説明

データ書き込み方法、及びデータ書き込み装置

【課題】記録装置を有する電子機器において、制御プログラムを書き換えるにあたって、専用の制御プログラム書き換えツールを必要とせず、かつ、記録装置に制御プログラムを記録するための空容量を確保しなくても良い、データ書き込み装置を提供する。
【解決手段】CPUのワークメモリから、少なくとも制御プログラムのサイズ以上の領域を仮想記録装置として設定する仮想記録装置設定手段と、USBマスストレージ機能の実行後、PCに対して、仮想記録装置を記録可能なデバイスとして認識させる一方、記録装置は記録可能なデバイスとして認識させないUSB管理手段と、入力される制御プログラムを仮想記録装置へ記録する記録手段と、制御プログラムの仮想記録装置への記録終了後、USBマスストレージ機能の実行を停止し、制御プログラムを、仮想記録装置から制御プログラム記憶用メモリへ転送する転送手段とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ書き込み方法、及びデータ書き込み装置に係り、特に映像音声信号等を含むコンテンツデータを記録するための記録装置を有する電子機器における制御プログラムを書き込むために用いられる、データ書き込み方法、及びデータ書き込み装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の電子機器の多くは、CPU(Central Processing Unit)を有し、このCPU上で制御プログラムを実行することで、自身が有する各種の機能を実現させている。
従って、このような電子機器は、制御プログラムを書き換えることで、機能の向上や不具合の改善等を実現することが可能である。この制御プログラムを書き換えるには、一般的にパーソナルコンピュータ(以下、PCと呼ぶ)が用いられる。まずPCは、電子機器の製造元が用意するサーバ等から通信回線等によって、書き換え用制御プログラムを取得する。その後、PCは、予め用意される専用の制御プログラム書き換えツールを用いて、この書き換え用制御プログラムを、通信ケーブルで接続されている電子機器が有している制御プログラム記憶用メモリへ書き込む。
【0003】
このような制御プログラムを書き換えるための従来技術として、例えば特許文献1に記載されているものがある。
一方、SDカード(登録商標)等の取り外し可能な記録媒体(以下、過般型記録媒体と呼ぶ)が装着されたスロット(以下、カードスロットと呼ぶ)やHDD(Hard Disk Drive)等、映像音声信号等を含むコンテンツデータを記録するための記録装置を有する電子機器では、USB(Universal Serial Bus)マスストレージ機能を用いて、PCに、この記録装置を外部デバイスとして認識させることが可能である。従って、記録装置を有する電子機器では、このUSBマスストレージ機能を用いることにより、書き換え用制御プログラムを、一旦、この記録装置に記録し、その後、記録装置に記録された書き換え用制御プログラムを制御プログラム記憶用メモリに転送することで、制御プログラムの書き換えが可能となる。また、記録装置がカードスロットの場合は、ユーザが、過般型記録媒体にPC等を用いて書き換え用制御プログラムを書き込み、その後、電子機器のカードスロットへ装着して、この装着された過般型記録媒体に記録されている書き換え用制御プログラムを制御プログラム記憶用メモリに転送することでも、制御プログラムの書き換えが可能である。
【特許文献1】特開平7−314798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来技術では、制御プログラムを書き換えるために、PCで実行される専用の制御プログラム書き換えツールが必要であった。
