説明

ドアクローザ

【課題】ハウジング内部の作動油が高温となったドアに付着することを防止する。
【解決手段】ドアクローザ1は、ドア104の開操作によりその回転動作を上記リンク機構29、回転軸24及びラック・ピニオン機構21を介してピストン15の直線動作に変換して該ピントン15を上記ピストン付勢手段16の付勢力に抗してハウジング4の密閉空間4aで移動させ、ドア104から手を離すことにより上記ピストン15を上記ピストン付勢手段16の付勢力によりハウジング4の密閉空間4aで移動させてドア104をゆっくりと自動的に閉めるように構成されている。回転軸24はハウジング4が高温となった際に密閉空間4aから作動油を排出する為の作動油排出路24A、24B、24Cを備えており、該作動油排出路24A、24B、24Cは樹脂製ネジ38によって閉鎖されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開いたドアをゆっくりと自動的に閉めるドアクローザ(ドア自閉装置)の改良に関し、特に発火抑制対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドアクローザは、作動油が充填された密閉空間を有するハウジングを備え、該ハウジングの密閉空間には、コイルスプリングにより付勢されたピストンが往復移動可能に配置されている。また、上記ピストンにはラック・ピニオン機構が組み付けられ、該ラック・ピニオン機構のピニオンには、回転軸が上記ハウジングを上下に貫挿するように回転一体に連結されている。さらに、この回転軸の上端には、リンク機構の一端が連結され、該リンク機構の他端は建物のドア開口部の上枠側に連結されている。
【0003】
そして、ドアを開操作すると、その回転動作が上記リンク機構を介して回転軸に伝達され、さらに上記ラック・ピニオン機構を介してピストンの直線動作に変換される。これにより、上記ピストンがハウジングの密閉空間を移動することでコイルスプリングを圧縮し、ドアから手を離すと、この圧縮されたコイルスプリングの反発力によりドアがゆっくりと自動的に閉まるようになっている。このドアの閉速度は、ピストンの移動に連動して流動する作動油の流量を速度調整弁で制御することで調整される。
【0004】
ところで、この種のドアクローザとして、特許文献1には、ハウジングをカバー部材で覆って熱伝導を遮断することにより、ハウジング内部(密閉空間)に充填された作動油の粘性変化を抑制してドアの閉速度を安定させるようにしたドアクローザが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−348652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1では、カバー部材は、上面壁、下面壁、正面壁及び両側面壁で箱状に構成されてハウジングを室内側から覆って該ハウジング及びドアに密接してはいるものの、上記上面壁及び下面壁には回転軸との干渉を避けるための切欠部が形成され、上記回転軸は下面壁の切欠部から下方に突出しているため、何らかの要因によりドアの温度が特許文献1が想定しないような高温となると、ハウジング内部の作動油の内圧が上がり、作動油が部品接合箇所や回転軸周り等から溢れ出すおそれがある。そして、溢れ出した作動油が上記下面壁の切欠部を経て高温となったドアに付着すると、場合によっては発火するおそれがある。また、速度調整弁は樹脂製とされることもあり、樹脂製の速度調整弁が熱で溶けてしまい、当該箇所から吹き出した作動油が同様に下面壁の切欠部を経てドアに付着して同様に発火するおそれもある。
【0007】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハウジング内部の作動油が高温となったドアに付着することを原因とする発火を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、作動油が充填された密閉空間4aを有するハウジング4と、上記密閉空間4aにピストン付勢手段16により付勢された状態で往復移動可能に配置されたピストン15と、該ピストン15に組み込まれたラック・ピニオン機構21と、該ラック・ピニオン機構21のピニオン23に上記ハウジング4を上下に貫挿するように回転一体に連結された回転軸24と、一端が上記回転軸24の上端24aに連結されるとともに、他端が建物のドア開口部101の上枠102側に連結されたリンク機構29と、上記ハウジング4の側面壁10に挿着され、上記ピストン15の移動に連動して上記密閉空間4aを流動する作動油の流量を制御することでドア104の閉速度を調整する速度調整弁37とを備え、ドア104の開操作によりその回転動作を上記リンク機構29、回転軸24及