説明

ナフタレン誘導体、その製法及びその合成中間体

【構成】 一般式〔I〕


(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、或いは、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、Rは置換基を有していてもよい含窒素複素6員環式基、−OR及び一ORは同一又は異なって、保護されていてもよい水酸基を表す。)で示されるナフタレン誘導体、その製法及びその合成中間体
【効果】 この化合物は、優れた気管支拡張作用を示すため、喘息の予防・治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗喘息作用を有する新規ナフタレン誘導体及びその合成中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】1位に含窒素複素6員環式基を有するナフタレン誘導体としては、1−(5−メチルー2(1H)−ピリドン−3−イル)ナフタレンが公知であるが〔ブレチン・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティー・オブ・ジャパン(BULLETINOF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN),Vo1.41,165−167(1968)〕、この化合物は薬理活性を含めいかなる用途も知られていない。一方、従来から多数の抗喘息薬が知られているが、公知の薬剤は、気管支収縮の抑制効果が充分でなく或いは心臓等に対する副作用との分離が充分でない等の難点があり、さらに新たな薬剤の開発が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗喘息作用の知られた公知化合物とは構造的に異なる化合物群に優れた抗喘息作用があることを見出し、完成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は一般式〔I〕
【0005】
【化16】


【0006】(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基もしくは置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、又は、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、Rは置換基を有していてもよい含窒素複素6員環式基、−OR及び−ORは同一又は異なって、保護されていてもよい水酸基を表す。)で示される新規ナフタレン誘導体及びその薬理的に許容し得る塩を提供するものである。また、本発明は、当該目的化合物〔I〕の製法およびその合成中間体をも提供するものである。
【0007】本発明の目的化合物〔I〕又はその塩は、強い気管支拡張作用を有し喘息の予防・治療剤として有用な医薬化合物である。例えば当該目的物〔I〕は、ヒスタミン誘発気管支収縮抑制効果がテオフィリンより3〜100倍強力である等、気管支収縮の抑制効果が強く、かつ心臓等に対する副作用を示さないという特長を有する。
【0008】本発明の目的化合物の具体例としては、一般式〔I〕において、Rがフッ素原子の如きハロゲン原子で置換されていてもよいピリジル基、N−オキシピリジル基、2(1H)−ピリドニル基、、4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノニル基又は3(2H)−ピリダジノニル基であるか、又は2−アルコキシピリジル基もしくはN−アルキル−2(1H)−ピリドニル基(当該アルコキシ基又はアルキル基は、水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルケニル基、シアノ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基、フェニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、オキサゾリル基から選ばれる基で置換されていてもよい)である化合物をあげることができる。
【0009】また、上記本発明の目的化合物〔I〕の他の具体例としては、R及びRが1)水素原子、2)水酸基、3)シクロ低級アルキルオキシ基、又は4)水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシー低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基及びフェニル基から選ばれる基で置換されていてもよい低級アルコキシ基であるか、或いは5)互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成する化合物があげられる。
【0010】特に薬効上好ましい本発明の目的化合物〔I〕としては、例えば、R及びRが同一又は異なって、低級アルコキシ基、Rがピリジル基、N−アルキル−2(1H)−ピリドニル基又はN−(低級アルコキシ−低級アルキル)−2(1H)−ピリドニル基である化合物があげられる。
【0011】本発明の目的化合物〔I〕において、−OR及び/又は−ORは水酸基及び保護された水酸基のいずれでも良く、かつ当該保護された水酸基は、薬理的に許容し得る基で保護された水酸基であればいかなるものであってもよい。このような保護された水酸基の具体例としては、生体内で加水分解等によって分離し、かつ有害な副生物を生じないもの、例えば、低級アルカノイル基、低級アルキル基で保護された水酸基をあげることができる。
【0012】本発明の目的化合物〔I〕は、遊離の形でも、また薬理的に許容し得る塩の形でも医薬用途に使用することができる。例えばナフタレン骨格の1位に含窒素複素6員環式基を有するため、有機又は無機酸との塩として用いることができ、また、含窒素複素6員環式基上にカルボキシル基等の置換基を有する場合には塩基性塩としても用いることができる。かかる薬理的に許容し得る塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩の如き有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩又はカルシウム塩の如きアルカリ土類金属塩などがあげられる。
【0013】本発明の目的化合物〔I〕もしくはその塩は経口的にも非経口的にも投与することができ、また常法により例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、注射剤、吸入剤のような適宜の医薬製剤として用いることができる。本発明の目的化合物〔I〕又はその薬理的に許容し得る塩の投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態によっても異なるが、通常、1日当り約0.01〜30mg/kg、とりわけ約0.1〜10mg/kg程度とするのが好ましい。
【0014】本発明によれば、目的化合物〔I〕は、下記〔A法〕〜〔D法〕によって製造することができる。
【0015】〔A法〕本発明の目的化合物〔I〕は、一般式〔II〕
【0016】
【化17】


【0017】(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、或いは、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、Rは置換基を有していてもよい含窒素複素6員環式基を表し、−COOR及び−COORは遊離又はエステル化されたカルボキシル基を表す。)で示される化合物又はその分子内酸無水物を還元反応に付して一般式〔I−a〕
【0018】
【化18】


【0019】(但し、式中記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物とし、要すれば2位及び/又は3位のヒドロキシメチル部を保護して製造することができる。
【0020】〔B法〕本発明の目的化合物のうち、一般式〔I−c〕及び〔I−d〕
【0021】
【化19】


【0022】(但し、Rは置換基を有することもある低級アルキル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物は、一般式〔I−b
【0023】
【化20】


【0024】(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、或いは、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、−OR41及び−OR51は保護されていてもよい水酸基を表す。)で示される化合物と一般式〔III〕
【0025】
【化21】


