説明

トイレットペーパーロール圧縮装置およびその圧縮方法

【課題】梱包の外寸や保管場所を抑え、また使用時に不快音の発生を抑えることができるように、厚紙材を用いた芯材を有するトイレットペーパーロールを圧縮するトイレットペーパーロール圧縮装置およびその圧縮方法を提供する。
【解決手段】厚紙材からなる筒状の芯材102を有するトイレットペーパーロール100の外周下部に接触するローラ3と、芯材102の中心を介してローラ3に対向配置されトイレットペーパーロール100の外周上部に接触するローラ2と、トイレットペーパーロール100の側方を支持するロール側方支持部7と、圧縮駆動部8によりローラ2を稼働させて芯材102に折り目が生じない程度にトイレットペーパーロール100をローラ2およびローラ3によって圧縮し芯材102の空洞部分を減少させる制御部9とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的な厚紙材を芯材に使用し、複数個をまとめて梱包したときに生じる空きスペースを抑制し、コンパクトに梱包することを可能にするトイレットペーパーロール圧縮装置およびその圧縮方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なトイレットペーパーロールは、厚紙材を用いて円筒状に形成した芯材にトイレットペーパーを巻きつけ、ロール状に形成している。
このようなトイレットペーパーロールは、複数個をまとめて梱包した態様で運搬、保管、また販売されることが多い。上記の芯材は内部が空洞になっており、この空洞部分により梱包内部に相当の空隙が生じ、梱包した際の外寸が大きくなる。
そこで、芯材の中空部分をつぶし、特に複数個のトイレットペーパーロールを梱包した場合の外寸を抑制し、運搬や保管等を行う際に必要なスペースを削減するための技術が提案されている。
【0003】
例えば、特開2000−177894号公報に記載のコアレスロールは、ロール形状の中心部分に芯材を有することなくペーパーロールを構成し、ペーパーロールの断面形状を偏平状態に変形させて中心部分の中空部分を無くし、もしくは減少させ、複数並べて梱包した場合に生じる中空部分を抑制することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−177894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2000−177894号公報に記載されているコアレスロールは、ロール本体のウェブ巻き始め部分に接着剤を塗布して略円筒形状の硬化層を形成し、この硬化層に柔軟性を有するウェブを巻きつけている。そのため硬化層を形成する工程が必須となり、ロール単体の製造コストが高くなるという課題を有していた。
また、厚紙材を芯材に用いたトイレットペーパーロールを圧縮して芯材内側の空洞をつぶした場合には、芯材に折り目が生じてトイレットペーパーロールをロールホルダー等に設置しトイレットペーパーを引き出す場合には、使用者が不快に感じるカラカラ音が発生してしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、一般的な厚紙材を用いた芯材を有するトイレットペーパーロールについて、梱包の外寸や保管場所を抑えることができ、また使用時に不快音の発生を抑えることができるようにトイレットペーパーロールを圧縮するトイレットペーパーロール圧縮装置およびその圧縮方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るトイレットペーパーロール圧縮装置は、厚紙材からなる筒状の芯材を有するトイレットペーパーロールの外周下部に接触する曲面を有する第1押圧部と、前記芯材の中心を介して前記第1押圧部に対向配置され前記トイレットペーパーロールの外周上部に接触する曲面を有する第2押圧部と、前記対向配置された第1押圧部および第2押圧部に接触している前記トイレットペーパーロールの側方を支持する側方支持部と、前記第2押圧部を前記第1押圧部へ向かって移動させ前記トイレットペーパーロールを圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を制御して前記第2押圧部を稼働させ前記芯材に折り目が生じない程度に前記トイレットペーパーロールを前記第1押圧部および前記第2押圧部により圧縮し前記芯材の空洞部分を減少させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記トイレットペーパーロールの圧縮量を検出する圧縮量センサを備え、前記制御部は、前記圧縮量センサの出力信号が所定の圧縮量を示したとき前記圧縮機構部を制御して前記トイレットペーパーロールの圧縮動作を停止させることを特徴とする。
