説明

ドライブレコーダ

【課題】車両に搭載され映像データを記録するドライブレコーダを提供する。
【解決手段】制御部160は、映像データを記録部30に記録するときは、映像データに含まれる単位時間ごとの単位画像に関する情報を画像記録情報として記録部30に記録し、記録部30に記録された映像データを表示部15に表示するときは、記録部30に記録された画像記録情報を参照して、記録部30に記録された映像データに含まれる単位画像を取得し、取得した単位画像を表示部15に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、映像データを記録するドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行データを映像データと共に記録するドライブレコーダを車両に搭載することが行われている。ドライブレコーダは、例えば車両に衝撃が発生した場合に、その衝撃が発生した時点の前後の映像データを取得し、メモリカードに記録するように構成されている。
【0003】
このようなドライブレコーダにおいて、メモリカードに記録された映像データの内容を確認する場合には、映像データ再生機能を備えるパーソナルコンピュータ(PC)に、映像データを記録したメモリカードを挿入して、PCに映像データを移動させてから、PCの表示画面に映像データを再生する。
【0004】
また、ドライブレコーダが液晶モニタを備えたり、車載のカーナビゲーションシステムのモニタ機能を利用して、ドライブレコーダ本体で、記録した映像データを再生することも可能である。
【0005】
引用文献1には、カメラで撮影された映像データを表示するモニタとして、車両の制御内容を表示するためのモニタ、又は、カーナビゲーション用のモニタを用いたドライブレコーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−193257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドライブレコーダ本体で、メモリカードに記録された映像データを再生する場合は、メモリカードからの読み出し時間が発生する。そのため、映像データの再生を要求しても、実際に再生が開始するまでのタイムラグが生じる。また映像データの巻き戻しや早送り再生を行おうとする場合に、メモリカードへのランダムアクセスのための待ち時間が発生する。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、映像データ読み出しの待ち時間を少なくできるドライブレコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車両に搭載され、映像データを取得するカメラと、映像データのエンコード又はデコードを行う画像処理部と、画像処理部によってエンコードされた映像データを記録する記録部と、画像処理部によってデコードされた映像データを表示する表示部と、前記記録部及び前記表示部を制御する制御部と、を備えるドライブレコーダにおいて、制御部は、映像データを記録部に記録するときは、映像データに含まれる単位画像に関する情報を画像記録情報として記録部に記録し、記録部に記録された映像データを表示部に表示するときは、記録部に記録された画像記録情報を参照して、記録部に記録された映像データに含まれる単位画像を取得し、取得した単位画像を表示部に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記憶部に映像データとともに画像記録情報を記録し、映像データを表示するときに画像記録情報を参照して映像データに含まれる単位画像ごとに取得して表示するので、映像データの全てを参照する必要がなくなり、映像データの読み出しの処理時間を短縮することができ、遅延なく映像データを表示させることができる。また、例えば早送り再生や巻き戻し再生の場合にも、単位画像毎に読み出すことができるので、遅延なく映像データを表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態のドライブレコーダを含むドライブレコーダシステムの説明図である。
【図2】本発明の実施形態のドライブレコーダの機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の映像データの記録を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態の映像データの再生を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態の映像データの再生処理のフローチャートである。
【図6】本実施形態の表示部の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明のドライブレコーダ10を含むドライブレコーダシステム1の説明図である。
【0014】
ドライブレコーダシステム1は、車両11に搭載されるドライブレコーダ10と、事業所等に設置されるパーソナルコンピュータ(以下、PC)20と、ドライブレコーダ10が取得するデータを記録するメモリカード30とから構成される。
【0015】
ドライブレコーダ10は、車両11から走行データ(例えば車速、エンジン回転数、緯度、経度等)を取得して、これらを日時情報と共に所定の間隔で記録する。また、ドライブレコーダ10は、カメラ12が接続されており、カメラ12が撮影した映像データを記録する。走行データ及び映像データは、メモリカードインタフェース150を介してメモリカード30に記録される。
