説明

トラックに積載される生きた家禽用の輸送ユニット

トラックに積載された生きた家禽用の輸送ユニット(1)であって、支持フレーム(2)と、通気孔がない側壁(6)を有する複数の引き出しタイプのケージ(3)とを含む。側壁(6)は、天候上又は環境上の輸送状態により、選択的に、支持フレーム(2)の一方の側(2a)、若しくは、その反対側(2b)に位置決めされることが意図されている。引き出しタイプのケージ(3)は、単一のパイルに、若しくは2つの隣接するパイルに配置され、いずれの場合も、トラックの荷台の全幅を占めることができるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、生きている家禽の飼養場から食肉処理場(解体場)への輸送に関する。
【背景技術】
【0002】
同一の出願人によって所有されている欧州特許第1330952(B1)号明細書から、支持フレームと、引き出し型の複数のケージ(鳥かご)であって上部で開いており骨組み(枠)内で相互に積み重ねられた状態で配置される複数のケージと、を有する、生きている家禽を輸送するためのシステムであって、引き出し型のケージの底部が、下に位置する引き出し型のケージのためのカバー(蓋)として機能する、輸送システムが知られている。当該引き出し型ケージは、その中に収容されている家禽の通風を良くするための通気孔を備えた側壁を有しており、それらは、その前側の反対側にあるフレームの後側に向けてのみ、抜き取ることができるようになっている。その前側において、使用時、輸送されるべき家禽は、上記引き出し型ケージ内に案内される。
【0003】
この解決手段は、輸送作業の終わりで、続く荷下ろし作業に悪影響を及ぼすことなく、特に、簡単且つ実用的な方法で、家禽の荷積みを許容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1330952(B1)号明細書
【特許文献2】欧州特許第0867113(B1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、文書、欧州特許第1330952(B1)号明細書、に係る発明の改良であり、それは、家禽が輸送中に被るストレスを最大限に減じるように、そのような文書に係る輸送システムを、変化する気候(風土)条件や環境条件に効果的に適合(適応)させる目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、上記されたタイプのトラックに積載される生きた家禽用の輸送ユニットの手段であって、その特徴が、上記引き出し型の複数のケージの各々が実質的に通気孔を有さない側壁であって、選択的に、支持フレームの一方の側(たとえば、前面側)と、その反対側(たとえば、背面側)のいずれかに位置決めされることが意図されている側壁(6)を備える、という事実にある手段により、達成される。
【0007】
輸送時、上記フレームの前面(前面側)は、典型的には、トラックの荷台の側面に面して配置され、その荷台幅は、通常、隣接する対の輸送ユニットを収容するのに適切なものとなっている。そのフレームの前面は、従って、直接的に外部環境に晒されることになり、通常、家禽の換気(通気、通風)を危険にさらさないように、覆われたり保護されることはない。
【0008】
本発明によれば、引き出し型ケージの通気孔がない側壁を選択的に支持フレームの前面側に位置決めするか、又はその反対側に位置決めするかの可能性は、そのユニットを容易かつ簡単なやり方で気候上及び大気上の輸送条件に適合(適応)させることを許容する。従って、温暖な気温若しくは夏の気温と好天条件をもって、開口を有していないそれらの側壁がトラックの内側に面する状態にそれらの引き出しを配置することができ、これにより、外側に面する反対側の側壁の開口を通して、家禽の通気は許容される。低温下において、また、厳しい気候条件下において、上記配置は逆にされる。これにより、家禽は、寒冷な悪天候に対して、保護される。第2のケースにおいて、家禽の通気は、更に、支持フレーム内に適合(フィット)せしめられている引き出し型ケージ間の垂直方向の分離に基づくと同様に、他の壁部の通気孔によって、保証されるであろう。
【0009】
上記支持フレームは、積み重ねられた引き出し型ケージの只1つのパイルを受け入れるように、或いは、積み重ねられた引き出し型ケージの2つの隣接するパイルを受け入れるように、形成されることができる。以下に観察することができるように、そのケージ及びフレームの配置と寸法は、通常、2.40mと2.55mの間にある輸送トラックの積載荷台幅が、単一の支持フレームの各対に配置されている、或いは、対をなした(ダブルの)支持フレームに配置されている、隣接する引き出し型ケージの一連の対のパイルによって完全に占められることができるような、配置と寸法である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、非限定的で例示を目的として提供される添付図面を参照して、詳細に記述する。
