説明

トナーの製造方法

【課題】トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減することができるトナー及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂及び離型剤を溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、前記離型剤が炭素数22〜34のα−オレフィンを80モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有し、該α−オレフィン系重合体の融点が50〜80℃であり、かつ融点の半値幅が5℃以下であり、重量平均分子量(Mw)が25,000〜400,000であり、かつ分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、該α−オレフィン系重合体の含有量が、結着樹脂100重量部に対して2〜8重量部であり、溶融混練をオープンロール型混練機により行うトナーの製造方法、及び該製造方法により得られるトナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の省資源を求める動きから、トナーカートリッジ内に消費されずに残っているトナーをできるだけ減らすことが求められている。そこで、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する技術としては、例えば、トナー供給の駆動条件を最適化する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、炭素数22〜40のα−オレフィンを80モル%以上含有するモノマーを重合して得られ、特定の融点、重量平均分子量及び分子量分布を持つα−オレフィン重合体がトナー用離型剤、インキ成分、樹脂の改質剤、粘着剤成分、接着剤成分及び潤滑油成分等の用途に有用であることが開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−131539号公報
【特許文献2】国際公開第2007/063885号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する方法として、装置のシステムで対応することは、コストが向上するという課題がある。
【0006】
本発明の課題は、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減することができるトナー及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
〔1〕 少なくとも結着樹脂及び離型剤を溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、前記離型剤が炭素数22〜34のα−オレフィンを80モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有し、該α−オレフィン系重合体の融点が50〜80℃であり、かつ融点の半値幅が5℃以下であり、重量平均分子量(Mw)が25,000〜400,000であり、かつ分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、該α−オレフィン系重合体の含有量が、結着樹脂100重量部に対して2〜8重量部であり、溶融混練をオープンロール型混練機により行うトナーの製造方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られるトナー
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法により、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減することができるトナーを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂及び離型剤を溶融混練する工程を含み、該離型剤が炭素数22〜34のα−オレフィンを80モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有し、該α−オレフィン系重合体の融点が50〜80℃であり、かつ融点の半値幅が5℃以下であり、重量平均分子量(Mw)が25,000〜400,000であり、かつ分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、該α−オレフィン系重合体の含有量が、結着樹脂100重量部に対して2〜8重量部であり、溶融混練をオープンロール型混練機により行うことに特徴を有する。
【0010】
トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明に用いられるα−オレフィン系重合体は、分子量分布が狭く側鎖の結晶性が高いため、他の離型剤と比べて低融点ながら高硬度である。そのため、結着樹脂中へは分散しにくい傾向にあるが、オープンロール型混練機による高い剪断力によって結着樹脂中に微細に分散させることにより、α−オレフィン系重合体自身が持つ高硬度特性が発揮され、このα−オレフィン系重合体を微細に分散させたトナーは高い流動性を示し、トナーカートリッジ中で付着やブロッキングを起しにくく、その結果、トナーカートリッジ内に残存するトナー量が少なくなるものと推測される。
【0011】
また、本発明の方法によって得られるトナーの高流動性効果は、トナー表面に微細なα−オレフィン系重合体のドメインが適切に存在することによって発現する。α−オレフィン系重合体の適切な量をトナーに含有させることにより、ドメインの存在量が不十分となることや、ドメインが大きくなりすぎて、表面からα−オレフィン系重合体が離脱し、流動性を悪化させることもなく、高流動性効果が発現されトナーカートリッジ内に残存するトナー量が少なくなるものと考えられる。
【0012】
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂及び離型剤を溶融混練する工程を含む。
【0013】
<結着樹脂>
本発明に用いる結着樹脂は、トナーの低温定着性、保存安定性及び耐久性に優れる観点から、ポリエステルを含有することが好ましい。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、結着樹脂として、ポリエステルのみを用いることがさらに好ましいが、低温定着性の効果が損なわれない範囲において、ポリエステル以外の他の樹脂が含有されていてもよい。他の結着樹脂としては、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
【0014】
本発明に用いるポリエステルは、2価以上のアルコールからなるアルコール成分と2価以上のカルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とを縮重合することにより得られる。
【0015】
