バックホーのキャビン
【課題】後方小旋回型バックホーのキャビンにおいて、中折れのドアの開閉時に折れ曲がるときに、両ドアのガラス同士の間隔が変わらないようにし、中折れ部分に配置するシール部材の寿命を長くする。
【解決手段】作業機取付部16を除く旋回フレーム2を略円形に構成して、その直径を走行装置1の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビン8において、該キャビン8に設けるドア15を中折れ式として、中折れ部分に配置するヒンジ24の枢支軸中心を、両ドアのガラス(50)厚さ中心延長線上に配置し、前記両ドアのガラス端をシール部材27で連結し、ヒンジ24は迂回させた。
【解決手段】作業機取付部16を除く旋回フレーム2を略円形に構成して、その直径を走行装置1の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビン8において、該キャビン8に設けるドア15を中折れ式として、中折れ部分に配置するヒンジ24の枢支軸中心を、両ドアのガラス(50)厚さ中心延長線上に配置し、前記両ドアのガラス端をシール部材27で連結し、ヒンジ24は迂回させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバックホーのキャビンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から操縦部をキャビンで覆い、雨天や寒冷地や夏季においても快適に作業ができるようにしたキャビン仕様のバックホーは公知となっており、該キャビンの側面には、キャビン内に出入りするためのドアが設けられ、該ドアは後側の縦軸を支点として開閉できるようにしたり、開放時のドアの突出を抑えるために引き戸式や中折れ式のドアとすることも行われている。そして、これらドアが平面視において旋回フレーム内に納まるように構成して、旋回時に走行装置の幅内に納まるようにした技術も公知となっている。例えば、実開平6−85455や特開平11−100864や特許第2657541号の技術である。
【特許文献1】実開平6−85455号公報
【特許文献2】特開平11−100864号公報
【特許文献3】特許第2657541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記のようなドアの構成であると、エアコンが必要な程暑くないときや、作業時に出入りが頻繁な時等では、ドアを開放したまま作業を行うことがあるが、開放時においてドアの外端は旋回フレームよりはみ出し、走行装置の幅を越えてしまい、旋回作業時において障害物に当たる可能性があった。特許第2657541号はドア開放時も走行幅内の旋回径に納まっている。しかしながら「く」字状にキャビン側壁を張り出しているため、左側レバー操作がやり難くなっていた。即ち、限られた旋回台内で最大の居住スペースと操作性を確保して、ドア開放時にも略旋回径内に納めるのが課題となる。また、中折れ式のドアとした場合、従来では前後一側(前側)のドアの幅が他側(後側)のドアの幅よりも広くしていたので、円形状とした旋回フレームの円内にドアを配置すると、室内空間が小さくなっていたのである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
【0005】
請求項1においては、作業機取付部を除く旋回フレームを略円形に構成して、その直径を走行装置の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビンにおいて、該キャビンに設けるドアを中折れ式として、中折れ部分に配置するヒンジの枢支軸中心を、両ドアのガラス厚さ中心延長線上に配置したものである。
【0006】
請求項2においては、前記両ドアのガラス端をシール部材で連結し、ヒンジは迂回させたものである。
【0007】
請求項3においては、バックホーのキャビンにおいて、キャビンフレームのガラスを取り付ける取付縁部に孔またはボスを設けたものである。
【0008】
請求項4においては、バックホーのキャビンのフロント下ガラスを着脱可能とした構成において、キャビン内部にフロントガラスの幅よりも長い帯状部材を水平方向に張り、前記フロントガラスを帯状部材で緊張して収納するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1の如く、作業機取付部を除く旋回フレームを略円形に構成して、その直径を走行装置の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビンにおいて、該キャビンに設けるドアを中折れ式として、中折れ部分に配置するヒンジの枢支軸中心を、両ドアのガラス厚さ中心延長線上に配置したので、ドアの開閉時に折れ曲がるときに、両ドアのガラス同士の間隔が変わらず、中折れ部分に配置するヒンジ部を除くシール部材は、ドアの開閉時に引っ張り力や圧縮力は殆どかからず、シール部材の寿命を長くすることができたのである。また、ドアの折れ角度も大きくすることが可能となったのである。
【0010】
請求項2の如く、前記両ドアのガラス端をシール部材で連結し、ヒンジは迂回させたので、ヒンジとシール部材が別々に回動と伸縮が行われ、互いに無理な力がかかることがなく、シールの寿命を伸ばし、また、シール部材のガラス挟み込み部分に芯金を入れることによって、接着することなく、嵌合するだけの簡単な操作で組立ができるようになったのである。
【0011】
請求項3の如く、バックホーのキャビンにおいて、キャビンフレームのガラスを取り付ける取付縁部に孔またはボスを設けたので、ガラスが破損しても、合成樹脂等で構成した代替ガラスに前記孔の位置に合わせて孔を開けておけば、容易に代替ガラスを嵌め込んで、孔をボルトやピン等で容易に固定することが可能となり、接着剤が乾くまでの時間が不要で、修理処置が速やかに行えるようになり、作業の再開を早くできるようになった。
【0012】
請求項4の如く、バックホーのキャビンのフロント下ガラスを着脱可能とした構成において、キャビン内部にフロントガラスの幅よりも長い帯状部材を水平方向に張り、前記フロントガラスを帯状部材で緊張して収納するようにしたので、外したフロントガラスは下方へ降ろすだけの簡単な操作で収納できるようになり、上方や側方等移動距離が短くなり、取り外し時においてフロントガラスが破損することを減少できたのである。また、フロントガラスの固定構造が簡単となり、安価に構成できたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1はバックホーの全体側面図、図2は同じく後面図、図3は同じく平面図、図4はキャビンの他の実施例を示す平面図、図5はドアの他の実施例を示す側面図、図6は同じく他の実施例を示す側面図、図7はガラスの取付を示す斜視図、図8は従来のドアを示す平面図、図9はドアの側面図、図10は中折れドアのヒンジの第一実施例を示し、(a)は図9におけるA−A断面図、(b)はB−B断面図、図11はヒンジの第二実施例を示す平面断面図、図12はヒンジの第三実施例を示す平面断面図である。