【図1】本発明の1実施形態に係る、トラックに積載される生きた家禽用の輸送ユニットの概略正面斜視図である。
【図2】上記ユニットの背面斜視図である。
【図3】図1の正面立面図である。
【図4】上記ユニットの異なる構成(外形、輪郭)を示す、図3に類似する図である。
【図5】図1〜4に示された上記輸送ユニットの引き出し型ケージの1つの概略斜視図である。
【図6】本発明に係る、トラックに積載された家禽を輸送するためのユニットの可能な配置(配列)を例示する、上面図における略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
初めに、図1〜3を参照すると、参照番号1は、全体的に、本発明に係るユニット若しくはモジュールである、トラックに積載される生きた家禽用の輸送ユニットを示している。
【0012】
前記文書、欧州特許第1330952(B1)号明細書、における図及び記載に略対応する仕方で、ユニット1は、丈夫な金属製支持フレーム2を有している。当該フレーム2は、大略平行6面体形状であり、積み重ねられた引き出し型ケージ3(図示の例においては、それらの内の5つ)のパイル(積み重ね)を支持するように予め構成されている。該ケージ3の1つは、図5に詳細に示されている。
【0013】
上記支持フレーム2は、図面に示されている実施の形態の場合におけるように、引き出し型ケージ3の単一のパイル(シングルパイル)を受け入れるように、或いは、隣接する引き出し型ケージ3の2つのパイルを受け入れるように、構成されることができる。
【0014】
引き出し型ケージ3の各々は、底壁4と、より大きい側壁5,6(約1271mm長さ)と、より小さい側壁7(約1211mm長さ)と、を備え、上部で開いている、成形されたプラスチック材料からなる大略平行6面体の本体により形成されると、都合が良い。これらの引き出し型ケージ3は、実質的に1つの相違点をもって、都合良く、欧州特許第0867113(B1)号明細書に係る、ジオルダーノ・ポールトリー・プラスト・エス・ピー・エー(Giordano Poultry Plast S.p.A.)により製造され、販売されている、それらのものに類似していても良い。すなわち、より大きい側壁5と、より小さい側壁7とは、夫々、典型的には、グリッド(格子)形態の複数の通気孔をもって、調達される一方、より大きい側壁6は、そのような通気孔を有さずに、閉じられている。そのような側壁6は、引き出し型ケージ3を保持するためのハンドルとして用いることができる、間隔を置いた1対のスリット8を有している。
【0015】
更に、各引き出し型ケージ3の上記底壁4は、必ずしも、そうである必要はないが、好ましくは、また、実質的に、開口を有していない。
【0016】
上記支持フレーム2は、フォークリフト等の手段により、ユニット1を取り扱うためのパレットベース9を有し、そこから、引き抜き(引き出し)可能な上部フレーム12によってその上部で接続されているコーナ直立部材10が延在している。該直立部材10に対して、水平方向に、引き出し型ケージ3のスライド(滑り)を支持するための横ガイド13が固定されている。該横ガイド13は、各引き出し型ケージ3の底壁4が(その上部で隔てられているけれども)その下に位置する引き出し型ケージ3のカバー(覆い)として機能する状態で、フレーム1内に積み重ねられたそのような引き出し型ケージ3が互いに垂直方向に分離されるように、位置している。上部の引き出し型ケージ3は、上部カバー12により、閉じられている。
【0017】
上記文書、欧州特許第1330952号明細書の教示によれば、上記フレーム2は、また、引き出し型ケージ3を、フレーム2の背面側の部分のみにある上記ガイド13に沿って、部分的又は全体的にスライドさせて引き抜く(引き出す)ことができるように構成される。図2において2bで示されている、上記フレーム2の背面側の部分のみにあるガイド13は、そのような作用(効果)を得るために、閉じられていない。引き抜き(引き出し)は、代わって、図1,3及び4において2aで示されている、その反対側、つまり正面(前面)側、において、防止されている。そのような目的のために、引き出し型ケージ3の、より大きい側壁5,6が、夫々、当接する、付加的な垂直の直立支柱14が、前面側(前面)2aに沿って適用されている。上記支持フレーム2の側部は、また、更なる斜方向部材15の手段により、硬く(堅く)されている。
【0018】
