説明

トリアゾロピリミジン誘導体又はその塩、それらの製造方法及びそれらを含有する有害生物防除剤

【課題】 新規な有害生物防除剤を提供する。
【解決手段】 本発明は、式(I):
【化1】


〔式中、R1は置換可アルキル、置換可シクロアルキル、置換可アルケニル、置換可アルキニル、ハロゲン原子、シアノ、アリールなどであり;Hetは置換された複素環基であり;但し、(1)Rがメチルであり、Hetが5-ヒドロキシ‐3-メチル‐1‐フェニル‐ピラゾール‐4‐イルである場合、(2)Rがフェニルであり、Hetが1‐エチル‐ピラゾール‐4‐イルである場合、(3)Rがメチルであり、Hetがアルキル置換されたチオフェン‐2‐イルである場合又は(4)Rがトリフルオロメチルであり、Hetがアルキル置換されたチオフェン‐2‐イルである場合を除く〕で表されるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、特定の7−ヘテロアリール[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジンが医薬として使用できることが記載されている。しかしながら、本発明化合物は、同文献中に具体的に記載されていない。特許文献2には、ピリジル-トリアゾロピリミジン誘導体を有効成分とする有害生物防除剤が記載されている。しかしながら、同文献記載の化合物は、後記式(I)中のHet部分がピリジルであり、本発明化合物とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,444,774号
【特許文献2】国際公開公報 WO 2008/099902
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長年にわたり、多数の有害生物防除剤が使用されているが、効力が不十分、有害生物が抵抗性を獲得しその使用が制限される等、種々の課題を有するものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない新規な有害生物防除剤、例えば、農園芸分野で問題となる各種有害生物や、動物に寄生する有害生物を防除できる有害生物防除剤の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、より優れた有害生物防除剤を見出すべく、トリアゾロピリミジン誘導体につき種々検討した。その結果、新規なトリアゾロピリミジン誘導体が、低薬量で有害生物に対して極めて高い防除効果を有し、且つ、作物、有害生物の天敵或は哺乳動物に対する安全性を併せ持つことを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
〔式中、R1はAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン原子、シアノ、アリール、1,3-ジオキソラニル、COR2、S(O)n3、NR34又はCONR34であり;Hetは
【0009】
【化2】

であり;Aはハロゲン原子、OR2、アルキル又はシクロアルキルであり;R2は水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はNRであり;Rは水素原子又はアルキルであり;Rは水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル又はハロアルコキシカルボニルであり;Xはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン原子、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、NR34、S(O)n3、OR2又はCORであり;Yは酸素原子、硫黄原子又はNR5であり;R5はアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル又はアリールであり;nは0〜2の整数であり;w1は1〜3の整数であり、w2は1〜2の整数であり、w1又はw2が2以上である場合、Xは同一若しくは異なってもよく;但し、(1)Rがメチルであり、Hetが5-ヒドロキシ‐3-メチル‐1‐フェニル‐ピラゾール‐4‐イルである場合、(2)Rがフェニルであり、Hetが1‐エチル‐ピラゾール‐4‐イルである場合、(3)Rがメチルであり、Hetがアルキル置換されたチオフェン‐2‐イルである場合又は(4)Rがトリフルオロメチルであり、Hetがアルキル置換されたチオフェン‐2‐イルである場合を除く〕で表されるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分とする有害生物防除剤に関する。
【発明の効果】
【0010】
前記式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分とする有害生物防除剤は、低薬量で有害生物に対して極めて高い防除効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
式(I)中、X又はAの置換数は各々1又は2以上であってよく、2以上の場合、同一でも相異なってもよい。また、X又はAの置換位置は各々いずれの位置でもよい。
【0012】
式(I)中のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の各原子が挙げられる。置換基としてのハロゲン原子の数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、各ハロゲン原子は同一でも相異なってもよい。また、ハロゲン原子の置換位置はいずれの位置でもよい。
式(I)中のアルキルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルのようなC1−6のものなどが挙げられる。
式(I)中のシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルのようなC3−6のものなどが挙げられる。
【0013】
式(I)中のアルケニルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ヘキセニルのようなC2−6のものなどが挙げられる。
式(I)中のアルキニルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、エチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、2−ペンテン−4−イニル、3−ヘキシニルのようなC2−6のものなどが挙げられる。
式(I)中のアリールとしては、例えばフェニル、ナフチル等のC6-10アリールが挙げられる。
【0014】
前記式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体の塩としては、当該技術分野で許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩などが挙げられる。
【0015】
前記式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体には、光学異性体、幾何異性体のような異性体が存在する場合があるが、本発明には各異性体及び異性体混合物の双方が含まれる。本願明細書においては、特に言及しない限り、異性体は混合物として記載する。尚、本発明には、当該技術分野における技術常識の範囲内において、前記したもの以外の各種異性体も含まれる。また、異性体の種類によっては、前記式(I)とは異なる化学構造となる場合があるが、当業者であればそれらが異性体の関係にあることが十分認識できる為、本発明の範囲内であることは明らかである。
【0016】
前記式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体又その塩は、下記の製法〔1〕〜〔8〕並びに、通常の塩の製造方法に従って製造することができ、また、後記合成例に従って製造することができる。以下に各製法について、反応フローを示し詳述する。
製法〔1〕
【0017】
【化3】

【0018】
製法〔1〕中、R1aはA1で置換されてもよいアルキル、A1で置換されてもよいシクロアルキル、A1で置換されてもよいアルケニル、A1で置換されてもよいアルキニル又はアリールであり;R及びRは各々独立にアルキルであり;A1はOR2a、アルキル又はシクロアルキルであり;R2aは水素原子、アルキル又はハロアルキルであり;Hetは前述の通りである。
【0019】
製法〔1〕は、式(II)の化合物から式(I−1)のトリアゾロピリミジン誘導体を製造する方法であり、上記第1工程及び第2工程から成る。
【0020】
製法〔1〕の第1工程では、式(II)の化合物と式(III)の化合物とを縮合させることにより、式(IV)のα、β−不飽和ケトン誘導体を製造できる。
式(III)の化合物は、式(II)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じて溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオノニトリルのようなニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;スルホランのようなスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドのようなリン酸アミド類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は、通常80〜200℃、望ましくは100〜150℃である。反応時間は、通常3〜48時間である。製法〔1〕の第1工程終了後、式(IV)の化合物を単離することなく、引き続き、製法〔1〕の第2工程を行うことができる。
【0021】
製法〔1〕の第2工程では、式(IV)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させることにより、式(I−1)の化合物を製造できる。
式(V)の化合物は、式(IV)の化合物1モルに対して1〜10当量、望ましくは1〜2.5当量の割合で使用できる。本反応は、通常溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば酢酸、プロピオン酸のようなカルボン酸類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオノニトリルのようなニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;スルホランなどのスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドのようなリン酸アミド類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができるが、中でもカルボン酸類が望ましい。反応温度は、通常50〜150℃、望ましくは80〜120℃である。反応時間は、通常30分〜100時間である。
製法〔2〕
【0022】
【化4】

