トップチェーンの分解連結用治具
【課題】一人のオペレータにより、安定した状態で、トップチェーンを分解及び連結できるトップチェーンの分解連結用治具を提供する。
【解決手段】トップチェーン1は、プレート2の一端側3と他端側3に裏面側に突出する第1のヒンジ部6と第2のヒンジ部7を有する複数のトッププレート2を、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピン8を挿通して構成される。トップチェーンの分解連結用治具10は、平坦面12と、平坦面に形成され、トッププレートを平坦面に当てた状態で、第1と第2のヒンジ部にピンを挿通してなる連結部5を嵌め込むことができる大きさと形状の第1と第2の凹部13,14と、第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの両端側に延在する貫通孔19又は溝20と、第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの一端側にのみ延在する貫通孔又は溝18を備えている。
【解決手段】トップチェーン1は、プレート2の一端側3と他端側3に裏面側に突出する第1のヒンジ部6と第2のヒンジ部7を有する複数のトッププレート2を、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピン8を挿通して構成される。トップチェーンの分解連結用治具10は、平坦面12と、平坦面に形成され、トッププレートを平坦面に当てた状態で、第1と第2のヒンジ部にピンを挿通してなる連結部5を嵌め込むことができる大きさと形状の第1と第2の凹部13,14と、第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの両端側に延在する貫通孔19又は溝20と、第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの一端側にのみ延在する貫通孔又は溝18を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のトッププレートを連結してなるトップチェーンを分解連結する際に利用する治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輸送装置の一つとして、金属プレートを互いに連結したトップチェーンが利用されている。
【0003】
トップチェーンは、多数のトッププレートを連結して構成される。各トッププレートは、略長方形の金属板からなり、長手方向に伸びる一方の縁の中央に筒状ヒンジ部が形成されており、また、長手方向に伸びる反対側の縁の両側に筒状のヒンジ部が形成されている。各ヒンジ部は、金属板の一部を裏面に向けて略C状に折り返して形成されている。このように構成されたトッププレートは、中央のヒンジ部を隣接する一方のトッププレートの両側ヒンジ部の間に一列に整列させた状態で、それらのヒンジ部にピンを挿通して組み合わされる。そして、ピンは、中央のヒンジ部に対して回転可能であり、両側のヒンジ部に対して回転不能に嵌め込まれる。これにより、隣接するトッププレートは、ピンを中心に相対的に回転可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように構成されたトップチェーンを分解する場合又分解したトッププレートを連結する場合、従来、一人のオペレータがレール上に配置されたトップチェーンを浮かした状態で保持し、その状態でもう一人のオペレータがピンを打ち出し又は打ち込みしていた。そのため、分解連結作業は、必ず2人のオペレータが必要であるという問題があった。また、分解連結作業の際にトップチェーンは不安定な状態で保持されるため、ピンの打ち出し及び打ち込み作業も不安定な状態で行わなければならないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題を解決するため、本発明に係るトップチェーンの分解連結用治具は、プレートの一端側と他端側に裏面側に突出する第1のヒンジ部と第2のヒンジ部を有する複数のトッププレートを、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピンを挿通して構成されるトップチェーンの分解連結用治具であって、
平坦面と、
上記平坦面に形成され、上記トッププレートを上記平坦面に当てた状態で、上記第1と第2のヒンジ部にピンを挿通してなる連結部を嵌め込むことができる第1と第2の凹部と、
上記第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの両端側に延在する貫通孔又は溝と、
上記第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの一端側にのみ延在する一つの貫通孔又は溝を備えている。
【0006】