びラック・ピニオン機構21を介してピストン15の直線動作に変換して該ピントン15を上記ピストン付勢手段16の付勢力に抗してハウジング4の密閉空間4aで移動させ、ドア104から手を離すことにより上記ピストン15を上記ピストン付勢手段16の付勢力によりハウジング4の密閉空間4aで移動させてドア104をゆっくりと自動的に閉めるように構成されたドアクローザ1であって、該回転軸24は該ハウジング4が高温となった際に該密閉空間4aから作動油を排出する為の作動油排出路24A、24B、24C、24Dを備え、該作動油排出路24A、24B、24C、24Dが樹脂製部材38、39によって閉鎖されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、該回転軸24の下端24bを覆うカップ28が設けられ、該作動油排出路24A、24B、24C、24Dから排出された作動油は該カップ28に形成された排出孔28Aを介して外部に排出されることが好ましい。
【0010】
また、該排出孔28Aをドアクローザ1の正面側に位置させる位置決め手段9B、28C、28Dを備えることが好ましい。
【0011】
また、該排出孔28Aは該回転軸24の軸線に対して傾斜して形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のドアクローザによれば、何らかの要因によりドアの温度が高温となると回転軸に形成された作動油排出路を閉鎖している樹脂製部材が溶けて作動油がハウジング内部(密閉空間)から排出されるので、ハウジング内部の作動油が高温となったドアに付着することを原因とする発火を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係るドアクローザをドアに取り付けた状態の平面図である。
【図2】図1のA―A線における正面図である。
【図3】図1のB−B線における側面図である。
【図4】実施形態に係るドアクローザにおけるドアクローザ本体の内部構造を示す横断平面図である。
【図5】図4のC−C線における断面図である。
【図6】図4のD−D線における側面図である。
【図7】変形例を示す図5相当図である。
【図8】変形例を示す図5相当図である。
【図9】変形例を示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図3において、101は建物のドア開口部を示し、該ドア開口部101は、上枠102、左右の一対の竪枠103及び下枠(図示せず)で矩形に囲まれた空間で構成され、ドア104が上記ドア開口部101を開閉可能にヒンジ105を介して一方の竪枠103に取り付けられている。上記ドア104はドアクローザ1により開状態からゆっくりと自動的に閉まるようになっている。
【0016】
上記ドアクローザ1は、左開き(左勝手)のパラレル形タイプであり、ドアクローザ本体2を備えている。上記ドアクローザ本体2は、作動油(図示せず)が充填された密閉空間4a(図4参照)を有するハウジング4を備え、該ハウジング4は、図4に示すように、取付金具5を介して上記ドア104上端に取り付けられている。
【0017】
上記取付金具5は、図4に示すように、一端(図4左端)にU字状引掛部5aが形成されているとともに、他端(図4右端)に斜めに起き上がった取付片部5bが形成され、該取付片部5bには、上記ハウジング4を取り付けるためのネジ孔(図示せず)が上下に2個貫通形成されている。また、この取付金具5の両端寄りには、ネジ挿通孔(図示せず)が上下に2個ずつ貫通形成されている。
【0018】
上記ハウジング4は、正面壁6、背面壁7、上面壁8、下面壁9及び左右一対の側面壁10の6面で直方体形状に形成され、上記背面壁7側には、上面壁8、下面壁9及び左右の側面壁10で囲まれた凹陥部11が形成されている。また、該凹陥部11の一端側(図4左端側)には、掛止ピン12が上面壁8と下面壁9とに上下に橋絡されて配設されている。さらに、上記一方(図4右側)の側面壁10には、ネジ挿通孔(図示せず)が上下に2個貫通形成されている。
【0019】
そして、上記ドアクローザ本体2をドア104上端の内側に取り付けるには、先ず、ネジ13(図2参照)を取付金具5の4個のネジ挿通孔に挿通してドア104内部の取付板106にねじ込むことで、取付金具5をドア104上端に取り付ける。
【0020】
次いで、ドアクローザ本体2を上記取付金具5の正面に配置し、取付金具5の引掛部5aをハウジング4の掛止ピン12に引っ掛けて取付金具5をハウジング4の凹陥部11に配置する。この状態から、ネジ14(図3参照)をハウジング4の2個のネジ挿通孔と取付金具5の2個のネジ孔に螺合させることで、ドアクローザ本体2を取付金具5を介してドア104上端に取り付ける。
【0021】
