説明

トナー用添加剤組成物、トナーおよび現像剤

【課題】長期に渡って安定した良好な画像が提供可能なトナーを得るためのトナー用添加剤組成物を提供する。また、該トナー用添加剤組成物を用いた、長期に渡って安定した良好な画像が提供可能なトナーおよび現像剤を提供する。
【解決手段】エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体の微粒子を分散質とし、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルを主として含有するトナー用添加剤組成物およびトナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添された上記トナー用添加剤組成物由来の含フッ素共重合体の微粒子とを含むことを特徴とするトナーならびに該トナーとキャリアとを含有することを特徴とする現像剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー用添加剤組成物、トナーおよび現像剤に係り、特には、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に用いられる静電荷像現像用のトナー用添加剤組成物、静電荷像現像用トナーおよび静電荷像現像用現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のプリントオンデマンドの発達により、印刷物の後処理として製本化やカタログ化、郵便物の作成等が行われているが、特に紙同士の擦り合わせ等が発生する後処理工程により、定着後の画像品質が著しく低下する問題がある。
【0003】
そこで、定着性の向上を目的として、例えば、特許文献1には、結晶性ポリエステルを結着樹脂として含有するトナーが記載されている。また、特許文献2には、フッ素系樹脂微粉末で外添されたトナーが記載されている。特許文献3には、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルを含むトナーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−113514号公報
【特許文献2】特開2003−114548号公報
【特許文献3】特開2008−116666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、長期に渡って安定した良好な画像が提供可能なトナーを得るためのトナー用添加剤組成物を提供することにある。また、該トナー用添加剤組成物を用いた、長期に渡って安定した良好な画像が提供可能なトナーおよび現像剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成を有する、トナー用添加剤組成物、トナーおよび現像剤を提供する。
[1] エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体の微粒子を分散質とし、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルを主として含有するトナー用添加剤組成物。
[2] 前記含フッ素共重合体の微粒子における平均粒子径が、25℃において小角X線散乱法で測定した平均粒子径として、0.005〜5μmである[1]記載のトナー用添加剤組成物。
[3] 前記含フッ素共重合体の微粒子における平均粒子径が、25℃において小角X線散乱法で測定した平均粒子径として、0.01〜2μmである[1]記載のトナー用添加剤組成物。
[4] 前記フッ素樹脂オルガノゾルにおける分散質と分散媒の配合割合が、分散質:分散媒で示される質量比で、1.0:99.0〜70.0:30.0である[1]〜[3]のいずれかに記載のトナー用添加剤組成物。
[5] 前記溶媒における、下記式(1)で示されるハンセン溶解度パラメータに基づく前記含フッ素共重合体に対する溶解指標(R)が25未満である[1]〜[4]のいずれかに記載のトナー用添加剤組成物。
R=4×(δd−15.7)+(δp−5.7)+(δh−4.3) …(1)
(式(1)中、δd、δpおよびδhは、ハンセン溶解度パラメータにおける、分散項、極性項および水素結合項をそれぞれ示し、単位はいずれも(MPa)1/2である。)
[6] トナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添された[1]〜[5]のいずれかに記載のトナー用添加剤組成物由来の含フッ素共重合体の微粒子とを含むことを特徴とするトナー。
[7] 前記含フッ素共重合体微粒子の前記トナー母粒子への外添が、前記トナー母粒子と前記トナー用添加剤組成物を混合した後、前記組成物が含有する分散媒を除去することで行われる[6]記載のトナー。
[8] [6]または[7]に記載のトナーを含有する現像剤。
[9] さらに、キャリアを含有する[8]記載の現像剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明のトナー用添加剤組成物を用いれば、長期に渡って安定した良好な画像が提供可能なトナーおよび現像剤が得られる。本発明のトナーおよび現像剤によれば、長期に渡って安定した良好な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1で作製したフッ素樹脂オルガノゾルが含有するETFE微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(10万倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[トナー用添加剤組成物]
本発明のトナー用添加剤組成物は、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体の微粒子を分散質とし、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルを主として含有する。
【0010】
本発明のトナー用添加剤組成物を用いて、後述の方法等により得られる本発明のトナーは、トナー用添加剤組成物が含有する上記含フッ素共重合体微粒子、好ましくは、ETFE微粒子がトナー母粒子に均一に分散、好ましくは外添されたものである。このような構成とすることで、本発明のトナーは、現像ロールへのトナー融着が防止され、長期に渡って安定した良好な画像の提供が可能となる。また、トナー表面の摩擦力が十分に低減され、その定着性を大きく向上させることができる。したがって、本発明のトナーやこれを含む現像剤を用いれば、強い機械的ストレスを受けても、定着性が良好で、高い品質を維持することのできる画像の提供が可能となる。
本発明のトナー用添加剤組成物は、上記フッ素樹脂オルガノゾルのみから構成されていてもよく、該フッ素樹脂オルガノゾルと共に後述の任意成分を含有していてもよい。
【0011】
(フッ素樹脂オルガノゾル)
本発明のトナー用添加剤組成物が主として含有するフッ素樹脂オルガノゾルは、分散質としてエチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体の微粒子、分散媒として前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を含有する。
ここで、本明細書において、オルガノゾルとは、分散質である固体微粒子が有機溶媒に分散したものであって、分散質である固体微粒子の粒子径が十分に小さく、分散状態が、常温常圧で24時間放置しても沈降物が観察されない条件を満たすものをいう。また、フッ素樹脂オルガノゾルとは、上記固体微粒子として、フッ素樹脂の微粒子を含むものをいう。
【0012】
なお、本発明のトナー用添加剤組成物に用いられるフッ素樹脂オルガノゾルとは、常温(5℃〜40℃)、常圧(0.1MPa)条件下で、オルガノゾルの性状を示すものであれば、他の温度、圧力条件下での性状は特に制限されない。例えば、常温以上含フッ素共重合体の融点以下のある温度では溶液状態のものであってもよい。また、フッ素樹脂オルガノゾルは、必須成分である分散質としての含フッ素共重合体の微粒子と、分散媒としての溶媒とがオルガノゾルを形成している限りにおいて、これら以外の任意成分、例えば、後述の減粘剤等を含有していてもよい。
【0013】
(含フッ素共重合体微粒子(分散質))
本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルが含有する固体微粒子(分散質)を構成する含フッ素共重合体としては、エチレンに基づく繰り返し単位と、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含有する含フッ素共重合体であれば、他に特に限定されない。このような含フッ素共重合体として、好ましくは、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレン(CF=CF:TFE)に基づく繰り返し単位とを共重合体中の主な繰り返し単位とするETFE等が挙げられる。ここで、本明細書において「ETFE」の用語は、TFEおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位を共重合体の構成単位として含んでもよい、TFEおよびエチレンを共重合体中の主な繰り返し単位とする含フッ素共重合体の総称として用いるものである。
【0014】
本発明に用いるETFEとしては、TFEに基づく繰り返し単位/エチレンに基づく繰り返し単位のモル比が、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは65/35〜40/60、最も好ましくは65/35〜45/55のものが挙げられる。
【0015】
また、上記ETFEにおいては、得られる共重合体に各種機能を付加するために、TFEおよびエチレンの他に、これら以外の共単量体(コモノマー)に基づく繰り返し単位を含んでいることが好ましい。このような共単量体としては、CF=CFCl、CF=CH等のフルオロエチレン類(ただし、TFEを除く。);CF=CFCF、CF=CHCF、CH=CHCF等のフルオロプロピレン類;CFCFCH=CH、CFCFCFCFCH=CH、CFCFCFCFCF=CH、CFHCFCFCF=CH等の炭素数が2〜12のフルオロアルキル基を有する(ポリフルオロアルキル)エチレン類;R(OCFXCFOCF=CF(式中Rは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基、Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基、mは、0〜5の整数を表す。)等のペルフルオロビニルエーテル類;CHOC(=O)CFCFCFOCF=CFやFSOCFCFOCF(CF)CFOCF=CF等の、容易にカルボン酸基やスルホン酸基に変換可能な基を有するペルフルオロビニルエーテル類;プロピレン等の炭素数3個のC3オレフィン、ブチレン、イソブチレン等の炭素数4個のC4オレフィン、4−メチル−1−ペンテン、シクロヘキセン、スチレン、α−メチルスチレン等のオレフィン(ただし、エチレンを除く。)類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、2−(ビニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン等のビニルエーテル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル、(メタ)アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(トリエトキシシリル)プロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体類;イソプレン、1,3−ブタジエン等のジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のクロロオレフィン類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等のカルボン酸無水物を含むビニル化合物等が挙げられる。これらの共単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
上記ETFEがこれらのTFEおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位を含有する場合は、その含有割合は、ETFEの全単量体繰り返し単位において、0.1〜50モル%が好ましく、0.1〜30モル%がより好ましく、0.1〜20モル%が最も好ましい。本発明に用いられるETFEにおいて、TFEおよびエチレン以外の共単量体に基づく繰り返し単位の含有量がこの範囲にあると、ほぼTFEおよびエチレンのみで構成されるETFEが有する特性を損なうことなく、高い溶解性、撥水性、撥油性、架橋性、基材に対する接着性等の機能を付与することが可能になる。
【0017】
なお、基材すなわちETFE微粒子が外添されるトナー母粒子およびそれを含むトナーが画像として転写される紙等の基材に対する接着性の観点から、本発明に用いるETFEは、基材に対して接着性を有する官能基を分子構造内に有していてもよい。該官能基は、ETFEの分子末端または側鎖または主鎖のいずれに有していてもよい。さらに、該官能基は、ETFE中に1種が単独で用いられていてもよく、また2種以上が併用されていてもよい。基材に対して接着性を有する官能基の種類、含有量は、トナー用外添剤に通常求められる性能に応じて適宜選択される。
【0018】
上記接着性を有する官能基として、具体的には、カルボン酸基、1分子中の2つのカルボキシル基が脱水縮合した残基(以下、酸無水物基という)、ヒドロキシル基、スルホン酸基、エポキシ基、シアノ基、カーボネート基、イソシアネート基、エステル基、アミド基、アルデヒド基、アミノ基、加水分解性シリル基、炭素−炭素二重結合、エーテル基およびカルボン酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。上記カルボン酸基とは、カルボキシル基とその塩(−COOM:Mはカルボン酸と塩を形成しうる金属原子または原子団)を、スルホン酸基とは、スルホ基とその塩(−SO:Mはスルホン酸と塩を形成しうる金属原子または原子団)を意味する。上記の官能基の中でも特に、カルボン酸基、酸無水物基、ヒドロキシル基、エポキシ基、カーボネート基、加水分解性シリル基、炭素−炭素二重結合、およびカルボン酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。最も好ましくは、カルボン酸基、酸無水物基およびカルボン酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。このような官能基は、含フッ素共重合体1分子中に異なる種類のものが2種以上存在していてもよく、また1分子中に2個以上存在していてもよい。
【0019】
ETFEに、接着性を有する官能基(以下、「接着性官能基」ともいう。)を導入する方法としては、(i)ETFEの重合時に、接着性官能基を有する共重合可能な単量体を他の原料単量体とともに共重合する方法、(ii)重合開始剤、連鎖移動剤等により、重合時にETFEの分子末端に接着性官能基を導入する方法、(iii)接着性官能基とグラフト化が可能な官能基とを有する化合物(グラフト化合物)をETFEにグラフトさせる方法等が挙げられる。これらの導入方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。耐久性を考慮した場合、上記(i)および/または(ii)の方法で製造されるETFEが好ましい。
なお、上記接着性官能基以外に必要に応じて導入される各種機能を有する官能基についても、上記接着性官能基を導入するのと同様の方法でETFEに導入することが可能である。
【0020】
本発明に用いるETFEとしては、上記エチレンに基づく繰り返し単位とTFEに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体として、該含フッ素共重合体の作製に必須の単量体であるエチレンおよびTFEと、さらに任意の共単量体とを通常の方法で共重合させたものを用いることが可能であるが、市販品を用いることもできる。このような含フッ素共重合体:ETFEの市販品として、具体的には、旭硝子社製:Fluon(登録商標)ETFE Series、Fluon(登録商標)LM−ETFE Series、Fluon(登録商標)LM−ETFE AH Series、ダイキン工業社製:ネオフロン(登録商標)、Dyneon社製:Dyneon(登録商標)ETFE、DuPont社製:Tefzel(登録商標)等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いる含フッ素共重合体、好ましくはETFEの融点としては、130〜275℃であることが好ましく、140〜265℃であることがより好ましく、150〜260℃であることが最も好ましい。この範囲にあると、溶解工程での溶媒への溶解性に優れ、耐熱性にも優れる。
【0022】
本発明に用いる含フッ素共重合体、好ましくはETFEの容量流速(以下、Q値という。)は、0.1〜2000mm/秒が好ましい。Q値は、含フッ素共重合体の溶融流動性を表す指標であり、分子量の目安となる。Q値が大きいと分子量が低く、小さいと分子量が高いことを示す。本明細書におけるQ値とは、島津製作所製フローテスタを用いて、樹脂の融点より50℃高い温度において、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中に押出すときの含フッ素共重合体の押出し速度である。Q値が小さすぎると溶解性が悪くなり、大きすぎると含フッ素共重合体の機械的強度が低下するとともに、塗膜にした場合にひび割れ等が発生しやすくなる。本発明に用いる含フッ素共重合体のQ値は、5〜500mm/秒がより好ましく、10〜200mm/秒が最も好ましい。この範囲にあると、含フッ素共重合体は機械的強度、耐熱性に優れる。
【0023】
本発明のトナー用添加剤組成物に用いるフッ素樹脂オルガノゾルの分散質である含フッ素共重合体微粒子は、上記含フッ素共重合体の1種の単独で構成されてもよく、あるいは2種以上で構成されてもよい。
【0024】
本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルにおいては、上記含フッ素共重合体の微粒子は、該含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒としてこの分散媒中に均一に分散した状態で存在する。該フッ素樹脂オルガノゾルにおいて、含フッ素共重合体の微粒子の平均粒子径は、25℃において小角X線散乱法で測定した平均粒子径として、0.005〜5μmが好ましく、0.01〜2μmがより好ましい。なお、特に断りのない限り本明細書において、平均粒子径とは、平均1次粒子径をいう。
【0025】
また、該フッ素樹脂オルガノゾルにおける、含フッ素共重合体の微粒子の平均粒子径は、小角X線散乱法で測定した平均粒子径との相関関係が確認されていれば、これとは別の方法で測定し小角X線散乱法における平均粒子径に換算された値を用いてもよい。このような例として、25℃において動的光散乱法で測定した個数平均粒子径や透過型電子顕微鏡による画像から計測した個数平均粒子径等が挙げられる。ここで、個数平均粒子径とは、得られる平均粒子径から見て、それより粒子径が小さな粒子の数と、それより粒子径が大きな粒子の数の割合が同一になる粒子径をいう。
【0026】
本発明のトナー用添加剤組成物に用いられるフッ素樹脂オルガノゾルにおいて、含有する含フッ素共重合体の微粒子の平均粒子径が、上記範囲内にあれば、トナー用添加剤組成物において含フッ素共重合体の微粒子は分散性に優れ、この組成物を用いて、含フッ素共重合体の微粒子をトナー母粒子に添加、好ましくは外添させる際に、適量を均一に添加、外添させることができる。よって、得られるトナーは定着性が良好で、高い品質を維持できる画像の提供が可能となる。
【0027】
(分散媒)
本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルが含有する分散媒としては、上記含フッ素共重合体微粒子を分散状態で保持しうる分散媒であれば特に制限されない。このような分散媒として具体的には、分散質である上記含フッ素共重合体微粒子を構成する含フッ素共重合体を該含フッ素共重合体の融点以下の温度で溶解しうる溶媒であり、さらに該溶媒に該含フッ素共重合体を溶解した溶液から含フッ素共重合体の微粒子を析出させ均一に分散させた後は、少なくとも常温常圧において、分散状態でこの微粒子を存在させる分散媒として機能する溶媒が用いられる。なお、本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルにおける分散媒は、上記含フッ素共重合体を該含フッ素共重合体の融点以下の温度で溶解しうる「溶媒」であることから、以下、フッ素樹脂オルガノゾルが含有する分散媒を溶媒として説明する。
【0028】
本発明のトナー用添加剤組成物に用いるフッ素樹脂オルガノゾルにおける溶媒としては、上記条件に適合する範囲で種々の溶媒が挙げられる。ここで、用いる溶媒が上記条件に適合するためには、その溶媒が有する極性はある特定の範囲にあることが好ましい。本発明においては、上記条件に適合する溶媒を、ハンセン溶解度パラメータ(Hansen solubility parameters)に基づいて、ある特定の範囲の極性を有する溶媒として選択する、以下の方法を用いた。
【0029】
ハンセン(Hansen)溶解度パラメータは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項δd,極性項δp,水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間に表したものである。分散項δdは分散力のよる効果、極性項δpは双極子間力による効果、水素結合項δhは水素結合力の効果を示す。
【0030】
なお、ハンセン溶解度パラメータの定義と計算は、Charles M.Hansen著、Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook (CRCプレス,2007年)に記載されている。 また、コンピュータソフトウエア Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)を用いることにより、文献値等が知られていない媒体に関しても、その化学構造から簡便にハンセン溶解度パラメータを推算することができる。本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルにおける溶媒は、HSPiPバージョン3を用いて、データベースに登録されている溶媒に関しては、その値を、登録されていない溶媒に関しては、推算値を用いることにより、使用する溶媒を選定することとした。
【0031】
一般に、特定のポリマーのハンセン溶解度パラメータは、そのポリマーのサンプルをハンセン溶解度パラメータが確定している数多くの異なる溶媒に溶解させて溶解度を測る溶解度試験によって決定され得る。具体的には、上記溶解度試験に用いた溶媒のうちそのポリマーを溶解した溶媒の3次元上の点をすべて球の内側に内包し、溶解しない溶媒の点は球の外側になるような球(溶解度球)を探し出し、その球の中心座標をそのポリマーのハンセン溶解度パラメータとする。
【0032】
ここで、例えば、上記ポリマーのハンセン溶解度パラメータの測定に用いられなかったある別の溶媒のハンセン溶解度パラメータが(δd,δp,δh)であった場合、その座標で示される点が上記ポリマーの溶解度球の内側に内包されれば、その溶媒は、上記ポリマーを溶解すると考えられる。一方、その座標点が上記ポリマーの溶解度球の外側にあれば、この溶媒は上記ポリマーを溶解することができないと考えられる。
【0033】
本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルにおける溶媒は、上記ハンセン溶解度パラメータを利用して、フッ素樹脂オルガノゾルが含有する含フッ素共重合体をその融点以下の温度で溶解しうる溶媒であり、室温において該含フッ素共重合体を微粒子として分散する最適な溶媒であるジイソプロピルケトンを基準として、そのハンセン溶解度パラメータである座標(15.7,5.7,4.3)から一定の距離にある溶媒群を好ましい溶媒として使用することができる。
【0034】
