ディスポーザ
【課題】使用者の意思,選択に基づいて通常運転及び静寂運転の何れをも行い得、使用に際しての制約を軽減することのできるディスポーザを提供する。
【解決手段】モータ32にて回転板26を回転させて、回転板26に回動可能に設けられたハンマー36と固定刃28とで生ごみを粉砕し排出するディスポーザ12を、回転板26を一定方向に高速回転させて生ごみを粉砕する通常運転モードと、回転板26を通常運転モードよりも低速回転させ且つ正回転駆動と逆回転駆動とを設定時間毎に交互に繰返して生ごみを粉砕する静粛運転モードとの何れかを実行するものとなすとともに、蓋54の回転操作によってそれら通常運転モードと静粛運転モードとを選択するようになす。
【解決手段】モータ32にて回転板26を回転させて、回転板26に回動可能に設けられたハンマー36と固定刃28とで生ごみを粉砕し排出するディスポーザ12を、回転板26を一定方向に高速回転させて生ごみを粉砕する通常運転モードと、回転板26を通常運転モードよりも低速回転させ且つ正回転駆動と逆回転駆動とを設定時間毎に交互に繰返して生ごみを粉砕する静粛運転モードとの何れかを実行するものとなすとともに、蓋54の回転操作によってそれら通常運転モードと静粛運転モードとを選択するようになす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は回転板を回転させて生ごみを粉砕し排出するディスポーザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、キッチンで発生した生ごみを処理するための生ごみ処理装置として各種のものが提案されている。
ディスポーザはその代表的なものであって、このディスポーザはキッチンのシンクの下側且つキャビネット内に設けられ、投入された生ごみを給水下でハンマーによりすり潰して微粉砕し、そしてその粉砕物を排水とともに排出口から排出する。
【0003】
例えば下記特許文献1,特許文献2,特許文献3,特許文献4にこのようなディスポーザが開示されている。
図11,図12はこの種ディスポーザの一例を具体的に示している(図示のものは特許文献1に開示のもの)。
図11において200は流し台で、202は流し台200におけるキャビネット、204はシンク、206はカウンターで、このカウンター206上に流し台水栓208が配置されている。
【0004】
シンク204の下側且つキャビネット202内には、ディスポーザ210がシンク204により吊持される状態で設けられている。
212はそのディスポーザ210における装置本体で、図12に示しているように内部に粉砕室216を有している。
【0005】
粉砕室216には、円筒状をなす固定刃218と、円盤状の回転板220とが設けられている。
固定刃218には、その周壁に沿って多数の粉砕孔222が形成されている。また回転板220の上面には、その回転軸心から偏心した位置の軸回りに自由回転状態でハンマー224が設けられている。
【0006】
回転板220にはモータ226が直結されており、回転板220がモータ226にて回転駆動されるようになっている。
装置本体212には、生ごみの粉砕物を排水とともに排出するための排出口が設けられており、その排出口からの生ごみの粉砕物を排水とともに外部に排出するための排水管228が延び出している。
【0007】
このディスポーザ210では、モータ226にて回転板220を回転駆動すると、ハンマー224が粉砕室216内部に投入された生ごみを給水下で固定刃218とともに細かく押し潰し或いはすり潰して微粉砕する。
粉砕された生ごみは水とともに多数の孔から排水とともに吐出され、続いて排出口から排水管228内部に流入して、その排水管228を通じ外部に排出される。
【0008】
このディスポーザ210は特にマンション等の集合住宅に広く普及しているが、ディスポーザ210にて生ごみを粉砕するときに大きな騒音・振動が発生する問題があり、特に夜間等周辺環境が静寂な環境であるときに騒音・振動を気にして使用者がこれを使うことをためらったり、或いは使用をやめたりするなど使用に制約を伴う問題があった。
【0009】
このディスポーザ210による生ごみの粉砕では、粉砕室216内に多量の生ごみがある粉砕初期に特に大きな騒音・振動が発生する。
そこで従来、粉砕初期には回転板の回転を低速回転として粉砕初期の大きな騒音・振動の発生を抑え、生ごみがある程度排出されてから途中で回転板の回転を高速回転に切り替えるようになしたものが提案されている(下記特許文献5)。
【0010】
しかしながらこの特許文献5に開示のディスポーザにあっては、使用者の意思に拘わりなく自動的に粉砕初期は低速回転、その後高速回転に切り替わるものであり、低速回転をさせる必要がないにも拘わらず自動的に粉砕初期に低速回転が行われてしまって、そのために粉砕の能率が低下し、これに伴って粉砕時間即ち生ごみの処理時間が長くなってしまう問題や、或いは夜間等にディスポーザを使用する際においても粉砕後期に回転数が上昇して(高速回転となって)、そこで高速回転に基づく騒音,振動を発生してしまう問題を内包する。
【0011】
【特許文献1】特開2002−45722号公報
【特許文献2】特開2002−248368号公報
【特許文献3】特開2003−211016号公報
【特許文献4】特開2003−305379号公報
【特許文献5】特開平10−76174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景とし、夜間等周辺の環境が静寂で大きな騒音・振動が発生するのを嫌うような場合には使用者の意思,選択に応じて静かな運転を可能とし、また比較的大きな騒音・振動が発生しても支障のないような昼間、或いは周辺環境が静寂でないような場合には使用者の意思,選択に応じて高能率で生ごみの粉砕を行うことができ、使用に際しての制約を軽減することのできるディスポーザを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、モータにて回転板を回転させ、投入された生ごみを粉砕して排出するディスポーザにおいて、前記モータを作動制御する制御部を、前記回転板を一定方向に高速回転させて前記生ごみを粉砕する通常運転モードと、該回転板を該通常運転モードよりも低速回転させ且つ正回転駆動と逆回転駆動とを設定時間毎に交互に繰返して該生ごみを粉砕する静粛運転モードとの何れかを実行するものとなしてあるとともに、それら通常運転モードと静粛運転モードとを使用者の操作により選択するための選択操作手段が備えてあることを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記選択操作手段が生ごみの投入口に装着される蓋であり、該蓋の回転操作によって前記通常運転モードと静粛運転モードとの何れかを選択するようになしてあることを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項2において、前記蓋に対して外周側の位置に前記通常運転モードと静粛運転モードとをそれぞれ表示する通常運転モード表示部と静粛運転モード表示部とが設けてあるとともに、前記蓋にはそれら表示部を指し示す指示部が設けてあることを特徴とする。