2価のアルコールとしては、例えば、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜15のジオールや、式(I):
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。炭素数2〜20の2価のアルコールとして、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0018】
アルコール成分としては、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、式(I)で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、実質的に100モル%がよりさらに好ましい。
【0019】
3価以上のアルコールとしては、例えば、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜10の3価以上の多価アルコールが挙げられる。具体的には、ソルビトール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0020】
2価のカルボン酸化合物としては、例えば、炭素数3〜30、好ましくは炭素数3〜20、さらに好ましくは炭素数3〜10のジカルボン酸、及びそれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜4)エステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数1〜20のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0021】
3価以上のカルボン酸化合物としては、例えば、炭素数4〜30、より好ましくは炭素数4〜20、さらに好ましくは炭素数4〜10の3価以上の多価カルボン酸、及びそれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜4)エステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等が挙げられる。
【0022】
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、ポリエステルの軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
【0023】
ポリエステルにおけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステルの酸価を低減する観点から、0.70〜1.00が好ましく、0.75〜0.95がさらに好ましい。
【0024】
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合反応は、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、180〜250℃程度の温度で縮重合させて行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.5重量部が好ましく、0.1〜1.0重量部がより好ましい。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.1重量部がより好ましい。
【0025】
ポリエステルの軟化点は、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点及びトナーの低温定着性、耐高温オフセット性を向上させる観点から、90〜140℃が好ましく、100〜135℃より好ましく、105〜125℃がさらに好ましい。
【0026】
本発明に用いる結着樹脂は、低温定着性と耐高温オフセット性を向上させる観点から、軟化点の異なる2種のポリエステルを含有することが好ましい。
【0027】
軟化点が高い方のポリエステルと軟化点が低い方のポリエステルの軟化点の差は、トナーの低温定着性と耐高温オフセット性を向上させる観点から、10℃以上が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
【0028】
ポリエステルの軟化点は、アルコール成分やカルボン成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
【0029】
ポリエステルのガラス転移点は、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点及びトナーの低温定着性、保存安定性を向上させる観点から、50〜80℃が好ましく、60〜70℃がより好ましい。
【0030】
ポリエステルのガラス転移点は、アルコール成分やカルボン成分の種類や組成比等によって制御することができる。
【0031】
ポリエステルの軟化点及びガラス転移点は、複数のポリエステルからなる場合は、それらの加重平均値が上記範囲内となることが好ましい。
【0032】
ポリエステルの酸価は、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、30mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以下がより好ましい。
【0033】
ポリエステルの酸価は、アルコール成分やカルボン成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
【0034】
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
【0035】
<離型剤>
本発明に用いる離型剤は、炭素数22〜34のα−オレフィンを80モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有する。
【0036】
α−オレフィン系重合体の原料モノマー中の炭素数22〜34のα−オレフィンの含有量は、80モル%以上であり、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。
【0037】
さらに、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、原料モノマー中の炭素数24〜30のα−オレフィンの含有量が、85モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましく、実質的に100モル%がよりさらに好ましい。
【0038】
また、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、原料モノマー中の炭素数26〜30のα−オレフィンの含有量が、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、95モル%以上がよりさらに好ましい。
【0039】
