説明

トラック輸送を用いた調達及び納品システム

【課題】 トラック輸送を用いた資材等の調達のための輸送と、製品の納品のための輸送を行う物流において十分な物流効率の向上を図るようなトラック輸送を用いた調達及び納品システムの提供を目的とする。
【解決手段】 トラックにより資材等を調達し、トラックにより輸送して納品先に納品するトラック輸送を用いた調達及び納品システムであって、各種のデータを夫々格納する格納手段と、前記格納手段からの前記往路トラック輸送のデータのうちの納品先の位置と前記格納手段からの前記復路トラック輸送のデータのうちの調達先の位置とを比較して往復トラック輸送の組み合わせを選択する組み合わせ選択手段とを有し、前記組み合わせ選択手段は、組み合わせられた前記往路トラック輸送と前記復路トラック輸送の日時が異なる場合であっても、前記一時保管倉庫の空き状態に応じて前記復路トラック輸送の日時をずらして往復トラック輸送の組み合わせを承認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は資材を輸送するトラックにより前記資材を調達し、前記資材を用いて加工した製品をトラックにより輸送して納品先に納品するところのトラック輸送を用いた調達及び納品システムに関する。
【背景技術】
【0002】
陸路における物流としては、輸送トラックを用いた物流システムが主流であり、各種の製品を加工して出荷するような製造業においては、製品の加工に供する原料や資材(以下、本明細書においては"資材等"と称する。)を製品加工所に搬入するトラック輸送と、加工して製造された製品を納品先に向けて出荷するトラック輸送とを要している。製造業者は典型的には、資材等の調達のための輸送と、製品の納品のための輸送を個別に運送業者と契約して、それぞれの運賃を運送業者に支払うようになっている。
【0003】
近年の資材等の価格高騰や、価格競争における優位性を背景として、輸送トラックの効率の向上が求められている。そのようなトラックによる物流の効率を改善する技術として、例えば、地域が近接し建築希望日と解体希望日が一致する若しくは近接するような組み合わせで、往路と復路のトラックを抽出して、輸送コストの増大を防止するようなシステムが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、資材調達システムとして、アセンブリメーカーと部品メーカーとの間に別の管理会社に所有される預託倉庫を配し、コンピュータベースの資材調達システムがこれらの間の部品の配送を管理するシステムなども考案されており、会計上の仕掛在庫を抑制したり、部品の発注から納品までの期間を短縮することが可能とされている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、調達物流と製品物流を一元管理するような物流システムも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特許第3865579号公報
【特許文献2】特開2003−15727号公報
【特許文献3】特開2002−240951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の如き各公報に記載される技術では、十分な物流効率の向上を図ることができず、コンピュータ上で調達物流と製品物流を一元管理するに止まる技術に過ぎない。例えば、特許文献1のような地域が近接し建築希望日と解体希望日が一致する若しくは近接するような組み合わせで往路と復路のトラックを選択するシステムの場合、建築希望日と解体希望日が一致する若しくは近接するような組み合わせがない場合には、適正なトラックを選択することができず、物流効率の向上を図ることができないことになる。
【0006】
そこで、本発明は、上述の技術的な課題に鑑み、トラック輸送を用いた資材等の調達のための輸送と、製品の納品のための輸送を行う物流において十分な物流効率の向上を図るようなトラック輸送を用いた調達及び納品システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的な課題を解決するため、本発明のトラック輸送を用いた調達及び納品システムは、資材等を輸送するトラックにより前記資材を調達し、前記資材等を用いて加工した製品をトラックにより輸送して納品先に納品するトラック輸送を用いた調達及び納品システムであって、前記納品先に納品する往路トラック輸送のデータ、前記資材等を調達する復路トラック輸送のデータ、及び製品加工所近くに設けられる一時保管倉庫の在庫状況についての在庫データを入力する入力手段と、前記往路トラック輸送のデータ、前記復路トラック輸送のデータ、及び前記一時保管倉庫の在庫状況についての在庫データを夫々格納する格納手段と、前記格納手段からの前記往路トラック輸送のデータのうちの納品先の位置と前記格納手段からの前記復路トラック輸送のデータのうちの調達先の位置とを比較して往復トラック輸送の組み合わせを選択する組み合わせ選択手段とを有し、前記組み合わせ選択手段は、組み合わせられた前記往路トラック輸送と前記復路トラック輸送の日時が異なる場合であっても、前記一時保管倉庫の空き状態に応じて前記復路トラック輸送の日時をずらして往復トラック輸送の組み合わせを承認することを特徴とする。