バイオマス燃料
【課題】 貯蔵効率及び搬送効率が高いバイオマス燃料を提供する。
【解決手段】 椰子殻1を加熱等により炭化させ(S1)、粉砕機等で微粉化することにより(S2)、固体物2を製造し、この固体物2とパーム油残渣物3とを撹拌混合機等で混合することにより(S3)、スラリ状のバイオマス燃料4が得られる。
【解決手段】 椰子殻1を加熱等により炭化させ(S1)、粉砕機等で微粉化することにより(S2)、固体物2を製造し、この固体物2とパーム油残渣物3とを撹拌混合機等で混合することにより(S3)、スラリ状のバイオマス燃料4が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を利用したバイオマス燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素等の排出量の増加に伴う地球の温暖化現象が問題化している。これは、エネルギ源として石油や石炭等の化石燃料を主に利用していることに起因している。このため、石油や石炭等の化石燃料に代わる各種のエネルギ源が種々検討されている。
【0003】
このような二酸化炭素等の排出量の増加を抑制できるエネルギ源として、バイオマスから燃料を生成することが注目されている。バイオマス燃料は、一般に、生成量の多い各種の植物を炭化させることにより、エネルギ源等として利用されている。このようなバイオマス燃料をエネルギ源に用いると、生成した二酸化炭素等を植物が消費し、その植物をバイオマス燃料としてエネルギ源に再び利用することができるため、地球規模での二酸化炭素等の増加を大幅に抑制することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平9−157666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のバイオマス燃料は、粉体物であるため、嵩密度が小さくて、単位容積当たりのエネルギ量が小さく、貯蔵効率が悪いだけでなく、石油等の液体燃料のようにポンプ等で圧送することができず、搬送効率が悪いものであった。このため、発電設備のボイラ等の燃料として使用するには、使い勝手が悪く、実用化することができなかった。
【0006】
このようなことから、本発明は、貯蔵効率及び搬送効率が高いバイオマス燃料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明に係るバイオマス燃料は、植物を利用したバイオマス燃料であって、植物を炭化させた固体物と植物から得られた油分からなる液体物とが混合されたスラリであることを特徴とする。
【0008】
第二番目の発明に係るバイオマス燃料は、第一番目の発明において、前記固体物が、植物を炭化させた後に微粉化したものであることを特徴とする。
【0009】
第三番目の発明に係るバイオマス燃料は、第一番目の発明において、前記固体物が、空果房を炭化させたものであることを特徴とする。
【0010】
第四番目の発明に係るバイオマス燃料は、第一番目の発明において、前記液体物が、植物油の精製残渣であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第一番目の発明に係るバイオマス燃料によれば、植物を炭化させた固体物と植物から得られた油分からなる液体物とが混合されたスラリであるので、嵩密度が大きく、単位容積当たりのエネルギ量が高くなり、貯蔵効率を高くすることができると共に、ポンプ等で圧送することができ、搬送効率を高めることができる。
【0012】
第二番目の発明に係るバイオマス燃料によれば、植物を炭化させた後に微粉化した固体物であるので、容易に微粉化して液体物と効率よく混合させることができ、低コスト化を図ることができる。
【0013】
第三番目の発明に係るバイオマス燃料によれば、固体物が空果房を炭化させたものであるので、廃棄物を有効に利用することができ、省資源化及び低コスト化を図ることができる。
【0014】
第四番目の発明に係るバイオマス燃料によれば、液体物が植物油の精製残渣であるので、廃棄物を有効に利用することができ、省資源化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るバイオマス燃料の実施形態を図1に基づいて以下に説明する。図1は、バイオマス燃料の説明図である。
【0016】
本実施形態に係るバイオマス燃料は、植物を利用したバイオマス燃料であって、植物を炭化させた固体物と植物から得られた油分からなる液体物とが混合されたスラリである。
【0017】
ここで、上記固体物が、植物を炭化させた後に微粉化したものであると、容易に微粉化して液体物と効率よく混合させることができ、低コスト化を図ることができるので好ましい。
【0018】
特に、上記固体物が椰子殻等の空果房(Empty Fruit Bunch:EFB)を炭化させたものであると、廃棄物を有効に利用することができ、省資源化及び低コスト化を図ることができるので非常に好ましい。
【0019】
加えて、上記液体物が植物油(例えばパーム油等)の精製残渣(ステアリン酸等を主成分とするもの)であると、廃棄物を有効に利用することができ、省資源化及び低コスト化を図ることができるので非常に好ましい。
【0020】
