説明

ドアロック装置

【課題】ロックレバーの組み付け作業性を向上させることが可能なドアロック装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明のドアロック装置10は、第1ケース分割体50にアクティブレバー25を組み付けるとき、アクティブレバー25は、節度バネ27から付勢力を受けない待機位置に組み付けられ、節度バネ27とホイール回転軸54とによってその待機位置に保持される。第1ケース分割体50と第2ケース分割体70との合体過程では、筒形ストッパ突部64の先端部に形成された円錐テーパ面64G1が、アクティブレバー25の円弧孔25Sの開口縁に形成された誘導傾斜面25Gと摺接してアクティブレバー25を節度バネ27に押し付ける側に回動させて、待機位置からロック位置又はアンロック位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに固定されてドアをロック及びアンロックするドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のドアロック装置としては、ロック位置とアンロック位置との間で回動するロックレバーと、ロック位置とアンロック位置との中間位置から遠ざけるようにロックレバーを付勢する弾性部材と、ロックレバーをロック位置及びアンロック位置で受け止めるストッパ部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−140811号公報(段落[0044]〜[0046]、第14図、第15図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来のドアロック装置では、ロックレバーを組み付けるときの組み付け可能範囲が、ストッパ部によってロック位置とアンロック位置との間に制限されていた為、弾性部材の付勢力に抗してロックレバーを組み付ける必要があり、組み付けの作業性が悪かった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ロックレバーの組み付け作業性を向上させることが可能なドアロック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るドアロック装置は、車両のドアに固定される支持ケース内のロックレバーがロック位置とアンロック位置との間を回動してドアをロック及びアンロックするドアロック装置であって、ロックレバーをロック位置とアンロック位置との中間位置から遠ざけるように付勢する弾性部材を備えて、その弾性部材の付勢力によって、ロックレバーのストッパ当接部を支持ケースに設けられたストッパ部にロック位置又はアンロック位置で押し付けるドアロック装置において、支持ケースは、ロックレバーを回動可能に支持しかつ弾性部材を弾性変形可能に支持した第1ケース分割体と、ストッパ部を有した第2ケース分割体とを、ロックレバーの回動軸方向で合体してなり、第1ケース分割体に設けられ、第1ケース分割体と第2ケース分割体が分離した状態で、弾性部材と協働してロックレバーの回動を規制し、ロックレバーが弾性部材から付勢力を受けずかつストッパ当接部が回動軸方向でストッパ部と対向する待機位置にロックレバーを保持する待機位置保持手段と、第1ケース分割体と第2ケース分割体とに設けられ、合体過程の第1ケース分割体と第2ケース分割体との横ずれを規制するように互いに係合して、ストッパ当接部とストッパ部とが回動軸方向で対向した状態に維持する合体ガイドと、ストッパ部又はストッパ当接部の一方に設けられて、第1ケース分割体及び第2ケース分割体の合体過程で他方に摺接してロックレバーを弾性部材に押し付ける側に回動させて待機位置からロック位置又はアンロック位置に移動するストッパガイドとを備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のドアロック装置において、ストッパ部又はストッパ当接部の一方に設けられたストッパガイドが他方に摺接する前に、合体ガイドが互いに係合するところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のドアロック装置において、ロックレバーの回動中心を中心とした円弧孔をロックレバーに貫通形成して、その円弧孔の一端部の開口縁をストッパ当接部とし、第2ケース分割体から突出して円弧孔の内部に突入した筒形ストッパ突部を設けてストッパ部とすると共に、その筒形ストッパ突部の先端部にテーパ面を形成してストッパガイドとし、さらに、第1ケース分割体から突出して合体過程で筒形ストッパ突部の内側にスライド係合するガイド支柱を設けて、そのガイド支柱と筒形ストッパ突部とを合体ガイドとしたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載のドアロック装置において、ロックレバーの回動中心に貫通形成された回動中心孔と、第1ケース分割体から突出して回動中心孔に挿入され、ロックレバーを回動可能に支持する円筒軸支突部と、第2ケース分割体から突出して合体過程で円筒軸支突部の内側にスライド係合する軸心支柱とを設けたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載のドアロック装置において、ガイド支柱の基端部で、ロックレバーに連動して回動する連動回動部品を回動可能に軸支したところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
[請求項1の発明]
請求項1の構成を備えたドアロック装置によれば、ロックレバーを回動可能に支持した支持ケースは、ロックレバーの回動軸方向で第1ケース分割体と第2ケース分割体とを合体してなり、第1ケース分割体には、ロックレバーと、ロックレバーを付勢する弾性部材とが支持され、第2ケース分割体には、ロックレバーを弾性部材の付勢力に抗してロック位置又はアンロック位置で受け止めるストッパ部が備えられている。そして、ドアロック装置を組み立てる際には、第1ケース分割体と第2ケース分割体とが分離した状態で弾性部材とロックレバーとを第1ケース分割体に組み付け、次いで、その第1ケース分割体と第2ケース分割体とを合体させる。
【0012】
第1ケース分割体にロックレバーを組み付けるとき、ロックレバーは、弾性部材から付勢力を受けない待機位置に組み付けられ、弾性部材と待機位置保持手段とによってその待機位置に保持される。また、第1ケース分割体と第2ケース分割体との合体過程では、それらに設けられた合体ガイドの係合によって第1ケース分割体と第2ケース分割体との横ずれが規制され、待機位置に保持されたロックレバーのストッパ当接部と第2ケース分割体が有するストッパ部とが、ロックレバーの回動軸方向で対向した状態で維持される。そして、第1ケース分割体と第2ケース分割体との合体過程で、ストッパ部又はストッパ当接部の一方に設けられたストッパガイドが他方に摺接してロックレバーを弾性部材に押し付ける側に回動させる。つまり、第1ケース分割体に対して待機位置で保持されていたロックレバーが、第1ケース分割体と第2ケース分割体との合体過程で待機位置からロック位置又はアンロック位置へと移動する。
【0013】