【0016】
ドライブレコーダ10は、映像データ等を表示可能な液晶パネル等により構成される表示部15を備える。また、ドライブレコーダ10は、メモリカード30が挿入された状態でメモリカード30との間でデータの記録及び読み出しを行う記録制御部としてのメモリカードインタフェース150と、表示部15に表示される映像データの再生や停止等の操作を受け付ける操作ボタン170と、メモリカード30に人為的に映像データを記録させる記録ボタン180と、が設けられている。
【0017】
PC20は、メモリカード30が挿入された状態でメモリカード30との間でデータの記録及び読み出しを行うメモリカードインタフェース21と、映像データ等を表示可能な液晶ディスプレイ等からなる表示部22と、ユーザからの指示が入力可能なキーボード及びマウス等からなる入力部23とから構成される。
【0018】
メモリカード30は、メモリカードインタフェース150及びメモリカードインタフェース21によって読み書き可能に構成されており、例えばSD(Source Digital)やCF(Compact Flash)等のフラッシュメモリカードが用いられる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態のドライブレコーダ10の機能ブロック図である。
【0020】
ドライブレコーダ10は、A/D変換部110と、画像処理部120と、内部メモリ130と、メモリカードインタフェース150と、制御部160と、操作ボタン170と、記録ボタン180と、イベント検出部190とを備える。制御部160は、これら、A/D変換部110、画像処理部120、内部メモリ130、メモリカードインタフェース150、操作ボタン170、記録ボタン180及びイベント検出部190に接続され、これら各部を制御する。また、A/D変換部110は、画像処理部120に接続され、映像データを画像処理部120に出力する。画像処理部120は、内部メモリ130に接続され、制御部160の制御により内部メモリ130とで映像データを送受信する。内部メモリ130はメモリカードインタフェース150に接続され、制御部160の制御によりメモリカード30とで映像データを送受信する。
【0021】
A/D変換部110は、カメラ12から受信した映像信号をA/D変換して映像データとして出力する。
【0022】
画像処理部120は、映像データ記録時には、A/D変換部110から出力された映像データに対して所定のエンコード方式に基づいて画像処理を行い、エンコードされた映像データを内部メモリ130に出力する。また、画像処理部120は、映像データ再生時には、内部メモリ130に記録されている映像データのデコード処理を行い、デコードされた映像データを、表示部15に出力する。
【0023】
なお、本実施形態では、画像処理部120は、映像データを所定時間単位のJPEG画像としてエンコードする。映像データの再生時には、JPEG画像を所定時間間隔で再生することによって、動画として再生される。
【0024】
内部メモリ130は、映像データの記録時には、画像処理部120によってエンコードされた映像データを一時的に記憶してメモリカード30に記録するためのバッファとして用いられる。また、映像データの再生時には、メモリカード30に記録されている映像データを一時的に記憶して画像処理部120によりデコードするためのバッファとして用いられる。内部メモリ130は、例えばSDRAM等、メモリカード30と比較して高速にアクセス可能なメモリによって構成される。
【0025】
操作ボタン170は、表示部15において再生される映像データに対する操作を受付けるユーザインタフェースとして機能する。操作ボタン170は、例えば、再生、停止、早送り、巻き戻し等のボタンを備える。制御部160は、操作ボタン170の入力状態を監視して、ボタンの操作に基づいて、メモリカード30から映像データを内部メモリ130に読み出して、これを表示部15に表示させる。なお、表示部15にタッチパネルを内蔵して、これを操作ボタン170としてもよい。
【0026】
イベント検出部190は、加速度センサを備えており、加速度センサが検出した加速度が所定の閾値を超えた場合(例えば、前後G又は横Gが0.8G以上となった場合)に、車両に衝撃が加わったと判断してイベントを検出し、制御部160に通知する。
【0027】
制御部160は、イベント検出部190がイベントを検出したときに、車両に衝撃が加わったと判断して、衝撃が加わった時刻の前後の映像データを内部メモリ130から抜き出し、メモリカードインタフェース150を介してメモリカード30に記録する。また、ユーザによって記録ボタン180が操作されたことを検出した場合も同様に、記録ボタン180が操作された時刻の前後の映像データを抜き出し、メモリカード30に記録する。
【0028】
より具体的には、カメラ12は映像信号を常に取得しており、この映像信号は、A/D変換部110、画像処理部120を経て、映像データとして内部メモリ130に常に記録される。
【0029】
ここで、イベント検出部190又は記録ボタン180の操作によってイベントが検出された場合は、制御部160は、内部メモリ130に記録されている映像データから、イベントが検出された時刻の前後の所定時間(例えば、イベント検出前12秒間及びイベント検出後8秒間)の映像データを抽出して、抽出した映像データを、メモリカードインタフェース150を介してメモリカード30に記録する。
【0030】