【0026】(但し、Rは置換されていてもよい低級アルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)で示される化合物とを反応させて一般式〔I−c〕及び〔I−d
【0027】
【化22】


【0028】(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物とし、−OR41及び−OR51が保護された水酸基である場合は所望により当該水酸基の保護基を除去し、さらに要すれば2位及び/又は3位のヒドロキシメチル部位を再び保護して製造することもできる。
【0029】〔C法〕本発明の目的化合物のうち、一般式〔I−c〕
【0030】
【化23】


【0031】(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物は、一般式〔I−e
【0032】
【化24】


【0033】(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物を酸化反応に付して一般式〔I−c
【0034】
【化25】


【0035】(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物とし,−OR41及び−OR51が保護された水酸基である場合には所望により当該水酸基の保護基を除去し、さらに要すれば2位及び/又は3位のヒドロキシメチル部位を再び保護しても製造することができる。
【0036】〔D法〕さらに、また本発明の目的化合物のうち、一般式〔I−h〕
【0037】
【化26】


【0038】(但し、−OR及び−ORは同一又は異なって、保護されていてもよい水酸基を表し、点線は当該部位が単結合又は二重結合を形成することを表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物は、一般式〔IV〕
【0039】
【化27】


【0040】(但し、Rは−COORは遊離の又はエステル化されたカルボキシル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物とヒドラジンとを反応させて一般式〔I−f〕
【0041】
【化28】


【0042】(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物とし、要すれば該化合物〔I−f〕をさらに酸化反応に付して一般式〔I−g〕
【0043】
【化29】


【0044】(但し、記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物とし、さらに要すれば得られた化合物〔I−f〕又は〔I−g〕の2位及び/又は3位のヒドロキシメチル部を保護することによっても製造することができる。これら〔A法〕〜〔D法〕は以下のようにして実施することができる。
【0045】〔A法〕原料化合物〔II〕又はその分子内酸無水物の還元反応は、適当な還元剤を用い、溶媒中で実施することができる。原料化合物〔II〕において、エステル化されたカルボキシル基は、還元反応によりヒドロキシメチル基に変換しうるものであればよく、例えば低級アルコキシカルボニル基などがあげられる。還元剤としては、R及びRの種類に応じ適宜選択すればよい。例えば、R及び/又はRがエステル残基である場合には、例えば、水素化リチウムアルミニウム、水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム等、とりわけ水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムを好適に使用することができる。一方、R及び/又はRが水素原子である場合には、例えば水素化リチウムアルミニウム等を好適に使用することができる。さらに化合物〔I〕の分子内酸無水物はR及びRが水素原子である化合物〔I〕を分子内脱水反応に付して調製することができ、その還元反応は、R及び/又はRが水素原子である場合と同様の条件下に実施することができる。これら還元反応は適当な溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンの如きエーテル系溶媒中、冷却〜加熱下で実施することができる。
【0046】〔B法〕化合物〔I−b〕と化合物〔III〕との縮合反応は、塩基の存在下、適当な溶媒中で実施することができる。塩基としては、水素化ナトリウム、水素化リチウム、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムビス(トリメチル)アミド等を、溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド等を適宜用いることができる。本反応で生成する目的化合物〔I−c〕と〔I−d〕は、クロマトグラフィー(例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー)等、常法に従って分離することができる。
【0047】〔C法〕化合物〔I−e〕の酸化反応は、適当な溶媒中常法で実施することができる。酸化剤としては、例えば、ジシアノジクロロキノン、フェリシアン化カリウム等をあげることができ、とりわけフェリシアン化カリウムを好適に用いることができる。また、溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒、例えばジオキサン、水、メタノール、エタノール等をあげることができる。反応は冷却〜室温下で実施するのが好ましい。
【0048】〔D法〕化合物〔IV〕とヒドラジンとの反応は、適当な溶媒中で実施することができる。ヒドラジンは、抱水ヒドラジンを好適に使用することができる。溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば良く、例えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等を適宜使用することができる。反応は加温〜加熱下で実施するのが好ましい。本反応に際し、化合物〔IV〕として、2位及び/又は3位が保護された水酸基である化合物を用いた場合には、当該水酸基の保護基も同時に除去される。
【0049】また、化合物〔I−f〕の酸化反応は、酸化剤を用いて、適当な溶媒中で実施することができる。酸化剤としては、ジシアノジクロロキノン等を好適に用いることができる。適当な溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒、例えばジオキサン、メタノール、エタノール、水等をあげることができる。反応は冷却〜室温で実施するのが好ましい。
【0050】上記〔B法〕及び〔C法〕において−OR41及び/−OR51が保護された水酸基である場合、生成物からの当該保護基の除去は、保護基の種類に応じて、常法に従って加水分解、酸処理、還元等の通常の方法で実施することができる。さらに上記〔A法〕〜〔D法〕において2位及び/又は3位ヒドロキシメチル部の保護は、常法に従い、各生成物と基R及びRに対応する保護基の反応性誘導体、例えば低級アルカン酸の酸無水物、酸ハライド又は低級アルキルハライド等とを縮合反応させて実施することができる。反応は、塩基(トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、水素化ナトリウム、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等)の存在又は非存在下、適当な溶媒(塩化メチレン等)中又は無溶媒で好適に実施できる。この場合、3位のヒドロキシメチル部は、2位のヒドロキシメチル部よりも反応性が高いため、生成物1モルに対し保護基の反応性誘導体を等モル使用すると、3位ヒドロキシメチル部のみが保護された目的物が主に生成し、2モル以上使用すると、2位と3位がともに保護された目的物を得ることができる。
【0051】さらに、本発明の目的化合物物は、相互変換可能であり、例えば一般式〔I〕において、1位がN−オキシピリジル基である目的化合物は、1位がピリジル基である対応目的化合物を酸化反応に付して得ることもできる、また、1位が2(1H)−ピリドニル基である化合物〔I−b〕は、1位がN−オキシピリジル基である対応目的化合物を酸無水物と反応させた後、塩基処理して、さらに、1位がN−置換ピリジル基である目的化合物〔I−e〕は、1位がピリジル基である目的化合物のN位に常法により対応置換基を導入して得ることもできる。
【0052】なお、本発明の原料化合物〔II〕は新規化合物であり、例えば、一般式〔V〕
【0053】
【化30】


