とフロントパッチ20と固定するファスニング機構としては,フック材(雄部材)とループ材(雌部材)の機械的結合により固定を行う面状ファスナー用いることが特に好ましい。面状ファスナーは,例えば,表面に多数の突起(鉤状,きのこ状等)が形成されたフック材と,表面にループ状の繊維が配置されたループ材との組み合わせにより構成される。例えば,止着テープ10の止着手段11としてフック材を採用し,フロントパッチ20にはループ材を形成すればよい。面状ファスナーは,ループ材の表面にフック材を貼り合わせた際,フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させる。このため,面状ファスナーは,フック材とループ材を剥離可能な状態で,かつ強固に固着させることができるものであり,繰り返しの使用が可能である点,及び固着強度が高いという点において好ましい。
【0041】
止着テープ10の基材を構成する材料としては,例えば,織布,不織布,その他布,紙,又はプラスチックフィルムを用いることができる。また,布を構成する素材としては,例えば,ポリエチレン系,ポリプロピレン系,ポリアミド系,ポリエステル系,ポリ塩化ビニル系,又はポリスチレン系の合成樹脂を好適に用いることができる。
【0042】
(2−2.フロントパッチ)
フロントパッチ20は,後身頃1に設けられた止着テープ10を,前身頃2に止め付けて維持するための部材である。フロントパッチ20は,前身頃2の外表面(肌非当接面側)に取り付けられており,上述した止着テープ10とともに,ファスニング機構を構成する。例えば,止着テープ10の止着手段11として粘着テープが採用された場合には,フロントパッチ20は,表面が平滑なプラスチックフィルム等で形成すればよい。一方,止着テープ10の止着手段11として,面状ファスナーのフック材が採用された場合には,フロントパッチ20としては面状ファスナーのループ材を採用すればよい。
【0043】
(2−2−1.フロントパッチのある実施形態)
図3は,本発明において採用されるフロントパッチのある実施形態を示した図である。フロントパッチの形状は,図3に示された形状に限定されるものではないが,本発明に係るフロントパッチの形状について,まず好ましい実施形態を取り上げて説明する。なお,図3においては,フロントパッチの形状を説明するために,一部の要素に“黒丸”を付けて表しているが,この“黒丸”は実在するものではない。また,図3(b)においては,“破線”が表示さているが,この“破線”は実在しない仮想線である。
【0044】
図3(a)に示されるように,フロントパッチ20は,中央領域20aと,中央領域20aよりも左側方に位置する左側方領域20bと,中央領域20aよりも右側方に位置する右側方領域20cに区分される。図3(a)に示す例においては,フロントパッチ20の左側端から右側端までの長さを三等分して中央領域20a,左側方領域20b,及び右側方領域20cに区分している。ただし,これらの区分は,フロントパッチ20の各部構成を説明するために概念的にフロントパッチ20の領域を区分したものであり,三等分に限定されるものではない。例えば,フロントパッチ20の中央領域20a,左側方領域20b,及び右側方領域20cを,2:4:4や,4:3:3,又は6:2:2のように任意の比率で区分することとしてもよい。ただし,左側方領域20bと右側方領域20cは,左右方向における長さが等しいものであることが好ましい。
【0045】
図3(a)に示されるように,フロントパッチ20は,左右方向を長手方向とし,上下方向を短手とした形状で構成されている。フロントパッチ20は,湾曲又は屈折した上縁辺201と,上縁辺201に対向し湾曲又は屈折した下縁辺203と,上縁辺201の左端部と下縁辺203の左端部を繋ぐ左側縁辺205と,上縁辺201の右端部と下縁辺203の右端部を繋ぐ右側縁辺206を基本構成としている。
【0046】
また,図3(a)に示された例において,フロントパッチ20は,左側方領域20bと右側方領域20cの2箇所に,上端部202を有している。すなわち,左側方領域20bに位置する上端部202から,フロントパッチ20の左右方向に直線を引くと,この直線上には右側方領域20cに位置する上端部202が存在する。ただし,フロントパッチ20の上端部202は,少なくとも,左側方領域20b又は右側方領域20cの何れかに属しているものであればよく,フロントパッチ20の左側方領域20bと右側方領域20cには高低差があってもよい。
【0047】
フロントパッチ20の上縁辺201側には,中央切り欠き部21が形成されている。この中央切り欠き部21が形成されることにより,上縁辺201が湾曲又は屈折する。図3(a)では,上縁辺201が湾曲した例が示されている。中央切り欠き部21は,フロントパッチ20の内側方向に向かって凹むものであり,その凹頂部211が,中央領域20aに位置している。なお,凹頂部は,形成された切り欠きの最も凹んだ箇所を意味する。図3(a)において,凹頂部211は点で示されるものであるが,後述するように凹頂部211は直線状のものであってもよい。凹頂部211が点として形成される場合,凹頂部211は,フロントパッチ20の上縁辺201の中心に位置していることが好ましい。ただし,凹頂部211は,少なくとも中央領域20aとして区分した領域に属していればよく,上縁辺201の中心から左右方向に所定距離ずれたものであってもよい。
【0048】
図3(a)に示されるように,上縁辺201は,中央切り欠き部の凹頂部211と,フロントパッチ20の上端部202とを結ぶ曲線を含むことが好ましい。図3(a)に示された実施形態においては,左側方領域20bと右側方領域20cのそれぞれにフロントパッチ20の上端部202が位置しており,それぞれの上端部202と中央切り欠き部の凹頂部211とが曲線により結ばれている。上端部202と凹頂部211とを繋ぐ曲線は,図3(a)に示されるように,緩やかなS字状の曲線であってもよいし,緩やかな円弧状の曲線であっても良い。
