説明

バイオデバイス撮影装置

【課題】バイオデバイスにおける反応部を照明する照明光の強度むらを低減した状態で撮影できるバイオデバイス撮影装置を提供する。
【解決手段】本装置は、出入口24から収容室23に挿入されたバイオデバイス1を保持するハウジング2の保持部25と、バイオデバイス1の反応部12に対向するように配置された光反射部材3と、バイオデバイス1の表面1sが延びる面方向(S方向)に沿って光を光反射部材3の光反射面30に向けて投射させると共に光反射部材3の光反射面30で反射させた光でバイオデバイス1の反応部12を間接的に照明する光源4と、光源4で間接照明されたバイオデバイス1の反応部12を撮影する撮影部5とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生体に関する血液、尿、体液等の被測定対象物に含まれる成分に応じて反応部の状況が変化するバイオデバイスに対して反応部を撮影するバイオデバイス撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、例えば生体に関する血液、尿等の被測定対象物に含まれる成分に応じて反応部の状況が変化するバイオデバイスを撮影するバイオデバイス撮影装置として、イメージセンサを用いた測定方法及び装置を開示している。このものによれば、図9に示すように、試験片2Xを照射するために、光源として3つのLED4Xが試験片2Xの周囲上方に互いに120度間隔で同じ高さに配置され、試験片2Xの中心に向かって45度の入射角で試験片2Xを照射する。試験片2Xの上方にはCMOSエリアセンサ8Xが配置されている。
【0003】
このものによれば、試験片2Xの上側に位置する複数のLED4Xから発光される光を試験片2Xに直接的にあてて直接照明している。この場合、LED4Xから発光される光を試験片2Xに直接的に当てるという直接照明であるため、通常的には、中心部が明るく周辺部が暗くなるというむら現象が見られる傾向がある。このためLED4Xを試験片2Xに近づけるには限界があり、LED4Xを試験片2Xから遠ざける必要がある。しかしこの場合には、ハウジング14Xの高さ方向の寸法が大型化する不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3774192号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、血液、尿、体液等の被測定対象物に含まれる成分に応じて反応部の状況が変化するバイオデバイスにおける反応部を照明する照明光の強度むらを低減した状態で反応部を撮影できるバイオデバイス撮影装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るバイオデバイス撮影装置は、バイオデバイスの反応部の変化状況を撮影する装置であって、(i)収容室と収容室と外部とを連通させる出入口とをもつハウジングと、(ii)ハウジングの収容室内に設けられ、出入口から収容室に挿入されたバイオデバイスを保持する保持部と、(iii)ハウジングの保持部に保持されたバイオデバイスの反応部に対向するようにハウジングの収容室に配置された光反射面を有する光反射部材と、(iv)ハウジングの収容室において光反射部材の光反射面に対向するように設けられ、バイオデバイスの表面が延びる面方向に沿って光を光反射部材の光反射面に向けて投射させると共に光反射部材の光反射面で反射させた光でバイオデバイスの反応部を間接的に照明する光源と、(v)ハウジングの収容室に設けられ、光源で間接照明されたバイオデバイスの反応部を光反射部材の光反射面を介して撮影する撮影部とを具備する。
【0007】