【0023】
製法〔2〕中、R3aはアルキルであり;Zはハロゲン原子であり;Hetは前述の通りである。Zのハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素の各原子が挙げられる。
【0024】
製法〔2〕は、式(II)の化合物から式(I−2)のトリアゾロピリミジン誘導体を製造する方法であり、上記第1工程及び第2工程から成る。
【0025】
製法〔2〕の第1工程では、式(II)の化合物と二硫化炭素及び式(VI)の化合物とを反応させることにより、式(VII)のα、β−不飽和ケトン誘導体を製造できる。
二硫化炭素及び式(VI)の化合物は、各々式(II)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。本反応は、通常塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第3級ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;などを挙げることができる。塩基は、式(II)の化合物1モルに対して1〜10当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔1〕の第1工程と同様のものを挙げることができる。反応温度は、通常0〜100℃、望ましくは10〜50℃である。反応時間は、通常6〜48時間である。
【0026】
製法〔2〕の第2工程では、式(VII)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させることにより、式(I−2)の化合物を製造できる。
式(V)の化合物は、式(VII)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。本反応は、通常塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第3級ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩;トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基;などを挙げることができる。塩基は、式(VII)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば、前記製法〔1〕の第1工程と同様のものを挙げることができるが、中でも酸アミド類が望ましい。反応温度は、通常100〜200℃である。反応時間は、通常5分〜10時間である。
製法〔3〕
【0027】
【化5】

【0028】
製法〔3〕中、(I−2)、Het及びR3aは前述の通りであり;naは1又は2の整数である。
【0029】
製法〔3〕では、式(I−2)の化合物と酸化剤とを反応させることにより、式(I−3)のトリアゾロピリミジン誘導体を製造できる。
【0030】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酢酸、m−クロロ過安息香酸などを挙げることができる。本反応は、通常溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類;及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。酸化剤は、式(I−2)の化合物1モルに対して1〜3当量の割合で使用できる。反応温度は、通常15℃〜還流温度である。反応時間は、通常1〜24時間である。
製法〔4〕
【0031】
【化6】

【0032】
製法〔4〕中、R1bはA1で置換されてもよいアルキル、A1で置換されてもよいシクロアルキル、A1で置換されてもよいアルケニル、A1で置換されてもよいアルキニル、ハロゲン原子、シアノ、アリール又はNR34であり;(I−3)、Het、A1、R3及びR4は前述の通りである。
【0033】
製法〔4〕では、式(I−3)の化合物と求核試薬とを反応させることにより、式(I−4)のトリアゾロピリミジン誘導体を製造することができる。
【0034】
求核試薬としては、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、ピペリジンのような1級又は2級アミン類;メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド、ビニルマグネシウムブロマイド、1−ブテニルジンクブロマイド、1−プロピニルジンククロライド、フェニルマグネシウムブロマイドのような有機金属試薬;フッ化カリウム、フッ化セシウム、テトラブチルアンモニウムフルオライド、塩化リチウム、臭化ナトリウムのようなハロゲン化剤;シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅などの金属シアン化物;などを挙げることができる。
求核試薬は、式(I−3)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。本反応は、通常溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリル、プロピオノニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。反応温度は、通常−100〜50℃、望ましくは−70〜30℃である。反応時間は、通常1分〜48時間である。
製法〔5〕
【0035】
【化7】

【0036】
製法〔5〕中、R1cはA1で置換されてもよいアルキル、A1で置換されてもよいシクロアルキル、A1で置換されてもよいアルケニル、A1で置換されてもよいアルキニル又はアリールであり;Rはアルキルであり;Het及びA1は前述の通りである。
【0037】
製法〔5〕は、式(II)の化合物から式(I−5)のトリアゾロピリミジン誘導体を製造する方法であり、上記第1工程及び第2工程から成る。
【0038】
製法〔5〕の第1工程では、式(II)の化合物と式(VIII)の化合物とを反応させることにより、式(IX)の化合物を製造できる。
式(VIII)の化合物は、式(II)の化合物1モルに対して1当量〜大過剰量、望ましくは1〜10当量の割合で使用できる。本反応は、通常塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば前記製法〔2〕の第1工程と同様のものなどを挙げることができる。塩基は、式(II)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランのようなスルホン類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができるが、中でもエーテル類が望ましい。反応温度は、通常0〜100℃、望ましくは10〜80℃である。反応時間は、通常5分〜24時間である。製法〔5〕の第1工程の終了後、式(IX)の化合物を単離することなく、引き続き、製法〔5〕の第2工程を行うことができる。
【0039】
製法〔5〕の第2工程では、式(IX)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させることにより、式(I−5)の化合物を製造できる。
式(V)の化合物は、前記式(IX)の化合物1モルに対して1〜10当量、望ましくは1〜5当量の割合で使用できる。本反応は、通常溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔1〕の第2工程と同様のものを挙げることができるが、中でもカルボン酸類が望ましい。反応温度は、通常50〜200℃、望ましくは80〜150℃である。反応時間は、通常30分〜100時間である。
製法〔6〕
【0040】
【化8】

【0041】
製法〔6〕中、Rはアルキルであり;Het及びR1cは前述の通りである。
【0042】
製法〔6〕は、式(X)の化合物から式(I−5)のトリアゾロピリミジン誘導体を製造する方法であり、上記第1工程及び第2工程から成る。
【0043】
製法〔6〕の第1工程では、式(X)の化合物と式(XI)の化合物とを反応させることにより、式(IX)の化合物を製造できる。
式(XI)の化合物は、式(X)の化合物1モルに対して1当量〜大過剰量、望ましくは1〜10当量の割合で使用できる。本反応は、通常塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば前記製法〔2〕の第1工程と同様のものなどを挙げることができる。塩基は、式(X)の化合物1モルに対して、通常1〜5当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔5〕の第1工程と同様のものを挙げることができるが、中でもエーテル類が望ましい。反応温度は、通常0〜100℃、望ましくは10〜80℃である。反応時間は、通常5分〜24時間である。
製法〔6〕の第2工程では、式(IX)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させることにより、式(I−5)の化合物を製造できる。本反応は、前記製法〔5〕の第2工程と同様にして行うことができる。
製法〔7〕
【0044】
【化9】

【0045】
製法〔7〕中、R10及びR11は各々独立に水素、アルキル又はシクロアルキルであり;Qはハロゲン原子であり;Hetは前述の通りである。
【0046】
製法〔7〕では、式(I−6)の化合物とハロゲン化剤とを反応させることにより、式(I−7)のトリアゾロピリミジン誘導体を製造することができる。
【0047】
ハロゲン化剤としては、例えばN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミドなどを挙げることができる。ハロゲン化剤は、式(I−6)の化合物1molに対して1〜5当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用できる。本反応は、通常ラジカル開始剤の存在下で行うことができる。ラジカル開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)などを挙げることができる。本反応は、必要に応じて光照射下で行うことができる。
【0048】
本反応は、通常溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。反応温度は、通常0〜100℃、望ましくは10〜80℃である。反応時間は、通常5分〜24時間である。
製法〔8〕
【0049】
【化10】

