説明

トイレットペーパロールの製造方法

【課題】使用中に変化の趣があるトイレットペーパロールを提供することと、1種類の印版を用いて、色や模様の印刷の趣が異なる複数個のトイレットペーパロールを素材ウェブから条採りできるようにすることである。
【解決手段】輪転印刷機の版胴ローラ8に、円周方向で模様が異なる複数の印刷領域A〜Fに分割された印版8aを幅方向で複数列に並べて配置し、これらの印版8aを円周方向に位相をずらして版胴ローラ8に取り付けることにより、各印版8aで印刷される素材ウェブから条採りされるトイレットペーパロールの長手方向に、模様の異なる被印刷領域が繰り返し表われるようにするとともに、条採りされる各トイレットペーパロールの最外周に模様の異なる被印刷領域が表われるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパロールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパロールの販売形態には、1個ずつ包装紙で包装したものと、個別に包装することなく、6個、12個等の複数個ずつを袋等にパッケージしたものとがある。近年は後者の販売形態が増加しており、個々のトイレットペーパロールに変化を持たせるために、色や模様が異なる印刷を施したものを一緒にパッケージしたものもある。
【0003】
通常、トイレットペーパロールは、広幅の素材ウェブを所定の長さに巻き取ったのち、この巻き取ったログロールをトイレットペーパの幅に輪切り切断する方法か、広幅の素材ウェブをトイレットペーパの幅にスリット切断したのち、所定の長さに巻き取る方法で製造され、素材ウェブから複数個のトイレットペーパロールが条採りされている。これらのトイレットペーパロールは、通常1回使用分の目安となるミシン目の切り目線を入れられ、全面に凹凸を付与するエンボス加工が施されるものもある。トイレットペーパロールに印刷を施す場合は、ログロールやトイレットペーパロールを巻き取る工程に輪転印刷機を設けるか、輪転印刷機を備えた別途の印刷工程を設けるかしている。
【0004】
このように、広幅の素材ウェブから複数個ずつ条採りされて製造されるトイレットペーパロールは、近年は自動パッケージ装置を用いて袋等にパッケージされることが多くなっている。このような自動パッケージ装置を用いても、上述したような色や模様が異なる印刷を施したトイレットペーパロールを一緒にパッケージできるように、素材ウェブに印刷を施す輪転印刷機の版胴ローラを、トイレットペーパの幅に対応させて、色や模様が異なる印版を幅方向に配列したものとし、色や模様が異なる印刷が施されたトイレットペーパロールを、同じ素材ウェブから同時に製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたものでは、ログロールまたはスリット切断されたトイレットペーパロールを巻き取る工程に輪転印刷機を設けて、これらの印刷を施している。
【0005】
【特許文献1】特許第3060406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたトイレットペーパロールの製造方法は、色や模様が異なる印刷を施したトイレットペーパロールを素材ウェブから複数個ずつ条採りでき、自動パッケージ装置を用いて一緒にパッケージするのに好適であるが、輪転印刷機の版胴ローラに色や模様が異なる多種類の印版を用意する必要があり、印版の製作コストや管理コストが高くなる問題がある。また、個別に使用される1個ずつのトイレットペーパロールは全長に亙って同じ色や模様となるので、個々のトイレットペーパロールの使用中には変化の趣がない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、使用中に変化の趣があるトイレットペーパロールを提供することと、1種類の印版を用いて、色や模様の印刷の趣が異なる複数個のトイレットペーパロールを素材ウェブから条採りできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、素材ウェブに版胴ローラを用いる輪転印刷機で印刷を施し、印刷を施された素材ウェブを所定の長さに巻き取り切断してトイレットペーパロールを製造するトイレットペーパロールの製造方法において、前記版胴ローラの印版を円周方向で少なくとも色または模様が異なる複数の印刷領域に分割されたものとし、この印版の複数の印刷領域で印刷された少なくとも色または模様の異なる被印刷領域が、トイレットペーパロールの長手方向で繰り返し表われるようにした方法を採用した。
【0009】