【0015】
図13はヒンジの第四実施例を示す平面断面図、図14はドア上部のキャビンルーフとの位置関係を示す断面図、図15は同じく従来の断面図、図16は後部ガラスとキャビンルーフとの位置関係を示す断面図である。
【0016】
図17はフロントガラスの収納状態を示す一部斜視図、図18はフロントガラスの収納手順を示す側面図、図19はフロントガラス収納構成の他の実施例を示す斜視図、図20は同じくロック部を示す斜視図、図21、図22は従来のドアヒンジを示す断面図である。
【0017】
まず、図1、図2、図3においてバックホーの全体構成から説明する。左右一対のクローラを装備したクローラ式走行装置1の上部に、旋回可能に旋回フレーム(旋回台)2を取り付け、該旋回フレーム2の後部は平面視円状として、旋回時にクローラ式走行装置1の略幅内に納まるように構成した、つまり、旋回フレームの直径を走行装置の略幅内に構成した、所謂、後方小旋回型のバックホーとしている。そして、クローラ式走行装置1の前方に排土板3を突出し、前記旋回フレーム2の後部上にエンジンやバッテリ等を配置してボンネット14によって覆ってエンジンルームを構成し、旋回フレーム2の右側上には燃料タンクを載置してタンクカバー17によって覆っている。該旋回フレーム2の前後略中央上に座席シート13を配置して、該座席シート13やその前部に配置する操向や作業機の操作を行う操作レバー等をキャビン8によって覆っている。
【0018】
前記旋回フレーム2の前部左右略中央には、作業機取付部16が設けられて掘削作業機7の基部を装着している。該掘削作業機7は、バケット4とアーム5とブーム6とこれらを回動駆動するシリンダ等よりなり、該ブーム6の基部は前記作業機取付部16に左右回動自在に支持されたブームブラケット12に前後回動自在に枢支され、該ブーム6とブームブラケット12の間にブームシリンダ11を介装してブーム6を上下に回動可能としている。該ブーム6と該ブーム6の先端に回動自在に取り付けられたアーム5との間にはアームシリンダ10が介装され、アーム5を前後に回動可能としている。該アーム5と該アーム5先端に枢支したバケット4の間にはバケットシリンダ9が介装されて、バケット4を掬い込み回動可能としている。
【0019】
次に、本発明のキャビン8の構成について図1乃至図4より説明する。前記旋回フレーム2は平面視で円状として、前面の作業取付部16を設ける部分を切り欠いた形状としている。そして、この旋回フレーム2の上に平面視で納まるようにキャビン8が載置される。つまり、図3に示すように、キャビン8の右側においてタンクカバー17の一部(約半分)を露出してその他の前面を覆うように配置し、言い換えれば、キャビン8の右側はタンクを跨いだ側面とし、該キャビン8の後部はエンジンルームの後部、つまり、ボンネット14の後部上に載置して旋回フレーム2の外周形状に沿った曲面状に形成し、右側面及び前面を平面として、平面視で一部円状その他を多角形状に構成している。また、図4に示すように、作業機取付部16を除く旋回フレーム2の上全面を覆うようにキャビン8を配置し、前面以外は平面視で円状に構成することもできる。
【0020】
そして、図2、図3に示すキャビン8の場合、露出した部分のタンクカバー17は外上方向に開閉できるようにしており、外部から作動油タンク、燃料タンク等をメンテナンスできるようにしている。また、ボンネット14の後面も後方へ開閉できるようにしてメンテナンスできるようにしている。また、旋回フレーム2の全面を覆うタイプの場合、タンクカバー17の外周上にキャビン8が乗り、進行方向右側にもドア15Rが設けられて、タンクカバー17を水平方向に回動して開けたり、キャビン8内で開けたりできるようにしている。こうしてキャビン8の前面と、左側のドア15と、右側面は平面とし、キャビン8の天井と側面の一部と支持フレーム以外はガラス(窓ガラス)によって覆い、できるだけ広い視界となるように構成し、旋回フレーム2の上方をできるだけ広く覆うようにして、室内空間を大きくして居住性、操作性を向上している。
【0021】
前記キャビン8内は進行方向左寄りに座席シート13や操作レバー等を配置し、該座席シート13後下方から右側をエンジンルームとしてボンネット14にて覆っており、キャビン8の後部は図1に示すように、ボンネット14の上後部より若干後方に張り出して載置されている。但し、旋回フレーム2よりはみ出すことはない。
【0022】
そして、キャビン8の前面及び後面および側面の外周端は旋回フレーム2よりも内側に配置している。そして、図2に示すように、前面を除く側面は接地面に対して垂直ではなく、上方が機体中心側に角度θ傾斜するように構成されている。この傾斜角θは大き過ぎると室内空間を小さくしてしまい圧迫感が生じてしまい、操作性も悪くなってしまい、また、垂直であると、上方が大きく不安定に見えてしまい外観が悪く、狭い現場での作業において、地面が傾斜していると、旋回しながら作業するときに、高い位置の障害物にキャビン8の上部が当たり損傷が及ぶことがあった。そこで、本発明ではその傾斜角θは約1度前後の角度とし、狭い現場での作業性を向上し、外観も向上して安定した外観としている。但し、図3、図4に示すように、キャビン8が旋回フレーム2上において、タンクカバー17の一部を露出したり、全面を覆う構成とした場合、ドア15は図1及び図3に示すように、後ドア15aと前ドア15bの大きさが略同じであっても、図5に示すように、前ドア15bの方が大きくても、また、図6に示すように、一枚のドアで構成しても構わない。
【0023】
次に、キャビン8を構成するキャビンフレーム20にガラス(窓ガラス)19を取り付ける構成を図7より説明する。キャビンフレーム20にはドア15以外に視界を確保しガラスを嵌め込むための開口20A・20B・・・が開口され、該開口20A・20B・・・の周囲にはそれぞれガラス19A・19B・・・を取り付けるための取付縁部20aが形成されている。その一つについて説明すると、取付縁部20aには適宜間隔をあけてボスまたは孔20c・20c・・・が設けられている。該孔20c・20c・・・はシール21・21・・・が貼られて孔が閉じられ、その上及び取付縁部20aに接着剤を塗布してガラス19A・19B・・・がシール部材23を介して接着固定される。前記シール21は接着剤が孔20cに入り込んで孔20cを閉じたり、ネジ山を埋めたりしないようにしている。また、前記孔20cにはネジ孔加工(タップ)が施されたり、または、ボスが埋め込まれたりしている。
