説明

デシカント空調システム

【課題】 人工的な冷熱源を必要とせずに、冷却・除湿した空気を室内に供給することができる省エネルギーかつ環境に配慮した実用的な空調システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 このデシカント空調システムは、処理空気を地中熱交換器14に導く導入経路16と、地中熱交換器14で冷却された処理空気を被空調空間10に導く供給経路18と、これら導入経路及び供給経路の双方に跨って配置されたデシカントロータ20を有している。そして、デシカントロータ20をその各部が導入経路16と供給経路18に順次位置するように回転させることにより、冷却後の処理空気を該デシカントロータ20で除湿し、かつ冷却前の処理空気でデシカントロータ20を再生するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理空気を地中熱熱交換器に通して熱交換させて、空調空間に供給する地中熱利用のデシカント空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地下5乃至100メートルの地中温度は年間を通して安定しており、大略15℃(±2℃)である。従って、処理空気(室内空気や外気)を地中熱熱交換器(Geothermal Heat Exchanger )に通して熱交換させて、空調空間に供給する地中熱利用の空調システムが提案され、利用されている。このような空調システムは、エネルギー消費量やCO2発生量が小さく、いわゆる環境に優しいシステムであり、ヒートアイランド現象を回避するための有効な対策である。
【0003】
このような地中熱利用の空調システムを冷房目的で使用する場合、地中温度が約15℃であるため、処理空気を約20℃程度までは冷却することができ、これは室温以下であり、従って空調負荷のうち顕熱負荷は地中熱熱交換器で除去できる。しかし、冷却後の空気は空調空間の要求露点温度(通常、空調空間の気温26℃、相対湿度50%の時で15℃である)よりも高い20℃程度までしか冷やされないため、潜熱負荷が十分に除去できない。そのため室内湿度が高くなる問題があった。
【0004】
もし、この水分を除湿する場合には、室内空気を露点温度(15〜16℃)以下のおよそ5〜10℃に冷却して除湿する必要があり、そのために別のエアコンが必要となって、地中熱利用のメリットは無くなってしまう。
【0005】
【特許文献1】特開2005−9737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、別途人工的な冷熱源を必要とせずに、冷却・除湿した空気を室内に供給することができる省エネルギーかつ環境に配慮した実用的な調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のデシカント空調システムは、処理空気を地中熱交換器に導く導入経路と、地中熱交換器で冷却された処理空気を被空調空間に導く供給経路と、これら導入経路及び供給経路の双方に跨って配置されたデシカントロータを備え、前記デシカントロータをその各部が前記導入経路と供給経路に順次位置するように回転させることにより、冷却後の処理空気を該デシカントロータで除湿し、かつ冷却前の処理空気でデシカントロータを再生するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明においては、導入された処理空気はまずデシカントロータを再生し、その後、地中熱交換器に導かれて冷却され、同時に水分を除去され、さらにデシカントロータにおいて除湿され、被処理空間に要求露点温度を有する被処理空気として供給される。
【0009】
請求項2に記載のデシカント空調システムは、請求項1に記載の発明において、前記導入経路に、導入した処理空気又は前記デシカントロータを加熱するための加熱手段を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明においては、導入経路内の導入した処理空気又はデシカントロータが加熱されて、導入空気によるデシカントロータの再生が促進される。
【0010】
請求項3に記載のデシカント空調システムは、請求項2に記載の発明において、前記加熱手段として遠赤外線ヒータを用いるよう構成したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明においては、簡単な構成でかつ低コストな手段でデシカントロータの再生が促進される。
【0011】
