説明

ノズル接続アダプター及びそれを使用したトンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置

【課題】水噴霧ノズルに取水用のホースを簡単にかつ安定的に接続できるようにして水漏れを防止できるようにしたノズル接続アダプター及びそれを使用して噴霧量の測定がより正確にできるトンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置を提供する。
【解決手段】トンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置は噴霧水の流量を測定する流量測定器と取水ホースを備えており、取水ホースの一端に取り付けられるノズル接続アダプター(21)は水噴霧ノズル(32)に接続する接続口(220)を有するアダプター本体(22)とアダプター本体(22)の接続口(220)側に取り付けられている接続固定具(23)とを備え、接続固定具(23)は接続口(220)に接続される水噴霧ノズル(32)に固定することができ、接続固定具(23)には接続固定具(23)を水噴霧ノズル(32)に固定するときに水噴霧ノズル(32)の係合要素(段部)(322)と係合するノズル係合部(234,234a)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル接続アダプター及びそれを使用したトンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置に関するものである。更に詳しくは、水噴霧ノズルに取水用のホースを簡単にかつ安定的に接続できるようにし、水漏れを防止できるようにしたノズル接続アダプター及びそれを使用して噴霧量の測定がより正確にできるトンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高速道路のトンネル等、長さが長大で、交通量が多い一定規格以上のトンネルには、交通事故等による車両火災の発生に備えて、消火設備である水噴霧装置が設置されている。この水噴霧装置は、トンネルの長さ方向に所要の間隔で設けられた多数の水噴霧ノズルを備えている。水噴霧装置が火災による煙や高熱を感知すると、その区画の自動弁が開き、各水噴霧ノズルから一斉に水が噴霧され、火災を沈静化することができる。
【0003】
この水噴霧装置は、正常に機能するかどうかの点検を通常は一年ごとに定期的に行う必要がある。以前は、危険防止のために交通を遮断し、実際にトンネル内に各水噴霧ノズルから水を噴霧して点検を行っていたが、近年においては、噴霧量の測定等の点検をトンネル内に実際に水を噴霧することなくできるようにし、点検に際して交通を遮断する必要がない点検装置が種々提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1記載の水噴霧点検装置は、水噴霧ノズルから噴霧される水を集水容器により収集し、これを気液分離装置及び流量計に流通させた後、導水管及び排水ノズルを通じて道路脇の排水溝に排出するように構成され、流量計はフロート式の流量計から構成され、流量計には上方に延びかつ上端部分に圧力開放用の開口を備えた水の導出部が設けられており、導出部には途中部分に下向きに分岐する排出部が設けられており、流量計において本体を経た水は導出部から排出部を通じて排出され、コンパクトな構成で水噴霧ノズルからの放水量を適切に測定できるというものである。
【0005】
特許文献2記載の水噴霧量測定装置は、噴霧カバー、導水管及び水流切替器を備え、水流切替器は円筒形のケーシングの上部に水流入口が形成され、下部に二つの水排出口が形成され、ケーシングの内部にはケーシングの端面と平行な二枚の円板材と各円板材間に位置する二枚の平板材からなる漏斗状の弁部材をケーシングの軸心回りに回動自在に設け、弁部材を回動させることにより水流入口と一方の水排出口とが連通する状態と水流入口ともう一方の水排出口が連通する状態に流路を切り替えるもので、トンネル内水噴霧設備の水噴霧量を無駄な水噴霧を行なうことなく正確に測定することができ、構成が簡略で運搬や移動が容易にできるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−20490
【0007】
【特許文献2】特開2007−319548
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来の各装置は、水の噴霧量の測定等の点検をトンネル内に実際に水を噴霧することなくできるようにし、点検に際して交通を遮断する必要がないようにする点においては十分に有用であるが、次のような課題があった。