【0024】
そして、作業時や走行時等万一の事故でガラスが破損すると、その部分に代替部品22を取り付けるのである。この代替部品22は比較的入手し易い部品とし、例えば、透明アクリル板等で構成し、該代替部品22A・22B・・・の周囲には前記孔20c・20c・・・の位置に合わせて孔22a・22a・・・を開口している。こうして、代替部品22を取り付けるときにはその部分のガラスを除いて、シール21・21・・・も外し、孔20cと孔22aにネジまたはボルトを挿入して代替部品22を固定するのである。孔20cの代わりにボスを設けた場合にはピン等によって固定する。このように、比較的安価で軽量な合成樹脂等で構成した代替部品を予め用意しておけば、事故が起こったときにガラスの代わりに代替部品を取り付けることによって、修理が安価で簡単にできるようになる。また、サービスセンターが近くになくても代替部品は簡単に取り付けることができるので、速やかに作業を再開できるのである。また、接着剤が乾くまで待ったり、純正部品が到着するまで待つこともなくなり、対処が早くできるのである。
【0025】
次に、ドアの構成を説明する。キャビン8に設けるドア15は図1、図3に示すように、掘削作業機7を設けた側を前方として(進行方向)左側に設けられ、該ドア15は前後に分割して両者をヒンジ24・24によって枢支して、開閉時に二つ折れ(中折れ)となり開閉できるように構成している。従来のドアは図8に示すように、後ドア15a’の幅L1’は把手57を設けた前ドア15b’の幅L2’よりも小さく(L1’<L2’)構成している。このように構成してあると、座席シート13側方の円弧部は前ドア15b’によって削られることになり、空間を狭めてしまう。
【0026】
そこで、本発明では図3に示すように、後ドア15aと前ドア15bの幅L1・L2を同じ長さ(L1=L2)とすることにより、ドア15は中折れとなって平面視でキャビン8は多角形状となり、室内空間を大きくし、オペレーター側方の空間を大きくして操作性を向上しているのである。そして、ドア15は側面形状に沿うように全開したときに、旋回フレーム2の半径R内に納まるように、ドア15の後部位置の側面には、開けたドア15が納まる円弧状の窪んだ空間18を形成している。こうしてドア15を全開したときに、この円弧状の空間18内にドア15を収納することができ、作業時にドア15を開けたまま旋回するときに、障害物等が近くにあっても当たって損傷が及ぶことがなく、ドア15を気にすることなく、旋回できるのである。勿論、ドア15を閉じたときも旋回フレーム2内に位置する。なお、図示しないがドア15を開けた状態で固定するためのキャッチがキャビン側に設けられている。
【0027】
また、前記ドア15を側面形状に沿うように開けた状態とすることができるように、後ドア15aと前ドア15bの間にはヒンジが設けられており、従来のドアガラス50・50の連結構成は図21に示すように、ドアガラス50・50の端面にシール用のゴム等でできた弾性体51を介装し、ヒンジ24’はヒンジプレート52・52がドアガラス50・50にボルト53・53・・・によって固定され、該ヒンジプレート52・52間は枢支軸54によって枢支されている。そして、前記ヒンジプレート52・52の内面から内方にステー55・55を突設して、一方のステー55にストッパー56を固定し、他方のステー55を該ストッパー56の当て板としている。また、弾性体51は図22のように構成され、弾性体51を左右に分割して、一方の弾性体51aは他方の弾性体51bに当接させ、開閉時も隙間ができないように構成している。
【0028】
このように構成して、ドア15’を開けると、ドア15’は外方向に開いて後ドア15a’・前ドア15b’は内方向に折り曲げられる。しかし、このような構成であると、図21の場合、前記枢支軸54がドアガラス50・50のの厚み方向の中心の延長線上に位置していないために、ドア15’を開閉する毎に弾性体51が曲げと伸縮を繰り返されることになり、寿命が短くなっていた。また、図22の構成では弾性体51が劣化してくると、隙間が生じ、また、当接部にゴミ等が入ると隙間ができていた。また、ドア15’を全開したときのヒンジ24’の外方向への突出が大きく、誤って旋回してドア15’を傷めることがあった。また、ドア15’を閉じた状態では、分割ドア15a’・15b’は直線状態となり、一枚で構成したドアと同じとなり室内空間が小さくなっていた。
【0029】
そこで、本発明は図10(a)に示す第一実施例のように、ヒンジ24のヒンジプレート25を平面視杓状に構成して、その先端に枢支軸26を挿入するためのボス部25aを形成し、他端はボルト53・53・・・によってドアガラス50の端部に固定するようにしている。前記ボス部25aの中心はドアガラス50の厚み方向の中心線O1の延長上に位置させて、折れ曲がり時に両ドアのガラス50・50同士の間隔が変わらないようにしている。また、ドアガラス50・50の端部同士はゴム等の弾性体で構成したシール部材27で連結している。該シール部材27は前記ヒンジプレート25と反対側の外側を、ボス部25aを迂回して連結する構成としている。その外観は図9の如くとなる。そして、ヒンジ部以外の位置のシール部材27は図10(b)に示すように、中心線O1上で直線的に連結して、ドアを開閉して折れ曲がるときに、引っ張り力や圧縮力は殆どかからず、シール部材の寿命を長くすることができたのである。そして、ドアガラス50・50の端部を挟み込む部分のシール部材27内には平面視「コ」字状の芯金65を配置して補強し、組立時に接着剤なしで、ただ単に嵌め込むだけの簡単な作業で済むようにしている。
【0030】
また、ヒンジ24の第二実施例として、図11に示すように、ヒンジプレート25とシール部材27とを一体的に構成することも可能である。即ち、ヒンジプレート45を平面視U字状に構成し、該ヒンジプレート45の閉塞側の外中央にボス部45aを設け、これらの外表面をシール部材47で覆う構成とし、ヒンジプレート45の開放側をドアガラス50に挿入して、ボルト53・53で固定するのである。この実施例の場合もボス部45aの中心はドアガラス50の厚み方向の中心線O1の延長線上に位置させている。但し、ヒンジプレート45とドアガラス50の間に接着剤を塗布して接着効果を高める構成とすることも、接着剤のみでボルト53をなくす構成とすることもできる。また、ヒンジプレート45とシール部材47の代わりに芯金入のシール部材で構成することもできる。
【0031】