請求項4に記載のデシカント空調システムは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記地中熱交換器として地中に熱媒体を流す熱媒体流路を用いるよう構成したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明においては、地中熱を効率的に利用したデシカント空調システムが構成される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1ないし請求項4に記載のデシカント空調システムによれば、人工的な冷熱源を必要とせずに、冷却・除湿した空気を室内に供給することができる省エネルギーかつ環境に配慮した空調システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の第1の実施の形態のデシカント空調システムを示すもので、被空調空間10を形成する建物12の近傍に設置された地中熱交換器14と、室内(被空調空間)10からの環気RAを処理空気として取り入れて地中熱交換器14に導く導入経路16と、地中熱交換器14において熱交換して冷却された空気を被空調空間10に供給するための供給経路18と、これら導入経路16及び供給経路18の双方に跨ってこれらを遮るように配置されたデシカントロータ20を用いるデシカント除湿装置22と、これらの経路に空気を送風する送風機24とを有している。
【0014】
デシカント空調システムは、円筒状あるいは円盤状の内部空間を形成するケーシング34の中に構成され、デシカントロータ20はこのケーシング34内に回転自在に配置されている。ケーシング34内の空間は、仕切板36によって軸線を含む面で上下に区分され、一方は導入経路16に連通して、デシカントロータ20を導入空気によって再生する(デシカントロータ20の水分を脱着する)再生ゾーン40となる。また、他方の空間は、供給経路18に連絡され、デシカントロータ20により供給空気を除湿する(デシカントロータ20に水分を吸着させる)吸着ゾーン42となる。デシカントロータ20の他方の側(デシカントロータに対して導入経路又は供給経路とは反対の側)は密閉されている。デシカントロータ20には、これを所定の速度で回転させる駆動モータ38が設けられている。
【0015】
デシカントロータ20としては、所定の多孔質なデシカント(吸着剤)を、ハニカム状補強構造を有する円盤状部材に成形した周知のものを採用することができる。デシカントの素材としては、アクリル基を有する機能性有機系収着剤またはシリカゲルまたは活性炭などのように、相対湿度が70乃至100%の領域で吸脱着量の差が大きい素材が望ましく、更には相対湿度が高い領域において防カビ性や抗菌性が高い素材(例えばアクリル基を有する機能性有機系収着剤)が望ましい。
【0016】
地中熱交換器14は、例えば熱伝導性の良い銅やアルミニウム等の金属製若しくは合成樹脂製の管を地中に深さ20乃至100メートル程度埋設して形成された循環型の熱媒体流路50を備えており、ポンプ52の動作により水などの熱媒体が、地中と地上の間で循環するようになっている。この熱媒体流路の地上部分は、ケーシング34内の二次側の空間に導入されて、処理空気と熱交換を行う気液熱交換部54となっている。この気液熱交換部54は、接触面積を増やすために蛇行した配管となっており、凝縮した水分を導くための排水管56が導出されている。
【0017】
この実施の形態では、導入経路16の入口、すなわち空気取入口44の内側に、デシカントロータ20と対向するように遠赤外線ヒータ(加熱手段)46が設けられている。これは、外気の相対湿度が高い場合、すなわち、絶対湿度が高いか温度が低い場合に用いるもので、必要に応じて設置すればよい。この場合、被空調空間10に湿度センサを設置し、検出した湿度が高い時に、この遠赤外線ヒータ46をオンにするようにしてもよい。また、別の加熱手段として、デシカントロータ20に適当なヒータを埋設し、その部分が導入経路16側に有る時にオンにするようにしてもよい。さらに、デシカントロータ20の上流に加熱手段として温水と熱交換させる熱交換器を設け、温水の加熱源として、太陽熱コレクタで集めた熱を用いるようにしてもよい。
【0018】
また、図示しないが、周知の制御手段を設け、被空調空間等に設置した各種センサ等を用いて種々の運転制御を行うことができる。例えば、デシカント空調システムをマニュアルモードと自動モードの双方で運転できるようにし、自動モードでは、被空調空間に設置した湿度センサが検出した湿度(相対湿度、露点温度又は絶対湿度)が設定した許容上限値より高い時にデシカントロータ20を回転させ、検出した湿度が設定した許容値より低い時にデシカントロータ20を停止させるようにする。
【0019】
以下、上記のように構成されたデシカント空調システムを用いて、室内の空気を循環させながら除湿・冷房運転をする場合の動作を、図2の湿り空気線図を参照して説明する。なお、以下の説明における温度、湿度その他の数値は例示的なものである。