このように、本発明によれば、ロックレバーが第1ケース分割体に支持されるのに対して、ストッパ部が第2ケース分割体に設けられており、ロックレバーを第1ケース分割体に組み付けるときに、ロックレバーは弾性部材から付勢力を受けない待機位置に組み付けることができる。即ち、従来のように弾性部材の付勢力に抗してロックレバーを組み付ける必要がなくなり、ロックレバーの組み付け作業性が向上する。
【0014】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、第1ケース分割体と第2ケース分割体とを合体させるときに、ロックレバーが待機位置から移動して弾性部材から付勢力を受け始めるより前に、合体ガイド部が互いに係合するから、第1ケース分割体と第2ケース分割体との合体をスムーズに行うことができる。
【0015】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、第1ケース分割体と第2ケース分割体との合体過程で、第2ケース分割体から突出した筒形ストッパ突部が、ロックレバーに貫通形成された円弧孔の内側に突入すると共に、筒形ストッパ突部の先端部に形成されたテーパ面が、円弧孔の一端部の開口縁に摺接することで、ロックレバーが待機位置からロック位置又はアンロック位置へと移動する。また、この合体過程において、第1ケース分割体から突出したガイド支柱が、筒形ストッパ突部の内側にスライド係合することで、合体過程における第1ケース分割体と第2ケース分割体との横ずれが規制される。このように、本発明によれば、筒形ストッパ突部を、ストッパ部と合体ガイドとに兼用することができる。
【0016】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、第1ケース分割体から突出してロックレバーを回動可能に支持した円筒軸支突部の内側に、第2ケース分割体から突出した軸心支柱がスライド係合したことで、円筒軸支突部をその軸方向の両端で支持することができ、剛性を確保することができる。
【0017】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、第1ケース分割体に備えた合体ガイドとしてのガイド支柱を、連動回動部品を回動可能に軸支した回動軸部に兼用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るドアロック装置の正面図
【図2】ドアロック装置の側面図
【図3】ドアロック装置の裏側の斜視図
【図4】アンラッチ状態のドアロック装置の側面図
【図5】ラッチ状態のドアロック装置の側面図
【図6】リフトレバー、オープンリンク等の側面図
【図7】リフトレバー、オープンリンク等の側面図
【図8】第1ケース分割体に組み付けられたモータ、アクティブレバー等の正面図
【図9】第1ケース分割体を外した状態のドアロック装置の斜視図
【図10】ロック状態のドアロック装置の一部を拡大した正面図
【図11】アンロック状態のドアロック装置の一部を拡大した正面図
【図12】図1のX−X切断面における断面図
【図13】図1のY−Y切断面における断面図
【図14】第2ケース分割体を外した状態のドアロック装置の正面図
【図15】第2ケース分割体を外した状態のドアロック装置の断面図
【図16】ケース分割体の合体過程におけるドアロック装置の断面図
【図17】ケース分割体の合体過程におけるドアロック装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図17に基づいて説明する。本実施形態のドアロック装置10は、例えば、略直角に屈曲した支持ボディ11(図3参照)に複数の部品を回動可能に支持してなる。そして、支持ボディ11のうち屈曲部分より一方側の第1外面11A(図2参照)が、例えば、車両の右横に配置された回動式のドア(図示せず)における回動中心と反対側の端部壁に内面から宛われて固定される。
【0020】
図2に示すように、支持ボディ11の第1外面11Aには、水平方向に延びたストライカ受容溝12が開口している。そのストライカ受容溝12の一端のストライカ受容口12Kが、支持ボディ11のうち屈曲部分を挟んで第1外面11Aと反対側の第2外面11B(図1参照)に開口している。そして、ドアに形成された切り欠き孔を通してストライカ受容溝12がドアの外部に露出し、車両本体のドア枠の内面に備えたストライカ15(図4参照)が、ドアを閉めた際に、ストライカ受容口12Kからストライカ受容溝12内に進入するようになっている。
【0021】
ストライカ15は、例えば断面円形の線材を屈曲させた門形構造をなし、その門形構造の1対の脚部がドア枠の内面から突出しかつ内外方向に並べられている。そして、ストライカ15の1対の脚部のうち外寄りに配置された一方の脚部に、次述するラッチ13が係合する。なお、図4及び図5には、ストライカ15のうちラッチ13と係合する部分のみが示されている。
【0022】
図2に示すように、支持ボディ11の第1外面11Aには、蓋体11Fが備えられ、その蓋体11Fより内側に図4及び図5に示したラッチ13及びラチェット14(「ポール」と呼ばれることもある)が組み付けられている。図4に示すように、ラッチ13は、互いに平行になった第1と第2の係止爪13A,13Bを有し、それら第1と第2の係止爪13A,13Bの間がストライカ受容部13Cになっている。そして、ラッチ13のうち第1と第2の係止爪13A,13B同士を連絡する部分に備えたラッチ回動軸13Jが、支持ボディ11におけるストライカ受容溝12より上側部分に回動可能に支持されて、ラッチ13が支持ボディ11の第1外面11Aと平行な面内で回動する。
【0023】
また、ラッチ13は、支持ボディ11との間に設けた図示しないトーションバネによりアンロック方向(図4の時計回り方向)に付勢されている。そして、ドアを開けた状態では、ラッチ13に備えたレバー干渉部当接部13Dと支持ボディ11に備えたレバー干渉部11Xとの当接によりラッチ13がアンラッチ位置(図4に示した位置)に位置決めされる。
【0024】
そのアンラッチ位置では、第1係止爪13Aがストライカ受容溝12の上方に退避しかつ、第2係止爪13Bがストライカ受容溝12を横切った状態になり、ストライカ受容部13Cの開口端がストライカ受容溝12のストライカ受容口12K側を向く。そして、ストライカ受容溝12に進入したストライカ15がストライカ受容部13C内に受容されると共に、ストライカ15が第2係止爪13Bを押してラッチ13がロック方向(図4における反時計回り方向)に回動する。これにより、図3に示すように、ストライカ受容溝12のうちストライカ15よりストライカ受容口12K側が第1係止爪13Aによって塞がれて、ラッチ13がストライカ15と噛み合った状態になる。
【0025】
ラチェット14は、ラッチ13をストライカ15と噛み合った状態に保持するためのものであり、支持ボディ11のうちストライカ受容溝12より下方位置に配置されたラチェット回動軸14Jを中心にしてラッチ13と同じ平面内で回動する。また、ラチェット14は、ラチェット回動軸14Jからラッチ回動規制片14Aとレバー干渉部片14Bとを相反する方向に突出させて備えている。さらに、ラチェット14は、支持ボディ11との間に取り付けられた図示しないトーションバネによってラチェット14が図4における反時計回り方向に付勢されている。これにより、ラチェット14は、通常は、レバー干渉部片14Bが支持ボディ11に備えたラチェットレバー干渉部11Dに当接した原点位置に位置決めされている。この原点位置で、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aとラッチ13の第1係止爪13A及び第2係止爪13Bとが干渉し、ラチェット14が原点位置から時計回りに回動してリリース位置に至ると、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aとラッチ13の第1係止爪13A及び第2係止爪13Bとが干渉しなくなる。