【0016】
請求項4のものは、請求項2,3の何れかにおいて、前記蓋に対する外周側の位置には、該蓋が前記通常運転モード又は静粛運転モードを選択する位置まで回転操作されたとき、それぞれオン動作する通常運転モード,静粛運転モードに各対応したスイッチ手段が設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0017】
以上のように本発明は、モータを作動制御する制御部を、回転板を一定方向に高速回転させる通常運転モードと、回転板をこれよりも低速回転させ且つ正回転駆動と逆回転駆動とを設定時間毎に交互に繰り返す静粛運転モードの何れかを実行するものとなし、そしてそれら通常運転モードと静粛運転モードとを使用者の操作により選択するための選択操作手段をディスポーザに備えたもので、本発明によれば、使用者が必要と感じた場合にその意志に基づいて運転モードを静粛運転モードに切り替えて生ごみの粉砕を行うことができ、或いは逆に静粛運転モードから通常運転モードに切り替えて生ごみの粉砕を行うことができる。
【0018】
即ち騒音・振動を特に低減する必要のない場合には使用者の選択に基づいて通常運転モードにて生ごみの粉砕処理を行うことができ、この場合生ごみを高い粉砕能力で粉砕し得て短時間で粉砕処理を終了することができる。
【0019】
一方夜間等周辺環境が静寂で騒音,振動の発生が気になる場面では、使用者の選択に基づいて静粛運転モードにて生ごみの粉砕を静かに行わせることができる。
このように使用者が何れかを選択できるようにすることで、ディスポーザを使用するに際しての制約が緩和され、ディスポーザの利便性が向上する。
【0020】
ところで、静粛運転モードにおいて回転板の回転を低速回転とすると、当然に生ごみの粉砕能力は低下する。
ここにおいて本発明では、その静粛運転モードでは回転板を設定時間毎に正回転駆動と逆回転駆動とを交互に繰り返すようになしており、この場合回転板の回転方向の逆転によって、生ごみの粉砕能力を効果的に高めることができ、かかる回転板の正回転駆動,逆回転駆動の繰返し実行によって、低速回転による生ごみの粉砕能力の低下を補うことができる。
【0021】
この場合において前記制御部は、前記通常運転モードに対応して設定した最高回転数N1,静粛運転モードに対応して設定した最高回転数N2(ここでN1>N2)以下に前記回転板の回転数制御を行うようになしておくことができる。
このようにすれば、静粛運転モードにおいて、生ごみの量が少なくなって粉砕後期に回転数が高まっても、その回転数が通常運転モードの最高回転数N1よりも低く設定された上限の回転数以下N2に抑えられるため、粉砕後期に回転板の回転数の上昇に基づいて騒音,振動が大きくなるといった問題も防止することができる。
【0022】
本発明においては、上記選択操作手段を生ごみの投入口に装着される蓋にて構成し、その蓋の回転操作によって上記の通常運転モードと静粛運転モードとの何れかを選択するようになしておくことができる(請求項2)。
【0023】
このような選択操作手段を設ける場合、通常はカウンターや壁等に専用のスイッチを設けて、そのスイッチを操作することで運転モードの切替えを行うようになすことが考えられるが、この運転モードの切替えは通常使用者が濡れた手で行うことが多く、この場合専用のスイッチを濡れた手で触ると感電の危険を生じたり、或いはまた濡れた手でスイッチを触ることによってスイッチが汚れ、後でこれを拭取るといったことが必要となって、結局は面倒な作業を使用者に強いることとなる。
【0024】
また生ごみを粉砕処理するに際して、投入口に蓋をセットする動作、即ち蓋を装着する動作と、スイッチを操作する動作との2つの動作が必要となり、作業性の点でも面倒であるといった問題が生ずる。
【0025】
これに対して請求項2に従い、投入口に装着される蓋自体にて選択操作手段を構成した場合、上記専用のスイッチを設けた場合の感電の危険と汚れの問題の何れをも併せて解決することができる。
【0026】
またかかる蓋を選択操作手段として構成した場合、蓋を投入口にセットするのと同時に選択操作を行うことができるため、ワンアクションで蓋のセットと選択操作とを行うことができ、生ごみの粉砕処理のための作業を簡単化することができ、ひいてはディスポーザの使い勝手を良好なものとなすことができる。
【0027】
更にはまた蓋を回転操作することによって運転モードの選択を行うようになした場合、その回転方向の操作ストロークを大きく取ることが可能であるため、上記のように専用のスイッチのオン・オフ操作等による選択の場合と異なって、その意志がないにも拘わらず誤ってスイッチを押してしまうといった誤操作を有効に防止することができる。
【0028】
加えて蓋の回転によって運転モードの選択操作を行うようになした場合、現在の運転モードが通常運転モードであるのか或いは静粛運転モードであるのかを、一見して直ちに判断できる利点も得られる。
この場合において、蓋に対して外周側の位置に通常運転モードと静粛運転モードとをそれぞれ表示する通常運転モード表示部と静粛運転モード表示部とを設け、そして蓋にはそれら表示部を指し示す指示部を設けておくことができる(請求項3)。
【0029】
このようにしておけば、現在の運転状況を使用者に対してより明確に認識させることができる。
またこの場合において、蓋に設けた取手を上記の指示部として構成しておくことができる。
このようになした場合、取手とは別に指示部を設ける場合に比べて蓋の構成を簡単化することができ、また指示部を大きく構成し得て、運転モードの状態表示をより明確化することができる。
【0030】
これら請求項2,3において、蓋に対する外周側の位置に、蓋が通常運転モード又は静粛運転モードを選択する位置まで回転操作された時に、それぞれオン動作する通常運転モード,静粛運転モードに各対応したスイッチ手段を設けておくことができる(請求項4)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において10はシンクで、12はシンク10に吊持状態に設けられたディスポーザ、14はディスポーザ12における装置本体である。
16は筒状のケーシングで、上端に径方向外向きのフランジ部18を有しており、このフランジ部18と、外周面の雄ねじにねじ込まれた固定ナット20とによりシンク10の排水口周縁部をパッキン19を介して上下に挟み込むようにして、ディスポーザ12が、上端の投入口21をシンク10の排水口に合致させる状態にシンク10に取り付けられている。
この実施形態において、ケーシング16は上部と下部とが分かれており、それらがゴムジョイント22にて連結されている。
【0032】
24は粉砕室で、この粉砕室24に円盤状をなす回転板26と、その上側の円筒形状をなす固定刃28とが設けられている。
固定刃28には多数の貫通の粉砕孔30が分散状態に設けられており、また回転板26にはその中心部にモータ32の駆動軸34が連結され、かかる回転板26がモータ32にて回転駆動されるようになっている。