図2において、室内10からの環気RAはAの状態であり、例えば相対湿度が80%程度である。相対湿度が高いので遠赤外線ヒータ46がオンとなり、デシカントロータ20の再生ゾーン40の表面を加熱し、ここを通過する導入空気がデシカントと接触する際、例えば相対湿度が70%程度となる状態Bになるように加熱する。もし、還気RAの相対湿度が70%程度である場合には、遠赤外線ヒータ46は作動せず、状態Bからスタートする。
【0020】
加熱された状態Bの導入空気は、デシカントロータ20を通過する際にこれから水分を脱着し、この際に等エンタルピ変化して、相対湿度がほぼ100%の状態Cに変化する。状態Cの導入空気は、さらに地中熱交換器14に送られて、気液熱交換部54において20℃近傍まで冷却され、飽和線に沿って水分を結露分離させて絶対湿度が低下し、状態Dに至る。この時、気液熱交換部では状態Cから状態Dまで所謂濡れ面熱伝達が行われ、極めて高い熱通過率で空気と地中との熱交換が行われる。
【0021】
温度と絶対湿度が低下した状態Dの空気は、除湿ゾーン42においてデシカントロータ20を通過し、水分を吸着されることにより除湿され、ほぼ要求露点温度15℃に相当する状態Eとなり、供給経路18を介して室内に供給される。なお、上記の説明は状態変化が理想変化であることを仮定したもので、実際には、Bは湿度70%の等相対湿度線より下になり、Eが等相対湿度線より上になる。
【0022】
このように、このデシカント空調システムは、地中熱という1つの自然熱源のみを用いて冷却と除湿を行うので、別途冷熱源や空調設備を必要とせず、省エネルギー、省コストでかつ環境に配慮した空調システムが提供される。また、空気の経路が1系統であるので、送風機24も1つで済み、全体の構成が簡単であるので、設備コストも小さく、建物の中間階にも容易に設置できる等のメリットも有る。
【0023】
また、この実施の形態では、遠赤外線ヒータ46を用いることで、その輻射熱により脱着空気入口側のデシカントロータ20を乾燥させてから、除湿経路に回転移動するため、処理空気からの水分吸着量が増加し、熱損失が少ないという利点が有る。なお、状態A〜状態Bでの加熱温度は低いため、太陽熱や低温排熱が利用でき、それによってさらなる省エネルギー効果、及びエコロジー効果を得ることもできる。
【0024】
図3は、この発明の第2の実施の形態のデシカント空調システムを示すもので、基本的な構成は先の実施の形態と同じであるので、詳しい説明を省略し、また、対応する構成は同じ符号で示す。この実施の形態が先の実施の形態と異なるのは、熱媒体流路50の熱媒体の一部を分岐させた分岐配管58を、供給経路18に配置した冷房熱交換器60に導いている点である。これにより、図2に状態E→状態Fの経路で示すように、デシカントロータ20で除湿した際に昇温した空気の温度を低下させて室内に供給し、冷房効果を高めている。また、この実施の形態では、予熱用の遠赤外線ヒータ64に、太陽電池62からの電力を導入して、省エネルギー効果を高めている。
【0025】
図4は、この発明の第3の実施の形態のデシカント空調システムを示すもので、外気を処理して室内空間に供給するものである。そして、地中熱交換器14Aは、空気を直接地中に導く形式であり、例えば熱伝導性の良い銅やアルミニウム等の金属製の二重管から構成されている。二重管は、地中に深さ5乃至10メートル程度埋設され、その底部近傍の温度は15℃程度に保たれている。内管26は外管28の底面より上で開口しており、内管26の内外を上下に往復する空気流路が構成され、内外の空気流路はほぼ等断面積になるように設定されている。この例では、外管28は導入経路16に内管26は供給経路18にそれぞれ連絡している。外管28の底部には結露水を排水溝30に排出するための排水ポンプ32が設置されている。
【0026】
図示例では、地中熱交換器14Aは1基が設置されているが、通常は、空調すべき空間10の大きさに応じて複数が設置される。複数の地中熱交換器14Aは、デシカント除湿装置22に対して並列に接続される。この場合、状況に応じて動作台数を設定するように、開閉弁を設置して、使用する地中熱交換器14Aの数を選択することができるようにしてもよい。もちろん、それぞれの地中熱交換器14Aに個別にデシカント除湿装置22を設置するようにしてもよい。なお、地中熱交換器14Aの設置個所は建物の外側でも内側でもよい。
【0027】
先の実施の形態と同様に、地上には、円筒状あるいは円盤状の内部空間を形成するケーシング34が設置され、このケーシング34内にデシカント除湿装置22が構成されている。デシカント除湿装置22は、回転自在に配置されたデシカントロータ20と、デシカントロータ20の前後の内部空間を軸線を含む面で区分して2つの部分空間を構成する仕切板36と、デシカントロータ20を所定の回転速度で回転駆動するモータ38を有している。2つの部分空間の一方は、導入経路16に連絡され、デシカントロータ20を導入空気によって再生する(デシカントロータ20の水分を脱着する)再生ゾーン40となる。また、他方の部分空間は、供給経路18に連絡され、デシカントロータ20により供給空気を除湿する(デシカントロータ20に水分を吸着させる)除湿ゾーン42となる。
