説明

ディスク装置

【課題】長期に渡ってローディングローラーへの埃や砂塵の付着を防止することができるディスク装置を提供する。
【解決手段】ローディングローラー21に接触して該ローラー21の付着物を除去するクリーニング部材51と、除去された付着物が溜まる溜まり部となる底板部53とを備え、底板部53とローディングローラー21とを離間させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク挿入口に挿入されたディスクをローディングローラーで搬送するディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置には、ディスク挿入口に挿入されたディスクをローディングローラーで搬送するスロットイン方式がある。スロットイン方式のディスク装置は、ディスクトレー方式と比べて、ユーザーのディスク出し入れ作業が容易であるため、車両に搭載される車載用ディスク装置に多く採用されている。
この種のディスク装置は、埃や砂塵等が舞う外気に晒されるため、ディスク挿入口から埃や砂塵等が入り、ディスク挿入口付近に設置されるローディングローラーに付着してしまうおそれがある。これに対応すべく、ローディングローラーに接するように繊維布を配置し、この繊維布によって埃や砂塵を取り除く構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−242073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の構成では、ローディングローラーの左右両側外側面と下面外周面とが繊維布に接触しており、ローラーから取り除かれた埃や砂塵がローラーの下側外周面に付着してしまうおそれがあった。特に長期使用により埃や砂塵が溜まると、ローディングローラーに埃や砂塵が再付着する可能性が高くなり、再付着した埃や砂塵がディスクに付着するおそれが高い。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、長期に渡ってローディングローラーへの埃や砂塵の付着を防止することができるディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ディスク挿入口に挿入されたディスクをローディングローラーで搬送する搬送機構を有するディスク装置において、前記ローディングローラーに接触して該ローラーの付着物を除去するクリーニング部材と、前記除去された付着物が溜まる溜まり部とを備え、前記溜まり部と前記ローディングローラーとを離間させたことを特徴とする。
この構成によれば、ローディングローラーに接触して該ローラーの付着物を除去するクリーニング部材と、除去された付着物が溜まる溜まり部とを備え、前記溜まり部と前記ローディングローラーとを離間させたので、長期に渡ってローディングローラーへの埃や砂塵の付着を防止することができる。
【0006】
上記構成において、前記溜まり部の底面と前記ローディングローラーとが離間するようにしても良い。また、上記構成において、前記ディスクがクランプ位置へ移動した場合に前記ローディングローラーが前記ディスクから待避し、前記クリーニング部材は、待避した前記ローディングローラーから付着物を除去するようにしても良い。
【0007】
また、上記構成において、前記搬送機構の駆動力を、待避した前記ローディングローラーに伝達して該ローラーを回転駆動させる動力伝達部材を設けるようにしても良い。また、上記構成において、前記クリーニング部材は、待避した前記ローディングローラーを囲うローラー囲い体を構成し、前記ローラー囲い体の壁部が前記ローラーに接触して付着物を落下させ、前記ローラー囲い体の底部が前記溜まり部を構成するようにしても良い。
【0008】
また、上記構成において、前記ローラー囲い体における前記ローディングローラーの出入口は、移動する前記ローディングローラーによって開閉される開閉部に形成されるようにしても良い。また、上記構成において、前記開閉部は、前記ローディングローラーを前記ローラー囲い体内に案内するガイドを有するようにしても良い。また、上記構成において、前記開閉部は、先細りのテーパー形状に形成されるようにしても良いし、前記クリーニング部材は、表面に凹凸を有する弾性部材で形成されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ローディングローラーに接触して該ローラーの付着物を除去するクリーニング部材と、除去された付着物が溜まる溜まり部とを備え、前記溜まり部と前記ローディングローラーとを離間させたので、長期に渡ってローディングローラーへの埃や砂塵の付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るディスク装置を示す図である。
【図2】ディスク装置の本体の内部構成を示す図である。