一方、記録装置を有し、かつ、USBマスストレージ機能に対応する電子機器では、上記したような、専用の制御プログラム書き換えツールを用いなくても書き換えが可能である。しかし、これを実現するには、記録装置に、書き換え用制御プログラムを記録するための空容量を確保しなければならない。従って、記録装置の最大記録容量全てをコンテンツデータの記録のために使用できないという課題があった。また、記録装置がカードスロットの場合は、ユーザが、まずPC等を用いて手動で書き換え用制御プログラムを記録媒体に書き込み、その後、電子機器のカードスロットへ装着して書き換えを実行しなければならない。更に、この過般型記録媒体に書き込まれた書き込み用制御プログラムは、自動では消去できないので、この消去の作業も手動で行なわなければならない。従って、ユーザにとって使い勝手が悪いという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、記録装置を有する電子機器において、制御プログラムを書き換えるにあたって、PCで実行される専用の制御プログラム書き換えツールを必要とせず、かつ、記録装置に制御プログラムを記録するための空容量を確保しなくても良く、更には、ユーザにとって使い勝手が良い、データ書き込み方法、及びデータ書き込み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するために本発明は、下記の方法、装置を提供するものである。
(1)コンテンツデータを記録するための記録装置と、制御プログラムを記録する制御プログラム記録用メモリと、前記制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、USB(Universal Serial Bus)インターフェースと、USBマスストレージ機能とを備える電子機器に対して、前記制御プログラムを書き込むためのデータ書き込み方法であって、
前記CPUのワークメモリ領域に対して、少なくとも前記制御プログラムを書き換えるのに必要なデータサイズ以上の容量に相当する領域を、外部からデータの書き込みが可能な仮想記録装置として設定する第1のステップと、
前記USBマスストレージ機能の実行後、前記USBインターフェースで接続されているパーソナルコンピュータに対して、前記記録装置及び前記仮想記録装置のうち、少なくとも前記仮想記録装置を、記録可能なデバイスとして認識させる第2のステップと、
前記USBインターフェースを介して、前記パーソナルコンピュータから前記仮想記録装置を指定して入力される前記制御プログラムを前記仮想記録装置へ記録する第3のステップと、
前記制御プログラムの前記仮想記録装置への記録終了後、前記USBマスストレージ機能の実行を停止し、前記制御プログラムを、前記仮想記録装置から前記制御プログラム記憶用メモリへ転送する第4のステップと、
を含むことを特徴とするデータ書き込み方法。
(2)前記第2のステップは、
前記パーソナルコンピュータに対して、前記記録装置は記録可能なデバイスとして認識させない、または記録不可能なデバイスとして認識させることを特徴とする上記(1)記載のデータ書き込み方法。
(3)コンテンツデータを記録するための記録装置と、制御プログラムを記録する制御プログラム記録用メモリと、前記制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、USB(Universal Serial Bus)インターフェースと、USBマスストレージ機能とを備える電子機器に対して、前記制御プログラムを書き込むためのデータ書き込み装置であって、
前記CPUのワークメモリ領域に対して、少なくとも前記制御プログラムを書き換えるのに必要なデータサイズ以上の容量に相当する領域を、外部からデータの書き込みが可能な仮想記録装置として設定する仮想記録装置設定手段(8,9)と、
前記USBマスストレージ機能の実行後、前記USBインターフェースで接続されているパーソナルコンピュータに対して、前記記録装置及び前記仮想記録装置のうち、少なくとも前記仮想記録装置を、記録可能なデバイスとして認識させるUSB管理手段(8,9,16)と、
前記USBインターフェースを介して、前記パーソナルコンピュータから前記仮想記録装置を指定して入力される前記制御プログラムを前記仮想記録装置へ記録するデータ記録手段(8,9,16)と、
前記制御プログラムの前記仮想記録装置への記録終了後、前記USBマスストレージ機能の実行を停止し、前記制御プログラムを、前記仮想記録装置から前記制御プログラム記憶用メモリへ転送する転送手段(8,9,10)と、
を有することを特徴とするデータ書き込み装置。
(4)前記USB管理手段は、