本発明の他の形態に係るトップチェーンの分解連結用治具は、プレートの一端側と他端側に裏面側に突出する第1のヒンジ部と第2のヒンジ部を有する複数のトッププレートを、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピンを挿通して構成されるトップチェーンの分解連結用治具であって、
平坦面と、
上記平坦面に形成され、上記トッププレートの一部を上記平坦面に当てた状態で、上記第1と第2のヒンジ部をピンで連結してなる連結部の一端側を嵌め込むことができる第1と第2の凹部と、
上記第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に延在する貫通孔又は溝と、
上記第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に延在する凹部を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るトップチェーンの分解連結用治具によれば、一人のオペレータにより、安定した状態で、トップチェーンを分解及び連結できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を示す用語(「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらのいずれかを含む別の用語)を使用するが、その使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであり、それらの用語によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきではない。
【0009】
図1はトップチェーンの一部をその斜め上方から見た斜視図、図2はトップチェーンの一部をその斜め下方から見た斜視図である。これらの図に示すように、トップチェーン1は、多数のトッププレート2を連結して構成されている。
【0010】
各トッププレート2は、対向する一対の長縁3と短縁4を有する略長方形の金属板又は非金属板で、トップチェーン1の横断方向と長手方向にそれぞれ長縁3と短縁4を向けて配置されており、隣接するトッププレート2は連結部5によって回転可能に連結されている。具体的に、本実施例では、各トッププレート2の一方の長縁3の中央部に筒状ヒンジ部6が形成され、反対側の長縁3の両側に筒状ヒンジ部7,7が形成されており、隣接する一方のトッププレート2の中央ヒンジ部6を隣接するトッププレート2の両側ヒンジ部7の間に位置させ、このようにして一列に配置された中央ヒンジ部6と両側ヒンジ部7にピン8を挿通して連結部5が構成されており、その状態で、ピン8は、中央ヒンジ部6の中で回転可能であるが、両側ヒンジ部7には回転不能に嵌め込まれている。
【0011】
このように構成されたトップチェーン1を分解連結する治具について説明する。まず、図3〜図8は実施形態1に係る治具10を示す。この治具10、硬質金属(例えば、S45C)からなる略長方形のブロック11で構成される。ブロック11の一つの平坦な面(以下、「プレート保持面」という。)12に3つの凹部13,14,15が形成されている。これら3つの凹部13,14,15は、連結部5の間隔(中心間隔)L1(図2参照)と同一の間隔(中心間隔)をあけて一列に形成されている。各凹部13,14,15は、連結されたトッププレート2をプレート保持面12に載せた状態(トッププレート2の裏面をプレート保持面12に当てた状態)で、隣接する3つの連結部5がちょうど(がたつくことなく)嵌り込む大きさと形としてある。
【0012】
図5に示すように、3つの凹部13,14,15の内、中央凹部13の中心線上には、凹部13から図の下方に位置する側面16に向けて伸びる断面U状の溝18が形成されている。また、図の左側に形成された凹部14の中心線上には、中央凹部13と同様に凹部14から図の下方に位置する側面16に向けて伸びる断面U状の溝19が形成され、凹部14から図の上方に位置する側面17に向けて伸びる横断面円形の貫通孔20が形成されている。さらに、図の右側に形成された凹部15の中心線上には、中央凹部13と同様に凹部15から図の上方に位置する側面17に向けて伸びる断面U状の溝21が形成され、凹部15から図の下方に位置する側面16に向けて伸びる横断面が円形の貫通孔22が形成されている。なお、本実施例の溝18,19,21は貫通孔であってもよいし、貫通孔20,22は溝であってもよい。
【0013】
図6,図7に示すように、プレート保持面12から貫通孔20,22の中心までの距離L2とプレート保持面12からU状溝18,19,21の底部を形成している半円形の中心までの距離L2は、等しくしてある。そして、図3に示すプレート保持面12の上部と下部には、左右方向に一定の間隔をあけて永久磁石23が埋め込まれている。
【0014】
プレート保持面12の反対側にあるブロック11の底面24の中央には、ブロック長辺方向に伸びる横断面が四角形の凸部15が一体的に形成されている。凸部25の幅L3は、後に説明するレール幅(レールの内法)とほぼ同一にしてある。
【0015】