【図3】(A)はローディングローラーがディスク搬送位置に移動した場合の周辺構成を側方から見た図であり、(B)はローディングローラーがディスク待避位置へ移動した場合の周辺構成を側方から見た図である。
【図4】クリーニング部材51の断面を示す模式図である。
【図5】ディスク挿入時のクリーニング動作説明用のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るディスク装置10を示す図である。なお、以下の説明において、上下、左右および前後といった方向は、ディスク装置10を基準とした方向を言う。
このディスク装置10は、車両に搭載されるカーナビゲーション装置やオーディオ再生装置に使用される車載用ディスク装置(車載機器)であり、上下の高さが抑えられた薄型の本体1を有し、CD、DVD等の記録媒体となるディスク2を本体1内に引き込み、そのディスク2に記録された情報を再生し、または、ディスク2に情報を記録する。
本体1は、板金製のシャーシ3を備え、このシャーシ3の前面には樹脂製の前面パネル4が取り付けられ、この前面パネル4が車室内に露出する。この前面パネル4には、横長のスリット状に形成されたディスク挿入口4Aが設けられ、このディスク挿入口4Aを介してディスク2が本体1内に挿入されるとともに、本体1内から外(車室内)に排出することができる。
【0012】
図2は本体1の内部構成を示している。なお、図2では説明を分かりやすくするため、前面パネル4等を取り外している。
シャーシ3には、ディスク挿入口4A(図1参照)と本体1内との間でディスク2を搬送するローディングローラー21と、ローディングローラー21を回転駆動してディスク2を搬送する搬送機構22と、本体11内のディスク2をクランプして回転駆動し、再生や記録等を行うためのドライブユニット27等が配置されている。
シャーシ3は、メインシャーシ5とメインシャーシ5の上方を覆うアッパーシャーシ7(図1参照)とを備え、メインシャーシ5とアッパーシャーシ7との間に、ディスク挿入口4Aに挿入されたディスク2が搬送され、再生や記録が行われる空間を形成する。
【0013】
ドライブユニット27は、複数の防振部材80を介してメインシャーシ5にフローティング支持され、ディスク2をクランプするクランプ機構、クランプされたディスク2を回転駆動するドライブ機構、及び、回転するディスク2の再生/記録を行う機構を一体に備えたユニットに形成されている。
より具体的には、ドライブユニット27は、メインシャーシ5との間に防振部材80を介してフローティング支持されるフローティングシャーシ31と、フローティングシャーシ31の後端部の両側にヒンジ32で連結され、先端33Aを閉じる方向にばね付勢されて、フローティングシャーシ31と協働してディスク2を挟持するスイングプレート33と、狭持されたディスク2を回転駆動するディスク駆動部35と、ディスク2にレーザー光を照射して情報の読み取り/記録を行う不図示の光ピックアップとを備えている。
スイングプレート33の先端33Aにはマグネット入りの回転板37が支持され、回転板37に対向するターンテーブル41が、フローティングシャーシ31に支持される。そして、ディスク2が挿入されてスイングプレート33が閉じると、先端33Aの回転板37とターンテーブル41とでディスク2が挟持(クランプ(チャッキングとも言う))され、ディスク駆動部35によりターンテーブル41で回転駆動され、ディスク2が回転する。
【0014】
メインシャーシ5の前部には、板状のシャーシ前部6が設けられ、このシャーシ前部6に前面パネル4が取り付けられ、この前面パネル4のディスク挿入口4A(図1参照)の近傍に、ディスク2を搬送するローディングローラー21が配設されている。
ローディングローラー21は、ディスク挿入口4Aに挿入されたディスク2を本体1内に搬送したり、本体1内のディスク2をディスク挿入口4Aに排出させたりする駆動ローラーであり、ディスク挿入口4Aの幅方向に渡って延在している。
このローディングローラー21は、ローラープレート45に回転自在に支持されており、ローラープレート45は、左右一対の支軸45Aがメインシャーシ5の左右側壁5Aに回動自在に支持され、これによって、支軸45Aを支点にして上下に揺動可能に設けられている。
【0015】
このローラープレート45は、不図示のローラープレート駆動機構によって支軸45Aを支点に上下に揺動駆動され、ローディングローラー21を、ディスク2に当接させてディスク2を搬送させるディスク搬送位置に移動させ、また、ディスク2の下方に待避させてディスク2のクランプや回転を妨げないディスク待避位置に移動させる。
本ディスク装置10では、各部を制御する制御部50(図3参照)を備え、この制御部50の制御の下、ディスク2が挿入されていない場合には、ローディングローラー21がディスク待避位置に待避し、ディスク2が挿入された場合にローディングローラー21がディスク搬送位置に移動し、ディスク2を本体1内に搬送し、本体1内のクランプ位置(回転、再生・記録位置)に搬送すると、ディスク待避位置に待避する。その後、イジェクト指示によってディスク2の排出が指示されると、ローディングローラー21がディスク搬送位置に移動し、逆回転することによって本体1内のディスク2を本体1外に排出した後、ディスク待避位置に移動する。