前記パーソナルコンピュータに対して、前記記録装置は記録可能なデバイスとして認識させない、または記録不可能なデバイスとして認識させることを特徴とする上記(3)記載のデータ書き込み装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録装置を有する電子機器において、制御プログラムを書き換えるにあたって、PCで実行される専用の制御プログラム書き換えツールを必要とせず、かつ、記録装置に制御プログラムを記録するための空容量を確保しなくても良く、更には、ユーザにとって使い勝手が良いという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明のデータ書き込み装置の実施に形態について、添付図面を参照して説明する。
<全体構成>
図1は、本発明のデータ書き込み装置の実施形態を搭載した、記録装置を有する電子機器の一形態であるビデオカメラ100の構成例を示すブロック図である。以下、この図1を用いて各構成を説明する。
【0009】
なお、図1中、白抜きの太い矢印は映像情報の流れを示し、黒矢印は制御情報の流れを示す。
光学系1は、複数のレンズ群から構成され、撮影対象の映像を、撮像部2に集光させる。
【0010】
撮像部2は、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像デバイスで構成され、光学レンズ系1で集光された映像を光電変換し、電気的な撮像信号に変換し、A/D変換器3へ出力する。
【0011】
A/D変換器3は、撮像信号をデジタル化して信号変換部4へ出力する。
信号変換部4は、デジタル化された撮像信号を、RGB信号や輝度/色差信号等の一般的な映像信号に変換して信号切換部5へ出力する。
【0012】
信号切換部5は、映像記録動作時は、信号変換部4から入力される映像信号をメインCPU8へ出力するとともに、必要に応じて、D/A変換器6へ出力する。一方、映像再生動作時は、メインCPU8から入力される映像信号をD/A変換器6へ出力する。更に、必要に応じて、メインCPU8から入力されるメニュー画面等のグラフィクス信号も、信号変換部4やメインCPU8から入力される映像信号と重畳する等してD/A変換器6へ出力する。
【0013】
D/A変換器6は、デジタル化された映像信号をアナログ映像信号に変換して表示部7へ出力する。
表示部7は、液晶表示デバイス等で構成され、アナログ映像信号を映像として表示する。
【0014】
メインCPU8は、このビデオカメラ内の各構成部を制御して、映像記録動作や映像再生動作等の各機能動作を実現する。更に、映像記録動作時は、映像信号切換部5から供給される映像信号を圧縮符号化し、ドライブ I/F部11を介して記録装置12へ記録する。また、映像再生動作時は、記録装置12に記録されている圧縮符号化された映像信号を、ドライブ I/F部11を介して再生、取得し、この取得した圧縮符号化された映像信号を復号して信号切換部5へ出力する。更に、初期設定時や編集時などに表示部7へ表示するメニュー画面等のグラフィクス信号も生成し、信号切換部5へ出力する。
【0015】
RAM(Random Access Memory)9は、所謂ワークメモリである。このRAM9は、メインCPU8が制御プログラムに従って、映像記録動作、映像再生動作、映像信号の圧縮符号化、復号化等を実行する際に生成される種々のデータを一時記憶する。なお、このRAM9に記録されたデータは、電源供給が無くなると失われる。
【0016】
不揮発性メモリ10は、フラッシュメモリ等の、データの書き換えが可能であり、かつ、電源供給が無くなっても記憶したデータが失われないメモリである。この不揮発性メモリ10は、メインCPU8で実行される制御プログラムが記録される、制御プログラム記憶用メモリである。なお、この不揮発性メモリ10には、制御プログラムのほかに、各種設定用データなども記録される。
【0017】
ドライブ I/F部11は、メインCPU8と記録装置12との間でのデータの入出力を管理する。ATA(AT Attachment)規格やSATA(Serial ATA)規格などを用いる場合が多い。
【0018】
記録装置12は、過般型記録媒体が装着されたカードスロットやHDD等で構成される。そして、メインCPU8からドライブ I/F部11を介して、この記録装置12に記録制御情報が入力された場合、その記録制御情報と同様の経路で入力される圧縮符号化された映像信号を記録する。また、メインCPU8からドライブ I/F部11を介して、この記録装置12に再生制御情報が入力された場合、その再生対象の圧縮符号化された映像信号を再生し、ドライブ I/F部11を介してメインCPU8へ出力する。
【0019】