【0009】
また、前記第1押圧部および前記第2押圧部は、前記トイレットペーパーロールの径よりも小さく前記トイレットペーパーロールの外周から滑らかに押圧が拡散して前記芯材に伝わる径を有するローラであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る圧縮方法は、厚紙材からなる筒状の芯材を有するトイレットペーパーロールの外周下部を第1押圧部の曲面上端に載置する第1工程と、前記第1押圧部に載置された前記トイレットペーパーロールの外周上部に第2押圧部の曲面下端を接触させ、該第2押圧部を前記第1押圧部に向かって移動させて前記トイレットペーパーロールを圧縮する第2工程と、前記トイレットペーパーロールの圧縮を前記芯材に折り目が生じない程度で停止させる第3工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記第3工程は、前記第2押圧部を移動させる圧縮機構部を制御する制御部が、前記トイレットペーパーロールの圧縮量を検出する圧縮量センサの出力信号に応じて前記圧縮動作を停止させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る圧縮方法は、厚紙材からなる筒状の芯材を有するトイレットペーパーロールの外周下部を、前記トイレットペーパーロールの径よりも小さく前記トイレットペーパーロールの外周に押圧を加えたとき滑らかに前記押圧が拡散して前記芯材に伝わる径を有する第1ローラの曲面上端に載置する第1工程と、前記第1押圧部に載置された前記トイレットペーパーロールの外周上部に、前記トイレットペーパーロールの径よりも小さく前記トイレットペーパーロールの外周に押圧を加えたとき滑らかに前記押圧が拡散して前記芯材に伝わる径を有する第2ローラの曲面下端を接触させ、該第2ローラを前記第1ローラに向かって移動させて前記トイレットペーパーロールを圧縮する第2工程と、前記トイレットペーパーロールの圧縮を前記芯材に折り目が生じない程度で停止させる第3工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、前記第3工程は、前記第2ローラを移動させる圧縮機構部を制御する制御部が、前記トイレットペーパーロールの圧縮量を検出する圧縮量センサの出力信号に応じて前記圧縮動作を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、厚紙材からなる筒状の芯材にトイレットペーパーを巻きつけたトイレットペーパーロールを、芯材に折り目が生じないように圧縮して芯材の空洞部分を減少させることができ、トイレットペーパーロールの梱包、保管、運搬等に要するスペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例におけるトイレットペーパーロール圧縮装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】図1に示すトイレットペーパーロール圧縮装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】図1に示したトイレットペーパーロール圧縮装置の動作を示す説明図である。
【図4】平面を有する押圧部によりトイレットペーパーロールを圧縮した場合の状態を示す説明図である。
【図5】本発明のトイレットペーパーロール圧縮装置により圧縮されたトイレットペーパーロールを複数梱包した態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0017】
本発明のトイレットペーパーロール圧縮装置は、一般的なボール紙等の厚紙材を用いた芯材にトイレットペーパーを巻きつけたトイレットペーパーロールに対して、後述するように圧力を加えて芯材の中心に生じる空洞部分を減少させるものである。