このようにして、ローディングローラー21は、ディスク搬送時以外は、ディスク待避位置に待避している。なお、ローラープレート駆動機構は公知の機構を広く適用することができる。
【0016】
図3(A)はローディングローラー21がディスク搬送位置に移動した場合の周辺構成を側方から見た図であり、図3(B)はローディングローラー21がディスク待避位置へ移動した場合の周辺構成を側方から見た図である。
図3(A)(B)には、ローディングローラー21を回転駆動する搬送機構22を示している。この搬送機構22は、メインシャーシ5に固定されたローラー駆動モータ23の駆動力を、複数の歯車を介してローディングローラー21に伝達する歯車伝達機構24を有している。
歯車伝達機構24は、ローラー駆動モータ23によって駆動される駆動歯車24Aと、ローディングローラー21と一体に回転する被動歯車24Bと、図3(A)に示すディスク搬送位置で、駆動歯車24Aの回転を被動歯車24Bに伝達する第1中間歯車24Cとを有している。
【0017】
この構成により、図3(A)に示すディスク搬送位置では、モータ駆動力が、駆動歯車24A、第1中間歯車24Cおよび被動歯車24Bを順に経てローディングローラー21に伝達され、ローディングローラー21の回転によりディスク2を搬送することができる。この場合、ローディングローラー21の回転方向を切り換えることによって、ディスク2の搬送方向を切り換えることができ、つまり、ディスク2を本体1内に搬送するか、本体1外に搬送(排出)するかを切り換えることができる。
第1中間歯車24Cは、図3(A)(B)に示すように、メインシャーシ5に回転自在に固定される歯車であって、駆動歯車24Aに比して高い位置で駆動歯車24Aと常時噛み合う単一の歯車である。このため、ローディングローラー21とともに高い位置(ディスク搬送位置)に移動した被動歯車24Bに噛み合い、低い位置(ディスク待避位置)に移動した被動歯車24Bとは噛み合わない。
【0018】
図3(B)に示すように、ディスク搬送位置からディスク待避位置に移動すると、被動歯車24Bが第1中間歯車24Cの下方に移動するので、被動歯車24Bと第1中間歯車24Cとの噛み合いが外れる。
ここで、一般のディスク装置ではディスク待避位置に移動したローディングローラーを回転させることができない。
これに対し、本実施形態のディスク装置10は、図3(B)に示すように、被動歯車24Bと第1中間歯車24Cとの噛み合いが外れている場合に、駆動歯車24Aの回転を被動歯車24Bに伝達する動力伝達部材として機能する第2中間歯車24Dを備えており、この第2中間歯車24Dを介してモータ駆動力でローディングローラー21を回転することができる。
この第2中間歯車24Dは、メインシャーシ5に回転自在に固定される歯車であって、駆動歯車24Aを基準にして第1中間歯車24Cと上下方向で反対側(つまり下側)に位置し、駆動歯車24Aと常時噛み合う単一の歯車となっている。この構成により、ディスク待避位置でも、モータ駆動力を、駆動歯車24A、第2中間歯車24Dおよび被動歯車24Bを順に経てローディングローラー21に伝達することができ、ローディングローラー21を回転させることができる。
【0019】
さらに、本実施形態のディスク装置1は、ローディングローラー21がディスク待避位置に移動した場合に、ローディングローラー21に接触して該ローラー21の付着物を除去するクリーニング部材51を備えている。
図4は、クリーニング部材51の断面を示す模式図である。この図においては、ディスク待避位置のローディングローラー21を実線で示し、ディスク搬送位置のローディングローラー21を二点鎖線で示している。また、図中、符号45Bは、ローラープレート45の回動軸線(支軸45Aの軸線に相当)を示している。
このクリーニング部材51は、ローディングローラー21との接触によりローラー表面の埃や砂塵等の付着物を除去できる微少な凹凸等を備えた表面を有し、且つ、弾性を有する素材で形成されており、本実施形態ではゴムスポンジで形成されている。ゴムスポンジはそれ自体が多孔であるため、別途表面加工をしなくてもローラー表面の付着物を除去でき、材料コストも低い、というメリットがある。なお、ゴムスポンジに限らず、上記要件を満たす他の素材を適用しても良い。
【0020】
クリーニング部材51は、上方が開口し、ディスク待避位置に移動したローディングローラー21を囲うローラー囲い体52を構成している。