【0049】
図3(a)に示された実施形態では,フロントパッチ20の上端部202が,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点と一致していない。換言すると,各側縁辺(205,206)と,各側縁辺との交点における上縁辺201の接線のなす角θは,鈍角となっている(θ>90度)。例えば,θの角度は,95度〜135度,100度〜130度,又は105度〜110度であることが好ましい。なお,後述するように(例えば図4(a)に示されるように),フロントパッチ20の上端部202を,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点と一致させることもできる。図3(a)に示された実施形態のように,フロントパッチ20の上端部202が,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点と一致していない場合においては,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点と中央切り欠き部21の凹頂部211とを,緩やかなS字状の曲線により結ぶこととしても良い。これにより,フロントパッチ20の上縁辺201の全体を緩やかな曲線において構成することができる。従って,仮に着用者の腹部がフロントパッチ20の上縁辺201に接触した場合であっても,着用者に不要な圧迫感を与える事態を防止できる。フロントパッチ20の上端部202と,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点のズレの差は,例えば,0.5mm〜10mm,1mm〜8mm,2mm〜6mm,又は3mm〜4mmとすることができる。
【0050】
一方,フロントパッチ20の下縁辺203は,中央領域20aに下端部204が位置し,左側方領域20bに左下切り欠き部22が形成され,右側方領域20cに右下切り欠き部23が形成されている。左下切り欠き部22は,フロントパッチ20の左下角を切り欠くものであり,左下切り欠き部22の凹頂部221は左側方領域20bに位置する。同様に,右下切り欠き部23は,フロントパッチ20の右下角を切り欠くものであり,右下切り欠き部の凹頂部231は,フロントパッチ20の右側方領域20cに位置する。このように,左下切り欠き部22及び右下切り欠き部23が形成されることにより,フロントパッチ20の下縁辺203は,屈折又は湾曲する。図3(a)においては,フロントパッチ20の下縁辺203が湾曲した例が示されている。
【0051】
図3(a)の実施形態において,左下切り欠き部22の凹頂部221から左右方向に直線を引くと,その直線上には,実質的に右下切り欠き部23の凹頂部231が存在する。ただし,左下切り欠き部22の凹頂部221と右下切り欠き部23の凹頂部231は,上下方向に高低差を有するものであってもよい。
【0052】
図3(a)に示されるように,フロントパッチ20の下端部204は,中央領域20aに位置している。下端部204は,フロントパッチ20下縁辺203の中央に位置していることが好ましいが,中央領域20aに属する範囲内において左右方向に所定距離ずれた箇所に位置していてもよい。
【0053】
また,図3(a)に示されるように,フロントパッチ20の下縁辺203は,左下切り欠き部22の凹頂部221と,フロントパッチ20の下端部204と,右下切り欠き部23の凹頂部231とを結ぶ曲線を含むことが好ましい。下端部204と左下切り欠き部22の凹頂部221(又は右下切り欠き部23の凹頂部231)を繋ぐ曲線は,図3(a)に示されるように緩やかなS字状の曲線であってもよいし,緩やかな円弧状の曲線であっても良い。
【0054】
また,図3(a)に示された実施形態は,左下切り欠き部22の凹頂部221及び右下切り欠き部23の凹頂部231が,下縁辺203と各側縁辺(205,206)の交点に一致していない例である。換言すると,各側縁辺(205,206)と,各側縁辺との交点における下縁辺203の接線のなす角θは,鋭角となっている(θ<90度)。例えば,θの角度は,45度〜85度,50度〜80度,又は70度〜75度であることが好ましい。また,θの角度は,上記θの角度との和が,180度となるものであることが特に好ましい(θ+θ=180度)。ただし,θとθの和は,180度を超えるものであってもよい。このような場合においては,図3(a)に示されるように,下縁辺203と各側縁辺(205,206)の交点とフロントパッチ20の下端部204とを,緩やかなS字状の曲線により結ぶこととしても良い。これにより,フロントパッチ20の下縁辺203の全体を緩やかな曲線において構成することができる。従って,仮に着用者の両脚部の付け根がフロントパッチ20の下縁辺203に接触した場合であっても,着用者に対し不要な圧迫感を与えることがない。
【0055】
さらに,図3(a)に示されるように,上縁辺201と下縁辺203の形状は一致していることが好ましい。すなわち,上縁辺201の曲線と下縁辺203の曲線とは,同じ曲率で形成されることが好ましい。このように上縁辺201と下縁辺203の形状は一致させるためには,上縁辺201と下縁辺203を裁断する際に,同じ裁断刃(カッター)を使用すればよい。上縁辺201と下縁辺203の形状を一致させることより,フロントパッチ20をより効率良く生産することができる。
【0056】
次に,図3(b)を参照して,フロントパッチ20の形状の寸法の概略を説明する。ここでは,本発明を,大人用の使い捨ておむつに適用した場合の例について説明する。ただし,フロントパッチ20の形状の寸法は以下の説明に限定されるものではなく,適宜変更することにより,例えば,幼児用の使い捨ておむつにも適用することができる。
【0057】
