説明

ナノスペーサーを用いた光学センサー、及び光学センサーを用いた検出方法

【課題】ナノスペーサーを用いた光学センサー、及び光学センサーを用いた検出方法を提供する。
【解決手段】本発明によるナノスペーサーを用いた光学センサーは、外部刺激によってサイズが可逆的に変化するナノスペーサーと、ナノスペーサーの片側に結合された第1の物体と、ナノスペーサーの他側に結合された第2の物体と、第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用によって放出される光を検出する検出部とを含むことができる。従って、外部刺激によってその長さが可逆的に変化するナノスペーサーを用いてナノ粒子間の光学的な特性、即ち、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動、局在表面プラズモン共鳴及び表面増強ラマン分光といった光学的な現象を能動的に制御することができる。また、前記ナノスペーサーを用いて蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動、局在表面プラズモン共鳴及び表面増強ラマン分光等を感知原理とする光学的センサーの感知限界を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノスペーサーを用いた光学センサー、及び光学センサーを用いた検出方法に関し、さらに詳しくは、外部刺激によって光学的特性を制御及び検出できるナノスペーサーを用いた光学センサー、及び光学センサーを用いた検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光(Fluorescence)とは、物質が光の刺激によって発光する現象のことである。光エネルギーを受けた物質が、入射光の波長よりも長い波長(即ち、元よりも低いエネルギー)を有する光を発するものであって、反射とは異なる。入射光を取り除いても発光し続けることを燐光と、照射光を取り除くとすぐ消滅してしまうことを蛍光と区分する。
【0003】
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET:Fluorescence Resonance Energy Transfer)とは、一対のエネルギー受容体及びエネルギー供与体、特異結合をする一対の生体分子の特性を活用したものである。
【0004】
即ち、短波長蛍光物質(shorter wavelength dye)であるエネルギー供与体(donor)が外部からエネルギーを吸収すると、供与体の励起エネルギーが光エネルギーとして放出される代わりに、長波長蛍光物質(longer wavelength excitation dye)であるエネルギー受容体(acceptor)に無発光で(radiationless)伝達され、受容体の長波長蛍光のみが放出される現象をいう。
【0005】
表面プラズモン(Surface Plasmon)とは、金属と誘電体の境界面に沿って進行する表面電磁波のことである。このような表面プラズモンは金属の表面や構造の変化によって強化可能であり、これは生分子分析技術及び光素子開発に応用されることができる。
【0006】
表面プラズモンの一例である局在表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)とは、金属ナノ粒子のサイズと形状、及び周辺媒質の分散特性(dispersion properties)によって入射光のエネルギーを選択的に吸収、散乱する現象のことである。これは、光エネルギーが表面プラズモンに吸収、変換され、金属ナノ粒子表面に形成された電場が局所的に大きく歪曲、強化されたことを示し、さらに、光の回折限界よりも小さい領域、即ち、近接場(nearfield)において光の制御が可能であることも意味する。
【0007】
ラマン分光効果(Raman Spectroscopy)とは、分子の振動数(vibrational frequencies)に関する情報を提供することでよく知られている技術である。また、表面増強ラマン分光(SERS:Surface Enhanced Raman Spectroscopy)とは、金属表面の周辺に分子が存在する場合、ラマン信号が大きく増加する現象のことである。
【0008】
ラマン分光効果は蛍光に比べて信号の強さが弱いため、実生活には応用しにくいという問題もあるが、表面増強ラマン分光を用いることにより克服することができる。
【0009】
一般的に表面増強ラマン分光現象は、銀や金のナノ粒子の表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)によって周辺に分子が存在する時に現れると知られている。
【0010】
また、一般的に、蛍光粒子の蛍光及び消光(quenching)、蛍光共鳴エネルギー移動、金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴及び表面増強ラマン分光等は、ナノ粒子間、または、粒子に近接している金属/誘電体表面との距離に非常に敏感であるという共通点がある。
【0011】
しかし、上記ナノ粒子間の距離を決める媒質は、一般的にその長さが固定されており、ナノ粒子間のエネルギー移動条件を能動的に調節できないという短所がある。
【0012】
即ち、ナノ粒子間のエネルギー移動条件を能動的に調節できる光学センサー、特に、固定された長さを有する通常のスペーサーの短所を解決するために、温度、湿度、pH、光の強さ及び光の波長のような外部の刺激に対してその長さを可逆的に変化できるナノスペーサーを用いた光学センサーが必要となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許公開2007-0683889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、外部刺激によって光学的特性を制御及び検出できるナノスペーサーを用いた光学センサーを提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、外部刺激によって光学的特性を制御及び検出できる光学センサーを用いた検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した本発明の目的を達成するためのナノスペーサーを用いた光学センサーとしては、外部刺激によってサイズが可逆的に変化するナノスペーサーと、上記ナノスペーサーの片側に結合された第1の物体と、上記ナノスペーサーの他側に結合された第2の物体と、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用によって放出される光を検出する検出部と、を含んで構成されることができる。
