説明

ネットワーク機器の生存監視システム及びネットワーク機器の生存監視方法

【課題】
各ネットワーク機器からの監視パケットの送信が機器毎に異なるタイミングで行われ、トラフィックの集中が避けられ、正確な生存確認が可能なネットワーク機器の生存監視システム及びネットワーク機器の生存監視方法を提供することにある。
【解決手段】
ネットワーク機器がサーバに対して所定間隔で監視パケットを送信し、サーバがネットワーク機器からの監視パケットを受信した後、監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器に返信し、ネットワーク機器が監視パケットに対するサーバからの応答パケットを受信し、応答パケットが所定間隔で送り返されて来たかを確認し、ネットワーク機器がサーバに対して次の監視パケットを送信する間隔が、前回送信した監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器が受信した時からの時間で定めることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバと、電気通信回線を介して接続されたネットワーク機器の生存監視システム及びネットワーク機器の生存監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インターネット等の電気通信回線を介してサーバと接続された複数のネットワーク機器とサーバとの間で、サーバとネットワーク機器との生存監視が行われている。このサーバ及びネットワーク機器の生存監視のために、相互に生存を確認するためのパケットを送信し監視する方法が用いられている。この監視のためのパケットとしては、例えば特許文献1に示されるUDPパケットが考えられる。特許文献1に示されるように、NAT(Network Address Translation:プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの相互互換)越えを考慮したUDPパケットを定期的に送信し、生存監視する方法が考えられる。また、NAT越えに関しては、特許文献2に示されるようなUpnp(Universal Plug and Play)を用いる方法も考えられる。
【特許文献1】特開2004−120547号公報
【特許文献2】特開2005−109735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の通信方式を用いた方法では、各ネットワーク機器の信号送信のタイミングが揃う可能性が高く、機器の台数によっては生存監視のトラフィックが集中し、信号ロスを生じて、正確な生存監視が行えない。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、各ネットワーク機器からの監視パケットの送信が機器毎に異なるタイミングで行われ、トラフィックの集中が避けられ、正確な生存確認が可能なネットワーク機器の生存監視システム及びネットワーク機器の生存監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のネットワーク機器の生存監視システムは、ネットワーク機器が、サーバに対して所定間隔で監視パケットを送信する送信手段と、監視パケットに対するサーバからの応答パケットを受信する受信手段と、応答パケットが所定間隔で送り返されて来たかを確認する応答パケット確認手段とを備え、サーバが、ネットワーク機器からの監視パケットを受信する受信手段と、監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器に返信する送信手段とを備え、ネットワーク機器がサーバに対して次の監視パケットを送信する間隔が、前回送信した監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器が受信した時からの時間で定まることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載のネットワーク機器の生存監視システムは、サーバが、監視パケットが所定間隔で送られて来たかを確認する監視パケット確認手段を備える。
【0007】
請求項3記載のネットワーク機器の生存監視システムは、サーバが、応答パケットに、サーバ側が所望する監視パケットの送信間隔の情報を付加することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載のネットワーク機器の生存監視システムは、サーバとネットワーク機器との間で、相互の伝送遅延を測定するための伝送遅延測定パケットを送受信し、ネットワーク機器が、監視パケットを送信する間隔を、伝送遅延を考慮して定めることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載のネットワーク機器の生存監視システムは、監視パケットや応答パケット等の各種パケットの送受信を、TCPにて常時接続することで行うことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載のネットワーク機器の生存監視方法は、ネットワーク機器がサーバに対して所定間隔で監視パケットを送信し、サーバがネットワーク機器