図3(b)に示されるように,フロントパッチ20の左右方向の長さ(線分A)は,200mm〜600mmであることが好ましく,280mm〜500mmであることが特に好ましい。また,フロントパッチ20の上下方向の長さ,すなわちフロントパッチ20の上端部202から下端部204までの上下方向の長さ(線分B)は,100mm〜200mmであることが好ましく,140mm〜180mmであることが特に好ましい。ここで,フロントパッチ20の上下方向の長さ(線分B)は,その左右方向の長さ(線分A)に対して,20%〜60%の長さであることが好ましく,25%〜50%の長さであることが特に好ましい。
【0058】
図3(b)に示されるように,フロントパッチ20の上端部202から左右方向に延びる直線と,中央切り欠き部21の凹頂部211から左右方向に延びる直線の間の距離(線分C)は,5mm〜80mmや,10mm〜60mm,15mm〜50mmであることが好ましく,20mm〜40mmであることが特に好ましい。また,フロントパッチ20の左側縁辺205及び右側縁辺206の長さ(線分D)は,50mm〜200mmであることが好ましく,120mm〜160mmであることが特に好ましい。なお,左側縁辺205の長さと右側縁辺206の長さは,実質的に同一であることが好ましいが,一致していなくてもよい。ここで,フロントパッチ20の上端部202から中央切り欠き部21の凹頂部211までの上下方向の距離(線分C)は,フロントパッチ20の左側縁辺205及び右側縁辺206の長さ(線分D)に対して,1%〜50%や,10%〜40%の距離であることが好ましく,20%〜30%の距離であることが特に好ましい。
【0059】
図3(b)に示されるように,中央領域20aにおいて,中央切り欠き部21の凹頂部211から左右方向に延びる直線と,フロントパッチ20の下端部204から左右方向に延びる直線の間の距離(線分E)は,50mm〜200mmであることが好ましく,120mm〜160mmであることが特に好ましい。また,左側方領域20bにおいて,フロントパッチ20の上端部202から左右方向に延びる直線と,左下切り欠き部22の凹頂部211から左右方向に延びる直線の間の距離(線分F)は,50mm〜200mmであることが好ましく,120mm〜160mmであることが特に好ましい。また,右側方領域20cにおいて,フロントパッチ20の上端部202から左右方向に延びる直線と,右下切り欠き部23の凹頂部231から左右方向に延びる直線の間の距離(線分G)は,50mm〜200mmであることが好ましく,120mm〜160mmであることが特に好ましい。ここで,図3(b)に示された線分E,線分F,及び線分Gは,実質的に同一であってもよいし,異なるものであってもよい。例えば,線分F又は線分Gは,線分Eに対して,50%〜90%の距離であってもよいし,60%〜80%の距離とすることとしてもよい。また,線分Eと,線分Fと,線分Gは,フロントパッチ20の左側縁辺205及び右側縁辺206の長さ(線分D)と実質的に同じであってもよいし,異なるものであってもよい。
【0060】
また,中央領域20aにおいて,中央切り欠き部21の凹頂部211は,フロントパッチ20の上縁辺201の中央から,左右方向に所定距離ずれているものであってもよい。すなわち,中央切り欠き部21の凹頂部211から上下方向に延びる直線と左側縁辺205の間の距離(線分H)と,中央切り欠き部21の凹頂部211から上下方向に延びる直線と右側縁辺206の間の距離(線分I)は,異なるものであってもよい。例えば,線分Hは,線分Iに対して,70%〜90%の距離とすることとしてもよい。同様に,中央領域20aにおいて,フロントパッチ20の下端部204は,フロントパッチ20の下縁辺203の中央から,左右方向に所定距離ずれているものであってもよい。
【0061】
図3(b)に示されるように,フロントパッチ20の下端部204から左右方向に延びる直線と,左下切り欠き部22の凹頂部221(又は右下切り欠き部23の凹頂部231)から左右方向に延びる直線の間の距離(線分J)は,5mm〜80mmや,10mm〜60mm,15mm〜50mmであることが好ましく,20mm〜40mmであることが特に好ましい。ここで,フロントパッチ20の下端部204から左下切り欠き部22の凹頂部221(又は右下切り欠き部23の凹頂部231)までの上下方向の距離(線分J)は,フロントパッチ20の左側縁辺205及び右側縁辺206の長さ(線分D)に対して,1%〜50%や,10%〜40%の距離であることが好ましく,20%〜30%の距離であることが特に好ましい。
【0062】
また,図3(b)に示されるように,線分Cと線分Jの距離は,実質的に同一であることが好ましいが,両者は異なるものであってもよい。線分Cは,要するに,中央切り欠き部21の凹み幅であり,線分Jは,左下切り欠き部22及び右下切り欠き部23の凹み幅である。例えば,中央切り欠き部21の凹み幅は,左下切り欠き部22(又は右下切り欠き部23)の凹み幅より深いものであってもよい。
【0063】
また,図3(b)においては,フロントパッチ20の上端部202が,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点と一致していない。フロントパッチ20の上端部202から当該交点までの左右方向の距離(線分K)は,例えば,5mm〜50mmとすることが好ましく,20mm〜30mmであることが特に好ましい。また,図3(b)においては,左下切り欠き部22の凹頂部221及び右下切り欠き部23の凹頂部231が,下縁辺203と各側縁辺(205,206)の交点と一致していない。左下切り欠き部22の凹頂部221及び右下切り欠き部23の凹頂部231から当該交点までの左右方向の距離(L)は,例えば,5mm〜50mmとすることが好ましく,20mm〜30mmであることが特に好ましい。このように,例えば,フロントパッチ20の上端部202を,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点と一致させない構成とすることにより,フロントパッチ20の角部の角度を90度以上の直角又は鈍角とすることができるため,着用者の肌が接した場合であっても,着用者が違和感を覚えることがなくなる。