バイオデバイスは、生体の血液、尿、涙、汗、体液等に代表される被測定対象物に含まれる成分に応じて反応部の状況が変化するデバイスを意味する。バイオデバイスの形状は特に限定されない。光源は、光反射部材の光反射面に対向するようにハウジングの収容室において設けられている。光源は発光できるものであれば何でも良いが、LED、蛍光灯等を例示できる。光源は、バイオデバイスの表面が延びる面方向に沿って光を光反射部材の光反射面に向けて投射させると共に、光反射部材の光反射面で反射させた光でバイオデバイスの反応部を間接的に照明する。間接照明であれば、光源の光を直接的にバイオデバイスの反応部に入射させることが抑制されるため、バイオデバイスの反応部を照明する照明光の強度むらを低減させるのに有利である。更に、光源は、バイオデバイスの表面が延びる面方向に沿って光を光反射部材の光反射面に向けて投射させると共に、光反射部材の光反射面で反射させた光でバイオデバイスの反応部を照明する。このため、光源から目標物(バイオデバイスの反応部)までの距離を確保できる。この場合、バイオデバイスの反応部を照明する照明光の強度むらを低減できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バイオデバイスの反応部を照明する照明光を直接光ではなく、間接光としており、更に、光源からバイオデバイスの反応部への照明距離を長く取れるため、反応部における光の強度むらを低減できる。このためバイオデバイスの反応部の変化状況を良好に撮影できる。
【0009】
本発明によれば、バイオデバイスの表面が延びる面方向に沿って光を光反射部材の光反射面に向けて投射させると共に光反射部材の光反射面で反射させた光でバイオデバイスの反応部を間接的に照明する方式が採用されている。このため、ハウジングのうちバイオデバイスの表面が延びる面方向と交差する方向における小型化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1に係り、(A)はバイオデバイスの平面図であり、(B)はバイオデバイスの側面図である。
【図2】バイオデバイス撮影装置の断面図である。
【図3】バイオデバイス撮影装置の内部構造を示す平面図である。
【図4】(A)はバイオデバイス撮影装置の内部に配置されている基盤の平面図であり、(B)は基盤の前面図であり、(C)は基盤の側面図である。
【図5】(A)はバイオデバイス撮影装置の右側面図であり、(B)は平面図であり、(C)は左側面図であり、(D)は前面図である。
【図6】バイオデバイス撮影装置の斜視図である。
【図7】検知スイッチの回路図である。
【図8】読みとりプログラムを示すフローチャートである。
【図9】従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましくは、撮影部は、収容室において光反射部材の光反射面に対向するように設けられている。この場合、バイオデバイスの反応部において反射した反射光を光反射部材の光反射面で反射させ、その反射光をバイオデバイスの表面が延びる面方向に沿って進行させて撮影部は受光する。この場合、光反射部材の光反射面は、光源による間接照明および撮影部による撮影の双方で共用されていることが好ましい。これにより光反射部材の部品点数が削減される。
【0012】
バイオデバイスの表面が延びる面方向に対して直交する方向において、撮影部は、光反射部材に対向しつつ、保持部に保持されているバイオデバイスに対して光源よりも離間する位置に設けられていることが好ましい。この場合、光源から投射された光がバイオデバイスの反応部に到達することなく、撮影部に直接的に受光されることが抑制される。
【0013】
第1搭載面および第2搭載面を表裏にもつ基盤と、ハウジングの出入口から収容室に挿入されたバイオデバイスの挿入完了の信号を出力する検知スイッチが設けられていることが好ましい。光源は基盤の第1搭載面に搭載されており、検知スイッチは基盤の第2搭載面に搭載されていることが好ましい。基盤は光源および検知スイッチに共用されるため、部品点数の削減に貢献できる。
【0014】
収容室内では、出入口から保持部に向けてバイオデバイスが挿入される挿入方向において、出入口、光反射部材、光源、撮影部の順に配置されていることが好ましい。この場合、挿入方向に対して直交する方向において、ハウジングを薄型化できる。好ましくは、光反射部材は、保持部に対して一定角度で傾斜した状態でバイオデバイスの挿入方向に沿って前進後退可能とされている。この場合、バイオデバイスの種類が変わり、バイオデバイスの反応部の位置が挿入方向において変動するときであっても、光反射部材を前進後退させれば、光反射部材の光反射面の傾斜角度を維持させつつ、光反射部材を挿入方向において位置調整できるため、バイオデバイスの反応部を良好に照明できる。