また、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、原料モノマー中の炭素数26〜28のα−オレフィンの含有量が、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、95モル%以上がよりさらに好ましい。
【0040】
炭素数22〜34のα−オレフィンを80モル%以上含むモノマーとしては、リニアレン26+(商品名、出光興産株式会社製、主として炭素数26以上のα−オレフィンの混合体)等が挙げられる。
また、炭素数18以上のα−オレフィンの混合体、例えば、リニアレン2024(商品名、出光興産株式会社製、主として炭素数18〜26のα−オレフィンの混合体)を炭化水素溶媒に50℃以下、好ましくは15〜50℃の温度で溶解させた後、均一上澄み溶液を抽出することにより得られた、炭素数22〜34のα−オレフィンを80モル%以上含むモノマーも用いることができる。
【0041】
上記炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等を用いることができる。これらの溶媒は1種、もしくは2種以上用いてもよい。
【0042】
本発明に用いるα−オレフィン系重合体の融点は、50〜80℃であり、トナーの低温定着性を向上させる観点及びトナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、60〜80℃が好ましく、70〜80℃がより好ましい。α−オレフィン系重合体の融点は、後述する実施例に記載されている方法により求めることができる。
【0043】
また、α−オレフィン系重合体の融点の半値幅は、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、5℃以下であり、4.5℃以下が好ましく、4℃以下がより好ましく、3.5℃以下がさらに好ましい。また、α−オレフィン系重合体の生産性の観点から、1℃以上が好ましく、2℃以上がより好ましく、2.5℃以上が好ましい。これらの観点を総合すると、α−オレフィン系重合体の融点の半値幅は、1〜5℃が好ましく、2〜4.5℃がより好ましく、2〜4℃がさらに好ましく、2.5〜3.5℃がよりさらに好ましい。
【0044】
本発明に用いるα−オレフィン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、25,000〜400,000であり、トナーの高温オフセット性を向上させる観点及びトナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、30,000〜350,000が好ましく、30,000〜100,000がさらに好ましく、30,000〜50,000がよりさらに好ましい。
【0045】
本発明に用いるα−オレフィン系重合体の数平均分子量(Mn)は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット性を向上させる観点及びトナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、8,000〜300,000が好ましく、10,000〜200,000がより好ましく、15,000〜100,000がさらに好ましく、20,000〜30,000がよりさらに好ましい。
【0046】
また、本発明に用いるα−オレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、3.0以下であって、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点から、2.0以下が好ましく、1.7以下がより好ましい。
【0047】
本発明に用いるα−オレフィン系重合体の100℃における溶融粘度は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット性を向上させる観点から、200mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下がさらに好ましい。
【0048】
本発明に用いるα−オレフィン系重合体は、国際公開第2007/063885号に記載された方法により合成することができる。
具体的には、α−オレフィンモノマーをトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒に溶解し、メタロセン触媒、水素を添加し、常圧〜10MPa下、0〜180℃の条件にて重合させることにより得られる。
【0049】
トナー中のα−オレフィン系重合体の含有量は、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点及びトナーの低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100重量部に対して、2重量部以上であり、3重量部以上が好ましく、4重量部以上がより好ましく、5重量部以上がさらに好ましい。また、トナーカートリッジ内に残存するトナー量を低減する観点及びトナーの保存安定性を向上させる観点から、8重量部以下であり、7重量部以下が好ましく、6重量部以下がより好ましい。これらの観点を向上すると、トナー中のα−オレフィン系重合体の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、2〜8重量部であり、3〜7重量部が好ましく、4〜7重量部がより好ましく、5〜7重量部がさらに好ましく、5〜6重量部がよりさらに好ましい。
【0050】
また、本発明に用いる離型剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、α−オレフィン系重合体以外の離型剤を含有することができる。
【0051】
α−オレフィン系重合体以外の離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、高級アルコール等が挙げられる。
【0052】
離型剤中のα−オレフィン系重合体の含有量は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%がよりさらに好ましい。
【0053】
本発明の製造方法により得られるトナーには、トナーに、着色剤、荷電制御剤を適宜含有してもよい。
【0054】
<着色剤>
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、具体的には、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等を用いることができる。
【0055】
トナー中の着色剤の含有量は、画像濃度を向上させる観点、経済的な観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
【0056】
<荷電制御剤>
荷電制御剤として、負帯電性荷電制御剤、正帯電性荷電制御剤のいずれも用いることができる。
【0057】