なお、本発明で取り扱うトイレットペーパーロールは、従来より製造されているものと同様に断面形状が真円状に構成されたものであるため、ここでは当該トイレットペーパーロールの製造工程等について説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施例におけるトイレットペーパーロール圧縮装置の概略構成を示す説明図である。図1(a)は、本実施例であるトイレットペーパーロール圧縮装置1の斜視図であり、図1(b)は、トイレットペーパーロール圧縮装置1にトイレットペーパーロール100を搭載した状態を、当該搭載されたトイレットペーパーロール100の巻回断面が正面視される方向から視た図である。
トイレットペーパーロール圧縮装置1は、上下方向に対向配置されたローラ2,3、ローラ支持部4、台座5、圧縮量センサ6、ロール側方支持部7を備えている。円柱状のローラ2は、下方を開口した略コの字状のローラ支持部4に両端を支持され、ローラ3の垂直上方に配置されている。同じく円柱状のローラ3は、台座5の平らな上面に設置されており、台座5の上面を移動しないように固定されている。
【0019】
ローラ2,3は、トイレットペーパーロール100の外周部分を圧縮する押圧部であり、当該トイレットペーパーロール100に接触する部分が曲面で構成されている。この押圧部のローラ2,3は、例えば同一径を有する円柱状に形成されたもので、少なくともトイレットペーパーロール100の外周に接する部分は、断面形状が真円で均一な径に形成されている。
また、ローラ2,3は、後述するようにトイレットペーパーロール100を圧縮する際に、しなりなどの変形が生じない剛性を有する部材からなる。また、ローラ2,3は、トイレットペーパーロール100の径よりも十分に小さい径を有しており、後述するように巻回されたトイレットペーパー101の外周に曲面が接し、トイレットペーパーロール100の圧縮を開始する前、即ち真円状のトイレットペーパーロール100の外周に対して当接する面積が小さくなるように形成されている。
【0020】
圧縮量センサ6は、トイレットペーパーロール圧縮装置1にトイレットペーパーロール100が載置された状態において、トイレットペーパーロール100の芯材102の変形量を検出することができるように、例えば芯材102の近傍、または、後述するように下降したローラ支持部4の近傍に配置されている。
圧縮量センサ6は、例えば、近接スイッチ、タッチセンサ、光学式位置センサなどからなる。この圧縮センサ6は、台座5の上面から所定の高さに検知部位が配置されるように設けられ、例えば、ローラ3の上端部とローラ2の下端部との間の距離を検知するように備えられている。ここで、ローラ3は、トイレットペーパーロール圧縮装置1では台座5に固定されているため、ローラ2の位置を検出することで、ローラ2とローラ3との間隔を検出することが可能であり、例えばローラ2を支持するローラ支持部4の位置を検出するように設置される。
また、圧縮量センサ6として光学式センサ等を用い、芯材102の空洞部分を形成する内壁が変形し、当該内壁の任意の部位が所定の位置まで移動したか否かを検出するように構成してもよい。
【0021】
ロール側方支持部7は、トイレットペーパーロール圧縮装置1に載置されたトイレットペーパーロール100の両側方を支持するように台座5の上面に備えられている。詳しくは、ローラ3の上端部が芯材102に巻きつけられたトイレットペーパーロール100の下端部に接触し、トイレットペーパーロール100がローラ3の上側に載置されるように備えられている。なお、ロール側方支持部7は、図中上下方向に圧力を加えられたトイレットペーパーロール100が変形する際に、側方の変形を妨げないように台座5の上面を移動し、トイレットペーパーロール100の側方に不要な圧力を加えないように構成してもよい。
【0022】
図2は、図1に示すトイレットペーパーロール圧縮装置の概略構成を示す説明図である。トイレットペーパーロール圧縮装置1は、図1では図示を省略した圧縮機構部8、および制御部9を備えている。
圧縮機構部8は、ローラ2を支持するローラ支持部4を稼働させる機構を有し、図中上下方向にローラ2を移動するように構成されており、ローラ3の上端部に載置されたトイレットペーパーロール100の外周上端部にローラ2を押し当て、ローラ支持部4を下方へ移動してトイレットペーパーロール100を変形させる圧力を加えるように構成されている。
【0023】