【0026】
ドアを開いた状態から閉じると、以下のようにしてラチェット14がラッチ13に係合する。ドアが閉じられると、ストライカ15に押されて回動するラッチ13の第2係止爪13Bと第1係止爪13Aとが順次、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aを押し下げて通過する。そして、ドアがドア枠との間の防音部材を最大限に押し潰した位置に至ると、ラッチ13は、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aから第2係止爪13Bが僅かに離間したオーバーストローク位置に至り、これにより、ラチェット14は原点位置に戻る。そして、防音部材の弾発力でドアが押し戻されると、ラッチ13の第1係止爪13Aに対し、ストライカ受容部13Cの反対側からラチェット14のラッチ回動規制片14Aが突き当たり、ラッチ13がフルラッチ位置に位置決めされる。これにより、ラッチ13のロック解除方向への回動が規制されたラッチホールド状態になり、ドアが全閉状態に保持される。
【0027】
ラチェット14によるラッチ13の回動規制は、ドアの外面に備えた図示しないアウトサイドドアハンドルと、ドアの車内面に備えた図示しないインサイドドアハンドルとの何れかによって解除することができる。それらアウトサイドドアハンドル及びインサイドドアハンドルからの操作力をラチェット14に伝達するために、図6(A)に示したリフトレバー16が、ラチェット回動軸14Jに一体回転可能に取り付けられている。
【0028】
具体的には、ラチェット回動軸14Jは、支持ボディ11のうち蓋体11F(図2参照)と対向するベース壁11C(図4参照)を貫通した状態で支持ボディ11に回動可能に支持されていて、そのラチェット回動軸14Jのうちベース壁11Cの裏面側に突出した端部に図6(A)に示したリフトレバー16が一体回転可能に固定されている。
【0029】
リフトレバー16には、ラチェット回動軸14Jからストライカ受容溝12(図4参照)のストライカ受容口12K側(以下、これを「前側」といい、その反対側を「後側」という)に向かって突出した第1傾動アーム16Aと、ラチェット回動軸14Jから後側の斜め下方に向かって突出した第2傾動アーム16Cとが備えられている。第1傾動アーム16Aには、その先端部をラチェット回動軸14Jの軸方向に折り曲げてなる先端当接部16Bが設けられると共に、第2傾動アーム16Cには、その先端部をラチェット回動軸14Jの軸方向に折り曲げかつ、第2傾動アーム16Cより前側斜め下方に突出させた突当突片16Dが備えられている。
【0030】
ラチェット回動軸14Jより後側の斜め下方位置には、ラチェット回動軸14Jと平行にアウトサイドオープンレバー回動軸17Jが設けられ、そのアウトサイドオープンレバー回動軸17Jにアウトサイドオープンレバー17が回動可能に支持されている(図2参照)。
【0031】
アウトサイドオープンレバー17には、アウトサイドオープンレバー回動軸17Jから前側に突出した支持アーム17Aと、アウトサイドオープンレバー回動軸17Jから後側に突出した操作アーム17Dとが備えられている。そして、アウトサイドオープンレバー17は、図示しない回動規制部によって回動範囲を規制され、図6(A)及び図6(B)に示された無作動位置と、その無作動位置より所定角だけ同図の時計回り方向に回動した作動位置(図7(A)及び図7(B)参照)との間を回動する。また、アウトサイドオープンレバー17は、図6(A)に示したトーションバネ18(図6(B),図7(A)及び図7(B)では省略)によって、無作動位置側に付勢されている。
【0032】
支持アーム17Aの先端部には、係合孔17Bがアウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向と平行な方向に貫通形成されている。その係合孔17Bは、円形孔の内周面における180度離れた2位置から互いに接近する側に1対の山形突部17T,17Tを突出させた形状になっている。
【0033】
支持アーム17Aの先端の下縁部からは、受圧片17Cがアウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向に折り曲げられて突出している。そして、インサイドドアハンドルを操作したときに受圧片17Cに後述するインサイドオープンレバー20が下方から当接してアウトサイドオープンレバー17を無作動位置から作動位置へと回動させる。
【0034】
また、操作アーム17Dにおける先端の上縁部からは、ロッド係止片17Eがアウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向に折り曲げられて突出している。そして、このロッド係止片17Eに接続された図示しないロッドがアウトサイドドアハンドルに接続され、アウトサイドドアハンドルが操作されると、ロッド係止片17Eが下方に引っ張られてアウトサイドオープンレバー17が無作動位置から作動位置へと回動する。
【0035】
図6(A)に示すように、アウトサイドオープンレバー17の係合孔17Bには、オープンリンク19の係合突片19Aが回動可能に係合している。オープンリンク19は、全体が上下方向に延びた形状をなし、下端部からアウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向に上記した係合突片19Aが突出している。そして、オープンリンク19は、係合孔17Bにおける前記した1対の山形突部17T,17Tによって回動範囲が規制され、前側に倒れたアンロック位置と、後側に倒れたロック位置との間を回動する。また、図6(A)に示すように、オープンリンク19とアウトサイドオープンレバー17との間には、トーションバネ29(図6(B),図7(A)及び図7(B)では省略)が設けられ、このトーションバネ29によってオープンリンク19は、アンロック位置側に付勢されている。
【0036】
オープンリンク19の上縁部からは、押上突片19Cがアウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向に折り曲げて突出している。そして、オープンリンク19がアンロック位置に配置されると、図6(B)に示すように、押上突片19Cがリフトレバー16における先端当接部16Bの下方に位置し、この状態でアウトサイドオープンレバー17が無作動位置から作動位置に回動すると、図7(B)に示すように、押上突片19Cがリフトレバー16の先端当接部16Bを押し上げる。これによりリフトレバー16がラチェット14(図5参照)と共に原点位置からリリース位置へと回動し、ラチェット14とラッチ13との係合が解除されて、ドアが開かれる。
【0037】
一方、オープンリンク19がロック位置に配置されると、図6(A)に示すように、押上突片19Cはリフトレバー16における先端当接部16Bよりラチェット回動軸14J側にずれる。よって、この状態でアウトサイドオープンレバー17が無作動位置から作動位置に回動しても、図7(A)に示すように、押上突片19Cがリフトレバー16の先端当接部16Bを押し上げることがなくなる。即ち、オープンリンク19がロック位置に配置されたときには、アウトサイドドアハンドルを操作してもドアを開くことができないロック状態になる。