すなわち、いずれの装置も、水噴霧ノズルに接続する取水部には、ノズルを囲むように取り付けられる袋状の容器が採用されている。このような袋状の取水部は、水噴霧ノズルに対する取り付けが不安定であるために、水密状態で接続することは困難であり、取水部から水漏れが生じ、噴霧量を正確に測定できないおそれがあった。
【0009】
しかも、取水部が取水部自身の重さやホースの重さ或いは水圧の影響等でノズルから外れることを防止するために、ホース又は取水部をワイヤ等で吊り下げて荷重負担を低減する構成となっていた。このため、点検作業においては、作業車でトンネル内を移動しながら、水噴霧ノズルが設けられている箇所ごとに吊り下げ用のワイヤ等をトンネルの天部等に取り付けたり取り外したりする手間がかかる作業を行わなければならず、この作業は、点検作業を効率化する上でのネックとなっていた。
【0010】
本発明の目的は、トンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置において、水噴霧ノズルに取水用のホースを簡単にかつ安定的に接続できるようにして水漏れを防止できるようにしたノズル接続アダプター及びそれを使用して噴霧量の測定がより正確にできるトンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
(1)本発明は、
トンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置に使用するノズル接続アダプターであって、
流量測定器に接続されるホースに取り付けられ、トンネル内水噴霧装置の水噴霧ノズルに接続する接続口を有するアダプター本体と、
該アダプター本体の接続口側に取り付けられている接続固定具と、
を備えており、
前記接続固定具は、前記接続口に接続される水噴霧ノズルに固定することができ、
前記接続固定具には、接続固定具を水噴霧ノズルに固定するときに水噴霧ノズルの係合要素と係合するノズル係合要素が形成されている、
ノズル接続アダプターである。
【0012】
(2)本発明は、
トンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置に使用するノズル接続アダプターであって、
流量測定器に接続されるホースに取り付けられ、トンネル内水噴霧装置の水噴霧ノズルに接続する接続口を有するアダプター本体と、
該アダプター本体の接続口側に取り付けられている接続固定具と、
を備えており、
前記アダプター本体は、係合要素を有し、
前記接続固定具は、開閉動が自在な所要数の可動構成体と、該可動構成体を閉じた状態で連結する連結手段を有し、
前記可動構成体には、可動構成体を閉じたときに、前記アダプター本体の係合要素と係合する本体係合要素と、前記接続口に接続されるノズルの係合要素と係合するノズル係合要素が形成されている、
ノズル接続アダプターである。
【0013】
(3)本発明は、
トンネル内水噴霧装置の水噴霧ノズルから噴霧される噴霧水の流量を測定する流量測定器と、
一端側に前記(1)又は(2)のノズル接続アダプターが取り付けられ、他端側に前記流量測定器に接続する接続具を有する取水ホースと、
を備えている、
トンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置である。
【0014】
(4)本発明は、
流量測定器が、取水ホースが接続される所要数の給水管と、該給水管から供給される噴霧水に含まれる泡を消す消泡手段及び供給される噴霧水の流量を測定する流量測定手段を備えている、
前記(3)のトンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置である。
【0015】
(作用)
本発明に係るノズル接続アダプター及びそれを使用したトンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0016】
トンネル内に設置されているトンネル内水噴霧装置(3)の送水管に一定間隔で設けられている水噴霧部の水噴霧ノズル(32)と流量測定器(1)の間に取水ホース(2)を接続する。ノズル接続アダプター(21)の接続においては、アダプター本体(22)の接続口(220)を水噴霧ノズル(32)に嵌め入れ、接続固定具(23)の可動構成体(233,233a)を閉じる。
【0017】