このように構成された治具10を用いてトップチェーンを分解する作業を説明する。まず、図9に示すように、一対のレール26に載せられたトップチェーン1を浮かしてその下に治具10を配置し、3つの凹部13,14,15に3つの隣接する連結部5を嵌め込む。この状態で、治具10の底部凸部25はレール26の間に嵌め込まれ、これにより治具10がレール26に対して位置決めされる。また、治具10に対向するトッププレート2は、永久磁石23の磁力によって、治具10のプレート保持面12に密着した状態で保持される。
【0016】
次に、図10(b)又は図10(c)に示すピン抜き用治具27b又は27cの先端側の小径挿入部28b又は28cを、貫通孔20,22又は溝18,19,21に差し込み、貫通孔又は溝に対向しているピン8の端面に対向させる。この状態で、ピン抜き用治具10の端面がピン8と同軸上に対向するように、貫通孔と溝の位置が決めてある。そして、ピン抜き用治具28b又は28cの後端をハンマーで打撃し、ピン8をヒンジ部6,7から抜き出す。
【0017】
図示するように、実施例ではピン抜き用治具として2種類の治具27b、27cが示してあり、両者は貫通孔又は溝に挿入される挿入部28b、28cの長さが異なる。具体的に、図10(c)に示すピン抜き用治具27cの挿入部28cの長さはブロック11の一方の側面16又は17から該側面から離れた凹部13,14,15の端面までの距離とほぼ等しく、図10(b)に示すピン抜き用治具27bの挿入部28bの長さは該距離よりも多少短い。そのため、前者のピン抜き用治具27cを利用すればピン8はヒンジ部16,7から完全に抜くことができ、後者のピン抜き用治具10を利用すればピン8は後端側の一部がヒンジ部7に残った状態まで抜くことができる。
【0018】
治具10を用いてトッププレート2を連結する場合、ピンが挿入されていないヒンジ部6,7を中央凹部6に嵌め込んだ状態で、隣接するトッププレート2をプレート保持面12に載せる。この状態で、各トッププレート2は永久磁石23によってプレート保持面12に保持される。次に、溝18にピン8を挿入し、図10(a)に示すピン打ち込み用治具27aを使って、ピン8をヒンジ部6,7に打ち込む。上述のように、中央凹部13の一端側(溝18の反対側)には貫通孔も溝の無いため、打ち込まれたピン8の先端は中央凹部13を形成する壁に当たった状態で止まり、その状態でピン8はヒンジ部6,7に完全に挿入された状態となる。
【0019】
図11〜図13は、他の実施例に係る分解連結用治具30を示す。治具30は、硬質金属(例えば、S45C)からなる四角形のブロック31を有する。ブロック31のプレート保持面(平坦面)32には、複数の永久磁石33が所定の間隔をあけて埋め込まれている。プレート保持面32の中央には、図11に示す上面34から下面35に到達する断面がU状の溝36が形成されており、溝36の底部はピン8の直径とほぼ等しい半円形としてある。溝36の上端は、相似形に拡大され、連結部5(ヒンジ部7)の端部が嵌合可能な大きさと形状の凹部37が形成されている。溝36の両側には、上面34から下面35に向かって、連結部5(ヒンジ部7)の端部がちょうど嵌合可能な大きさと形状の凹部38が形成されている。また、凹部38の底部には、ピン8とほぼ同一の直径を有する所定深さの孔39が形成されている。
【0020】
このように構成された治具30を用いてトップチェーン1を分解する場合、図14に示すように、ピンを抜く連結部5のヒンジ端部を中央の凹部37に、その両側に位置する連結部5のヒンジ端部を両側の凹部38に嵌め込む。この状態で、トッププレート2の裏面はプレート保持面32に密着し、永久磁石33で保持される。そして、上述のように、ピン抜き用治具27b、27cを用いて中央連結部6のピン8を抜く。ヒンジ部6,7から抜け出たピン8は、溝36に入る。
【0021】
トップチェーン1を連結する場合、ピンを打ち込む連結部6のヒンジ端部を両側の凹部38に嵌め込む。この状態で、連結部5を構成するヒンジ部6,7は一列に整列されており、図10に示す打ち込み用治具27aを用いて、整列したヒンジ部6,7にピン8を打ち込む。
【0022】
このように、上述の実施例に係る治具を利用すれば、トップチェーン1の分解及び連結作業中、トッププレートは治具にしっかりと保持される。そのため、作業中にトッププレートを保持するためのオペレータが不要になる。また、ピンの打ち込み中もトッププレートは治具に安定して保持されるので、作業を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】トップチェーンを斜め上方から見た斜視図。
【図2】トップチェーンを斜め下方から見た斜視図。
【図3】本発明に係る連結分解用治具を斜め上方から見た斜視図。
【図4】本発明に係る連結分解用治具を斜め上方から見た斜視図。
【図5】図3,4に示す連結分解用治具の平面図。
【図6】図3,4に示す連結分解用治具の側面図。
【図7】図3,4に示す連結分解用治具の側面図。
【図8】図3,4に示す連結分解用治具の端面図。
【図9】図3,4に示す連結分解用治具を用いてトップチェーンを分解及び連結する状態を示す斜視図。