【0064】
図3(b)に示されるように,フロントパッチ20の上縁辺201側において,中央切り欠き部21の凹頂部211から上下方向に延びる直線と,フロントパッチ20の上端部202から上下方向に延びる直線の間の距離(線分M)は,50mm〜250mm,又は100mm〜200mmであることが好ましく,130mm〜170mmであることが特に好ましい。また,図3(b)に示されるように,フロントパッチ20の下縁辺203側において,フロントパッチ20の下端部204から上下方向に延びる直線と,左下切り欠き部22の凹頂部221(又は右下切り欠き部23の凹頂部231)から上下方向に延びる直線の間の距離(線分N)は,50mm〜250mm,又は100mm〜200mmであることが好ましく,130mm〜170mmであることが特に好ましい。上記線分Mと線分Nの距離は,同一であってもよいし,異なるものであってもよい。
【0065】
(2−2−2.フロントパッチの他の実施形態)
以下,図4から図7を参照して,フロントパッチ20の他の実施形態について説明する。
以下の実施形態の説明において,上述した実施形態と重複する箇所については説明を省略する。
【0066】
図4(a)に示された実施形態では,フロントパッチ20の上端部202が,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点と一致している。また,左下切り欠き部22の凹頂部221が,下縁辺203と左側縁辺205の交点と一致し,右下切り欠き部23の凹頂部231が,下縁辺203と右側縁辺206の交点と一致している。そして,フロントパッチ20の上端部202と,中央切り欠き部21の凹頂部211が,S字状の緩やかな曲線により結ばれている。同様に,フロントパッチ20の下端部204と左下切り欠き部22の凹頂部221,及び,フロントパッチ20の下端部204と右下切り欠き部23の凹頂部231も,S字状の緩やかな曲線により結ばれている。図4(a)に示された実施形態は,着用者の腹部や両脚部の形状に沿って,フロントパッチ20の上縁辺201及び下縁辺203が湾曲しているため,着用者に不要な違和感を与えることがなく好ましい。
【0067】
図4(b)に示された実施形態では,フロントパッチ20の上端部202が,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点と一致している。また,左下切り欠き部22の凹頂部221が,下縁辺203と左側縁辺205の交点と一致し,右下切り欠き部23の凹頂部231が,下縁辺203と右側縁辺206の交点と一致している。そして,フロントパッチ20の上縁辺201は,フロントパッチ20の上端部202と中央切り欠き部21の凹頂部211を通る緩やかな円弧状の曲線を描くようにして形成されている。また,フロントパッチ20の下縁辺203は,左下切り欠き部22の凹頂部221,フロントパッチ20の下端部204,及び右下切り欠き部23の凹頂部231を通る緩やかな円弧状の曲線を描くように形成されている。図4(b)に示された実施形態は,上縁辺201及び下縁辺203がシンプルな形状となっているため,フロントパッチ20を切断形成するに際して不切れを防止することができ,しかも大量生産しやすい。
【0068】
図4(c)に示された実施形態では,フロントパッチ20の上縁辺201において,その上端部202を,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点と一致させず,フロントパッチ20の角を丸く切り取った形状としている。また,フロントパッチ20の下縁辺203では,左下切り欠き部22において,フロントパッチ20の左下角を丸く切り取り,同様に,右下切り欠き部23において,フロントパッチ20の右下角を丸く切り取っている。このように,フロントパッチ20の四つ角を丸く切り欠くことにより,着用者の肌が接した場合であっても,その肌を傷つける危険性を最小限とすることができる。
【0069】
図4(d)に示された実施形態では,フロントパッチ20の上端部202,中央切り欠き部21の凹頂部211,左下切り欠き部22の凹頂部221,フロントパッチ20の下端部204,及び右下切り欠き部23の凹頂部231が,それぞれ,左右方向に平行な直線で形成されている。このため,フロントパッチ20の上縁辺201及び下縁辺203は,屈折した形状となっている。
【0070】
図5は,図4(a)〜(d)に示された形状において,フロントパッチ20の上縁辺201側に中央切り欠き部21を形成し,フロントパッチ20の下縁辺203側には,左下切り欠き部22及び右下切り欠き部23を形成しない状態の例を示している。図5(a)〜(d)は,それぞれ,図4(a)〜(d)に対応している。図5に示されるように,フロントパッチ20の上縁辺201側に中央切り欠き部21のみを形成することとしてもよい。
【0071】
一方,図6は,図4(a)〜(d)に示された形状において,フロントパッチ20の上縁辺201側には中央切り欠き部21を形成せず,フロントパッチ20の下縁辺203側に,左下切り欠き部22及び右下切り欠き部23を形成した状態の例を示している。図6(a)〜(d)は,それぞれ,図4(a)〜(d)に対応している。図6に示されるように,フロントパッチ20の下縁辺203側に,左下切り欠き部22及び右下切り欠き部23のみを形成することとしてもよい。
【0072】