これにより、可動構成体(233,233a)の本体係合要素(235a)がアダプター本体(22)の係合要素(223)と係合し、ノズル係合要素(234a)が水噴霧ノズル(32)の係合要素(322)と係合する。このように、ノズル接続アダプター(21)によれば、水噴霧ノズル(32)と取水ホース(2)のノズル接続アダプター(21)を水密状態で機械的に接続することができ、接続作業を簡単に行うことができると共に接続部が緩んだりすることがなく安定している。
【0018】
取水ホース(2)を接続した点検対象となる各水噴霧ノズル(32)に送水し、各水噴霧ノズル(32)から水を噴霧する。噴霧された水は各取水ホース(2)を通り、流量測定器(1)の水槽(10)内部へ供給される。水は、継続的に堰部(106)から外部へ排出されることにより、水位がほぼ一定に保たれる。そして、水位が流量測定手段(13)によって測定され、この水位の測定値が流量に換算され、噴霧水の流量が測定される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、トンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置において、水噴霧ノズルに取水用のホースを接続する際に、接続固定具による接続作業は比較的単純な作業で機械的に行うことができる。したがって、水噴霧ノズルへの取水用のホースの接続を簡単かつ安定的に行うことができると共に水漏れを防止することができるようにしたノズル接続アダプター及びそれを使用して噴霧量の測定がより正確にできるトンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るノズル接続アダプターの一実施の形態を示し接続固定具を閉じた状態の斜視図。
【図2】図1に示すノズル接続アダプターの接続固定具を開いた状態の斜視図。
【図3】ノズル接続アダプターをトンネル内水噴霧装置の水噴霧ノズルに接続した状態を示す断面説明図。
【図4】本発明に係る噴霧量測定装置の構造を示すと共にその使用状態を示す説明図。
【図5】噴霧量測定装置を構成する流量測定器の構造を示す斜視図。
【図6】噴霧量測定装置を構成する流量測定器の他の実施例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
まず、図1乃至図3を参照して、後述する噴霧量測定装置Aを構成する取水ホース2に使用するノズル接続アダプター21の構造を説明する。
【0022】
ノズル接続アダプター21は、トンネル内水噴霧装置3の水噴霧ノズル32に接続する接続口220を有するアダプター本体22と、このアダプター本体22の接続口220側に設けられている接続固定具23を備えている。ノズル接続アダプター21は、後述する流量測定器1に接続される取水ホース2を構成し、ホース20の一端側に取り付けられるものである。
【0023】
アダプター本体22は、ほぼ円管状の管体221を有している。管体221内径部は、径小部221aと径大部221bを有している。径小部221aの接続口220側には、全周に径大になるように嵌入部225が形成されている。嵌入部225には、ゴム製のパッキン226が嵌め込まれている。パッキン226は、外径部が断面円形状であり、内径部が断面六角形状の空間部となっている。なお、パッキン226の内径部の対角線長は、径小部221aの直径よりやや短くなるよう設定されており、水噴霧ノズル32の断面六形の嵌入部321を隙間なく嵌め入れることができるようにしてある(図2参照)。
【0024】
管体221の外側には、フランジ具222が固着されている。管体221の接続口220側の外周部はやや径小に形成され、その直径船方向に相対する両側には、係合要素である係合凹部223(図1、図2では向こう側の係合凹部223は見えない)が形成されている。各係合凹部223は、奥側の直線状の面が互いに平行になるように所要深さに切り込まれて形成されている。管体221の外周部において各係合凹部223の間には、後述する固定台230と対向する側に係合凹部223と同様の係合凹部224(図3参照)が形成されている。各係合凹部223と係合凹部224の奥側の直線状の面は、互いに直角になるようにしてある。
【0025】
管体221の接続口220側には、接続固定具23が取り付けられている。接続固定具23は、管体221の外周部の係合凹部224の対向側に固定用ネジ231で固定された固定台230を有している。固定台230は、固定用ネジ231による取付部を中心に回らないように、図1、図2において下面側を管体221の接続口220側の径小部を形成する段部(符号省略)に当接させてある。
【0026】