【0033】
この回転板26の上面且つ外周部には、ハンマー36が設けられている。
ここでハンマー36は、回転板26の回転軸心から偏心した位置の軸周りに自由回転状態に設けられている。
このディスポーザ12では、回転板26の回転により投入口21から投入された生ごみを給水下で回転板26に設けられたハンマー36と固定刃28とで粉砕し、そして粉砕した生ごみを排出口38から排出する。
【0034】
40はディスポーザ12における制御部で、モータ32はこの制御部40によって動作制御される。
42は底部と周壁部とに多数の通水孔44を有する網籠で、上端に径方向外向きのフランジ部46を有しており、そのフランジ部46がケーシング16に形成された段付部48にて支持されている。
【0035】
図2に示しているように、ケーシング16の上部にはその内周面に沿って、径方向内向きに突出する鍔状部50が設けられている。
この鍔状部50には周方向に180°隔たった2箇所に切欠部52-1,52-2が形成されている。
図1において、54は投入口21に装着される円形の蓋で、図2に示しているように突出部56-1,56-2を有し、それらが上記切欠部52-1,52-2を上側からそれぞれ覆うようになっている。
【0036】
この蓋54は、下向きに皿状に湾曲して凹陥した凹陥部58を有しており、図1に示しているようにこの凹陥部58の底部から上向きに起立する形態で取手60が備えられている。
図3に示しているように、この取手60は一方の突出部56-2の端から、他方の突出部56-1の端にかけて直径方向に一直線状に延びている。
【0037】
一方この蓋54の裏側には、図2に示しているように突出部56-1,56-2のそれぞれの位置において、対応する一対の保持部材62-1,62-2が固定状態に設けられている。
これら保持部材62-1,62-2は、それぞれ先端部が二股に分岐しており、それら分岐部64と66との間に溝68を形成している。
蓋54は、この溝68がケーシング16に形成された上記鍔状部50に嵌り合うことによって、ケーシング16に、即ち鍔状部50に保持されるようになっている。
【0038】
本実施形態において、上記蓋54は、ディスポーザ12の運転モードを回転板26を一方向に高速回転させる通常運転モードと、回転板26を低速回転させ且つその回転駆動方向を設定時間ごとに交互に逆転させる静粛運転モードとの一方を選択操作するための操作部を兼ねている。
詳しくは、図3及び図6に示す停止位置から図7に示す位置まで取手(指示部)60を手に持って蓋54を図中左方向(反時計方向)に回転させると通常運転モードが選択され、また逆に図8に示す位置までこれを右方向(時計方向)に回転操作すると静粛運転モードが選択される。
【0039】
上記ケーシング16におけるフランジ部18の上面には、蓋54の操作位置を表示するための、即ち停止位置を表示するための表示部70(図3参照)、通常運転モードの位置を表示するための表示部72、静粛運転モードの位置を表示する表示部74、更に蓋54の回転方向を表示するための表示部76が設けられている。
また蓋54の取手60の端部、詳しくは突出部56-1側の端部の上面には、それら表示部を指し示すための指示マーク78が施してある。
【0040】
図3及び図4に示しているように、ケーシング16には蓋54が、詳しくはその取手60が図3の停止位置から左向きに通常運転モードの位置まで回転操作されたときにオン動作するリードスイッチ80-1が設けられ、更に取手60が反対方向に一定角度回転させられて静粛運転モードの位置に到ったときにオン動作するリードスイッチ80-2がそれぞれ設けられている。
【0041】
一方蓋54には、詳しくは突出部56-1側の保持部材62-1には、各リードスイッチをオン動作させる動作部としてのマグネット82(図3(B)参照)が埋設されている。
即ち蓋54の取手60を通常運転モードの位置まで図中左向きに回転操作すると、図7に示しているようにマグネット82がリードスイッチ80-1に丁度対向する状態となって、リードスイッチ80-1がそのマグネット82によりオン動作させられ、そのスイッチ信号に基づいてディスポーザ12が通常運転モードを実行する。
【0042】
逆に取手60が静粛運転モードの位置まで図中右向きに回転操作されると、図8に示しているようにマグネット82がリードスイッチ80-2に対向する状態となって、マグネット82によりリードスイッチ80-2がオン動作させられ、そのスイッチ信号に基づいてディスポーザ12が静粛運転モードを実行する。
上記制御部40はこれらリードスイッチ80-1,80-2に接続されていて、それらリードスイッチ80-1,80-2からのスイッチ信号が制御部40に入力されるようになっている。
【0043】
上記ケーシング16の上部にはまた、リードスイッチ80-1から丁度180°隔たった位置に、メカニカルスイッチとしてのリミットスイッチ84-1が、またリードスイッチ80-2から180°隔たった位置に同じくメカニカルスイッチとしてのリミットスイッチ84-2が設けられており、これらリミットスイッチ84-1,84-2が、図2に示す蓋54の分岐部66により機械的に押されて(図5(B)参照)それぞれオン動作するようになっている。即ちこの実施形態では、蓋54における保持部材62-1の分岐部66が、各リミットスイッチ84-1,84-2の動作部として構成されている。
【0044】
この実施形態では、図7に示しているように蓋54の取手60が図中左向きに通常運転モードの位置まで回転操作されると、リードスイッチ80-1とリミットスイッチ84-1とが同時にオン動作し、それぞれからのスイッチ信号が制御部40に入力される。
また図8に示しているように蓋54の取手60が静粛運転モードの位置まで図中右向きに回転操作されると、リードスイッチ80-2とリミットスイッチ84-2とが同時にオン動作し、それぞれからのスイッチ信号が制御部40へと入力される。
そして本実施形態では、上記のように蓋54の取手60が図中左向きに回転操作されて通常運転モードが選択されると、制御部40が回転板26を一方向に高速回転させて生ごみを粉砕する通常運転モードを実行させる。
【0045】
図9(A)は、この通常運転モードにおける回転板26の回転数と起動開始からの時間との関係を示している。
図示のようにこの通常回転モードでは、起動開始後時間の経過とともに回転板26の回転数が上昇して行き、概略20秒程度でその回転数は2600rpmに達する。
【0046】
この実施形態では、回転板26の最高回転数N1が2600rpmに設定されており、従って回転板26の回転数が2600rpmに達するとリミッタが働いて、更なる回転数の上昇が抑えられる。
ここで回転板26の回転数の制御、即ちモータ32の回転数の制御は、モータ32に供給されるモータ電圧を制御することで行われる。
尚、回転数の検出は、モータ32の電流の検出により行うことができ、あるいはまた回転板26(またはモータ32)の回転に基づいてパルスを発生させ、そのパルスを検出することによって行うことができる。