【0054】(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示されるベンズアルデヒド化合物を、ハロゲン(臭素等)で処理し、得られる6−ハロゲノベンズアルデヒド化合物を、酸触媒(例えば、強酸性樹脂等)の存在下オルトギ酸メチルと反応させ、次いで塩基(n−ブチルリチウム等)の存在下一般式〔VI〕
【0055】
【化31】


【0056】(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示されるアルデヒド化合物と反応させて一般式〔VII〕
【0057】
【化32】


【0058】(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物とし、生成物をマレイン酸ジエステルと縮合反応させ、さらに所望により縮合反応生成物からエステル残基を除去して製造することができる。
【0059】また、本発明の原料化合物〔IV〕も新規化合物であり、例えば、原料化合物〔II〕の製法に準じて製造した一般式〔VIII〕
【0060】
【化33】


【0061】(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物を例えば水素化リチウムアルミニウムで還元し、得られた2,3−ビス(ヒドロキシメチル)化合物の水酸基を保護したのち、1位のメチル基を、常法により酸化してアルデヒド基とし、このアルデヒド化合物を一般式〔IX〕
【0062】
【化34】


【0063】で示される化合物と反応させ、さらに生成物をピリジニウムクロロクロメートの如き酸化剤で酸化して得ることができる。
【0064】なお、本発明の原料化合物〔II〕及び〔IV〕は相互変換することも可能である。目的化合物〔I〕の相互変換反応に用いられる方法がいずれも原料化合物〔II〕に適用できるのみならず、例えば原料化合物〔II〕及び〔IV〕のうち、R及び/又はRがベンジルオキシ基である化合物は常法に従い還元してR及び/又はRが水酸基である化合物に、またR及び/又はRが水酸基である化合物は当該水酸基を常法に従って保護してR及び/又はRがシクロ低級アルコキシ基又は置換基を有していてもよい低級アルコキシ基である化合物に、それぞれ変換することも可能である。
【0065】なお、本発明において、アルキル基及びアルコキシ基は炭素数1〜10、とりわけ1〜8のものが、低級アルキル基、低級アルコキシ基及び低級アルキレン基は炭素数1〜6、とりわけ1〜4のものが、低級アルカノイル基は炭素数2〜6、とりわけ2〜5のものが、シクロ低級アルキル基は炭素数3〜6、とりわけ5のものが、好ましい。
【実施例】
【0066】実施例 1テトラヒドロフラン25mlに水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(3.4M)18.0mlを加え、−10℃に冷却する。そこへ1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジエトキシナフタレン10.0gのテトラヒドロフラン懸濁液25mlを15分間で滴下する。反応液を昇温し、氷冷下で1.5時間攪拌した後、15%水酸化ナトリウム水溶液3.7mlを加える。反応混合物に水及び塩化メチレンを加え、不溶物をろ去する。ろ液を塩化メチレン抽出し、抽出液を洗浄、乾燥後、濃縮して1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジエトキシナフタレン7.89gを得る。収率91.1%m.p. 159−161℃
【0067】実施例 21−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン2.0gのテトラヒドロフラン溶液50mlを水素化リチウムアルミニウム100mgのテトラヒドロフラン懸濁液20mlに−20℃で滴下する。氷冷下1時間撹拌した後反応液に水0.1ml、15%水酸化ナトリウム水溶液0.1mlを加える。10分後、水0.3mlを加え室温で1時間攪拌する。不溶物をセライト上にろ過し、得られたろ液を濃縮する。残査を酢酸エチル:ジエチルエーテル=1:1の溶液で結晶化して1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.35gを得る。
収率 80%m.P. 118−120℃
【0068】実施例 3対応ジカルボン酸メチルエステル型化合物を実施例2と同様に処理して下記第1表記載の化合物を得る。
【0069】
【表1】


【0070】実施例 41−(4−ピリジル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン6.50gを塩化メチレン50mlに溶解し、氷冷下に無水酢酸6.12g、トリエチルアミン6.06gを滴下して室温で終夜攪拌する。塩化メチレンで希釈後水洗し、乾燥後濃縮して残査を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶して1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン7.45gを得る。
収率 93.6%m.P. 161−163℃
【0071】実施例 5対応ビス(ヒドロキシメチル)型化合物を実施例4と同様に処理して下記第2表記載の化合物を得る。
【0072】
【表2】


【0073】実施例 61−(4−ピリジル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン5.6gの塩化メチレン溶液150mlに室温でメタクロロ過安息香酸2.3gを加え終夜攪拌する。反応液を重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮する。得られた残査をジエチルエーテルより結晶化して1−(N−オキシー4−ピリジル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン4.5gを得る。
収率 78%m.p. 210−212℃
【0074】実施例 7対応ピリジル型化合物をそれぞれ実施例6と同様に処理して下記第3表記載の化合物を得る。
【0075】
【表3】