このようにして、イベント検出部190が衝撃を検出したとき、又は、記録ボタン180が操作されたときの映像データがメモリカード30に記録される。
【0031】
次に、以上のように構成されたドライブレコーダ10の動作を説明する。
【0032】
本実施形態のドライブレコーダ10は、前述のように、イベントを検出したときの映像データをメモリカード30に記録する。また、ドライブレコーダ10は、メモリカード30に記録された映像データを、ユーザの指示に基づいて表示部15に再生することができるように構成されている。
【0033】
制御部160は、操作ボタン170がユーザに操作されることによって映像データの再生要求を検出した場合は、メモリカード30に記録されている映像データのうち、要求に係る映像データを取得する。取得した映像データは、内部メモリ130にコピーする。
【0034】
制御部160は、内部メモリ130にコピーされた映像データから、時系列に記録されている個々の単位画像(JPEG画像)を順に取得して表示部15に送る。表示部15は、この単位画像を所定のタイミングで順次表示することによって映像データが動画として再生される。
【0035】
映像データは、単位画像を時系列に連続して記録したものである。そのため、再生時には、映像データの中から単位画像を一つずつ読み出す必要がある。単位画像は前述のようにJPEG形式でエンコードされている。そのため、制御部160は、内部メモリ130に記録されている映像データの単位画像の開始位置から読み出しを開始し、単位画像の終了位置を検出した時点で一つの単位画像データとして取得する。取得された単位画像は、画像処理部120においてデコードされて、表示部15に表示される。
【0036】
ところで、JPEG方式は不定長の圧縮方式であるため、映像データ中の単位画像のサイズは単位画像毎に異なる。従来は、映像データを再生するために、メモリカード30に記録されている映像データを順次読み出し、単位画像毎にデコードする必要があった。
【0037】
この読み出し処理のために、ユーザが映像データの再生を要求したとしても、実際に再生が開始するまでのタイムラグが生じ、ユーザが待たされることがあった。特に映像データのデータサイズが大きい場合は、タイムラグも大きくなる。
【0038】
また、早送り再生の場合は、例えば映像データの中の単位画像を一つおきに読み出して再生することにより2倍速再生が、単位画像を四つおきに読み出して順次再生することで5倍速再生が、それぞれ行える。しかし、映像データを先頭から順次読み出す読み出し処理が必要なために、画像処理部120のデコード処理が遅れて、所定のタイミングで表示することができなくなり表示部15での画像がぎこちないものとなるなど表示画像が乱れる場合がある。早送り速度を、3倍速、4倍速・・・と上げていくにつれてこの遅れが顕著となり、表示画像の乱れが大きくなることにより、映像データの確認がしづらくなる場合があった。巻き戻し再生においても同様である。
【0039】
そこで、本発明の実施形態では、次のように構成することによって、映像データの再生時に、表示部15に遅延なく表示されるように構成した。
【0040】
図3は、本実施形態の制御部160が実行する映像データの記録を示す説明図である。
【0041】
カメラ12によって取得された映像信号は、A/D変換部110によってデジタルデータに変換され、画像処理部120によって所定のエンコード方式にエンコードされ、映像データ201として内部メモリ130に記録される。映像データ201は、JPEG画像からなる複数の単位画像204から構成される。
【0042】
ここで、イベント検出部190又は記録ボタン180の操作によってイベントが検出されたと判定した場合は、制御部160は、内部メモリ130に記録されている映像データ201から、イベントが検出された時刻の前後の所定時間の映像データを抽出する。制御部160は、抽出された映像データを、メモリカードインタフェース150を介してメモリカード30に映像データ202として記録する。この映像データ202は、所定時間内の単位画像204を連続して記録したものである。
【0043】
このとき、映像データ202に含まれる単位画像204それぞれについて、映像データ202の先頭アドレスから当該単位画像204が存在するアドレスまでのオフセットと、当該単位画像204のサイズとを取得して、メモリカード30に画像記録情報203として記録する。図3に示す例では、映像データ202は15個の単位画像を含んでおり、これら全てについて、オフセットとサイズとを取得して、画像記録情報203に記録する。
【0044】
単位画像204は、画像処理部120においてエンコードされたときにサイズが決定する。そこで、例えば、制御部160が各単位画像204のサイズを記憶しておき、イベントの検出時にメモリカード30に映像データ202を記録するときに、映像データ202に含まれる単位画像204のサイズを画像記録情報203に記録すると共に、映像データ202に記録された順に各単位画像204のオフセット位置を決定し、これを画像記録情報203に記録する。
【0045】
または、制御部160が、メモリカード30に映像データ202を記録した後、映像データ202の内容を先頭から取得して各単位画像204を検出し、それぞれについてサイズ及びオフセットを取得して、画像記録情報203に記録してもよい。
【0046】
このような処理により、メモリカード30に、イベントを検出した時の映像データ202に加えて、この映像データ202に対応する画像記録情報203が記録される。
【0047】