【0047】
一方図9(B)は、静粛運転モードが選択されたときの回転板26の回転数と起動後の経過時間との関係を表している。
ここでは回転板26に対して設定時間(例えば10秒)正回転駆動し、その後微少時間(例えば1秒)インターバルをおいて、次に回転板26を逆回転駆動する。
そしてこれを1サイクルとして、同様の動作を繰り返し実行する。
【0048】
ここでは正回転駆動及び逆回転駆動の何れにおいても最高回転数は1500rpmとなっている。即ち10秒間正回転方向又は逆回転方向に回転駆動力を与えると、丁度ピーク回転数が設定した最高回転数N1である1500rpmとなっている。
従ってこの実施形態では、静粛運転モード時において特にリミッタにて回転数の上昇を抑えるといったことは行っていない。
但し10秒間ごとの回転駆動によって回転数が1500rpmを超えるような場合には、リミッタを設けてピーク回転数を設定した最高回転数N1の1500rpmとし、回転板26の回転数を常時それ以下となるように制御することも可能である。
【0049】
図10はリミッタを設けてピーク回転数を設定した最高回転数N1の1500rpm以下に強制的に抑えるようになした例を示している。
この図10に示す運転モードでは、粉砕初期には粉砕室24内に多量の生ごみがあることによって回転板26の回転数が余り高くならないが、正回転駆動,逆回転駆動を繰り返すうちにピーク回転数が次第に上昇して行き、最終的に回転数が1500rpmに達する。
このときリミッタが働いて更なる回転数の上昇が抑制される。
【0050】
尚、本実施形態では網籠42をセットしたまま、その上側から蓋54を装着して生ごみの粉砕処理を実施することができる。
このため、ディスポーザ12の使用時に網籠42の置き場に困るといったことがなく、また蓋54を開けた直後の残回転による生ごみの投入口21からの飛び出しを、その網籠42のスクリーン作用によって防止することができる。
更に蓋54を開けた直後の残回転時に、スプーン等が投入口21から誤投入されてしまうといった事故を、その網籠42にて防止することができる利点も得られる。
【0051】
以上のように本実施形態では、使用者が必要と感じた場合にその意志に基づいて運転モードを静粛運転モードに切り替えて生ごみの粉砕を行うことができ、或いは逆に静粛運転モードから通常運転モードに切り替えて生ごみの粉砕を行うことができる。
【0052】
また本実施形態では、静粛運転モードでは回転板26を設定時間毎に正回転駆動と逆回転駆動とを交互に繰り返すようになしており、この場合回転板26の回転方向の逆転によって生ごみの粉砕能力を効果的に高めることができ、かかる回転板26の正回転駆動,逆回転駆動の繰返し実行によって、低速回転による生ごみの粉砕能力の低下を補うことができる。
【0053】
さらに本実施形態では、制御部40において最高回転数N1,N2以下に回転板26の回転数制御を行うようになしているため、静粛運転モードにおいては、生ごみの量が少なくなって後期に回転数が高まってもその回転数が通常運転モードの最高回転数よりも低く設定された上限の回転数N2以下に抑えられ、粉砕後期において回転板26の回転数の上昇に基づいて騒音,振動が大きくなる問題も生じない。
【0054】
また本実施形態においては、運転モードの選択操作手段を生ごみの投入口21に装着される蓋54にて構成しているため、通常のカウンターや壁等に運転モード切替え用のスイッチを設けた場合に起こりうる、濡れた手で操作することによって生じる感電の危険やスイッチの汚れの発生の問題の何れをも解決することができる。
【0055】
また蓋54を投入口21にセットするのと同時に選択操作を行うことができるため、ワンアクションで蓋54のセットと選択操作とを行うことができ、生ごみの粉砕処理のための作業を簡単化することができ、ひいてはディスポーザ12の使い勝手を良好となすことができる。
【0056】
更には、その回転方向の操作ストロークを大きく取ることが可能であるため、専用のスイッチを押す場合のようにその意志がないにも拘わらず誤操作をしてしまうといった問題も生じない。
【0057】
本実施形態ではまた、蓋54に対して外周側の位置に通常運転モードと静粛運転モードとをそれぞれ表示する表示部72と表示部74とを設け、そして蓋54に設けた取手60をもって、表示部72,74を指し示す指示部となしているので、現在の運転状況を使用者に対して明確に認識させることができるのに加えて、取手60とは別に指示部を設ける場合に比べて蓋54の構成を簡単化することができ、また指示部を大きく構成し得て、運転モードの状態表示をより明確化することができる。
【0058】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態のディスポーザを示す一部切欠正面図である。
【図2】同実施形態の要部を拡大して示す図である。
【図3】同実施形態のディスポーザに蓋を装着した状態の平面図及び蓋単体の図である。
【図4】図3のIV−IV視断面図である。
【図5】図3のV−V視要部断面をリミットスイッチとともに示す図である。
【図6】同実施形態のディスポーザの運転停止状態の図である。
【図7】図6から通常運転モードを選択したときの図である。
【図8】図6から静寂運転モードを選択したときの図である。
【図9】同実施形態における回転板の回転数と起動開始からの時間の関係を示した図である。
【図10】他の実施形態における回転板の回転数と起動開始からの時間の関係を示した図である。
【図11】従来のディスポーザを流し台とともに示す図である。
【図12】図11のディスポーザの一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
12 ディスポーザ
21 投入口
26 回転板
28 固定刃
32 モータ
40 制御部
54 蓋
60 取手(指示部)
72,74 表示部
78 指示マーク
80−1,80−2 リードスイッチ
【技術分野】
【0001】
この発明は回転板を回転させて生ごみを粉砕し排出するディスポーザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、キッチンで発生した生ごみを処理するための生ごみ処理装置として各種のものが提案されている。
ディスポーザはその代表的なものであって、このディスポーザはキッチンのシンクの下側且つキャビネット内に設けられ、投入された生ごみを給水下でハンマーによりすり潰して微粉砕し、そしてその粉砕物を排水とともに排出口から排出する。
【0003】
例えば下記特許文献1,特許文献2,特許文献3,特許文献4にこのようなディスポーザが開示されている。
図11,図12はこの種ディスポーザの一例を具体的に示している(図示のものは特許文献1に開示のもの)。
図11において200は流し台で、202は流し台200におけるキャビネット、204はシンク、206はカウンターで、このカウンター206上に流し台水栓208が配置されている。
【0004】