このような本実施形態においては、図1に示すように、椰子殻1を加熱等により炭化させ(S1)、粉砕機等で微粉化することにより(S2)、固体物2を製造し、この固体物2とパーム油残渣物3とを撹拌混合機等で混合することにより(S3)、スラリ状のバイオマス燃料4を製造することができる。
【0021】
このようにして得られたバイオマス燃料4は、微粉化した固体物2の間隙にパーム油残渣物3が充填されるようになるので、嵩密度が大きくなり、単位容積当たりのエネルギ量を大幅に高めることができ、貯蔵効率を高めることができると共に、流動性を有するようになるので(常温で固化している場合には加熱する)、ポンプ等で圧送することができ、搬送効率を高めることができる。
【0022】
したがって、本実施形態に係るバイオマス燃料4によれば、省資源化及び低コスト化を図ることができると共に、貯蔵効率及び搬送効率を大幅に向上させることができるので、使い勝手を非常に高めることができ、発電設備のボイラ等の燃料に問題なく利用することができる。
【0023】
また、親油性を有する炭化した固体物2と油性のパーム油残渣物3とを混合したものなので、相溶性のよい固液体とすることができ、貯蔵効率及び搬送効率のさらなる向上を図ることができる。
【0024】
また、椰子殻1の生成場所とパーム油残渣物3の生成場所とは、一般に近接しているので、バイオマス燃料4を製造するにあたって、これらの原料1,3の搬送や貯蔵に大掛かりな設備を用意する必要がなく、イニシャルコストも大幅に削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係るバイオマス燃料は、石油や石炭等の化石燃料に代わるエネルギ源となるものであり、産業上、極めて有益に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るバイオマス燃料の実施形態の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 椰子殻
2 固体物
3 パーム油残渣物(液体物)
4 バイオマス燃料
S1 炭化
S2 微粉化
S3 混合
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を利用したバイオマス燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素等の排出量の増加に伴う地球の温暖化現象が問題化している。これは、エネルギ源として石油や石炭等の化石燃料を主に利用していることに起因している。このため、石油や石炭等の化石燃料に代わる各種のエネルギ源が種々検討されている。
【0003】
このような二酸化炭素等の排出量の増加を抑制できるエネルギ源として、バイオマスから燃料を生成することが注目されている。バイオマス燃料は、一般に、生成量の多い各種の植物を炭化させることにより、エネルギ源等として利用されている。このようなバイオマス燃料をエネルギ源に用いると、生成した二酸化炭素等を植物が消費し、その植物をバイオマス燃料としてエネルギ源に再び利用することができるため、地球規模での二酸化炭素等の増加を大幅に抑制することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平9−157666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のバイオマス燃料は、粉体物であるため、嵩密度が小さくて、単位容積当たりのエネルギ量が小さく、貯蔵効率が悪いだけでなく、石油等の液体燃料のようにポンプ等で圧送することができず、搬送効率が悪いものであった。このため、発電設備のボイラ等の燃料として使用するには、使い勝手が悪く、実用化することができなかった。
【0006】
このようなことから、本発明は、貯蔵効率及び搬送効率が高いバイオマス燃料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明に係るバイオマス燃料は、植物を利用したバイオマス燃料であって、植物を炭化させた固体物と植物から得られた油分からなる液体物とが混合されたスラリであることを特徴とする。
【0008】
第二番目の発明に係るバイオマス燃料は、第一番目の発明において、前記固体物が、植物を炭化させた後に微粉化したものであることを特徴とする。
【0009】
第三番目の発明に係るバイオマス燃料は、第一番目の発明において、前記固体物が、空果房を炭化させたものであることを特徴とする。
【0010】
第四番目の発明に係るバイオマス燃料は、第一番目の発明において、前記液体物が、植物油の精製残渣であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第一番目の発明に係るバイオマス燃料によれば、植物を炭化させた固体物と植物から得られた油分からなる液体物とが混合されたスラリであるので、嵩密度が大きく、単位容積当たりのエネルギ量が高くなり、貯蔵効率を高くすることができると共に、ポンプ等で圧送することができ、搬送効率を高めることができる。
【0012】
第二番目の発明に係るバイオマス燃料によれば、植物を炭化させた後に微粉化した固体物であるので、容易に微粉化して液体物と効率よく混合させることができ、低コスト化を図ることができる。
【0013】