固定台230の両側には、可動構成体233、233aが軸体232を介して開閉動ができるように取り付けられている。可動構成体233、233aは、それぞれ本体係合板235とノズル係合板234を有している。本体係合板235は本体係合要素を構成し、ノズル係合板234はノズル係合要素を構成する。可動構成体233、233aの本体係合板235とノズル係合板234は、複数設けられたスペーサ236を介し平行に固定され、基端側が固定台230を挟むようにして軸体232で軸着されている。
【0027】
各ノズル係合板234の閉じ方向側には、可動構成体233、233aが閉じたときに、水噴霧ノズル32の嵌入部321の噴霧口320とは反対側の係合要素である段部322と係合する、縁部がほぼ半円形状のノズル係合部234aが形成されている。各本体係合板235は、各ノズル係合板234から外側へやや張り出すように形成されており、その閉じ方向側には、可動構成体233、233aが閉じたときに管体221の各係合凹部223と係合する縁部が直線状の本体係合部235aが形成されている。また、本体係合部235aの延長上の終端側には、前記係合凹部224と係合する本体係合部235bが形成されている。
【0028】
可動構成体233側の本体係合板235とノズル係合板234の先端部には、板体を適宜折曲して形成された先端受具237が固着されている。先端受具237の先端部には、締付ネジ238が回転自在に貫通して取り付けられている。締付ネジ238の先部には、ネジ部238aが形成されている。先端受具237と締付ネジ238は、後述する先端受具239とネジ孔239aと共に連結手段を構成する。
【0029】
また、可動構成体233a側の本体係合板235とノズル係合板234の先端部には、前記先端受具237と同様に板体を適宜折曲して形成された先端受具239が固着されている。先端受具239の先端部には、前記締付ネジ238のネジ部238aを螺合するネジ孔239aが貫通して形成されている。
【0030】
接続固定具23の可動構成体233、233aは、それぞれを閉じ方向へ回動させ、可動構成体233側の締付ネジ238のネジ部238aを可動構成体233a側の先端受具239のネジ孔239aに螺合し締め付けることで閉じた状態とすることができる。可動構成体233、233aを閉じた状態では、本体係合板235の本体係合部235aは、管体221の係合凹部223に係合し、本体係合部235bは管体221の係合凹部224に係合する。
【0031】
また、水噴霧ノズル32にアダプター本体22の接続口220を嵌め入れた状態においては、可動構成体233、233aを閉じることにより、ノズル係合板234のノズル係合部234aが、水噴霧ノズル32の嵌入部321の段部322と係合する。これにより、水噴霧ノズル32と取水ホース2のホース20先端のノズル接続アダプター21を水密状態で機械的に接続することができる。
【0032】
なお、可動構成体233、233aを連結する連結手段としては、比較的単純な作業で連結と連結解除を行うことができるものであれば、本実施の形態のネジ式の他、例えばキャッチクリップと称されるクリップ又はクランプ等の各種固定装置を採用することもできる。
【0033】
主に図4、図5を参照して、噴霧量測定装置Aの構成について説明する。
噴霧量測定装置Aは、流量測定器1と、トンネル内水噴霧装置3の水噴霧ノズル32と流量測定器1の給水管12、12a、12bをつなぐ取水ホース2を備えている。
取水ホース2は、ホース20の一端に接続が簡単にできる差込み式の接続具25を介して前記ノズル接続アダプター21が取り付けられ、ホース20の他端に後述する流量測定器1の各給水管12、12a、12bの接続具121に接続する接続具24が取り付けられている構造である。なお、本実施の形態では、噴霧水の流れを確認できるようにホース20に透明ホースを採用している。
【0034】
流量測定器1は、本実施の形態では堰式の流量測定器であり、水槽内を堰方向(排水側)へ流れる水の水位の計測値をもとに流量を測定するものである。流量測定器1の各部寸法は、「JIS B8302 ポンプ吐出し量測定方法」に記載されている直角三角堰の寸法に準拠している。なお、流量測定器1は、この方式に限定するものではなく、例えばベンチュリ式、差圧式(オリフィス式)、羽根車式、コリオリ式等、他の方式の流量測定器を採用することもできる。
【0035】
流量測定器1は、平面視長方形状で上部が開放された水槽10を有している。水槽10は、底板101、側板102、103、前板104、後部側の堰板105を備えている。堰板105は、直角三角堰である堰部106を有している。前記側板102、103、前板104の上縁部及び堰板105の上方に当たる側板102、103の後端部間には、底板101と平行な縁板102a、103a、104a、105aが外側にやや張り出して固定されている。底板101の前板104近傍には、ドレン管15が設けられている。符号150は栓体である。また、底板101の下面側の四隅部には、レベル調整ができる支脚16が設けられている。