【0038】
オープンリンク19の上端部のうち後縁部からは、回動規制突部19Dがアウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向に折り曲げられると共に、その回動規制突部19Dが押上突片19Cより上方に突出している。また、回動規制突部19Dの上端部は、前側に向けて山形状に折り曲げられている。そして、オープンリンク19がアンロック位置にある場合に、アウトサイドオープンレバー17が作動位置に回動すると、この回動規制突部19Dは、支持ボディ11に備えたアンロック維持突部11E(図9参照)によってガイドされながら持ち上げられる。即ち、回動規制突部19D及びアンロック維持突部11Eは、アクティブレバー25のアクティブ作用アーム25Cから離れたオープンリンク19をアンロック状態に保持するものである。
【0039】
オープンリンク19の下端寄り位置からは下端アーム19Fが前方に突出していて、その下端アーム19Fの下縁部から、ロック解除片19Bがアウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向に折り曲げられかつ前方に突出している。そして、このロック解除片19Bを、後述するアクティブレバー25が上方に押し上げることで、オープンリンク19がアンロック位置からロック位置に切り替えられる。
【0040】
オープンリンク19の上下方向における中間部の前縁部からは、規制受部19Eがアウトサイドオープンレバー回動軸17Jの軸方向に折り曲げられている。この規制受部19Eに関しては、後述するアクティブレバー25と共に説明する。
【0041】
なお、オープンリンク19がロック位置に配置された状態でドアが閉められると、そのドアの閉塞過程でラチェット14と共に回動するリフトレバー16の突当突片16Dがオープンリンク19を後方から押圧してアンロック位置に移動させるようになっている。即ち、本実施形態のドアロック装置10には、ロック状態にしてドアを閉めると、そのロック状態が解消されるというキャンセル機能が備えられている。
【0042】
上記したラッチ13,ラチェット14,リフトレバー16,アウトサイドオープンレバー17は、支持ボディ11の第1外面11A(図2参照)と直交する方向を向いた回動中心軸回りを回動するように支持ボディ11に支持されていたが、後述するインサイドオープンレバー20、アクティブレバー25等は、図8に示すように、支持ボディ11の第2外面11Bと直交する方向を向いた回動中心軸回りを回動するように支持ボディ11に支持されている。
【0043】
ここで、支持ボディ11について改めて説明しておく。支持ボディ11は、第2外面11Bと直交する方向で、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60とを合体してなる支持ケース110(図2及び図3参照)に対し、第1外面11Aと直交する方向からラッチモジュール120(図1及び図2参照)を組み付けた構造となっている。ラッチモジュール120は、前記した蓋体11F、ベース壁11C等に対してラッチ13、ラチェット14、リフトレバー16等を組み付けた構成となっている。一方、支持ケース110には、アウトサイドオープンレバー17、インサイドオープンレバー20、アクティブレバー25等が組み付けられている。
【0044】
支持ケース110のうち、第1ケース分割体50は、略直角に屈曲したベース主板壁51の外縁部から第1外面11A及び第2外面11Bに向かってベース囲壁52を張り出した構成をなしており、さらに、ベース囲壁52の先端部が側方に張り出してフランジ部52Fが形成されている。また、第2ケース分割体60は、第2外面11Bを構成するベース主板壁61の外縁部から第1ケース分割体50に向かってベース囲壁62を張り出した構成をなしており、ベース囲壁62の先端部が側方に張り出してフランジ部62Fを形成している(図9参照)。そして、第1ケース分割体50のベース主板壁51のうち屈曲部より一方側の部分と、第2ケース分割体60のベース主板壁61とが、第2外面11Bと直交する方向で対向配置され、フランジ部52F,62F同士が、例えば、レーザー溶着されている。なお、以下の説明において、第1ケース分割体50の「ベース主板壁51」とは、特記しない限り、第2ケース分割体60のベース主板壁61と対向する壁部のことを指す。
【0045】
図8に示すように、インサイドオープンレバー20は、支持ケース110のうち第2外面11Bに向かって右側部の下端寄り位置に配置されたインサイドオープンレバー回動軸20Jを中心に回動する。また、インサイドオープンレバー20の一部は、インサイドオープンレバー回動軸20Jから支持ケース110における横方向の中央側に向かって延び、その先端部がインサイドオープンレバー回動軸20Jの軸方向に折り曲げられて押上当接部20Bになっている。また、インサイドオープンレバー20の別の一部は、下方に向かって突出していて、その先端部がケーブル係止部20Aになっている。そして、そのケーブル係止部20Aに、ケーブルW1(図1参照)を介してインサイドドアハンドルが接続されている。なお、ケーブルW1は、例えば、中空構造のアウターケーブルの内側にインナーケーブルが移動可能に挿通された、所謂、コントロールケーブルであり、アウターケーブルの端部から露出したインナーケーブルの先端部がケーブル係止部20Aに接続されている。
【0046】
また、インサイドオープンレバー20は、ケーブルW1が組み付けられていることで、図8に示した無作動位置に保持されている。そして、インサイドドアハンドルが操作されると、ケーブルW1を介してインサイドオープンレバー20が図8における左側に引っ張られて、インサイドオープンレバー20が作動位置まで同図における時計回りに回動する。その間、インサイドオープンレバー20の押上当接部20Bが前述したアウトサイドオープンレバー17の受圧片17C(図6,図7及び図9参照)を押し上げ、アウトサイドオープンレバー17も無作動位置から作動位置まで回動する。このとき、オープンリンク19がアンロック位置に配置されていれば、前述したようにドアが開き、オープンリンク19がロック位置に配置されていれば、ドアは開かない。なお、インサイドドアハンドルの操作を止めると、インサイドオープンレバー20は、インサイドドアハンドルに設けられた図示しないスプリングにて作動位置から無作動位置に移動する。
【0047】
図8に示すように、オープンリンク19をアンロック位置からロック位置に切り替えるためのアクティブレバー25(本発明の「ロックレバー」に相当する)は、支持ケース110のうちオープンリンク19を挟んでインサイドオープンレバー回動軸20Jの反対側位置に配置されたアクティブレバー回動軸53(本発明の「円筒軸支突部」に相当する)を中心に回動する。図13に示すように、アクティブレバー回動軸53は、支持ケース110を構成する第1ケース分割体50に一体成形され、そのベース主板壁51から第2ケース分割体60のベース主板壁61に向かって起立している。アクティブレバー回動軸53は、その芯部に先端開放の軸心孔53Hを有した円筒形状をなしている。
【0048】