【0076】実施例 81−(N−オキシー4−ピリジル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン4.5gに無水酢酸20mlを加え8時間加熱還流する。反応液を濃縮し、得られた残査をメタノール15mlに溶解して氷冷下に濃アンモニア水0.8mlを加え、室温に戻し20分間攪拌する。析出した結晶をろ取し、メタノールで洗浄して1−(2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.7gを得る。
収率 76%m.p. 241−243℃
【0077】実施例 9(a)1−(N−オキシ−3−ピリジル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを実施例8と同様に処理し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:メタノール=98:2)に付す。先に溶出するフラクションより1−(2(1H)−ピリドン−3−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
(b)さらに、後に溶出するフラクションより1−(2(1H)−ピリドン−5−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
【0078】実施例 101−(N−オキシー3−ピリジル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−メチレンジオキシナフタレンを実施例9と同様に処理して1−(2(1H)−ピリドン−3−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−メチレンジオキシナフタレン及び1−(2(1H)−ピリドン−5−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−メチレンジオキシナフタレンを得る。
【0079】実施例 11対応N−オキシピリジル型化合物を実施例8と同様に処理して下記第4表記載の化合物を得る。
【0080】
【表4】


【0081】実施例 12(a)1−(2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.9gをジメチルホルムアミド20mlに溶解し,氷冷下63%水素化ナトリウム0.17gを加える。室温で30分間攪拌した後氷冷し、ヨウ化メチル0.42mlを加え室温で一夜攪拌する。溶媒を留去し酢酸エチルと水で分液する。有機層を乾燥し、溶媒を留去して油状物1.0gを得る。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:アセトン=9:1、次いでクロロホルム:メタノール=9:1に変更)に付す。先に溶出するフラクションより、1−(2−メトキシー4−ピリジル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
(b)次いで、後から溶出するフラクションより、1−(N−メチルー2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
【0082】実施例 131−(N−メチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン0.5gを10%アンモニアメタノール溶液20mlに溶解し2日間室温で放置する。溶媒を留去し残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:メタノール=95:5)で精製して1−(N−メチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン0.25gを得る。
収率 63%m.p. 176−178℃(エタノールより再結晶)
【0083】実施例 14対応ピリドン型化合物と対応アルキル化剤とを実施例12と同様に処理し、生成する対応N−アルキルピリドン型化合物をさらに実施例13と同様に処理して下記第5表記載の化合物を得る。
【0084】
【表5】


【0085】
【表6】


【0086】
【表7】


【0087】実施例 15(a)1−(2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンとブロモ酢酸エチルとを実施例12と同様に処理して1−(N−エトキシカルボニルメチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
【0088】(b)本品2.0gのエタノール溶液に、室温にて、1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、3時間攪拌する。エタノールを留去後、水を加え、クロロホルムで洗浄する。水層を分取し、10%塩酸でpH3にし、減圧濃縮して1−(N−カルボキシメチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.2gを得る。
収率 64%m.p. >300℃本品を炭酸水素ナトリウム水溶液で処理しナトリウム塩を得る。
ナトリウム塩:m.p. 170−195℃(分解)
【0089】また、本品をメタノール中、濃アンモニア水で処理して1−(N−カルバモイルメチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを無色針状晶として得る。
m.p. 171−173℃(メタノールより再結晶)
【0090】実施例 161−(2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.0g、アクリロニトリル3mlのメタノール溶液に水酸化ナトリウム20mgを加え、3分間80℃に加熱する。反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:アセトン=10:1、次いで5:1に変更)に付し、目的のフラクションより1−〔N−(2−シアノエチル)−2(1H)−ピリドン−4−イル)2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.1gを淡黄色油状物として得る。
収率 98%
【0091】実施例 171−〔N−(2−シアノエチル)−2(1H)−ピリドン−4−イル〕−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン60mgのメタノール溶液に、室温でナトリウムメチラート4mgを加える。30分間撹拌後、酢酸4mgを加え、濃縮する。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1)で精製して、1−〔N−(2−シアノエチル)−2(1H)−ピリドン−4−イル〕−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン45mgを無色結晶として得る。
収率 91%m.p. 198−200℃
【0092】実施例 18対応ビス(アセトキシメチル)型化合物を実施例13と同様に処理して下記第6表記載の化合物を得る。
【0093】
【表8】


【0094】実施例 19対応ピリドン型化合物と対応N−アルキル化剤とを実施例12と同様に処理し、生成するN−アルキルピリドン型化合物をさらに実施例13と同様に処理して下記第7表記載の化合物を得る。
【0095】
【表9】


【0096】実施例 20(a)1−(2(1H)−ピリドン−5−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンとヨウ化メチルとを実施例12と同様に処理する。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:アセトン=9:1、次いでクロロホルム:メタノール=9:1に変更)に付す。
(b)先に溶出するフラクションより1−(2−メトキシ−5−ピリジル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。後から溶出するフラクションより1−(N−メチル−2(1H)−ピリドン−5−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
【0097】実施例 211−(2−メトキシ−5−ピリジル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを実施例13と同様に処理して1−(2−メトキシ−5−ピリジル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
m.p. 181−182℃
【0098】実施例 221−(N−メチル−2(1H)−ピリドン−5−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを実施例13と同様に処理して1−(N−メチル−2(1H)−ピリドン−5−イル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
m.p. 212−214℃
【0099】実施例 23対応ピリドン型化合物と対応アルキル化剤とを実施例20と同様に処理して下記第8表記載の化合物を得る。
【0100】
【表10】


【0101】実施例 24対応ビス(アセトキシメチル)型化合物を実施例13と同様に処理して下記第9表記載の化合物を得る。
【0102】
【表11】


【0103】実施例 251−(N−ブチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン226mgのテトラヒドロフラン溶液2mlに水素化ホウ素ナトリウム100mgを加えて加熱還流する。反応液にメタノール0.4mlを20分間で徐々に滴下する。1時間後、反応液を放冷し10%塩酸を加えて中和する。クロロホルムで抽出してクロロホルム層を水洗し乾燥後濃縮する。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:メタノール=20:1)に付す。目的のフラクションを濃縮して1−(N−ブチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン165mgを結晶として得る。
収率 83%m.p. 159−161℃
【0104】実施例 26対応ジカルボン酸エステル型原料化合物を実施例25と同様に処理して下記第10表記載の化合物を得る。
【0105】
【表12】