からの監視パケットを受信した後、監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器に返信し、ネットワーク機器が監視パケットに対するサーバからの応答パケットを受信し、応答パケットが所定間隔で送り返されて来たかを確認し、ネットワーク機器がサーバに対して次の監視パケットを送信する間隔が、前回送信した監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器が受信した時からの時間で定めることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載のネットワーク機器の生存監視方法は、サーバが、監視パケットが所定間隔で送られて来たかを確認することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載のネットワーク機器の生存監視方法は、サーバが、応答パケットに、サーバ側が所望する監視パケットの送信間隔の情報を付加することを特徴とする。
【0013】
請求項9記載のネットワーク機器の生存監視方法は、サーバとネットワーク機器との間で、相互の伝送遅延を測定するための伝送遅延測定パケットを送受信し、ネットワーク機器が、監視パケットを送信する間隔を、伝送遅延を考慮して定めることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載のネットワーク機器の生存監視方法は、監視パケットや応答パケット等の各種パケットの送受信を、TCPにて常時接続することで行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び請求項6の発明によれば、ネットワーク機器がサーバに対して監視パケットを送信し、サーバがネットワーク機器からの監視パケットを受信した後、監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器に返信し、ネットワーク機器が監視パケットに対するサーバからの応答パケットを受信し、応答パケットが所定間隔で送り返されて来たかを確認し、ネットワーク機器がサーバに対して次の監視パケットを送信する間隔が、前回送信した監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器が受信した時からの時間で定めることから、各ネットワーク機器からの監視パケットの送信が機器毎に異なるタイミングで行われ、各機器から送信されるパケットが受信側で順次処理されることになり、正確な生存監視が可能となる。また、各ネットワーク機器からの監視パケットの送信が機器毎に異なるタイミングで行われることから、ネットワーク上のトラフィックや各機器へのアクセスの分散が図られ、正確な生存監視が可能となる。
【0016】
請求項2及び請求項7の発明によれば、サーバが、監視パケットが所定間隔で送られて来たかを確認することから、サーバ側でもネットワーク機器の生存を確認することができる。
【0017】
請求項3及び請求項8の発明によれば、サーバが、応答パケットにサーバ側が所望する監視パケットの送信間隔の情報を付加することから、サーバ側の処理能力に応じた監視パケットの送信が行われ、サーバの処理の集中を回避して正確な生存監視が可能となる。
【0018】
請求項4及び請求項9の発明によれば、サーバとネットワーク機器との間で、相互の伝送遅延を測定するための伝送遅延測定パケットを送受信し、ネットワーク機器が、監視パケットを送信する間隔を、伝送遅延を考慮して定めることから、サーバとネットワーク機器との間の通信距離やトラフィックの影響を受けにくく、正確な生存監視が可能となる。
【0019】
請求項5及び請求項10の発明によれば、監視パケットや応答パケット等の各種パケットの送受信を、TCPにて常時接続することで行うことで、UDPパケットで生じるようなパケットロスを抑え、正確な生存監視が可能となる。また、TCPにて常時接続することにより、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの相互互換であるNAT越えを解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。本発明の形態におけるネットワーク機器の生存監視システムは、インターネット等の電気通信回線を介してサーバと接続された複数のネットワーク機器とサーバとの間で、サーバとネットワーク機器との生存監視を行うためのものである。
【0021】
図1は、本発明に係るネットワーク機器の生存監視システムの構成とタイミングチャートを示す説明図である。図2は、同ネットワーク機器の生存監視システムの動作を示す説明図である。生存監視システムは、図1に示すように、例えば、電気通信回線であるインターネット網である通信回線5を介してサーバ10に接続された複数のネットワーク機器であるネットワーク機器A25、ネットワーク機器B26、ネットワーク機器C27で構成されている。尚、このサーバ10、通信回線5、ネットワーク機器A25、ネットワーク機器B26、ネットワーク機器C27等による構成は、通常のネットワーク機器の構成と同様であり、本実施例の生存監視システムは、通常の構成にサーバ10及びネットワーク機器A25、ネットワーク機器B26、ネットワーク機器C27の生存監視機能を付加したものである。