製法〔8〕中、R1dはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル又はアリールであり;Q1はハロゲン原子であり;R13はOH、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ又はフッ素原子であり;pはR13がOH、アルキル、シクロアルキル又はアルコキシである場合2であり、R13がフッ素原子である場合3であり;R13のアルキル又はアルコキシは、隣接するホウ素原子と相互に結合して環を形成してもよく;Het及びAは前述の通りである。
【0050】
製法〔8〕では、式(XIV)の化合物と式(XV)のホウ素化合物とを遷移金属触媒の存在下で鈴木カップリング反応させることにより、式(I−8)のトリアゾロピリミジン誘導体を製造することができる。
【0051】
鈴木カップリング反応は、多くの刊行物中で研究発表されており、公知の方法(例えば、Synth. Commun.、1981、11 (7)、 513-519又はSynlett.、1992、207-210などに記載されている方法)に準じて、本反応工程は実施することができる。
【0052】
式(XV)中、B(R13)で表される置換ホウ素部分において、R13がフッ素原子であり、pが3である -BF3基は負電荷を帯びるため、通常、カリウム等のアルカリ金属とトリフルオロボレート塩を形成する。式(XV)中のB(R13)で表される置換ホウ素としては、例えばヒドロキシホウ素、アルキルホウ素、アルコキシホウ素、トリフルオロボレートなどを挙げることができる。式(XV)のホウ素化合物は、式(XIV)の化合物1モルに対して0.5〜1当量、望ましくは0.5〜0.8当量の割合で使用できる。
【0053】
本反応で使用する遷移金属触媒とは、遷移金属化合物または遷移金属化合物と任意の配位子との錯体を意味する。例えばパラジウム-炭素(Pd/C)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、テトラキス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)−トリフェニルホスフィン、酢酸パラジウム(II)−トリシクロヘキシルホスフィンなどを挙げることができる。錯体の場合、(1)予め単離したものを使用しても良いし、(2)任意の反応溶媒中で遷移金属化合物と配位子を混合したものを単離せずに使用しても良い。遷移金属触媒は、式(XIV)の化合物1モルに対して0.001〜0.2当量、望ましくは0.01〜0.1当量の割合で使用できる。
【0054】
本反応は、通常塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムのようなアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウムのようなアルカリ金属の炭酸水素塩;炭酸カルシウムのようなアルカリ土類金属の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウムのようなアルカリ土類金属水酸化物;フッ化セシウム、フッ化カリウムのようなアルカリ金属フッ化物;トリエチルアミン、ピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジンのような有機塩基類;などを挙げることができる。塩基類は、式(XIV)の化合物1モルに対して、通常1〜20当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。
【0055】
本反応は、通常溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;アセトニトリル、プロピオノニトリルのようなニトリル類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は、通常15℃〜反応混合物の還流温度、望ましくは40℃〜反応混合物の還流温度である。反応時間は、反応温度、反応量、反応圧力等により一定しないが、通常1〜96時間である。
式(XV)のホウ素化合物は市場で入手するか又は常法により合成することもできる。例えば、対応するハロゲン誘導体、望ましくは臭素誘導体からtert-ブチルリチウムのような塩基の存在下で、ホウ酸トリメチルを作用させることにより合成できる。
【0056】
前記した各製法の中では、製法〔1〕又は製法〔6〕が、特に望ましい態様である。
【0057】
製法〔8〕における式(XIV)の化合物は、例えば下記の製法〔A〕によって製造することができる。
製法〔A〕
【0058】
【化11】