シンク204の下側且つキャビネット202内には、ディスポーザ210がシンク204により吊持される状態で設けられている。
212はそのディスポーザ210における装置本体で、図12に示しているように内部に粉砕室216を有している。
【0005】
粉砕室216には、円筒状をなす固定刃218と、円盤状の回転板220とが設けられている。
固定刃218には、その周壁に沿って多数の粉砕孔222が形成されている。また回転板220の上面には、その回転軸心から偏心した位置の軸回りに自由回転状態でハンマー224が設けられている。
【0006】
回転板220にはモータ226が直結されており、回転板220がモータ226にて回転駆動されるようになっている。
装置本体212には、生ごみの粉砕物を排水とともに排出するための排出口が設けられており、その排出口からの生ごみの粉砕物を排水とともに外部に排出するための排水管228が延び出している。
【0007】
このディスポーザ210では、モータ226にて回転板220を回転駆動すると、ハンマー224が粉砕室216内部に投入された生ごみを給水下で固定刃218とともに細かく押し潰し或いはすり潰して微粉砕する。
粉砕された生ごみは水とともに多数の孔から排水とともに吐出され、続いて排出口から排水管228内部に流入して、その排水管228を通じ外部に排出される。
【0008】
このディスポーザ210は特にマンション等の集合住宅に広く普及しているが、ディスポーザ210にて生ごみを粉砕するときに大きな騒音・振動が発生する問題があり、特に夜間等周辺環境が静寂な環境であるときに騒音・振動を気にして使用者がこれを使うことをためらったり、或いは使用をやめたりするなど使用に制約を伴う問題があった。
【0009】
このディスポーザ210による生ごみの粉砕では、粉砕室216内に多量の生ごみがある粉砕初期に特に大きな騒音・振動が発生する。
そこで従来、粉砕初期には回転板の回転を低速回転として粉砕初期の大きな騒音・振動の発生を抑え、生ごみがある程度排出されてから途中で回転板の回転を高速回転に切り替えるようになしたものが提案されている(下記特許文献5)。
【0010】
しかしながらこの特許文献5に開示のディスポーザにあっては、使用者の意思に拘わりなく自動的に粉砕初期は低速回転、その後高速回転に切り替わるものであり、低速回転をさせる必要がないにも拘わらず自動的に粉砕初期に低速回転が行われてしまって、そのために粉砕の能率が低下し、これに伴って粉砕時間即ち生ごみの処理時間が長くなってしまう問題や、或いは夜間等にディスポーザを使用する際においても粉砕後期に回転数が上昇して(高速回転となって)、そこで高速回転に基づく騒音,振動を発生してしまう問題を内包する。
【0011】
【特許文献1】特開2002−45722号公報
【特許文献2】特開2002−248368号公報
【特許文献3】特開2003−211016号公報
【特許文献4】特開2003−305379号公報
【特許文献5】特開平10−76174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景とし、夜間等周辺の環境が静寂で大きな騒音・振動が発生するのを嫌うような場合には使用者の意思,選択に応じて静かな運転を可能とし、また比較的大きな騒音・振動が発生しても支障のないような昼間、或いは周辺環境が静寂でないような場合には使用者の意思,選択に応じて高能率で生ごみの粉砕を行うことができ、使用に際しての制約を軽減することのできるディスポーザを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、モータにて回転板を回転させ、投入された生ごみを粉砕して排出するディスポーザにおいて、前記モータを作動制御する制御部を、前記回転板を一定方向に高速回転させて前記生ごみを粉砕する通常運転モードと、該回転板を該通常運転モードよりも低速回転させ且つ正回転駆動と逆回転駆動とを設定時間毎に交互に繰返して該生ごみを粉砕する静粛運転モードとの何れかを実行するものとなしてあるとともに、それら通常運転モードと静粛運転モードとを使用者の操作により選択するための選択操作手段が備えてあることを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記選択操作手段が生ごみの投入口に装着される蓋であり、該蓋の回転操作によって前記通常運転モードと静粛運転モードとの何れかを選択するようになしてあることを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項2において、前記蓋に対して外周側の位置に前記通常運転モードと静粛運転モードとをそれぞれ表示する通常運転モード表示部と静粛運転モード表示部とが設けてあるとともに、前記蓋にはそれら表示部を指し示す指示部が設けてあることを特徴とする。
【0016】
請求項4のものは、請求項2,3の何れかにおいて、前記蓋に対する外周側の位置には、該蓋が前記通常運転モード又は静粛運転モードを選択する位置まで回転操作されたとき、それぞれオン動作する通常運転モード,静粛運転モードに各対応したスイッチ手段が設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0017】
以上のように本発明は、モータを作動制御する制御部を、回転板を一定方向に高速回転させる通常運転モードと、回転板をこれよりも低速回転させ且つ正回転駆動と逆回転駆動とを設定時間毎に交互に繰り返す静粛運転モードの何れかを実行するものとなし、そしてそれら通常運転モードと静粛運転モードとを使用者の操作により選択するための選択操作手段をディスポーザに備えたもので、本発明によれば、使用者が必要と感じた場合にその意志に基づいて運転モードを静粛運転モードに切り替えて生ごみの粉砕を行うことができ、或いは逆に静粛運転モードから通常運転モードに切り替えて生ごみの粉砕を行うことができる。
【0018】
即ち騒音・振動を特に低減する必要のない場合には使用者の選択に基づいて通常運転モードにて生ごみの粉砕処理を行うことができ、この場合生ごみを高い粉砕能力で粉砕し得て短時間で粉砕処理を終了することができる。
【0019】
一方夜間等周辺環境が静寂で騒音,振動の発生が気になる場面では、使用者の選択に基づいて静粛運転モードにて生ごみの粉砕を静かに行わせることができる。
このように使用者が何れかを選択できるようにすることで、ディスポーザを使用するに際しての制約が緩和され、ディスポーザの利便性が向上する。
【0020】
ところで、静粛運転モードにおいて回転板の回転を低速回転とすると、当然に生ごみの粉砕能力は低下する。
ここにおいて本発明では、その静粛運転モードでは回転板を設定時間毎に正回転駆動と逆回転駆動とを交互に繰り返すようになしており、この場合回転板の回転方向の逆転によって、生ごみの粉砕能力を効果的に高めることができ、かかる回転板の正回転駆動,逆回転駆動の繰返し実行によって、低速回転による生ごみの粉砕能力の低下を補うことができる。
【0021】