【0028】
先の実施の形態と同様に、デシカントロータ20としては、所定の多孔質なデシカント(吸着剤)を、ハニカム状補強構造を有する円盤状部材に成形した周知のものを採用することができる。デシカントの素材としては、アクリル基を有する機能性有機系収着剤またはシリカゲルまたは活性炭などのように、相対湿度が70乃至100%の領域で吸脱着量の差が大きい素材が望ましく、更には相対湿度が高い領域において防カビ性や抗菌性が高い素材(例えばアクリル基を有する機能性有機系収着剤)が望ましい。
【0029】
先の実施の形態と同様に、導入経路16の入口、すなわち空気取入口44の内側に、デシカントロータ20と対向するように遠赤外線ヒータ(加熱手段)46が設けられている。これは、外気の相対湿度が高い場合、すなわち、絶対湿度が高いか温度が低い場合に用いるもので、必要に応じて設置すればよい。この場合、外部空間に湿度センサを設置し、検出した湿度が高い時に、この遠赤外線ヒータ46をオンにするようにしてもよい。また、別の加熱手段として、デシカントロータ20に適当なヒータを埋設し、その部分が導入経路16側に有る時にオンにするようにしてもよい。さらに、デシカントロータ20の上流に加熱手段として温水と熱交換させる熱交換器を設け、温水の加熱源として、太陽熱コレクタで集めた熱を用いるようにしてもよい。
【0030】
また、周知の制御手段を設け、被空調空間等に設置した各種センサ等を用いて種々の運転制御を行うことができる。例えば、デシカント空調システムをマニュアルモードと自動モードの双方で運転できるようにし、自動モードでは、被空調空間に設置した湿度センサが検出した湿度(相対湿度、露点温度又は絶対湿度)が設定した許容上限値より高い時にデシカントロータ20を回転させ、検出した湿度が設定した許容値より低い時にデシカントロータ20を停止させるようにする。
【0031】
以下、上記のように構成されたデシカント空調システムの動作を、図5の湿り空気線図を参照して説明する。なお、以下の説明における温度、湿度その他の数値は例示的なものである。
【0032】
図5において、外気はAの状態であり、例えば相対湿度が80%程度である。相対湿度が高いので遠赤外線ヒータ46がオンとなり、デシカントロータ20の再生ゾーン40の表面を加熱し、ここを通過する導入空気がデシカントと接触する際、例えば相対湿度が70%程度となる状態Bになるように加熱する。この導入空気は、デシカントロータ20を通過する際にこれから水分を脱着し、この際に等エンタルピ変化して、相対湿度がほぼ100%の状態Cに変化する。状態Cの導入空気は、さらに地中熱交換器14Aに送られて20℃近傍まで冷却され、飽和線に沿って水分を結露分離させて絶対湿度が低下し、状態Dに至る。この時、地中熱熱交換器では状態Cから状態Dまで所謂濡れ面熱伝達が行われ、極めて高い熱通過率で空気と地中との熱交換が行われる。
【0033】
温度と絶対湿度が低下した状態Dの空気は、除湿ゾーン42においてデシカントロータ20を通過し、水分を吸着されることにより除湿され、ほぼ要求露点温度15℃に相当する状態Eとなり、供給経路18を介して室内に供給される。なお、上記の説明は状態変化が理想変化であることを仮定したもので、実際には、Bは湿度70%の等相対湿度線より下になり、Eが等相対湿度線より上になる。
上記において、外気の相対湿度が70%よりも低い場合には、遠赤外線ヒータ46はオフのままで、上記のサイクルが実行される。
【0034】
このように、このデシカント空調システムは、地中熱という1つの自然熱源のみを用いて冷却と除湿を行うので、別途冷熱源や空調設備を必要とせず、省エネルギー、省コストでかつ環境に配慮した空調システムが提供される。また、空気の経路が1系統であるので、送風機24も1つで済み、全体の構成が簡単であるので、設備コストも小さく、建物の中間階にも容易に設置できる等のメリットも有る。
【0035】
また、この実施の形態では、遠赤外線ヒータ46を用いることで、その輻射熱により脱着空気入口側のデシカントロータ20を乾燥させてから、除湿経路に回転移動するため、処理空気からの水分吸着量が増加し、熱損失が少ないという利点が有る。なお、状態A〜状態Bでの加熱温度は低いため、太陽熱や低温排熱が利用でき、それによってさらなる省エネルギー効果、及びエコロジー効果を得ることもできる。
【0036】
図6はこの発明の他の実施の形態を示すもので、このデシカント空調システムは、外気ではなく、室内からの還気を冷却・除湿した後、室内に再度供給するように構成されている。また、図7はその動作を説明するための湿り空気線図である。図4の実施の形態では、室内空気が外気で換気されるので、室内空間の衛生環境は維持されるが、処理の負荷は大きくなる。一方、この実施の形態では、より相対湿度の低い室内空気を処理空気とすることで、処理負荷を軽減し、処理空気出口の到達湿度(絶対湿度)を低くする作用が得られるが、換気機能については別途考慮する必要が有る。