すなわち、版胴ローラの印版を円周方向で少なくとも色または模様が異なる複数の印刷領域に分割されたものとし、この印版の複数の印刷領域で印刷された少なくとも色または模様の異なる被印刷領域が、トイレットペーパロールの長手方向で繰り返し表われるようにすることにより、使用中に変化の趣があるトイレットペーパロールを提供できるようにした。
【0010】
前記輪転印刷機の版胴ローラの印版を、前記円周方向で複数の印刷領域に分割された印版が幅方向で複数列に並べられたものとして、前記印刷を施された素材ウェブから複数個のトイレットペーパロールが条採りされるようにし、前記幅方向で複数列に並べられた少なくとも1列の印版部分を、他の列の印版部分と円周方向に位相をずらして、この円周方向に位相をずらした列の印版部分で印刷される素材ウェブの部分から条採りされるトイレットペーパロールの巻き取り切断された最外周に、前記他の列の印版部分で印刷される素材ウェブの部分から条採りされるトイレットペーパロールの巻き取り切断された最外周と少なくとも色または模様の異なる被印刷領域が表われるようにすることにより、1種類の印版を用いて、色や模様の印刷の趣が異なる複数個のトイレットペーパロールを素材ウェブから条採りできるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトイレットペーパロールの製造方法は、版胴ローラの印版を円周方向で少なくとも色または模様が異なる複数の印刷領域に分割されたものとし、この印版の複数の印刷領域で印刷された少なくとも色または模様の異なる被印刷領域が、トイレットペーパロールの長手方向で繰り返し表われるようにしたので、使用中に変化の趣があるトイレットペーパロールを提供することができる。
【0012】
前記輪転印刷機の版胴ローラの印版を、円周方向で複数の印刷領域に分割された印版が幅方向で複数列に並べられたものとして、印刷を施された素材ウェブから複数個のトイレットペーパロールが条採りされるようにし、幅方向で複数列に並べられた少なくとも1列の印版部分を、他の列の印版部分と円周方向に位相をずらして、この円周方向に位相をずらした列の印版部分で印刷される素材ウェブの部分から条採りされるトイレットペーパロールの巻き取り切断された最外周に、他の列の印版部分で印刷される素材ウェブの部分から条採りされるトイレットペーパロールの巻き取り切断された最外周と少なくとも色または模様の異なる被印刷領域が表われるようにしたので、1種類の印版を用いて、色や模様の印刷の趣が異なる複数個のトイレットペーパロールを素材ウェブから条採りすることができ、これらの趣が異なるトイレットペーパロールを、自動パッケージ装置を用いて、効率よく一緒にパッケージすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係るトイレットペーパロールの製造方法を採用した印刷巻き取り装置を示す。この印刷巻き取り装置は、リール1から巻き出される素材ウェブ11が、複数の案内ロール2で輪転印刷機3に案内され、輪転印刷機3で印刷を施された素材ウェブ11が複数の案内ロール4で案内されて、2本の受けロール5と押さえロール6との間でログロール12として巻き取られるようになっている。図示は省略するが、印刷を施された素材ウェブ11は、1回使用分の切り目線を入れられるとともにエンボス加工を施され、所定の長さに巻き取られたのち切断されて、切断された尾端が糊付けされる。
【0014】
前記輪転印刷機3は、1本の圧胴ローラ7に4本の版胴ローラ8が転接されており、各版胴ローラ8に背面側のアニロックスロール9から異なる色のインクが供給されて、圧胴ローラ7と各版胴ローラ8との間に順に導かれる素材ウェブ11に4色刷りの印刷を施すようになっている。
【0015】
図2(a)、(b)に示すように、前記版胴ローラ8には円周方向で模様が異なる6つの印刷領域A〜Fに分割された印版8aが幅方向で6列に並べて配置され、各印版8aは円周方向で60°ずつ位相をずらして版胴ローラ8に取り付けられている。なお、図2中の各印刷領域A〜Fは、後の図3中に表示される各被印刷領域A〜Fに対応させて、反転表示している。
【0016】
したがって、図3(a)に示すように、前記ログロール12の幅方向には、トイレットペーパの幅に対応する6列の印版8aで6列に印刷が施され、印刷を施された各列には、各印刷領域A〜Fで印刷された被印刷領域A〜Fが長手方向で繰り返し表われる。また、各列の被印刷領域A〜Fは、版胴ローラ8の周長の1/6の長さに対応する分だけ順に長手方向へずれ、図3(b)に示すように、ログロール12の最外周には、各列で異なる被印刷領域A〜Fが表われる。
【0017】
前記ログロール12はトイレットペーパの幅に輪切り切断され、図4(a)に示すよう
なトイレットペーパロール13が、6個ずつ条採りされる。これらのトイレットペーパロール13は、図4(b)に示すように、異なる模様の被印刷領域A〜Fが長手方向で交互に設けられており、使用中に変化の趣を供することができる。