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、本発明のトラック輸送を用いた調達及び納品システムは、前記承認手段により承認された往復トラック輸送の組み合わせを表示する表示手段を具備していても良い。また、前記トラック輸送は複数のトラック輸送業者にそれぞれ割り当てられたID番号により管理され、前記組み合わせ選択手段は前記ID番号に対応して往復トラック輸送の組み合わせを選択するように構成しても良い。
【0009】
また、前記往路及び復路トラック輸送は、それぞれ積載量が100%以下の範囲で同じ往路同士若しくは同じ復路同士の組み合わせが可能であり、さらに、例えば前記組み合わせ選択手段により前記往路トラック輸送に組み合わせられる復路トラック輸送のデータがない場合に、復路トラック輸送のデータをインターネットを介して公開するように構成しても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明のトラック輸送を用いた調達及び納品システムにおいては、組み合わせ選択手段が、前記格納手段にそれぞれ格納された前記往路トラック輸送のデータのうちの納品先の位置と前記復路トラック輸送のデータのうちの調達先の位置とを比較し、往復トラック輸送の組み合わせを選択する。最終的には、往復トラック輸送の組み合わせを承認する承認手段が一時保管倉庫の在庫データをチェックして在庫可能である場合に承認することになるが、一時保管倉庫は通常スペース的余裕があるため、組み合わせの承認は一時保管倉庫を設定しない場合と比較して格段に容易となり、例えば往路と復路のトラック輸送の大きなタイムラグがある場合でも、往路及び復路トラック輸送の組み合わせが可能であり、よって十分な物流効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態のトラック輸送を用いた調達及び納品システムは、製品加工所近くに設けられる一時保管倉庫であるコンサインメント倉庫を利用してトラック輸送の復路の時間調整可能な幅を広げ、資材等の流通の全体としての高効率化を実現するシステムである。
【0012】
図1は、トラック輸送を用いた調達及び納品システムの構成図である。製品の加工を行い製品加工所として工場11と工場12があり、これら工場11、12が存在する場所の近くにコンサインメント倉庫13が設けられている。工場11、12は同じ資本の会社の所有であっても良く、異なる会社や更には異なる業種の工場同士であっても良い。各工場11、12はそれぞれ調達された資材や原料などが運び込まれ、それぞれの製品に応じた製造が行われ、製造された製品が納品先に送られる。コンサインメント倉庫13は、工場11、12のへの資材や原料の搬入のタイミングをずらす必要がある場合に、資材や原料を一時的に保管するための倉庫であり、通常、資材等の調達先の管理下におかれており、コンサインメント倉庫13からの工場11、12への搬入を資材調達時点とすれば、工場の在庫自体を減らすことも可能である。コンサインメント倉庫13は、例えば工場11、12の比較的に位置が近い場所に位置しており、コンサインメント倉庫13から工場11、12への資材の移動は、特に限定されず、トラック、フォークリフト、台車、無人搬送機、その他の種々の輸送手段を利用できる。
【0013】
図1では、工場12の製品の納品先の一例として小売業種の流通倉庫15を示している。この流通倉庫15は、例えば大型の小売業者の流通倉庫であり、工場12からの納品先の1つである。工場12で製造され流通倉庫15に納品された製品は、この流通倉庫15から各店舗に配送され、各店舗で店頭に並ぶことになる。図1には、納品先の1つとして示した流通倉庫15に加えて、資材や原料の調達元として工場14が描かれている。工場14は例えば包装材などの印刷工場である。
【0014】