図7では,フロントパッチ20のさらに別の実施形態を示している。図7(a)に示されるように,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203の形状を異なる形状とすることとしてもよい。例えば,図7(a)に示されるように,上縁辺201を,フロントパッチ20の内方に向かって凹む緩やかな円弧状に形成し,下縁辺203を,左下切り欠き部22の凹頂部221とフロントパッチ20の下端部204を繋ぐS字状の曲線,及び右下切り欠き部23の凹頂部231とフロントパッチ20の下端部204を繋ぐS字状の曲線により形成することとしてもよい。図7(a)に示される実施形態では,上縁辺201が腹部の形状に沿うようにして湾曲しており,かつ,下縁辺203も両脚部の形状に沿うように湾曲しているため,使い捨ておむつのフィット感を高めることができる。
【0073】
図7(b)に示される実施形態では,フロントパッチ20が,中央領域20aと,左側方領域20bと,右側方領域20cに分割して形成されている。つまり,中央領域20aが第1片となり,左側方領域20bが第2片となり,右側方領域20cが第3片となる。そして,第1片20aが,第2片20bと第3片20cと比較して下方にずれ込むことにより,中央切り欠き部21,左下切り欠き部22,及び右下切り欠き部23が形成される。このように,フロントパッチ20を,3つの領域に分割して設け,中央切り欠き部21,左下切り欠き部22,及び右下切り欠き部23を形成することとしてもよい。
【0074】
図7(c)に示された実施形態では,フロントパッチ20の上端部202と,中央切り欠き部21の凹頂部211が直線により繋がれている。また,フロントパッチ20の下端部204と左下切り欠き部22の凹頂部221,及びフロントパッチ20の下端部204と右下切り欠き部23の凹頂部231が,それぞれ直線により繋がれている。このように,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203は,直線を屈折させた形状であってもよい。
【0075】
図8は,さらに別の実施形態に係るフロントパッチ20を示している。図8に示される通り,フロントパッチ20の上縁辺201側には,中央切り欠き部21が形成され,凹頂部211が中央領域20aに位置している。また,フロントパッチ20の上端部202が,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点に位置している。このフロントパッチ20の上端部202と凹頂部211は,緩やかなS字状又は円弧状の曲線で結ばれる。ここで,図8に示された実施形態では,各側縁辺(205,206)と,各側縁辺との交点における上縁辺201の接線のなす角θが,鋭角となっている(θ<90度)。例えば,図8に示されたθの角度は,45度〜85度,50度〜80度,又は70度〜75度であることが好ましい。
【0076】
他方,フロントパッチ20の下縁辺側203には,中央領域20aに下端部204が位置し,左側方領域20bに左下切り欠き部22が形成され,右側方領域20cに右下切り欠き部23が形成されている。また,左下切り欠き部22の凹頂部221及び右下切り欠き部23の凹頂部231が,下縁辺203と各側縁辺(205,206)の交点に位置している。このフロントパッチ20の下端部204と凹頂部221,231は,緩やかなS字状又は円弧状の曲線で結ばれる。ここで,図8に示された実施形態では,各側縁辺(205,206)と,各側縁辺との交点における下縁辺203の接線のなす角θが,鈍角となっている(θ>90度)。例えば,図8に示されたθの角度は,95度〜135度,100度〜130度,又は105度〜110度であることが好ましい。また,θの角度は,上記θの角度との和が,180度となるものであることが特に好ましい(θ+θ=180度)。ただし,θとθの和は,180度を超えるものであってもよい。
【0077】
図8に示された実施形態のフロントパッチ20は,左右方向(フロントパッチの長手方向)に直線を引いた場合に,この直線と上縁辺201が,3点以上で交わらない。同様に,図8に示された実施形態のフロントパッチ20は,左右方向に直線を引いた場合に,この直線と下縁辺203が,3点以上で交わらない。つまり,上縁辺201と下縁辺203は,いずれの点の接線をとったとしても,この接線が,左右方向と平行にならないことが好ましい。このように,上縁辺201と下縁辺203において,左右方向と平行となる部分を作らないように設計することで,フロントパッチ20を製造する際に,シートの不切れを防止することができる。
すなわち,後述するように,フロントパッチ20を製造する際には,フロントパッチ20が長く連続したシート材を,上縁辺201及び下縁辺203に相当する位置で切断し,個々のフロントパッチ20に分離する。従って,上縁辺201と下縁辺203は,シート材の切断線に相当する。ここで,シート材の切断線(上縁辺201と下縁辺203)に,左右方向と平行な部分があると,シート材を切断するときに,その平行な部分において線圧が弱まる。このため,例えば,図4(d)に示された実施形態のように,上縁辺201が各側縁辺(205,206)に交わる点が,左右方向に平行であると,その平行な部分に,シート材の不切れが生じやすい。この点,図8に示された実施形態のフロントパッチ20では,上縁辺201と下縁辺203に,左右方向と平行となる部分が形成されない。このため,図8に示された実施形態によれば,上縁辺201と下縁辺203に相当する位置でシート材を切断する場合であっても,不切れが生じることなく,効率的にフロントパッチ20を製造し易くなる。
【0078】
(2−3.吸収体)
吸収体31は,着用者の尿を吸収し保持するための部材である。吸収体31は,着用者の尿や体液を吸収し保持ために,吸収性材料によって構成される。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;「SAP」),親水性シート等を採用することができる。フラッフパルプの例は,木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものである。高吸水性ポリマーの例は,ポリアクリル酸ナトリウムである。親水性シートとしては,例えば,ティシュ,吸収紙,親水化処理を行った不織布を用いることができる。