サブCPU13は、主に、操作部15を介して入力されるユーザの操作情報をメインCPU8へ出力する機能を実現する。なお、このサブCPU13には、ビデオカメラ100の主電源(図示せず)がOFF状態でも、ボタン電池等の副電源(図示せず)から常に電源を供給しておく。こうしておくことにより、操作部15を介してユーザから主電源ONの操作情報が入力され場合、主電源をONにすることが可能となる。
【0020】
ROM(Read Only Memory)14には、サブCPU13で実行されるサブ制御プログラムや設定データ等が記憶されている。なお、ROM14は、基本的には書き換え不可なメモリであるが、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等、電気的に書き換え可能なメモリも存在する。
【0021】
操作部15は、ビデオカメラ100に備わる操作ボタン等をユーザが操作したら、その操作ボタンに対応する操作情報を、サブCPU13へ出力する。
USB I/F部16は、USB規格に従ってメインCPU8と、ビデオカメラ100の外部のPC20との間でのデータの入出力を管理する。そして、USB規格のUSBマスストレージ機能を用いると、メインCPU8は、ビデオカメラ100内に備える、記録装置12、RAM9、不揮発性メモリ10等のメモリデバイスを、PC20に、外部デバイスとして認識させることが可能となる。
【0022】
PC20は、USBケーブルによってビデオカメラ100と接続されることで、USB規格に従って、ビデオカメラ100から種々のデータを取得したり、ビデオカメラ100へ種々のデータを供給したりすることが可能となる。本実施の形態では、このPC20は、書き換え用制御プログラムをビデオカメラ100へ供給するために用いられる。
【0023】
なお、上記説明では、音声信号に関する記述が無いが、音声信号に関しては、本実施の形態において関連が薄いために省略したものである。ビオオカメラ100としては、当然、音声信号の処理のための構成要素も備えている。
<動作フロー>
次に、上記で説明したビデオカメラ100においての、本発明のデータ書き込み装置の実施の形態の動作を、図1のブロック図、及び図2のフローチャートを用いて説明する。
【0024】
なお、この動作を行なう前提として、ユーザは、予め、書き換え用制御プログラムを、インターネットからダウンロードし、PC20の内蔵HDD(図示せず)や外付けHDD(図示せず)などの記録装置に記録しておくものとする。なお、書き換え用制御プログラムを取得する形態は、これに限らずどのような形態でも良い。例えば、CD−ROM等のパッケージメディアから取得しても良い。
【0025】
ユーザは、ビデオカメラ100の制御プログラムを、上記で取得した書き換え用制御プログラムに書き換えるために、ビデオカメラ100内のデータ書き込み装置を起動させる。具体的には、ユーザは、例えば、ビデオカメラ100の表示部7にメニュー画面を表示させ、このメニュー画面内に予め用意されている、制御プログラム書き換え実行を示す領域を選択する。
【0026】
メインCPU8は、ユーザによる上記操作を認識したら、データ書き込み装置を起動する。なお、データ書き込み装置の機能は、メインCPU8によって実現される。従って、以下の説明において、特に動作の主体の記述が無い場合、その動作の主体はメインCPU8である。
【0027】
データ書き込み装置が起動すると、まず、メインCPU8は、メインCPU8のワークメモリであるRAM9のメモリ領域のうちの所定位置(アドレス)から、書き換え用制御プログラムのサイズよりも十分大きく見込んだサイズ分(例えば16Mバイト)の領域を、
外部からデータの書き込みが可能な仮想的な記録装置である仮想ドライブ(RAMドライブ)として設定する(ステップS101)。そしてこのRAMドライブに名称を付加する。ここでは例えば、「RAM_DRV」とする。なお、この名称は、USBマスストレージ機能においてのボリューム名となる。また、書き換え用制御プログラムのサイズとは、例えば、この書き換え用制御プログラムがデータ圧縮されている場合は、この圧縮されたデータのサイズのことである。
【0028】
次に、メインCPU8は、表示部7に、PC20とビデオカメラ100とのUSBケーブル接続を促すメッセージを表示する(ステップS102)。なお、ここで表示するメッセージは、上記内容だけでなく、後述する処理である、書き換え用制御プログラムのコピーを促すメッセージ、及び、そのコピー操作終了後のUSBケーブル抜脱を促すメッセージも併せて表示する。