この構成をもって、上記欧州特許第1330952号明細書に記載されているのと同一の方法により、つまり、最初、支持フレーム2の背面側(背面)2bから、下の引き出し型ケージ3の上に位置する引き出し型ケージ3を、その長手方向セクションの約半分、部分的に引き抜くことにより、引き出し型ケージ3の背面の部位内への家禽の積載が行われる。次いで、支持フレーム2の前面側2aから、家禽を最も下のケージ3内に、家禽が満たされる迄、導入した後、真上にある引き出し型ケージ3が、下の引き出し型ケージ3を閉じるように、支持フレーム3内に再位置決めされる。そのようなプロセスは、最も上の引き出し型ケージ3が満たされる迄、繰り返され、次いで、その引き出し型ケージは、上部カバー12により、閉じられる。
【0019】
このようにして積み込まれた(積載された)ユニット1は、トラックの荷台上に移される。ユニット1は、たとえば、通常のトラックの荷台が、各支持フレーム2の前面側2aが外を向いた状態で、それが2つづつ隣合って配置されることを許容するように、寸法構成される。これ以降、詳しく観察されるように、この構成(配置)は、その荷台の全体幅を都合良く占める。
【0020】
上記家禽を食肉処理場内に降ろすとき、上記引き出し型ケージ3は、フレーム2の背面側2bから、全体的に、スライドさせて引き出される(引き抜かれる)。
【0021】
引き出し型ケージ3の上記構成により、輸送ユニット1は、家禽が飼養場から食肉処理場(解体場)への輸送中に被るストレスを最大限に減じるべく、気候や環境の輸送条件に容易に適合(適応)させることができる。これは、本発明に従い、開口を有していない各壁6が、選択的に、フレーム2の前面側2a又は背面側2bにある状態で、引き出し型ケージ3を支持フレーム内に配置することにより、得られる。(図2におけるものと反対の)図1及び図3に示される第1(最初)のケースにおいて、支持フレーム2が、その前面側2aが外側を向くようにトラックの荷台上に配置された状態で、引き出し型ケージ3内に収容されている家禽は、低温、及び/又は、悪天候において、より良く保護される。そのような配置をもってしても、引き出し型ケージ3内の家禽の通気は、そのような引き出し型ケージ3の間の垂直方向の隔離と同じく、トラックの内側に向く壁5,7の開口により、保証される。
【0022】
図4に示される第2のケースであって、開口を有していない各壁6が背面2bに向いた状態で、つまりトラックの内側に向いた状態で(つまり、開口を有する壁5が、外側に向いた状態で)、引き出し型ケージ3が支持フレーム2内に配置される、第2のケースにおいては、高温の気候条件下において、引き出し型ケージ3内に収容される家禽の自由通気は、維持される。そのようなケースにおいて、開口を有していない壁6は、どのような目的も果たしていない。
【0023】
そのような選択的な配置は、家禽を引き出し型ケージ3内に積載するための方法を変更するものではなく、また、どのような方法であれ、輸送ステップの最後で家禽の荷下(荷卸)を行うための方法を変更するものではない。
【0024】
図6は、本発明に係る輸送ユニット1を、輸送トラックAの荷台P上に位置決めするための方法を例示している。
【0025】
典型的に、輸送トラックAの荷台Pの幅は、2.40m〜2.55mに寸法構成される。本発明によれば、図面に示されているユニット1は、(家禽を引き出し型ケージ3内に積載するための側部に対応する)約1350mmを測定する、より大きい水平方向の寸法構成と、約1211mmを測定する、より小さい水平方向の寸法構成と、を有する。上記ユニット1は、上記より小さい寸法構成の方向において、互いに2つづつ隣接した状態で配置され、各フレーム2の前面積載側2aは、トラックAの荷台Pの反対側に向いている。そのような荷台Pは、その全幅にわたり、完全に占められることができる。これは、図6の下の2つの概略図に示されており、左の図は、夏場の環境条件に対応するものであり、右の図は、冬場の環境条件に対応するものである。第1(最初)のケースにおいて、引き出し型ケージ3は、閉じられた(閉鎖された)側壁6が内側に向いた状態で、各フレーム2内に配置されている。一方、第2のケースにおいて、上記閉じられた側壁6は、外側に向いている。互いに隣接する、対のユニット1のフレーム2の上記前面積載側2aの位置は、両ケースにおいて、同一である。
【0026】
上記の通り、支持フレーム2は、引き出し型ケージ3の1つのパイル(積み重ね)に代わって、2つの隣接するパイルを収容するように、予め配置されることができる。そして、また、このケースにおいて、本発明に係るダブルユニット(2つのユニット)1の寸法は、トラックAの幅方向の荷台Pを完全に占めるように、構成される。
【0027】