また、図12に示す第三実施例のように、ドアフレーム60にシール部材61を介してドアガラス50を接着剤等によって固着し、該ドアフレーム60よりヒンジプレート62を突設し、後ドア15aと前ドア15bのヒンジプレート62・62を枢支軸63によって枢支している。そして、該枢支軸63の中心がドアガラス50の厚み方向の中心線O1の延長線上に位置するように、ヒンジプレート62を「へ」字状に曲げて、先端にボス部62aを構成している。そして、両ドアガラス50・50の端部間にシール部材64を介装し、該シール部材64はドアガラス50を取り付ける部分を平面図断面視「コ」字状に構成して、内部に芯金65を内蔵して一体的に構成している。
【0032】
また、図13に示す第四実施例のように、ドアフレーム60よりステー60aを突設し、該ステー60aとドアガラス50とヒンジプレート66とシール部材67をボルト69によって一体的に固定している。該シール部材67はヒンジプレート66全体を包み込む構成としている。また、ヒンジプレート66・66を枢支軸63によって枢支し、該枢支軸63の中心がドアガラス50の厚み方向の中心線O1の延長線上に位置するように、ヒンジプレート66の先端にボス部66aを構成している。
【0033】
このように構成することによって、ドア15の開閉時において、中折れ位置となるヒンジ24の回転中心とドアガラス50の回動中心が一致しているので、シール部材27に無理な力がかからず、寿命を伸ばせるとともに、従来では約180度より一側へしか回動できなかったが、両側に回動することが可能となり、大きな屈曲角が得られるのである。
【0034】
また、キャビン8のルーフ8aの側部端面8bはドアガラス50の上端の外面よりも外方向に張り出して設けられ、雨水の浸入を防止している。即ち、ドア15の上端とキャビン8との位置関係は、従来図15に示すように、外観の向上と室内空間の拡大のために、側部端面8b’とドアガラス50の上端の外面は略一致するように構成されている。しかし、側部端面8b’とドアガラス50の間の隙間にはシール部材29’が配置されるが、雨滴が直接シール部材の一部に当たり、または、溜まるため、その部分が早く劣化してしまうとともに、雨水が付着したままドア15を開閉するために、雨水が室内側へ垂れたり、流れ込んだりしていた。
【0035】
そこで本発明では、図14に示すように、キャビンフレーム30の外側面に張出プレート31を固設し、該張出プレート31を水平方向外側へ突設して、該張出プレート31の外端にルーフ8aの側部端面8bを固設している。または、ルーフ8aを水平内方向へ延設してキャビンフレーム30に固設する。そして、前記シール17を延長して、または、別のシール29をドア15の周囲に固着して、キャビンフレーム30または張出プレート31の内部側にシール部材29が当たるように構成する。そして、該シール部材29(またはドアガラス50)の外面と、キャビン8の側部端面8bとの間に長さL3だけ外側へ張り出すように構成しているのである。このように構成することによって、外側への張りだし部分によって側部端面8bが庇の如くなり、雨水が直接シール部材29に当たることがなくなり、シール部材29の劣化が軽減され、雨水の浸入も防げるのである。また、バックホーは高速で走行することはないので、風きり音等が発生することもないのである。
【0036】
また、図16に示すように、キャビン8の側部ガラス19Aや後部ガラス19Bの取付部においても、側部端面8bが側部ガラス19Aや後部ガラス19Bよりも外側へ張り出すように構成している。そして、シール部材23は接着剤でキャビンフレーム30及びガラスに固定しており、シール部材23の下部には堰の役目を果たすプレート71がキャビンフレーム30に固設され、シール部材23の取付を容易とし、接着剤が垂れ落ちることも防止している。
【0037】
また、フロントガラスは上ガラスと下ガラス35に分割して構成され、上ガラスは上方に収納可能に、下ガラス35は着脱可能に構成されており、夏季等暑い時期において、開放して作業を行うときや下部手前作業位置が見難い場合等では、該フロントガラスを外して、風通しをよくし、視認性を向上できるようにしている。この外した下ガラス35はキャビン8内に立てかけておくと、倒れたり、移動の時に蹴ったりして割るおそれがあるので、本発明では、下ガラス35の取付部の下方に収納空間を形成して、下ガラス35を収納してゴムベルト等の弾性体からなる帯状部材36で固定できるようにしている。
【0038】
即ち、図17、図18に示すように、下ガラス35の下片を支持して取り付けるためのキャビンの前カバー37は下ガラス35を収納できる広さの凹状に構成して、前カバー37の内面側には適宜間隔を開けてゴム等の緩衝材39を配置し、収納時に下ガラス35が直接前カバー37に当たらないようにしている。そして、前カバー37内側の両側に下ガラス35より幅広の帯状部材36の両端を固定する。
【0039】
このような構成において、下ガラス35を外して、図18(a)、図18(b)に示すように、帯状部材36を引っ張って収納する空間を形成して、下ガラス35を外してその状態のまま手前下方へ降ろせば帯状部材36内に収納され、収納後は図17、図18(c)に示すように、該帯状部材36自身が有する弾性力によって下ガラス35を前カバー37側に引っ張り緩衝材39に押し付けて固定するのである。
【0040】
また、下ガラス35を収納して固定する他の実施例として図19、図20に示すように、下ガラス35をレール状に構成した左右のガイド体40・40に差し込んで、該ガイド体40を前カバー37に固定するように構成することもできる。即ち、ガイド体40は平面視コ字状のレール状に構成されて、左右のガイド体40・40を下ガラス35の幅に合わせた位置で連結軸46で連結して、ステップまたは前カバー37の下部に枢支して一体的に前後回動できるように配置し、該ガイド体40の上部にはロック部材41が配置されて、該ロック部材41を前カバー37に設けた係止部に係止固定してロックできるようにしている。このロック構成の一実施例として、ガイド体40の上部に筒体42を前後水平方向に固定して、該筒体42にロックレバー43を挿入し、該ロックレバー43の先端にフック部43aを設け、該フック部43aの側方の前カバー37に係止体44を設け、ロックレバー43を回動することによりフック部43aを係止体44に係合させてロックできるようにしている。但し、係止体44は係合孔とすることも可能であり、ロックレバー43はバネ付勢してヤック位置に維持する構成とすることもできる。
【0041】