【0059】
製法〔A〕中、R12はアルキルであり;R1d及びQ1は前述の通りである。Q1のハロゲン原子としては塩素、臭素又はヨウ素の各原子が挙げられる。
【0060】
製法〔A〕は、式(XII)の化合物から式(XIV)の化合物を製造する方法であり、上記第1工程及び第2工程から成る。
【0061】
製法〔A〕の第1工程では、式(XII)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させることにより、式(XIII)の化合物を製造できる。
式(V)の化合物は、式(XII)の化合物1モルに対して、通常1〜10当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用することができる。本反応は、通常溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば酢酸、プロピオン酸のようなカルボン酸類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオノニトリルのようなニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;スルホランのようなスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドのようなリン酸アミド類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができるが、中でもカルボン酸類が望ましい。反応温度は、通常50〜150℃、望ましくは80〜120℃である。反応時間は、通常30分〜100時間である。
【0062】
製法〔A〕の第2工程は、式(XIII)の化合物をハロゲン化する工程であり、
(a)式(XIII)の化合物と塩素化剤又は臭素化剤とを反応させ、式(XIV)の化合物(式中、Q1は塩素又は臭素原子である)を製造する工程;
(b)必要であれば、(a)で形成した式(XIV)の化合物(式中、Q1は塩素又は臭素原子である)とアンモニアとを反応させ、次いでジアゾ化剤の存在下でヨウ素化剤と反応させて、式(XIV)の化合物(式中、Q1はヨウ素原子である)を製造する工程;
から成る。以下に(a)及び(b)の各工程について詳述する。
【0063】
(a) 塩素化剤としては、例えばオキシ塩化リン、三塩化リンおよび五塩化リンなどを挙げることができる。臭素化剤としては、例えばオキシ臭化リン、三臭化リンおよび五臭化リンなどを挙げることができる。塩素又は臭素化剤は、式(XIII)の化合物1モルに対して、通常2当量〜30当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じて溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。反応温度は、通常0℃〜反応混合物の還流温度、望ましくは20℃〜反応混合物の還流温度である。反応時間は、通常1〜48時間である。
【0064】
(b) 本工程は、(a)で形成した式(XIV)の化合物(式中、Q1は塩素又は臭素原子である)とアンモニアとを反応させる前半の反応と、次いでジアゾ化剤の存在下でヨウ素化剤とを反応させる後半の反応とから成る。
(b)の前半の反応は、通常塩基の存在下で行うことができるが、中でも過剰のアンモニアを用い、塩基と兼ねることが望ましい。(b)の前半の反応は、通常溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は、20℃〜反応混合物の還流温度、望ましくは40℃〜反応混合物の還流温度である。反応時間は、通常2〜48時間である。
【0065】
(b)の後半の反応において、ジアゾ化剤としては、例えば亜硝酸の任意のアルキルエステルを挙げることができるが、中でも亜硝酸イソペンチルが望ましい。ジアゾ化剤は、式(XIV)の化合物(式中、Q1は塩素又は臭素原子である)1モルに対して、通常1当量〜5当量の割合で使用できる。ヨウ素化剤としては、例えばヨウ素、ジヨードメタンなどを挙げることができる。ヨウ素化剤は式(XIV)の化合物(式中、Q1は塩素又は臭素原子である)1モルに対して1当量〜5当量の割合で使用できる。
(b)の後半の反応は、通常溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオノニトリルのようなニトリル類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。ジアゾ化剤として亜硝酸のアルキルエステルを用いる場合、ヨウ素化剤であるジヨードメタンを共溶媒として使用することができる。反応温度は、通常60℃〜120℃、望ましくは70℃〜110℃である。反応時間は、通常1〜48時間である。
【0066】
本発明化合物を含有する有害生物防除剤の望ましい態様について以下に記述する。本発明化合物を含有する有害生物防除剤は、例えば農園芸分野で問題となる各種有害生物の防除剤、即ち農園芸用有害生物防除剤や、動物に寄生する有害生物の防除剤、即ち動物寄生生物防除剤として特に有用である。
【0067】
農園芸用有害生物防除剤としては、例えば、殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺土壌害虫剤として有用であるが、具体的には、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダニ、ネダニなどのような植物寄生性ダニ類;モモアカアブラムシ、ワタアブラムシなどのようなアブラムシ類;コナガ、ヨトウムシ、ハスモンヨトウ、コドリンガ、ボールワーム、タバコバッドワーム、マイマイガ、コブノメイガ、チャノコカクモンハマキ、コロラドハムシ、ウリハムシ、ボールウィービル、ウンカ類、ヨコバイ類、カイガラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、バッタ類、ハナバエ類、コガネムシ類、タマナヤガ、カブラヤガ、アリ類などのような農業害虫類;ネコブセンチュウ類、シストセンチュウ類、ネグサレセンチュウ類、イネシンガレセンチュウ、イチゴメセンチュウ、マツノザイセンチュウなどのような植物寄生性線虫類;ナメクジ、マイマイなどのような腹足類;ダンゴムシ、ワラジムシのような等脚類などのような土壌害虫類;イエダニ、ゴキブリ類、イエバエ、アカイエカなどのような衛生害虫類;バクガ、アズキゾウムシ、コクヌストモドキ、ゴミムシダマシ類などのような貯穀害虫類;イガ、ヒメカツオブシムシ、シロアリ類などのような衣類、家屋害虫類;ケナガコナダニ、コナヒョウダニ、ミナミツメダニなどのような屋内塵性ダニ類;などの防除に有効である。本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤は、植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類などの防除に特に有効である。その中でも、植物寄生性ダニ類、農業害虫類の防除にさらに優れた効果を示すため、殺虫又は殺ダニ剤として有用である。また、本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤は、有機リン剤、カーバメート剤、合成ピレスロイド剤、ネオニコチノイド剤などの薬剤に対する各種抵抗性害虫の防除にも有効である。さらに本発明化合物は、優れた浸透移行性を有していることから、本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤を土壌に処理することによって土壌有害昆虫類、ダニ類、線虫類、腹脚類、等脚類の防除と同時に茎葉部の害虫類をも防除することができる。
【0068】
本発明化合物を含有する有害生物防除剤の別の望ましい態様としては、前記した植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類、腹足類、土壌害虫類などを総合的に防除する農園芸用有害生物防除剤が挙げられる。
【0069】
本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤は、通常、該化合物と各種農業上の補助剤とを混合して粉剤、粒剤、粉粒剤、顆粒水和剤、水和剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、水溶剤、顆粒水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤、エアゾール剤、油剤、くん煙剤、マイクロカプセル剤、微量散布剤などの種々の形態に製剤して使用されるが、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、珪藻土、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、セリサイト、クレー、ゼオライト、軽石、珪砂、パーライト、ホワイトカーボン、炭酸ナトリウム、芒硝、硫安、尿素、澱粉、糖類などの固型担体;水、キシレン、C10アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコール類などの溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物のような陰イオン系の界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィンなどの植物油や鉱物油;などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもでき、例えば、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤、消泡剤、固結防止剤、滑助剤、乾燥剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、など通常使用される各種補助剤やアジュバントなども使用することができる。本発明化合物とアジュバントを含む各種補助剤との配合割合(重量比)は0.001:99.999〜95:5、望ましくは0.005:99.995〜90:10である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して使用することができる。
【0070】
本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤の施用は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用場所、病害虫の種類や発生状況などの相違により一概に規定できないが、一般に0.05〜800000ppm、望ましくは0.5〜500000ppmの有効成分濃度で行ない、その単位面積あたりの施用量は、1ヘクタール当り本発明化合物が0.05〜50000g、望ましくは1〜30000gである。また、本発明化合物を含有する有害生物防除剤の別の望ましい態様である農園芸用の有害生物防除剤の施用は、前記有害生物防除剤の施用に準じて行われる。本発明には、このような施用方法による有害生物の防除方法、特に植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類の防除方法も含まれる。
【0071】
本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤の種々の製剤、又はその希釈物の施用は、通常、一般に行なわれている施用方法すなわち、散布(例えば散布、噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粒、水面施用等)、土壌施用(混入、灌注等)、表面施用(塗布、粉衣、被覆等)、浸漬毒餌等により行うことができる。また、家畜に対して前記有効成分を飼料に混合して与え、その排泄物での有害虫、特に有害昆虫の発生及び生育を阻害することも可能である。また、いわゆる超高濃度少量散布法(ultra low volume)により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100%含有することが可能である。
【0072】
また、本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤は、他の農薬、肥料、薬害軽減剤などと混用或は併用することができ、この場合に一層優れた効果、作用性を示すことがある。他の農薬としては、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、殺菌剤、抗ウィルス剤、誘引剤、抗生物質、植物ホルモン、植物成長調整剤、などが挙げられる。特に、本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物の1種又は2種以上とを混用或は併用した混合有害生物防除用組成物は、適用範囲、薬剤処理の時期、防除活性等を好ましい方向へ改良することが可能である。尚、本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物は各々別々に製剤したものを散布時に混合して使用しても、両者を一緒に製剤して使用してもよい。本発明には、このような混合有害生物防除用組成物も含まれる。
【0073】
本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物との混合比(重量比)は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用場所、病害虫の種類や発生状況などの相違により一概に規定できないが、一般に1:300〜300:1、望ましくは1:100〜100:1である。また、施用適量は1ヘクタール当りの総有効成分化合物量として0.1〜50000g、望ましくは1〜30000gである。本発明には、このような混合有害生物防除用組成物の施用方法による有害生物の防除方法も含まれる。
【0074】
上記他の農薬中の、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤或いは殺土壌害虫剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は試験コード)としては、例えばプロフェノホス(profenofos)、ジクロルボス(dichlorvos)、フェナミホス(fenamiphos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、EPN、ダイアジノン(diazinon)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、アセフェート(acephate)、プロチオホス(prothiofos)、ホスチアゼート(fosthiazate)、カズサホス(cadusafos)、ジスルホトン(dislufoton)、イソキサチオン(isoxathion)、イソフェンホス(isofenphos)、エチオン(ethion)、エトリムホス(etrimfos)、キナルホス(quinalphos)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジメトエート(dimethoate)、スルプロホス(sulprofos)、チオメトン(thiometon)、バミドチオン(vamidothion)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロパホス(propaphos)、ホサロン(phosalone)、ホルモチオン(formothion)、マラチオン(malathion)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、シアノホス(cyanophos)、トリクロルホン(trichlorfon)、メチダチオン(methidathion)、フェントエート(phenthoate)、ESP、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、フェンチオン(fenthion)、ヘプテノホス(heptenophos)、メトキシクロル(methoxychlor)、パラチオン(parathion)、ホスホカルブ(phosphocarb)、デメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、モノクロトホス(monocrotophos)、メタミドホス(methamidophos)、イミシアホス(imicyafos)、パラチオン-メチル(parathion-methyl)、テルブホス(terbufos)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホスメット(phosmet)、ホレート(phorate)のような有機リン酸エステル系化合物;