次に、メモリカード30に記録された映像データ202の再生処理を説明する。
【0048】
ドライブレコーダ10は、表示部15を備え、メモリカード30に記録された映像データを表示部15に再生することができる。
【0049】
例えば、制御部160は、メモリカード30に記録されている映像データ202の一覧を表示部15に表示し、ユーザは、操作ボタン170を操作して映像データ202の再生を選択することができる。また、再生中に、早送り再生、巻き戻し再生等も行うことができる。
【0050】
図4は、本実施形態の制御部160が実行する映像データ202の再生を示す説明図である。
【0051】
図4(A)は、通常再生、すなわち、1倍速の再生を示す。通常再生では、映像データ202に含まれる単位画像を、所定のタイミングで順次再生する。
【0052】
制御部160は、ユーザの操作により映像データ202の再生要求を検出すると、メモリカード30に記録されている映像データ202と画像記録情報203とを読み出して内部メモリ130にコピーする。
【0053】
具体的には、映像データ202の再生要求を検出したときは、制御部160は、メモリカード30から映像データ202と画像記録情報203を内部メモリ130にコピーする。そして、映像データ202に含まれている一番目の単位画像のオフセット及びサイズを取得する。そして、制御部160は、取得したオフセット及びサイズを参照して、内部メモリ130にコピーされている映像データ202から一番目の単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、一番目の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、所定のタイミングで表示部15に送り、これを表示させる。
【0054】
次に、制御部160は、画像記録情報203を参照して、映像データ202に含まれている二番目の単位画像のオフセット及びサイズを取得する。そして、制御部160は、取得したオフセット及びサイズを参照して、内部メモリ130にコピーされている映像データ202から二番目の単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、二番目の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、表示部15に送り、これを表示させる。
【0055】
以降は、制御部160が、画像記録情報203を参照して、単位画像のオフセット及びサイズを取得して内部メモリ130から単位画像を順次読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、単位画像を画像処理部120によりデコードした後、所定のタイミングで順次表示部15に送り、これを表示させる。
【0056】
以上のような処理によって、映像データ202の通常再生が行われる。なお、所定のタイミングは、映像データ202のフレームレートであり、例えば30fpsである。
【0057】
図4(B)は、2倍速の早送り再生を示す。2倍速の早送り再生では、映像データ202に含まれる単位画像を一つおきに取得し、これを通常再生と同じ所定のタイミングで順次再生する。
【0058】
ユーザの操作により映像データ202の2倍速での早送り要求を検出したときは、制御部160は、前述のように、画像記録情報203を参照して映像データ202に含まれている一番目の単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、一番目の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、表示部15に送り、これを表示させる。
【0059】
次に、制御部160は、画像記録情報203を参照して、三番目の単位画像のオフセット及びサイズを取得して、内部メモリ130にコピーされている映像データ202から三番目の単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、三番目の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、表示部15に送り、これを表示させる。
【0060】
以降は、制御部160が、画像記録情報203を参照して、映像データ202に含まれている2n+1(nは整数)番目、すなわち一つおきに単位画像のオフセット及びサイズを取得して、内部メモリ130から単位画像を順次読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、単位画像を画像処理部120によりデコードした後、所定のタイミングで順次表示部15に送り、これを表示させる。
【0061】
以上のような処理によって、映像データ202に含まれる単位画像を一つおきに取得して、これを所定のタイミングで再生することにより、2倍速の早送り再生を行うことができる。
【0062】
図4(C)は、5倍速の早送り再生を示す。5倍速の早送り再生では、映像データ202に含まれる単位画像を四つおきに取得し、これを通常再生と同じ所定のタイミングで順次再生する。
【0063】
ユーザの操作により映像データ202の5倍速での早送り要求を検出したときは、制御部160は、前述のように、画像記録情報203を参照して、内部メモリ130にコピーされている映像データ202から一番目の単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、一番目の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、表示部15に送り、これを表示させる。