【0017】
ここで、上記外部刺激は、温度、湿度、pH、光の強さ及び光の波長の少なくとも1つであることができる。
【0018】
ここで、上記外部刺激は、ナノスペーサーのサイズが変化する臨界条件を有することができる。
【0019】
ここで、上記ナノスペーサーのサイズの変化によって上記第1の物体及び上記第2の物体間の長さは変化することができる。
【0020】
ここで、上記ナノスペーサーは、重合体(polymer)及びハイドロゲル(hydro gel)の少なくとも1つを含んで形成されることができる。
【0021】
ここで、上記ナノスペーサーは、PNIPAAm(poly N isopropylacrylamide)であることができる。
【0022】
ここで、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用は、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表されることができる。
【0023】
ここで、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用が蛍光及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のいずれかで表される場合、上記第1の物体及び第2の物体は蛍光体であることができる。
【0024】
ここで、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用が局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表される場合、上記第1の物体は蛍光体であり、上記第2の物体は金属ナノ粒子であることができる。
【0025】
ここで、上記検出部は、上記ナノスペーサーのサイズの変化による上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用によって放出される光の強さの変化及び光の波長の変化の少なくとも1つを検出することができる。
【0026】
上述した本発明の他の目的を達成するための光学センサーを用いた検出方法としては、外部刺激によってサイズが可逆的に変化するナノスペーサーの片側に第1の物体を結合し、上記ナノスペーサーの他側に第2の物体を結合するステップと、上記結合されたナノスペーサーに上記外部刺激を印加するステップと、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用によって放出される光を検出するステップと、を含んで構成されることができる。
【0027】
ここで、上記ナノスペーサーは、重合体及びハイドロゲルの少なくとも1つを含んで形成されることができる。
【0028】
ここで、上記ナノスペーサーは、PNIPAAmであることができる。
【0029】
ここで、上記外部刺激は、温度、湿度、pH、光の強さ及び光の波長の少なくとも1つであることができる。
【0030】
ここで、上記外部刺激は、ナノスペーサーのサイズが変化する臨界条件を有することができる。
【0031】
ここで、上記外部刺激を印加するステップにおいて上記外部刺激は、周期的に変化することができる。
【0032】
ここで、上記放出される光を検出するステップは、上記外部刺激の変化による上記放出される光の強さの変化及び光の波長の変化の少なくとも1つを検出することができる。
【0033】
ここで、上記放出される光を検出するステップにおいて上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用は、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表されることができる。
【0034】
ここで、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用が蛍光及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のいずれかで表される場合、上記第1の物体及び第2の物体は蛍光体であることができる。
【0035】
ここで、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用が局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表される場合、上記第1の物体は蛍光体であり、上記第2の物体は金属ナノ粒子であることができる。
【発明の効果】
【0036】
上記のようなナノスペーサーを用いた光学センサー、及び光学センサーを用いた検出方法によると、外部刺激によってその長さが可逆的に変化するナノスペーサーを用いナノ粒子間の光学的な特性、即ち、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)といった光学的な現象を能動的に制御することができる。
【0037】
また、上記ナノスペーサーを用いて蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)等を感知原理とする光学的センサーの感知限界を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例によるナノスペーサーを用いた光学センサーを説明するための例示図である。
【図2】本発明の一実施例によるナノスペーサーを用いた光学センサーで蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を説明するための例示図である。
【図3】本発明の一実施例によるナノスペーサーを用いた光学センサーにおいて局在表面プラズモン共鳴(LSPR)を説明するための例示図である。
【図4】本発明の一実施例による光学センサーを用いた検出方法を説明するための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は様々な変更を加えることができ、且つ様々な実施例を有することができるが、下記では特定の実施例を図面に例示して詳細に説明する。
【0040】
しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。
【0041】
「第1」、「第2」等の用語は多様な構成要素を説明するのに使われるが、上記構成要素は上記用語によって限定されるものではない。上記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ用いられる。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素として命名することができ、同様に第2構成要素も第1構成要素として命名することができる。「及び/または」という用語は複数の関連した記載項目の組み合わせまたは複数の関連した記載項目のうち何れかの項目を含む。