本実施形態のトラック輸送を用いた調達及び納品システムについて詳しく説明する前に、従来のシステムについて簡単に説明すると、例えば工場12からの製品の出荷がある場合には、その出荷のためのトラックが所定の業者によって用意され、工場12から所定の納品先までトラックによる輸送が行われ、所定の納品先に製品を納入すれば1つの運送の仕事が完了する。同様に、調達側でも調達元の工場14から工場11、12に資材を運ぶためのトラックが用意され、そのトラックによる運送で調達元の工場14から工場11、12に資材が運ばれて1つの運送の仕事が完了する。
【0015】
従来の調達及び納品システムでは、トラックによる製品の出荷とトラックによる資材の調達は別の作業とされていたが、本実施形態では、コンピューターを利用した調達側のトラック輸送と納品側のトラック輸送のマッチング処理が行なわれることで、物流効率の向上を図ることができる。調達側のトラック輸送と納品側のトラック輸送の全てが組み合わせられることが理想ではあるが、全てではなく一部でも調達側のトラック輸送と納品側のトラック輸送を組み合わせることで、物流効率を向上させることができる。
【0016】
図1においては、調達側のトラック輸送と納品側のトラック輸送のマッチングがなされた組み合わせでは、工場12から納品先の流通倉庫15に往路のトラックが移動して工場12で製造された製品を輸送し(図中、矢印16で示す。)、流通倉庫15に納品を行った後では、マッチング処理の結果に従って破線17のように調達元の工場14に移動する。この調達元の工場14で所定の資材等の積み込みを行って、工場11若しくは工場12の近くに位置する一時保管倉庫であるコンサインメント倉庫13に資材等を運送する(図中、矢印18で示す。)。もし、資材等の在庫が直接可能であれば、例えば図中矢印19で示すように工場12に調達元の工場14からコンサインメント倉庫13を介さずに運ぶことも可能である。
【0017】
本実施形態におけるコンピューターを利用した調達側のトラック輸送と納品側のトラック輸送のマッチング処理は、図2に示すようなシステム構成例で処理される。マッチング処理を実行するコンピューター21は、インターネットなどの通信回線を介して端末22、23に接続されている。例えば工場11には、端末22が配され、工場12には端末23が配されており、後述するような納品データや調達データ等の入力が行われる。また、コンピューター21は、インターネットなどの通信回線を介して運送業者の端末24にも接続されており、情報の入出力によってトラック27、28の配車や行く先などについて情報を得ることができ、例えば運送業者の端末24からは、トラックドライバーの携帯電話機25、26に情報を送信して、無駄のない効率の良い輸送を実現することができる。
【0018】
図3は、本実施形態におけるコンピューターを利用したトラック輸送を用いた調達及び納品システムの機能に基づくブロック図である。本システムにおいては、納品側のデータを集めて記憶するための例えばハードディスクのデータ格納領域からなる納品データ記憶装置37が設けられており、この納品データ記憶装置37には、例えば工場11の端末22からなる納品データ入力手段31、及び工場12の端末23からなる納品データ入力手段32からデータの入力が行われる。納品データ入力手段31、32から入力されるデータとしては、日時データ、荷主データ、トラック車種データ、トラック積載率データ、納品先データ、商品データが挙げられ、これら納品データ入力時に運送業者データなどは所定の運送業者を指定することもでき、納品データ入力された運送業務ごとに運送業者からの応答をデータとして書き込むようにしても良い。荷主データは、自社の納品を図る場合には、自動的に入力されることが好ましく、例えば工場11がメーカーH社とされ、工場12がメーカーY社である場合には、それぞれの工場11、12にある端末22、23を操作することで、荷主データにH社とY社が自動的に若しくはデフォルトで入力されることが好ましい。トラック車種データは、トラックのサイズや種類に関するデータであり、2t、4t、10t、20tなどの汎用のサイズを入力でき、さらには冷凍用やその他のトラックの指定も可能である。
【0019】
また、本実施形態におけるコンピューターを利用したトラック輸送を用いた調達及び納品システムを稼動させるためには、納品データ入力に加えて調達データ入力も必要となる。本システムにおいては、調達側のデータを集めて記憶するための例えばハードディスクのデータ格納領域からなる調達データ記憶装置39が設けられており、この調達データ記憶装置39には、例えば工場11の端末22からなる調達データ入力手段36からデータの入力が行われる。調達データ入力手段36から入力されるデータとしては、日時データ、調達主データ、トラック車種データ、トラック積載率データ、調達元データ、資材データ、シフト可能日数、及びコンサインメント倉庫(C倉庫)13の使用が可能か否かのデータが挙げられる。