より具体的には、クリーニング部材51は、待避したローディングローラー21の下方で、ローディングローラー21の幅全体に渡って延在する平板状の底板部(底板)53と、待避したローディングローラー21に接触する間隔(ローディングローラー21の直径に相当する水平距離)で底板部53から立設する前後一対の壁部54(前壁部54A、後壁部54B)と、前後一対の壁部54A,54B間の上方開口を開閉自在に覆う開閉蓋となる前後一対の蓋部55(前蓋部55A、後蓋部55B)とを一体に備えている。なお、図示はされていないが、底板部53と前後一対の壁部54A,54Bとの間の左右の開口を閉塞する左右一対の壁部も一体に備えている。
【0021】
図4に示すように、ローディングローラー21がディスク搬送位置(二点鎖線の位置)にある場合には、ローディングローラー21がクリーニング部材51の上方に離れ、ローディングローラー21の回転駆動をクリーニング部材51が妨げない。一方、ローディングローラー21がディスク待避位置(実線の位置)に移動すると、ローディングローラー21が、前後一対の蓋部55A,55Bを弾性変形させてクリーニング部材51内に入る。このディスク待避位置では、ローディングローラー21の表面が前後一対の壁部54A,54Bに接触し、この接触部分がローラー表面の付着物を取り除く第1除去部(図4中、符号αで示す破線領域)として機能する。
また、本実施形態では、この状態で、第2中間歯車24Dを利用して、モータ駆動力でローディングローラー21を回転駆動させている。このため、ローラー表面全体を前後一対の壁部54A,54B(=第1除去部α)に接触させ、ローラー表面全体の付着物を効率よく除去することができる。
【0022】
この場合、ローラー表面から除去された付着物は、重力により下方に落下するので、底板部53の上に溜まり、底板部53が付着物を溜める溜まり部として機能する。
この底板部53は、ディスク待避位置に移動したローディングローラー21よりも下方に位置し、ローディングローラー21下端との間に所定のクリアランスL1を空けている。このクリアランスL1を空ける分、底板部53の底面53A上に溜まった付着物がローディングローラー21に再付着してしまうことを避けることができる。例えば、このクリアランスL1は、ディスク装置1の通常使用範囲内で溜まると予想される埃や砂塵(付着物)が、ローディングローラー21に非接触となるのに十分な距離に設定されている。
【0023】
前後一対の蓋部55A,55Bについて説明する。図4に示すように、前後一対の蓋部55A,55Bは、ローディングローラー21の直径よりも狭い隙間L2を空けて設けられ、ディスク待避位置のローディングローラー21を覆い、クリーニング部材51内に溜まった埃や砂塵、及び、ローラー表面から除去中の埃や砂塵が外部に出るのを遮蔽する。また、この隙間L2を空ける分、ローディングローラー21が出入りし易くなるとともに、蓋部55A,55Bの長さが短くなり、ローディングローラー21がクリーニング部材51内に入る際、クリーニング部材51に蓋部55A,55Bが巻き込んでいかないようにすることができる。
【0024】
前後一対の蓋部55A,55Bは、側断面視で互いに左右対称形状であり、基端部55Dから先端部55Eに行くに従って細くなる先細りのテーパー形状に形成されている。このため、先端ほど変形し易く、ローディングローラー21が容易に押し拡げて出入りすることができる。
各蓋部55A,55Bの上面55Uは、基端部55Dから先端部55Eに向かって下方(クリーニング部材51の内側)に傾斜する傾斜面に形成されており、ディスク搬送位置からディスク待避位置へ移動する際に、ローディングローラー21をクリーニング部材51内に円滑に案内するガイドとして機能する。しかも、これら上面55Uは、ローディングローラー21の表面に接触するので、移動中のローディングローラー21表面の付着物を除去する第2除去部として機能する。なお、この上面55Uで除去された付着物は、上面55Uの傾斜によってクリーニング部材51内に案内される。
【0025】
各蓋部55A,55Bの下面55Lは、水平面に形成されており、クリーニング部材51内の埃や砂塵が外部に出るのを遮断する。また、各下面55Lは、ローディングローラー21がクリーニング部材51外へ移動する際に、ローディングローラー21の表面に接触するので、ローディングローラー21に残留する付着物を除去する第3除去部としても機能する。これによって、ローディングローラー21の付着物を確実に除去し、クリーニング部材51内に溜めておくことができる。
【0026】
次いで、ディスク挿入時のクリーニング動作を説明する。図5はこの動作を説明するフローチャートである。
ディスク装置10のディスク挿入口4Aにディスク2が挿入されると(ステップS1)、制御部50は、不図示のセンサによりディスク挿入を検知し、ローディングローラー21をディスク搬送位置に移動し、ローラー駆動モータ23によりローディングローラー21を回転させる(ステップS2)。
続いて、制御部50は、ディスク2がクランプ(チャッキング)位置へ移動すると、ローディングローラー21をディスク待避位置へ移動し、ディスク2をクランプし規定の読み込み動作等を開始する(ステップS3)。