上記ハウジング4内部(密閉空間4a)には、図4に示すように、ピストン15がピストン付勢手段としてのコイルスプリング16のバネ力により図4左方向に付勢された状態で往復移動可能に配置され、密閉空間4aがピストン15により高圧室2a(図4左側の小領域)と低圧室2b(図4右側の大領域)とに分けられている。図4中、17は上記両側面壁10の嵌合孔10bに嵌着されたエンドプラグである。
【0022】
上記ピストン15の内部には空洞部15aが形成され、該空洞部15aは第1通路18を介して上記高圧室2aに連通しているとともに、第2通路19を介して上記低圧室2bに連通している。また、上記第1通路18には逆止弁20が介設され、ドア閉状態では高圧室2a側の作動油の内圧で上記逆止弁20を弁座に押し付けて第1通路18を閉じ、高圧室2a側の作動油が低圧室2b側に流入しないようにしている。
【0023】
上記ピストン15の空洞部15aには、ラック・ピニオン機構21が組み込まれている。該ラック・ピニオン機構21は、空洞部15a内壁に形成されたラック22と、該ラック22に噛合するピニオン23とで構成されている。図5に示すように、該ピニオン23には、回転軸24が上記ハウジング4を上下に貫挿するように回転一体に連結されている。詳細には、ピニオン23は回転軸24の中央部分に一体に形成されている。図5中、25は上記回転軸24の上端24a側及び下端24b側の外周の配置されたベアリング、26は回転軸24の軸心方向でベアリング25の外側に配置されたOリング、27はこれらベアリング25及びOリング26を内包するブッシュ、28は回転軸24の下端24bを覆い隠す円筒形のカップである。
【0024】
上記回転軸24の上端24aには、リンク機構29の一端が連結されるとともに、該リンク機構29の他端は建物のドア開口部101の上枠102側に連結されている。具体的には、上記リンク機構29は、メインアーム30と連結アーム31とからなり、上記メインアーム30の一端が上記回転軸24の上端24aに軸32により連結され、該メインアーム30の他端には、連結アーム31の一端が軸33周りに回転自在に連結されている。一方、上記ドア開口部101の上枠102には、ステー(三角板)34の基端が4個のネジ35を上枠102内部の取付板107にねじ込むことにより取り付けられており(図1及び図3参照)、該ステー34の先端には上記連結アーム31の他端が軸36周りに回転自在に連結されている。
【0025】
ハウジング4の他方(図1左側)の側面壁10には、金属製の3個の速度調整弁37がエンドプラグ17の外側で上側に1個、下側に2個位置するように挿着され(図6参照)、密閉空間4aの高圧室2aと低圧室2bとの間を繋ぐ図示しない流路に臨んでいて、上記ピストン15の移動に連動して上記密閉空間4aを流動する作動油の流量を制御することでドア104の閉速度を調整するようにしている。
【0026】
そして、ドア104を図4で矢印X1方向(反時計回り)に開操作すると、その回転動作がリンク機構29を介して回転軸24に伝達されて該回転軸24が図1及び図4で矢印X2方向(時計回り)に回転する。これにより、ピニオン23が図1及び図4で矢印X2方向(時計回り)に回転し、ピストン15がラック・ピニオン機構21を介してコイルスプリング16のバネ力に抗して該コイルスプリング16を圧縮しながらハウジング4の密閉空間4aで図4で矢印X3方向(右方向)に直線移動する。これにより、低圧室2bの作動油が第2通路19及び空洞部15aを経て逆止弁20を動かして第1通路18を開き、高圧室2aに流出する。そして、ドア104が閉方向に移動する力を蓄積しながら開かれる。
【0027】
ドア104から手を離すと、上記圧縮されたコイルスプリング16がその反発力により伸長し、ピストン15がハウジング4の密閉空間4aで図4で矢印Y3方向(左方向)に直線移動する。この際、第1通路18は逆止弁20で閉じられているので、高圧室2aの作動油は第1通路18を経て低圧室2bに流入せず、図示しない流路及び速度調整弁37を経て低圧室2bに流入する。これにより、ピニオン23が図1及び図4で矢印Y2方向(反時計回り)に回転し、この回転力がリンク機構29に伝達されてドア104が図1及び図4で矢印Y1方向(時計回り)にゆっくりと自動的に閉まる。
【0028】