トイレットペーパーロール圧縮装置1は、図2に示したようにローラ3の上端部に載置されたトイレットペーパーロール100の芯材102の中心軸と、ローラ2とが並行となり、またローラ2とローラ3とが並行となるように構成されている。
制御部9は、プロセッサ等を有し、圧縮機構部8の動作を制御するように構成されている。制御部9は、予め設定されている制御プログラム等に応じて圧縮機構部8を稼働させ、ローラ3にトイレットペーパーロール100が載置されると、圧縮機構部8を稼働させてローラ支持部4を上方から下降させる動作などを、圧縮量センサ6から出力される信号を用いて制御するように構成されている。
トイレットペーパーロール100は、トイレットペーパー101、芯材102によって構成されている。トイレットペーパー101は、幅長さ約11[cm]のノーサイズ紙からなる。芯材102は、約200[g/m]から約220[g/m]の重さを有するボール紙等の厚紙材を、略真円の内径約4[cm]の筒状に形成したものである。トイレットペーパーロール100は、芯材102にトイレットペーパー101を所定の強さで巻きつけ、ロール部分の外径が概ね11[cm]程度となるように生成されている。
【0024】
次に動作について説明する。
制御部9は、台座5もしくはローラ3にトイレットペーパーロール100を載置し易いように、圧縮機構部8を制御してローラ支持部4を台座5の十分上方に位置させておく。この状態で台座5に固定されたローラ3の上端部にトイレットペーパーロール100が載せられ、ロール側方支持部7によってトイレットペーパーロール100の側方が支持される。
図3は、図1に示したトイレットペーパーロール圧縮装置の動作を示す説明図である。
制御部9は、圧縮機構部8を制御して図3に示したように上記のように支持されたトイレットペーパーロール100の上方から矢印Aの方向へローラ支持部4を下降させ、トイレットペーパーロール100の上端となっている部分にローラ2を接触させて圧力を加える。このとき下降するローラ2は、ローラ3に対してトイレットペーパーロール100の中心、即ち筒状の芯材102の中心軸を介して対向する位置に当接し、ローラ3に向かって移動する。また、ローラ2は、上記の芯材102の中心軸もしくはローラ3に対して、図2に示したように並行となる状態を保ちながら下降し、トイレットペーパーロール100を圧縮する。
【0025】
ローラ支持部4を下降させることによりローラ2とローラ3との間隔がつまり、ローラ2,3によってトイレットペーパーロール100の上下両端から圧力が加わる。このようにして、巻回されているトイレットペーパー101および芯材102が圧縮される。このとき、ローラ2,3は前述のように十分小さな径を有しており、即ち、トイレットペーパーロール100の外周の曲率に対して、ローラ2,3の曲率が十分大きいので、トイレットペーパーロール100の外周部分とローラ2,3の外周部分との接触は、断面上では点接触となる。そのため、トイレットペーパーロール100の圧縮は、巻回されたトイレットペーパー101の断面において点接触の状態から始まる。この圧縮動作により、巻回によって積層されたトイレットペーパー101が滑らかに変形し、ローラ2,3によって加えられる押圧は、滑らかに強さが変化しながら拡散して芯材102に伝わる。
このように滑らかに拡散した押圧が加わった芯材102は、折り目を生じることなく上下方向に圧縮され、真円の空洞部分が長円状に変形して減少する。
【0026】
制御部9は、圧縮機構部8を制御してトイレットペーパーロール100の圧縮動作を行うとき、圧縮量センサ6の出力信号を入力し、トイレットペーパーロール100の圧縮量、換言すると圧縮の度合いを検知し、筒状の芯材102の空洞部分を残しながら当該芯材102に折り目が生じる前に圧縮動作を停止する。
圧縮量センサ6は、例えば圧縮動作により芯材102に折り目が生じる位置までローラ支持部4が下降したか否かを検出することができるように配置されている。詳しくは、予め、芯材102に折り目が生じる直前の任意の位置を定めておき、この位置に到達したローラ支持部4を検出すると有意の信号を制御部9に出力するように備えられている。
制御部9は、圧縮量センサ9から有意の信号を入力すると、圧縮機構部8を制御してローラ支持部4の下降動作を停止し、適宜、ローラ支持部4を上昇させてロール側方支持部7に支持されているトイレットペーパーロール100を台座5の上面から取り除くことができる状態にする。
【0027】