【0027】
この場合、制御部50は、ローラー駆動モータ23の駆動を継続することにより、第2中間歯車24Dを介してローディングローラー21へもモータ駆動伝達が継続し、ローディングローラー21が回転したままとなる。
ディスク待避位置へ移動する際、ローディングローラー21は、クリーニング部材51の蓋部55A,55Bの上面55Uと、前後一対の壁部54A,54Bとに接触するので、各接触部位でローラー表面をクリーニングすることができる(ステップS4)。
【0028】
ローディングローラー21がディスク待避位置へ移動すると、制御部50は、所定のクリーニング時間の経過を待ってローラー駆動モータ23の駆動を停止し、クリーニングを終了させる(ステップS5)。なお、クリーニング終了後は、従来と同様に、ローディングローラー21はディスク待避位置に保持される。
また、ディスク排出時にも、ローディングローラー21がディスクを排出するまでの間にローラークリーニングが行われる。具体的には、イジェクト指示によってディスク2の排出が指示されると、制御部50は、ローラー駆動モータ23によってローディングローラー21を回転させながら、ローディングローラー21をディスク搬送位置へと移動する。
【0029】
このとき、回転するローディングローラー21が前後一対の壁部54A,54Bと、各蓋部55A,55Bの下面55Lとに接触するので、かかる接触部位でローラー表面をクリーニングすることができる。
また、ディスク排出時は、ディスク挿入時とローラー駆動モータ23の回転方向が逆であるため、ディスク挿入時と逆回転でローラークリーニングすることができる。従って、ローラー表面に残留する付着物があっても、ディスク排出時に効果的に除去することができる。以上がローディングローラー21のクリーニング動作である。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態では、図4に示すように、ローディングローラー21に接触して該ローラー21の付着物を除去するクリーニング部材51と、除去された付着物が溜まる溜まり部となる底板部(底部)53とを備え、底板部53とローディングローラー21とをクリアランスL1を空けて離間させているので、底板部53に溜まった埃や砂塵がローディングローラー21に接触して再付着する事態を避けることができる。従って、長期に渡ってローディングローラー21への埃や砂塵の付着を防止することが可能である。
しかも、底板部53の底面53Aとローディングローラー21とが離間するので、ローディングローラー21から下方に落下した埃や砂塵がローディングローラー21に再付着する事態を効果的に避けることができる。
さらに、クリーニング部材51の前後一対の壁部54A,54Bについても、ローディングローラー21の下半領域には接触せず、これによっても、クリーニング部材51内の埃や砂塵がローディングローラー21に再付着する事態を効果的に避けることができる。
【0031】
また、ディスク2がクランプ位置へ移動した場合にローディングローラー21がディスク2から待避し、クリーニング部材51が、待避したローディングローラー21から付着物を除去するので、ディスク搬送をしない期間を利用してローディングローラー21をクリーニングすることができる。このディスク搬送をしない期間は、ディスク搬送を行う場合に比して、ローディングローラー21の移動や回転に要するトルクに余裕があるので、移動や回転のための駆動力を増大させずにローラークリーニングを行うことができ、モータ能力の増大や減速比を大きくする等の設計変形を回避することができる。
また、クリーニング部材51は、待避したローディングローラー21を囲うローラー囲い体52を構成し、ローラー囲い体52の壁部54A,54Bがローラー21に接触して付着物を落下させ、ローラー囲い体52の底板部53が溜まり部を構成しているので、ローディングローラー21から除去した埃や砂塵を外部に出にくくすることができ、これによっても、長期に渡ってローディングローラー21等への埃や砂塵の付着を防止することができる。
【0032】
また、本構成では、ディスク2をローディングローラー21で搬送する搬送機構22の駆動力(ローラー駆動モータ23の駆動力)を、待避したローディングローラー21に伝達して該ローラー21を回転駆動させる動力伝達部材となる第2中間歯車24Dを備えるので、待避したローディングローラー21を回転させてクリーニング部材51でクリーニングすることができ、既存の駆動力を利用して、ローラー表面全体の付着物を効率よく除去することができる。
さらに、ローラー囲い体52におけるローディングローラー21の出入口は、移動するローディングローラー21によって開閉される開閉部である一対の壁部54A,54Bに形成されているので、ローディングローラー21の出入口を開閉させる特別な機構が不要で、かつ、一対の壁部54A,54Bによってローラー囲い体52内の埃や砂塵を外部に出にくくすることができる。しかも、この一対の壁部54A,54Bとローディングローラー21との接触によっても、ローラークリーニングを行うことができる。