図5に示すように、上記回転軸24はその軸線方向に延びる貫通孔を備えている。詳細には、回転軸24は、上記回転軸24の上端24a側と下端24b側とに夫々形成されたネジ孔24A、24Aと、この2つのネジ孔24A、24Aを連通する連通孔24Bとにより構成される貫通孔を備えている。上端24a側のネジ孔24Aには上述した軸32のネジ部が螺合され、回転軸24の上端24aに上記メインアーム30の一端が連結される。回転軸24の中央部分の上記ピニオン23が形成されている箇所には、ネジ孔24Cが回転軸24の軸線と直交して延びるように形成されおり、空洞部15aと回転軸24の連通孔24Bとを連通している。該ネジ孔24Cには接着剤を塗布したりすることでシール性を持たせた状態の樹脂製ネジ38がねじ込まれており、空洞部15a内の作動油がネジ孔24Cを介して流出しないようにネジ孔24Cを閉鎖している。樹脂製ネジ38は、何らかの要因によりハウジング4の温度が120〜200℃になった場合には溶解して作動油の圧力により連通孔24B内に押し出されるようになっている。樹脂製ネジ38がネジ孔24Cから押し出されると、空洞部15a内の作動油はネジ孔24C、連通孔24B及び下側のネジ孔24Aを介して回転軸24の下端24bから排出されるようになっている。樹脂製ネジ38は本発明の樹脂製部材に相当し、ネジ孔24C、連通孔24B及び下側のネジ孔24Aは本発明の作動油排出路に相当する。
【0029】
円筒状のカップ28は、ハウジング4の下面壁9から下方に向けて突出形成された略円柱状部9Aに圧入されることにより、回転軸24の下端24bを覆い隠している。略円柱状部9Aの外周面には複数の凹部9aが形成されている。カップ28はその底面の縁部に排出孔28Aを備えており、回転軸24のネジ孔24Aからカップ28の内部空間28aに作動油が排出された場合には、この排出孔28Aを介して作動油を床に落下させるようになっている。排出孔28Aは、回転軸24の軸線に対して傾斜する傾斜孔として形成されている。カップ28はその上縁からドア104に向かって水平方向に突出する位置決め部28Bを備えている。位置決め部28Bには上方に突出する凸部28Cが形成されており、この凸部28Cをハウジング4の下面壁9に設けた凹部9Bに嵌合させることにより、カップ28の位置決めがなされている。カップ28は略円柱状部9Aに圧入された後は回転不能であり、排出孔28Aは常にドアクローザ1の正面側(正面壁6側)に位置するようになっている。カップ28の凸部28Cとハウジングの凹部9Bは、本発明の位置決め手段に相当する。
【0030】
このように、本実施形態では、空洞部15a(密閉空間4a)とカップ28の内部空間28aを連通する作動油排出路を回転軸24の内部に形成し、作動油排出路を構成するネジ孔24Cを速度調整弁37よりも融点が低い樹脂製ネジ38により閉鎖している。したがって、何らかの理由によりドア104の温度が高温となったとしても、作動油がエンドプラグ17や回転軸24の周りから漏れ出たり、速度調整弁37の箇所から作動油が吹き出したりする前のハウジング4が120〜200℃になったタイミングにおいて、密閉空間4aの作動油をネジ孔24C、連通孔24B及び下側のネジ孔24Aを介してカップ28の内部空間28aに排出することができる。
【0031】
また、本実施形態では、エンドプラグ17等と比べて作動油の内圧の影響を受けにくい回転軸24の内部に作動油排出路を閉鎖する為の樹脂製ネジ38が配置されているので、通常の使用時に作動油の内圧が急増して作動油が樹脂製ネジ38の箇所から外部に漏れることがない。
【0032】
また、本実施形態では、カップ28の内部空間28aに排出された作動油を、ドアクローザ1の正面側(正面壁6側)に位置すると共に回転軸24の軸線に対して傾斜する排出孔28Aを介して床に落下させるようにしているので、作動油をドア104から離れる方向(反ドア104側)にドア104から遠ざけるように排出することができ、高温となったドア104に作動油が付着することを防ぐことができる。
【0033】
また、本実施形態では従来からドアクローザ1が備えているカップ28を利用し、カップ28に形成した排出孔28Aから作動油を床に落下させるようにしているので、樹脂製ネジ38以外に部品が増えることがなく、意匠性も優れている。
【0034】
本発明のドアクローザは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、上述した実施形態において速度調整弁37は金属製とされていたが、樹脂製部材としての樹脂製ネジ38よりも融点が十分に高いことを条件に速度調整弁37は樹脂製であってもよい。
【0035】
また、上述した実施形態においては、回転軸24に形成されたネジ孔24Cに樹脂製ネジ38がねじ込まれていたが、ネジ孔24Cをネジが形成されない孔とし、樹脂製ボールや樹脂製ピンを圧入することにより作動油排出通路を閉鎖するようにしてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態においては、回転軸24に形成されたネジ孔24Cに樹脂製ネジ38がねじ込まれていたが、図7に示すように、ネジ孔24Cをネジが形成されない孔24Dとし、ネジ孔24A、24Aに樹脂製ネジ39、39をねじ込むことにより作動用排出通路を閉鎖するようにしてもよい。このように構成した場合には、ハウジング4が120〜200℃になったタイミングにおいて、樹脂製ネジ39を溶解させて回転軸24の下端24bから作動油をカップ28の内部空間28aに排出することができる。