カルバリル(carbaryl)、プロポキスル(propoxur)、アルジカルブ(aldicarb)、カルボフラン(carbofuran)、チオジカルブ(thiodicarb)、メソミル(methomyl)、オキサミル(oxamyl)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ピリミカルブ(pirimicarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、フラチオカルブ(furathiocab)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メトルカルブ(metolcarb)、キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC、フェノチオカルブ(fenothiocarb)のようなカーバメート系化合物;
カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、チオスルタップナトリウム(thiosultap-sodium)のようなネライストキシン誘導体;
ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、エンドスルファン(endosulfan)、ジエノクロル(dienochlor)、ディルドリン(dieldrin)のような有機塩素系化合物;
【0075】
酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、シヘキサチン(cyhexatin)のような有機金属系化合物;
フェンバレレート(fenvalerate)、ペルメトリン(permethrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、テフルトリン(tefluthrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フルフェンプロックス
(flufenprox)、シフルトリン(cyfluthrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)
、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、ラムダシハロトリン(lambda-cyhalothrin)、ピレスリン(pyrethrins)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、テトラメスリン(tetramethrin)、レスメスリン(resmethrin)、プロトリフェンブト(protrifenbute)、ビフェンスリン(bif
enthrin)、ゼータシペルメトリン(zeta-cypermethrin)、アクリナトリン(acrinathrin)、アルファシペルメトリン(alpha-cypermethrin)、アレスリン(allethrin)、ガン
マシハロトリン(gamma-cyhalothrin)、シータシペルメトリン(theta-cypermethrin)、タウフルバリネート(tau-fluvalinate)、トラロメスリン(tralomethrin)、プロフ
ルスリン(profluthrin)、ベータシペルメトリン(beta-cypermethrin)、ベータシフルトリン(beta-cyfluthrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、フェノトリン(phenoth
rin)、フルメトリン(flumethrin)のようなピレスロイド系化合物;
ジフルベンズロン(diflubenzuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、フルアズロン(fluazuron)のようなベンゾイルウレア系化合物;
メトプレン(methoprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、ジオフェノラン(diofenolan)のような幼若ホルモン様化合物;
フェンピロキシメート(fenpyroximate)、フィプロニル(fipronil)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、エチプロール(ethiprole)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、アセトプロール(acetoprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)のようなピラゾール系化合物;
イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefuran)、ニチアジン(nithiazine)などのネオニコチノイド;
テブフェノジド(tebufenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)などのヒドラジン系化合物;
【0076】
ピリダリル(pyridalyl)、フロニカミド(flonicamid)などのようなピリジン系化合物;
スピロジクロフェン(spirodiclofen)などのようなテトロニック酸系化合物;
フルアクリピリム(fluacrypyrim)などのようなストロビルリン系化合物;
フルフェネリム(flufenerim)などのようなピリミジナミン系化合物;
ジニトロ系化合物;有機硫黄化合物;尿素系化合物;トリアジン系化合物;ヒドラゾン系化合物;また、その他の化合物として、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、シラフルオフェン(silafluofen)、トリアザメート(triazamate)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、インドキサカルブ(indoxacarb)、アセキノシル(acequinocyl)、エトキサゾール(etoxazole)、シロマジン(cyromazine)、1,3−ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ビフェナゼート(bifenazate)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スピロテトラマット(spirotetramat)、プロパルギット(propargite)、クロフェンテジン(clofentezine)、メタフルミゾン(metaflumizone)、フルベンジアミド(flubendiamide)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、フェナザキン(fenazaquin)、ピリダベン(pyridaben)、アミドフルメト(amidoflumet)、クロロベンゾエート(chlorobenzoate)、スルフルラミド(sulfluramid)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、メタアルデヒド(metaldehyde)、HGW 86、リアノジン(ryanodine)、ベルブチン(verbutin)のような化合物;などが挙げられる。更に、Bacillus thuringiensis aizawai、Bacillus thuringiensis kurstaki、Bacillus thuringiensis israelensis、Bacillus thuringiensis japonensis、Bacillus thuringiensis tenebrionis、Bacillus thuringiensisが生成する結晶タンパク毒素、昆虫病原ウイルス剤、昆虫病原糸状菌剤、線虫病原糸状菌剤などのような微生物農薬;アベルメクチン(avermectin)、エマメクチンベンゾエート(emamectin-benzoate)、ミルベメクチン(milbemectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、スピノサド(spinosad)、イベルメクチン(ivermectin)、レピメクチン(lepimectin)、DE-175、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン(emamectin)、スピネトラム(spinetoram)のような抗生物質及び半合成抗生物質;アザディラクチン(azadirachtin)、ロテノン(rotenone)のような天然物;ディート(deet)のような忌避剤;などが挙げられる。
【0077】
上記他の農薬中の、殺菌性有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会供試試験コード)としては、例えば、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)、フェリムゾン(ferimzone)のようなアニリノピリミジン系化合物;
5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンのようなトリアゾロピリミジン系化合物;
フルアジナム(fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;
トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、マイクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ファーコナゾールシス(furconazole‐cis)、プロクロラズ(prochloraz)、メトコナゾール(metconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、シプコナゾール(sipconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、フルトリアホール(flutriafol)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、トリシクラゾール(tricyclazole)、プロベナゾール(probenazole)、シメコナゾール(simeconazole)、ペフラゾエート(pefurazoate)、イプコナゾール(ipconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)のようなアゾール系化合物;
【0078】
キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物;
マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)のようなジチオカーバメート系化合物;
フサライド(fthalide)、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物;
ベノミル(benomyl)、チオファネートメチル(thiophanate‐methyl)、カーベンダジム(carbendazim)、チアベンダゾール(thiabendazole)、フベリアゾール(fuberiazole)、シアゾファミド(cyazofamid)のようなイミダゾール系化合物;
シモキサニル(cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;
メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル−M(metalaxyl-M)、メフェノキサム(mefenoxam)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフレース(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル−M(benalaxyl-M、別名キララキシル(kiralaxyl、chiralaxyl))、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラム(cyprofuram)のようなフェニルアミド系化合物;
【0079】
ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルフェン酸系化合物;
水酸化第二銅(cupric hydroxide)、有機銅(oxine copper)のような銅系化合物;
ヒメキサゾール(hymexazol)のようなイソキサゾール系化合物;
ホセチルアルミニウム(fosetyl‐Al)、トルクロホスメチル(tolclofos‐methyl)、エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネートのような有機リン系化合物;
キャプタン(captan)、キャプタホル(captafol)、フォルペット(folpet)のようなN−ハロゲノチオアルキル系化合物;
プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;
【0080】
フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(mepronil)、ゾキサミド(zoxamid)、チアジニル(tiadinil)のようなベンズアニリド系化合物;
カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ボスカリド(boscalid)、イソチアニル(isothianil)、ビキサフェン(bixafen)、3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの2種のシン異性体と3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの2種のアンチ異性体の混合物(イソピラザム(isopyrazam))のようなアニリド系化合物;
トリホリン(triforine)のようなピペラジン系化合物;
ピリフェノックス(pyrifenox)のようなピリジン系化合物;
フェナリモル(fenarimol)、フルトリアフォル(flutriafol)のようなカルビノール系化合物;
フェンプロピディン(fenpropidine)のようなピペリジン系化合物;
フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、スピロキサミン(spiroxamine)、トリデモルフ(tridemorph)のようなモルフォリン系化合物;
【0081】
フェンチンヒドロキシド(fentin hydroxide)、フェンチンアセテート(fentin acetate)のような有機スズ系化合物;
ペンシキュロン(pencycuron)のような尿素系化合物;
ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph)のようなシンナミック酸系化合物;
ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物;
フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物;
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim‐methyl)、メトミノフェン(metominofen)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、オリザストロビン(oryzastrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)のようなストロビルリン系化合物;
【0082】
ファモキサドン(famoxadone)のようなオキサゾリジノン系化合物;
エタボキサム(ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;
シルチオファム(silthiopham)のようなシリルアミド系化合物;
イプロバリカルブ(iprovalicarb)、ベンチアバリカルブ−イソプロピル(benthia
valicarb-isopropyl)、メチル N-(イソプロポキシカルボニル)-L-バリル-(3RS)-3-(4-クロロフェニル)-β-アラニナート(valiphenalate)のようなアミノアシッドアミドカーバメート系化合物;
フェナミドン(fenamidone)のようなイミダゾリジン系化合物;
フェンヘキサミド(fenhexamid)のようなハイドロキシアニリド系化合物;
フルスルファミド(flusulfamide)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;
シフルフェナミド(cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;
フェノキサニル(fenoxanil)のようなフェノキシアミド系化合物;
バリダマイシン(validamycin)、カスガマイシン(kasugamycin)、ポリオキシン(polyoxins)のような抗生物質;
イミノクタジン(iminoctadine)、ドディン(dodine)のようなグアニジン系化合物;