【0079】
吸収体31は,トップシート32とバックシート33の間に挟み込まれ,両シートの周縁部が封着されることによって,トップシート32とバックシート33との間に封入される。吸収体31の形状は,図示された形状に制限されるものではなく,例えば,矩形状,ひょうたん型,T字型とすることができる。図1や図2に示されたテープ型おむつ100では,吸収体31として砂時計型の吸収体を採用している。
【0080】
(2−4.トップシート)
トップシート32は,吸収体31の肌当接面側を被覆するように配置される液透過性のシートである。トップシート32は,尿などの液体を,その下面側に配置された吸収体31に浸透させる。
【0081】
トップシート32を構成する液透過性材料として,例えば,織布,不織布,多孔性フィルを採用することができる。特に,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
【0082】
トップシート32は,単一のシート材によって構成されていてもよいが,複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば,吸収体の表面部に配置されるシートと,サイ
ドフラップの部分に配置されるシートを組み合わせた構成であってもよい。
【0083】
(2−5.バックシート)
バックシート33は,吸収体31を肌非当接面側から被覆するように配置される液不透過性のシートである。バックシート33は,吸収体31により保持されている液体が,おむつ外部に漏洩してしまうことを防止する。
【0084】
バックシート33を構成する液不透過性材料としては,例えば,ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を採用することができる。特に,微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは,0.1μm程度の微細な孔が多数形成されており,液不透過性ではあるが透湿性を有するためおむつ内部の蒸れを防止することができるという点において好ましい。
【0085】
また,バックシート33の外表面には,バックシート33を補強し,その手触りを良くするために,カバーシート36を貼り合わせることとしてもよい。カバーシート36を形成する材料としては,例えば,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布,又は湿式不織布を用いることができる。
【0086】
(2−6.立体ギャザー)
立体ギャザー35は,着用者の排泄した尿などがおむつ外部へ漏出することを防止するための防漏壁として機能する部材である。立体ギャザー35は,トップシート32やバックシート33とは異なるサイドシート34により形成されることとしてもよい。例えば,サイドシート34の一端側をトップシート32の表面に固着し,他端側に立体ギャザー伸縮材41を伸長状態で配設する。これにより,立体ギャザー35は,立体ギャザー伸縮材41の収縮力により起立し,おむつの脚周り開口部等から尿などの液体が漏出するする横漏れを有効に防止することができる。
【0087】
立体ギャザー35は,股下部3からの漏れを防止するため,少なくとも股下部3に形成されていればよいが,後身頃1や前身頃2にかけて形成されていてもよい。また,立体ギャザー35は,股下部の左右側方に,少なくとも1対以上形成されていればよく,例えば,股下部の左右側方に2対以上形成することとしてもよい。
【0088】
(2−7.各種ギャザー)
本発明に係るテープ型の使い捨ておむつにおいては,上記立体ギャザー35の他に,脚部周りギャザー37や,腰周りギャザー38を形成することが好ましい。
【0089】
脚部周りギャザー37は,使い捨ておむつの脚部周りの開口部から,尿などの液体が漏出する事態を防止するための部材である。脚部周りの開口部に沿って,脚部周り伸縮材42が伸長状態で配置され,この脚部周り伸縮材42の収縮力を利用して,脚部周りギャザー37が形成される。これにより,脚周りに隙間が形成され難くなり,脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また,脚部周りギャザー37を形成すると,おむつを交換する際に吸収体31の両側で脚部周り伸縮材42が収縮するため,股下部3が全体として椀状に変形する。このため,尿や体液が椀状に形成された股下部3に溜まり,尿をこぼすことなく容易におむつの交換を行うこともできるようになる。
【0090】
例えば,図2に示す実施形態は,使い捨ておむつの脚部周りに,おむつの長手方向(上下方向)に沿って直線的な3本の脚部周り伸縮材42を配置した例である。この脚部周り伸縮材42は,例えば,糸ゴムや平ゴムによって構成されている。但し,脚部周り伸縮材42は,必ずしも直線的に配置する必要はなく,例えば,おむつの脚周り開口部のカーブに沿って曲線的に配置してもよい。
【0091】
また,腰周りギャザー38は,使い捨ておむつの腰周りの開口部からの尿漏れを防止するとともに,使い捨ておむつのフィット性を向上させ,おむつのずり下がりが防止するための部材である。腰周りの開口部にそって,腰周り伸縮材43が伸長状態で配置され,この腰周り伸縮材43の収縮力を利用して,腰周りギャザー38が形成される。これにより,使い捨ておむつの腰周り開口部が,着用者の腹部と背部に密着するため,尿漏するとともに,フィット感を向上させることができる。
【0092】
例えば,図2に示す実施形態は,使い捨ておむつの腰周りに,おむつの短手方向(左右方向)に沿って,直線的な4本の腰周り伸縮材43を配置した例である。この腰周り伸縮材43は,脚部周り伸縮材42と同様に,例えば,糸ゴムや平ゴムによって構成されている。
【0093】