【0064】
次に、制御部160は、画像記録情報203を参照して、六番目の単位画像のオフセット及びサイズを取得して、内部メモリ130にコピーされている映像データ202から六番目の単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、六番目の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、表示部15に送り、これを表示させる。
【0065】
以降は、制御部160が、画像記録情報203を参照して、映像データ202に含まれている5n+1番目の、すなわち四つおきに単位画像のオフセット及びサイズを取得して、内部メモリ130から単位画像を順次読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、単位画像を画像処理部120によりデコードした後、所定のタイミングで順次表示部15に送り、これを表示させる。
【0066】
以上のような処理によって、映像データ202に含まれる単位画像を四つおきに取得して、これを所定のタイミングで再生することにより、5倍速の早送り再生を行うことができる。
【0067】
図4(D)は、1倍速の巻き戻し再生を示す。1倍速の巻き戻し再生では、映像データ202に含まれる単位画像を逆順に取得し、これを通常再生と同じ所定のタイミングで順次再生する。
【0068】
ユーザの操作により映像データ202の1倍速での巻き戻し再生要求を検出したときは、制御部160は、画像記録情報203を参照して、映像データ202に含まれている単位画像のうち、最後に記録されている単位画像のオフセット及びサイズを取得する。そして、内部メモリ130にコピーされている映像データ202から最後に記録されている単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、最後の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、表示部15に送り、これを表示させる。
【0069】
次に、制御部160は、画像記録情報203を参照して、最後から2番目の単位画像のオフセット及びサイズを取得して、内部メモリ130にコピーされている映像データ202から最後から2番目の単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、最後から2番目の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、表示部15に送り、これを表示させる。
【0070】
以降は、制御部160が、画像記録情報203を参照して、映像データ202に含まれている単位画像のオフセット及びサイズを取得して、内部メモリ130から単位画像を最後から逆順に読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、単位画像を画像処理部120によりデコードした後、所定のタイミングで順次表示部15に送り、これを表示させる。
【0071】
以上のような処理によって、映像データ202に含まれる単位画像を逆順に取得して、これを所定のタイミングで再生することにより、1倍速の巻き戻し再生を行うことができる。
【0072】
図4(E)は、2倍速の巻き戻し再生を示す。2倍速の巻き戻し再生では、映像データ202に含まれる単位画像を一つおきに逆順に取得し、これを通常再生と同じ所定のタイミングで順次再生する。
【0073】
ユーザの操作により映像データ202の2倍速での巻き戻し再生要求を検出したときは、制御部160は、前述のように、画像記録情報203を参照して、内部メモリ130にコピーされている映像データ202の最後に記録されている単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、最後の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、表示部15に送り、これを表示させる。
【0074】
次に、制御部160は、画像記録情報203を参照して、最後から3番目の単位画像のオフセット及びサイズを取得して、内部メモリ130にコピーされている映像データ202から最後から3番目の単位画像を読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、最後から3番目の単位画像を画像処理部120によりデコードした後、表示部15に送り、これを表示させる。
【0075】
以降は、制御部160が、画像記録情報203を参照して、映像データ202に含まれている最後から2n+1(nは整数)番目、すなわち一つおきに単位画像のオフセット及びサイズを取得して、単位画像を一つおきに逆順に読み出し、画像処理部120に送る。制御部160は、単位画像を画像処理部120によりデコードした後、所定のタイミングで順次表示部15に送り、これを表示させる。
【0076】
以上のような処理によって、映像データ202に含まれる単位画像を一つおきに逆順に取得して、これを所定のタイミングで再生することにより、2倍速の巻き戻し再生を行うことができる。
【0077】
図5は、本実施形態の制御部160が実行する映像データの再生処理のフローチャートである。
【0078】
