説明

ナノミストとマイナスイオン発生装置

【課題】 短時間で加熱した加湿空気を室内に送風するナノミストとマイナスイオン発生装置を提供する。
【解決手段】 駆動モータ6により所定の回転数で回転する回転体9の斜面10に加熱ヒータ27を設置し、回転トランス22によって加熱ヒータ27に電力を供給し加熱ヒータ27の表面温度を高めて回転体9で吸い上げた水を加熱することから、室内に送風する加湿空気を短時間で設定温度にまで昇温させることができるので消費電力が低減し、更に、送風口17の近傍に設置した送風温度センサ29により検出された室内に送風する加湿空気の温度に基づき、設定温度となるよう加熱ヒータ27への電力供給を調節するので使用感が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水を破砕してナノミストとマイナスイオンを発生させ室内に送風するナノミストとマイナスイオン発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいて、貯水室内に水没させた加熱手段としての加熱ヒータを備え、貯水室の温度を検出する温水温度センサでの検出値によって加熱ヒータのON/OFFを制御し、貯水室内の水を所定温度まで昇温することで、使用者が設定した温度の加湿空気を室内に送風するものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−128939号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、貯水室に加熱ヒータが水没した状態で設置されているので、例えば、冬季等で水道水の温度が低い場合、水を加熱ヒータで所定温度まで昇温する時間が長引くため、設定温度の加湿空気が送風されるまで長時間を要してしまい、更には、加熱ヒータの通電時間が長引くことから消費電力が大きくなる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、送風機を駆動することで空気が循環する処理室と、該処理室にあり給水タンクから供給された水を所定量貯める貯水室と、該貯水室に下部を水没させた状態で設置された筒形状の回転体と、該回転体の外周を囲うように設置された多孔体と、前記回転体を支持する支軸を所定の回転数で回転させる駆動モータとで構成され、前記駆動モータを駆動し前記回転体を回転させることで前記貯水室内の水を吸い上げ、前記多孔体に衝突させて水を破砕し室内に加湿空気を送風するナノミストとマイナスイオン発生装置において、前記回転体に前記貯水室の水を加熱する加熱手段を備えたものである。
【0006】
また、請求項2では、前記多孔体により破砕され室内に送風する加湿空気の温度を検出する送風温度センサを設置し、該送風温度センサで検出された温度に基づいて前記加熱手段への電力供給を調節する温度調節手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、回転体で吸い上げた水のみを加熱することから短時間で設定された温度の加湿空気を送風することが可能となり、消費電力が低減する。
【0008】
また、請求項2によれば、室内に送風する加湿空気の温度を検出して加熱手段への電力供給を調節するので、適切な温度の加湿空気を短時間で室内に送風することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態を示す概略構成図
【図2】同発明の部分拡大図
【図3】同発明の制御ブロック図
【図4】同発明の他の実施形態を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は発生装置本体であり、2は発生装置本体1内にあり給水タンク3内の水を所定量貯めることが可能な貯水槽である。
【0011】
4は発生装置本体1の中央部にある処理室であり、5は該処理室4の下方にあり貯水槽2から送られた水を所定量貯めておく貯水室、6は該貯水室5の下部に備えられた電動式の駆動モータ、7は該駆動モータ6に備えられ前記貯水室5の中央付近に立設された支軸部8に囲まれている支軸である。
【0012】
9は支軸7の途中に設置され駆動モータ6の駆動で回転し下端に向かって徐々に小径となる擂り鉢状の回転体であり、回転により貯水室5内の水が吸い上がるよう所定の角度を付けた斜面10と、上端に複数形成され吸い上げた水が通過する飛散穴11とが形成されていると共に、上端の外周には飛散した水が衝突して破砕し、ナノミストとマイナスイオンを含んだ加湿空気を発生させるスリット、パンチングメタル、金網等から形成された多孔体12が飛散穴11と対向する位置に垂下して備えられている。
【0013】
13は支軸7の回転体9より上方に設置され、細い縦羽根を複数並設し円状としたシロッコファンから成る送風機、14は処理室4の上方に形成され周囲の空気を取り込む複数の給気口、15は該給気口14を通じて処理室4内に空気を案内する案内筒、16は多孔体12で発生したナノミストとマイナスイオンとを含んだ加湿空気を送風口17に案内する送風経路であり、ナノミストとマイナスイオンを含んだ加湿空気を室内に送風する。
【0014】
18は前記貯水槽2の底面と貯水室5の底面とを配管で接続する給水管であり、貯水槽2と貯水室5とを同一の高さに設置することで、前記給水タンク3から貯水槽2に供給された水が貯水槽2と同一の水位まで給水管18を通じて貯水室5に供給される。
【0015】
19は発生装置本体1下部に設置され貯水室5から排水管20を流通して流れ落ちた水を貯める排水トレー、21は排水管20の途中に設置された開閉弁であり、発生装置本体1での一日の使用が終了したら、図示しない排水レバーを使用者が操作することで開閉弁21が開成して貯水室5の水が排水トレー19に流れ落ち、貯水室5内の水がすべて排水トレー19に流れ落ちたら発生装置本体1から排水トレー19を発生装置本体1内から取り出し、排水トレー19内の水を台所や洗面所等の流し場へ捨てることで、貯水室5内に水が残ることがなく菌の発生や増殖を防止することができ、常時新鮮な加湿空気が室内に送風される。
【0016】