上記した,脚部周り伸縮材42や腰周り伸縮材43としては,例えば,天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなるゴム,伸縮性ネット,伸縮性フィルム,伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)を採用することができる。これらの,伸縮材は,おむつの他の構成部材に対して,接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては,例えば,ホットメルト接着剤,その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし,ヒートシールのような熱や超音波等による溶着であってもよい。
(3.使い捨ておむつの製造方法)
【0094】
以下,本発明に係るテープ型おむつの製造方法の全体の流れを説明する。
まず,バックシート33の材料となる長尺のバックシート材の上面に,吸収体31を載置する。そして,これらの更に上面に,トップシート32の材料となる長尺のトップシート材を載置する。これにより,使い捨ておむつが連続して連なる中間体が生成される。この際,トップシート材に,サイドシート34の材料となる長尺のサイドシート材が貼り合わせ,サイドシート材に立体ギャザー伸縮材41を配設し,立体ギャザー35が形成することとしてもよい。
【0095】
このようにして得られた使い捨ておむつの中間体は,おむつの脚周り開口部に相当する部分を円弧状に切り抜いて切除(Rカット)し,脚周り開口部が形成される。その後,別ラインにおいて形成された止着テープ10とフロントパッチ20を,ぞれぞれ,後身頃1と前身頃2に貼り付ける。そして最後に,使い捨ておむつの中間体を,個々に切断することにより,テープ型おむつ100を製造することができる。
【0096】
次に,図9を参照して,フロントパッチ20を製造する方法について説明する。
特に,以下では,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203が同一の形状で湾曲している例について説明する。
【0097】
図9は,フロントパッチ20の製造工程を概略的に示した図である。図9に示されるように,製造ラインの上流には,フロントパッチ20の材料となる長尺のフロントパッチ材51が巻止められたフロントパッチロール52が位置している。このフロントパッチロール52から,フロントパッチ材51が引き出され,矢印Aの方向に沿って,製造ラインの下流へと運ばれる。フロントパッチロール52の下流には,裁断用カッターローラ53が位置している。裁断用カッターローラ53は回転軸を有し,矢印Bの方向に回転する。裁断用カッターローラ53は,製造ラインに沿って運ばれてきたフロントパッチ材51を,流れ方向と直交する方向に裁断して,個々のフロントパッチ20を形成する。
【0098】
ここで,裁断用カッターローラ53の切断刃54は,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203の形状に対応した形状で湾曲している。このため,1つの裁断用カッターローラ53を用いて,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203を裁断することが可能である。このように,上縁辺201と下縁辺203の形状が一致してれば,裁断用カッターローラ53を用いて効率的にフロントパッチ20を製造することが可能であるため,製造コストを削減することができるとともに,フロントパッチ20を製造するスピードを向上させることができる。
【0099】
なお,図示は省略するが,裁断用カッターローラ53は,平坦面を持つアンビルロールとの間にフロントパッチ材51を挟み込んで回転し,フロントパッチ材51を裁断するものであっても良い
【0100】
また,図9に示された実施形態においては,上縁辺201と下縁辺203が共に曲線により形成されたフロントパッチ20が示されている。
一方,例えば図4(d)に示された実施形態のように,フロントパッチ20の上縁辺201や下縁辺203が直線的に形成され,かつ,上縁辺201や下縁辺203の一部に左右方向に水平な箇所が存在すると,当該水平な箇所とそれ以外の箇所において,裁断の際の線圧が変化するため,フロントパッチ20を裁断するに際し,不切れの原因となる可能性がある。
この点,図8に示された実施形態のように,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203に左右方向に水平となる箇所が存在しない実施形態においては,フロントパッチ20を裁断するに際し不切れが発生しにくいという利点がある。特に,図8に示された実施形態では,上縁辺201と各側縁辺(205,206)の交点,及び下縁辺203と各側縁辺(205,206)の交点においても,左右方向に水平となることがない。
このため,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203を曲線により形成することにより,フロントパッチ20を個別に裁断する際の問題を解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明,乳幼児用,或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむに適用することができる。従って,本発明は,育児産業や介護産業等において好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0102】
1 後身頃
10 止着テープ
11 止着手段
2 前身頃
20 フロントパッチ
20a 中央領域
20b 左側方領域
20c 右側方領域
201 上縁辺
202 上端部
203 下縁辺
204 下端部
205 左側縁辺
206 右側縁辺
21 中央切り欠き部