【0042】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」あるいは「接続されている」という時には、他の構成要素に直接連結されている、または接続されていることもできるが、その間に他の構成要素が存在することもできると理解しなければならない。その反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されている」あるいは「直接接続されている」という時には、その間に他の構成要素が存在しないこととして理解しなければならない。
【0043】
本出願に用いられた用語は単に特定の実施形態を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は文脈上明らかに異なる場合を除き、複数の表現を含む。本出願において「含む」または「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在するということを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたもの等の存在または付加可能性を予め排除するものではないとして理解しなければならない。
【0044】
他に定義しない限り、技術的または科学的用語を含んで、ここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる辞書に定義しているものと同じ用語は関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、本出願で明らかに定義しない限り、理想的もしくは過度に形式的な意味に解釈されない。
【0045】
以下、添付した図面を参照し本発明の好ましい実施例についてさらに詳細に説明する。本発明を説明するにあたって、全体的な理解を容易にするために、図面上の同じ構成要素については同じ参照符号を付し、同じ構成要素に対する重複説明は省略する。
【0046】
図1は、本発明の一実施例によるナノスペーサーを用いた光学センサーを説明するための例示図である。
【0047】
図1を参照すると、本発明の一実施例によるナノスペーサーを用いた光学センサー100は、外部刺激によってサイズが可逆的に変化するナノスペーサー110と、上記ナノスペーサーの片側に結合された第1の物体120と、上記ナノスペーサーの他側に結合された第2の物体130と、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用によって放出される光を検出する検出部140と、を含んで構成することができる。
【0048】
先ず、上記外部刺激は、温度、湿度、pH、光の強さ及び光の波長の少なくとも1つであることができ、上記温度、湿度、pH、光の強さ及び光の波長等の外部刺激は、それぞれ上記ナノスペーサーのサイズが変化する臨界条件を有することができる。
【0049】
上記ナノスペーサー110は、重合体及びハイドロゲルの少なくとも1つを含んで形成されることができ、特に、PNIPAAmで構成されることができる。
【0050】
上記第1の物体120及び第2の物体130は、それぞれ蛍光体及び金属ナノ粒子であることができる。これによって、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用は蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表されることができる。
【0051】
詳述すると、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用が蛍光及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のいずれかで表される場合、上記第1の物体及び第2の物体は蛍光体であることができ、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用が局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表される場合、上記第1の物体は蛍光体であり、上記第2の物体は金属ナノ粒子であることができる。
【0052】
上記検出部140は、上記ナノスペーサーのサイズの変化による上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用によって放出される光の強さの変化及び光の波長の変化の少なくとも1つを検出することができる。
【0053】
即ち、上記ナノスペーサー110、上記第1の物体120及び上記第2の物体130の結合体に対して、上記外部刺激を印加し、ここで外部刺激は上記ナノスペーサーのサイズを変化させることができる。
【0054】
上記ナノスペーサー110のサイズの変化によって、上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の距離が変化することができ、上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の距離変化によって、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)現象による光の強さが変化する特性を検出することができる。
【0055】
図2は、本発明の一実施例によるナノスペーサーを用いた光学センサーにおいて蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を説明するための例示図である。
【0056】
図2を参照すると、本発明の一実施例によるナノスペーサーを用いた光学センサー100において、上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の相互作用が蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)で表される場合について説明する。ここで、上記第1の物体120は蛍光体であることができ、上記第2の物体130も蛍光体であることができる。
【0057】
上記外部刺激の印加前は、図2(a)のように、ナノスペーサーによる上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の距離が大きく維持でき、これによって上記第1の物体120から上記第2の物体130に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)がなく、上記第1の物体120の散乱または蛍光光の強さが減らないことを検出することができる。