【0020】
本実施形態におけるトラック輸送を用いた調達及び納品システムでは、運送業者もシステムに対してアクセス可能とされており、運送業者は自社の端末24を用いて調達及び納品システムにログインすることが可能である。例えば、荷主が所定の業者を指定して納品データを入力したり、調達データ入力後に後述するマッチング処理によって復路トラック輸送の候補として挙げられたときには、運送業者側では、その往路トラック輸送や復路トラック輸送をそれぞれ確認して、実際にその往路トラック輸送や復路トラック輸送が実行できることを確認することが必要となる。この場合に、運送業者が手持ちのトラック配送表と比較してシステムから要求されている往路トラック輸送や復路トラック輸送が可能であれば、確認済みの情報をコンピューター21に返信し、トラック輸送が無理であれば、実行できない旨の情報をコンピューター21に返す。運送業者は自社の端末24などからなるトラック情報入力手段33、34、35からトラック情報記憶装置38にデータを送信する。トラック情報入力手段33、34、35は例えばトラック運送業者のZ運輸、E運送、Kロジスティックなどの各運送業者にそれぞれ配される端末24であり、自社のトラックの空き情報などをアップデートして、トラック情報記憶装置38にトラック輸送の空きの日時やトラックのサイズなどを記憶させ、必要な場合にはトラック輸送の空きの日時やトラックのサイズなどを読み出せるように構成される。
【0021】
本実施形態のトラック輸送を用いた調達及び納品システムでは、テーブル表示処理部40にこれらの納品データ記憶装置37、トラック情報記憶装置38、及び調達データ記憶装置39からのデータが読み出されてモニター42にその処理結果が表示される。さらに本実施形態のトラック輸送を用いた調達及び納品システムでは、マッチング処理部41によって後述するようなマッチング処理が行なわれて、このマッチング処理によって往路トラック輸送や復路トラック輸送の組み合わせがなされたときでは、十分な物流効率の向上を図ることができる。マッチング処理部41によるマッチング処理の結果は、処理結果通信手段43によって工場11、12や運送業者に送信される。処理結果通信手段43の具体的な一例としては、メール送信機能を有したサーバーであり、所要のURLを備えた電子メールを該当者に送信し、確認作業やその他の処理を進めるようにすることができる。なお、納品データ入力手段や調達データ入力手段、さらにはトラック情報入力手段などは、参加する企業や業者に数に応じて増やすことが可能である。また、モニター42も1つののみ図示しているが、マッチング処理部41によるマッチング処理の結果やテーブル表示処理部40の処理結果などは複数のモニターで表示可能であり、ネットワークを介して接続する種々の画像表示装置に処理結果等を表示させることができる。
【0022】
本実施形態のトラック輸送を用いた調達及び納品システムは、上述の如き構成を有しており、例えば図4に示すようなフローに従ってマッチング処理を進めるように構成されている。先ず、手順S1では、納品データが入力される。工場12では、製品の納品予定があるものとすると、そのスケジュールを端末23を介して入力する。納品データは日時データ、荷主データ、トラック車種データ、トラック積載率データ、納品先データ、商品データなどであり、図5の納品データであれば、例えばID100013のデータについては、日時データとして"2010年9月10日"が入力され、荷主データとして"Y社"が入力され、トラック車種データとして"10t"が入力され、トラック積載率データとして半分を意味する"50%"が入力され、商品データとして"D"が入力され、納品先データとして"X流通センター"が入力されている。これらのデータはシステム上、納品データ記憶装置37に格納される。この段階で、運送業者が決定していれば、図5に示すように、例えば"E運送"とデータ入力する。もし、この段階で決定していなければ、インターネットなどの通信回線を介して運送業者の端末24等に問い合わせのメールを送信したり、入札を受け付けて、運送業者を決定する。日時データについては、例示の如く日にちだけのデータとすることも可能であり、さらに詳細な予定時間などをデータとして加えることもできる。
【0023】
トラック車種データやトラック積載率データは、納品する製品の量に応じて変動するものであり、概ねパッケージの数などにより計算することが可能である。トラック積載率データは0〜100%の範囲で設定されるが、往路のトラック輸送自体を組み合わせとしない場合には、100%に近い数字が効率が良いことになる。トラック車種データは、2t、4t、10t、20tなどの汎用のサイズを入力するが、運送業者が全てのトラックを保有しているとは限らず、保有していても配車できない場合もあるので、車種や運送業者などは、一旦入力しても書き換え可能とすることが好ましく、この書き換え可能とすることでマッチングによる組み合わせを優先とするスケジュールを作成することも可能である。