【図10】図3,4に示す連結分解用治具と共に使用される治具の斜視図。
【図11】実施例2に係る連結分解用治具を斜め上方から見た斜視図。
【図12】図11に示す連結分解用治具の正面図。
【図13】図11に示す連結分解用治具の平面図。
【図14】図11に示す連結分解用治具を用いてトップチェーンを分解及び連結する状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1:トップチェーン
2:トッププレート
3:長縁
4:短縁
5:連結部
6:中央ヒンジ部
7:両側ヒンジ部
8:ピン
10:治具
11:ブロック
12:プレート保持面
13,14,15:凹部
16,17:側面
18,19,21:溝
20,22:貫通孔
23:永久磁石
24:底面
25:凸部
26:レール
27a,27b,27c:治具
28a,28b,28c:挿入部
30:治具
31:ブロック
32:プレート保持面
33:永久磁石
34:上面
35:下面
36:溝
37,38:凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のトッププレートを連結してなるトップチェーンを分解連結する際に利用する治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輸送装置の一つとして、金属プレートを互いに連結したトップチェーンが利用されている。
【0003】
トップチェーンは、多数のトッププレートを連結して構成される。各トッププレートは、略長方形の金属板からなり、長手方向に伸びる一方の縁の中央に筒状ヒンジ部が形成されており、また、長手方向に伸びる反対側の縁の両側に筒状のヒンジ部が形成されている。各ヒンジ部は、金属板の一部を裏面に向けて略C状に折り返して形成されている。このように構成されたトッププレートは、中央のヒンジ部を隣接する一方のトッププレートの両側ヒンジ部の間に一列に整列させた状態で、それらのヒンジ部にピンを挿通して組み合わされる。そして、ピンは、中央のヒンジ部に対して回転可能であり、両側のヒンジ部に対して回転不能に嵌め込まれる。これにより、隣接するトッププレートは、ピンを中心に相対的に回転可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように構成されたトップチェーンを分解する場合又分解したトッププレートを連結する場合、従来、一人のオペレータがレール上に配置されたトップチェーンを浮かした状態で保持し、その状態でもう一人のオペレータがピンを打ち出し又は打ち込みしていた。そのため、分解連結作業は、必ず2人のオペレータが必要であるという問題があった。また、分解連結作業の際にトップチェーンは不安定な状態で保持されるため、ピンの打ち出し及び打ち込み作業も不安定な状態で行わなければならないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題を解決するため、本発明に係るトップチェーンの分解連結用治具は、プレートの一端側と他端側に裏面側に突出する第1のヒンジ部と第2のヒンジ部を有する複数のトッププレートを、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピンを挿通して構成されるトップチェーンの分解連結用治具であって、
平坦面と、
上記平坦面に形成され、上記トッププレートを上記平坦面に当てた状態で、上記第1と第2のヒンジ部にピンを挿通してなる連結部を嵌め込むことができる第1と第2の凹部と、
上記第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの両端側に延在する貫通孔又は溝と、
上記第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの一端側にのみ延在する一つの貫通孔又は溝を備えている。
【0006】
本発明の他の形態に係るトップチェーンの分解連結用治具は、プレートの一端側と他端側に裏面側に突出する第1のヒンジ部と第2のヒンジ部を有する複数のトッププレートを、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピンを挿通して構成されるトップチェーンの分解連結用治具であって、
平坦面と、
上記平坦面に形成され、上記トッププレートの一部を上記平坦面に当てた状態で、上記第1と第2のヒンジ部をピンで連結してなる連結部の一端側を嵌め込むことができる第1と第2の凹部と、
上記第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に延在する貫通孔又は溝と、