制御部160は、メモリカード30に記録されている映像データ202の再生要求があるかを待機している(ステップS101)。ユーザによる操作ボタン170の操作等を検出して、映像データ202の再生要求を検出した場合は、画像記録情報203及び映像データ202を内部メモリ130に読み出し(ステップS102)、ステップS103に移行する。
【0079】
ステップS103では、制御部160は、ユーザによる操作ボタン170の操作等を検出して、再生方法を判定する。通常再生又は早送り再生であると判定した場合は、ステップS104に移行する。巻き戻し再生であると判定した場合はステップS110に移行する。
【0080】
ステップS104では、制御部160は、内部メモリ130の画像記録情報203を参照して、n番目の単位画像のオフセット及びサイズを取得する。なお、nは整数であり、初期値は1とする。
【0081】
次に、制御部160は、取得したオフセットとサイズとに基づいて、映像データ202から単位画像204を取得する(ステップS105)。制御部160は、取得した単位画像204を画像処理部120に送る(ステップS106)。
【0082】
次に、制御部160は、単位画像204を画像処理部120によりデコードした後、所定のタイミングで表示部15に送る。表示部15はこれを表示する(ステップS107)。
【0083】
次に、制御部160は、再生要求の映像データ202に含まれる単位画像204のうち、読み出すべき最後の単位画像204の読み出しが終了したかを判定する(ステップS108)。未だ読み出しが完了していない単位画像204があると判断した場合は、ステップS109に移行し、制御部160は、nとmとの積を求め、これに1を加算してインクリメントした処理を実行する。具体的は、kを整数として、k+1番目のnであるnk+1は、k番目のnであるnとmとの積に1を加算したものとなる。この後、ステップS104に戻り、処理を繰り返す。なお、mは早送りの倍速の数値であり、通常再生では1、2倍速では2、5倍速では5である。
【0084】
最後の単位画像の処理が完了したと判定した場合は、本フローチャートによる処理を終了する。
【0085】
ステップS103において巻き戻し再生を判定した場合は、ステップS110に移行する。ステップS110では、制御部160は、内部メモリ130の画像記録情報203を参照して、最後からn番目の単位画像のオフセット及びサイズを取得する。なお、nは整数であり、初期値は1とする。
【0086】
次に、制御部160は、取得したオフセットとサイズとに基づいて、映像データ202から単位画像204を取得する(ステップS111)。取得した単位画像204は、画像処理部120に送られる(ステップS112)。単位画像204が画像処理部120によりデコードされた後、所定のタイミングで表示部15に送る。表示部15はこれを表示する(ステップS113)。
【0087】
次に、制御部160は、再生要求の映像データ202に含まれる単位画像204のうち、読み出すべき最後の単位画像204の読み出しが終了したかを判定する(ステップS114)。未だ読み出しが完了していない単位画像204があると判断した場合は、ステップS115に移行し、制御部160は、nとmとの積を求め、これに1を加算してインクリメントした処理を実行する。具体的は、kを整数として、k+1番目のnであるnk+1は、k番目のnであるnとmとの積に1を加算したものとなる。この後、ステップS110に戻り、処理を繰り返す。なお、mは巻き戻しの倍速の数値であり、通常再生では1、2倍速では2、5倍速では5である。
【0088】
最後の単位画像の処理が完了したと判定した場合は、本フローチャートによる処理を終了する。
【0089】
以上のように、内部メモリ130にコピーされている映像データ202を再生するときに、制御部160が、画像記録情報203を参照して映像データ202に含まれている個々の単位画像204を独立して取得することができる。これにより、映像データ202を通常再生するときには、映像データ202をメモリカード30から読み出す処理による遅延が生じることがなく、再生の要求があったときからすぐに再生処理を開始することができる。また、早送り再生及び巻き戻しの再生の場合にも、瞬時に単位画像毎に読み出すことができるので、読み出しの遅延が生じることがなく、再生画像が乱れることがない。
【0090】
次に、表示部15について説明する。
【0091】
前述のように、ドライブレコーダ10は表示部15を備え、映像データを表示することができる。また、ドライブレコーダ10は、操作ボタン170を備え、ユーザの操作により、表示部15に表示する映像データの再生、早送り、巻き戻し、停止等の制御を行うことができる。
【0092】
図6は、本実施形態の表示部15の構成を示す説明図である。
【0093】
図6(A)は、表示部15をドライブレコーダ10の本体に収納した状態である。図6(B)は、表示部15を起立させた状態である。
【0094】
図6(A)に示すように、表示部15を使用しない場合は、表示部15を本体に収容するように構成することができる。そして、表示部15を使用する場合は、図6(B)に示すように、表示部15を本体から引き出し、ユーザが視認しやすいような位置に固定することができる。
【0095】
このように、表示部15を必要に応じて収納可能に構成することによって、ドライブレコーダ10を小型化することができる。
【0096】
図6(C)は、及び(D)は表示部15の別の例を示す。図6(C)は、表示部15をドライブレコーダ10の本体に収納した状態である。図6(D)は、表示部15を起立させた状態である。
【0097】