【0058】
しかし、上記外部刺激の印加後は、図2(b)のように、ナノスペーサーによる上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の距離が縮まり、これによって上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の相互作用により上記第1の物体120から上記第2の物体130に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が起きる消光現象が発生するようになる。即ち、上記蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)現象によって放出される光の強さが小さくなることを検出するようになる。
【0059】
上記のような外部刺激の変化によって、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)現象によって放出される光の強さの変化及び光の波長の変化の少なくとも1つを検出できるため、上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の相互作用の特性を検出することができるものである。
【0060】
図3は、本発明の一実施例によるナノスペーサーを用いた光学センサーにおいて局在表面プラズモン共鳴(LSPR)を説明するための例示図である。
【0061】
図3を参照すると、本発明の一実施例によるナノスペーサーを用いた光学センサー100において、上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の相互作用が局在表面プラズモン共鳴(LSPR)で表される場合について説明する。ここで、上記第1の物体120は蛍光体であることができ、上記第2の物体130は金属ナノ粒子であることができる。
【0062】
上記外部刺激の印加前は、図3(a)のように、ナノスペーサーによる上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の距離が大きく維持でき、これによって上記第1の物体120から上記第2の物体130に非放射型エネルギー移動(non−radiative energy transfer)がなく、上記第1の物体120の散乱または蛍光光の強さが減らないことを検出することができる。
【0063】
しかし、上記外部刺激の印加後は、図3(b)のように、ナノスペーサーによる上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の距離が縮まり、これによって上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の相互作用により上記第1の物体120から上記第2の物体130に非放射型エネルギー移動が起きるようになり、上記第1の物体のエネルギー(即ち、波長)が、上記第2の物体、即ち、金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴(LSPR)エネルギー(即ち、共鳴波長)に相応する場合、第2の物体130から放出される光の強さが大きいことを検出することができる。
【0064】
上記のような外部刺激の変化によって、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)現象によって放出される光の強さの変化及び光の波長の変化の少なくとも1つを検出できるため、上記第1の物体120及び上記第2の物体130間の相互作用の特性を検出することができるものである。
【0065】
図4は、本発明の一実施例による光学センサーを用いた検出方法を説明するための流れ図である。
【0066】
図4を参照すると、本発明の一実施例による光学センサーを用いた検出方法は外部刺激によってサイズが可逆的に変化するナノスペーサーの片側に第1の物体を結合し、上記ナノスペーサーの他側に第2の物体を結合するステップ410と、上記結合されたナノスペーサーに上記外部刺激を印加するステップ420と、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用によって放出される光を検出するステップと430、を含んで構成されることができる。
【0067】
先ず、ナノスペーサーは、重合体及びハイドロゲルの少なくとも1つを含んで形成されるものであることができ、ナノスペーサーは、PNIPAAmであることができる。
【0068】
次いで、外部刺激によってサイズが可逆的に変化するナノスペーサーの片側に第1の物体を結合し、上記ナノスペーサーの他側に第2の物体を結合するステップ410は、上記ナノスペーサーを用いた光学センサーにおいて上述したので詳しい説明は省略する。
【0069】
次いで、上記結合されたナノスペーサーに上記外部刺激を印加するステップ420は、上記ナノスペーサー、上記第1の物体及び上記第2の物体の結合体に温度、湿度、pH、光の強さ及び光の波長の少なくとも1つの外部刺激を印加することができる。
【0070】
ここで、上記外部刺激は、それぞれナノスペーサーのサイズが変化する臨界条件を有するものであることができ、特に、上記外部刺激を印加するステップ420において、上記外部刺激は周期的に変化するものであることができる。これにより、外部刺激の変化による特性を観察することができる。
【0071】
次いで、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用によって放出される光を検出するステップ430は、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用によって放出される光の強さの変化及び光の波長の変化の少なくとも1つを検出することができる。
【0072】
特に、上記放出される光を検出するステップ430において、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用は蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表されることができる。
【0073】
これによって、検出に適合するよう、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用が蛍光及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のいずれかで表される場合は上記第1の物体及び第2の物体として蛍光体を用いることができ、上記第1の物体及び上記第2の物体間の相互作用が局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表される場合は上記第1の物体として蛍光体、上記第2の物体として金属ナノ粒子を用いることができる。