6-ターシャリーブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチルキノリン-4-イル アセテート(tebufloquin)のようなキノリン系化合物;
2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-イリデン)アセトニトリル(フルチアニル(flutianil))のようなチアゾリジン系化合物;
【0083】
また、その他の化合物として、イソプロチオラン(isoprothiolane)、ピロキロン(pyroquilon)、ジクロメジン(diclomezine)、キノキシフェン(quinoxyfen)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)、クロルピクリン(chloropicrin)、ダゾメット(dazomet)、メタムナトリウム塩(metam‐sodium)、ニコビフェン(nicobifen)、メトラフェノン(metrafenone)、MTF-753、UBF-307、ジクロシメット(diclocymet)、プロキンアジド(proquinazid)、アミスルブロム(amisulbrom)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、マンジプロパミド(mandipropamid)、フルオピコリド(fluopicolide) 、カルプロパミド(carpropamid)、メプチルジノカップ(meptyldinocap)、フルオピラム(fluopyram)、BCF051、BCM061、BCM062;などが挙げられる。
【0084】
その他、本発明化合物と混用或いは併用することが可能な農薬としては、例えは、The Pesticide Manual(第14版)に記載されているような除草剤の有効成分化合物、特に土壌処理型のものなどがある。
【0085】
動物寄生生物防除剤としては、例えば、宿主動物の体表(背、腋下、下腹部、内股部など)に寄生する外部寄生生物や、宿主動物の体内(胃、腸管、肺、心臓、肝臓、血管、皮下、リンパ組織など)に寄生する内部寄生生物の防除に有効であるが、中でも、外部寄生生物の防除に有効である。
【0086】
外部寄生生物としては、例えば、動物寄生性のダニやノミなどが挙げられる。これらの種類は非常に多く、全てを列記することが困難であるので、その一例を挙げる。
【0087】
動物寄生性のダニとしては、例えばオウシマダニ(Boophilus microplus)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、ツリガネチマダニ(Haemaphysalis campanulata)、イスカチマダニ(Haemaphysalis concinna)、ヤマトチマダニ(Haemaphysalis japonica)、ヒゲナガチマダニ(Haemaphysalis kitaokai)、イヤスチマダニ(Haemaphysalis ias)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、タネガタマダニ(Ixodes nipponensis)、シュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)、タカサゴキララマダニ(Amblyomma testudinarium)、オオトゲチマダニ(Haemaphysalis megaspinosa)、アミノカクマダニ(Dermacentor reticulatus)、タイワンカクマダニ(Dermacentor taiwanesis)のようなマダニ類;ワクモ(Dermanyssus gallinae);トリサシダニ(Ornithonyssus sylviarum)、ミナミトリサシダニ(Ornithonyssus bursa)のようなトリサシダニ類;ナンヨウツツガムシ(Eutrombicula wichmanni)、アカツツガムシ(Leptotrombidium akamushi)、フトゲツツガムシ(Leptotrombidium pallidum)、フジツツガムシ(Leptotrombidium fuji)、トサツツガムシ(Leptotrombidium tosa)、ヨーロッパアキダニ(Neotrombicula autumnalis)、アメリカツツガムシ(Eutrombicula alfreddugesi)、ミヤガワタマツツガムシ(Helenicula miyagawai)のようなツツガムシ類;イヌツメダニ(Cheyletiella yasguri)、ウサギツメダニ(Cheyletiella parasitivorax)、ネコツメダニ(Cheyletiella blakei)のようなツメダニ類;ウサギキュウセンダニ(Psoroptes cuniculi)、ウシショクヒダニ(Chorioptes bovis)、イヌミミヒゼンダニ(Otodectes cynotis)、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、ネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati)のようなヒゼンダニ類;イヌニキビダニ(Demodex canis)のようなニキビダニ類などが挙げられる。中でも、本発明化合物を含有する動物寄生生物防除剤は、マダニ類などの防除に特に有効である。
【0088】
ノミとしては、例えば、ノミ目(Siphonaptera)に属する外部寄生性無翅昆虫、より具体的には、ヒトノミ科(Pulicidae)、ナガノミ科(Ceratephyllus)などに属するノミ類が挙げられる。ヒトノミ科に属するノミ類としては、例えば、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、ニワトリフトノミ(Echidnophaga gallinacea)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、メクラネズミノミ(Leptopsylla segnis)、ヨーロッパネズミノミ(Nosopsyllus fasciatus)、ヤマトネズミノミ(Monopsyllus anisus)などが挙げられる。中でも、本発明化合物を含有する動物寄生生物防除剤は、ヒトノミ科に属するノミ類、特にイヌノミ、ネコノミなどの防除に有効である。
【0089】
その他の外部寄生生物としては、例えば、ウシジラミ、ウマジラミ、ヒツジジラミ、ウシホソジラミ、アタマジラミのようなシラミ類;イヌハジラミのようなハジラミ類;ウシアブ、ウアイヌカカ、ツメトゲブユのような吸血性双翅目害虫などが挙げられる。また、内部寄生生物としては、例えば、肺虫、ベンチュウ、結節状ウオーム、胃内寄生虫、回虫、糸状虫類のような線虫類;マンソン裂頭条虫、広節裂頭条虫、瓜実条虫、多頭条虫、単包条虫、多包条虫のような条虫類;日本住血吸虫、肝蛭のような吸虫類;コクシジウム、マラリア原虫、腸内肉胞子虫、トキソプラズマ、クリプトスポリジウムのような原生動物など;が挙げられる。
【0090】
宿主動物としては、種々の愛玩動物、家畜、家禽などが挙げられ、より具体的には、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、リス、ウサギ、フェレット、鳥(例えば、ハト、オウム、九官鳥、文鳥、インコ、ジュウシマツ、カナリアなど)、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、アヒル、ニワトリ、などが挙げられる。中でも、本発明化合物を含有する動物寄生生物防除剤は、愛玩動物又は家畜に寄生する有害生物、特に外部寄生生物の防除に有効である。愛玩動物又は家畜の中ではイヌ、ネコ、ウシ又はウマに特に有効である。
【0091】
本発明化合物を動物寄生生物防除剤として使用する際、そのまま使用してもよく、また、適当な補助剤と共に粉剤、粒剤、粉粒剤、錠剤、マイクロカプセル剤、液剤、乳剤、油剤、水溶剤、顆粒水溶剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、水和剤、顆粒水和剤、ペースト剤、くん煙剤などの種々の形態に製剤して使用することもできる。尚、前記製剤形態以外にも、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、前記した農園芸用有害生物防除剤の製剤用補助剤として例示した陰イオン系の界面活性剤や非イオン系の界面活性剤;セチルトリメチルアンモニウムブロミドのような陽イオン系の界面活性剤;水、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキサノン、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体ポリオキシエチレングリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールノルマルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールノルマルブチルエーテルのような溶剤;ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ亜硫酸水素ナトリウム、プロピル没食子酸塩、チオ硫酸ナトリウムのような酸化防止剤;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマーのような被膜形成剤;前記した農園芸用有害生物防除剤の製剤用補助剤として例示した植物油や鉱物油;乳糖、蔗糖、ブドウ糖、澱粉、麦粉、クレー、ベントナイト、タルク、珪藻土、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、芒硝、硫安、尿素のような担体;などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選択して使用することもでき、更には、前記した農園芸分野で使用される各種補助剤などから適宜選択して使用することもできる。
【0092】
本発明化合物と各種補助剤との配合割合(重量比)は、通常、0.1:99.9〜90:10程度である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して使用することができる。
【0093】
宿主動物への本発明化合物の投与は、経口又は非経口によって行われる。経口投与法としては、例えば本発明化合物を含有する錠剤、液状剤、カプセル剤、ウエハース、ビスケット、ミンチ肉、その他の飼料等を投与する方法などが挙げられる。非経口投与方法としては、例えば本発明化合物を適当な製剤に調製した上で、静注投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与等により体内に取り込ませる方法;スポットオン(spot-on)処理、ポワオン(pour-on)処理、スプレー処理等により体表面に投与する方法;宿主動物の皮下に本発明化合物を含有する樹脂片等を埋め込む方法などが挙げられる。
【0094】
宿主動物への本発明化合物の投与量は、投与方法、投与目的、疾病症状等によって異なるが、通常、宿主動物の体重1Kgに対して0.01mg〜100g、望ましくは0.1mg〜10gの割合で投与するのが適当である。
【0095】
本発明には、前記したような投与方法又は投与量による有害生物の防除方法、特に外部寄生生物又は内部寄生生物の防除方法も含まれる。
【0096】
また、本発明においては、前述のようにして動物寄生性の有害生物を防除することにより、それらに起因する宿主動物の各種疾患を予防又は治療できる場合がある。このように、本発明には、本発明化合物を有効成分として含有する寄生生物起因動物疾患の予防又は治療剤並びに、寄生生物起因動物疾患を予防又は治療する方法も含まれる。
【0097】
本発明化合物を動物寄生生物防除剤として使用する際、補助剤と共に各種ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、栄養剤、酵素製剤、解熱剤、鎮静剤、消炎剤、殺菌剤、着色剤、芳香剤、保存剤等と混用又は併用することができる。また、必要に応じて他の各種動物薬や農薬、例えば駆虫剤、抗コクシジウム剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺ノミ剤、殺線虫剤、殺菌剤、抗菌剤などと混用又は併用することができ、この場合に一層優れた効果を示すこともある。本発明には、前記したような各種成分を混用又は併用した混合有害生物防除用組成物が含まれ、また、それを使用した有害生物の防除方法、特に外部寄生生物又は内部寄生生物の防除方法も含まれる。
【0098】
前記式(I)の化合物の望ましい態様は、前記式(I)中、R1がAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、ハロゲン原子、シアノ、S(O)n3又はNR34であるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩である。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0099】
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、本発明化合物の合成例を記載する。
【0100】
合成例1
5−メチル−7−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(化合物No.8)の合成
(1) 2−アセチル―4−トリフルオロメチルピリミジン470mg及びN,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール1mlをトルエン10mlに溶解した溶液を加熱還流下にて5時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を留去して、(E)−3−ジメチルアミノ−1−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イル)−2−ブテン−1−オンを含む液状物を得た。
(2) (1)で得た(E)−3−ジメチルアミノ−1−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イル)−2−ブテン−1−オンを含む液状物全量に、酢酸10ml及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール229mgを加えた後、100℃で2時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール/酢酸エチル=1/3)で精製し、目的物140mgを得た。
【0101】
合成例2
5−シクロプロピル−7−(1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(化合物No.3)の合成
(1) 1−メチル−3−(トリフルオロメチル)-1H−ピラゾール−5−カルボン酸 エチル350mg、シクロプロピルメチルケトン400mg、及び無水テトラヒドロフラン3.5mlの混合物に、ナトリウムエトキシド161mgを攪拌下、約60℃にて添加し、添加終了後同温度にて50分間攪拌した。反応終了後、反応混合物を室温に冷却し、1N塩酸を加え酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/9)で精製し、1−シクロプロピル-3−(1−メチル−3−(トリフルオロメチル)-1H−ピラゾール−5−イル)プロパン−1,3−ジオン181mgを油状物として得た。このもののNMRスペクトルデータは以下の通りである。
1H-NMR δppm ( Solvent : CDCl3 /400MHz ) 1.03(m,2H), 1.24(m,2H), 1.70(m,1H), 4.23(s,3H), 6.09(s,1H), 6.92(s,3H)
(2) 1−シクロプロピル-3−(1−メチル−3−(トリフルオロメチル)-1H−ピラゾール−5−イル)プロパン−1,3−ジオン181mgに、酢酸5ml及び3−アミノ−1H−1, 2, 4−トリアゾール118mgを加え、還流下にて3時間攪拌した後、3−アミノ−1H−1, 2, 4−トリアゾール118mgを添加し、加熱還流下にて更に24時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を室温に冷却し、水を添加した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製し、目的物117mgを得た。
【0102】
前記式(I)の化合物の代表例を第1表に挙げる。第1表中、No.は化合物No.を示し、Meはメチル、Etはエチルを、i-Prはイソプロピルを、Phはフェニルを各々示し、物性として示した温度は融点である。これら化合物は、前記合成例1〜2或は前記した本発明化合物の種々の製造方法に基づいて合成することができる。
【0103】
【表1】