即ち、作業機取付部を除く旋回フレームを略円形に構成して、その直径をクローラ式走行装置1の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビンにおいて、該キャビン8の後部を、平面視で略旋回フレーム2の半径Rの外周形状に沿った曲面状に形成し、更にキャビン8の少なくとも片側の側面を多角形状に構成し、前記多角形状に構成したキャビン8の側面の隣接する二面を、前後に分割して間をヒンジ24によって枢支し、開閉時に二つ折れとなり開閉できるように構成した中折れのドア15とし、該中折れのドア15を、後ドア15aと前ドア15bにより構成し、該後ドア15aの幅L1と、前ドア15bの幅L2を同じ長さ(L1=L2)に構成し、該中折れのドア15は全開したときに、前記旋回フレーム2の半径R内に納まるように、該ドア15の後部位置のキャビン8の側面に、前記後方に向けて回動して開けた状態の中折れのドア15が納まる、円弧状の窪んだ空間18を構成し、該円弧状の窪んだ空間18はキャビン8のルーフ8aの下方に形成したので、室内空間を従来よりも大きくできて、居住性を向上でき、レバー操作するときも空間に余裕ができて、操作性も向上できたのである。そして、作業時の安全性も向上できて、ひいては海外のキャビン規格にも適合できるようになったのである。
【0042】
また、前記旋回フレーム上の作業機取付部を除く略全面をキャビンで覆ったので、掘削作業の邪魔にならず、室内空間を大きくすることができて、小さなバックホーであっても圧迫感がなく操縦操作することが可能となり、居住性を向上できたのである。
【0043】
また、前記旋回フレームの作業機取付部と、少なくとも片側面のタンクカバー部を除く略全面上をキャビンで覆ったので、室内空間を拡大しながらも、タンクカバーは外側から開けることができてメンテナンスを損なうことがなく、操縦性や作業性を向上できたのである。
【0044】
また、前記旋回フレーム上の一側上に燃料タンクを配置し、該燃料タンク上を跨いでキャビンを載置し、該燃料タンクの側面をキャビンの側面の一部を構成するようにしたので、キャビンは燃料タンクの部分だけ省くことができて、キャビンの室内空間を大きくしながらも、材料費を低減して、メンテナンス性も悪化させることなく、居住性を向上できたのである。
【0045】
また、前記キャビンの後部をエンジンルームの後部外周端上に位置するように構成したので、キャビンとエンジンルームを覆うボンネットが略一直線上にあり、凹凸が小さく、外観を向上できたのである。また、キャビンは旋回フレーム内側に位置して、旋回時に他の障害物に接触することもないのである。
【0046】
また、前記キャビン側壁を内側へ傾斜させたので、外観上、頭部が大きく見えることなく安定した外観形状となり、旋回時に他の障害物に接触することもないのである。
【0047】
また、前記キャビンのルーフの外周端を、窓ガラスの外側面よりも外側に張り出して構成したので、雨滴等がガラスのシール部材に直接当たることがなくなり、シール部材の寿命を長くすることが可能となり、雨水の浸入も長期的に防止することが可能となったのである。
【0048】
また、前記多角形状に構成したキャビン側面を、隣接する二面を中折れドアとし、該二面のドアの長さを略同じ寸法としたので、室内空間を拡大することが可能となり、居住性を向上し、更に、操作レバー周囲の空間も広くなって、操縦性も向上できたのである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】バックホーの全体側面図である。
【図2】同じく後面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】キャビンの他の実施例を示す平面図である。
【図5】ドアの他の実施例を示す側面図である。
【図6】同じく他の実施例を示す側面図である。
【図7】ガラスの取付を示す斜視図である。
【図8】従来のドアを示す平面図である。
【図9】ドアの側面図である。
【図10】中折れドアのヒンジの第一実施例を示し、(a)は図9におけるA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図11】ヒンジの第二実施例を示す平面断面図である。
【図12】ヒンジの第三実施例を示す平面断面図である。
【図13】ヒンジの第四実施例を示す平面断面図である。
【図14】ドア上部のキャビンルーフとの位置関係を示す断面図である。
【図15】同じく従来の断面図である。
【図16】後部ガラスとキャビンルーフとの位置関係を示す断面図である。
【図17】フロントガラスの収納状態を示す一部斜視図である。
【図18】フロントガラスの収納手順を示す側面図である。
【図19】フロントガラス収納構成の他の実施例を示す斜視図である。
【図20】同じくロック部を示す斜視図である。
【図21】従来のドアヒンジを示す断面図である。
【図22】従来のドアヒンジを示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 クローラ式走行装置
2 旋回フレーム
7 掘削作業機
8 キャビン
8a ルーフ
8b 側部端面
15 ドア
16 作業機取付部
17 タンクカバー
19 ガラス
24 ヒンジ
36 帯状部材
【技術分野】
【0001】
本発明はバックホーのキャビンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から操縦部をキャビンで覆い、雨天や寒冷地や夏季においても快適に作業ができるようにしたキャビン仕様のバックホーは公知となっており、該キャビンの側面には、キャビン内に出入りするためのドアが設けられ、該ドアは後側の縦軸を支点として開閉できるようにしたり、開放時のドアの突出を抑えるために引き戸式や中折れ式のドアとすることも行われている。そして、これらドアが平面視において旋回フレーム内に納まるように構成して、旋回時に走行装置の幅内に納まるようにした技術も公知となっている。例えば、実開平6−85455や特開平11−100864や特許第2657541号の技術である。
【特許文献1】実開平6−85455号公報
【特許文献2】特開平11−100864号公報
【特許文献3】特許第2657541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記のようなドアの構成であると、エアコンが必要な程暑くないときや、作業時に出入りが頻繁な時等では、ドアを開放したまま作業を行うことがあるが、開放時においてドアの外端は旋回フレームよりはみ出し、走行装置の幅を越えてしまい、旋回作業時において障害物に当たる可能性があった。特許第2657541号はドア開放時も走行幅内の旋回径に納まっている。しかしながら「く」字状にキャビン側壁を張り出しているため、左側レバー操作がやり難くなっていた。即ち、限られた旋回台内で最大の居住スペースと操作性を確保して、ドア開放時にも略旋回径内に納めるのが課題となる。また、中折れ式のドアとした場合、従来では前後一側(前側)のドアの幅が他側(後側)のドアの幅よりも広くしていたので、円形状とした旋回フレームの円内にドアを配置すると、室内空間が小さくなっていたのである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