図6(A)及び(B)の例と同様に、表示部15を使用しない場合は、表示部15を本体に収容し、表示部15を使用する場合は、表示部15を本体から引き出し、ユーザが視認しやすいような位置に固定することができる。
【0098】
特に、図6(C)及び(D)に示す例では、表示部15を本体に収容すると、操作ボタン170が表示部15と本体との間に隠蔽されるので、表示部15を収容した状態で操作ボタン170に触れることができなくなり、操作ボタン170の誤操作等を防ぐことができる。
【0099】
以上のように、本発明の実施の形態のドライブレコーダ10は、制御部160が、映像データをメモリカード30に記録するときに、映像データに含まれる単位時間当たりの単位画像に関する情報を画像記録情報としてメモリカードに記録し、映像データを表示するときは、メモリカード30に記録された画像記録情報と映像データとを内部メモリ130にコピーした後、映像データから単位画像を取得し、取得した単位画像を、表示部15に表示させる制御を行う。
【0100】
このような制御によって、映像データを表示部15に表示するときに、画像記録情報を参照して映像データに含まれる単位画像を取得するので、映像データの全てを解析する必要がなくなり、単位画像の読み出しの処理時間を短縮することができる。この結果、映像データの再生要求時に、遅延なく映像データを表示させることができる。
【0101】
また、例えば早送り再生や巻き戻し再生の場合にも、単位画像毎に読み出すことができるので、読み出しの遅延が生じることがなく、再生画像が乱れることがない。
【0102】
なお、本発明の実施形態では、エンコード方式をJPEG方式として単位画像がJPEG画像である例を説明したが、これに限られず、他のエンコード方式でも同様に適用することができる。
【0103】
例えば、エンコード方式をMPEGファイル方式とし、単位画像をMPEG画像のI−Pictureとして、このI−PictureのオフセットとI−Pictureのサイズとを画像記録情報に記録するように構成することにより、前述のような映像データの表示制御を同様に実行することができる。
【0104】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0105】
1 ドライブレコーダシステム
10 ドライブレコーダ
11 車両
12 カメラ
20 パーソナルコンピュータ(PC)
30 メモリカード
110 A/D変換部
120 画像処理部
130 内部メモリ
150 メモリカードインタフェース
160 制御部
170 操作ボタン
180 記録ボタン
190 イベント検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、映像データを取得するカメラと、
前記カメラによって取得された映像データのエンコード又はデコードを行う画像処理部と、
前記画像処理部によってエンコードされた映像データを記録する記録部と、
前記画像処理部によってデコードされた映像データを表示する表示部と、
前記記録部及び前記表示部を制御する制御部と、
を備えるドライブレコーダにおいて、
前記制御部は、
前記映像データを前記記録部に記録するときは、前記映像データに含まれる単位画像に関する情報を画像記録情報として前記記録部に記録し、
前記記録部に記録された前記映像データを前記表示部に表示するときは、前記記録部に記録された前記画像記録情報を参照して、前記記録部に記録された前記映像データに含まれる前記単位画像を取得し、取得した前記単位画像を前記表示部に表示させることを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
衝撃を検出する衝撃検出部を備え、
前記制御部は、
前記衝撃検出部が前記車両に発生した衝撃を検出したときに、衝撃発生時刻の前後の所定時間の映像データを前記記録部に記録するとともに、当該映像データに含まれる単位時間ごとの単位画像に関する情報を画像記録情報として前記記録部に記録することを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記映像データを前記表示部に表示するときは、前記記録部に記録された前記画像記録情報を参照して、前記記録部に記録された前記映像データに含まれる前記単位画像を一つ又は複数置きに取得し、
取得した前記単位画像を、所定の周期で前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記表示部に前記映像データを再生するときに一次的に前記映像データを記録する内部メモリを備え、
前記制御部は、
前記映像データを前記表示部に表示するときは、前記記録部に記録された前記画像記録情報を参照して、前記記録部に記録された前記映像データを前記内部メモリに記録し、前記内部メモリに記録された映像データから単位画像を取得し、
取得した前記単位画像を前記画像処理部でデコードし、
デコードされた前記単位画像を所定の周期で前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のドライブレコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−62682(P2013−62682A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199796(P2011−199796)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】