【0037】
この実施の形態の動作は、先の実施の形態の場合と、処理空気の初期状態Aが異なるだけで、基本的に同じである。加熱手段(遠赤外線ヒータ)は、先の場合と同様に、導入する室内空気の相対湿度が高い場合、すなわち、絶対湿度が高いか温度が低い場合に用いるので、必要に応じて設置すればよい。この場合、加熱手段の動作を制御するための温度又は湿度センサは、室内に設ける。
【0038】
図8はこの発明の他の実施の形態を示すもので、このデシカント空調システムは、外気と室内にそれぞれ開口する空気取入口44a,44bを設けており、外気と室内還気の双方を取り入れて、冷却・除湿した後、室内に再度供給するように構成されている。このように、還気と外気を混合して処理空気とすることで、図4の実施の形態の換気作用と、図6の実施の形態の処理負荷の軽減作用と、処理空気出口の到達湿度(絶対湿度)を低くする作用を同時に達成することができる。
【0039】
また、図9はその動作を説明するための湿り空気線図である。動作は、先の実施の形態の場合と、処理空気の初期状態Aが異なるだけで、基本的に同じであるので、説明は省略する。
【0040】
図10は、この発明の他の実施の形態を示すもので、外気と室内からの還気の双方を必要に応じて取り入れることができるように、各取入口44a,44bに開閉ダンパ48a,48bを設けたものである。各開閉ダンパ48a,48bの開閉を制御することにより、上述した3つの実施の形態のいずれのパターンの動作も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の第1の実施の形態のデシカント空調システムを示す図である。
【図2】第1の実施の形態のデシカント空調システムの動作を説明する湿り空気線図である。
【図3】この発明の第2の実施の形態のデシカント空調システムを示す図である。
【図4】この発明の第3の実施の形態のデシカント空調システムを示す図である。
【図5】第3の実施の形態のデシカント空調システムの動作を説明する湿り空気線図である。
【図6】この発明の第4の実施の形態のデシカント空調システムを示す図である。
【図7】第4の実施の形態のデシカント空調システムの動作を説明する湿り空気線図である。
【図8】この発明の第5の実施の形態のデシカント空調システムを示す図である。
【図9】第5の実施の形態のデシカント空調システムの動作を説明する湿り空気線図である。
【図10】この発明の第6の実施の形態のデシカント空調システムを示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10 被空調空間
12 建物
14,14A 地中熱交換器
16 導入経路
18 供給経路
20 デシカントロータ
22 デシカント除湿装置
24 送風機
26 内管
28 外管
30 排水溝
32 排水ポンプ
34 ケーシング
36 仕切板
38 モータ
40 再生ゾーン
42 除湿ゾーン
44,44a,44b 空気取入口
46 遠赤外線ヒータ
48a,48b 開閉ダンパ
50 熱媒体流路
52 ポンプ
54 気液熱交換部
56 排水管
58 分岐配管
60 冷房熱交換器
62 太陽電池
64 遠赤外線ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理空気を地中熱交換器に導く導入経路と、
地中熱交換器で冷却された処理空気を被空調空間に導く供給経路と、
これら導入経路及び供給経路の双方に跨って配置されたデシカントロータを備え、
前記デシカントロータをその各部が前記導入経路と供給経路に順次位置するように回転させることにより、冷却後の処理空気を該デシカントロータで除湿し、かつ冷却前の処理空気でデシカントロータを再生するようにしたことを特徴とするデシカント空調システム。
【請求項2】
前記導入経路に、導入した処理空気又は前記デシカントロータを加熱するための加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のデシカント空調システム。
【請求項3】
前記加熱手段として遠赤外線ヒータを用いるよう構成したことを特徴とする請求項2に記載のデシカント空調システム。
【請求項4】
前記地中熱交換器として地中に熱媒体を流す熱媒体流路を用いるよう構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデシカント空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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