22は材質が銅等の導電体で構成された複数の巻き線23を内部に備え、固定子24と回転子25とで構成される回転トランスであり、固定子24に接続された電気コード26から電力が供給されると、固定子24と支軸7に設置され回転する回転子25の間で磁束が発生し、回転子25内の巻き線23に起電力が生じる。
【0017】
27は回転体9の斜面10を覆うようにしてシート状に設置された加熱手段としての加熱ヒータであり、回転子25と接続されたリード線28より電力が供給されることで回転体9が回転し貯水室5から吸い上げた水を加熱する。
【0018】
29は送風口17の近傍に設置された送風温度センサであり、送風口17から室内に送風される加湿空気の温度を検出する。
【0019】
30は発生装置本体1を制御する制御部であり、運転スイッチ31が操作されたことを検知したら駆動モータ6の駆動を開始もしくは停止する運転開始手段32と、温風スイッチ33が操作されたことを検知したら加熱ヒータ27への電力供給を開始もしくは停止する加熱開始手段34と、送風温度センサ29で検出された加湿空気の温度に基づいて加熱ヒータ27への電力供給をON/OFF制御し送風温度を調節する温度調節手段35とが備えられている。
【0020】
次に、この一実施形態の作動を説明する。
使用者が運転スイッチ31を操作すると、運転開始手段32が駆動モータ6を所定の回転数で駆動させ、支軸7に設置された送風機13により給気口14から室内空気が取り込まれ、案内筒15を通じて処理室4内に室内空気が導かれる。
【0021】
更に、支軸7に連動して回転体9が回転することで貯水室5に貯水されている水を斜面10に沿わせて吸い上げ、飛散穴11から外周に飛散させ多孔体12にぶつけて破砕することで、水の粒子を微細化してナノメートル(nm)サイズのナノミストを生成すると共に、この水の粒子の微細化によるレナード効果でマイナスイオンを発生させる。
【0022】
そして、送風機13によってナノミストとマイナスイオンを含んだ加湿空気が送風経路16を通過して送風口17から室内に送風されることで、室内の湿度を上昇させ空気を清浄にする。
【0023】
次に、温風スイッチ33が操作された時の動作について説明する。
運転スイッチ31が操作された後に温風スイッチ33が操作されると、加熱開始手段34が電気コード26を通じて固定子24へ電力を供給する。これにより、固定子24と回転子25との間で磁束が発生し回転子25内の巻き線23に起電力が生じることで、リード線28から電力が供給され加熱ヒータ27の表面温度が高まる。
【0024】
そして、貯水室5内の水を回転体9で吸い上げる時に加熱ヒータ27で水を加熱することでナノミストとマイナスイオンを含んだ高温の加湿空気が発生し、送風経路16を通過して送風口17から室内に送風される。この時、送風口17近傍に設置された送風温度センサ29が検出した加湿空気の温度に基づいて、温度調節手段35は予め設定された適切な送風温度となるよう加熱ヒータ27への電力供給をON/OFF制御する。
【0025】
これにより、送風口17から設定温度の加湿空気が送風されるので、例えば、送風口17に顔を近づけ加湿空気を直接肌に当てて使用する時、送風する加湿空気の設定温度を40℃にすることで、加湿空気が肌に直接触れても熱すぎず、かつ冷たくないことから快適な温度の加湿空気を肌に浴びせることができる。
【0026】
また、他の実施形態として図4に示すように、回転体9の斜面10上に鉄やステンレスで構成される磁性体36と、該磁性体36に近接する電磁コイル37とを設置し、電磁コイル37に電力を供給することで発生する磁束により磁性体36に渦電流が流れ、磁性体36の表面温度が上昇するので、回転体9で吸い上げた貯水室5内の水を磁性体36で加熱し、室内に設定温度の加湿空気を送風することも可能である。
【0027】
以上のように、回転体9に加熱ヒータ27や磁性体36を設置して貯水室5内の水を加熱することで、回転体9で吸い上げた水のみを加熱することが可能となり、短時間で設定温度の加湿空気を室内に送風することができ、消費電力が低減する。
【0028】
また、送風温度センサ29で検出された温度に基づいて室内に送風する加湿空気が設定温度となるよう電力供給を調節するため、適切な温度の加湿空気を短時間で室内に送風することが可能となり、使用感が向上する。
【符号の説明】
【0029】
1 発生装置本体
3 給水タンク
4 処理室
5 貯水室
6 駆動モータ
7 支軸
9 回転体
12 多孔体
13 送風機
27 加熱ヒータ
29 送風温度センサ
30 制御部
35 温度調節手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機を駆動することで空気が循環する処理室と、該処理室にあり給水タンクから供給された水を所定量貯める貯水室と、該貯水室に下部を水没させた状態で設置された筒形状の回転体と、該回転体の外周を囲うように設置された多孔体と、前記回転体を支持する支軸を所定の回転数で回転させる駆動モータとで構成され、前記駆動モータを駆動し前記回転体を回転させることで前記貯水室内の水を吸い上げ、前記多孔体に衝突させて水を破砕し室内に加湿空気を送風するナノミストとマイナスイオン発生装置において、前記回転体に前記貯水室の水を加熱する加熱手段を備えたことを特徴とするナノミストとマイナスイオン発生装置。
【請求項2】
前記多孔体により破砕され室内に送風する加湿空気の温度を検出する送風温度センサを設置し、該送風温度センサで検出された温度に基づいて前記加熱手段への電力供給を調節する温度調節手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のナノミストとマイナスイオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44443(P2013−44443A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180304(P2011−180304)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】