上記第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に延在する凹部を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るトップチェーンの分解連結用治具によれば、一人のオペレータにより、安定した状態で、トップチェーンを分解及び連結できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を示す用語(「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらのいずれかを含む別の用語)を使用するが、その使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであり、それらの用語によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきではない。
【0009】
図1はトップチェーンの一部をその斜め上方から見た斜視図、図2はトップチェーンの一部をその斜め下方から見た斜視図である。これらの図に示すように、トップチェーン1は、多数のトッププレート2を連結して構成されている。
【0010】
各トッププレート2は、対向する一対の長縁3と短縁4を有する略長方形の金属板又は非金属板で、トップチェーン1の横断方向と長手方向にそれぞれ長縁3と短縁4を向けて配置されており、隣接するトッププレート2は連結部5によって回転可能に連結されている。具体的に、本実施例では、各トッププレート2の一方の長縁3の中央部に筒状ヒンジ部6が形成され、反対側の長縁3の両側に筒状ヒンジ部7,7が形成されており、隣接する一方のトッププレート2の中央ヒンジ部6を隣接するトッププレート2の両側ヒンジ部7の間に位置させ、このようにして一列に配置された中央ヒンジ部6と両側ヒンジ部7にピン8を挿通して連結部5が構成されており、その状態で、ピン8は、中央ヒンジ部6の中で回転可能であるが、両側ヒンジ部7には回転不能に嵌め込まれている。
【0011】
このように構成されたトップチェーン1を分解連結する治具について説明する。まず、図3〜図8は実施形態1に係る治具10を示す。この治具10、硬質金属(例えば、S45C)からなる略長方形のブロック11で構成される。ブロック11の一つの平坦な面(以下、「プレート保持面」という。)12に3つの凹部13,14,15が形成されている。これら3つの凹部13,14,15は、連結部5の間隔(中心間隔)L1(図2参照)と同一の間隔(中心間隔)をあけて一列に形成されている。各凹部13,14,15は、連結されたトッププレート2をプレート保持面12に載せた状態(トッププレート2の裏面をプレート保持面12に当てた状態)で、隣接する3つの連結部5がちょうど(がたつくことなく)嵌り込む大きさと形としてある。
【0012】
図5に示すように、3つの凹部13,14,15の内、中央凹部13の中心線上には、凹部13から図の下方に位置する側面16に向けて伸びる断面U状の溝18が形成されている。また、図の左側に形成された凹部14の中心線上には、中央凹部13と同様に凹部14から図の下方に位置する側面16に向けて伸びる断面U状の溝19が形成され、凹部14から図の上方に位置する側面17に向けて伸びる横断面円形の貫通孔20が形成されている。さらに、図の右側に形成された凹部15の中心線上には、中央凹部13と同様に凹部15から図の上方に位置する側面17に向けて伸びる断面U状の溝21が形成され、凹部15から図の下方に位置する側面16に向けて伸びる横断面が円形の貫通孔22が形成されている。なお、本実施例の溝18,19,21は貫通孔であってもよいし、貫通孔20,22は溝であってもよい。
【0013】
図6,図7に示すように、プレート保持面12から貫通孔20,22の中心までの距離L2とプレート保持面12からU状溝18,19,21の底部を形成している半円形の中心までの距離L2は、等しくしてある。そして、図3に示すプレート保持面12の上部と下部には、左右方向に一定の間隔をあけて永久磁石23が埋め込まれている。
【0014】
プレート保持面12の反対側にあるブロック11の底面24の中央には、ブロック長辺方向に伸びる横断面が四角形の凸部15が一体的に形成されている。凸部25の幅L3は、後に説明するレール幅(レールの内法)とほぼ同一にしてある。
【0015】
このように構成された治具10を用いてトップチェーンを分解する作業を説明する。まず、図9に示すように、一対のレール26に載せられたトップチェーン1を浮かしてその下に治具10を配置し、3つの凹部13,14,15に3つの隣接する連結部5を嵌め込む。この状態で、治具10の底部凸部25はレール26の間に嵌め込まれ、これにより治具10がレール26に対して位置決めされる。また、治具10に対向するトッププレート2は、永久磁石23の磁力によって、治具10のプレート保持面12に密着した状態で保持される。
【0016】
次に、図10(b)又は図10(c)に示すピン抜き用治具27b又は27cの先端側の小径挿入部28b又は28cを、貫通孔20,22又は溝18,19,21に差し込み、貫通孔又は溝に対向しているピン8の端面に対向させる。この状態で、ピン抜き用治具10の端面がピン8と同軸上に対向するように、貫通孔と溝の位置が決めてある。そして、ピン抜き用治具28b又は28cの後端をハンマーで打撃し、ピン8をヒンジ部6,7から抜き出す。
【0017】