この場合において前記制御部は、前記通常運転モードに対応して設定した最高回転数N1,静粛運転モードに対応して設定した最高回転数N2(ここでN1>N2)以下に前記回転板の回転数制御を行うようになしておくことができる。
このようにすれば、静粛運転モードにおいて、生ごみの量が少なくなって粉砕後期に回転数が高まっても、その回転数が通常運転モードの最高回転数N1よりも低く設定された上限の回転数以下N2に抑えられるため、粉砕後期に回転板の回転数の上昇に基づいて騒音,振動が大きくなるといった問題も防止することができる。
【0022】
本発明においては、上記選択操作手段を生ごみの投入口に装着される蓋にて構成し、その蓋の回転操作によって上記の通常運転モードと静粛運転モードとの何れかを選択するようになしておくことができる(請求項2)。
【0023】
このような選択操作手段を設ける場合、通常はカウンターや壁等に専用のスイッチを設けて、そのスイッチを操作することで運転モードの切替えを行うようになすことが考えられるが、この運転モードの切替えは通常使用者が濡れた手で行うことが多く、この場合専用のスイッチを濡れた手で触ると感電の危険を生じたり、或いはまた濡れた手でスイッチを触ることによってスイッチが汚れ、後でこれを拭取るといったことが必要となって、結局は面倒な作業を使用者に強いることとなる。
【0024】
また生ごみを粉砕処理するに際して、投入口に蓋をセットする動作、即ち蓋を装着する動作と、スイッチを操作する動作との2つの動作が必要となり、作業性の点でも面倒であるといった問題が生ずる。
【0025】
これに対して請求項2に従い、投入口に装着される蓋自体にて選択操作手段を構成した場合、上記専用のスイッチを設けた場合の感電の危険と汚れの問題の何れをも併せて解決することができる。
【0026】
またかかる蓋を選択操作手段として構成した場合、蓋を投入口にセットするのと同時に選択操作を行うことができるため、ワンアクションで蓋のセットと選択操作とを行うことができ、生ごみの粉砕処理のための作業を簡単化することができ、ひいてはディスポーザの使い勝手を良好なものとなすことができる。
【0027】
更にはまた蓋を回転操作することによって運転モードの選択を行うようになした場合、その回転方向の操作ストロークを大きく取ることが可能であるため、上記のように専用のスイッチのオン・オフ操作等による選択の場合と異なって、その意志がないにも拘わらず誤ってスイッチを押してしまうといった誤操作を有効に防止することができる。
【0028】
加えて蓋の回転によって運転モードの選択操作を行うようになした場合、現在の運転モードが通常運転モードであるのか或いは静粛運転モードであるのかを、一見して直ちに判断できる利点も得られる。
この場合において、蓋に対して外周側の位置に通常運転モードと静粛運転モードとをそれぞれ表示する通常運転モード表示部と静粛運転モード表示部とを設け、そして蓋にはそれら表示部を指し示す指示部を設けておくことができる(請求項3)。
【0029】
このようにしておけば、現在の運転状況を使用者に対してより明確に認識させることができる。
またこの場合において、蓋に設けた取手を上記の指示部として構成しておくことができる。
このようになした場合、取手とは別に指示部を設ける場合に比べて蓋の構成を簡単化することができ、また指示部を大きく構成し得て、運転モードの状態表示をより明確化することができる。
【0030】
これら請求項2,3において、蓋に対する外周側の位置に、蓋が通常運転モード又は静粛運転モードを選択する位置まで回転操作された時に、それぞれオン動作する通常運転モード,静粛運転モードに各対応したスイッチ手段を設けておくことができる(請求項4)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において10はシンクで、12はシンク10に吊持状態に設けられたディスポーザ、14はディスポーザ12における装置本体である。
16は筒状のケーシングで、上端に径方向外向きのフランジ部18を有しており、このフランジ部18と、外周面の雄ねじにねじ込まれた固定ナット20とによりシンク10の排水口周縁部をパッキン19を介して上下に挟み込むようにして、ディスポーザ12が、上端の投入口21をシンク10の排水口に合致させる状態にシンク10に取り付けられている。
この実施形態において、ケーシング16は上部と下部とが分かれており、それらがゴムジョイント22にて連結されている。
【0032】
24は粉砕室で、この粉砕室24に円盤状をなす回転板26と、その上側の円筒形状をなす固定刃28とが設けられている。
固定刃28には多数の貫通の粉砕孔30が分散状態に設けられており、また回転板26にはその中心部にモータ32の駆動軸34が連結され、かかる回転板26がモータ32にて回転駆動されるようになっている。
【0033】
この回転板26の上面且つ外周部には、ハンマー36が設けられている。
ここでハンマー36は、回転板26の回転軸心から偏心した位置の軸周りに自由回転状態に設けられている。
このディスポーザ12では、回転板26の回転により投入口21から投入された生ごみを給水下で回転板26に設けられたハンマー36と固定刃28とで粉砕し、そして粉砕した生ごみを排出口38から排出する。
【0034】
40はディスポーザ12における制御部で、モータ32はこの制御部40によって動作制御される。
42は底部と周壁部とに多数の通水孔44を有する網籠で、上端に径方向外向きのフランジ部46を有しており、そのフランジ部46がケーシング16に形成された段付部48にて支持されている。
【0035】
図2に示しているように、ケーシング16の上部にはその内周面に沿って、径方向内向きに突出する鍔状部50が設けられている。
この鍔状部50には周方向に180°隔たった2箇所に切欠部52-1,52-2が形成されている。
図1において、54は投入口21に装着される円形の蓋で、図2に示しているように突出部56-1,56-2を有し、それらが上記切欠部52-1,52-2を上側からそれぞれ覆うようになっている。
【0036】
この蓋54は、下向きに皿状に湾曲して凹陥した凹陥部58を有しており、図1に示しているようにこの凹陥部58の底部から上向きに起立する形態で取手60が備えられている。
図3に示しているように、この取手60は一方の突出部56-2の端から、他方の突出部56-1の端にかけて直径方向に一直線状に延びている。
【0037】
一方この蓋54の裏側には、図2に示しているように突出部56-1,56-2のそれぞれの位置において、対応する一対の保持部材62-1,62-2が固定状態に設けられている。
これら保持部材62-1,62-2は、それぞれ先端部が二股に分岐しており、それら分岐部64と66との間に溝68を形成している。
蓋54は、この溝68がケーシング16に形成された上記鍔状部50に嵌り合うことによって、ケーシング16に、即ち鍔状部50に保持されるようになっている。
【0038】
本実施形態において、上記蓋54は、ディスポーザ12の運転モードを回転板26を一方向に高速回転させる通常運転モードと、回転板26を低速回転させ且つその回転駆動方向を設定時間ごとに交互に逆転させる静粛運転モードとの一方を選択操作するための操作部を兼ねている。