【0015】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1を説明する。図1(A)はバイオデバイス1の平面図を示す。図1(B)はバイオデバイス1の側面図を示す、図1(A)(B)に示すように、バイオデバイス1は、厚みT1をもつ偏平な薄型化されたケース10と、ケース10の上面に開口する注入口11と、抗原および/または抗体が担持された複数のライン13(13a,13b)で形成された反応部12をもつシート14と、ケース10の上面に形成され反応部12を外方に露出させる露出口15と、ケース10の上面に露出するQRコード16(識別子)とを有する。
【0016】
図1(A)に示すように、反応部12およびQRコード16は、後述するバイオデバイス1の挿入方向(矢印A1方向)と交差する方向(矢印B方向,バイオデバイス1の幅方向)において互いに隣設されている。なお、撮像エリアMは、バイオデバイス1の反応部12およびQRコード16を含む。
【0017】
図1(B)に示すように、露出口15は、矢印A1,A2方向において互いに対向する傾斜面15a,15bと、矢印A1,A2方向と交差する方向において互いに対向する傾斜面15c,15dとを有する。傾斜面15a〜15dは、上方に向かうにつれて拡開するように傾斜している。このため露出口15にこれの上側から光で照明されるとき、影が反応部12に映らない。
【0018】
QRコード16は、検査すべき検査対象物に関する情報(例えば検量線等)を他の情報から識別するための識別子である。検査液が注入口11から滴下される等してシート14に注入されると、検査液はシート14に沿って表面張力等で反応部12に移動する。この場合、検査液に含まれる成分によって、反応部12のライン13(13a,13b)の色が変化する。ライン13(13a,13b)の色の変化状況によって、検査液の成分や濃度が判定され、検査液に含まれている検査成分の良否判定が行われる。なお、バイオデバイス1の表面1sが延びる面方向を、矢印S方向として示す。
【0019】
図2は本実施形態に係るバイオデバイス撮影装置の断面図を示す。図3はその内部構造の平面図を示す。バイオデバイス撮影装置は、バイオデバイス1の反応部12の変化状況を撮影する装置である。本装置に係るハウジング2は薄型化されており、下側の第1ハウジング21と上側の第2ハウジング22とを組み付けて形成される。ハウジング2は、内部に形成された収容室23と、収容室23と外部とを連通させるためにハウジング2の一端部2eに形成された出入口24とをもつ。出入口24はハウジング2の底部2b側に形成されている。保持部25は、ハウジング2の収容室23に設けられており、第1ハウジング21に形成されており、出入口24から収容室23に矢印A1方向に挿入されたバイオデバイス1を保持するための平坦な保持面26をもつ。なお、図2において、バイオデバイス1を挿入させる方向を矢印A1方向として示す。保持部25に保持されたバイオデバイス1を取り出す方向を矢印A2方向として示す。
【0020】
図2に示すように、光反射部材としてのミラー部材3は、ハウジング2の保持部25に保持されたバイオデバイス1の反応部12に上側から対向するようにハウジング2の収容室23に配置されている。ミラー部材3は平坦な光反射面30を有する。ミラー部材3の光反射面30は、水平な保持面26に対して角度θ1(約45°,図2参照)傾斜している。光反射面30は出入口24に向かうに連れて直状に下降するように傾斜している。
【0021】
図2に示すように、光源4の発光面40がミラー部材3の光反射面30に対向するように、光源4はハウジング2の収容室23に設けられている。光源4は、バイオデバイス1の表面1sが延びる面方向(矢印S方向)に沿って、光をミラー部材3の光反射面30に向けて投射させると共に、ミラー部材3の光反射面30で反射させた光でバイオデバイス1の反応部12を間接的に照明する。このため、ハウジング2の高さ方向(矢印H方向)における小型化を図りつつも、光源4の発光面40から目標物(バイオデバイス1の反応部12)までの照明距離を長く確保することができる。
【0022】