負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「ボントロンS-28」(オリエント化学工業社製)、「T-77」(保土谷化学工業社製)、「ボントロンS-34」(オリエント化学工業社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土谷化学工業社製)等;銅フタロシアニン染料;サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、例えば「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-304」(以上、オリエント化学工業社製)等;ニトロイミダゾール誘導体;ベンジル酸ホウ素錯体、例えば、「LR-147」(日本カーリット社製)等;無金属系荷電調整剤、例えば「ボントロンF-21」、「ボントロンE-89」(以上、オリエント化学工業社製)、「T-8」(保土ヶ谷化学工業社製)、「FCA-2521NJ」、「FCA-2508N」(以上、藤倉化成社製)等が挙げられる。
【0058】
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」(以上、オリエント化学工業社製)、「CHUO CCA-3」(中央合成社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料;4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業社製)、「TP-415」(保土谷化学工業社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPYCHARGEPXVP435」(クラリアント社製)等が挙げられる。
【0059】
トナー中の荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性を向上させる観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、1〜3重量部がより好ましい。
【0060】
<他の成分>
本発明の製造方法により得られるトナーは、さらに、トナー中に磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有していてもよい。
【0061】
<トナー製造方法>
本発明のトナーの製造方法は、少なくも結着樹脂及び離型剤、さらに必要に応じて着色剤、荷電制御剤等の添加剤をオープンロール型混練機による溶融混練工程を含む。さらに、粉砕工程、分級工程を行ってトナーを製造する。
【0062】
溶融混練工程は、ロールの軸方向に沿って設けられた供給口と混練物排出口を備えた連続式オープンロール型混練機を用いることが好ましい。
【0063】
結着樹脂や離型剤等のトナー原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後、オープンロール型混練機に供することが好ましく、1箇所の供給口から混練機に供給してもよく、複数の供給口から分割して混練機に供給してもよいが、操作の簡便性及び装置の簡略化の観点からは、1箇所の供給口から混練機に供給することが好ましい。
【0064】
連続式オープンロール型混練機とは、混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロールを備えた混練機であることが望ましく、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、周速度の異なる2本のロール、即ち、周速度の高い高回転側ロールと周速度の低い低回転側ロールとの2本のロールを備えた混練機である。本発明においては、着色剤や離型剤等のトナー原料の結着樹脂への分散性を向上させる観点から、高回転側ロールは加熱ロール、低回転側ロールは冷却ロールであることが望ましい。
【0065】
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
【0066】
高回転側ロールの原料投入側端部温度は100〜160℃が好ましく、低回転側ロールの原料投入側端部温度は35〜100℃が好ましい。
【0067】
高回転側ロールは、原料投入側端部と混練物排出側端部の設定温度の差が、混練物のロールからの脱離防止の観点から、20〜60℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましく、30〜50℃であることがさらに好ましい。低回転側ロールは、原料投入側端部と混練物排出側端部の設定温度の差が、着色剤や離型剤等のトナー原料の結着樹脂への分散性を向上させる観点から、0〜50℃であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましく、0〜20℃であることがさらに好ましい。
【0068】
高回転側ロールの周速度は、2〜100m/minであることが好ましく、10〜75m/minがより好ましく、25〜50m/minであることがさらに好ましい。低回転側ロールの周速度は1〜90m/minが好ましく、5〜60m/minがより好ましく、15〜30m/minがさらに好ましい。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、1/10〜9/10が好ましく、3/10〜8/10がより好ましい。
【0069】
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、混練シェアを高めるために、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝が刻んであることが好ましい。
【0070】
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに所望の粒径に微粉砕してもよい。
【0071】
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ジェットミル、衝突板式ミル、回転型機械ミル等が挙げられる。
【0072】
分級工程に用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよい。
【0073】
<トナー母粒子の体積中位粒径>
トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は、トナーの画像品質を向上させる観点から、3〜15μmが好ましく、4〜12μmがより好ましく、6〜9μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
【0074】
<外添処理工程>
本発明のトナーの製造方法において、粉砕、分級工程後、さらにシリカ等の無機微粒子や、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂微粒子等の外添剤と混合する工程を含むことが好ましい。
トナー母粒子と外添剤との混合には、回転羽根等の攪拌具を備えた混合機を用いることが好ましく、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速混合機が好ましく、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