【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

【0109】
【表7】

【0110】
次に試験例を記載する。
試験例1 モモアカアブラムシに対する効果試験
ダイコン葉を水の入った試験管に挿し、その葉上にモモアカアブラムシ1齢幼虫を約20頭放飼した。翌日、ダイコン葉上に寄生している幼虫数を数えた後、寄生したダイコン葉を本発明化合物の濃度が200ppmとなるように調整した薬液に約10秒間浸漬処理した。薬液が風乾した後に、25℃の照明付恒温室内に放置した。処理5日後にモモアカアブラムシの生死を判定し、下記の計算式により死虫率を求めた。尚、離脱虫及び異常虫は死亡虫とみなした。前記化合物No.3、4、24、54及び68を供試したところ、全ての化合物が90%以上の死虫率を示した。
死虫率(%)=(1−(生存虫数/処理虫数))×100
【0111】
試験例2 トビイロウンカに対する効果試験
本発明化合物の濃度が200ppmとなるよう調整した薬液に、イネ幼苗を約10秒間浸漬処理した。薬液が風乾した後に、湿った脱脂綿で根部を包んで試験管に入れた。この中へトビイロウンカ2〜3齢幼虫を10頭放ち、管口をガーゼでふたをして25℃の照明付恒温室内に放置した。放虫5日後にトビイロウンカの生死を判定し、下記の計算式により死虫率を求めた。前記化合物No.1、3、4、5、6、24、26、28、50、54、57、62、66、68及び73を供試したところ、全ての化合物が90%以上の死虫率を示した。
死虫率(%)=(死虫数/放虫数)×100
【0112】
試験例3 シルバーリーフコナジラミに対する効果試験
シルバーリーフコナジラミ1〜2齢幼虫が寄生したポット植えのキュウリ苗に、本発明化合物の濃度が200ppmとなるよう調整した薬液を、ハンドスプレーを用い散布処理した。薬液が風乾した後に、25℃の照明付恒温室内に放置した。処理10日後に老齢幼虫数を調査し、下記計算式により防除効率(%)を求めた。前記化合物No.3、4、22、24、26、28、50、54、65、66及び68を供試したところ、全ての化合物が80%以上の防除効率を示した。
【0113】
防除効率(%)=(1−(Ta×Cb)/(Tb×Ca))×100
Ta: 処理キュウリ苗における処理後の老齢幼虫
Tb:処理キュウリ苗における処理前の1〜2齢幼虫数
Ca: 無処理キュウリ苗における処理後の老齢幼虫数
Cb:無処理キュウリ苗における処理前の1〜2齢幼虫数
【0114】
試験例4 フタトゲチマダニに対するイヌを用いた薬効試験
イヌ(ビーグル、8ヶ月齢)に10mg/kg体重の本発明化合物を含むゼラチンカプセルを投与し、その直後にフタトゲチマダニの若ダニ約50頭をイヌの耳介に放ち、人工寄生させる。処理後、寄生数、落下数及び落下したフタトゲチマダニの生死を観察する。その結果、本発明化合物は、寄生させたフタトゲチマダニを落下又は致死させる。
【0115】
試験例5 ネコノミに対するイヌを用いた薬効試験
イヌ(ビーグル、8ヶ月齢)に10mg/kg体重の本発明化合物を含むゼラチンカプセルを投与し、その直後にネコノミ未吸血成虫約100頭を背部被毛上に放ち人工寄生させる。本発明化合物は、処理された成虫の産下卵に対し、孵化阻止効果を示す。
【0116】
次に製剤例を記載する。
製剤例1
(1)本発明化合物 20重量部
(2)クレー 70重量部
(3)ホワイトカーボン 5重量部
(4)ポリカルボン酸ナトリウム 3重量部
(5)アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 2重量部
以上のものを均一に混合、粉砕して水和剤とする。
【0117】
製剤例2
(1)本発明化合物 5重量部
(2)クレー60重量部
(3)炭酸カルシウム 34.5重量部
(4)流動パラフィン 0.5重量部
以上のものを均一に混合して粉剤とする。
【0118】
製剤例3
(1)本発明化合物 20重量部
(2)N,N−ジメチルアセトアミド 20重量部
(3)ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル 10重量部
(4)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム 2重量部
(5)キシレン 48重量部
以上のものを均一に混合、溶解して乳剤とする。
【0119】
製剤例4
(1)クレー 68重量部
(2)リグニンスルホン酸ナトリウム 2重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート 5重量部
(4)ホワイトカーボン 25重量部
以上の各成分の混合物と、本発明化合物とを4:1の重量割合で混合、粉砕して水和剤とする。
【0120】
製剤例5
(1)本発明化合物 50重量部
(2)アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物 2重量部
(3)シリコーンオイル 0.2重量部
(4)水 47.8重量部
以上のものを均一に混合、粉砕した原液に更に
(5)ポリカルボン酸ナトリウム 5重量部
(6)無水硫酸ナトリウム 42.8重量部
を加え均一に混合、造粒、乾燥して顆粒水和剤とする。
【0121】
製剤例6
(1)本発明化合物 5重量部
(2)ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 1重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル 0.1重量部
(4)粒状炭酸カルシウム 93.9重量部
(1)〜(3)を予め均一に混合し、適量のアセトンで希釈した後、(4)に吹付け、アセトンを除去して粒剤とする。
【0122】
製剤例7
(1)本発明化合物 2.5重量部
(2)N,N−ジメチルアセトアミド 2.5重量部
(3)メチル化シードオイル 95.0重量部
以上のものを均一に混合、溶解して微量散布剤(ultra low volume formulation)とする。
【0123】
製剤例8
(1)本発明化合物 40重量部
(2)ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸カリウム 4重量部
(3)シリコーンオイル 0.2重量部
(4)キサンタンガム 0.1重量部
(5)エチレングリコール 5重量部
(6)水 50.7重量部
以上のものを均一に混合、粉砕して水性懸濁剤とする。
【0124】
製剤例9
(1)本発明化合物 10重量部
(2)ジエチレングリコールモノエチルエーテル 80重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル 10重量部
以上の成分を均一に混合し、水溶性液剤とする。
製剤例10
(1)本発明化合物 40重量部
(2)アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物 5重量部
(3)ジオクチルスルホサクシネート 1重量部
(4)ラクトース 54重量部
以上のものを均一に混合、粉砕した後、水を加えて混練し、造粒、乾燥、整粒して顆粒水溶剤とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、R1はAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン原子、シアノ、アリール、1,3-ジオキソラニル、COR2、S(O)n3、NR34又はCONR34であり;Hetは
【化2】