【0024】
次に、手順S2では、調達側のデータ入力が行われる。工場12では、調達データについても端末23などによって入力が可能であり、調達データは日時データ、シフト可能な日数(シフト)データ、トラック車種データ、トラック積載率データ、調達元データ、コンサインメント倉庫(C倉庫)データ、資材データなどであり、図5の調達データであれば、例えばID400035のデータについては、日時データとして"2010年9月10日"が入力され、シフト可能な日数(シフト)データとして"2"が入力され、トラック車種データとして"10t"が入力され、トラック積載率データとして4割を意味する"40%"が入力され、aという資材を意味する資材データとして"a"が入力され、調達先データとして"L社"が入力されている。他のIDのデータについても同様のデータが入力され、これらのデータは調達データ記憶装置39に保持される。日時データについては、例示の如く日にちだけのデータとすることも可能であり、さらに詳細な予定時間などをデータとして加えることもできる。
【0025】
次に、マッチングを開始するか否かの判断がなされ、マッチングを開始しない場合には、システムの処理を終了するが、マッチングを開始する場合には、手順S4でまず納品先と調達元の位置が近いか否かが判断される。この部分は、マッチング処理部41による処理プロセスとなる。ID番号を1つずつ増加させて、納品先を検討し、その納品先に距離的に近い調達先になっているかどうかをシステムが検索する。納品先と距離的に近い調達先として、経験則による組み合わせを予め入力しておくこともでき、例えば図6に示すようなGPSを利用した組み合わせの探索を行うことも可能である。例えば、納品先が決定されれば、経験則による組み合わせに基づく調達先を選択するためのテーブルをポップアップさせ、組み合わせられる調達先を示すようにしても良く、前回の、マッチングによる組み合わせをデフォルトで表示することも可能である。図6に示す例では、各納品先のグローバルポイントデータと、調達先のグローバルポイントデータとが、示されており、例えば、納品先として"X流通センター"を選択した場合には、この"X流通センター"のグローバルポイントデータに近いグローバルポイントデータを有する調達先がハイライトで表示され、図6のテーブルにおいては、K社とL社が近い調達先としてハイライト化されている。実際には、2点のグローバルポイントデータの緯度の差の自乗と経度の差の自乗を加算して平方根をとったものが、2点間の距離に該当し、その距離を例えば10〜50km以内というような設定とすれば良い。
【0026】
このように近い2点の納品先と調達元の組み合わせを選択したあとで、本実施形態におけるトラック輸送を用いた調達及び納品システムでは、手順S5において、日時を合わせることができるか否かが判断される。すなわち、近いと判断された納品先と調達元の日時について、同じ日にちになっているかどうかが判断され、時間データもある場合には、その時間の間隔や順序についても整合性が得られるかどうかの判断をする。また、日時については、同じ日に調達と納品の両方を行うことが望ましいが、本実施形態のシステムにおいては、コンサインメント倉庫を用いることで、実際の工場への搬入に拘らず調達の日時をずらすことができる。その結果、シフト可能な日数(シフト)データなどの入力も可能となり、例えば、シフトデータが"3"であれば、コンサインメント倉庫に調達資材を一時的に保管して3日ほど復路トラック輸送の日時を時間的に前にずらすことも可能となる。例えば、コンサインメント倉庫を用いることで、本当に調達が必要となる当日よりも前に、コンサインメント倉庫に対して調達資材を予め運んでおくことが可能となり、その日付分だけ調達のための復路トラック輸送の日時をシフトさせることができる。
【0027】
例えば、図5の例で説明すると、IDが100012のE運送によるX流通センターへの納品は2010年9月10日の予定であり、この往路トラック輸送に対して、調達側のデータとしてIDが400034のK社の調達データが、距離も近く、日時も整合性があるデータとしてハイライトとなって対応していることが分かる。
【0028】