この場合、ハウジング2の高さ方向(矢印H方向)において、光源4の発光面40をバイオデバイス1の反応部12に過剰に接近させずとも良い。このため、前述したように光源1からバイオデバイス1の反応部12まで照明距離が良好に確保されるため、バイオデバイス1の反応部12を照らす照明の強度むらを低減できる。更に本実施形態によれば、上記したように光源4から光を間接照明させてバイオデバイス1の反応部12を照らすため、直接照明に比較して、バイオデバイス1の反応部12を照明する照明光の強度むらを低減できる利点が得られる。
【0023】
図2に示すように、撮影部5はイメージセンサで形成されており、ハウジング2の収容室23において撮影ホルダ50を介して第1ハウジング21に設けられている。撮影部5は、光源4の発光面40で間接照明されたバイオデバイス1の反応部12(ミラー部材3の光反射面30における像)を撮影する。ここで図2に示すように、撮影部5は、収容室23において、バイオデバイス1の表面1sが延びる面方向(矢印S方向)において、すなわち、バイオデバイス1の挿入方向(矢印A1方向)において、ミラー部材3の光反射面30に対向するように設けられている。この場合、バイオデバイス1の反応部12において反射した反射光はミラー部材3の光反射面30に入射され、反応部12の像がミラー部材3の光反射面30に像として映る。撮影部5はミラー部材3の光反射面30における像(バイオデバイス1の反応部12の変化状況およびQRコード16の像)を撮影する。
【0024】
換言すると、バイオデバイス1の反応部12およびQRコード16は、反応部12の真上に位置するミラー部材3の光反射面30において像として映る。この像の光は矢印S方向、矢印A1方向に沿って撮影部5に向けて進行し、撮影部5に受光されて撮影部5で撮影される。このように撮影部5は、ミラー部材3の光反射面30に映し出される像を撮影する。このような本実施形態によれば、ミラー部材3の光反射面30は、光源4による間接照明および撮影部5による撮影の双方で共用されている。この場合、ミラー部材3を複数設ける必要が無く、部品点数が削減され、小型化に貢献できる。
【0025】
なお、図1に示すように、バイオデバイス1の反応部12におけるライン13a,13bの間隔はΔLとされている。しかし傾斜状態のミラー部材3の光反射面30に映るライン13a,13bの像を撮影部5で撮影するとき、ミラー部材3の傾斜角θ1の影響を受けるため、ΔLが狭くなるように撮影部5で撮影される。このため、光反射面30における像においてもライン13a,13bを充分に識別できるように、撮影の観点から、バイオデバイス1の反応部12におけるライン13a,13bの実際の間隔ΔLを確保する必要がある。但し、バイオデバイス1における間隔ΔLを過剰に大きくすると、バイオデバイス1において注入口11からライン13aまでの距離と,注入口11からライン13bまでの距離とが大きく異なることになるため、注入口11から注入される検査液のライン13a,13bへの到達性に影響を与える可能性がある。
【0026】
本実施形態によれば、図2から理解できるように、撮影部5は、保持部25の保持面26のバイオデバイス1の面方向(矢印S方向)およびバイオデバイス1の挿入方向(矢印A1方向)において、ミラー部材3の光反射面30に対向している。更に、撮影部5は、保持部25の保持面26上のバイオデバイス1に対して、矢印S方向(バイオデバイス1の表面1sが延びる面方向)および矢印A1方向(バイオデバイス1の挿入方向)において、光源4の発光面40よりも離間する位置に設けられている。換言すれば、保持部25の保持面26上のバイオデバイス1に対して、矢印S方向(バイオデバイス1の表面1sが延びる面方向)および矢印A1方向(バイオデバイス1の挿入方向)において、撮影部5は、光源4の発光面40よりも離間する位置に設けられている。この場合、図2から理解できるように、光源4の発光面40は、ミラー部材3の光反射面30に矢印S方向および矢印A1方向において対向しているものの、撮影部5に対向していない。光源4の背面40rが撮影部5に対向している。このため、光源4の発光面40から発光された光が撮影部5に直接的に受光されることが抑制されている。このため撮影部5による撮影を良好に実行できる。
【0027】