【0033】
さらに、上記一対の壁部54A,54Bは、ローディングローラー21をローラー囲い体52内に案内するガイドとなるように上面55Uを傾斜面にしているので、ローディングローラー21を円滑にローラー囲い体52内に案内することができる。
また、一対の壁部54A,54Bは、先細りのテーパー形状でもあるため、先端を鋭角に設けることができ、ローラー21がクリーニング部材51を出るときにローラー表面に残る塵や砂塵を除去することができる。
さらに、一対の壁部54A,54B間に隙間L2を空けているので、ローディングローラー21が出入りし易くなるとともに、蓋部55A,55Bの長さが短くなり、ローディングローラー21がクリーニング部材51内に入る際に蓋部55A,55Bが巻き込んでいかないようにすることができる。
また、クリーニング部材51は、表面に凹凸を有する弾性部材で形成されるので、ローディングローラー21との接触によりローラー表面の埃や砂塵等の付着物を効率よく除去することができる。
【0034】
上述した実施形態は、あくまで本発明の一態様に過ぎず、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、クリーニング部材51が、ローラーの付着物を除去する除去部(前後一対の壁部54A,54B等)と、除去された付着物が溜まる溜まり部(底板部53)とを一体に備える場合を説明したが、別体で構成しても良い。また、上述の実施形態では、車載用のディスク装置10に本発明を適用する場合を説明したが、車載以外のディスク装置10に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0035】
2 ディスク
4 前面パネル
4A ディスク挿入口
10 ディスク装置
21 ローディングローラー
22 搬送機構
23 ローラー駆動モータ
24 歯車伝達機構
50 制御部
51 クリーニング部材
52 ローラー囲い体
53 底板部(溜まり部)
53A 底面
54,54A,54B 壁部
54,54A,54B 蓋部(開閉部)
55U 上面(ガイド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入口に挿入されたディスクをローディングローラーで搬送する搬送機構を有するディスク装置において、
前記ローディングローラーに接触して該ローラーの付着物を除去するクリーニング部材と、前記除去された付着物が溜まる溜まり部とを備え、前記溜まり部と前記ローディングローラーとを離間させたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記溜まり部の底面と前記ローディングローラーとが離間することを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記ディスクがクランプ位置へ移動した場合に前記ローディングローラーが前記ディスクから待避し、前記クリーニング部材は、待避した前記ローディングローラーから付着物を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記搬送機構の駆動力を、待避した前記ローディングローラーに伝達して該ローラーを回転駆動させる動力伝達部材を設けたことを特徴とする請求項3に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記クリーニング部材は、待避した前記ローディングローラーを囲うローラー囲い体を構成し、前記ローラー囲い体の壁部が前記ローラーに接触して付着物を落下させ、前記ローラー囲い体の底部が前記溜まり部を構成することを特徴とする請求項3又は4に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記ローラー囲い体における前記ローディングローラーの出入口は、移動する前記ローディングローラーによって開閉される開閉部に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記開閉部は、前記ローディングローラーを前記ローラー囲い体内に案内するガイドを有することを特徴とする請求項6に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記開閉部は、先細りのテーパー形状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のディスク装置。
【請求項9】
前記クリーニング部材は、表面に凹凸を有する弾性部材で形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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