図示するように、実施例ではピン抜き用治具として2種類の治具27b、27cが示してあり、両者は貫通孔又は溝に挿入される挿入部28b、28cの長さが異なる。具体的に、図10(c)に示すピン抜き用治具27cの挿入部28cの長さはブロック11の一方の側面16又は17から該側面から離れた凹部13,14,15の端面までの距離とほぼ等しく、図10(b)に示すピン抜き用治具27bの挿入部28bの長さは該距離よりも多少短い。そのため、前者のピン抜き用治具27cを利用すればピン8はヒンジ部16,7から完全に抜くことができ、後者のピン抜き用治具10を利用すればピン8は後端側の一部がヒンジ部7に残った状態まで抜くことができる。
【0018】
治具10を用いてトッププレート2を連結する場合、ピンが挿入されていないヒンジ部6,7を中央凹部6に嵌め込んだ状態で、隣接するトッププレート2をプレート保持面12に載せる。この状態で、各トッププレート2は永久磁石23によってプレート保持面12に保持される。次に、溝18にピン8を挿入し、図10(a)に示すピン打ち込み用治具27aを使って、ピン8をヒンジ部6,7に打ち込む。上述のように、中央凹部13の一端側(溝18の反対側)には貫通孔も溝の無いため、打ち込まれたピン8の先端は中央凹部13を形成する壁に当たった状態で止まり、その状態でピン8はヒンジ部6,7に完全に挿入された状態となる。
【0019】
図11〜図13は、他の実施例に係る分解連結用治具30を示す。治具30は、硬質金属(例えば、S45C)からなる四角形のブロック31を有する。ブロック31のプレート保持面(平坦面)32には、複数の永久磁石33が所定の間隔をあけて埋め込まれている。プレート保持面32の中央には、図11に示す上面34から下面35に到達する断面がU状の溝36が形成されており、溝36の底部はピン8の直径とほぼ等しい半円形としてある。溝36の上端は、相似形に拡大され、連結部5(ヒンジ部7)の端部が嵌合可能な大きさと形状の凹部37が形成されている。溝36の両側には、上面34から下面35に向かって、連結部5(ヒンジ部7)の端部がちょうど嵌合可能な大きさと形状の凹部38が形成されている。また、凹部38の底部には、ピン8とほぼ同一の直径を有する所定深さの孔39が形成されている。
【0020】
このように構成された治具30を用いてトップチェーン1を分解する場合、図14に示すように、ピンを抜く連結部5のヒンジ端部を中央の凹部37に、その両側に位置する連結部5のヒンジ端部を両側の凹部38に嵌め込む。この状態で、トッププレート2の裏面はプレート保持面32に密着し、永久磁石33で保持される。そして、上述のように、ピン抜き用治具27b、27cを用いて中央連結部6のピン8を抜く。ヒンジ部6,7から抜け出たピン8は、溝36に入る。
【0021】
トップチェーン1を連結する場合、ピンを打ち込む連結部6のヒンジ端部を両側の凹部38に嵌め込む。この状態で、連結部5を構成するヒンジ部6,7は一列に整列されており、図10に示す打ち込み用治具27aを用いて、整列したヒンジ部6,7にピン8を打ち込む。
【0022】
このように、上述の実施例に係る治具を利用すれば、トップチェーン1の分解及び連結作業中、トッププレートは治具にしっかりと保持される。そのため、作業中にトッププレートを保持するためのオペレータが不要になる。また、ピンの打ち込み中もトッププレートは治具に安定して保持されるので、作業を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】トップチェーンを斜め上方から見た斜視図。
【図2】トップチェーンを斜め下方から見た斜視図。
【図3】本発明に係る連結分解用治具を斜め上方から見た斜視図。
【図4】本発明に係る連結分解用治具を斜め上方から見た斜視図。
【図5】図3,4に示す連結分解用治具の平面図。
【図6】図3,4に示す連結分解用治具の側面図。
【図7】図3,4に示す連結分解用治具の側面図。
【図8】図3,4に示す連結分解用治具の端面図。
【図9】図3,4に示す連結分解用治具を用いてトップチェーンを分解及び連結する状態を示す斜視図。
【図10】図3,4に示す連結分解用治具と共に使用される治具の斜視図。
【図11】実施例2に係る連結分解用治具を斜め上方から見た斜視図。
【図12】図11に示す連結分解用治具の正面図。
【図13】図11に示す連結分解用治具の平面図。
【図14】図11に示す連結分解用治具を用いてトップチェーンを分解及び連結する状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1:トップチェーン
2:トッププレート
3:長縁
4:短縁
5:連結部
6:中央ヒンジ部
7:両側ヒンジ部
8:ピン
10:治具
11:ブロック
12:プレート保持面
13,14,15:凹部
16,17:側面
18,19,21:溝
20,22:貫通孔
23:永久磁石
24:底面
25:凸部
26:レール
27a,27b,27c:治具
28a,28b,28c:挿入部
30:治具
31:ブロック
32:プレート保持面
33:永久磁石
34:上面
35:下面
36:溝