【0029】
ユーザは、このメッセージを認識したら、PC20とビデオカメラ100とをUSBケーブルで接続する。
メインCPU8は、USBケーブルが接続されたか否かを確認し(ステップS103)、接続されたことを確認できたら(ステップS103:Yes)、USBマスストレージ機能を起動する(ステップS104)。一方、USBケーブルが接続されたことを認識できなかったら(ステップS103:No)、接続されたことを確認できるまでこのステップで待機する。なお、ここでは説明を簡単にするために無限ループで待機するようにしているが、所定のタイムアウト時間を設けて、このタイムアウト時間を越えたらループを抜けて処理を終了させることは当然行なわれる処理である。これは、以降で説明するステップS107、ステップS113においても同様である。
【0030】
USBマスストレージ機能を起動させた後、従来技術においては、記録装置12を、例えばボリューム名「CAM101」の外部デバイスとしてPC20に認識させる。しかし、本実施の形態において、メインCPU8は、この記録装置12をPC20に認識させず、ステップS101において名称を「RAM_DRV」として設定したRAMドライブのみをボリューム名「RAM_DRV」の外部デバイスとしてPC20に認識させる(ステップS105)。
【0031】
図3は、上記処理によってPC20が「RAM_DRV」を認識した場合に、PC20の表示部(図示せず)に表示されるディレクトリツリーの例である。ルートディレクトリである「マイコンピュータ」下に、「ローカルディスク」というボリューム名の内蔵HDDと、「HDD_1」、「HDD_2」というボリューム名の外付けHDDとに加えて、今回認識させた「RAM_DRV」のボリューム名が表示されている。なお、網掛けしてある、「CAM101」は、従来技術において「RAM_DRV」に替わって表示されるはずのビデオカメラ100の記録装置12に対応するボリューム名である。また、それぞれのボリューム名の後に付加されている(C:)(D:)...などのアルファベット文字は、PC20がUSBマスストレージ機能によって外部装置を認識した順に自動で割り振られる、所謂ドライブレターである。
【0032】
ここで、書き換え用制御プログラムは、「ローカルディスク」の「ダウンローズ」フォルダの中に、「CAM101.19.4.pgm」というファイル名で格納されているとする。
【0033】
ユーザは、ステップS102おいて表示された、書き換え用制御プログラムのコピーを促すメッセージに従って、PC20において、書き換え用制御プログラムのコピー操作を行なう。コピー操作とは、具体的には、PC20が提供するGUI(Graphical User Interface)を用いて、ディレクトリツリーに表示されている「CAM101.19.4.pgm」ファイルをマウスでドラッグし、「RAM_DRV」と表示されている領域へドロップする操作である。
【0034】
このドラッグアンドドロップ操作によって、書き換え用制御プログラムは、PC20からビデオカメラ100のRAMドライブの領域(RAM9)へ、USB I/F部16、メインCPU8を介して書き込まれる(ステップS106)。
【0035】
このように、ユーザは、ディレクトリツリーの表示画面において、マウス等によるドラッグアンドドロップ操作を行うのみで書き換え用制御プログラムをビデオカメラ100のRAMドライブ(RAM9)に書き込む(コピーする)ことができる。従って、専用の制御プログラム書き換えツールを用いる必要が無い。
【0036】
次に、ユーザは、ステップS102おいて表示された、USBケーブル抜脱を促すメッセージに従って、USBケーブルを抜脱する。
CPU9は、USBケーブルが抜脱されたか否かを確認する(ステップS107)。
抜脱されたことを確認できたら(ステップS107:Yes)、USBマスストレージ機能を終了する(ステップS108)。一方、USBケーブルが抜脱されたことを認識できなかったら(ステップS107:No)、抜脱されたことを確認できるまでこのステップで待機する。
【0037】