【0106】
【表13】


【0107】
【表14】


【0108】実施例 27(a)1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジエトキシナフタレン7.0gの乾燥ジメチルホルムアミド懸濁液14mlに2−メトキシエチルアイオダイド7.35gを加え、80℃で終液攪拌する。放冷後反応液に酢酸エチルを加え、析出した結晶をろ取して4−〔2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジエトキシ−1−ナフチル〕−N−(2−メトキシエチル)ピリジニウムヨージド8.50gを得る。
収率 79.8%m.p. 174−176℃(アセトンから再結晶)
【0109】(b)本品2.0g、水5ml及びメタノール10mlの混合物に、攪拌下、10℃にてフェリシアン化カリウム4.8gの水10ml溶液と2N水酸化ナトリウム水溶液15.2mlを同時に1時間かけて滴下する。室温にもどし、5時間攪拌後メタノールを留去し、塩化メチレン抽出する。抽出液を洗浄、乾燥後濃縮する。得られた残査に酢酸エチルを加えて結晶化して1−〔N−(2−メトキシエチル)−2(1H)−ピリドン−4−イル〕−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジエトキシナフタレン1.82gを得る。
収率 60.1%m.p. 126−127℃
【0110】実施例 28対応化合物を実施例27と同様に処理して下記第11表記載の化合物を得る。
【0111】
【表15】


【0112】実施例 291−(1−オキソ−3−エトキシカルボニルプロピル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン340mgのエタノール溶液40mlに抱水ヒドラジン1mlを加え終夜加熱還流する。反応液を放冷後濃縮して得られた残査に水を加えクロロホルム抽出する。クロロホルム層を水洗後乾燥、濃縮して1−(4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノン−6−イル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン170mgを結晶として得る。
収率 67%m.p. 210−212℃
【0113】実施例 30(a)1−(4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノン−6−イル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン344mgの塩化メチレン溶液10mlにトリエチルアミン1.24mlとジメチルアミノピリジン20mgを加える。室温で無水酢酸896mgを加え4日間攪拌し、反応液を水洗して硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮する。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:アセトン=5:1)で精製する。目的物のフラクションを濃縮し残査にジエチルエーテルを加えて結晶化して1−(4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノン−6−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン255mgを得る。
収率 60%m.p. 184−186℃
【0114】(b)本品200mgのジオキサン溶液5mlにジシアノジクロロキノン427mgを加え2時間加熱還流する。放冷後反応液を濃縮して得られた残査にクロロホルムを加え不溶物をろ別する。ろ液を水洗し、乾燥濃縮して得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:アセトン=5:1)で精製する。目的のフラクションを濃縮して1−(3(2H)−ピリダジノン−6−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン150mgを油状物として得る。
収率 75%
【0115】(c)本品100mgのメタノール溶液5mlに室温でナトリウムメチラート30mgを加える。1時間攪拌した後酢酸34mgを加え濃縮する。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1)で精製して目的のフラクションを濃縮し、ジエチルエーテルを加えて結晶化して1−(3(2H)−ピリダジノン−6−イル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン40mgを得る。
収率 51%m.p. 228−229℃
【0116】実施例 311−(N−ブチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.5gの塩化メチレン溶液10mlに室温下トリエチルアミン1.3ml、ジメチルアミノピリジン30mg、無水酢酸853mgを順次加える。室温で終夜撹拌した後反応液を水洗し、塩化メチレン層を乾燥後濃縮する。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:メタノール=20:1)で精製して目的のフラクションを濃縮し、析出した結晶をろ取して1−(N−ブチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.40gを得る。
収率 77%m.p. 134−135℃
【0117】実施例 321−〔N−(2−メトキシエチル)−2(1H)−ピリドン−4−イル〕−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6−エトキシ−7−メトキシナフタレンのピリジン懸濁液に氷冷下、ピバロイルクロリド2.86mlを加える。室温にもどし終夜攪拌後、ピリジンを留去する。残査に酢酸エチルと水を加え、酢酸エチル抽出する。抽出液を洗浄、乾燥後、濃縮し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:アセトン=5:1、次いでクロロホルム:メタノール=20:1に変更)に付し、目的のフラクションを濃縮し、得られた残査をエーテルにて結晶化して1−〔N−(2−メトキシエチル)−2(1H)−ピリドン−4−イル〕−2−ヒドロキシメチル−3−ピバロイルオキシメチル−6−エトキシ−7−メトキシナフタレン5.3gを得る。
収率 55%m.p. 134−135℃
【0118】実施例 33水素化ナトリウムのヘキサメチルホスホリックトリアミド懸濁液40mlに、氷冷下、1−(3−ピリジル)−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンのHMPA溶液(10ml)を加え、室温にもどし30分間攪拌する。反応液にネオペンチルトシレート3.67gを加え、100℃で30分間反応させる。放冷後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出する。水洗、乾燥、濃縮後、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム:アセトン=5:1)に付し、目的のフラクションを濃縮して1−(3−ピリジル)−2−ヒドロキメチル−3−ネオペンチルオキシメチル−6,7−ジメトキシナフタレン1.5gを油状物として得る。本品のクロロホルム溶液を塩化水素のメタノール溶液で処理して本品の塩酸塩を得る。
塩酸塩:m.p.135−145℃(ジエチルエーテルより再結晶)
【0119】参考例 1(a)3,4−ジメトキシベンズアルデヒド398.8gを酢酸1.8リットルに溶解し室温で臭素136mlを4時間かけて滴下する。終夜攪拌した後再び臭素60mlをゆっくり滴下し終夜攪拌する。反応液を水7リットルに加え、析出した結晶をろ取し、水洗して得られた結晶をクロロホルム2リットルに溶解する。水、チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄してクロロホルム層を乾燥後濃縮し、ジイソプロピルエーテルで結晶化して6−ブロモ−3,4−ジメトキシベンズアルデヒド470gを無色結晶とて得る。
収率 79.9%m.p. 144−146℃
【0120】(b)6−ブロモ−3,4−ジメトキシベンズアルデヒド470gをメタノール600mlに懸濁させ、オルトギ酸メチル1025mlと1RA−120(H+型)10gを加え1時間加熱還流する。室温に戻し不溶物をろ別してろ液を減圧濃縮し、得られた残査をジエチルエーテルに溶解する。洗浄、乾燥し、ジエチルエーテルを留去後減圧蒸留して主留(133−138℃/1Torr)として6−ブロモ−3,4−ジメトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール522gを得る。
収率 93.9%
【0121】参考例 2対応アルデヒド型原料化合物を参考例1と同様に処理して下記第12表記載の化合物を得る。
【0122】
【表16】