アクティブレバー25は、アクティブレバー回動軸53の外側に回転可能に嵌合した円筒部25Hと、円筒部25Hの外周面から上方に張り出した第1扇形突片25Aと、円筒部25Hの外周面から斜め左下方に張り出した扇形の第2扇形突片25Dと、円筒部25Hの外周面から斜め右側に突出したアクティブ作用アーム25Cとを備えている(図8参照)。なお、円筒部25Hを軸方向に貫いた孔が、本発明の「回動中心孔」に相当する。
【0049】
図9に示すように、第2扇形突片25Dの裏面(ベース主板壁51との対向面)からは、アクティブレバー回動軸53と平行な方向に円柱状の節度ピン25Pが突出している。また、ベース主板壁51のうち、第2扇形突片25Dとの対向面には、節度バネ27(本発明の「弾性部材」に相当する)が取り付けられている。節度バネ27は、バネ線材の中間部をコイル状に巻回すると共に両端部を対向させかつ、それら対向部分の先端寄り位置を互いに接近させる側に山形状に屈曲させて1対の摺接突部27A,27Aを備えた構造になっている。そして、アクティブレバー25の節度ピン25Pが1対の摺接突部27A,27Aの間に挿通されており、アクティブレバー25が図10に示したロック位置と、図11に示したアンロック位置との間を回動する際に、節度ピン25Pが、1対の摺接突部27A,27Aの間を押し広げながら通過することで、アクティブレバー25が、ロック位置かアンロック位置の何れかに付勢されて、それらの中間領域で留まらないようになっている。
【0050】
即ち、節度バネ27は、アクティブレバー25を、ロック位置とアンロック位置との中間位置から遠ざけるように付勢しており、節度ピン25Pが中間位置(1対の摺接突部27A,27Aの頂部の間)をロック位置側に乗り越えると、アクティブレバー25はロック位置側に向けて付勢され、節度ピン25Pが中間位置をアンロック位置側に乗り越えると、アクティブレバー25はアンロック位置側に向けて付勢される。
【0051】
また、後述するが、アクティブレバー25は、支持ケース110に設けられた筒形ストッパ突部64(本発明の「ストッパ部」に相当する)と当接することで、ロック位置とアンロック位置とに位置決めされ(図10及び図11参照)、それらロック位置及びアンロック位置では、節度バネ27の付勢力によって筒形ストッパ突部64に押し付けられている。これにより、アクティブレバー25の回動方向におけるガタつきが無くされ、ロック位置とアンロック位置との2位置でのみ停止可能となっている。
【0052】
図6及び図7に示すように、アクティブ作用アーム25Cの先端部は、オープンリンク19におけるロック解除片19Bに下方から対向している。そして、図11から図10への変化に示すように、アクティブレバー25がアンロック位置からロック位置に回動するときに、アクティブ作用アーム25Cがロック解除片19Bを押し上げてオープンリンク19をアンロック位置からロック位置に移動する。
【0053】
図8に示すように、第1扇形突片25Aのうちアクティブ作用アーム25Cに近い側の一側縁部からは、ロック維持アーム25Bが突出している。ロック維持アーム25Bの一部は、オープンリンク19の規制受部19Eに対して対向していて、ロック維持アーム25Bの先端部からは、規制受部19E側に向かってロック維持突部25T(図7(A),図9参照)が突出している。そして、アクティブレバー25がアンロック位置に配置されると、ロック維持突部25Tが規制受部19Eの前方からずれ、アクティブレバー25がロック位置に配置されると、図7(A)に示すように、ロック維持突部25Tが規制受部19Eに前方から突き合わされる。これにより、アクティブレバー25がロック位置に配置されたときには、インサイドオープンレバー20又はアウトサイドオープンレバー17によってオープンリンク19が押し上げられて、オープンリンク19のロック解除片19Bがアクティブ作用アーム25Cから離間してもロック維持突部25Tによってオープンリンク19がロック状態に保持される。
【0054】
図8に示すように、第2扇形突片25Dの下端部からはケーブル結合片25Eが張り出している。そのケーブル結合片25Eには、ケーブルW2(図1参照)を介してドアの内面に備えたロック操作部が接続されている。そして、ロック操作部を操作することで、アクティブレバー25をアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。なお、ケーブルW2も、上記したケーブルW1と同様な構成(例えば、コントロールケーブル)である。
【0055】
アクティブレバー25は、ドアの内面のロック操作部以外にも車内の集中ロックや無線キーによってアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。そのために、モータ22、コネクタ22C、バスバー回路22B等の電機部品が支持ケース110に取り付けられている。図8に示すように、モータ22は、支持ケース110のうちアクティブレバー25の上方に配置され、モータ22の回転出力軸は第2外面11Bと平行になって斜め下方に突出し、その回転出力軸にウォームギヤ23が固定されている。
【0056】
ウォームギヤ23に噛合するウォームホイール24は、ホイール回転軸54を中心に回転し、そのホイール回転軸54は、支持ケース110のうち、アクティブレバー回動軸53より上方に配置されている。図13に示すように、ホイール回転軸54は、支持ケース110を構成する第1ケース分割体50に一体成形され、ベース主板壁51から第2ケース分割体60のベース主板壁61に向かって起立している。ホイール回転軸54は、芯部に螺子孔54Aを有した円柱状をなしている。そして、ホイール回転軸54のうちベース主板壁51に近い基端側にウォームホイール24が回転可能に嵌合している。
【0057】
図8に示すように、ウォームホイール24の一部は、ベース主板壁51と第1扇形突片25Aとの間に位置しており、第1扇形突片25Aに貫通形成された円弧孔25Sに、ウォームホイール24を貫通したホイール回転軸54の先端部が突入している。円弧孔25Sは、アクティブレバー回動軸53を中心とした円弧状に延びている。
【0058】
図10及び図11に示すように、ウォームホイール24のうち第1扇形突片25Aとの対向面には、ホイール回転軸54を間に挟んだ2位置に1対の回転押圧突部24A,24Aが突出形成されている。これに対し、第1扇形突片25Aのうち円弧孔25Sよりアクティブレバー回動軸53から離れた側は、ウォームホイール24側に向かって厚肉になっていて、その厚肉部分における周方向の中央に係合溝25Mが形成されている。そして、ウォームホイール24は、通常は、回転押圧突部24A,24Aが円弧孔25Sの周方向に沿って並んだ位置に保持されていて、集中ロックや無線キーをロック操作すると、ウォームホイール24が図11における反時計回り方向に180度回転する。すると、そのウォームホイール24の回転中に一方の回転押圧突部24Aが係合溝25Mに進入してから係合溝25Mにおける左側の溝内面25Nを押圧し、アクティブレバー25が反時計回り方向に回動して、図11に示したアンロック位置から図10に示したロック位置に切り替わる。
【0059】
一方、集中ロックや無線キーをアンロック操作すると、ウォームホイール24が図10における時計回り方向に180度回転する。すると、ウォームホイール24の回転中に一方の回転押圧突部24Aが係合溝25Mに進入してから係合溝25Mにおける右側の溝内面25Lを押圧し、アクティブレバー25が時計回り方向に回動して、図10に示したロック位置から図11に示したアンロック位置に切り替わる。