【0037】
また、上述した実施形態においては、カップ28の凸部28Cをハウジング4の凹部9Bに嵌合させることにより、カップ28の位置決めを行うようにしたが、凹部9Bをネジ穴とし、カップ28にネジ挿通孔を形成してカップ28をネジでネジ止めするようにしてもよい。この場合、ネジ穴、ネジ挿通孔及びネジが本発明の位置決め手段に相当する。また、図8に示すようにカップ28に位置規制部28Dを設け、この位置規制部28Dがドアクローザ1の正面側(正面壁6側)に位置させない限り、位置規制部28Dがハウジング4の下面壁9と干渉し、カップ28を円柱状部9Aに圧入することができないようにしてもよい。この場合、位置規制部28Dが本発明の位置決め手段に相当する。
【0038】
また、上述した実施形態においては、カップ28の底面は水平面とされていたが、図9に示すように、カップ28の底面は、排出孔28Aの位置からドア104側(図9の右方向)に向かってカップ28の高さ(ハウジング4の下面壁9からカップ28の底面までの長さ)が小さくなる傾斜面として形成してもよい。カップ28がこのような傾斜面を備えていれば、排出孔28Aから排出された作動油がカップ28を伝わってドア104に付着することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 ドアクローザ
2a 高圧室
2b 低圧室
4 ハウジング
4a 密閉空間
6 正面壁
9 下面壁
9A 円柱状部
9B 凹部(位置決め手段)
10 側面壁
15 ピストン
16 コイルスプリング(ピストン付勢手段)
17 エンドプラグ
21 ラック・ピニオン機構
22 ラック
23 ピニオン
24 回転軸
24A ネジ孔(作動油排出路)
24B 連通孔(作動油排出路)
24C ネジ孔(作動油排出路)
24D 孔(作動油排出路)
24a 上端
24b 下端
28 カップ
28A 排出孔
28B 位置決め部
28C 凸部(位置決め手段)
28D 位置規制部(位置決め手段)
29 リンク機構
37 速度調整弁
38 樹脂製ネジ(樹脂製部材)
39 樹脂製ネジ(樹脂製部材)
101 ドア開口部
102 上枠
104 ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油が充填された密閉空間を有するハウジングと、
上記密閉空間にピストン付勢手段により付勢された状態で往復移動可能に配置されたピストンと、
該ピストンに組み込まれたラック・ピニオン機構と、
該ラック・ピニオン機構のピニオンに上記ハウジングを上下に貫挿するように回転一体に連結された回転軸と、
一端が上記回転軸の上端に連結されるとともに、他端が建物のドア開口部の上枠側に連結されたリンク機構と、
上記ハウジングの側面壁に挿着され、上記ピストンの移動に連動して上記密閉空間を流動する作動油の流量を制御することでドアの閉速度を調整する速度調整弁とを備え、
ドアの開操作によりその回転動作を上記リンク機構、回転軸及びラック・ピニオン機構を介してピストンの直線動作に変換して該ピントンを上記ピストン付勢手段の付勢力に抗してハウジングの密閉空間で移動させ、ドアから手を離すことにより上記ピストンを上記ピストン付勢手段の付勢力によりハウジングの密閉空間で移動させてドアをゆっくりと自動的に閉めるように構成されたドアクローザであって、
該回転軸は該ハウジングが高温となった際に該密閉空間から作動油を排出する為の作動油排出路を備え、
該作動油排出路が樹脂製部材によって閉鎖されていることを特徴とするドアクローザ。
【請求項2】
該回転軸の下端を覆うカップが設けられ、該作動油排出路から排出された作動油は該カップに形成された排出孔を介して外部に排出されることを特徴とする請求項1に記載のドアクローザ。
【請求項3】
該排出孔をドアクローザの正面側に位置させる位置決め手段を備えることを特徴する請求項2に記載のドアクローザ。
【請求項4】
該排出孔は該回転軸の軸線に対して傾斜して形成されていることを特徴とする請求項3に記載のドアクローザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−100655(P2013−100655A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244124(P2011−244124)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)