【0074】
以上、実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更可能であることが理解できるはずである。
【符号の説明】
【0075】
100 ナノスペーサーを用いた光学センサー
110 ナノスペーサー
120 第1の物体
130 第2の物体
140 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部刺激によってサイズが可逆的に変化するナノスペーサーと、
前記ナノスペーサーの片側に結合された第1の物体と、
前記ナノスペーサーの他側に結合された第2の物体と、
前記第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用によって放出される光を検出する検出部と
を含むことを特徴とする光学センサー。
【請求項2】
前記外部刺激は、温度、湿度、pH、光の強さ及び光の波長の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の光学センサー。
【請求項3】
前記外部刺激は、ナノスペーサーのサイズが変化する臨界条件を有することを特徴とする請求項2に記載の光学センサー。
【請求項4】
前記ナノスペーサーのサイズの変化によって前記第1の物体及び前記第2の物体間の長さが変化することを特徴とする請求項1に記載の光学センサー。
【請求項5】
前記ナノスペーサーは、重合体及びハイドロゲルの少なくとも1つを含んで形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学センサー。
【請求項6】
前記ナノスペーサーは、PNIPAAmであることを特徴とする請求項5に記載の光学センサー。
【請求項7】
前記第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用は、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表されることを特徴とする請求項1に記載の光学センサー。
【請求項8】
前記第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用が蛍光及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のいずれかで表される場合、前記第1の物体及び第2の物体は蛍光体であることを特徴とする請求項7に記載の光学センサー。
【請求項9】
前記第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用が局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表される場合、前記第1の物体は蛍光体であり、前記第2の物体は金属ナノ粒子であることを特徴とする請求項7に記載の光学センサー。
【請求項10】
前記検出部は、前記ナノスペーサーのサイズの変化による前記第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用によって放出される光の強さの変化及び光の波長の変化の少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項1に記載の光学センサー。
【請求項11】
光学センサーを用いた検出方法であって、
外部刺激によってサイズが可逆的に変化するナノスペーサーの片側に第1の物体を結合し、前記ナノスペーサーの他側に第2の物体を結合するステップと、
前記結合されたナノスペーサーに前記外部刺激を印加するステップと、
前記第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用によって放出される光を検出するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記ナノスペーサーは、重合体及びハイドロゲルの少なくとも1つを含んで形成されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノスペーサーは、PNIPAAmであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記外部刺激は、温度、湿度、pH、光の強さ及び光の波長の少なくとも1つであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記外部刺激は、ナノスペーサーのサイズが変化する臨界条件を有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記外部刺激を印加するステップにおいて前記外部刺激は、周期的に変化することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記放出される光を検出するステップは、前記外部刺激の変化による前記放出される光の強さの変化及び光の波長の変化の少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記放出される光を検出するステップにおいて前記第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用は、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用が蛍光及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のいずれかで表される場合、前記第1の物体及び第2の物体は蛍光体であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の物体及び前記第2の物体間の相互作用が局在表面プラズモン共鳴(LSPR)及び表面増強ラマン分光(SERS)のいずれかで表される場合、前記第1の物体は蛍光体であり、前記第2の物体は金属ナノ粒子であることを特徴とする請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−81002(P2011−81002A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229697(P2010−229697)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】