【0060】
図8に示すように、第1扇形突片25Aから上方に向かって、検知アーム25Fが突出している。ベース主板壁51のうち、検知アーム25Fの回動領域の上方に検出スイッチ26が取り付けられ、その検出スイッチ26に備えた作動部が検知アーム25Fの回動領域内に突出している。検出スイッチ26の信号を車両が取得して、アクティブレバー25がアンロック位置とロック位置の何れかに位置しているかを認識することができる。
【0061】
なお、アクティブレバー25は、ドアの内面に備えたロック操作部だけでなく、外面に備えたキーシリンダ(図示せず)によってもアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。詳細な説明は省略するが、キーシリンダから入力した力は、キー操作伝達リンク30(図8及び図9参照)を介してアクティブレバー25に伝達される。
【0062】
図13に示すように、支持ケース110を構成する第2ケース分割体60のベース主板壁61のうち、アクティブレバー回動軸53の先端部が突き合わされた部分からは、ベース主板壁51に向かって軸心支柱63が起立している。軸心支柱63は、アクティブレバー回動軸53と同軸に延びかつ、アクティブレバー回動軸53の軸心孔53Hに嵌合している。これにより、アクティブレバー回動軸53がその軸方向の両端で第1ケース分割体50と第2ケース分割体60により支持された構造となり、アクティブレバー回動軸53の剛性が確保されている。また、軸心支柱63は先細り形状をなしており、軸心孔53Hの開口縁には、すり鉢状のガイドテーパ面53Gが形成されている。
【0063】
第2ケース分割体60のベース主板壁61のうち、ホイール回転軸54の先端部が突き合わされた部分からは、ベース主板壁51に向かって筒形ストッパ突部64が起立している。筒形ストッパ突部64は、ホイール回転軸54と同軸の円筒形をなしている。また、筒形ストッパ突部64は、アクティブレバー25の円弧孔25Sに突入しており、その円弧孔25Sの内側で、第1ケース分割体50から起立したホイール回転軸54の先端部の外側に嵌合している。これにより、ホイール回転軸54及び筒形ストッパ突部64が、共に軸方向の両端部で第1ケース分割体50と第2ケース分割体60とにより支持された構造となっている。また、筒形ストッパ突部64の先端部は、ウォームホイール24の回転中心に備えた軸受筒24Bに軸方向から突き当てられており、ベース主板壁51との間でウォームホイール24の軸方向への移動を禁止している(図13参照)。なお、ホイール回転軸54は、本発明の「ガイド支柱」に相当し、ウォームホイール24は、本発明の「連動回動部品」に相当する。
【0064】
図16に示すように、筒形ストッパ突部64のうちホイール回転軸54の先端部を受容した中心孔64Hは、第2ケース分割体60のベース主板壁61を貫通しており、そのベース主板壁61の外面(第2外面11B)側から中心孔64H内に挿入されたビス64Bが、ホイール回転軸54の螺子孔54Aに締め付けられている。
【0065】
また、筒形ストッパ突部64の外周面は、そのベース主板壁61に近い基端側では軸方向と平行な円筒外面64Aとなっており、先端側では軸方向に対して傾斜した円錐テーパ面64G1となっている。また、筒形ストッパ突部64が挿入された円弧孔25Sのうち、第2ケース分割体60側の開口縁全周に、内側に向かって下り傾斜した誘導傾斜面25Gが形成されている。
【0066】
さらに、筒形ストッパ突部64における中心孔64Hの開口縁と、ホイール回転軸54の先端外周縁にも、テーパ状の挿入ガイド面64G2、54Gが形成されている。
【0067】
アクティブレバー25は、円弧孔25Sのうち、第2外面11Bに向かって右端の内側面が筒形ストッパ突部64の円筒外面64Aに当接することでロック位置に位置決めされ(図10参照)、円弧孔25Sのうち第2外面11Bに向かって左端の内側面が筒形ストッパ突部64の円筒外面64Aに当接することでアンロック位置に位置決めされる(図11参照)。
【0068】
本実施形態のドアロック装置10の構成は以上である。このドアロック装置10は、第1ケース分割体50に、モータ22、ウォームホイール24、アクティブレバー25、節度バネ27等の各種部品を組み付けてから、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60とを合体させて支持ケース110を完成させ、その支持ケース110にラッチモジュール120を組み付けることで完成する。
【0069】
支持ケース110に組み付けられる部品のうち、モータ22、ウォームホイール24、節度バネ27、インサイドオープンレバー20、アウトサイドオープンレバー17については、組み付けの優先順位はなく、任意の順番で組み付けることができる。これに対し、アクティブレバー25は、図8及び図9に示すように、ウォームホイール24及び節度バネ27に重なる配置となっているので、ウォームホイール24及び節度バネ27を先に組み付けておいた状態で、アクティブレバー25をアクティブレバー回動軸53に組み付けることになる。
【0070】
アクティブレバー25を組み付けるときには、円弧孔25Sをホイール回転軸54に重ねると共に、第2扇形突片25Dを節度バネ27に重ねて、節度ピン25Pを1対の摺接突部27A,27Aの間に挿入する。このとき、アクティブレバー25は、図14に示すように、ロック位置(図10参照)又はアンロック位置(図11参照)よりも、それらの中間位置から遠ざかった位置であって、節度バネ27の付勢力を受けない待機位置(節度ピン25Pが1対の摺接突部27A,27Aに押されていない位置)に組み付けることができる。
【0071】
図14及び図15には、アクティブレバー25を、アンロック位置よりも中間位置から遠ざかった待機位置(「アンロック位置側の待機位置」という)にして、アクティブレバー回動軸53に組み付けたときの状態が示されている。同図に示すように、アンロック位置側の待機位置では、アクティブレバー25の円弧孔25Sのうち第2外面11Bに向かって左側の端部が、ホイール回転軸54の側面に当接するか又は近接配置される。また、図14に示すように、節度ピン25Pは、節度バネ27における1対の摺接突部27A,27Aの頂部よりもコイル部側に遊嵌されている。そして、ホイール回転軸54と節度バネ27とが協働してアクティブレバー25の回動を規制しており、アクティブレバー25はアンロック位置側の待機位置に保持される。なお、ホイール回転軸54は、本発明の「待機位置保持手段」に相当する。
【0072】
上記の如くアクティブレバー25を、「アンロック位置側の待機位置」に組み付けることができるのは、アクティブレバー25の回動領域をロック位置とアンロック位置との間に制限する筒形ストッパ突部64が、第2ケース分割体60に設けられており、第1ケース分割体50にアクティブレバー25を組み付ける時点では、筒形ストッパ突部64による取り付け位置の制限を受けないからである。従って、アクティブレバー回動軸53にアクティブレバー25を組み付ける際に、節度バネ27の付勢力に抗して組み付ける(詳細には、節度ピン25Pをその軸方向から節度バネ27の1対の摺接突部27A,27Aの間に割り込ませる)必要はなく、容易にアクティブレバー25を組み付けることができる。