211 中央切り欠き部の凹頂部
22 左下切り欠き部
221 左下切り欠き部の凹頂部
23 右下切り欠き部
231 右下切り欠き部の凹頂部
3 股下部
31 吸収体
32 トップシート
33 バックシート
34 サイドシート
35 立体ギャザー
36 カバーシート
37 脚部周りギャザー
38 腰周りギャザー
41 立体ギャザー伸縮材
42 脚部周り伸縮材
43 腰周り伸縮材
51 フロントパッチ材
52 フロントパッチロール
53 裁断用カッターローラ
54 切断部
100 使い捨ておむつ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後身頃(1),前身頃(2),及び前記後身頃(1)と前記前身頃(2)の間に位置する股下部(3)から構成され,
前記後身頃(1)に,前記後身頃(1)の左右の各側縁から延出するように止着テープ(10)が取り付けられ,
前記前身頃(2)に,前記止着テープ(10)を止め付けるためのフロントパッチ(20)が設けられたテープ型の使い捨ておむつにおいて,
前記フロントパッチ(20)を,中央領域(20a)と,前記中央領域よりも左側方に位置する左側方領域(20b)と,前記中央領域よりも右側方に位置する右側方領域(20c)に区分した場合に,
前記フロントパッチの上縁辺(201)側には,前記フロントパッチの内側方向に向かって凹む中央切り欠き部(21)が形成され,
前記中央切り欠き部(21)の凹頂部(211)は,前記中央領域(20a)に位置する
テープ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記左側方領域(20b)又は前記右側方領域(20c)には,前記フロントパッチの上端部(202)が位置し,
前記フロントパッチの上端部(202)から左右方向に延びる直線と,前記中央切り欠き部の凹頂部(211)から左右方向に延びる直線の間の距離は,5mm以上80mm以下である
請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記フロントパッチの上縁辺(201)は,前記中央切り欠き部(21)の凹頂部(211)と前記フロントパッチの上端部(202)を繋ぐ曲線を含む
請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記フロントパッチの下縁辺(203)側には,前記フロントパッチ(20)の左下角を切り欠いた左下切り欠き部(22)と,前記フロントパッチ(20)の右下角を切り欠いた右下切り欠き部(23)が形成され,
前記左下切り欠き部の凹頂部(221)は,前記左側方領域(20b)に位置し,
前記右下切り欠き部の凹頂部(231)は,前記右側方領域(20c)に位置する
請求項1から請求項3のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記中央領域(20a)には,前記フロントパッチの下端部(204)が位置し,
前記フロントパッチの下端部(204)から左右方向に延びる直線と,前記左下切り欠き部の凹頂部(221)から左右方向に延びる直線及び右下切り欠き部の凹頂部(231)から左右方向に延びる直線の間の距離は,5mm以上80mm以下である
請求項4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記フロントパッチの下縁辺(203)は,前記左下切り欠き部の凹頂部(221),前記フロントパッチの下端部(204),及び前記右下切り欠き部の凹頂部(231)を繋ぐ曲線を含む
請求項5に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記フロントパッチの上縁辺(201)を形成する曲線と,前記フロントパッチの下縁辺(203)を形成する曲線は,同一形状である
請求項6に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記フロントパッチ(20)は,前記中央領域(20a)と,前記左側方領域(20b)と,前記右側方領域(20c)に分割して形成されている
請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
後身頃(1),前身頃(2),及び前記後身頃(1)と前記前身頃(2)の間に位置する股下部(3)の各部から構成され,
前記後身頃(1)に,前記後身頃(1)の左右の各側縁から延出するように止着テープ(10)が取り付けられ,
前記前身頃(2)に,前記止着テープ(10)を止め付けるためのフロントパッチ(20)が設けられたテープ型の使い捨ておむつにおいて,
前記フロントパッチ(20)を,中央領域(20a)と,前記中央領域よりも左側方に位置する左側方領域(20b)と,前記中央領域よりも右側方に位置する右側方領域(20c)に区分した場合に,
前記フロントパッチの下縁辺(203)側には,前記フロントパッチ(20)の左下角を切り欠いた左下切り欠き部(22)と,前記フロントパッチ(20)の右下角を切り欠いた右下切り欠き部(23)が形成され,
前記左下切り欠き部の凹頂部(221)は,前記左側方領域(20b)に位置し,
前記右下切り欠き部の凹頂部(231)は,前記右側方領域(20c)に位置する
テープ型使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−46731(P2013−46731A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53777(P2012−53777)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【特許番号】特許第5011457号(P5011457)
【特許公報発行日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】