【0123】
【表17】


【0124】参考例 36−ブロモ−3,4−ジメトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール体20gのテトラヒドロフラン溶液100mlを−60℃に冷却し窒素雰囲気下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6M)45.1mlを20分間で滴下する。同温で30分間反応させた後イソニコチンアルデヒド7.36gのテトラヒドロフラン溶液50mlを20分間で滴下する。1時間反応させた後反応液に水、酢酸エチル200mlを加えて抽出し、飽和食塩水で洗浄後酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥する。酢酸エチルを留去して3,4−ジメトキシ−6−(4−ピリジル)ヒドロキシメチルベンズアルデヒドジメチルアセタール15.4gを得る。
収率 70%m.p. 120−125℃
【0125】参考例 4対応化合物を参考例3と同様に処理して下記第13表記載の化合物を得る。
【0126】
【表18】


【0127】
【表19】


【0128】参考例 53,4−ジメトキシ−6−(4−ピリジル)ヒドロキシメチルベンズアルデヒドジメチルアセタール15gをメタノール200ml、酢酸30ml中3時間加熱還流して溶媒を約4分の1まで留去し、クロロホルムー炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液する。有機層をとり乾燥後濃縮して1−ジメトキシ−3−(4−ピリジル)−5,6−ジメトキシフタラン13.1gを油状物として得る。本品は精製せずに次の反応に使用した。
収率 94%
【0129】参考例 6リチウムジイソプロピルアミド18.4gのテトラヒドロフラン300ml溶液に−70℃にて1−ジメトキシ−3−(4−ピリジル)−5,6−ジメトキシフタラン13.1gのテトラヒドロフラン100ml溶液を滴下し攪拌する。酢酸10.9g、次いでマレイン酸ジメチル13.1gを滴下し室温にて一晩攪拌する。反応混合物を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液で分液する。有機層を分取し水洗、乾燥後濃縮して残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)に付して1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシ−1,4−エポキシ−1,4−ジヒドロナフタレン3.5gを得る。
【0130】参考例 71−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシ−1,4−エポキシ−1,4−ジヒドロナフタレン3.0g、トリフルオロボラン・ジエチルエーテル1.95gをアセトニトリル100mlに加え2時間加熱還流する。反応液をクロロホルム300ml−炭酸水素ナトリウム水溶液50mlにて分液し、有機層をさらに炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥後濃縮して残査を少量のジエチルエーテルで洗浄し、1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン2.1gを結晶として得る。
収率 73%m.p. 196−198℃
【0131】参考例 83,4−ジメトキシ−6−(4−ピリジル)ヒドロキシメチルベンズアルデヒドジメチルナフタレン18.4gの酢酸50ml−トルエン50ml溶液にマレイン酸ジメチル8.64mlを加え1時間加熱還流する。メタンスルホン酸9.33mlを加えディーン・スターク装置を用いて生成する水を除去しながら8時間加熱還流する。室温にもどし反応液を濃縮し、得られた残査をクロロホルムに溶解し、炭酸カリウム水溶液を加えてpH8に調整する。クロロホルム100mlで2回抽出してクロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮して得られた残査をジエチルエーテルから結晶化してジエステル体1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン13.5gを得る。
収率 62.2%m.p. 196−198℃
【0132】参考例 91−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6−ベンジルオキシ−7−メトキシナフタレン2.3gを酢酸50mlに溶解し、その中に10%パラジウム炭素を加える。中圧還元装置(Parr)を用いて3時間振とうし水素添加する。パラジウム炭素をろ別し、ろ液を濃縮して析出した結晶をジエチルエーテルで洗浄して1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6−ヒドロキシ−7−メトキシナフタレン1.8gを得る。
収率 98%m.p. 210−212℃
【0133】参考例 101−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6−ヒドロキシ−7−メトキシナフタレン17gのジメチルホルムアミド溶液50mlに氷冷下水素化ナトリウム(60%分散液)を徐々に加えて室温で30分間攪拌した後再び氷冷し、2−メトキシエチルアイオダイド10.3gを加える。室温で2時間攪拌後80℃に加温する。1時間後、反応液を放冷、濃縮して得られた残査を酢酸エチルに溶解し水洗、乾燥後濃縮して析出した結晶をジエチルエーテルで洗浄して1−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6−(2−メトキシエチルオキシ)−7−メトキシナフタレン8.5gを得る。
収率 43%m.p. 156−158℃
【0134】参考例 11対応化合物を参考例1〜8と同様に処理し、生成物を必要に応じてさらに参考例9、10と同様に処理して下記第14表記載のジカルボン酸エステル型化合物を得る。
【0135】
【表20】