本実施形態によれば、図2および図3から理解できるように、第1搭載面61および第2搭載面62を表裏にもつ基盤6が設けられている。ハウジング2の出入口24から収容室23に矢印A1方向に挿入されたバイオデバイス1の挿入完了の信号を出力する検知スイッチ63が設けられている。光源4はLEDとされており、基盤6の第1搭載面61に搭載されている。検知スイッチ63は基盤6の第2搭載面62に搭載されている。このように基盤6は光源4および検知スイッチ63に共用されるため、部品点数の削減に貢献できる。図4(A)(B)(C)は、光源4および検知スイッチ63を搭載する基盤6を示す。図4(C)に示すように、光源4の発光面40は、ミラー部材3の光反射面30に向けて上向き(矢印U1方向)とされている。なお光源4の数は単数(1個)とされている。従って、図3に示すように、光源4の発光面40からの光は、横方に広がりつつミラー部材3の光反射面30に当たる。図7は、検知スイッチ63がオンになると、光源4が点灯する回路図を示す。
【0028】
図3に示すように、収容室23において出入口24付近には、バイオデバイス1の側面1hを案内させる入口ガイド部27が互いに対向するように設けられている。更に収容室23にはスライドガイド28が設けられている。スライドガイド28は平面視でほぼUの字形状をなしており、バイオデバイス1の側面1hを案内させる一対の案内面28aと、挿入されるバイオデバイス1の先端部1aが当たるストッパ面28cと、バイオデバイス1の先端部1aの上側を押さえつつ案内させ、高さ方向(H方向)の定位置に案内させる案内面28h(図2参照)とをもつ。
【0029】
図3に示すように、案内面28a間の距離LAは、バイオデバイス1の幅寸法に相当する。これによりバイオデバイス1を出入口24から矢印A1方向にハウジング2の収容室23に挿入させるにあたり、バイオデバイス1の幅方向(矢印B方向)の位置を収容室23の定位置に規定できる。
【0030】
本実施形態によれば、図3に示すように、撮影部5に電力および制御情報を供給する機能をもつケーブルとしてのUSBケーブル7の一端部7aを差し込む差込口29がハウジング2の側壁に形成されている。ハウジング2は差込口29および出入口24以外の開口を有していない。このため、外部の光が外乱光として収容室23に侵入して撮影に影響を与えることを抑制できる。
【0031】
本装置の使用時には、USBケーブル7がハウジング2の差込口29に差し込まれるため、差込口29は実質的に閉鎖される。更に、ハウジング2の出入口24にはバイオデバイス1が矢印A1方向に挿入されるため、出入口24はほとんどが閉鎖される。このため本装置の使用時には、ハウジング2の外部の光がハウジング2内に入射することが抑制される。すなわち、外部の光が外乱光としてハウジング2内に入射することが抑制される。これにより外部の外乱孔の影響を回避しつつ、ミラー部材3の光反射、撮影部5による撮影を良好に行うことができる。よってバイオデバイス1の反応部12の撮影精度が確保される。
【0032】
図2に示すように、矢印A1方向において、出入口24と撮影部5との間には、基盤6またはミラー部材3が配置されている。万一、外部の光が侵入光LPとしてハウジング2の出入口24から収容室23に侵入したとしても、その侵入光LPが収容室23内の基盤6またはミラー部材3により遮光されるため、侵入光LPが撮影部5に到達することが抑えられる。このため侵入光LPの影響を受けることなく、反応部12およびQRコード16の撮影を撮影部5は良好に行い得る。
【0033】
使用時には、バイオデバイス1がハウジング2から離脱されている状態において、検査者は検査液をバイオデバイス1の注入口11に滴下する等して供給する。検査液がシート14の反応部12に到達すると、反応部12の色が変化する。具体的には、検査液に含まれている成分濃度に応じて、反応部12の複数のライン13(13a,13b)の色が変化する。複数のライン13(13a,13b)の色の変化状況を測定すれば、検査液の検査状況が把握される。
【0034】