【0073】
なお、以下の説明では、図14及び図15に示すように、アクティブレバー25をアンロック位置側の待機位置にして組み付けた場合を例示して説明を行うが、アクティブレバー25をロック位置よりも中間位置から遠ざかった待機位置にして組み付けた場合も同様である。
【0074】
アクティブレバー25等の支持ケース110に組み付けるべき部品を全て組み付けたら、第1ケース分割体50に第2ケース分割体60を被せて、これらをアクティブレバー25の回転軸方向で合体させる。具体的には、アクティブレバー回動軸53と軸心支柱63及びホイール回転軸54と筒形ストッパ突部64をそれぞれ目視で位置を合わせ、第1ケース分割体50に対して第2ケース分割体60を接近させていく。すると、まず、第2ケース分割体60から突出した軸心支柱63が、アクティブレバー回動軸53の軸心孔53Hに突入する(図16参照)。軸心支柱63は先細り形状をなしており、軸心孔53Hの開口縁には、すり鉢状のガイドテーパ面53Gが形成されているから、軸心支柱63とアクティブレバー回動軸53との嵌合をスムーズに開始することができる。
【0075】
第2ケース分割体60を第1ケース分割体50にさらに接近させると、第2ケース分割体60から突出した筒形ストッパ突部64が、アクティブレバー25の円弧孔25Sに対して突入を開始すると共に、アクティブレバー25の円弧孔25Sに第1ベース分割体50側から突入しているホイール回転軸54の先端部が、筒形ストッパ突部64の内側に突入を開始する(図17参照)。そして、筒形ストッパ突部64の円錐テーパ面64G1と、アクティブレバー25の円弧孔25Sの開口縁とが、合体方向(アクティブレバー25の回転軸方向)で対向する。なお、円弧孔25Sの開口縁は、本発明の「ストッパ当接部」に相当する。
【0076】
さらに第2ケース分割体60を第1ケース分割体50に接近させると、筒形ストッパ突部64の円錐テーパ面64G1が、円弧孔25Sの開口縁に摺接して、アクティブレバー25を待機位置から強制的に回動させる。詳細には、図15から図12又は図14から図11への変化に示すように、筒形ストッパ突部64の円錐テーパ面64G1が、円弧孔25Sのうち第2外面11Bに向かって左端の誘導傾斜面25Gと摺接して、円弧孔25Sとホイール回転軸54との間に割り込む(図12参照)。このとき、アクティブレバー25が、待機位置から筒形ストッパ突部64の筒壁の厚さ分だけ回動してロック位置又はアンロック位置に配置される。なお、円錐テーパ面64G1及び誘導傾斜面25Gは、本発明の「ストッパガイド」に相当する。
【0077】
図14から図11への変化に示すように、アクティブレバー25が待機位置からロック位置へと回動するとき、アクティブレバー25に備えた節度ピン25Pが、その軸方向と直交した方向で節度バネ27の1対の摺接突部27A,27Aの間に割り込む。すると、アクティブレバー25をロック位置とアンロック位置との中間位置から遠ざけるように付勢力が付与される。
【0078】
上記したように、筒形ストッパ突部64がアクティブレバー25の円弧孔25Sの開口縁と摺接してアクティブレバー25が待機位置から回動し、節度バネ27から付勢力を受け始めるよりも前に、アクティブレバー回動軸53と軸心支柱63及び、ホイール回転軸54と筒形ストッパ突部64とがそれぞれ合体方向でスライド係合しているから(図17参照)、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60の合体過程で、アクティブレバー25が節度バネ27の付勢力を受けるようになっても、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60が横ずれすることはない。よって、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60の合体作業をスムーズに行うことができる。なお、合体方向で凹凸嵌合するホイール回転軸54と筒形ストッパ突部64及び、軸心支柱63とアクティブレバー回動軸53は、それぞれ本発明に係る「合体ガイド」に相当する。
【0079】
また、円錐テーパ面64G1のみならず、円弧孔25Sの開口縁にも誘導傾斜面25Gが設けられ、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60との合体過程で筒形ストッパ突部64の円錐テーパ面64G1を誘導傾斜面25Gに摺接させることができるから、アクティブレバー25をよりスムーズに待機位置から回動させることができる。
【0080】
さらに、本実施形態では、図11に示すように、アクティブレバー回動軸53と筒形ストッパ突部64との軸間距離が、アクティブレバー回動軸53と節度ピン25Pとの軸間距離よりも大きくなっている。即ち、「作用点」である節度ピン25Pから「支点」であるアクティブレバー回動軸53までの距離に比べて、「支点」であるアクティブレバー回動軸53から「力点」である筒形ストッパ突部64までの距離の方が長くなっているから、第2ケース分割体60によってアクティブレバー25を節度バネ27の付勢力に抗して待機位置から回動させる際に、より軽い力で回動させることができる。もちろん、アクティブレバー回動軸53と筒形ストッパ突部64との軸間距離は、アクティブレバー回動軸53と節度ピン25Pとの軸間距離より小さくなっていてもよい。
【0081】
このように、本実施形態によれば、第1ケース分割体50にアクティブレバー25を組み付けるとき、アクティブレバー25は、節度バネ27から付勢力を受けない待機位置に組み付けられ、節度バネ27とホイール回転軸54とによってその待機位置に保持される。また、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60との合体過程では、それらに設けられたホイール回転軸54と筒形ストッパ突部64及び、軸心支柱63とアクティブレバー回動軸53の係合によって、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60との横ずれが規制され、待機位置に保持されたアクティブレバー25の円弧孔25Sの開口縁と第2ケース分割体60に備えた筒形ストッパ突部64とが、アクティブレバー25の回動軸方向で対向した状態で維持される。そして、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60との合体過程で、筒形ストッパ突部64に設けられた円錐テーパ面64G1が、円弧孔25Sの開口縁に摺接してアクティブレバー25を節度バネ27に押し付ける側に回動させる。つまり、第1ケース分割体50に対して待機位置で保持されていたアクティブレバー25が、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60との合体過程で待機位置からロック位置又はアンロック位置へと移動する。
【0082】
つまり、アクティブレバー25が第1ケース分割体50に支持されるのに対して、筒形ストッパ突部64が第2ケース分割体60に設けられており、アクティブレバー25を第1ケース分割体50に組み付けるときに、アクティブレバー25は節度バネ27から付勢力を受けない待機位置に組み付けることができるから、従来のように弾性部材の付勢力に抗してアクティブレバー25を組み付ける必要がなくなり、アクティブレバー25の組み付け作業性が向上する。
【0083】