【0136】
【表21】


【0137】
【表22】


【0138】参考例 121−(4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン5gの塩化メチレン溶液300mlに氷冷下メタクロロ過安息香酸8.1gを加え、室温に戻し終夜攪拌した後、反応液を10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄する。乾燥後濃縮して1−(N−オキシ−4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン15.0gを結晶として得る。
収率 96%m.p. 224−226℃
【0139】参考例 13対応ピリジン型原料化合物を参考例9と同様に処理して下記第15表記載の化合物を得る。
【0140】
【表23】


【0141】
【表24】


【0142】参考例 141−(N−オキシ−4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン10gのジメチルホルムアミド溶液75mlに無水酢酸24mlを加え150℃で8時間攪拌する。反応液を放冷後濃縮し、得られた残査にメタノール20mlを加えて溶解する。室温で飽和アンモニア水10mlを加え30分間攪拌し、析出した結晶をろ取して1−(2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン8.6gを得る。
収率 86%m.p. >250℃
【0143】参考例 15対応N−オキシピリジン型原料化合物を参考例10と同様に処理して下記第16表記載のピリドン型化合物を得る。
【0144】
【表25】


【0145】
【表26】


【0146】参考例 161−(2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン4.0gのジメチルホルムアミド溶液15mlに氷冷下水素化ナトリウム(60%分散液)404mgを加え、室温に戻し30分間攪拌した後再び氷冷する。反応液にヨウ化n−ブチル2.2gを加え、室温に戻し終夜攪拌する。反応液を濃縮し得られた残査を酢酸エチルに溶解し、水洗する。乾燥後濃縮して残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)に付す。目的のフラクションを濃縮して1−(N−ブチル−2(1H)−ピリドン−4−イル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン2.5gを結晶として得る。
収率 55%m.p. 144−146℃また、副産物として1−(2−ブトキシ−4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.4gを得る。
収率 31%m.p. 112−113℃(エタノールより結晶化)
【0147】参考例 17対応ピリドン型原料化合物を実施例13と同様に処理して下記第17表記載の化合物を得る。
【0148】
【表27】


【0149】
【表28】


【0150】
【表29】


【0151】参考例 18(a)6−ブロモ−3,4−ジメトキシベンズアルデヒドジメチルアセタールとアセトアルデヒドとを参考例3と同様に処理して3,4−ジメトキシ−6−(1−ヒドロキシエチル)ベンズアルデヒドジメチルアセタールを油状物として得る。
【0152】(b)本品を参考例8と同様に処理して1−メチル−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
m.p. 142−144℃
【0153】(c)1−メチル−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレンを実施例1と同様に処理して1−メチル−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
m.p. 180−182℃
【0154】(d)本品を実施例4と同様に処理して1−メチル−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンを得る。
m.p. 130−131℃
【0155】(e)1−メチル−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン5.0gの四塩化炭素溶液100mlにN−ブロモコハク酸イミド2.8gと過酸化ベンゾイル150mgを加え2時間加熱還流する。放冷後不溶物をろ別し、ろ液を減圧濃縮して1−ブロモメチルー2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン5.1gを結晶として得る。
収率 83%m.p. 182−183℃
【0156】(f)本品4.0gのクロロホルム溶液70mlに重クロム酸テトラブチルアンモニウム塩8.8gを加え2時間加熱還流する。放冷後濃縮し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)により精製する。目的物を含むフラクションを濃縮して1−ホルミル−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.4gを結晶として得る。
収率 41%m.p. 154−155℃
【0157】(g)本品5.0gの塩化メチレン溶液30mlに窒素雰囲気下−70℃で四塩化チタン1.7mlと1−エトキシ−1−トリメチルシリルオキシシクロプロパン2.9gを滴下する。反応液を徐々に昇温し0℃で1時間攪拌した後飽和食塩水を加える。クロロホルムで抽出してクロロホルム層を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:クロロホルム:酢酸エチル=5:5:2、次いでヘキサン:酢酸エチル=1:1に変更)で精製し、1−(1−ヒドロキシ−3−エトキシカルボニルブロピル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン4.0gを油状物として得る。
収率 62%
【0158】(h)ピリジニウムクロロクロメート794mgの塩化メチレン懸濁液10mlに氷冷下本品462mgの塩化メチレン溶液5mlを滴下する。室温に戻し3時間反応した後ジエチルエーテルを加えてデカンテーションする。残査にジエチルエーテルを加えデカンテーションを2回、クロロホルムを加えデカンテーションを2回繰り返す。有機層を一緒にしてろ過し、ろ液を濃縮して得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:クロロホルム:酢酸エチル=5:5:2)で精製する。目的のフラクションを濃縮して1−(1−オキソ−3−エトキシカルボニルブロピル)−2,3−ビス(アセトキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン400mgを結晶として得る。
収率 87%m.p. 85−87℃
【0159】
【発明の効果】本発明の目的化合物〔I〕又はその薬理的に許容し得る塩は、優れた気管支拡張作用を有し、喘息の予防・治療剤として有用である。即ち、本発明の目的化合物〔I〕は、ヒスタミン、U−46619、ロイコトリエンD等の各種スパスモーゲンや抗原により誘発される気管支収縮を、効果的に抑制する。例えば、R及びRが低級アルコキシ基、Rがピリジル基、N−アルキル−2(1H)−ピリドニル基又はN−(低級アルコキシ−低級アルキル)−2(1H)−ピリドニル基、−ORが水酸基又は低級アルカノイルオキシ基、−ORが水酸基である本発明の目的化合物〔I〕は、テオフィリンより3〜100倍強力なヒスタミン誘発気管支収縮抑制作用を示す。また、本発明の目的化合物〔I〕又はその薬理的に許容し得る塩は、心臓等に対する副作用をほとんど示さず、選択的に気管支拡張作用を示すとともに、低毒性であり、医薬として高い安全性を示すという優れた特性を有する。テオフィリンの場合、血圧低下、心悸亢進等心臓への副作用が知られているが、本発明の目的化合物〔I〕又はその薬理的に許容し得る塩はかかる副作用を実質的に示さず、優れた抗喘息作用を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式〔I〕
【化1】