であり;Aはハロゲン原子、OR2、アルキル又はシクロアルキルであり;R2は水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はNRであり;Rは水素原子又はアルキルであり;Rは水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル又はハロアルコキシカルボニルであり;Xはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン原子、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、NR34、S(O)n3、OR2又はCORであり;Yは酸素原子、硫黄原子又はNR5であり;R5はアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル又はアリールであり;nは0〜2の整数であり;w1は1〜3の整数であり、w2は1〜2の整数であり、w1又はw2が2以上である場合、Xは同一若しくは異なってもよく;但し、(1)Rがメチルであり、Hetが5-ヒドロキシ‐3-メチル‐1‐フェニル‐ピラゾール‐4‐イルである場合、(2)Rがフェニルであり、Hetが1‐エチル‐ピラゾール‐4‐イルである場合、(3)Rがメチルであり、Hetがアルキル置換されたチオフェン‐2‐イルである場合又は(4)Rがトリフルオロメチルであり、Hetがアルキル置換されたチオフェン‐2‐イルである場合を除く〕で表されるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩。
【請求項2】
1がAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、ハロゲン原子、シアノ、S(O)n3又はNR34である請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩。
【請求項3】
請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤。
【請求項4】
請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する農園芸用有害生物防除剤。
【請求項5】
請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺土壌害虫剤。
【請求項6】
請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫又は殺ダニ剤。
【請求項7】
請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩の有効量を施用して有害生物を防除する方法。
【請求項8】
式(I):
【化3】

〔式中、R1はAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン原子、シアノ、アリール、1,3-ジオキソラニル、COR2、S(O)n3、NR34又はCONR34であり;Hetは
【化4】

であり;Aはハロゲン原子、OR2、アルキル又はシクロアルキルであり;R2は水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はNRであり;Rは水素原子又はアルキルであり;Rは水素原子、アルキル、ハロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル又はハロアルコキシカルボニルであり;Xはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン原子、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、NR34、S(O)n3、OR2又はCORであり;Yは酸素原子、硫黄原子又はNR5であり;R5はアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル又はアリールであり;nは0〜2の整数であり;w1は1〜3の整数であり、w2は1〜2の整数であり、w1又はw2が2以上である場合、Xは同一若しくは異なってもよく;但し、(1)Rがメチルであり、Hetが5-ヒドロキシ‐3-メチル‐1‐フェニル‐ピラゾール‐4‐イルである場合、(2)Rがフェニルであり、Hetが1‐エチル‐ピラゾール‐4‐イルである場合、(3)Rがメチルであり、Hetがアルキル置換されたチオフェン‐2‐イルである場合又は(4)Rがトリフルオロメチルであり、Hetがアルキル置換されたチオフェン‐2‐イルである場合を除く〕で表されるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩の製造方法であって、
(1)式(IV):
【化5】

〔式中、R1aはA1で置換されてもよいアルキル、A1で置換されてもよいシクロアルキル、A1で置換されてもよいアルケニル、A1で置換されてもよいアルキニル又はアリールであり;A1はOR2a、アルキル又はシクロアルキルであり;R2aは水素原子、アルキル又はハロアルキルであり;Rはアルキルであり;Hetは前述の通りである〕で表されるα、β−不飽和ケトン誘導体と、式(V):
【化6】

で表される化合物とを縮合するか、
(2)式(VII):
【化7】

〔式中、R3aはアルキルであり;Hetは前述の通りである〕で表されるα、β−不飽和ケトン誘導体と、前記式(V)の化合物とを縮合するか、
(3)式(I−2):
【化8】

〔式中、Het及びR3aは前述の通りである〕で表される化合物を酸化するか、
(4)式(I−3)
【化9】

〔式中、Het及びR3aは前述の通りであり、naは1又は2の整数である〕で表される化合物と、求核試薬とを反応させるか、
(5)式(IX):
【化10】

〔式中、R1cはA1で置換されてもよいアルキル、A1で置換されてもよいシクロアルキル、A1で置換されてもよいアルケニル、A1で置換されてもよいアルキニル又はアリールであり;A1及びHetは前述の通りである〕で表される化合物と、前記式(V)の化合物とを縮合するか、或は
(6)式(XIV):
【化11】

〔式中、R1dはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル又はアリールであり;Q1はハロゲン原子であり;Aは前述の通りである〕で表されるトリアゾロピリミジン誘導体と、式(XV):Het-B(R13p〔式中、R13はOH、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ又はフッ素原子であり;pはR13がOH、アルキル、シクロアルキル又はアルコキシである場合は2であり、R13がフッ素原子である場合は3であり;R13のアルキル又はアルコキシは、隣接するホウ素原子と相互に結合して環を形成してもよく;Hetは前述の通りである〕で表される化合物とを反応させることを特徴とする前記式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩の製造方法。

【公開番号】特開2010−195771(P2010−195771A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5397(P2010−5397)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】