すなわち、下記式(1)で示されるハンセン溶解度パラメータに基づく値であるRを上記含フッ素共重合体:ETFEに対する溶解指標とした。
R=4×(δd−15.7)+(δp−5.7)+(δh−4.3) …(1)
(式(1)中、δd、δpおよびδhは、ハンセン溶解度パラメータにおける、分散項、極性項および水素結合項をそれぞれ示し、単位はいずれも(MPa)1/2である。)
【0035】
本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルにおける溶媒は、その溶媒のハンセン溶解度パラメータ座標(δd,δp,δh)を用いて上記式(1)で算出される溶解指標(R)が25未満であることが好ましく、16未満であることがより好ましく、9未満であることが最も好ましい。上記式(1)で示されるRが、この範囲に入るハンセン溶解度パラメータを有する溶媒は、含フッ素共重合体との親和性が高く、溶解性および微粒子の分散性が高い。
【0036】
また、本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルにおける溶媒は、化合物1種からなる溶媒でも、化合物2種以上の混合溶媒であってもよく、上記式(1)によりハンセン溶解度パラメータに基づいて算出されるRの値を、含フッ素共重合体の溶解指標とすることができる。例えば、混合溶媒を用いる場合には、用いる溶媒の混合比(体積比)による平均のハンセン溶解度パラメータを求め、それをハンセン溶解度パラメータとして用いて上記溶解指標(R)を算出することができる。
【0037】
また、本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルにおける溶媒の沸点は、取扱い性および塗布後の溶媒除去性の観点から、210℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、180℃以下が最も好ましい。また、溶媒の沸点が低すぎると、例えば、組成物をコーティングした後の溶媒の蒸発除去(以下、乾燥ともいう)時に気泡が発生しやすい等の問題があるため、40℃以上が好ましく、55℃以上がさらに好ましく、80℃以上が特に好ましい。
【0038】
上記のような条件を満たす溶媒としては、炭素数3〜10のケトン類、エステル類、カーボネート類、エーテル類等が好ましく挙げられ、炭素数5〜9のケトン類、エステル類がさらに好ましく挙げられる。具体例としては、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソプロピルケトン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ピナコリン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソピロピルケトン、イソアミルメチルケトン、2−オクタノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、イソホロン、(−)−フェンコン、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸t−ブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、ギ酸ヘキシル、ギ酸シクロヘキシル、ギ酸ヘプチル、ギ酸オクチル、ギ酸2−エチルヘキシル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2,2,2−トリフルオロエチル、酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、酢酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、酢酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、酢酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、酢酸2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、酢酸3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、酢酸4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプチル、酢酸7,7,8,8,8−ペンタフルオロオクチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸sec−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピオン酸アミル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸シクロヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸sec−ブチル、酪酸t−ブチル、酪酸アミル、酪酸イソアミル、酪酸ヘキシル、酪酸シクロヘキシル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸sec−ブチル、イソ酪酸t−ブチル、イソ酪酸アミル、イソ酪酸イソアミル、イソ酪酸ヘキシル、イソ酪酸シクロヘキシル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸sec−ブチル、吉草酸t−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸sec−ブチル、イソ吉草酸t−ブチル、イソ吉草酸アミル、イソ吉草酸イソアミル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、ヘキサン酸sec−ブチル、ヘキサン酸t−ブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、ヘプタン酸イソプロピル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、ノナン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸プロピル、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル、シクロヘキサンカルボン酸2,2,2−トリフルオロエチル、こはく酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、グルタル酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸ブチル、トリフルオロ酢酸イソブチル、トリフルオロ酢酸sec−ブチル、トリフルオロ酢酸t−ブチル、トリフルオロ酢酸アミル、トリフルオロ酢酸イソアミル、トリフルオロ酢酸ヘキシル、トリフルオロ酢酸ヘプチル、トリフルオロ酢酸オクチル、トリフルオロ酢酸2−エチルヘキシル、ジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸エチル、酢酸2−プロポキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸2−ペンチルオキシエチル、酢酸2−ヘキシルオキシエチル、1−エトキシ−2−アセトキシプロパン、1−プロポキシ−2−アセトキシプロパン、1−ブトキシ−2−アセトキシプロパン、1−ペンチルオキシ−2−アセトキシプロパン、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−エトキシブチル、酢酸3−プロポキシブチル、酢酸3−ブトキシブチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸3−エトキシ−3−メチルブチル、酢酸3−プロポキシ−3−メチルブチル、酢酸4−メトキシブチル、酢酸4−エトキシブチル、酢酸4−プロポキシブチル、酢酸4−ブトキシブチル、ペンタフルオロ安息香酸メチル、ペンタフルオロ安息香酸エチル、3−(トリフルオロメチル)安息香酸メチル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸メチル、安息香酸2,2,2−トリフルオロエチル、安息香酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、安息香酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、安息香酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、安息香酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、安息香酸2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、安息香酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、安息香酸2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)カーボネート、テトラヒドロフラン、ペンタフルオロアニソール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニソール等が挙げられる。なお、これらの溶媒はいずれも、上記式(1)から算出されるRが25未満の溶媒である。
【0039】
これらのうちでも、本発明のトナー用添加剤組成物に用いるフッ素樹脂オルガノゾルに用いる溶媒としてより好ましい化合物として、具体的には、以下の化合物が例示できる。
メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソプロピルケトン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ピナコリン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソピロピルケトン、イソアミルメチルケトン、2−オクタノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、4−エチルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、イソホロン、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸t−ブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、ギ酸ヘキシル、ギ酸ヘプチル、ギ酸オクチル、ギ酸2−エチルヘキシル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2,2,2−トリフルオロエチル、酢酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、酢酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、酢酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、酢酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸sec−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピオン酸アミル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸シクロヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸sec−ブチル、酪酸t−ブチル、酪酸アミル、酪酸イソアミル、酪酸ヘキシル、酪酸シクロヘキシル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸sec−ブチル、イソ酪酸t−ブチル、イソ酪酸アミル、イソ酪酸イソアミル、イソ酪酸ヘキシル、イソ酪酸シクロヘキシル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸sec−ブチル、吉草酸t−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸sec−ブチル、イソ吉草酸t−ブチル、イソ吉草酸アミル、イソ吉草酸イソアミル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、ヘキサン酸sec−ブチル、ヘキサン酸t−ブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、ヘプタン酸イソプロピル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、ノナン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸プロピル、シクロヘキサンカルボン酸イソプロピル、シクロヘキサンカルボン酸2,2,2−トリフルオロエチル、こはく酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、グルタル酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸ブチル、トリフルオロ酢酸イソブチル、トリフルオロ酢酸sec−ブチル、トリフルオロ酢酸t−ブチル、トリフルオロ酢酸アミル、トリフルオロ酢酸イソアミル、トリフルオロ酢酸ヘキシル、トリフルオロ酢酸ヘプチル、トリフルオロ酢酸オクチル、トリフルオロ酢酸2−エチルヘキシル、ジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸エチル、酢酸2−プロポキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸2−ペンチルオキシエチル、酢酸2−ヘキシルオキシエチル、1−エトキシ−2−アセトキシプロパン、1−プロポキシ−2−アセトキシプロパン、1−ブトキシ−2−アセトキシプロパン、酢酸3−エトキシブチル、酢酸3−プロポキシブチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸3−エトキシ−3−メチルブチル、酢酸4−メトキシブチル、酢酸4−エトキシブチル、酢酸4−プロポキシブチル、安息香酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、安息香酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、安息香酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル、安息香酸2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル、安息香酸2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、安息香酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、安息香酸2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、ペンタフルオロアニソール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニソール。なお、これらの溶媒はいずれも、上記式(1)から算出されるRが16未満の溶媒である。
【0040】
上記溶媒は、上記本発明の条件を満たす範囲であれば、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記条件を満たしていれば、上記溶媒に上記以外の溶媒を混合して用いてもよい。
【0041】
本発明のトナー用添加剤組成物に用いるフッ素樹脂オルガノゾルに、上記単独で使用可能な溶媒と組み合わせて用いることで使用できる溶媒としては、混合溶媒の状態で上記条件を満たす溶媒であれば特に限定されない。このような組合せの具体例を挙げれば、上記ピナコリン(ハンセン溶解パラメータ:15.2、5.7、5.3、R:2.0)と、ベンゾニトリル(ハンセン溶解パラメータ:18.8、12.0、3.3、R:79.1)の体積比90:10の混合溶媒(ハンセン溶解度パラメータ:15.6、6.3、5.1、R:1.1)、ギ酸t−ブチル(ハンセン溶解パラメータ:14.8、5.4、7.4、R:12.9)と、アセトフェノン(ハンセン溶解パラメータ:18.8、9.0、4.0、R:49.4)の体積比71:29の混合溶媒(ハンセン溶解度パラメータ:16.0、6.4、6.4、R:5.3)、酢酸イソブチル(ハンセン溶解パラメータ:15.1、3.7、6.3、R:9.4)と、安息香酸メチル(ハンセン溶解パラメータ:18.9、8.2、4.7、R:47.4)の体積比74:26の混合溶媒(ハンセン溶解パラメータ:16.1、4.9、5.9、R:3.8)、ギ酸t−ブチル(ハンセン溶解パラメータ:14.8、5.4、7.4、R:12.9)と、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(ハンセン溶解パラメータ:17.0、6.8、0.0、R:26.5)の体積比59:41の混合溶媒(ハンセン溶解度パラメータ:15.7、6.0、4.4、R:0.1)等の組合せが挙げられる。
【0042】
このような混合溶媒において、混合溶媒を構成する各溶媒のハンセン溶解パラメータとその体積比から算出される溶解指標(R)は、25未満が好ましく、16未満がより好ましく、9未満が最も好ましい。なお、上記組合せは例示であって、本発明のトナー用添加剤組成物に用いるフッ素樹脂オルガノゾルに使用が可能な混合溶媒がこれらの組合せに限定されるものではない。
【0043】
本発明のトナー用添加剤組成物に用いるフッ素樹脂オルガノゾルは、このような溶媒すなわち分散媒に、上で説明した含フッ素共重合体の微粒子が分散質として均一に分散したものである。上記フッ素樹脂オルガノゾルにおける、含フッ素共重合体微粒子(分散質)と、溶媒(分散媒)の配合割合は、含フッ素共重合体微粒子(分散質):溶媒(分散媒)で示される質量比で、1.0:99.0〜70.0:30.0であることが好ましく、2.0:98.0〜40.0:60.0であることがより好ましい。フッ素樹脂オルガノゾルの濃度がこの範囲にあると、トナー用添加剤組成物において含フッ素共重合体の微粒子は分散性に優れ、この組成物を用いて、含フッ素共重合体の微粒子をトナー母粒子に添加、好ましくは外添させる際に、適量を均一に添加、外添させることができる。よって、得られるトナーは定着性が良好で、高い品質を維持できる画像の提供が可能となる。
【0044】
(製造方法)
本発明のトナー用添加剤組成物に用いる上記フッ素樹脂オルガノゾルは、例えば、以下の(1)溶解工程、(2)析出工程を経て製造することができる。また、必要に応じて、例えば、フッ素樹脂オルガノゾルに含フッ素共重合体の微粒子を高濃度で含有させる等の要求によっては、(2)の析出工程と同時にまたは(2)の析出工程後に、以下の(3)解砕・分散工程をさらに設けて製造してもよい。
(1)前記含フッ素共重合体を前記溶媒に溶解して溶液とする溶解工程
(2)前記溶液において前記溶媒中に前記含フッ素共重合体を微粒子として析出させる析出工程
(3)前記含フッ素共重合体を微粒子として含有する前記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に高剪断力を加えて前記溶媒に該含フッ素共重合体の微粒子を均一に分散させる解砕・分散工程
【0045】
(1)溶解工程
溶解工程は、フッ素樹脂オルガノゾルにおいて微粒子の形態で分散質となる、エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含有する含フッ素共重合体を、フッ素樹脂オルガノゾルにおいて分散媒として機能する、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒に溶解する工程である。
【0046】
溶解工程において、含フッ素共重合体溶液の作製に用いる、含フッ素共重合体と溶媒の配合割合は、作製しようとするフッ素樹脂オルガノゾルにおける含フッ素共重合体微粒子と分散媒の含有比に合わせて調整される。すなわち、含フッ素共重合体溶液の作製に用いる含フッ素共重合体と溶媒の配合割合は、上記フッ素樹脂オルガノゾルにおける分散質と分散媒の含有割合と同様であり、含フッ素共重合体:溶媒で示される質量比で、1.0:99.0〜70.0:30.0であることが好ましく、2.0:98.0〜60.0:40.0であることがより好ましい。
【0047】
上記溶解工程における温度、圧力、撹拌等の条件としては、上記溶媒に上記含フッ素共重合体が溶解される条件であれば特に限定されない。該溶解工程における温度条件としては、用いる含フッ素共重合体の融点以下の温度であることが好ましい。本発明における含フッ素共重合体、すなわち上記で説明したETFEの融点は、最も高いもので概ね275℃であることから、上記溶媒にこれを溶解する工程の温度は、概ね275℃以下の温度であることが好ましい。前記含フッ素共重合体を前記溶媒に溶解する温度としては、230℃以下がより好ましく、200℃以下が特に好ましい。また、この溶解工程の温度の下限としては、40℃が好ましく、60℃がより好ましく、操作性等を考慮すると80℃以上がさらに好ましい。前記溶解工程の温度が40℃未満では、十分な溶解状態が得られない場合があり、275℃を超える温度では、実際作業を行う上で、容易に実行できないことがある。
【0048】
本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルを製造する際の上記溶解工程において、温度以外の条件は特に限定されるものではなく、通常は常圧〜0.5MPa程度の微加圧の条件下に実施することが好ましい。含フッ素共重合体や溶媒の種類によって、溶媒の沸点が溶解工程の温度より低い場合等には、耐圧容器中で、少なくとも自然発生圧力以下、好ましくは3MPa以下、より好ましくは2MPa以下、さらに好ましくは1MPa以下の条件下、最も好ましくは常圧以下の条件下で溶解する方法が挙げられるが、一般的には、0.01〜1MPa程度の条件下で溶解を実施することができる。
【0049】
溶解時間は、本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルにおける上記含フッ素共重合体の含有量や該含フッ素共重合体の形状等に依存する。用いる含フッ素共重合体の形状は、溶解時間を短くする作業効率の点から、粉末状のものが好ましいが、入手のし易さ等からペレット状等、その他の形状のものを用いることもできる。
【0050】
上記溶解工程における溶解の手段は特に限定されるものではなく、一般的な方法を用いることができる。フッ素樹脂オルガノゾルの必須構成成分である含フッ素共重合体と溶媒の所定量と求められる性能に応じて、含フッ素共重合体、溶媒と、任意に添加する後述の各種成分の添加量を秤量し、均一に混合、溶解させればよい。
【0051】
また、本発明に用いるフッ素樹脂オルガノゾルを製造する過程において、上記溶液が含有することが好ましい任意成分としては、例えば、粘度調節の機能を有する増粘剤、減粘剤等が挙げられる。なお、得られるフッ素樹脂オルガノゾルが含有するこれら任意成分の合計配合量は、フッ素樹脂オルガノゾル全量に対して30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。言い換えれば、フッ素樹脂オルガノゾルが含有する上記含フッ素共重合体と溶媒の合計量は、フッ素樹脂オルガノゾル全量に対して70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
さらに、フッ素樹脂オルガノゾルを使用する上で機能する任意成分については、以下の(3)解砕・分散工程後に、得られたフッ素樹脂オルガノゾルに添加することも可能である。
【0052】
混合温度は、40℃以上用いる含フッ素共重合体の融点以下が好ましく、60〜230℃がより好ましく、80〜200℃が最も好ましい。溶解工程において各種原料成分の混合と加熱は同時に行ってもよく、各種原料成分を混合した後、必要に応じて撹拌しながら加熱する方法をとってもよい。
【0053】