【0075】
本発明の製造方法により得られるトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
【実施例】
【0076】
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0077】
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に試料を昇温速度10℃/分で測定した。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とする。
【0078】
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
【0079】
〔離型剤の融点及び半値幅〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、DSC Q20)を用いて昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/分で-10℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で180℃まで昇温し、そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
また、融点の吸熱ピーク全体のベースラインからピークトップまでの高さの中点におけるピーク幅を離型剤の半値幅とする。
【0080】
〔α-オレフィン重合体の平均分子量〕
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.15g/100mlになるように、α-オレフィン重合体を1,2,4−トリクロロベンゼンに溶解させ試料溶液とする。
(2)分子量測定
溶解液とし1,2,4-トリクロロベンゼンを毎分1.0mlの流速で流し、145℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液160μlを注入して測定を行った。試料の分子量は、予め標準物質として数種類の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づき算出する。
測定装置:Alliance GPC2000(商品名、Waters社製)
分析カラム:GMHHR-H(S)HT(商品名、東ソー株式会社製)
【0081】
〔α-オレフィン重合体以外の離型剤の平均分子量〕
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、離型剤をテトラヒドロフランに溶解させ試料溶液とした。
(2)分子量測定
溶解液としテトラヒドロフランを毎分1.0mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行った。試料の分子量は、予め標準物質として数種類の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づき算出した。
測定装置:HLC-8220GPC(商品名、東ソー株式会社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL (商品名、東ソー株式会社製)
【0082】
〔離型剤の溶融粘度〕
ブルックフィールド法によりB型粘度計(日本STジョンソン社製 LVT)を用いて測定を行い、測定試料を加熱し、離型剤の溶融温度以上の温度である100℃において測定する。
【0083】
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mlに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
【0084】
[α-オレフィン重合体製造例1(ワックス1)]
リニアレン26+(商品名、出光興産株式会社製、主として炭素数26以上のα−オレフィンの混合体)を減圧下(0.1kPa)で蒸留し、留出温度200〜300℃の留分であるモノマーAを得た。この留分の組成比は、C(炭素数、以下同様)24:1モル%、C26:59モル%、C28:38モル%、C30:2モル%であった。
次に、窒素雰囲気下で、モノマーA及びトルエンを、乾燥窒素及び活性アルミナにて脱水処理した後、室温(25℃)にて、均一な上澄み溶液を抽出し、モノマーAのトルエン溶液(濃度23質量%)を得た。
加熱乾燥した内容積200mlのシュレンク瓶に、得られたモノマーAのトルエン溶液50mlを入れ、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド2μmol及びジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート8μmolを加え、85℃で水素を0.15MPa張り込み、60分間重合した。重合反応終了後、沈殿した反応物を室温(25℃)で分離し、トルエン及びアセトンにて洗浄した後、加熱・減圧下で、乾燥処理することにより、α−オレフィン共重合体(ワックス1)を得た。得られたワックス1の融点は74℃、Mwは31,000、Mnは21,000、Mw/Mnは1.52、100℃における溶融粘度は40mPa・sであった。
【0085】
[α-オレフィン重合体製造例2(ワックス2)]
リニアレン26+を減圧下(0.1kPa)で蒸留し、留出温度190〜250℃の留分であるモノマーBを得た。この留分の組成比は、C24:32モル%、C26:43モル%、C28:18モル%、C30:7モル%であった。
次に、窒素雰囲気下で、モノマーB及びトルエンを、乾燥窒素及び活性アルミナにて脱水処理した後、室温(25℃)にて、均一な上澄み溶液を抽出し、モノマーBのトルエン溶液(濃度23質量%)を得た。
加熱乾燥した内容積200mlのシュレンク瓶に、得られたモノマーBのトルエン溶液50mlを入れ、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド2μmol及びジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート8μmolを加え、室温下で180分間重合した。重合反応終了後、沈殿した反応物を室温(25℃)で分離し、トルエン及びアセトンにて洗浄した後、加熱・減圧下で、乾燥処理することにより、α−オレフィン共重合体(ワックス2)を得た。得られたワックス2の融点は65℃、Mwは320,000、Mnは177,000、Mw/Mnは1.83、100℃における溶融粘度は180mPa・sであった。
【0086】
[樹脂製造例1]
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1286g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン2218g、テレフタル酸1603g、2-エチルヘキサン酸錫(II)10g、及び没食子酸2gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて軟化点が111℃に達するまで反応を行い、樹脂Aを得た。樹脂Aの軟化点は111.6℃、ガラス転移点は68.2℃、酸価は3.5mgKOH/gであった。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