【0036】
水槽10の前板104寄りの側板102、103上部には、縁板102a、103a間に架け渡して支持部材11が固定されている。支持部材11は、細長い板体で四角形の枠状に形成され、底板101と平行に固定されている。支持部材11には、U字状の締付固定具120によって、三本の給水管12、12a、12bが固定されている。給水管12、12a、12bは、支持部材11の前板104側に底板101に対して直角になるように固定され、それらの下端部は底板101からやや浮かせてある(図4参照)。また、給水管12、12a、12bの上端部には、接続具121が設けられている。
【0037】
水槽10内において前記給水管12、12a、12bのやや後方で水槽10の長さ方向の中間部には、四枚の整流板14、14a、14b、14cが取り付けられている。各整流板14、14a、14b、14cは、ステンレススチール製の平板に多数の通水孔140を形成したパンチングメタルである。各整流板14、14a、14b、14cは、底板101及び側板102、103と直角に、かつ水槽10の長さ方向に一定間隔で相互に平行になるように側板102、103間に固定具141によって固定されている。
【0038】
各整流板14、14a、14b、14cは、水槽10内に供給される水を多数の通水孔140に通すことにより、水槽10の後部側において水位を安定させることができる。詳しくは、水を多数の通水孔140に通すことにより水勢を緩和すると共に水に含まれる泡を消して水位を安定させ、後述する水位センサ133によって正確な水位を測定できるようにする。
【0039】
水槽10後端部には、流量測定手段である流量測定装置13が設けられている。流量測定装置13は、前記堰板105の上方の縁板105a上部に取り付けられ、両端側を軸受130で軸支された可動軸131を有している。可動軸131の中間部には、長さ方向の二箇所で折曲されたアーム部材132の基端部が固定されている。アーム部材132の先端部には水位センサ133が取り付けられている。水位センサ133は超音波レベルセンサであり、下方の水面までの距離を測定する。なお、水位センサは、超音波レベルセンサに限定するものではなく、他の方式のレベルセンサを採用することもできる。
【0040】
また、可動軸131の一端側には、バランスロッド134の基端部が固定されており、その先端部にはウエイト135が固定されている。バランスロッド134は、ウエイト135の重さによって常に鉛直方向を向くようになっている。なお、前記水位センサ133のセンシング方向は、バランスロッド134と平行になるように設定されている。
【0041】
これにより、水位センサ133のセンシング方向は、常に水面と直角方向であり、水位センサ133は水面との最短距離を測定することができる。なお、水槽10が設置時に多少傾いても、可動軸131とアーム部材132及びバランスロッド134はバランスロッド134が鉛直方向を向くように一体に回動し、水位センサ133のセンシング方向は、常に水面と直角方向となる。このように、トンネル4の勾配の範囲内で流量測定器1が傾いていても安定した流量測定が可能である。
【0042】
(作用)
図1乃至図5を参照して、ノズル接続アダプター21及び噴霧量測定装置Aの作用を説明する。
【0043】
噴霧量測定装置Aの流量測定器1は、点検時において、例えばリフト作業車の昇降台やトラックの荷台に載置されて使用される。
図4には、リフト作業車の昇降台6に台17を載せ、その上に流量測定器1を設置した状態を示している。流量測定器1の後方の昇降台6上には、回収容器5が設置されている。なお、回収容器5にポンプ等の排水設備を備えて、流量測定器1から排出される水をトンネル4の路面側部に設けられている排水溝に排出するようにしてもよい。
【0044】
トンネル4内に設置されているトンネル内水噴霧装置3は、トンネル4の天井部の所要高さにトンネル4の長さ方向に配管された送水管30を有している。送水管30には、一定間隔(通常は5m間隔)で水噴霧部31が設けられている。各水噴霧部31は、噴霧方向が異なる複数(通常は2〜3本)の水噴霧ノズル32(図3に図示)を備えている。
【0045】
水噴霧ノズル32は、先端部に噴霧口320を有し、外周部に外形が断面六角形状の嵌入部321が設けられている。嵌入部321の両端部は外表面から突出して段部が形成されており、嵌入部321の噴霧口320とは反対側の段部322には、前記したように可動構成体233、233aを閉じることにより、ノズル係合板234のノズル係合部234aが係合する。