加圧下に溶解する場合には、撹拌機付きオートクレーブ等の装置を用いることができる。撹拌翼の形状としては、マリンプロペラ翼、パドル翼、アンカー翼、タービン翼等が用いられる。小スケールで行う場合には、マグネティックスターラー等を用いてもよい。
【0054】
(2)析出工程
上記(1)溶解工程で得られた、上記含フッ素共重合体を上記溶媒に溶解した溶液を、該含フッ素共重合体が微粒子として上記溶媒中に析出する条件下、一般的には常温常圧下におくことで、含フッ素共重合体の微粒子が上記溶媒中に析出し、含フッ素共重合体の微粒子が溶媒中に分散した組成物が得られる。
析出工程は、具体的には、上記(1)溶解工程で得られる溶液を、含フッ素共重合体が微粒子として析出する温度以下の温度まで、通常は常温まで冷却することで行われる。これにより、上記含フッ素共重合体の微粒子を上記溶媒中に析出させることができる。この場合、冷却の方法は、特に限定されず、徐冷でもよく、急冷であってもよい。
【0055】
(2)析出工程が完了することで、上記含フッ素共重合体の溶液濃度が低い場合や含フッ素共重合体と溶媒との組合せによっては、常温常圧でオルガノゾルの性状のフッ素樹脂オルガノゾルが得られる。この場合、析出工程後に得られたフッ素樹脂オルガノゾルを本発明のトナー用添加剤組成物に用いることができる。
【0056】
ここで、上記含フッ素共重合体の溶液濃度が高い場合や含フッ素共重合体と溶媒との組合せによっては、(2)の析出工程後、溶媒(分散媒)に対する含フッ素共重合体微粒子の分散状態は、一部または全体がゲル化していたり、該微粒子が溶媒中に偏在して不均一に分散していたりするような分散状態を呈する場合がある。このような分散状態は、溶媒に対する含フッ素共重合体の配合割合が高くなればなるほど顕著に現れる。このような場合、含フッ素共重合体を微粒子として含有する、溶媒と含フッ素共重合体との混合物を、含フッ素共重合体の微粒子が溶媒中に均一に分散した、取り扱い性に優れたフッ素樹脂オルガノゾルとするために、以下の解砕・分散工程を行う。
【0057】
(3)解砕・分散工程
解砕・分散工程は、上記(2)析出工程で得られた、上記含フッ素共重合体を微粒子として含有する、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に対して、高剪断力を加えて溶媒に該含フッ素共重合体の微粒子を均一に分散させる工程である。
上記混合物に高剪断力を加える方法として、具体的には、高速回転、高圧噴射、高速振動、超音波処理、高圧濾過等の方法が挙げられる。なかでも簡便な方法であることから、高速回転、高圧噴射、高速振動(以下、これらを総称して「撹拌」という)による方法が好ましい。また、これら高剪断力を加える方法は単独で行ってもよく、2種以上の方法、例えば、撹拌と超音波処理を併用してもよい。
【0058】
撹拌により上記混合物に高剪断力を加えるには、高剪断力を加えながら液状物を撹拌するために通常用いられる撹拌装置が、特に制限なく使用可能である。このような撹拌装置として、上記解砕・分散工程には、タービン翼やエッジドタービン翼等通常の撹拌翼の中でも剪断力が大きい撹拌翼を有する撹拌装置を使用することもできるが、より高い剪断力が得られる以下の撹拌、分散装置を用いることが好ましい。なお、これらの撹拌装置を用いて、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に、高剪断力を加える際の、具体的条件、例えば、回転数、圧力、処理時間、処理温度等は、混合物の状態や用いる装置により適宜選択される。以下(a)〜(c)および(e)は高速回転による撹拌装置であり、(d)は高圧噴射による分散装置である。
【0059】
(a)TKホモミクサー(プライミクス社製)、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(KINEMATICA社製)等に代表される撹拌装置、すなわち、撹拌翼の外周近傍に固定環を組み合わせた撹拌装置であって、該ローターを高速で回転させ、撹拌翼と固定環との微細な間隙で起こる強力な剪断効果、衝撃力を利用して、微粒化効果を高める装置;高剪断力を加える際の回転数として、具体的には、1000〜30000回転/分等が挙げられる。
(b)クレアミックス(エム・テクニック社製)等に代表される撹拌装置、すなわち、高速で回転するローターとそれを取り囲むスクリーンに生じる剪断力、衝突力、圧力変動、キャビテーションおよびポテンシャルコアの作用によって攪拌する装置;高剪断力を加える際の回転数として、具体的には、1000〜22000回転/分等が挙げられる。
(c)キャビトロン(ユーロテック社製)、DRS2000(IKA社製)等に代表される撹拌装置、すなわち、同心上に配置された櫛歯形状の回転子および固定子を備えた攪拌装置であって、該回転子を高速で回転させ、その回転子内側から固定子外側に攪拌する混合液を流通させて、回転子と固定子との間隙で混合液を撹拌させる装置;高剪断力を加える際の撹拌翼先端速度として、具体的には、2〜50m/秒等が挙げられる。
【0060】
(d)マントン・ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社製)等に代表される分散装置、すなわち、高圧プランジャポンプ等で処理液を圧入し、排出部の特殊バルブの調整で高圧で噴射させ、出口の固定板に超高速で叩き付けて分散させる装置;高剪断力を加える際の圧力として、具体的には、1〜100MPa等が挙げられる。
(e)TKフィルミックス(プライミクス社製)に代表される攪拌装置、すなわち、処理する混合液を遠心力によって分散槽側壁に押し付けて、液膜を形成し、該液膜に超高速で回転する撹拌具の先端が触れることによって攪拌する装置;高剪断力を加える際の撹拌翼先端速度として、具体的には、2〜50m/秒が挙げられる。
【0061】
高圧濾過により上記混合物に高剪断力を加えるには、高圧で液状物をフィルタ等の細孔に通過させる市販の高圧濾過装置が、特に制限なく適用可能である。なお、高圧濾過装置を用いて、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に、高剪断力を加える際の、具体的条件、例えば、圧力、フィルタの孔径、処理時間、処理温度等は、混合物の状態や用いる装置により適宜選択される。より具体的には、圧力0.1〜2.0MPa、フィルタの孔径0.1〜5μm等の条件が挙げられる。
【0062】
超音波処理により上記混合物に高剪断力を加えるには、市販の、超音波洗浄機や超音波発信器等を使用できる。この場合も、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物に、高剪断力を加える際の、具体的条件、例えば、周波数、処理時間、処理温度等は、混合物の状態や用いる装置により適宜選択される。より具体的には、発振周波数として、10〜200kHz等の条件が挙げられる。
なお、この(3)解砕・分散工程は、必要に応じて上記(2)の析出工程と同時に行ってもよい。
【0063】
また、(3)解砕・分散工程においては、上記高剪断力を粘度調整剤(「減粘剤」ともいう。)の存在下で加えることが好ましい。用いる粘度調整剤としては、上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物の粘度を低減できるものであれば、特に制限されない。具体的には、ハロゲン基で置換されていてもよく結合末端以外の任意の−CH−が酸素原子に置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基と、1級アミノ基、2級アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、水酸基、メルカプト基および窒素−水素結合を有する含窒素複素環基から選ばれる少なくとも1種の官能基とを有する化合物が挙げられる。
【0064】
このような、粘度調整剤として、より具体的には、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、2−(エチルアミノ)エタノール、4−エチルアミノ−1−ブタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、4−(ブチルアミノ)−1−ブタノール、オクタンアミド、ノナンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、トリデカンアミド、テトラデカンアミド、ペンタデカンアミド、ヘキサデカンアミド、ヘプタデカンアミド、オクタデカンアミド、1−オクタンスルホンアミド、1−ノナンスルホンアミド、1−デカンスルホンアミド、1−ウンデカンスルホンアミド、1−ドデカンスルホンアミド、1−トリデカンスルホンアミド、1−テトラデカンスルホンアミド、1−ペンタデカンスルホンアミド、1−ヘキサデカンスルホンアミド、1−ヘプタデカンスルホンアミド、1−オクタデカンスルホンアミド、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−オクタンチオール、1−ノナンチオール、1−デカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−ドデカンチオール、1−トリデカンチオール、1−テトラデカンチオール、1−ペンタデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘプタデカンチオール、1−オクタデカンチオール、2−ブチルイミダゾール、2−ペンチルイミダゾール、2−ヘキシルイミダゾール、2−ヘプチルイミダゾール、2−オクチルイミダゾール、2−ノニルイミダゾール、2−デシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−トリデシルイミダゾール、2−テトラデシルイミダゾール、2−ペンタデシルイミダゾール2−ヘキサデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−オクタデシルイミダゾール、2−ノナデシルイミダゾール、2−エイコシルイミダゾール等が挙げられる。これらのうちでも、3−ブトキシプロピルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、2−オクチルイミダゾール、2−ノニルイミダゾール、2−デシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−トリデシルイミダゾール、2−テトラデシルイミダゾール、2−ペンタデシルイミダゾール2−ヘキサデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−オクタデシルイミダゾール等が好ましい。これらは、1種を単独で用いることも、2種以上を併用することも可能である。
【0065】
また、用いる粘度調整剤の量としては、上記混合物中の含フッ素共重合体に対して、0.1〜20質量%の量が好ましく、0.5〜10質量%の量がより好ましい。なお、粘度調整剤の量は、その他の任意成分との合計量で、フッ素樹脂オルガノゾルの全量に対して30質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。また、粘度調整剤の添加の時期は、(3)解砕・分散工程の前であれば特に制限されない。例えば、上記(1)溶解工程で添加してもよいし、上記(2)析出工程後に添加してもよい。ただし、析出工程後に添加する場合、粘度調整剤が上記溶媒と含フッ素共重合体との混合物中に均一に存在するように、ボールミル等で十分な撹拌を行うことが好ましい。
このようにして上記(1)溶解工程および(2)析出工程、さらに必要に応じて(3)解砕・分散工程を経ることで、上記含フッ素共重合体の微粒子を分散質とし、上記溶媒を分散媒とする、上記含フッ素共重合体の微粒子が上記溶媒に均一に分散したフッ素樹脂オルガノゾルが得られる。
【0066】
(トナー用添加剤組成物)
本発明のトナー用添加剤組成物は、上記フッ素樹脂オルガノゾルを主成分として含有するトナー用添加剤組成物である。本発明のトナー用添加剤組成物は、トナーを作製する際に添加し、その後固形分成分以外の成分(以下、「揮発成分」という)が除去されるかたちで用いられる。すなわち、本発明のトナー用添加剤組成物においては、含有する固形分成分のみがトナーの添加剤、特に外添される場合は外添剤として機能し、揮発成分は最終的にはトナーの成分としては残らない成分である。