【0022】
このように構成された生存監視システムにおける、サーバ10とネットワーク機器との間のパケットの処理と流れを説明する。まず、ネットワーク機器A25が、通信回線5を介して、サーバ10に監視パケットを送信する。サーバ10は、監視パケットを受け取ると、受け取った監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器A25に返信する。同様に、ネットワーク機器B26及びネットワーク機器C27からも監視パケットがサーバ10に送信され、それぞれの監視パケットを受け取ったサーバ10は、ネットワーク機器B26及びネットワーク機器C27に応答パケットを送信する。尚、本実施例では、サーバ10とネットワーク機器A25、ネットワーク機器B26、ネットワーク機器C27との間を常時接続し、監視パケット及び応答パケットのプロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)を用いている。
【0023】
応答パケットを確認できたネットワーク機器A25は、所定時間経過した後(監視パケット送信間隔N)、再びサーバ10に監視パケットを送信し、サーバ10からの応答パケットを待つことになる。ここで、応答パケットが所定時間経過しても受信できない場合には、通信回線5やサーバ10に異常が生じ生存していないと判断し、接続を切断する。尚、実際の異常の検知としては、1回の監視パケットの送信に対する判断でもよいが、数回連続して監視パケットに対する応答パケットが受信できなかった場合に異常を検知するといったように所定の確立で判断することも可能である。
【0024】
また、サーバ10側では、本来定期的に監視パケットがネットワーク機器A25から送られてくるところ、所定時間(タイムアウト時間M)で送られて来ない場合には、通信回線5やネットワーク機器A25に異常が生じ生存していないと判断し、接続を切断する。尚、タイムアウト時間Mは、監視パケット送信間隔Nよりも大きくする必要がある。
【0025】
ここで、監視パケット送信間隔Nは、任意の時間であるが、前回送信した監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器A25が受信した時からの時間で定められている。この監視パケット送信間隔Nを固定値として設定することも可能であるが、適宜値が変わる方法で定めることも可能である。例えば、サーバ10が、応答パケットに、サーバ10側が所望する監視パケット送信間隔Nの情報を付加してネットワーク機器A25に送り、ネットワーク機器A25側でサーバ10の要望に応えて監視パケット送信間隔Nを変えることができる。
【0026】
また、監視パケット送信間隔Nを定めるにあたって、サーバ10とネットワーク機器A25との間で、相互の伝送遅延を測定するためのPing等の伝送遅延測定パケットを送受信し、伝送遅延時間を測定しネットワーク上の伝送遅延を考慮して定めることも可能である。
【0027】
このように、本実施例のネットワーク機器の生存監視システムによれば、ネットワーク機器A25がサーバ10に対して次の監視パケットを送信する間隔が、前回送信した監視パケットに対する応答パケットをネットワーク機器A25が受信した時からの時間で定めることから、各ネットワーク機器からの監視パケットの送信が機器毎に異なるタイミングで行われ、各機器から送信されるパケットが受信側で順次処理されることになり、正確な生存監視が可能となる。また、各ネットワーク機器からの監視パケットの送信が機器毎に異なるタイミングで行われることから、ネットワーク上のトラフィックや各機器へのアクセスの分散が図られ、正確な生存監視が可能となる。
【0028】
また、監視パケットや応答パケット等の各種パケットの送受信を、TCPにて常時接続することで行うことで、UDPパケットで生じるようなパケットロスを抑え、正確な生存監視が可能となる。また、TCPにて常時接続することにより、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの相互互換であるNAT越えを解決することができる。さらに、生存監視方法が簡易であることから、生存監視のための特別な機器やアプリケーションや難解な設定を必要としない。
【0029】
また、サーバ10が、監視パケットが所定間隔で送られて来たかを確認するようにすれば、サーバ10側でもネットワーク機器の生存を確認することができる。
【0030】
さらに、サーバ10が、応答パケットにサーバ10側が所望する監視パケットの送信間隔の情報を付加するようにすれば、サーバ10側の処理能力に応じた監視パケットの送信が行われ、サーバ10の処理の集中を回避して正確な生存監視が可能となる。
【0031】
さらに、サーバ10とネットワーク機器A25との間で、相互の伝送遅延を測定するための伝送遅延測定パケットを送受信し、ネットワーク機器A25が、監視パケットを送信する間隔(監視パケット送信間隔N)を、伝送遅延を考慮して定めるようにすることで、サーバ10とネットワーク機器A25との間の通信距離やトラフィックの影響を受けにくく、正確な生存監視が可能となる。
【0032】