詳しくは、図3及び図6に示す停止位置から図7に示す位置まで取手(指示部)60を手に持って蓋54を図中左方向(反時計方向)に回転させると通常運転モードが選択され、また逆に図8に示す位置までこれを右方向(時計方向)に回転操作すると静粛運転モードが選択される。
【0039】
上記ケーシング16におけるフランジ部18の上面には、蓋54の操作位置を表示するための、即ち停止位置を表示するための表示部70(図3参照)、通常運転モードの位置を表示するための表示部72、静粛運転モードの位置を表示する表示部74、更に蓋54の回転方向を表示するための表示部76が設けられている。
また蓋54の取手60の端部、詳しくは突出部56-1側の端部の上面には、それら表示部を指し示すための指示マーク78が施してある。
【0040】
図3及び図4に示しているように、ケーシング16には蓋54が、詳しくはその取手60が図3の停止位置から左向きに通常運転モードの位置まで回転操作されたときにオン動作するリードスイッチ80-1が設けられ、更に取手60が反対方向に一定角度回転させられて静粛運転モードの位置に到ったときにオン動作するリードスイッチ80-2がそれぞれ設けられている。
【0041】
一方蓋54には、詳しくは突出部56-1側の保持部材62-1には、各リードスイッチをオン動作させる動作部としてのマグネット82(図3(B)参照)が埋設されている。
即ち蓋54の取手60を通常運転モードの位置まで図中左向きに回転操作すると、図7に示しているようにマグネット82がリードスイッチ80-1に丁度対向する状態となって、リードスイッチ80-1がそのマグネット82によりオン動作させられ、そのスイッチ信号に基づいてディスポーザ12が通常運転モードを実行する。
【0042】
逆に取手60が静粛運転モードの位置まで図中右向きに回転操作されると、図8に示しているようにマグネット82がリードスイッチ80-2に対向する状態となって、マグネット82によりリードスイッチ80-2がオン動作させられ、そのスイッチ信号に基づいてディスポーザ12が静粛運転モードを実行する。
上記制御部40はこれらリードスイッチ80-1,80-2に接続されていて、それらリードスイッチ80-1,80-2からのスイッチ信号が制御部40に入力されるようになっている。
【0043】
上記ケーシング16の上部にはまた、リードスイッチ80-1から丁度180°隔たった位置に、メカニカルスイッチとしてのリミットスイッチ84-1が、またリードスイッチ80-2から180°隔たった位置に同じくメカニカルスイッチとしてのリミットスイッチ84-2が設けられており、これらリミットスイッチ84-1,84-2が、図2に示す蓋54の分岐部66により機械的に押されて(図5(B)参照)それぞれオン動作するようになっている。即ちこの実施形態では、蓋54における保持部材62-1の分岐部66が、各リミットスイッチ84-1,84-2の動作部として構成されている。
【0044】
この実施形態では、図7に示しているように蓋54の取手60が図中左向きに通常運転モードの位置まで回転操作されると、リードスイッチ80-1とリミットスイッチ84-1とが同時にオン動作し、それぞれからのスイッチ信号が制御部40に入力される。
また図8に示しているように蓋54の取手60が静粛運転モードの位置まで図中右向きに回転操作されると、リードスイッチ80-2とリミットスイッチ84-2とが同時にオン動作し、それぞれからのスイッチ信号が制御部40へと入力される。
そして本実施形態では、上記のように蓋54の取手60が図中左向きに回転操作されて通常運転モードが選択されると、制御部40が回転板26を一方向に高速回転させて生ごみを粉砕する通常運転モードを実行させる。
【0045】
図9(A)は、この通常運転モードにおける回転板26の回転数と起動開始からの時間との関係を示している。
図示のようにこの通常回転モードでは、起動開始後時間の経過とともに回転板26の回転数が上昇して行き、概略20秒程度でその回転数は2600rpmに達する。
【0046】
この実施形態では、回転板26の最高回転数N1が2600rpmに設定されており、従って回転板26の回転数が2600rpmに達するとリミッタが働いて、更なる回転数の上昇が抑えられる。
ここで回転板26の回転数の制御、即ちモータ32の回転数の制御は、モータ32に供給されるモータ電圧を制御することで行われる。
尚、回転数の検出は、モータ32の電流の検出により行うことができ、あるいはまた回転板26(またはモータ32)の回転に基づいてパルスを発生させ、そのパルスを検出することによって行うことができる。
【0047】
一方図9(B)は、静粛運転モードが選択されたときの回転板26の回転数と起動後の経過時間との関係を表している。
ここでは回転板26に対して設定時間(例えば10秒)正回転駆動し、その後微少時間(例えば1秒)インターバルをおいて、次に回転板26を逆回転駆動する。
そしてこれを1サイクルとして、同様の動作を繰り返し実行する。
【0048】
ここでは正回転駆動及び逆回転駆動の何れにおいても最高回転数は1500rpmとなっている。即ち10秒間正回転方向又は逆回転方向に回転駆動力を与えると、丁度ピーク回転数が設定した最高回転数N1である1500rpmとなっている。
従ってこの実施形態では、静粛運転モード時において特にリミッタにて回転数の上昇を抑えるといったことは行っていない。
但し10秒間ごとの回転駆動によって回転数が1500rpmを超えるような場合には、リミッタを設けてピーク回転数を設定した最高回転数N1の1500rpmとし、回転板26の回転数を常時それ以下となるように制御することも可能である。
【0049】
図10はリミッタを設けてピーク回転数を設定した最高回転数N1の1500rpm以下に強制的に抑えるようになした例を示している。
この図10に示す運転モードでは、粉砕初期には粉砕室24内に多量の生ごみがあることによって回転板26の回転数が余り高くならないが、正回転駆動,逆回転駆動を繰り返すうちにピーク回転数が次第に上昇して行き、最終的に回転数が1500rpmに達する。
このときリミッタが働いて更なる回転数の上昇が抑制される。
【0050】
尚、本実施形態では網籠42をセットしたまま、その上側から蓋54を装着して生ごみの粉砕処理を実施することができる。
このため、ディスポーザ12の使用時に網籠42の置き場に困るといったことがなく、また蓋54を開けた直後の残回転による生ごみの投入口21からの飛び出しを、その網籠42のスクリーン作用によって防止することができる。
更に蓋54を開けた直後の残回転時に、スプーン等が投入口21から誤投入されてしまうといった事故を、その網籠42にて防止することができる利点も得られる。
【0051】
以上のように本実施形態では、使用者が必要と感じた場合にその意志に基づいて運転モードを静粛運転モードに切り替えて生ごみの粉砕を行うことができ、或いは逆に静粛運転モードから通常運転モードに切り替えて生ごみの粉砕を行うことができる。
【0052】