【0067】
本発明のトナー用添加剤組成物の固形分成分は主として上記エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体、好ましくはETFEの微粒子からなり、結着樹脂および着色剤を用いて形成されるトナー母粒子を主体とするトナーにおいては、トナー母粒子の表面に存在することでトナー表面の摩擦力を低減させる機能を有する。本発明のトナー用添加剤組成物は、トナー母粒子の表面に固形分成分、特には含フッ素共重合体の微粒子が存在するように添加される限りは、トナー母粒子を形成する際に添加されてもよいが、通常は、トナー母粒子形成後に添加されるいわゆる外添の形で用いられる。結着樹脂および着色剤を用いて形成されたトナー母粒子に本発明のトナー用添加剤組成物を添加し、揮発成分を除去すれば、トナー母粒子の表面には、該組成物由来の含フッ素共重合体の微粒子が均一に存在する状態となり、トナー表面の摩擦力を効率よく低減でき、それによるトナーの定着性の向上に寄与できる。
【0068】
本発明のトナー用添加剤組成物は、上記含フッ素共重合体の微粒子と上記溶媒のみからなるフッ素樹脂オルガノゾルにより構成されていてもよく、または上記含フッ素共重合体の微粒子と上記溶媒にさらに任意成分を含むフッ素樹脂オルガノゾルにより構成されていてもよい。本発明のトナー用添加剤組成物は、このように、上記含フッ素共重合体の微粒子と上記条件を満たす溶媒とがオルガノゾルを形成したものを必須成分として含有するが、必要に応じてその他任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
【0069】
このような任意成分として、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、架橋剤、滑剤、可塑剤、増粘剤、分散安定剤、充填剤(フィラー)、強化剤、顔料、難燃剤等の各種添加剤が挙げられる。また、本発明の効果を損なわないその他任意成分の含有量としては、トナー用添加剤組成物全量に対して30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0070】
なお、これら任意成分は、上記フッ素樹脂オルガノゾルの製造工程の(1)溶解工程において原料成分に添加してもよく、または任意の工程である(3)解砕・分散工程で添加してもよく、さらには、これら任意成分を含有せずに製造された上記含フッ素共重合体の微粒子と上記溶媒のみからなるフッ素樹脂オルガノゾルに添加してもよい。また、これら任意成分のうちのいくつかを上記(1)溶解工程において原料成分に添加して、および/または任意の工程である(3)解砕・分散工程で添加してフッ素樹脂オルガノゾルを製造し、さらにこれに同じまたは別の種類の任意成分を添加する方法をとってもよい。
【0071】
[トナー]
本発明のトナーは、トナー母粒子と、該トナー母粒子に外添された上記本発明のトナー用添加剤組成物由来の含フッ素共重合体の微粒子とを含むことを特徴とする。本発明のトナーにおけるトナー母粒子としては、静電荷像現像用のトナーに通常用いられるトナー母粒子が特に制限なく使用可能である。本発明のトナーは、具体的には、必須の成分として、トナー母粒子と上記本発明のトナー用添加剤組成物とを用いて作製される、トナー母粒子の表面に少なくとも上記トナー用添加剤組成物由来の含フッ素共重合体微粒子を有するトナーである。
上に説明した通り、上記含フッ素共重合体、好ましくはETFE微粒子がトナー母粒子の表面に存在することで、本発明のトナーは、表面が低摩擦性であり、強い機械的ストレスを受けても、定着性が良好で、長期に渡って高い品質を維持できる画像が提供可能である。
【0072】
本発明のトナーにおける、上記トナー用添加剤組成物由来の含フッ素共重合体の微粒子の配合量としては、トナー母粒子100質量部に対する量として、0.01〜5質量部であることが好ましく、0.05〜3質量部であることがより好ましく、0.1〜1.0質量部であることがさらに好ましい。トナーにおけるトナー母粒子に対する含フッ素共重合体微粒子の量を上記範囲とすることで、トナーの他の機能を損なうことなくトナー表面の低摩擦性を十分に確保することができる。
なお、本発明のトナーは、トナー母粒子と該トナー母粒子に外添された上記本発明のトナー用添加剤組成物由来の含フッ素共重合体の微粒子以外に、本発明の効果を損なわない範囲で任意成分を外添剤として含有できる。このような本発明のトナーは、例えば、以下の方法で製造できる。
【0073】
(トナー母粒子)
本発明のトナーにおけるトナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含む粒子であり、さらに必要に応じて電荷制御剤およびその他の添加剤を含んでいてもよい。トナー母粒子は、公知の調製方法によって得ることができ、その調製方法は特に限定されない。トナー母粒子の調製方法としては、例えば、粉砕法等の乾式法、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融乳化法等の湿式法が挙げられる。以下に、粉砕法によるトナー母粒子の調整について説明する。
【0074】
(トナー母粒子原料)
上記トナー母粒子に用いる結着樹脂は、特に限定されるものではなく、黒トナーまたはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用することができる。例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタンおよびそれらの複合物等が挙げられる。また、原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用してもよい。
【0075】
上記の結着樹脂のうち、ポリエステルは透明性に優れ、凝集粒子に、良好な粉体流動性、低温定着性、および2次色再現性等を付与できるので、カラートナー用の結着樹脂として好適である。ポリエステルとしては公知のものを使用でき、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物等が挙げられる。多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、こはく酸、アルケニル無水こはく酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物が挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
【0076】
多価アルコールとしては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物等の芳香族系ジオール類が挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
【0077】
多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は公知の方法によって行うことができる。重縮合反応は、例えば、有機溶媒の存在下、または有機溶媒の非存在下かつ重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステルの酸価、軟化点等が所定の値になったところで終了される。このような重縮合反応によってポリエステルが得られる。
【0078】
また、多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率等を適宜変更することによって、例えば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、これによって、得られるポリエステルの特性を変性できる。また、多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入するができ、これによって、変性ポリエステルが得られる。ポリエステルの主鎖および側鎖の少なくとも1つにカルボキシル基、スルホン酸基等の親水性基を結合させ、水中での自己分散性を有するポリエステルとしてもよい。また、ポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化してもよい。
【0079】
上記トナー母粒子に用いる着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料等を使用できる。
黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイト等が挙げられる。
【0080】
黄色の着色剤としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
【0081】
橙色の着色剤としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43等が挙げられる。
【0082】
赤色の着色剤としては、例えば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0083】
紫色の着色剤としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
青色の着色剤としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。
【0084】
緑色の着色剤としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
白色の着色剤としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
【0085】
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して5質量部〜20質量部、さらに好ましくは5質量部〜10質量部である。
【0086】
また、トナー母粒子には、添加剤として電荷制御剤が含まれてもよい。電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用の電荷制御剤、または負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。正電荷制御用の電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン染料およびその誘導体、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩等が挙げられる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラック等の油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸ならびにその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウム等)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸が挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用でき、または必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部〜3質量部である。
【0087】
また、トナー母粒子には、添加剤として離型剤が含まれてもよい。離型剤としてはこの分野で常用される離型剤を使用でき、例えば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体等の石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)およびその誘導体、低分子量ポリプロピレンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックス等)およびその誘導体等の炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋等の植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋等の動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステル等の油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸が挙げられる。誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物等が含まれる。離型剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.2質量部〜20質量部、さらに好ましくは0.5質量部〜10質量部、特に好ましくは1.0質量部〜8.0質量部である。