【0005】
請求項1においては、作業機取付部を除く旋回フレームを略円形に構成して、その直径を走行装置の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビンにおいて、該キャビンに設けるドアを中折れ式として、中折れ部分に配置するヒンジの枢支軸中心を、両ドアのガラス厚さ中心延長線上に配置したものである。
【0006】
請求項2においては、前記両ドアのガラス端をシール部材で連結し、ヒンジは迂回させたものである。
【0007】
請求項3においては、バックホーのキャビンにおいて、キャビンフレームのガラスを取り付ける取付縁部に孔またはボスを設けたものである。
【0008】
請求項4においては、バックホーのキャビンのフロント下ガラスを着脱可能とした構成において、キャビン内部にフロントガラスの幅よりも長い帯状部材を水平方向に張り、前記フロントガラスを帯状部材で緊張して収納するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1の如く、作業機取付部を除く旋回フレームを略円形に構成して、その直径を走行装置の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビンにおいて、該キャビンに設けるドアを中折れ式として、中折れ部分に配置するヒンジの枢支軸中心を、両ドアのガラス厚さ中心延長線上に配置したので、ドアの開閉時に折れ曲がるときに、両ドアのガラス同士の間隔が変わらず、中折れ部分に配置するヒンジ部を除くシール部材は、ドアの開閉時に引っ張り力や圧縮力は殆どかからず、シール部材の寿命を長くすることができたのである。また、ドアの折れ角度も大きくすることが可能となったのである。
【0010】
請求項2の如く、前記両ドアのガラス端をシール部材で連結し、ヒンジは迂回させたので、ヒンジとシール部材が別々に回動と伸縮が行われ、互いに無理な力がかかることがなく、シールの寿命を伸ばし、また、シール部材のガラス挟み込み部分に芯金を入れることによって、接着することなく、嵌合するだけの簡単な操作で組立ができるようになったのである。
【0011】
請求項3の如く、バックホーのキャビンにおいて、キャビンフレームのガラスを取り付ける取付縁部に孔またはボスを設けたので、ガラスが破損しても、合成樹脂等で構成した代替ガラスに前記孔の位置に合わせて孔を開けておけば、容易に代替ガラスを嵌め込んで、孔をボルトやピン等で容易に固定することが可能となり、接着剤が乾くまでの時間が不要で、修理処置が速やかに行えるようになり、作業の再開を早くできるようになった。
【0012】
請求項4の如く、バックホーのキャビンのフロント下ガラスを着脱可能とした構成において、キャビン内部にフロントガラスの幅よりも長い帯状部材を水平方向に張り、前記フロントガラスを帯状部材で緊張して収納するようにしたので、外したフロントガラスは下方へ降ろすだけの簡単な操作で収納できるようになり、上方や側方等移動距離が短くなり、取り外し時においてフロントガラスが破損することを減少できたのである。また、フロントガラスの固定構造が簡単となり、安価に構成できたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1はバックホーの全体側面図、図2は同じく後面図、図3は同じく平面図、図4はキャビンの他の実施例を示す平面図、図5はドアの他の実施例を示す側面図、図6は同じく他の実施例を示す側面図、図7はガラスの取付を示す斜視図、図8は従来のドアを示す平面図、図9はドアの側面図、図10は中折れドアのヒンジの第一実施例を示し、(a)は図9におけるA−A断面図、(b)はB−B断面図、図11はヒンジの第二実施例を示す平面断面図、図12はヒンジの第三実施例を示す平面断面図である。
【0015】
図13はヒンジの第四実施例を示す平面断面図、図14はドア上部のキャビンルーフとの位置関係を示す断面図、図15は同じく従来の断面図、図16は後部ガラスとキャビンルーフとの位置関係を示す断面図である。
【0016】
図17はフロントガラスの収納状態を示す一部斜視図、図18はフロントガラスの収納手順を示す側面図、図19はフロントガラス収納構成の他の実施例を示す斜視図、図20は同じくロック部を示す斜視図、図21、図22は従来のドアヒンジを示す断面図である。
【0017】
まず、図1、図2、図3においてバックホーの全体構成から説明する。左右一対のクローラを装備したクローラ式走行装置1の上部に、旋回可能に旋回フレーム(旋回台)2を取り付け、該旋回フレーム2の後部は平面視円状として、旋回時にクローラ式走行装置1の略幅内に納まるように構成した、つまり、旋回フレームの直径を走行装置の略幅内に構成した、所謂、後方小旋回型のバックホーとしている。そして、クローラ式走行装置1の前方に排土板3を突出し、前記旋回フレーム2の後部上にエンジンやバッテリ等を配置してボンネット14によって覆ってエンジンルームを構成し、旋回フレーム2の右側上には燃料タンクを載置してタンクカバー17によって覆っている。該旋回フレーム2の前後略中央上に座席シート13を配置して、該座席シート13やその前部に配置する操向や作業機の操作を行う操作レバー等をキャビン8によって覆っている。
【0018】
前記旋回フレーム2の前部左右略中央には、作業機取付部16が設けられて掘削作業機7の基部を装着している。該掘削作業機7は、バケット4とアーム5とブーム6とこれらを回動駆動するシリンダ等よりなり、該ブーム6の基部は前記作業機取付部16に左右回動自在に支持されたブームブラケット12に前後回動自在に枢支され、該ブーム6とブームブラケット12の間にブームシリンダ11を介装してブーム6を上下に回動可能としている。該ブーム6と該ブーム6の先端に回動自在に取り付けられたアーム5との間にはアームシリンダ10が介装され、アーム5を前後に回動可能としている。該アーム5と該アーム5先端に枢支したバケット4の間にはバケットシリンダ9が介装されて、バケット4を掬い込み回動可能としている。
【0019】
次に、本発明のキャビン8の構成について図1乃至図4より説明する。前記旋回フレーム2は平面視で円状として、前面の作業取付部16を設ける部分を切り欠いた形状としている。そして、この旋回フレーム2の上に平面視で納まるようにキャビン8が載置される。つまり、図3に示すように、キャビン8の右側においてタンクカバー17の一部(約半分)を露出してその他の前面を覆うように配置し、言い換えれば、キャビン8の右側はタンクを跨いだ側面とし、該キャビン8の後部はエンジンルームの後部、つまり、ボンネット14の後部上に載置して旋回フレーム2の外周形状に沿った曲面状に形成し、右側面及び前面を平面として、平面視で一部円状その他を多角形状に構成している。また、図4に示すように、作業機取付部16を除く旋回フレーム2の上全面を覆うようにキャビン8を配置し、前面以外は平面視で円状に構成することもできる。