【0087】
[樹脂製造例2]
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3486g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3240g、テレフタル酸1881g、テトラプロペニル無水コハク酸269g、2-エチルヘキサン酸錫(II)30g、及び没食子酸2gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。次に、220℃に温度を下げて常圧に戻し、無水トリメリット酸789gを投入し、220℃、常圧の条件にて、軟化点が122℃に達するまで反応を行い、樹脂Bを得た。樹脂Bの軟化点は123.1℃、ガラス転移点は63.5℃、酸価は18.0mgKOH/gであった。
【0088】
[トナー製造例]
実施例1〜3及び比較例1〜5
樹脂A70重量部、樹脂B30重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロンE-304」(オリエント化学社製)1重量部、着色剤「ECB-301」(大日精化社製、フタロシアニンブルー(P.B.15:3))3.5重量部、及び表1に記載の所定量のワックスをヘンシェルミキサーを用いて1分間混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
【0089】
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山社製、ロール外径:14cm、有効ロール長:80cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度75r/min(32.97m/min)、低回転側ロール(バックロール)周速度50r/min(21.98m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が135℃及び混練物排出側が90℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の供給速度は10kg/時間、平均滞留時間は約6分間であった。
【0090】
得られた混練物を冷却し、ロートプレックス(東亜機械社製)で3mmに粗粉砕し、その後、流動槽式ジェットミル「AFG-400」(アルピネ社製)で粉砕し、ローター式分級機「TTSP」(アルピネ社製)で分級して、体積中位粒径(D50)が8.0μmのトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100重量部に、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル社製)1.0重量部、疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル社製)0.5重量部を20リットル容のヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて1500r/min(周速度21m/sec)で1分間混合し、トナーを得た。
【0091】
比較例6
溶融混練条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0092】
混練部分の全長1158mm、スクリュー径28mm、バレル内径29mmの同方向回転二軸押出機(PCM-30、(株)池貝製)を混練に使用した。ロール回転速度は200r/minであった。混合物の供給速度は4kg/hr、平均滞留時間は約18秒であった。
【0093】
試験例〔トナーカートリッジ内のトナー残存量〕
トナーをMicroLine5400(沖データ社製)のトナーカートリッジに100g実装し、カートリッジを有機感光体ユニットに装着して本体に設置し、5%の印字率で連続印刷を行った。トナーエンプティによるカートリッジ交換を知らせるアラームが点灯した時点でカートリッジを取り出し、外側に付着したトナーをエア清掃し、カートリッジ全体の重量W1を測定した。その後、カートリッジの内部に残存したトナーをエアで掃除して取り除き、清掃後のカートリッジの重量(W2)を測定した。W1−W2を、カートリッジ内に残存しているトナーの重量とした。結果を表1に示す。カートリッジ内の残存トナー量が小さいほど、優れている。
【0094】
【表1】

【0095】
実施例及び比較例で使用した離型剤の融点と半値幅、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びMw/Mnを表2に示す。
【0096】
【表2】

【0097】
表1の結果より、実施例1〜3のトナーは、比較例1〜6のトナーと比べて、トナーカートリッジ内に残存するトナー量が少ないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の方法により得られたトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂及び離型剤を溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、前記離型剤が炭素数22〜34のα−オレフィンを80モル%以上含有するモノマーを重合して得られるα−オレフィン系重合体を含有し、該α−オレフィン系重合体の融点が50〜80℃であり、かつ融点の半値幅が5℃以下であり、重量平均分子量(Mw)が25,000〜400,000であり、かつ分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、該α−オレフィン系重合体の含有量が、結着樹脂100重量部に対して2〜8重量部であり、溶融混練をオープンロール型混練機により行うトナーの製造方法。
【請求項2】
α−オレフィン系重合体の融点が70〜80℃であり、重量平均分子量が30,000〜100,000であり、分子量分布が1.7以下である、請求項1記載のトナーの製造方法。
【請求項3】
α−オレフィン系重合体が、炭素数24〜30のα−オレフィンを100モル%含有するモノマーを重合して得られるものである、請求項1又は2記載のトナーの製造方法。
【請求項4】
結着樹脂がポリエステルである、請求項1〜3いずれか記載のトナーの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の製造方法により得られるトナー。

【公開番号】特開2013−92626(P2013−92626A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234152(P2011−234152)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】