【0018】
図5に示すように、前記6個ずつ条採りされたトイレットペーパロール13は、自動パッケージ装置を用いて袋14にパッケージされる。このとき、パッケージされた6個のトイレットペーパロール13の最外周には、図3(b)に示したログロール12の最外周に対応して、それぞれ異なる模様の被印刷領域A〜Fが表われる。したがって、パッケージされた個々のトイレットペーパロール13に変化の趣を供することができる。
【0019】
上述した実施形態では、印刷した素材ウェブをログロールに巻き取ったのち輪切り切断して、トイレットペーパロールを多条採りするようにしたが、印刷した素材ウェブをスリット切断したのち巻き取って、トイレットペーパロールを多条採りすることもできる。なお、本発明に係るトイレットペーパロールの製造方法は、素材ウェブからトイレットペーパロールを1条採りするものにも適用することができる。
【0020】
また、上述した実施形態では、4本の各版胴ローラに、円周方向で6つの印刷領域に分割した6列の印版を、それぞれ円周方向で位相をずらして取り付けたが、版胴ローラの本数、各印版の印刷領域の分割数および印版の取り付け個数は、任意に設定することができる。また、必ずしも全ての印版の取り付け位相をずらす必要はなく、少なくとも1個の印版の取り付け位相をずらしたものであればよい。なお、6列の印版は一体のものとして版胴ローラに取り付けてもよい。
【0021】
さらに、上述した実施形態では、各印刷領域の模様を変えて4色刷りするようにしたが、各印刷領域を同じ模様として色のみを変えてもよい。また、模様を変えて単色刷りとしてもよい。なお、これらの印刷は、別途の輪転印刷機を備えた印刷工程を設けて、素材ウェブを巻き出し、巻き取りながら行なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るトイレットペーパロールの製造方法を採用した印刷巻き取り装置を示す正面図
【図2】aは図1の版胴ローラを示す斜視図、bはaの印版の展開平面図
【図3】aは図1の印刷巻き取り装置で巻き取られたログロールを示す斜視図、bはaのログロールの尾端を糊付け接着した状態を示す斜視図
【図4】aは図3のログロールを輪切り切断して得られたトイレットペーパロールを示す斜視図、bはaのトイレットペーパロールを巻き出した状態を示す斜視図
【図5】図4のトイレットペーパロールをパッケージした状態を示す正面図
【符号の説明】
【0023】
1 リール
2 案内ロール
3 輪転印刷機
4 案内ロール
5 受けロール
6 押さえロール
7 圧胴ローラ
8 版胴ローラ
8a 印版
9 アニロックスロール
11 素材ウェブ
12 ログロール
13 トイレットペーパロール
14 袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材ウェブに版胴ローラを用いる輪転印刷機で印刷を施し、印刷を施された素材ウェブを所定の長さに巻き取り切断してトイレットペーパロールを製造するトイレットペーパロールの製造方法において、前記版胴ローラの印版を円周方向で少なくとも色または模様が異なる複数の印刷領域に分割されたものとし、この印版の複数の印刷領域で印刷された少なくとも色または模様の異なる被印刷領域が、トイレットペーパロールの長手方向で繰り返し表われるようにしたことを特徴とするトイレットペーパロールの製造方法。
【請求項2】
前記輪転印刷機の版胴ローラの印版を、前記円周方向で複数の印刷領域に分割された印版が幅方向で複数列に並べられたものとして、前記印刷を施された素材ウェブから複数個のトイレットペーパロールが条採りされるようにし、前記幅方向で複数列に並べられた少なくとも1列の印版部分を、他の列の印版部分と円周方向に位相をずらして、この円周方向に位相をずらした列の印版部分で印刷される素材ウェブの部分から条採りされるトイレットペーパロールの巻き取り切断された最外周に、前記他の列の印版部分で印刷される素材ウェブの部分から条採りされるトイレットペーパロールの巻き取り切断された最外周と少なくとも色または模様の異なる被印刷領域が表われるようにした請求項1に記載のトイレットペーパロールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−210205(P2007−210205A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32694(P2006−32694)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(398005973)西日本衛材株式会社 (1)
【Fターム(参考)】