本実施形態によれば、バイオデバイス1の検査にあたり、USBケーブル7の一端部7aをハウジング2の差込口29から差し込み、撮影部5のUSBコネクタ(コネクタ)55に接続されているため、制御装置であるパソコンから撮影部5に給電される。そして、ユーザは、バイオデバイス1の基端部1cを掴み、バイオデバイス1をこれの先端部1a側から出入口24を介してハウジング2の収容室23にほぼ水平方向(矢印A1方向)に沿って挿入する。この場合、バイオデバイス1は入口ガイド部27によって案内され、スライドガイド28の案内面28aに沿って定位置に案内される。この場合、スライドガイド28の高さ案内面28hは、バイオデバイス1の先端部1aの上側を押さえつつ案内させる高さ方向(矢印H方向)の定位置に案内させる。そして、収容室23に挿入されたバイオデバイス1は、ストッパ面28cに当たるまで、保持部25の保持面26に水平方向に沿って保持される。このようにバイオデバイス1が保持部25の保持面26に保持されているときであっても、バイオデバイス1の基端部1cは、これの取り出しのため、ハウジング2の外方に露出している。
【0035】
このようにバイオデバイス1がハウジング2内に矢印A1方向に挿入されたとき、検知スイッチ63の操作部63xがバイオデバイス1のケース10の先端部1aにより押圧されて操作され、オン信号を光源4および撮影部5に出力させる。光源4がオンされると、光源4の発光面40から光(例えば緑色)がミラー部材3の光反射面30に向けて発光される。ミラー部材3の光反射面30で反射した光は下向きとなり、バイオデバイス1の反応部12に入射される。これによりバイオデバイス1の反応部12は光源4の発光面40からの光(例えば緑色)により間接照明される。バイオデバイス1の反応部12はミラー部材3の光反射面30に映る。撮影部5は、ミラー部材3の光反射面30における像、つまり、反応部12のライン13(13a,13b)の色変化状況を撮影する。なお、撮影部5による撮影エリアMは図1に示される。このように反応部12のライン13(13a,13b)の着色状況およびQRコード16をまとめて1回で撮影するため、撮影回数が低減される。ここで、図1(A)に示すように、撮影エリアMにおいて撮影される像は、バイオデバイス1の反応部12のライン13(13a,13b)およびQRコード16を含む。撮影されたQRコード16の信号は、USBケーブル7を介してパソコンに入力される。パソコンはQRコード16を読みとり、QRコード16に基づいて検査情報(検量線等)を読み出す。
【0036】
この場合、パソコンの処理形態の代表例を図8に示す。図8に示すように、まず、撮影信号を出力し、撮影部5により、バイオデバイス1の反応部12のライン13(13a,13b)の画像およびQRコード16の画像を撮影させる(ステップS2)。この場合、ゲイン調整、オフセット調整、ホワイトバランス調整、露光時間等の調整で画像を調整し、明瞭な画像を取り込む。次に、取り込んだ画像について、ノイズ除去、輝度ムラ補正等の補正を行い、平坦な画像を補正する(ステップS4)。次に、得られた画像からQRコード16のエリアを抜き出し、QRコード16を解読する(ステップS6)。この場合、メモリのエリアに格納されている情報から、QRコード16に関連する情報(検量線等)を読み込む。
【0037】
次に、バイオデバイス1の反応部12のライン13(13a,13b)の明度値を取り込み、ベースラインに対するライン13(13a,13b)の明度値のピークを検出する(ステップS8)。反応部12の二つのライン13(13a,13b)の明度のピークの比率(A/B)に基づいて、検査液に含まれている検査成分の濃度(C)を検量線等から求める(ステップS10)。その検査成分の濃度データをメモリのエリアに保存すると共に、パソコンの画面に検査情報を表示する(ステップS12)。検査が終了したら、ユーザは、バイオデバイス1のケース10の基端部1cを指で掴んでハウジング2から離脱させる。
【0038】
以上説明したように本実施形態によれば、光源4の発光面40は、バイオデバイス1の表面1sが延びる面方向(矢印S方向)に沿って、即ち、バイオデバイス1の挿入方向(矢印A1方向)に沿って、光をミラー部材3の光反射面30に向けて投射させると共に、ミラー部材3の光反射面30で反射させた光でバイオデバイス1の反応部12を間接的に照明する。間接照明であれば、直接照明に比較して、バイオデバイス1の反応部12のライン13(13a,13b)を照明する照明光の強度むらを低減させるのに有利である。
【0039】