【0020】
そして、図2、図3に示すキャビン8の場合、露出した部分のタンクカバー17は外上方向に開閉できるようにしており、外部から作動油タンク、燃料タンク等をメンテナンスできるようにしている。また、ボンネット14の後面も後方へ開閉できるようにしてメンテナンスできるようにしている。また、旋回フレーム2の全面を覆うタイプの場合、タンクカバー17の外周上にキャビン8が乗り、進行方向右側にもドア15Rが設けられて、タンクカバー17を水平方向に回動して開けたり、キャビン8内で開けたりできるようにしている。こうしてキャビン8の前面と、左側のドア15と、右側面は平面とし、キャビン8の天井と側面の一部と支持フレーム以外はガラス(窓ガラス)によって覆い、できるだけ広い視界となるように構成し、旋回フレーム2の上方をできるだけ広く覆うようにして、室内空間を大きくして居住性、操作性を向上している。
【0021】
前記キャビン8内は進行方向左寄りに座席シート13や操作レバー等を配置し、該座席シート13後下方から右側をエンジンルームとしてボンネット14にて覆っており、キャビン8の後部は図1に示すように、ボンネット14の上後部より若干後方に張り出して載置されている。但し、旋回フレーム2よりはみ出すことはない。
【0022】
そして、キャビン8の前面及び後面および側面の外周端は旋回フレーム2よりも内側に配置している。そして、図2に示すように、前面を除く側面は接地面に対して垂直ではなく、上方が機体中心側に角度θ傾斜するように構成されている。この傾斜角θは大き過ぎると室内空間を小さくしてしまい圧迫感が生じてしまい、操作性も悪くなってしまい、また、垂直であると、上方が大きく不安定に見えてしまい外観が悪く、狭い現場での作業において、地面が傾斜していると、旋回しながら作業するときに、高い位置の障害物にキャビン8の上部が当たり損傷が及ぶことがあった。そこで、本発明ではその傾斜角θは約1度前後の角度とし、狭い現場での作業性を向上し、外観も向上して安定した外観としている。但し、図3、図4に示すように、キャビン8が旋回フレーム2上において、タンクカバー17の一部を露出したり、全面を覆う構成とした場合、ドア15は図1及び図3に示すように、後ドア15aと前ドア15bの大きさが略同じであっても、図5に示すように、前ドア15bの方が大きくても、また、図6に示すように、一枚のドアで構成しても構わない。
【0023】
次に、キャビン8を構成するキャビンフレーム20にガラス(窓ガラス)19を取り付ける構成を図7より説明する。キャビンフレーム20にはドア15以外に視界を確保しガラスを嵌め込むための開口20A・20B・・・が開口され、該開口20A・20B・・・の周囲にはそれぞれガラス19A・19B・・・を取り付けるための取付縁部20aが形成されている。その一つについて説明すると、取付縁部20aには適宜間隔をあけてボスまたは孔20c・20c・・・が設けられている。該孔20c・20c・・・はシール21・21・・・が貼られて孔が閉じられ、その上及び取付縁部20aに接着剤を塗布してガラス19A・19B・・・がシール部材23を介して接着固定される。前記シール21は接着剤が孔20cに入り込んで孔20cを閉じたり、ネジ山を埋めたりしないようにしている。また、前記孔20cにはネジ孔加工(タップ)が施されたり、または、ボスが埋め込まれたりしている。
【0024】
そして、作業時や走行時等万一の事故でガラスが破損すると、その部分に代替部品22を取り付けるのである。この代替部品22は比較的入手し易い部品とし、例えば、透明アクリル板等で構成し、該代替部品22A・22B・・・の周囲には前記孔20c・20c・・・の位置に合わせて孔22a・22a・・・を開口している。こうして、代替部品22を取り付けるときにはその部分のガラスを除いて、シール21・21・・・も外し、孔20cと孔22aにネジまたはボルトを挿入して代替部品22を固定するのである。孔20cの代わりにボスを設けた場合にはピン等によって固定する。このように、比較的安価で軽量な合成樹脂等で構成した代替部品を予め用意しておけば、事故が起こったときにガラスの代わりに代替部品を取り付けることによって、修理が安価で簡単にできるようになる。また、サービスセンターが近くになくても代替部品は簡単に取り付けることができるので、速やかに作業を再開できるのである。また、接着剤が乾くまで待ったり、純正部品が到着するまで待つこともなくなり、対処が早くできるのである。
【0025】
次に、ドアの構成を説明する。キャビン8に設けるドア15は図1、図3に示すように、掘削作業機7を設けた側を前方として(進行方向)左側に設けられ、該ドア15は前後に分割して両者をヒンジ24・24によって枢支して、開閉時に二つ折れ(中折れ)となり開閉できるように構成している。従来のドアは図8に示すように、後ドア15a’の幅L1’は把手57を設けた前ドア15b’の幅L2’よりも小さく(L1’<L2’)構成している。このように構成してあると、座席シート13側方の円弧部は前ドア15b’によって削られることになり、空間を狭めてしまう。
【0026】
そこで、本発明では図3に示すように、後ドア15aと前ドア15bの幅L1・L2を同じ長さ(L1=L2)とすることにより、ドア15は中折れとなって平面視でキャビン8は多角形状となり、室内空間を大きくし、オペレーター側方の空間を大きくして操作性を向上しているのである。そして、ドア15は側面形状に沿うように全開したときに、旋回フレーム2の半径R内に納まるように、ドア15の後部位置の側面には、開けたドア15が納まる円弧状の窪んだ空間18を形成している。こうしてドア15を全開したときに、この円弧状の空間18内にドア15を収納することができ、作業時にドア15を開けたまま旋回するときに、障害物等が近くにあっても当たって損傷が及ぶことがなく、ドア15を気にすることなく、旋回できるのである。勿論、ドア15を閉じたときも旋回フレーム2内に位置する。なお、図示しないがドア15を開けた状態で固定するためのキャッチがキャビン側に設けられている。
【0027】