また本実施形態では、静粛運転モードでは回転板26を設定時間毎に正回転駆動と逆回転駆動とを交互に繰り返すようになしており、この場合回転板26の回転方向の逆転によって生ごみの粉砕能力を効果的に高めることができ、かかる回転板26の正回転駆動,逆回転駆動の繰返し実行によって、低速回転による生ごみの粉砕能力の低下を補うことができる。
【0053】
さらに本実施形態では、制御部40において最高回転数N1,N2以下に回転板26の回転数制御を行うようになしているため、静粛運転モードにおいては、生ごみの量が少なくなって後期に回転数が高まってもその回転数が通常運転モードの最高回転数よりも低く設定された上限の回転数N2以下に抑えられ、粉砕後期において回転板26の回転数の上昇に基づいて騒音,振動が大きくなる問題も生じない。
【0054】
また本実施形態においては、運転モードの選択操作手段を生ごみの投入口21に装着される蓋54にて構成しているため、通常のカウンターや壁等に運転モード切替え用のスイッチを設けた場合に起こりうる、濡れた手で操作することによって生じる感電の危険やスイッチの汚れの発生の問題の何れをも解決することができる。
【0055】
また蓋54を投入口21にセットするのと同時に選択操作を行うことができるため、ワンアクションで蓋54のセットと選択操作とを行うことができ、生ごみの粉砕処理のための作業を簡単化することができ、ひいてはディスポーザ12の使い勝手を良好となすことができる。
【0056】
更には、その回転方向の操作ストロークを大きく取ることが可能であるため、専用のスイッチを押す場合のようにその意志がないにも拘わらず誤操作をしてしまうといった問題も生じない。
【0057】
本実施形態ではまた、蓋54に対して外周側の位置に通常運転モードと静粛運転モードとをそれぞれ表示する表示部72と表示部74とを設け、そして蓋54に設けた取手60をもって、表示部72,74を指し示す指示部となしているので、現在の運転状況を使用者に対して明確に認識させることができるのに加えて、取手60とは別に指示部を設ける場合に比べて蓋54の構成を簡単化することができ、また指示部を大きく構成し得て、運転モードの状態表示をより明確化することができる。
【0058】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態のディスポーザを示す一部切欠正面図である。
【図2】同実施形態の要部を拡大して示す図である。
【図3】同実施形態のディスポーザに蓋を装着した状態の平面図及び蓋単体の図である。
【図4】図3のIV−IV視断面図である。
【図5】図3のV−V視要部断面をリミットスイッチとともに示す図である。
【図6】同実施形態のディスポーザの運転停止状態の図である。
【図7】図6から通常運転モードを選択したときの図である。
【図8】図6から静寂運転モードを選択したときの図である。
【図9】同実施形態における回転板の回転数と起動開始からの時間の関係を示した図である。
【図10】他の実施形態における回転板の回転数と起動開始からの時間の関係を示した図である。
【図11】従来のディスポーザを流し台とともに示す図である。
【図12】図11のディスポーザの一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
12 ディスポーザ
21 投入口
26 回転板
28 固定刃
32 モータ
40 制御部
54 蓋
60 取手(指示部)
72,74 表示部
78 指示マーク
80−1,80−2 リードスイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにて回転板を回転させ、投入された生ごみを粉砕して排出するディスポーザにおいて
前記モータを作動制御する制御部を、前記回転板を一定方向に高速回転させて前記生ごみを粉砕する通常運転モードと、該回転板を該通常運転モードよりも低速回転させ且つ正回転駆動と逆回転駆動とを設定時間毎に交互に繰返して該生ごみを粉砕する静粛運転モードとの何れかを実行するものとなしてあるとともに、それら通常運転モードと静粛運転モードとを使用者の操作により選択するための選択操作手段が備えてあることを特徴とするディスポーザ。
【請求項2】
請求項1において、前記選択操作手段が生ごみの投入口に装着される蓋であり、該蓋の回転操作によって前記通常運転モードと静粛運転モードとの何れかを選択するようになしてあることを特徴とするディスポーザ。
【請求項3】
請求項2において、前記蓋に対して外周側の位置に前記通常運転モードと静粛運転モードとをそれぞれ表示する通常運転モード表示部と静粛運転モード表示部とが設けてあるとともに、前記蓋にはそれら表示部を指し示す指示部が設けてあることを特徴とするディスポーザ。
【請求項4】
請求項2,3の何れかにおいて、前記蓋に対する外周側の位置には、該蓋が前記通常運転モード又は静粛運転モードを選択する位置まで回転操作されたとき、それぞれオン動作する通常運転モード,静粛運転モードに各対応したスイッチ手段が設けてあることを特徴とするディスポーザ。
【請求項1】
モータにて回転板を回転させ、投入された生ごみを粉砕して排出するディスポーザにおいて
前記モータを作動制御する制御部を、前記回転板を一定方向に高速回転させて前記生ごみを粉砕する通常運転モードと、該回転板を該通常運転モードよりも低速回転させ且つ正回転駆動と逆回転駆動とを設定時間毎に交互に繰返して該生ごみを粉砕する静粛運転モードとの何れかを実行するものとなしてあるとともに、それら通常運転モードと静粛運転モードとを使用者の操作により選択するための選択操作手段が備えてあることを特徴とするディスポーザ。
【請求項2】
請求項1において、前記選択操作手段が生ごみの投入口に装着される蓋であり、該蓋の回転操作によって前記通常運転モードと静粛運転モードとの何れかを選択するようになしてあることを特徴とするディスポーザ。
【請求項3】
請求項2において、前記蓋に対して外周側の位置に前記通常運転モードと静粛運転モードとをそれぞれ表示する通常運転モード表示部と静粛運転モード表示部とが設けてあるとともに、前記蓋にはそれら表示部を指し示す指示部が設けてあることを特徴とするディスポーザ。
【請求項4】
請求項2,3の何れかにおいて、前記蓋に対する外周側の位置には、該蓋が前記通常運転モード又は静粛運転モードを選択する位置まで回転操作されたとき、それぞれオン動作する通常運転モード,静粛運転モードに各対応したスイッチ手段が設けてあることを特徴とするディスポーザ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−61692(P2007−61692A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248467(P2005−248467)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【Fターム(参考)】
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