【0088】
本発明に用いるトナー母粒子は、さらに、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有してもよい。
【0089】
(トナー母粒子の調製方法)
粉砕法によるトナー母粒子の調製では、結着樹脂、着色剤、およびその他の添加剤を含むトナー母粒子原料を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後、必要に応じて分級等の粒度調整を行い、トナー母粒子を得る。
【0090】
乾式混合では、着色剤を含むマスターバッチ、添加剤を含む複合粒子を用いてもよい。複合粒子は、例えば、添加剤の2種以上と、適量の水と、低級アルコール等とを混合し、ハイスピードミル等の一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチ、複合粒子を用いることで、着色剤、添加剤を、混練物中に均一に分散させることができる。
【0091】
混合機としては公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)等が挙げられる。
【0092】
混練機としては公知のものを使用でき、例えば、2軸押出し機、3本ロール、ラボプラストミル等の一般的な混練機を使用できる。具体的には、例えば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87(商品名、株式会社池貝製)、PCM−30(商品名、株式会社池貝製)等の1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)等のオープンロール方式の混練機が挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式の混練機が好ましい。
【0093】
粉砕機としては公知のものを使用でき、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固化物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機等が挙げられる。
【0094】
分級機としては、遠心力による分級、風力による分級等によって過粉砕トナー母粒子を除去する公知の分級機を使用でき、例えば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等が挙げられる。
【0095】
トナー母粒子は、体積平均粒径(D50)が4〜8μmであることが好ましい。トナー母粒子の体積平均粒径(D50)が4〜8μmであると、トナー母粒子から製造されるトナーは、高精細な画像を長期にわたって安定して形成することができる。トナー母粒子の体積平均粒径(D50)が4μm未満であると、トナー粒子の粒径が小さくなりすぎ、トナーの高帯電化および低流動化が起きてしまう。トナーの高帯電化および低流動化が発生すると、感光体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下が発生してしまう。トナー母粒子の体積平均粒径(D50)が8μmを超えると、トナー粒子の粒径が大きくなりすぎ、形成画像の層厚が大きくなって著しく粒状性を感じる画像となってしまう。また、トナー粒子の粒径が大きくなりすぎると、高精細な画像を得ることができなくなってしまう。また、トナー粒子の粒径が大きくなりすぎると、比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生してしまう。
【0096】
また、トナー母粒子の体積平均粒径(D50)が4〜8μmであると、トナー粒子を小粒径化することができるので、感光体へのトナーの付着体積量が少なくても高い画像濃度が得られ、よって、現像装置のトナー容量を削減することができる。
【0097】
(トナーの製造)
本発明のトナーは、このようにして得られたトナー母粒子を本発明のトナー用添加剤組成物で処理することで製造できる。
本発明のトナーは、具体的には、トナー母粒子に本発明のトナー用添加剤組成物を添加したのち乾燥させ、得られた混合粉末とこれら以外に必要に応じて任意に添加される外添剤とを、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ等の混合機、V型ブレンダー等を用いる乾式混合法により製造することができる。本発明のトナーは、また、トナー母粒子に本発明のトナー用添加剤組成物とそれ以外に必要に応じて任意に添加される外添剤を同時に混合した後、乾燥させることにより製造することができる。
【0098】
トナー母粒子に添加するトナー用添加剤組成物の量は、トナー用添加剤組成物中の含フッ素共重合体微粒子の量がトナー母粒子100質量部に対して0.01〜5質量部となる量が好ましく、0.05〜3質量部となる量がより好ましく、0.1〜1.0質量部となる量がさらに好ましい。
また、上記製造の過程で行われる乾燥の操作は、言い換えれば、トナー用添加剤組成物が含有する分散媒を主とする揮発成分を除去する操作である。したがって、乾燥の条件としては、該揮発成分が除去される条件であれば特に制限されない。必要に応じて、加熱乾燥および/または真空乾燥等の方法を用いればよい。具体的な条件として、40〜200℃で0.1〜12時間程度の加熱乾燥が挙げられる。
なお、本発明のトナー用添加剤組成物が含フッ素共重合体の微粒子以外の任意の固形分成分を含有する場合は、このような操作によって、含フッ素共重合体微粒子とともにこれら任意の固形成分も同時にトナー母粒子に外添される。
【0099】
本発明のトナーが、トナー母粒子および本発明のトナー用添加剤組成物由来の含フッ素共重合体微粒子を含む固形分成分以外に、任意に含有可能な外添剤としては、トナーに通常用いられる外添剤が特に制限なく挙げられ、公知の外添剤の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)等が挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
【0100】
本発明のトナーは、さらに、荷電制御剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料等を外添剤として含有してもよい。
【0101】
本発明のトナーは、上記トナー母粒子を核として上に挙げた含フッ素共重合体微粒子を含む各種外添剤がその表面に堆積された粒子形状を呈するものである。このような本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、粒子の集合体である粉体としての扱いやすさの観点から、4〜12.5μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。体積中位粒径(D50)および、トナー母粒子等で挙げた体積平均粒径(D50)はともに、例えば、動的光散乱法で測定可能である。
【0102】
[現像剤]
本発明は、上記本発明のトナーを少なくとも含有する現像剤を提供する。本発明の現像剤は、一成分現像剤であっても、二成分現像剤であってもよい。本発明の現像剤が一成分現像剤の場合には、現像剤は基本的には、本発明のトナーのみからなる。二成分現像剤の場合には、現像剤は本発明のトナーと、キャリアとからなる。
【0103】
上記キャリアとしては、二成分現像剤に通常用いられるキャリアであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。このようなキャリアとして、好ましくは、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するキャリアが挙げられる。
上記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu/g〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
【0104】
上記芯材の粒径としては、平均粒径(体積平均粒径(D50))で、10μm〜200μmが好ましく、40μm〜100μmがより好ましい。上記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0105】
上記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0106】
上記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよい。該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、等が挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。上記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0107】
上記樹脂層は、例えば、上記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を上記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。上記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、等が挙げられる。用いる溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、等が挙げられる。上記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよい。例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、等が挙げられる。
【0108】
上記樹脂層の上記キャリアにおける量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。上記量が、0.01質量%未満であると、上記芯材の表面に均一な上記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、上記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0109】
上記現像剤が二成分現像剤である場合の、上記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。二成分現像剤における、上記キャリアと本発明のトナーの配合割合としては、例えば、キャリア:トナーの質量比として90〜98:10〜2が好ましく、93〜97:7〜3がより好ましい。
【実施例】
【0110】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(フッ素樹脂オルガノゾルの調製)
以下に示す実施例および比較例は、特に記載がない限り、次の方法で行われたものである。
肉厚4mm、外径30mmの硼珪酸ガラス製耐圧反応容器に、含フッ素共重合体、溶媒および撹拌子を入れた。含フッ素共重合体と溶媒の相対的な量は、溶媒量に対する含フッ素共重合体の量として2〜5質量%となるようにした。
反応容器は、よく撹拌され温度制御されたオイルバスを用いて加熱された。
含フッ素共重合体が溶解したかどうかは、目視で観察し、試験管の内容物が透明で均一な溶液となっていれば溶解状態と判定した。
【0111】
(フッ素樹脂オルガノゾルの平均粒子径)