第三番目の発明に係るバイオマス燃料によれば、固体物が空果房を炭化させたものであるので、廃棄物を有効に利用することができ、省資源化及び低コスト化を図ることができる。
【0014】
第四番目の発明に係るバイオマス燃料によれば、液体物が植物油の精製残渣であるので、廃棄物を有効に利用することができ、省資源化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るバイオマス燃料の実施形態を図1に基づいて以下に説明する。図1は、バイオマス燃料の説明図である。
【0016】
本実施形態に係るバイオマス燃料は、植物を利用したバイオマス燃料であって、植物を炭化させた固体物と植物から得られた油分からなる液体物とが混合されたスラリである。
【0017】
ここで、上記固体物が、植物を炭化させた後に微粉化したものであると、容易に微粉化して液体物と効率よく混合させることができ、低コスト化を図ることができるので好ましい。
【0018】
特に、上記固体物が椰子殻等の空果房(Empty Fruit Bunch:EFB)を炭化させたものであると、廃棄物を有効に利用することができ、省資源化及び低コスト化を図ることができるので非常に好ましい。
【0019】
加えて、上記液体物が植物油(例えばパーム油等)の精製残渣(ステアリン酸等を主成分とするもの)であると、廃棄物を有効に利用することができ、省資源化及び低コスト化を図ることができるので非常に好ましい。
【0020】
このような本実施形態においては、図1に示すように、椰子殻1を加熱等により炭化させ(S1)、粉砕機等で微粉化することにより(S2)、固体物2を製造し、この固体物2とパーム油残渣物3とを撹拌混合機等で混合することにより(S3)、スラリ状のバイオマス燃料4を製造することができる。
【0021】
このようにして得られたバイオマス燃料4は、微粉化した固体物2の間隙にパーム油残渣物3が充填されるようになるので、嵩密度が大きくなり、単位容積当たりのエネルギ量を大幅に高めることができ、貯蔵効率を高めることができると共に、流動性を有するようになるので(常温で固化している場合には加熱する)、ポンプ等で圧送することができ、搬送効率を高めることができる。
【0022】
したがって、本実施形態に係るバイオマス燃料4によれば、省資源化及び低コスト化を図ることができると共に、貯蔵効率及び搬送効率を大幅に向上させることができるので、使い勝手を非常に高めることができ、発電設備のボイラ等の燃料に問題なく利用することができる。
【0023】
また、親油性を有する炭化した固体物2と油性のパーム油残渣物3とを混合したものなので、相溶性のよい固液体とすることができ、貯蔵効率及び搬送効率のさらなる向上を図ることができる。
【0024】
また、椰子殻1の生成場所とパーム油残渣物3の生成場所とは、一般に近接しているので、バイオマス燃料4を製造するにあたって、これらの原料1,3の搬送や貯蔵に大掛かりな設備を用意する必要がなく、イニシャルコストも大幅に削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係るバイオマス燃料は、石油や石炭等の化石燃料に代わるエネルギ源となるものであり、産業上、極めて有益に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るバイオマス燃料の実施形態の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 椰子殻
2 固体物
3 パーム油残渣物(液体物)
4 バイオマス燃料
S1 炭化
S2 微粉化
S3 混合
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を利用したバイオマス燃料であって、
植物を炭化させた固体物と植物から得られた油分からなる液体物とが混合されたスラリである
ことを特徴とするバイオマス燃料。
【請求項2】
請求項1において、
前記固体物が、植物を炭化させた後に微粉化したものである
ことを特徴とするバイオマス燃料。
【請求項3】
請求項1において、
前記固体物が、空果房を炭化させたものである
ことを特徴とするバイオマス燃料。
【請求項4】
請求項1において、
前記液体物が、植物油の精製残渣である
ことを特徴とするバイオマス燃料。
【請求項1】
植物を利用したバイオマス燃料であって、
植物を炭化させた固体物と植物から得られた油分からなる液体物とが混合されたスラリである
ことを特徴とするバイオマス燃料。
【請求項2】
請求項1において、
前記固体物が、植物を炭化させた後に微粉化したものである
ことを特徴とするバイオマス燃料。
【請求項3】
請求項1において、
前記固体物が、空果房を炭化させたものである
ことを特徴とするバイオマス燃料。
【請求項4】
請求項1において、
前記液体物が、植物油の精製残渣である
ことを特徴とするバイオマス燃料。
【図1】
【公開番号】特開2006−124515(P2006−124515A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315026(P2004−315026)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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