更に、本実施形態のトラック輸送を用いた調達及び納品システムでは、トラック積載率についてのデータが保持されているため、同じトラックでどの程度の空きがあるか見積もることができ、例えば、同じ10t車で50%と50%程度の積載率同士であれば、2台のトラックではなく、1台のトラックで済むことが計算できる。図5においては、納品のデータで、ID100012の2010年9月10日のH社を荷主とするX流通センターへの納品は、その下のID100013の2010年9月10日のY社を荷主とするX流通センターへの納品と同じ日、同じ納品先、同じ10t車であることが分かり、その積載率が50%と50%であることから、合計しても100%を超えることにならず、従って、納品の往路同士でもマッチングにより組み合わせが可能である。同様に、調達のデータでは、IDが100012のE運送によるX流通センターへの納品は2010年9月10日の往路トラック輸送によって行われる予定であり、この往路トラック輸送に対して、調達側のデータとしてIDが400034のK社の調達データがマッチングする復路トラック輸送として挙げられているが、そのトラック積載率は60%であり、その下のID400035のL社の調達データもそのトラック積載率は40%に過ぎず、同じ日、近い調達元、同じ10t車であることが分かり、従って、調達資材の復路同士でもマッチングにより組み合わせが可能である。すなわち、組み合わせの対象となる2以上の積載量の合計が100%を超えない範囲では、手順S6の積み込みが可能と判断され、組み合わせの対象となる2以上の積載量の合計が100%を超える場合では、手順S6で積み込みができないものと判断される。
【0029】
このような往路トラック輸送と復路トラック輸送のマッチングが行われ、組み合わせられたトラック輸送の組がある場合には、実際の作業の日時よりも先に、運送業者への通知が行われ、さらにはトラックドライバーへの通知も例えばトラックドライバーの携帯電話25、26のメール送受信機能を利用して行われる。この部分の処理は、マッチング処理部41からのマッチング結果を処理結果通信手段43が受信し、処理結果通信手段43が端末24にデータ等を送ることで進められる。
【0030】
もし、マッチング処理部41のマッチング作業により前記往路トラック輸送に組み合わせられる復路トラック輸送のデータがない場合に、復路トラック輸送のデータをインターネットを介して公開することも可能であり、この場合には、既に本システムへのエントリーが済んでいる運送業者以外の運送業者にも、効率の高い運送作業に加わる機会を与えることができる。
【0031】
また、図5の例において、ID100010の2010年9月9日のY社を荷主とするD流通センターへの納品は、4t車で、積載量90%が予定されている納品である。この納品データに対して、調達側ではID400041の2010年9月16日を予定した調達が、調達元が"Q資材"とされており、同じ4t車で、納品先のD流通センターに距離が近いことが分かる。さらにID400041では、C倉庫データがOKとされて、コンサインメント倉庫が使用可能であることが分かり、さらにそのシフト日数として"25"が与えられていることから、2010年9月16日よりも25日前に調達が可能であることを示しており、2010月8月23日から2010年9月16日の間での復路トラック輸送が可能となることが示される。従って、ID100010の2010年9月9日は、復路トラック輸送が可能な日時であることから、マッチング処理による組み合わせが可能となる。
【0032】
このようにC倉庫データがOKとされて、コンサインメント倉庫が使用可能であるため、比較的に大きなシフト日数が得られることになり、実際に調達する日よりも早い段階で復路トラック輸送を行わせることができる。ここで、このシフト日数については、資材や原料の性質によって長期保存ができないものあり得るので、そのための日数の制限もあるが、概ね長期保存が可能な梱包材などでは、コンサインメント倉庫の容量に応じて一時的な保存が可能であり、そのコンサインメント倉庫の利用を図ることで、トラック輸送の効率を高めることが可能である。
【0033】
なお、コンサインメント倉庫13は、各社、各工場にそれぞれ設けることもでき、地域で共同の倉庫を設けて相互に使用することもできる。また、距離の遠近について、本実施形態では、GPSデータを使用する例を説明したが、カーナビゲーションなどによる時間で距離の遠近を決めるようにすることもでき、ドライバーの経験値をデータ化して入力しておくことも可能である。
【0034】