(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、或いは、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、Rは置換基を有していてもよい含窒素複素6員環式基、−OR及び−ORは同一又は異なって、保護されていてもよい水酸基を表す。)で示されるナフタレン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【請求項2】 Rがハロゲン原子、アルコキシ基及びアルキル基から選ばれる基で置換されていてもよいピリジル基、N−オキシピリジル基、2(1H)−ピリドニル基、4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノニル基又は3(2H)−ピリダジノニル基(当該アルコキシ基又はアルキル基は水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルケニル基、シアノ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基、フェニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、オキサゾリル基から選ばれる基で置換されていてもよい)である請求項1記載の化合物。
【請求項3】 Rがハロゲン原子で置換されていてもよいピリジル基、N−オキシピリジル基、2(1H)−ピリドニル基、4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノニル基又は3(2H)−ピリダジノニル基であるか、又は2−アルコキシピリジル基もしくはN−アルキルー2(1H)−ピリドニル基(当該アルコキシ基又はアルキル基は水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルケニル基、シアノ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ジ低級アルキルアミノ基、フェニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、オキサゾリル基、オキソ基から選ばれる基で置換されていてもよい)である請求項2記載の化合物。
【請求項4】 R及びRが1)水素原子、2)水酸基、3)シクロ低級アルキルオキシ基、又は4)水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基及びフェニル基から選ばれる基で置換されていてもよい低級アルコキシ基であるか、或いは5)互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成している請求項1、2又は3記載の化合物。
【請求項5】 −OR及び−ORが同一又は異なって、低級アルキル基又は低級アルカノイル基で保護されていてもよい水酸基である請求項1、2、3又は4記載の化合物。
【請求項6】 R及びRが同一又は異なって、低級アルコキシ基、Rがピリジル基、N−アルキルー2(1H)−ピリドニル基又はN−(低級アルコキシ−低級アルキル)−2(1H)−ピリドニル基、−ORが低級アルカノイル基で保護されていてもよい水酸基、−ORが水酸基である請求項3、4又は5記載の化合物。
【請求項7】一般式〔II〕
【化2】


(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、或いは、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、Rは置換基を有していてもよい含窒素複素6員環式基を表し、−COOR及び−COORは遊離又はエステル化されたカルボキシル基を表す。)で示される化合物又はその分子内酸無水物を還元反応に付して一般式〔I−a〕
【化3】


(但し、式中記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物とし、要すれば2位及び/又は3位のヒドロキシメチル部を保護し、さらに要すれば生成物を薬理的に許容し得る塩とすることを特徴とする一般式〔I〕
【化4】


(但し、−OR及び−ORは同一又は異なって、保護されていてもよい水酸基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物又はその薬理的に許容し得る塩の製法。
【請求項8】 一般式〔I−b
【化5】


(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、或いは、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、−OR41及び−OR51は保護されていてもよい水酸基を表す。)で示される化合物と一般式〔III〕
【化6】


(但し、Rは置換基を有することもある低級アルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)で示される化合物とを反応させ、−OR41及び/又は−OR51が保護された水酸基である場合は所望により当該水酸基の保護基を除去し、さらに要すれば2位及び/又は3位のヒドロキシメチル部位を再び保護し、さらに要すれば生成物をその薬理的に許容し得る塩とすることを特徴とする一般式〔I−c〕
【化7】


(但し、−OR及び−ORは同一又は異なって、保護されていてもよい水酸基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物又はその薬理的に許容し得る塩の製法。
【請求項9】 一般式〔I−e
【化8】


(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、或いは、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、−OR41及び−OR51は保護されていてもよい水酸基、Rは置換基を有することもある低級アルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)で示される化合物を酸化反応に付し、−OR41及び−OR51が保護された水酸基である場合には所望により当該水酸基の保護基を除去し、さらに要すれば2位及び/又は3位のヒドロキシメチル部位を再び保護し、さらに要すれば生成物をその薬理的に許容し得る塩とすることを特徴とする一般式〔I−c〕
【化9】


(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物又はその薬理的に許容し得る塩の製法。
【請求項10】 一般式〔IV〕
【化10】


(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、或いは、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、基:−OR41及び−OR51は保護されていてもよい水酸基を表し、−COORは遊離又はエステル化されたカルボキシル基を表す。)で示される化合物とヒドラジンとを反応させて一般式〔I−f〕
【化11】


(但し、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物とし、要すれば該化合物〔I−f〕をさらに酸化反応に付して一般式〔I−g〕
【化12】


(但し、記号は前記と同一意味を有する)で示される化合物とし、さらに要すれば当該生成物の2位及び/又は3位のヒドロキシメチル部を保護し、さらに要すれば生成物をその薬理的に許容し得る塩とすることを特徴とする一般式〔I−h〕
【化13】


(但し、−OR及び−ORは同一又は異なって、保護されていてもよい水酸基を表し、点線は当該部位が単結合又は二重結合を形成することを表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物又はその薬理的に許容し得る塩の製法。
【請求項11】一般式〔II〕
【化14】


(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基もしくは置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、又は互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、Rは置換基を有していてもよい含窒素複素6員環式基を表し、−COOR及び−COORは遊離の又はエステル化されたカルボキシル基を表す。)で示される化合物、その分子内酸無水物又はその塩。
【請求項12】一般式〔IV〕
【化15】


(但し、R及びRは同一又は異なって、水素原子、水酸基、シクロ低級アルキルオキシ基もしくは置換基を有していてもよい低級アルコキシ基を表すか、又は、互いに末端で結合して低級アルキレンジオキシ基を形成し、−OR41及び−OR51は保護されていてもよい水酸基、−COORは遊離又はエステル化されたカルボキシル基を表す。)で示される化合物又はその塩。