また、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60とを合体させる過程で、筒形ストッパ突部64がアクティブレバー25を待機位置からロック位置又はアンロック位置へと回動させて、節度バネ27の付勢力を受けるようになるが、その付勢力を受け始めるよりも前に、ホイール回転軸54と筒形ストッパ突部64及び、軸心支柱63とアクティブレバー回動軸53とが係合して、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60との横ずれを防止するから合体作業をスムーズに行うことができる。
【0084】
また、アクティブレバー25が待機位置からロック位置又はアンロック位置へと回動するとき、節度ピン25Pは、その軸方向と直交した方向から1対の摺接突部27A,27Aの間に割り込んでいくので、節度ピン25Pをその軸方向から1対の摺接突部27A,27Aの間に割り込ませる場合と比べて、スムーズに1対の摺接突部27A,27Aの間に割り込ませることができる。
【0085】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0086】
(1)上記実施形態において、本発明の「ストッパ部」に相当する筒形ストッパ突部64は、アクティブレバー25に貫通形成された円弧孔25Sに突入してその開口縁に摺接する構成であったが、「ストッパ部」は、このような構成に限定するものではなく、待機位置に位置するアクティブレバー25のどこか一部に摺接してロック位置又はアンロック位置に向けて回動させることが可能であればよい。上記実施形態のアクティブレバー25であれば、例えば、「ストッパ当接部」としての第2扇形突片25Dや検知アーム25Fの外側面に干渉するように「ストッパ部」を設けてもよい。
【0087】
(2)上記実施形態では、本発明に係る「ストッパガイド」として、筒形ストッパ突部64の先端に円錐テーパ面64G1を設け、アクティブレバー25の円弧孔25Sに誘導傾斜面25Gを設けていたが、これらの何れか一方のみで「ストッパガイド」を構成してもよい。
【0088】
(3)また、上記実施形態では、筒形ストッパ突部64の中心孔64Hの開口縁に挿入ガイド面64G2を設け、ホイール回転54の先端に挿入ガイド面54Gを設けていたが、これらの何れか一方のみを設けた構成としてもよい。
【0089】
(4)上記実施形態では、本発明に係る「合体ガイド」として、アクティブレバー回動軸53と軸心支柱63及び、ホイール回転軸54と筒形ストッパ突部64を備えていたが、これら以外の例えば、第1ケース分割体50と第2ケース分割体60を螺子止めするための支柱とその支柱を受容する凹部を、「合体ガイド」として備えていてもよい。
【0090】
(5)上記実施形態では、ドアロック装置10にモータ22及びウォームホイール24が備えられていたが、これらは必須ではなく、モータ及びウォームホイールを備えていない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 ドアロック装置
24 ウォームホイール(連動回動部品)
25 アクティブレバー(ロックレバー)
25S 円弧孔
25G 誘導傾斜面(ストッパガイド)
27 節度バネ(弾性部材)
50 第1ケース分割体
53 アクティブレバー回動軸(円筒軸支突部)
54 ホイール回転軸(ガイド支柱、待機位置保持手段)
60 第2ケース分割体
63 軸心支柱
64 筒形ストッパ突部(ストッパ部)
64G1 円錐テーパ面(ストッパガイド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに固定される支持ケース内のロックレバーがロック位置とアンロック位置との間を回動して前記ドアをロック及びアンロックするドアロック装置であって、
前記ロックレバーを前記ロック位置と前記アンロック位置との中間位置から遠ざけるように付勢する弾性部材を備えて、その弾性部材の付勢力によって、前記ロックレバーのストッパ当接部を前記支持ケースに設けられたストッパ部に前記ロック位置又は前記アンロック位置で押し付けるドアロック装置において、
前記支持ケースは、前記ロックレバーを回動可能に支持しかつ前記弾性部材を弾性変形可能に支持した第1ケース分割体と、前記ストッパ部を有した第2ケース分割体とを、前記ロックレバーの回動軸方向で合体してなり、
前記第1ケース分割体に設けられ、前記第1ケース分割体と前記第2ケース分割体が分離した状態で、前記弾性部材と協働して前記ロックレバーの回動を規制し、前記ロックレバーが前記弾性部材から付勢力を受けずかつ前記ストッパ当接部が前記回動軸方向で前記ストッパ部と対向する待機位置に前記ロックレバーを保持する待機位置保持手段と、
前記第1ケース分割体と前記第2ケース分割体とに設けられ、合体過程の前記第1ケース分割体と前記第2ケース分割体との横ずれを規制するように互いに係合して、前記ストッパ当接部と前記ストッパ部とが前記回動軸方向で対向した状態に維持する合体ガイドと、
前記ストッパ部又は前記ストッパ当接部の一方に設けられて、前記第1ケース分割体及び前記第2ケース分割体の合体過程で他方に摺接して前記ロックレバーを前記弾性部材に押し付ける側に回動させて前記待機位置から前記ロック位置又は前記アンロック位置に移動するストッパガイドとを備えたことを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
前記ストッパ部又は前記ストッパ当接部の一方に設けられた前記ストッパガイドが他方に摺接する前に、前記合体ガイドが互いに係合することを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
前記ロックレバーの回動中心を中心とした円弧孔を前記ロックレバーに貫通形成して、その円弧孔の一端部の開口縁を前記ストッパ当接部とし、
前記第2ケース分割体から突出して前記円弧孔の内部に突入した筒形ストッパ突部を設けて前記ストッパ部とすると共に、その筒形ストッパ突部の先端部にテーパ面を形成して前記ストッパガイドとし、
さらに、前記第1ケース分割体から突出して前記合体過程で前記筒形ストッパ突部の内側にスライド係合するガイド支柱を設けて、そのガイド支柱と前記筒形ストッパ突部とを前記合体ガイドとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のドアロック装置。
【請求項4】
前記ロックレバーの回動中心に貫通形成された回動中心孔と、
前記第1ケース分割体から突出して前記回動中心孔に挿入され、前記ロックレバーを回動可能に支持する円筒軸支突部と、
前記第2ケース分割体から突出して前記合体過程で前記円筒軸支突部の内側にスライド係合する軸心支柱とを設けたことを特徴とする請求項3に記載のドアロック装置。
【請求項5】
前記ガイド支柱の基端部で、前記ロックレバーに連動して回動する連動回動部品を回動可能に軸支したことを特徴とする請求項3又は4に記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−96144(P2013−96144A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240137(P2011−240137)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】