37,38:凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートの一端側と他端側に裏面側に突出する第1のヒンジ部と第2のヒンジ部を有する複数のトッププレートを、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピンを挿通して構成されるトップチェーンの分解連結用治具であって、
平坦面と、
上記平坦面に形成され、上記トッププレートを上記平坦面に当てた状態で、上記第1と第2のヒンジ部にピンを挿通してなる連結部を嵌め込むことができる第1と第2の凹部と、
上記第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの両端側に延在する貫通孔又は溝と、
上記第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの一端側にのみ延在する一つの貫通孔又は溝を備えたトップチェーンの分解連結用治具。
【請求項2】
上記プレートが磁性材料で形成されており、上記平坦面には上記金属プレートと対向する部分に磁石が設けてあることを特徴とする請求項1のトップチェーンの分解連結用治具。
【請求項3】
プレートの一端側と他端側に裏面側に突出する第1のヒンジ部と第2のヒンジ部を有する複数のトッププレートを、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピンを挿通して構成されるトップチェーンの分解連結用治具であって、
平坦面と、
上記平坦面に形成され、上記トッププレートの一部を上記平坦面に当てた状態で、上記第1と第2のヒンジ部をピンで連結してなる連結部の一端側を嵌め込むことができる第1と第2の凹部と、
上記第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に延在する貫通孔又は溝と、
上記第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に延在する凹部を備えたトップチェーンの分解連結用治具。
【請求項4】
上記プレートが磁性材料で形成されており、上記平坦面には上記金属プレートと対向する部分に磁石が設けてあることを特徴とする請求項1のトップチェーンの分解連結用治具。
【請求項1】
プレートの一端側と他端側に裏面側に突出する第1のヒンジ部と第2のヒンジ部を有する複数のトッププレートを、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピンを挿通して構成されるトップチェーンの分解連結用治具であって、
平坦面と、
上記平坦面に形成され、上記トッププレートを上記平坦面に当てた状態で、上記第1と第2のヒンジ部にピンを挿通してなる連結部を嵌め込むことができる第1と第2の凹部と、
上記第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの両端側に延在する貫通孔又は溝と、
上記第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に且つピンの一端側にのみ延在する一つの貫通孔又は溝を備えたトップチェーンの分解連結用治具。
【請求項2】
上記プレートが磁性材料で形成されており、上記平坦面には上記金属プレートと対向する部分に磁石が設けてあることを特徴とする請求項1のトップチェーンの分解連結用治具。
【請求項3】
プレートの一端側と他端側に裏面側に突出する第1のヒンジ部と第2のヒンジ部を有する複数のトッププレートを、一つのトッププレートの第1のヒンジ部と別のトッププレートの第2のヒンジ部を一列に整列し、整列した第1のヒンジ部と第2のヒンジ部にピンを挿通して構成されるトップチェーンの分解連結用治具であって、
平坦面と、
上記平坦面に形成され、上記トッププレートの一部を上記平坦面に当てた状態で、上記第1と第2のヒンジ部をピンで連結してなる連結部の一端側を嵌め込むことができる第1と第2の凹部と、
上記第1の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に延在する貫通孔又は溝と、
上記第2の凹部に嵌め込まれた連結部のピンと同軸上に延在する凹部を備えたトップチェーンの分解連結用治具。
【請求項4】
上記プレートが磁性材料で形成されており、上記平坦面には上記金属プレートと対向する部分に磁石が設けてあることを特徴とする請求項1のトップチェーンの分解連結用治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−132429(P2010−132429A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311166(P2008−311166)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
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