メインCPU8は、USBマスストレージ機能を終了させた後、RAMドライブに書き換え用制御プログラムが存在するか否かを確認する(ステップS109)。存在していた場合(ステップS109:Yes)、次に、その書き換え用制御プログラムの正当性、及び整合性を判断する(ステップS110)。正当性の判断とは、その書き換え用制御プログラムが本当に書き換えるべき対象のものであるか否かを判断することである。また、整合性の判断とは、その書き換え用制御プログラムのデータに誤りや欠落が無いか否かを判断することである。
【0038】
正当性の判断は、その書き換え用制御プログラムに含まれている、この書き換え用制御プログラムを識別するための識別情報を参照して行なう。識別情報としては、例えば、制御対象のビデオカメラのモデル名、制御プログラムのバーション番号、仕向け地情報などである。仕向け地情報とは、例えば「1」が日本、「2」がアメリカ、「3」が中国などと、数値と国や地域とを予め対応付けた情報である。これらの情報は、通常は、制御プログラムの最初の部分(ヘッダ部)に挿入される。正当性の判断は、このヘッダ部を読み込み、例えば、モデル名と仕向け地とが、現在ビデオカメラ100で使用されている制御プログラムのヘッダ部のものと一致し、かつバージョン番号が、現在使用されている制御プログラムの値よりも大きい値であった場合に、その書き換え用制御プログラムが正当であると判断する。なお、この正当性の判断は一例であり、他の識別情報を用いて判断しても良いし、上記識別情報のうちいいずれかのみを用いて判断しても良い。また、識別情報は、書き換え用制御プログラムの名前に付加して運用しても良い。例えば、本実施例の場合の制御プログラム名である「CAM101.19.4.pgm」の場合、最初の「CAM101」がビデオカメラ100のモデル名を示し、「19」がバージョン番号を示し、「4」が仕向地情報を示す等のように規定しても良い。
【0039】
整合性の判断は、ヘッダ部に含まれている、その書き換え用制御プログラムのサイズ情報とエラーチェック用のCRC(Cyclic Redundancy Check)とを読み込むとともに、実際にRAMドライブに書き込まれた書き換え用制御プログラムのCRCを計算して、互いのCRCの値が一致する(整合性OK)か否(整合性NG)かで判断する。
【0040】
図2のデータ書き込み装置の処理の流れの説明に戻る。
正当性及び整合性の両方がOKの場合(ステップS110:Yes)、メインCPU8は、書き換え用制御プログラムを書き換え中である旨を通知するメッセージを表示部7へ表示する(ステップS111)とともに、実際に、RAMドライブから不揮発性メモリ10への書き換え用制御プログラムの転送を開始する(ステップS112)。
【0041】
ステップS113において、転送が終了するまで待機し(ステップS113:No)、転送が終了したら(ステップS113:Yes)、書き換え用制御プログラムの書き換えが終了した旨を通知するメッセージを表示部7へ表示する(ステップS114)。
【0042】
なお、不揮発性メモリ10へのデータの書き込み速度は比較的低速であるので、書き換え用制御プログラムのRAMドライブから不揮発性メモリ10への転送が終了するまでには数十秒〜数分程度の時間を要する場合がある。従って、この転送が終了するまでの時間、ユーザに不安をいだかせないように、メインCPU8は、表示部7に書き込み状況を通知するためのプログレスバーなどを表示しても良い。なお、PC20からビデオカメラ100のRAM_DRVへ書き換え用制御プログラムをコピーする場合は、RAM_RDVであるRAM9の書き込み速度及びUSBインターフェースの転送速度が高速であり、短時間でコピー処理が終了するため、このような書き込み状況を通知するような処理は無くても良い。
【0043】
以上の処理によって書き換わった制御プログラムを有効とするために、ビデオカメラ100を再起動する(ステップS115)。なお、再起動は、メインCPU8が自ら行なうのではなく、ステップS115において、ユーザに再起動を促すメッセージのみを表示するようにしても良い。
【0044】
ステップS109において、RAMドライブに書き換え用制御プログラムが存在していなかった場合(ステップS109:No)、及び、ステップS110において、書き換え用制御プログラムの正当性及び整合性のいずれかNGであった場合(ステップS110:No)は、メインCPU8はエラーメッセージを表示部7へ表示する(ステップS116)とともに、RAMドライブの設定を解除してRAM9を基のワークメモリの設定に戻し(ステップS117)、処理を終了する。
