説明

ディスク用アクチュエータ

【課題】薄い信号線をアームに好適に保持する。
【解決手段】磁気ヘッド(H)からの信号線(W)を、アーム(1,2)の制振のためのダンピングプレート(3)とアーム(1,2)とで挟んで保持する。
【効果】アーム(1,2)に溝を設ける必要がなくなると共に信号線(W)を溝に入れる作業も必要がなくなる。凹部(1a,2a)に信号線(W)を嵌めるため、信号線(W)を正確に位置決め出来る。アーム(1,2)の表面を削れば凹部(1a,2a)を容易に形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク用アクチュエータに関し、さらに詳しくは、薄い信号線をアームに好適に保持することが出来るディスク用アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを保持するアームの面に制振材を固着して振動を抑制したディスク用アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
磁気ヘッドからの信号線は、アームの溝に入れられ、接着剤で固定されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−22631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気ヘッドからの信号線を入れる溝をアームに設ける方法には、薄い刃でアームに溝を切り入れる方法と、成形により溝を有する成形品を作りそれをアームに取り付ける方法とがある。
しかし、薄い刃で溝を切り込む方法では、溝を薄くするのに限界がある。他方、成形品をアームに取り付ける方法では、部品点数や加工工数が増え、コストアップになる。さらに、いずれの方法でも、薄い信号線を薄い溝に入れる作業が容易でない問題点がある。
そこで、本発明の目的は、薄い信号線をアームに好適に保持することが出来るディスク用アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、ヘッド(H)を保持するアーム(1,2)と該アーム(1,2)の面に固着したダンピングプレート(3)の間に、ヘッド(H)からの信号線(W)を挟んだことを特徴とするディスク用アクチュエータを提供する。
上記第1の観点によるディスク用アクチュエータでは、アームの制振のためのダンピングプレートとアームとで信号線を保持するため、アームに溝を設ける必要がなくなると共に信号線を溝に入れる作業も必要がなくなる。よって、薄い信号線をアームに好適に保持することが出来る。
【0006】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点によるディスク用アクチュエータにおいて、信号線(W)を挟むアーム(1,2)の面に信号線(W)が嵌る凹部(1a,2a)を設けると共に、アーム(1,2)の面にダンピングプレート(3)を固着するための粘着テープ(3a)の厚さと前記凹部(1a,2a)の深さを合わせた寸法を信号線(W)の厚さに近い厚さとしたことを特徴とするディスク用アクチュエータ(100)を提供する。
上記第2の観点によるディスク用アクチュエータでは、凹部に信号線を嵌めるため、信号線を正確に位置決め出来る。そして、アームの表面を削れば凹部を形成できるので、浅い凹部でも容易に形成することが出来る。
【0007】
第3の観点では、本発明は、前記第1の観点によるディスク用アクチュエータにおいて、アーム(1,2)の面にダンピングプレート(3)を固着するための粘着テープ(3a)の厚さを信号線(W)の厚さに近い厚さとしたことを特徴とするディスク用アクチュエータ(200)を提供する。
上記第3の観点によるディスク用アクチュエータ(200)では、信号線の厚さに近い厚さの粘着テープを用いればよく、アームに凹部を形成する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のディスク用アクチュエータによれば、アームの制振のためのダンピングプレートとアームとで信号線を挟んで保持するため、薄い信号線でもアームに好適に保持することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0010】
−実施例1−
図1は、実施例1に係るHDD(ハードディスクドライブ)用アクチュエータ100を示す正面図である。図2は、図1のA−A’断面図である。図3は、HDD用アクチュエータ100を示す上面図である。
このHDD用アクチュエータ100は、磁気ヘッドHを先端部に搭載する3枚のアーム1,2と、アーム1,2の両面に固着されたダンピングプレート3,4と、3枚のアーム1,2を保持するボディ5と、ボディ5を回動させる駆動力を発生するためのコイル6とを具備して構成される。
【0011】
アーム1,2には、凹部1a,2aが設けられている。
磁気ヘッドHから回路基板Bまでの信号線Wは、凹部1a,2aに嵌められた状態で、アーム1,2とダンピングプレート3で挟まれてアーム1,2に保持されている。なお、この状態で接着剤により信号線Wをアーム1,2に接着してもよい。
【0012】
具体例を示すと、アーム1は、厚さ0.5mmのステンレス板であり、ボディ2から突き出した長さは約40mmである。アーム2は、厚さ1mmのステンレス板であり、ボディ2から突き出した長さは約40mmである。凹部1a,2aの深さは0.05mmである。信号線Wの厚さは0.05mmである。ダンピングプレート3,4は、厚さ0.1mm,長さ約25mmのステンレス板であり、厚さ0.03mm,長さ約25mmの両面粘着テープによりアーム1,2に固着されている。