フッ素樹脂オルガノゾル中のETFE微粒子の平均粒子径は、実施例1においては、粒径分布測定装置(Microtrac社製Nanotrac)を用いて、25℃の温度条件下、動的光散乱法にて測定を行った。また、実施例2では、小角散乱測定装置(SAXS)(リガク社製NANO−Viewer、検出器:イメージングプレート、データ処理ソフト:リガク社製粒径・空孔径解析ソフトウェア NANO−Solver)を用いて、室温(25℃)の条件下、小角X線散乱法にて測定した。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製JEM−1230)により、ETFE微粒子の1次粒子径を観察し、上記小角X線散乱法および動的光散乱法で得られた結果が確かなものであることを確認した。
【0112】
[合成例1、2](含フッ素共重合体の合成)
含フッ素共重合体(ETFE1、ETFE2)は、特許第3272474号公報または国際公開第2006/134764号に記載の方法で製造した。
含フッ素共重合体(ETFE1):ビーズ状(ビーズ径:5mm程度)、単量体に基づく繰り返し単位の割合(モル比):TFE/エチレン/3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン/無水イタコン酸=57.5/39.9/2.3/0.3、融点:240℃。
含フッ素共重合体(ETFE2):ビーズ状(ビーズ径:5mm程度)、単量体に基づく繰り返し単位の割合(モル比):TFE/エチレン/ヘキサフルオロプロピレン/3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン/無水イタコン酸=47.7/42.5/8.4/1.2/0.2、融点:188℃。
【0113】
[実施例1]トナー用添加剤組成物1
30mLの硼珪酸ガラス製耐圧反応容器に、含フッ素共重合体として、上記で得られたETFE1の0.80g、ジイソプロピルケトン(上記式(1)で算出されるR(以下、単に「R」と表す。)=0)の15.20gを入れ、撹拌しながら185℃に加熱したところ、均一で透明な溶液となった。
【0114】
該試験管を徐々に室温まで冷却したところ、均一な含フッ素共重合体のゲル状物(ETFE1の濃度5質量%)が得られた。このゲル状物を、プライミクス社製、TKフィルミックス40−40型を用いて、30m/秒で2分間撹拌し、均一な分散液(本発明に係るフッ素樹脂オルガノゾル)を得た。得られたフッ素オルガノゾルは、常温常圧で24時間放置しても沈降物が観察されない本発明におけるオルガノゾルである。これを、そのままトナー用添加剤組成物1とした。この組成物が含有する含フッ素共重合体の微粒子の平均粒子径は、25℃において、動的光散乱法で測定した個数平均粒子径として58nmであった。
【0115】
また、この分散液を0.05質量%に希釈して、透過型電子顕微鏡で観察したところ、1次粒子径は、40〜50nmであることが確認できた。なお、多くの試料の測定結果から、小角X線散乱法における平均粒子径が透過型電子顕微鏡で観察される1次粒子径の範囲内にあることは確認されている。図1に透過型電子顕微鏡(TEM)写真(10万倍)を示す。なお、TEM写真撮影においては、試料作製時に分散液中の溶媒は除去されるため、得られる写真では、例えば、図1の写真に示すように含フッ素共重合体の粒子は凝集粒子を形成していると考えられる。図1の写真を観察すると、写真内に大きな1個の塊状粒子が存在し、その塊状粒子はそれぞれそれより小さな粒子の多数が集まって形成されていることが分かる。この塊状粒子がETFE1の凝集粒子を示し、その塊状粒子を構成する個々の粒子がETFE1の1次粒子である。上記観察した個数平均粒子径とは、写真の粒子をこのように識別したETFE1の1次粒子が分散液中で単独で、あるいはいくつかの一次粒子が集まって形成する2次粒子として存在している考えた場合に、全体の粒子の個数の50%にあたる粒子の粒子径をいう。
【0116】
[実施例2]トナー用添加剤組成物2
30mLの硼珪酸ガラス製耐圧反応容器に、含フッ素共重合体として、上記で得られたETFE2の0.32g、ジイソプロピルケトンの15.68gを入れ、撹拌しながら140℃に加熱したところ、均一で透明な溶液となった。
【0117】
該試験管を徐々に室温まで冷却したところ、均一で沈降物のないフッ素オルガノゾル(ETFE1の濃度2質量%)が得られた。得られたフッ素オルガノゾルは、常温常圧で24時間放置しても沈降物が観察されない本発明におけるオルガノゾルである。これを、そのままトナー用添加剤組成物2とした。この組成物が含有する含フッ素共重合体の微粒子の平均粒子径は、25℃において、小角X線散乱法で測定した平均粒子径として20nmであった。
【0118】
また、この分散液を0.05重量%に希釈して、透過型電子顕微鏡で観察したところ、1次粒子径は、20〜30nmであることが確認できた。
【0119】
[合成例3]トナー母粒子の調製
ポリエステル樹脂(商品名:ダイヤクロン、三菱レイヨン株式会社製、ガラス転移点55℃、軟化点130℃)(90質量部)、カーボンブラック(三菱化学株式会社製、三菱カーボンブラック#44(5質量部)、離型剤(カルナウバワックス、融点82℃)(2質量部)、帯電制御剤(ボントロンN−04、オリエント化学工業株式会社)(2.5質量部)を、ヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて前混合した後、2軸押出混練機(商品名:PCM30、株式会社池貝製)にて溶融混練する。この溶融混練物をカッティングミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した後、ジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)にて微粉砕し、さらに風力分級機(ホソカワミクロン株式会社製)で分級して体積平均粒径(D50)が4μm以上8μm以下のトナー母粒子を得る。
【0120】
[実施例3]
合成例3で得られたトナー母粒子(100質量部)、実施例1で得られたトナー用添加剤組成物1(6質量部)と疎水性シリカ(キャボット社製CAB−O−SIL(登録商標)TS−720)(0.5質量部)をヘンシェルミキサで混合した後、70℃で24時間乾燥することによりトナーを得る。
【0121】
[実施例4]
トナー用添加剤組成物1(6質量部)のかわりに、実施例2で得られたトナー用添加剤組成物2(15質量部)を用いる以外は、実施例3と同様にしてトナーを得る。
【0122】
[比較例1]
30mLの硼珪酸ガラス製耐圧反応容器に、含フッ素共重合体として、ETFE1の0.80g、ジイソプロピルケトンの15.20gを入れ、撹拌しながら室温で30分間、20kHz、100ワットの超音波を照射して、ETFE1とジイソプロピルケトンとの混合液1を調製した。混合液1の調製後直ちに、トナー用添加剤組成物1(6質量部)のかわりに、この混合液1(6質量部)を用いる以外は、実施例3と同様にしてトナーを得る。
なお、得られた混合液1を常温常圧で放置したところ、混合液1中のETFE1の粒子は、30分以内に沈降したことから、混合液1は本発明におけるフッ素樹脂オルガノゾルに相当するものではないことが確認された。
【0123】
[比較例2]
ETFE2の0.32g、ジイソプロピルケトンの15.68gを用いる以外は比較例1と同様にして、ETFE2とジイソプロピルケトンとの混合液2を調製した。混合液2の調製後直ちに、トナー用添加剤組成物1(6質量部)のかわりに、この混合液2(15質量部)を用いる以外は、実施例4と同様にしてトナーを得る。
なお、得られた混合液2を常温常圧で放置したところ、混合液2中のETFE2の粒子は、30分以内に沈降したことから、混合液2は本発明におけるフッ素樹脂オルガノゾルに相当するものではないことが確認された。
【0124】
[試験例1:分散度の試験]
実施例3、4、比較例1、2で得られた各トナーを電子顕微鏡で観察し、表面に被着しているETFE粒子の分散分布を観察し以下の基準により判定する。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
トナー表面全体に均一にETFEが被着している混合物を◎と判定する。
トナー表面のETFEの被着分布に濃淡があり、明らかにETFEリッチな部分とプアーな部分が観察される混合物は×と判定する。
上記◎と×の中間の分布の場合は、△と判定する。
【0125】
[試験例2:防汚染性の試験]
実施例3、4、比較例1、2で得られた各トナーを非磁性一成分現像用の正帯電性トナーを使用するコピー機またはプリンターに装填し、再生紙(NBSリコー社製、再生紙、資源タイプA、平滑度34s)に、文字画像を印字し、S型摩擦試験器 SUTHERLAND2000 Rub TESTER(Danilee Co.社製)を用いて、加重800gにて上記再生紙で文字画像を50回摺擦し、画像の汚れ具合を下記基準により判定し、防汚染性を評価する。
【0126】
また、上述の平滑度とは、紙の表面性を表す指標であり、通常普通紙と言われるものでは、40sより大きく、150s程度までであるが、平滑度が40s以下のような表面の粗い紙の場合には、定着性が不十分となりやすい。なお、平滑度の測定方法は、JIS P8119(紙および板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法)に準じて行われる。結果を表1に示す。
【0127】
〔評価基準〕
◎:全く画像が汚れない
○:目視では殆ど判別できない程の汚れが発生
△:僅かに気になる程度の汚れが発生
×:明らかに問題となる汚れが発生
××:明らかに問題となり使用が難しい程の汚れが発生
【0128】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明のトナー用添加剤組成物は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーに好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンに基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを有する含フッ素共重合体の微粒子を分散質とし、前記含フッ素共重合体の融点以下の温度で該含フッ素共重合体を溶解しうる溶媒を分散媒とするフッ素樹脂オルガノゾルを主として含有するトナー用添加剤組成物。
【請求項2】
前記含フッ素共重合体の微粒子における平均粒子径が、25℃において小角X線散乱法で測定した平均粒子径として、0.005〜5μmである請求項1記載のトナー用添加剤組成物。
【請求項3】
前記含フッ素共重合体の微粒子における平均粒子径が、25℃において小角X線散乱法で測定した平均粒子径として、0.01〜2μmである請求項1記載のトナー用添加剤組成物。
【請求項4】
前記フッ素樹脂オルガノゾルにおける分散質と分散媒の配合割合が、分散質:分散媒で示される質量比で、1.0:99.0〜70.0:30.0である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー用添加剤組成物。
【請求項5】
前記溶媒における、下記式(1)で示されるハンセン溶解度パラメータに基づく前記含フッ素共重合体に対する溶解指標(R)が25未満である請求項1〜4のいずれかに記載のトナー用添加剤組成物。
R=4×(δd−15.7)+(δp−5.7)+(δh−4.3) …(1)
(式(1)中、δd、δpおよびδhは、ハンセン溶解度パラメータにおける、分散項、極性項および水素結合項をそれぞれ示し、単位はいずれも(MPa)1/2である。)
【請求項6】
トナー母粒子と、前記トナー母粒子に外添された請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー用添加剤組成物由来の含フッ素共重合体の微粒子とを含むことを特徴とするトナー。
【請求項7】
前記含フッ素共重合体微粒子の前記トナー母粒子への外添が、前記トナー母粒子と前記トナー用添加剤組成物を混合した後、前記組成物が含有する分散媒を除去することで行われる請求項6記載のトナー。
【請求項8】
請求項6または7に記載のトナーを含有する現像剤。
【請求項9】
さらに、キャリアを含有する請求項8記載の現像剤。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−73011(P2013−73011A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211895(P2011−211895)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】