また、制御部9は、上記のようにローラ2を下降させてトイレットペーパーロールを圧縮するとき、圧縮量センサ6の出力信号が有意を示すまで、圧縮機構部8を制御してローラ支持部4の下降速度、即ち、トイレットペーパーロール100に加える押圧を調整するようにしてもよい。例えば、圧縮量センサ6が芯材102の変形の度合を検出可能に構成されている場合には、当該変形の度合に応じて折り目が生じないようにトイレットペーパーロール100に加える押圧を変化させ、さらに押圧を加える動作を停止させる制御を行うようにしてもよい。
【0028】
図4は、平面を有する押圧部によりトイレットペーパーロールを圧縮した場合の状態を示す説明図である。
図4に示したように、トイレットペーパーロール100の外周に接触する部分を平面に形成した押圧部21を用いて、トイレットペーパーロール100の外周を圧縮した場合、局部的に大きな圧力が加わることになる。
曲面をなすトイレットペーパーロール100の外周表面に、押圧部21の平面に形成された底端部を当接させると、この底端部の縁部分が角部となってトイレットペーパーロール100の外周に押圧を加える際に巻回されたトイレットペーパー101にくいこみ、折り目を生じさせる。この押圧部21によって圧縮されたトイレットペーパーロール100は、外周部分が局部的に平坦な形状に変形し、例えばロールホルダー等にトイレットペーパーロール100を保持させてトイレットペーパー101を引き出すと、トイレットペーパーロール100が滑らかに回転せず、トイレットペーパー101の引き出し量にむらが生じると共に不快なカラカラ音等を発生させる。
【0029】
また、押圧部21によってトイレットペーパーロール100を圧縮した場合には、前述のように外周の一部分を平坦に変形させるとともに、芯材102に対しても圧縮する際の圧力が局部的に変化して加わり、圧縮動作による変形量がさほど大きくない時点で折り目が生じる。そのため、このようなトイレットペーパーロール100をロールホルダー等に保持させて使用する際には、芯材102の空洞部分を滑らかな曲面を有する形状に戻すことが不可能になり、前述のようにトイレットペーパーロール101の引き出しが滑らかに行えず、また不快音を発生させてしまう。
【0030】
ローラ2,3を用いて圧縮したトイレットペーパーロール100は、前述のように芯材102に折り目が生じないように押圧を加えていることから、長円状に圧縮されている芯材102の空洞部分を滑らかな曲面を有する真円状に戻すことが可能である。これは、芯材102がボール紙等の厚紙材からなることから、当該厚紙材が有する張力等の作用により、容易に滑らかな曲面を有する真円状に変形させることができ、圧縮前の形状に戻すことができる。
また、芯材102に巻回されているトイレットペーパー101についても、前述のように滑らかに圧力が拡散するように押圧を加えていることから圧縮の跡がくせになって残らず、芯材102の空洞部分と共に真円状に変形させることが可能であり、トイレットペーパーロール圧縮装置1によって圧縮されたトイレットペーパーロール100は、容易に真円状に戻すことができる。そのため、ロールホルダー等に保持させて使用する際には、滑らかにトイレットペーパー101を引き出すことができ、また、不快音等の発生を防ぐことも可能になる。
【0031】
図5は、本発明のトイレットペーパーロール圧縮装置により圧縮されたトイレットペーパーロールを複数梱包した態様を示す斜視図である。図5に例示した3個のトイレットペーパーロール100は、いずれもトイレットペーパーロール装置1によって圧縮されたものである。これらの圧縮されたトイレットペーパーロール100は、芯材102に折り目のないものであり、芯材102の空洞部分が減少して長円状に変形しており、またさらにロール断面形状が長円状に変形している。このようなトイレットペーパーロール100を複数個保管する場合や、まとめて梱包材201によって梱包する場合には、上記の長円形状の短径部分が同一方向となるように並べる。このように並べて梱包することにより、圧縮前のトイレットペーパーロール100を梱包した場合に比べて、梱包内部の空隙が減少し、梱包外寸を小さくすることができ、さらには効率よく保管や輸送を行うことができる。
【0032】
なお、本実施例のトイレットペーパーロール圧縮装置1は、ローラ2が圧縮機構部8によって稼働するように構成されているが、ローラ2ならびにローラ3が共に圧縮機構部によって稼働し、トイレットペーパーロール100の外周両端から押圧を加えるように構成した場合も同様な作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0033】