【0046】
噴霧水の流量を測定する水噴霧ノズル32に取水ホース2のノズル接続アダプター21を接続し、接続具24を流量測定器1の給水管12又は給水管12a、12bに接続する。取水ホース2は、水噴霧ノズル32の数に合わせて使用され、例えば二本が使用される場合もあるし、三本が使用される場合もある。
【0047】
ノズル接続アダプター21の接続は、まず、アダプター本体22の接続口220を水噴霧ノズル32に嵌め入れ、パッキン226の内面が水噴霧ノズル32の断面六形の嵌入部321外面に密着させるようにする。
【0048】
次に、接続固定具23の可動構成体233、233aを閉じ、各本体係合板235の本体係合部235aを管体221の係合凹部223に係合し、本体係合部235bを係合凹部224に係合する。さらに、各ノズル係合板234のノズル係合部234aが、水噴霧ノズル32の嵌入部321の段部322と係合する。
このように、水噴霧ノズル32と取水ホース2のホース20先端のノズル接続アダプター21を水密状態で機械的に接続することができる。また、接続作業を簡単に行うことができると共に接続部が緩んだりすることなく安定している。
【0049】
点検対象となる水噴霧部31に通水を行い、取水ホース2を接続した各水噴霧ノズル32から水を噴霧する。噴霧された水は各取水ホース2を通り、給水管12又は給水管12a、12bから水槽10内部へ供給される。水は、さらに各整流板14、14a、14b、14cの多数の通水孔140に通ることにより、水槽10の後部側において水位が安定する。そして、水が継続的に堰部106から回収容器5へ排出されることにより、水位がほぼ一定に保たれる。
そして、水位が水位センサ133によって測定され、この水位の測定値が流量に換算され、噴霧水の流量が測定される。
【0050】
また、噴霧量測定装置Aは、水噴霧設備の水噴霧部31の1箇所に付き1セットを使用することになり、リフト車(図示省略)等へ必要台数を搭載して測定作業を行うことになる。噴霧量測定装置Aをリフト車に搭載することで、リフト車の荷台を所定の高さまで上昇させれば荷台内のみでの作業となり、他の高所作業車等が不要となる。また、大型で高額な専用車両と比べて、リフト車を使用できることで汎用性があり、専用車両では点検ができないような狭くて空間的な制限のある箇所における点検作業も可能になる。
【0051】
なお、噴霧量測定装置Aを構成する流量測定器としては、前記流量測定器1の他、他の構造の流量測定器を採用することもできる。
図6に示す流量測定器7は、アングル材で枠組みされた基台79を有している。基台79の上部の一端側には、消泡タンク70が立設固定されている。消泡タンク70は、円管の上下端部を封鎖した構造で、上端部には空気抜き弁71が設けられている。
【0052】
消泡タンク70の上寄りには、縦方向に等間隔で三箇所に給水管72、72a、72bが設けられている。給水管72、72a、72bの先端には、それぞれ取水ホース2の接続具24を接続するための接続具73が取り付けられている。また、消泡タンク70の下寄りには、測定管74が接続されている。測定管74は、基台79に基台79上面と平行に取り付けられており、排出側の端部に接続具75が取り付けられている。接続具75には、排水用のホース(図示省略)が接続される。そして、測定管74の中間部には、測定管74内を流れる噴霧水の流量を測定する電磁流量計76が設けられている。
【0053】
消泡タンク70は、取水ホース2を接続する給水管72、72a、72bを上寄りに設け、噴霧水の出口である測定管74を下寄りに接続することで噴霧水中の空気を除去する構造としている。また、消泡タンク70の最上部に設けられている空気抜き弁71からは、空気のみを排出することができる。なお、測定する流量にあわせて適当な外形寸法や高さ寸法を設定することで、流量測定値のばらつきや変動を抑制することが可能である。
なお、流量測定器7を備えた噴霧量測定装置全体としての作用は、流量の測定方法以外は前記噴霧量測定装置Aと同様であるので、説明は省略する。
【0054】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
A 噴霧量測定装置
1 流量測定器
10 水槽
101 底板
102、103 側板
102a、103a、104a、105a 縁板
104 前板
105 堰板
106 堰部
11 支持部材
12、12a、12b 給水管
120 締付固定具
121 接続具
13 流量測定装置
130 軸受
131 可動軸
132 アーム部材
133 水位センサ
134 バランスロッド
135 ウエイト
14、14a、14b、14c 整流板
140 通水孔