更に本実施形態によれば、光源4は、バイオデバイス1の表面1sが延びる面方向(矢印S方向)に沿って、即ち、バイオデバイス1の挿入方向(矢印A1方向)に沿って、光をミラー部材3の光反射面30に向けて投射させると共に、ミラー部材3の光反射面30で反射させた光でバイオデバイス1の反応部12を照明する。このような光伝搬方式を採用している。このためハウジング2の高さ方向(矢印H方向)の小型化を図りつつ、光源4から目標物(バイオデバイス1の反応部12)までの照明距離を確保でき、照明距離を長く確保できれば、バイオデバイス1の反応部12を照明する照明光の強度むらを低減させるのに有利である。
【0040】
本実施形態によれば、前述したようにバイオデバイス1の表面1sが延びる面方向(矢印S方向,矢印A1方向)に沿って光をミラー部材3の光反射面30に向けて投射させると共にミラー部材3の光反射面30で反射させた光でバイオデバイス1の反応部12を間接的に照明する方式が採用されている。このため、ハウジング2のうちバイオデバイス1の表面1sが延びる面方向(矢印S方向)と交差する方向(ハウジング2の高さ方向,矢印H方向)における小型化を図り得る。ここで、矢印S方向は、ハウジング2の出入口24から保持部25に向けてバイオデバイス1が挿入される挿入方向(矢印A1方向)に相当する。
【0041】
また、従来技術としては、拡散板や導光板を設置する構造を採用することも多いが、本実施形態によれば、光源4からの光をバイオデバイス1の面方向(矢印S方向)で且つバイオデバイス1の挿入方向(矢印A1方向)に沿ってミラー部材3の光反射面30に向けて伝搬させ、光反射面30で反射させ、その反射光をバイオデバイス1の反応部12に入射させる方式を採用している。このため光を反応部12に導光させて案内させる導光板を収容室に設置する構造を採用せずとも良く、コスト低減、構造の複雑化の回避に貢献できる。
【0042】
本実施形態によれば、図2に示すように、ハウジング2の収容室23内では、ハウジング2の出入口24から保持部25に向けてバイオデバイス1が挿入される挿入方向(矢印A1方向)において、出入口24、ミラー部材3、光源4、撮影部5の順に配置されている。この場合、挿入方向(矢印A1方向)に対して直交する方向(矢印H方向)において、ハウジング2の高さ方向(矢印H方向)寸法を薄型化できるよって、本装置はハンディタイプとなり、持ち運びし易くなる。
【0043】
本実施形態によれば、図2に示すように、ミラー部材3は、保持部25に対して一定角度で傾斜した状態でバイオデバイス1の挿入方向(矢印A1方向)に沿って前進後退可能とされている。すなわち図2に示すように、傾斜面32cをもつミラー支持部32がハウジング2の収容室23内に設けられている。傾斜面32cは、挿入方向(矢印A1方向)において、出入口24に近づくにつれて直線的に下降傾斜している。図3に示すように、バイオデバイス1が挿入される挿入方向(矢印A1方向)に対して交差する方向(矢印B方向)において、複数(2個)の突起壁状のミラー支持部32は、間隔を隔てて配置されている。ミラー部材3のうち矢印A1方向と交差する方向(矢印B方向)の端部3eをミラー支持部32の傾斜面32cに載せた状態で、ミラー部材3の背面32kに押さえ部材33をあてがう。そして、押さえ部材33を通した取付ボルト34(取付具)の雄螺子をミラー支持部32の螺子孔にねじ込む。これによりミラー部材3はミラー支持部32の傾斜面32cに着脱可能に保持されている。この場合、取付ボルト34を緩めたり外したりした状態で、ミラー部材3をミラー支持部32の傾斜面32cに沿って矢印E方向(図2参照)に移動させることができる。この場合、保持面26に対するミラー部材3の傾斜角度θ1を維持させつつ、ミラー部材3を矢印B1方向において位置調整でき、ひいてはミラー部材3を矢印A1方向において位置調整できる。この場合、バイオデバイス1のサイズや種類が変わり、バイオデバイス1の反応部12の位置が矢印A1方向に変動するときであっても、ミラー部材3をミラー支持部32の傾斜面32cに沿って前進後退させれば、ミラー部材3の光反射面30の傾斜角度θ1を維持させつつ、ミラー部材3を位置調整できる。このため、バイオデバイス1のサイズや種類が変更されたとしても、バイオデバイス1の反応部12を良好に照明できる。
【0044】
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。但し、上記した実施形態1では、特に図示しないものの、基盤6に搭載されている光源4は単数とされているが、複数とされている。