そのような構成は、図6の上の2つの上面概略図に示されており、左の図は、夏場の環境条件に対応するものであり、右の図は、冬場の環境条件に対応するものである。上記ダブルユニット1は、好都合にも、約2500を測定する、より大きい水平方向の寸法構成と、約1285mmを測定する、より小さい水平方向の寸法構成と、を有している。このケースにおいて、上記より大きい寸法構成が、荷台Pに対して、横切る向きに方向付けられた状態で、そして、フレーム2の上記前面積載側2aが、荷台Pそれ自体の背面側の端部(前面側の端部)に向けられた状態で、上記ダブルユニット1を配置することにより、これは、また、幅方向に、完全に占められることができる。また、このケースでは、夏場の環境条件において、引き出し型ケージ3は、閉じられた(閉鎖された)側壁6が内側に向けられた状態で、フレーム内に配置され、一方、冬場の環境条件において、上記閉じられた側壁6は、外側に向けられるように配置される。引き出し型ケージ3の閉じられた側壁6に対して直交するこのケースにおける、上記ダブルユニット1のフレーム2の上記前面積載側2aの位置は、同一である。
【0028】
明らかに、上記輸送ユニットの構成の詳細と、その実施形態とは、続く請求項に限定された本発明の保護のスコープから離れることなく、記載され図示されたものに対して、広範に、変化させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック(A)に積載される生きた家禽用の輸送ユニットであって、
支持フレーム(2)と、
上部で開いており、支持フレーム(2)内で互いに積み重ねられた状態で配置される、複数の引き出し型ケージ(3)と、を備え、
引き出し型ケージ(3)の底部(4)は、その下に位置する引き出し型ケージ(3)の覆いを提供し、
引き出し型ケージ(3)は、貫通孔を有する側壁(5,7)を備え、且つ、支持フレーム(2)の前面側(2a)の反対側である背面側(2b)の方向のみに向けて引き出すことができ、
使用時に、輸送されるべき家禽が、引き出し型ケージ(3)内に導入される、輸送ユニットにおいて、
上記引き出し型ケージ(3)は、夫々、実質的に通気孔を有さない側壁(6)であって、選択的に、支持フレーム(2)の一方の側と、その反対側のいずれかに位置決めされることが意図されている側壁(6)を備えることを特徴とする、輸送ユニット。
【請求項2】
上記引き出し型ケージ(3)は、単一のパイルに配置されることを特徴とする、請求項1記載のユニット。
【請求項3】
1つのユニット(1)に隣接する同一の1つのユニット(1)と結合されて、トラック(A)の荷台(P)の全幅を占めるような寸法構成を有していることを特徴とする、請求項2記載のユニット。
【請求項4】
上記実質的に通気孔を有さない側壁(6)は、選択的に、上記支持フレーム(2)の上記前面側(2a)と、上記背面側(2b)のいずれかに配置可能であり、
支持フレーム(2)の前面側(2a)は、上記トラック(A)の上記荷台(P)の側面に位置決めすることが可能であることを特徴とする、請求項2又は3記載のユニット。
【請求項5】
上記引き出し型ケージ(3)は、単一の支持フレーム(2)内に、隣接するパイルに従って、配置されることを特徴とする、請求項1記載のユニット。
【請求項6】
トラック(A)の上記荷台(P)の全幅を占めるような寸法構成を有していることを特徴とする、請求項5記載のユニット。
【請求項7】
上記通気孔を有さない側壁(6)は、間隔を置いた1対のスリット(8)であって、上記引き出し型ケージ(3)を保持するためのハンドルをなすスリット(8)を有することを特徴とする、請求項1〜6の1つ以上に記載のユニット。
【請求項8】
上記引き出し型ケージ(3)は、相互に垂直方向に隔てられるように、上記支持フレーム(2)のスライドガイド(13)上に配置されていることを特徴とする、請求項1〜7の1つ以上に記載のユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−533318(P2012−533318A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521160(P2012−521160)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/IT2009/000321
【国際公開番号】WO2011/010329
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512016250)リンコ・イタリア・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】Linco Italia S.r.l.
【出願人】(512016010)ジョルダーノ・ポウルトリー・プラスト・ソシエタ・ペル・アチオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】Giordano Poultry Plast S.p.A.
【Fターム(参考)】