141 固定具
15 ドレン管
150 栓体
16 支脚
17 台
2 取水ホース
20 ホース
21 ノズル接続アダプター
22 アダプター本体
220 接続口
221 管体
221a 径小部
221b 径大部
222 フランジ具
223 係合凹部
224 係合凹部
225 嵌入部
226 パッキン
23 接続固定具
230 固定台
231 固定用ネジ
232 軸体
233、233a 可動構成体
234 ノズル係合板
234a ノズル係合部
235 本体係合板
235a 本体係合部
235b 本体係合部
236 スペーサ
237 先端受具
238 締付ネジ
238a ネジ部
239 先端受具
239a ネジ孔
24、25 接続具
3 トンネル内水噴霧装置
30 送水管
31 水噴霧部
32 水噴霧ノズル
320 噴霧口
321 嵌入部
322 段部
4 トンネル
5 回収容器
6 昇降台
7 流量測定器
70 消泡タンク
71 空気抜き弁
72、72a、72b 給水管
73 接続具
74 測定管
75 接続具
76 電磁流量計
79 基台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置に使用するノズル接続アダプターであって、
流量測定器(1)に接続されるホース(2,20)に取り付けられ、トンネル内水噴霧装置(3)の水噴霧ノズル(32)に接続する接続口(220)を有するアダプター本体(22)と、
該アダプター本体(22)の接続口(220)側に取り付けられている接続固定具(23)と、
を備えており、
前記接続固定具(23)は、前記接続口(220)に接続される水噴霧ノズル(32)に固定することができ、
前記接続固定具(23)には、接続固定具(23)を水噴霧ノズル(32)に固定するときに水噴霧ノズル(32)の係合要素(322)と係合するノズル係合要素(234,234a)が形成されている、
ノズル接続アダプター。
【請求項2】
トンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置に使用するノズル接続アダプターであって、
流量測定器(1)に接続されるホース(2,20)に取り付けられ、トンネル内水噴霧装置(3)の水噴霧ノズル(32)に接続する接続口(220)を有するアダプター本体(22)と、
該アダプター本体(22)の接続口(220)側に取り付けられている接続固定具(23)と、
を備えており、
前記アダプター本体(22)は、係合要素(223)を有し、
前記接続固定具(23)は、開閉動が自在な所要数の可動構成体(233,233a)と、該可動構成体(233,233a)を閉じた状態で連結する連結手段(238)を有し、
前記可動構成体(233,233a)には、可動構成体(233,233a)を閉じたときに、前記アダプター本体(22)の係合要素(223)と係合する本体係合要素(235,235a)と、前記接続口(220)に接続される水噴霧ノズル(32)の係合要素(322)と係合するノズル係合要素(234,234a)が形成されている、
ノズル接続アダプター。
【請求項3】
トンネル内水噴霧装置(3)の水噴霧ノズル(32)から噴霧される噴霧水の流量を測定する流量測定器(1,7)と、
一端側に請求項1又は2記載のノズル接続アダプター(21)が取り付けられ、他端側に前記流量測定器(1,7)に接続する接続具(24)を有する取水ホース(2)と、
を備えている、
トンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置。
【請求項4】
流量測定器(1,7)が、取水ホース(2)が接続される所要数の給水管(12,12a,12b)と、該給水管(12,12a,12b)から供給される噴霧水に含まれる泡を消す消泡手段(14,14a,14b,14c,70)及び供給される噴霧水の流量を測定する流量測定手段(13,76)を備えている、
請求項3記載のトンネル内水噴霧装置の噴霧量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−125347(P2012−125347A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278310(P2010−278310)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000003171)株式会社戸上電機製作所 (29)
【出願人】(598017790)西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社 (4)
【Fターム(参考)】