尚、本実施例の方法は、インターネット網やLAN、IPsecやVPN等、接続形態、接続環境を問わず利用することが可能です。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明によれば、各ネットワーク機器からの監視パケットの送信が機器毎に異なるタイミングで行われ、トラフィックの集中が避けられ、正確な生存確認が可能なネットワーク機器の生存監視システム及びネットワーク機器の生存監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るネットワーク機器の生存監視システムの構成とタイミングチャートを示す説明図である。
【図2】同ネットワーク機器の生存監視システムの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
5・・・・通信回線
10・・・サーバ
25・・・ネットワーク機器A
26・・・ネットワーク機器B
27・・・ネットワーク機器C

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気通信回線を介してサーバと接続された複数のネットワーク機器と該サーバとの間で、該サーバと該ネットワーク機器との生存監視を行うネットワーク機器の生存監視システムにおいて、
該ネットワーク機器が、
該サーバに対して所定間隔で監視パケットを送信する送信手段と、
該監視パケットに対する該サーバからの応答パケットを受信する受信手段と、
該応答パケットが所定間隔で送り返されて来たかを確認する応答パケット確認手段とを備え、
該サーバが、
該ネットワーク機器からの該監視パケットを受信する受信手段と、
該監視パケットに対する該応答パケットを該ネットワーク機器に返信する送信手段とを備え、
該ネットワーク機器が該サーバに対して次の該監視パケットを送信する間隔が、前回送信した該監視パケットに対する該応答パケットを該ネットワーク機器が受信した時からの時間で定まることを特徴とするネットワーク機器の生存監視システム。
【請求項2】
前記サーバが、前記監視パケットが所定間隔で送られて来たかを確認する監視パケット確認手段を備えることを特徴とする請求項1記載のネットワーク機器の生存監視システム。
【請求項3】
前記サーバが、前記応答パケットに、前記サーバ側が所望する前記監視パケットの送信間隔の情報を付加することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のネットワーク機器の生存監視システム。
【請求項4】
前記サーバと前記ネットワーク機器との間で、相互の伝送遅延を測定するための伝送遅延測定パケットを送受信し、
該ネットワーク機器が、前記監視パケットを送信する間隔を、該伝送遅延を考慮して定めることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のネットワーク機器の生存監視システム。
【請求項5】
前記監視パケットや前記応答パケット等の各種パケットの送受信を、TCPにて常時接続することで行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のネットワーク機器の生存監視システム。
【請求項6】
電気通信回線を介してサーバと接続された複数のネットワーク機器と該サーバとの間で、該サーバと該ネットワーク機器との生存監視を行うネットワーク機器の生存監視方法において、
該ネットワーク機器が該サーバに対して所定間隔で監視パケットを送信し、
該サーバが該ネットワーク機器からの該監視パケットを受信した後、該監視パケットに対する該応答パケットを該ネットワーク機器に返信し、
該ネットワーク機器が該監視パケットに対する該サーバからの応答パケットを受信し、該応答パケットが所定間隔で送り返されて来たかを確認し、
該ネットワーク機器が該サーバに対して次の該監視パケットを送信する間隔が、前回送信した該監視パケットに対する該応答パケットを該ネットワーク機器が受信した時からの時間で定めることを特徴とするネットワーク機器の生存監視方法。
【請求項7】
前記サーバが、前記監視パケットが所定間隔で送られて来たかを確認することを特徴とする請求項6記載のネットワーク機器の生存監視方法。
【請求項8】
前記サーバが、前記応答パケットに、前記サーバ側が所望する前記監視パケットの送信間隔の情報を付加することを特徴とする請求項6又は請求項7記載のネットワーク機器の生存監視方法。
【請求項9】
前記サーバと前記ネットワーク機器との間で、相互の伝送遅延を測定するための伝送遅延測定パケットを送受信し、
該ネットワーク機器が、前記監視パケットを送信する間隔を、該伝送遅延を考慮して定めることを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかに記載のネットワーク機器の生存監視方法。
【請求項10】
前記監視パケットや前記応答パケット等の各種パケットの送受信を、TCPにて常時接続することで行うことを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載のネットワーク機器の生存監視方法。

【図1】
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【図2】
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