【0045】
なお、正常終了した場合、RAMドライブの設定及びこのRAMドライブに書き込まれた書き込み用制御プログラムのデータは、ビデオカメラ100の再起動時に初期化され消失するので、上記処理においては設定を基に戻すような処理は必要ない。
【0046】
また、上記説明においては、一番確実な方法として、USBケーブルの接続の確認後、USBマスストレージ機能を実行し、USBケーブルの抜脱の確認後、USBマスストレージ機能を終了する例を示した。しかし、USBマスストレージ機能の実行開始/終了のタイミングさえ正常になされれば、USBケーブルは、接続されたままの状態であっても構わない。
【0047】
なお、上記説明においては、ビデオカメラ100の記録装置12をPC20に認識させない例を示したが、PC20に対して書き込み不可能なデバイスとして認識させても良い。この場合、PC20の表示部に表示される「CAM101」に対応するアイコンには、例えば図3に示したようにアイコンやボリューム名の表示領域に斜線を施す等、書き込み不可能なことをユーザが視認できるようにすることが望ましい。これはUSBマスストレージ機能において、書き込み不可能なデバイスをどのように表示するかを予め定めておくことで実現可能である。
【0048】
また、ユーザの誤操作を許容するならば、ビデオカメラ100の記録装置12もPC20に対して書き込み可能デバイスとして認識させても構わない。
上記において説明した通り、本実施形態によれば、制御プログラムを書き換えるにあたって、PC20で実行される専用の制御プログラム書き換えツールを必要とせず、かつ、記録装置12に制御プログラムを記録するための空容量を確保しなくても良いという効果を得ることができる。
【0049】
また、PCに記録装置12を認識させず、RAMドライブのみを認識させることにより、ユーザが、書き換え用制御プログラムを記録装置12に誤ってコピーしてしまう、といった誤操作を防止する効果も得られる。
【0050】
また、本実施形態によれば、RAMディスクに書き込んだ書き換え用制御プログラムは再起動時(より正確には電源OFF時)に自動で消去されるので、従来の過般型記録媒体を用いた場合のように、この過般型記録媒体に書き込まれた書き換え用制御プログラムを手動で消去しなければならないという使い勝手の悪さも解消することが可能になるという効果も得られる。
【0051】
なお、以上説明した実施形態のデータ書き込み装置においては、図1における、メインCPU8と、RAM9とで、前記CPUのワークメモリ領域に対して、少なくとも前記制御プログラムを書き換えるのに必要なデータサイズ以上の容量に相当する領域を、外部からデータの書き込みが可能な仮想記録装置として設定する仮想記録装置設定手段を構成している。
【0052】
メインCPU8と、RAM9と、USB I/F部16とで、前記USBマスストレージ機能の実行後、前記USBインターフェースで接続されているパーソナルコンピュータに対して、前記記録装置及び前記仮想記録装置のうち、少なくとも前記仮想記録装置を、記録可能なデバイスとして認識させるUSB管理手段を構成している。
【0053】
メインCPU8、RAM9、USB I/F部16とで、前記USBインターフェースを介して、前記パーソナルコンピュータから前記仮想記録装置を指定して入力される前記制御プログラムを前記仮想記録装置へ記録するデータ記録手段を構成している。
【0054】
メインCPU8と、RAM9と、不揮発性メモリ10とで、前記制御プログラムの前記仮想記録装置への記録終了後、前記USBマスストレージ機能の実行を停止し、前記制御プログラムを、前記仮想記録装置から前記制御プログラム記憶用メモリへ転送する転送手段を構成している。
【0055】
なお、本発明は上記した装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを含むものである。これらのプログラムは、記録媒体から読み取られてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のデータ書き込み装置の実施形態を搭載したビデオカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】一実施例の動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】一実施例によるディレクトリツリーの表示例である。