【0045】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。検知スイッチをハウジングの外壁部に搭載し、ユーザが指先でハウジングの検知スイッチを操作させて光源4を発光させると共に撮影部5の撮影を開始することにしても良い。QRコード16に代えてバーコードを採用しても良い。
【符号の説明】
【0046】
1はバイオデバイス、10はケース、12は反応部、13はライン、2はハウジング、23は収容室、24は出入口、25は保持部、26は保持面、3はミラー部材(光反射部材)、30は光反射面、32はミラー支持部、4は光源、5は撮影部、6は基盤、63は検知スイッチ、7はUSBケーブルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオデバイスの反応部の変化状況を撮影する装置であって、
収容室と前記収容室と外部とを連通させる出入口とをもつハウジングと、
前記ハウジングの前記収容室内に設けられ、前記出入口から前記収容室に挿入されたバイオデバイスを保持する保持部と、
前記ハウジングの前記保持部に保持された前記バイオデバイスの前記反応部に対向するように前記ハウジングの前記収容室に配置された光反射面を有する光反射部材と、
前記ハウジングの前記収容室において前記光反射部材の前記光反射面に対向するように設けられ、前記バイオデバイスの表面が延びる面方向に沿って光を前記光反射部材の前記光反射面に向けて投射させると共に前記光反射部材の前記光反射面で反射させた光で前記バイオデバイスの前記反応部を間接的に照明する光源と、
前記ハウジングの前記収容室に設けられ、前記光源で間接照明された前記バイオデバイスの前記反応部を前記光反射部材の前記光反射面を介して撮影する撮影部とを具備するバイオデバイス撮影装置。
【請求項2】
請求項1において、前記撮影部は、前記収容室において前記光反射部材の前記光反射面に対向するように設けられており、前記バイオデバイスの前記反応部において反射した反射光を前記光反射部材の前記光反射面で反射させ、その反射光を前記バイオデバイスの表面が延びる面方向に沿って進行させて受光し、前記光反射部材の前記光反射面は、前記光源による間接照明および前記撮影部による撮影の双方で共用されているバイオデバイス撮影装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記バイオデバイスの表面が延びる面方向に対して直交する方向において、前記撮影部は、前記光反射部材に対向しつつ、前記保持部に保持されている前記バイオデバイスに対して前記光源よりも離間する位置に設けられているバイオデバイス撮影装置。
【請求項4】
請求項1〜3うちの一項において、第1搭載面および第2搭載面を表裏にもつ基盤と、前記ハウジングの前記出入口から前記収容室に挿入された前記バイオデバイスの挿入完了の信号を出力する検知スイッチが設けられており、前記光源は前記基盤の前記第1搭載面に搭載されており、前記検知スイッチは前記基盤の前記第2搭載面に搭載されているバイオデバイス撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの一項において、前記収容室内では、前記出入口から前記保持部に向けて前記バイオデバイスが挿入される挿入方向において、前記出入口、前記光反射部材、前記光源、前記撮影部の順に配置されており、前記挿入方向に対して直交する方向において前記ハウジングは薄型化されているバイオデバイス撮影装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの一項において、前記光反射部材は、前記保持部に対して一定角度で傾斜した状態で前記バイオデバイスの挿入方向に沿って前進後退可能とされているバイオデバイス撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−2748(P2012−2748A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139524(P2010−139524)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】