また、本発明のトラック輸送を用いた調達及び納品システムにおいては、資材や原料等を調達するトラック輸送を復路トラック輸送として説明し、製造された製品の納品をするトラック輸送を往路トラック輸送として説明したが、本発明では、往路と復路の概念を入れ替えてシステムを作動させることもでき、例えば、資材や原料等を調達するトラック輸送を往路トラック輸送とし、製造された製品の納品をするトラック輸送を往路トラック輸送とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態にかかるトラック輸送を用いた調達及び納品システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるトラック輸送を用いた調達及び納品システムのネットワークを示すネットワーク図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるトラック輸送を用いた調達及び納品システムのコンピュータシステム構成図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるトラック輸送を用いた調達及び納品システムの作業手順を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態にかかるトラック輸送を用いた調達及び納品システムの納品と調達のデータ例を示すテーブルである。
【図6】本発明の実施形態にかかるトラック輸送を用いた調達及び納品システムの各納品先や調達元のGPSデータを示す表である。
【符号の説明】
【0036】
11、12 工場
13 コンサインメント倉庫
14 工場
15 流通倉庫
16〜19 矢印
21 コンピュータ
22、23、24 端末
25、26 携帯電話機
27、28 トラック
31、32 納品データ入力手段
33〜35 トラック情報入力手段
36 調達データ入力手段
37 納品データ記憶装置
38 トラック情報記憶装置
39 調達データ記憶装置
40 テーブル表示処理部
41 マッチング処理部
42 モニター
43 処理結果通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資材等を輸送するトラックにより前記資材を調達し、前記資材等を用いて加工した製品をトラックにより輸送して納品先に納品するトラック輸送を用いた調達及び納品システムであって、
前記納品先に納品する往路トラック輸送のデータ、前記資材等を調達する復路トラック輸送のデータ、及び製品加工所近くに設けられる一時保管倉庫の在庫状況についての在庫データを入力する入力手段と、
前記往路トラック輸送のデータ、前記復路トラック輸送のデータ、及び前記一時保管倉庫の在庫状況についての在庫データを夫々格納する格納手段と、
前記格納手段からの前記往路トラック輸送のデータのうちの納品先の位置と、前記格納手段からの前記復路トラック輸送のデータのうちの調達先の位置とを比較して、往復トラック輸送の組み合わせを選択する組み合わせ選択手段とを有し、
前記組み合わせ選択手段は、組み合わせられた前記往路トラック輸送と前記復路トラック輸送の日時が異なる場合であっても、前記一時保管倉庫の空き状態に応じて前記復路トラック輸送の日時をずらして往復トラック輸送の組み合わせを承認することを特徴とするトラック輸送を用いた調達及び納品システム。
【請求項2】
前記承認手段により承認された往復トラック輸送の組み合わせを表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1記載のトラック輸送を用いた調達及び納品システム。
【請求項3】
前記トラック輸送は複数のトラック輸送業者にそれぞれ割り当てられたID番号により管理され、前記組み合わせ選択手段は前記ID番号に対応して往復トラック輸送の組み合わせを選択することを特徴とする請求項1記載のトラック輸送を用いた調達及び納品システム。
【請求項4】
前記往路及び復路トラック輸送は、それぞれ積載量が100%以下の範囲で同じ往路同士若しくは同じ復路同士の組み合わせが可能であることを特徴とする請求項1記載のトラック輸送を用いた調達及び納品システム。
【請求項5】
前記組み合わせ選択手段により前記往路トラック輸送に組み合わせられる復路トラック輸送のデータがない場合に、復路トラック輸送のデータをインターネットを介して公開することを特徴とする請求項1記載のトラック輸送を用いた調達及び納品システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−44720(P2010−44720A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210129(P2008−210129)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000006770)ヤマサ醤油株式会社 (56)