1トイレットペーパーロール圧縮装置
2ローラ
3ローラ
4ローラ支持部
5台座
6圧縮量センサ
7ロール側方支持部
8圧縮機構部
9制御部
21押圧部
100トーレットペーパロール
101トイレットペーパー
102芯材
201梱包材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙材からなる筒状の芯材を有するトイレットペーパーロールの外周下部に接触する曲面を有する第1押圧部と、
前記芯材の中心を介して前記第1押圧部に対向配置され前記トイレットペーパーロールの外周上部に接触する曲面を有する第2押圧部と、
前記対向配置された第1押圧部および第2押圧部に接触している前記トイレットペーパーロールの側方を支持する側方支持部と、
前記第2押圧部を前記第1押圧部へ向かって移動させ前記トイレットペーパーロールを圧縮する圧縮機構部と、
前記圧縮機構部を制御して前記第2押圧部を稼働させ前記芯材に折り目が生じない程度に前記トイレットペーパーロールを前記第1押圧部および前記第2押圧部により圧縮し前記芯材の空洞部分を減少させる制御部と、
を備えることを特徴とするトイレットペーパーロール圧縮装置。
【請求項2】
前記トイレットペーパーロールの圧縮量を検出する圧縮量センサを備え、
前記制御部は、前記圧縮量センサの出力信号が所定の圧縮量を示したとき前記圧縮機構部を制御して前記トイレットペーパーロールの圧縮動作を停止させることを特徴とする請求請1に記載のトイレットペーパーロール圧縮装置。
【請求項3】
前記第1押圧部および前記第2押圧部は、前記トイレットペーパーロールの径よりも小さく前記トイレットペーパーロールの外周から滑らかに押圧が拡散して前記芯材に伝わる径を有するローラであることを特徴とする請求請1または2に記載のトイレットペーパーロール圧縮装置。
【請求項4】
厚紙材からなる筒状の芯材を有するトイレットペーパーロールの外周下部を第1押圧部の曲面上端に載置する第1工程と、
前記第1押圧部に載置された前記トイレットペーパーロールの外周上部に第2押圧部の曲面下端を接触させ、該第2押圧部を前記第1押圧部に向かって移動させて前記トイレットペーパーロールを圧縮する第2工程と、
前記トイレットペーパーロールの圧縮を前記芯材に折り目が生じない程度で停止させる第3工程と、
を有することを特徴とする圧縮方法。
【請求項5】
前記第3工程は、前記第2押圧部を移動させる圧縮機構部を制御する制御部が、前記トイレットペーパーロールの圧縮量を検出する圧縮量センサの出力信号に応じて前記圧縮動作を停止させることを特徴とする請求項4に記載の圧縮方法。
【請求項6】
厚紙材からなる筒状の芯材を有するトイレットペーパーロールの外周下部を、前記トイレットペーパーロールの径よりも小さく前記トイレットペーパーロールの外周に押圧を加えたとき滑らかに前記押圧が拡散して前記芯材に伝わる径を有する第1ローラの曲面上端に載置する第1工程と、
前記第1押圧部に載置された前記トイレットペーパーロールの外周上部に、前記トイレットペーパーロールの径よりも小さく前記トイレットペーパーロールの外周に押圧を加えたとき滑らかに前記押圧が拡散して前記芯材に伝わる径を有する第2ローラの曲面下端を接触させ、該第2ローラを前記第1ローラに向かって移動させて前記トイレットペーパーロールを圧縮する第2工程と、
前記トイレットペーパーロールの圧縮を前記芯材に折り目が生じない程度で停止させる第3工程と、
を有することを特徴とする圧縮方法。
【請求項7】
前記第3工程は、前記第2ローラを移動させる圧縮機構部を制御する制御部が、前記トイレットペーパーロールの圧縮量を検出する圧縮量センサの出力信号に応じて前記圧縮動作を停止させることを特徴とする請求項6に記載の圧縮方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−143373(P2012−143373A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3685(P2011−3685)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000190080)信栄製紙株式会社 (8)
【Fターム(参考)】