【0013】
実施例1に係るHDD用アクチュエータ100によれば、アーム1,2の制振のためのダンピングプレート3とアーム1,2とで挟んで信号線Wを保持するため、アーム1,2に溝を設ける必要がなくなると共に信号線Wを溝に入れる作業も必要がなくなる。また、凹部1a,2aに信号線Wを嵌めるため、信号線Wを正確に位置決め出来る。そして、アーム1,2の表面を削れば凹部1a,2aを形成できるので、凹部1a,2aが浅くても容易に形成することが出来る。
【0014】
−実施例2−
図4は、実施例2に係るHDD用アクチュエータ200を示す正面図である。図5は、図4のA−A’断面図である。図6は、HDD用アクチュエータ200を示す上面図である。
このHDD用アクチュエータ200は、磁気ヘッドHを先端部に搭載する3枚のアーム1,2と、アーム1,2の両面に固着されたダンピングプレート3,4と、3枚のアーム1,2を保持するボディ5と、ボディ5を回動させる駆動力を発生するためのコイル6とを具備して構成される。
【0015】
ダンピングプレート3は、信号線Wの厚さに近い厚さの両面粘着テープ3aによりアーム1,2に固着されている。ダンピングプレート4は、両面粘着テープ3aよりも薄い両面粘着テープによりアーム1に固着されている。
磁気ヘッドHから回路基板Bまでの信号線Wは、両面粘着テープ3aの厚さでアーム1,2とダンピングプレート3の間に生じた溝に嵌められた状態で、アーム1,2とダンピングプレート3で挟まれてアーム1,2に保持されている。なお、この状態で接着剤により信号線Wをアーム1,2に接着してもよい。
【0016】
具体例を示すと、アーム1は、厚さ0.5mmのステンレス板であり、ボディ2から突き出した長さは約40mmである。アーム2は、厚さ1mmのステンレス板であり、ボディ2から突き出した長さは約40mmである。信号線Wの厚さは0.05mmである。ダンピングプレート3は、厚さ0.1mm,長さ約25mmのステンレス板であり、厚さ0.05mm,長さ約25mmの両面粘着テープによりアーム1,2に固着されている。ダンピングプレート4は、厚さ0.1mm,長さ約25mmのステンレス板であり、厚さ0.03mm,長さ約25mmの両面粘着テープによりアーム1に固着されている。
【0017】
実施例2に係るHDD用アクチュエータ200によれば、アーム1,2の制振のためのダンピングプレート3とアーム1,2とで挟んで信号線Wを保持するため、アーム1,2に溝や凹部を設ける必要がなくなると共に信号線Wを溝に入れる作業も必要がなくなる。また、両面粘着テープ3aの厚さでアーム1,2とダンピングプレート3の間に生じた溝に信号線Wを嵌めるため、信号線Wを正確に位置決め出来る。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明のディスク用アクチュエータは、ハードディスク用アクチュエータ,光ディスク用アクチュエータまたは光磁気ディスク用アクチュエータとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1に係るHDD用アクチュエータを示す正面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】実施例1に係るHDD用アクチュエータを示す上面図である。
【図4】実施例2に係るHDD用アクチュエータを示す正面図である。
【図5】図4のA−A’断面図である。
【図6】実施例2に係るHDD用アクチュエータを示す上面図である。
【符号の説明】
【0020】
1,2 アーム
1a,2a 凹部
3,4 ダンピングプレート
3a 両面粘着テープ
5 ボディ
6 コイル
100,200 HDD用アクチュエータ
H 磁気ヘッド
W 信号線
B 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド(H)を保持するアーム(1,2)と該アーム(1,2)の面に固着したダンピングプレート(3)の間に、ヘッド(H)からの信号線(W)を挟んだことを特徴とするディスク用アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク用アクチュエータにおいて、信号線(W)を挟むアーム(1,2)の面に信号線(W)が嵌る凹部(1a,2a)を設けると共に、アーム(1,2)の面にダンピングプレート(3)を固着するための粘着テープ(3a)の厚さと前記凹部(1a,2a)の深さを合わせた寸法を信号線(W)の厚さに近い厚さとしたことを特徴とするディスク用アクチュエータ(100)。
【請求項3】
請求項1に記載のディスク用アクチュエータにおいて、アーム(1,2)の面にダンピングプレート(3)を固着するための粘着テープ(3a)の厚さを信号線(W)の厚さに近い厚さとしたことを特徴とするディスク用アクチュエータ(200)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−129097(P2010−129097A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298900(P2008−298900)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【Fターム(参考)】