【符号の説明】
【0057】
1 光学系
2 撮像部
3 A/D変換器
4 信号変換部
5 信号切換部
6 D/A変換器
7 表示部
8 メインCPU
9 RAM
10 不揮発性メモリ
11 ドライブ I/F部
12 記録装置
13 サブCPU
14 ROM
15 操作部
16 USB I/F部
20 PC
100 ビデオカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを記録するための記録装置と、制御プログラムを記録する制御プログラム記録用メモリと、前記制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、USB(Universal Serial Bus)インターフェースと、USBマスストレージ機能とを備える電子機器に対して、前記制御プログラムを書き込むためのデータ書き込み方法であって、
前記CPUのワークメモリ領域に対して、少なくとも前記制御プログラムを書き換えるのに必要なデータサイズ以上の容量に相当する領域を、外部からデータの書き込みが可能な仮想記録装置として設定する第1のステップと、
前記USBマスストレージ機能の実行後、前記USBインターフェースで接続されているパーソナルコンピュータに対して、前記記録装置及び前記仮想記録装置のうち、少なくとも前記仮想記録装置を、記録可能なデバイスとして認識させる第2のステップと、
前記USBインターフェースを介して、前記パーソナルコンピュータから前記仮想記録装置を指定して入力される前記制御プログラムを前記仮想記録装置へ記録する第3のステップと、
前記制御プログラムの前記仮想記録装置への記録終了後、前記USBマスストレージ機能の実行を停止し、前記制御プログラムを、前記仮想記録装置から前記制御プログラム記憶用メモリへ転送する第4のステップと、
を含むことを特徴とするデータ書き込み方法。
【請求項2】
前記第2のステップは、
前記パーソナルコンピュータに対して、前記記録装置は記録可能なデバイスとして認識させない、または記録不可能なデバイスとして認識させることを特徴とする請求項1記載のデータ書き込み方法。
【請求項3】
コンテンツデータを記録するための記録装置と、制御プログラムを記録する制御プログラム記録用メモリと、前記制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、USB(Universal Serial Bus)インターフェースと、USBマスストレージ機能とを備える電子機器に対して、前記制御プログラムを書き込むためのデータ書き込み装置であって、
前記CPUのワークメモリ領域に対して、少なくとも前記制御プログラムを書き換えるのに必要なデータサイズ以上の容量に相当する領域を、外部からデータの書き込みが可能な仮想記録装置として設定する仮想記録装置設定手段と、
前記USBマスストレージ機能の実行後、前記USBインターフェースで接続されているパーソナルコンピュータに対して、前記記録装置及び前記仮想記録装置のうち、少なくとも前記仮想記録装置を、記録可能なデバイスとして認識させるUSB管理手段と、
前記USBインターフェースを介して、前記パーソナルコンピュータから前記仮想記録装置を指定して入力される前記制御プログラムを前記仮想記録装置へ記録するデータ記録手段と、
前記制御プログラムの前記仮想記録装置への記録終了後、前記USBマスストレージ機能の実行を停止し、前記制御プログラムを、前記仮想記録装置から前記制御プログラム記憶用メモリへ転送する転送手段と、
を有することを特徴とするデータ書き込み装置。
【請求項4】
前記USB管理手段は、
前記パーソナルコンピュータに対して、前記記録装置は記録可能なデバイスとして認識させない、または記録不可能なデバイスとして認識させることを特徴とする請求項3記載のデータ書き込み装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−197702(P2011−197702A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182362(P2008−182362)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】