また、前記ドア15を側面形状に沿うように開けた状態とすることができるように、後ドア15aと前ドア15bの間にはヒンジが設けられており、従来のドアガラス50・50の連結構成は図21に示すように、ドアガラス50・50の端面にシール用のゴム等でできた弾性体51を介装し、ヒンジ24’はヒンジプレート52・52がドアガラス50・50にボルト53・53・・・によって固定され、該ヒンジプレート52・52間は枢支軸54によって枢支されている。そして、前記ヒンジプレート52・52の内面から内方にステー55・55を突設して、一方のステー55にストッパー56を固定し、他方のステー55を該ストッパー56の当て板としている。また、弾性体51は図22のように構成され、弾性体51を左右に分割して、一方の弾性体51aは他方の弾性体51bに当接させ、開閉時も隙間ができないように構成している。
【0028】
このように構成して、ドア15’を開けると、ドア15’は外方向に開いて後ドア15a’・前ドア15b’は内方向に折り曲げられる。しかし、このような構成であると、図21の場合、前記枢支軸54がドアガラス50・50のの厚み方向の中心の延長線上に位置していないために、ドア15’を開閉する毎に弾性体51が曲げと伸縮を繰り返されることになり、寿命が短くなっていた。また、図22の構成では弾性体51が劣化してくると、隙間が生じ、また、当接部にゴミ等が入ると隙間ができていた。また、ドア15’を全開したときのヒンジ24’の外方向への突出が大きく、誤って旋回してドア15’を傷めることがあった。また、ドア15’を閉じた状態では、分割ドア15a’・15b’は直線状態となり、一枚で構成したドアと同じとなり室内空間が小さくなっていた。
【0029】
そこで、本発明は図10(a)に示す第一実施例のように、ヒンジ24のヒンジプレート25を平面視杓状に構成して、その先端に枢支軸26を挿入するためのボス部25aを形成し、他端はボルト53・53・・・によってドアガラス50の端部に固定するようにしている。前記ボス部25aの中心はドアガラス50の厚み方向の中心線O1の延長上に位置させて、折れ曲がり時に両ドアのガラス50・50同士の間隔が変わらないようにしている。また、ドアガラス50・50の端部同士はゴム等の弾性体で構成したシール部材27で連結している。該シール部材27は前記ヒンジプレート25と反対側の外側を、ボス部25aを迂回して連結する構成としている。その外観は図9の如くとなる。そして、ヒンジ部以外の位置のシール部材27は図10(b)に示すように、中心線O1上で直線的に連結して、ドアを開閉して折れ曲がるときに、引っ張り力や圧縮力は殆どかからず、シール部材の寿命を長くすることができたのである。そして、ドアガラス50・50の端部を挟み込む部分のシール部材27内には平面視「コ」字状の芯金65を配置して補強し、組立時に接着剤なしで、ただ単に嵌め込むだけの簡単な作業で済むようにしている。
【0030】
また、ヒンジ24の第二実施例として、図11に示すように、ヒンジプレート25とシール部材27とを一体的に構成することも可能である。即ち、ヒンジプレート45を平面視U字状に構成し、該ヒンジプレート45の閉塞側の外中央にボス部45aを設け、これらの外表面をシール部材47で覆う構成とし、ヒンジプレート45の開放側をドアガラス50に挿入して、ボルト53・53で固定するのである。この実施例の場合もボス部45aの中心はドアガラス50の厚み方向の中心線O1の延長線上に位置させている。但し、ヒンジプレート45とドアガラス50の間に接着剤を塗布して接着効果を高める構成とすることも、接着剤のみでボルト53をなくす構成とすることもできる。また、ヒンジプレート45とシール部材47の代わりに芯金入のシール部材で構成することもできる。
【0031】
また、図12に示す第三実施例のように、ドアフレーム60にシール部材61を介してドアガラス50を接着剤等によって固着し、該ドアフレーム60よりヒンジプレート62を突設し、後ドア15aと前ドア15bのヒンジプレート62・62を枢支軸63によって枢支している。そして、該枢支軸63の中心がドアガラス50の厚み方向の中心線O1の延長線上に位置するように、ヒンジプレート62を「へ」字状に曲げて、先端にボス部62aを構成している。そして、両ドアガラス50・50の端部間にシール部材64を介装し、該シール部材64はドアガラス50を取り付ける部分を平面図断面視「コ」字状に構成して、内部に芯金65を内蔵して一体的に構成している。
【0032】
また、図13に示す第四実施例のように、ドアフレーム60よりステー60aを突設し、該ステー60aとドアガラス50とヒンジプレート66とシール部材67をボルト69によって一体的に固定している。該シール部材67はヒンジプレート66全体を包み込む構成としている。また、ヒンジプレート66・66を枢支軸63によって枢支し、該枢支軸63の中心がドアガラス50の厚み方向の中心線O1の延長線上に位置するように、ヒンジプレート66の先端にボス部66aを構成している。
【0033】
このように構成することによって、ドア15の開閉時において、中折れ位置となるヒンジ24の回転中心とドアガラス50の回動中心が一致しているので、シール部材27に無理な力がかからず、寿命を伸ばせるとともに、従来では約180度より一側へしか回動できなかったが、両側に回動することが可能となり、大きな屈曲角が得られるのである。
【0034】
また、キャビン8のルーフ8aの側部端面8bはドアガラス50の上端の外面よりも外方向に張り出して設けられ、雨水の浸入を防止している。即ち、ドア15の上端とキャビン8との位置関係は、従来図15に示すように、外観の向上と室内空間の拡大のために、側部端面8b’とドアガラス50の上端の外面は略一致するように構成されている。しかし、側部端面8b’とドアガラス50の間の隙間にはシール部材29’が配置されるが、雨滴が直接シール部材の一部に当たり、または、溜まるため、その部分が早く劣化してしまうとともに、雨水が付着したままドア15を開閉するために、雨水が室内側へ垂れたり、流れ込んだりしていた。
【0035】
そこで本発明では、図14に示すように、キャビンフレーム30の外側面に張出プレート31を固設し、該張出プレート31を水平方向外側へ突設して、該張出プレート31の外端にルーフ8aの側部端面8bを固設している。または、ルーフ8aを水平内方向へ延設してキャビンフレーム30に固設する。そして、前記シール17を延長して、または、別のシール29をドア15の周囲に固着して、キャビンフレーム30または張出プレート31の内部側にシール部材29が当たるように構成する。そして、該シール部材29(またはドアガラス50)の外面と、キャビン8の側部端面8bとの間に長さL3だけ外側へ張り出すように構成しているのである。このように構成することによって、外側への張りだし部分によって側部端面8bが庇の如くなり、雨水が直接シール部材29に当たることがなくなり、シール部材29の劣化が軽減され、雨水の浸入も防げるのである。また、バックホーは高速で走行することはないので、風きり音等が発生することもないのである。
【0036】
また、図16に示すように、キャビン8の側部ガラス19Aや後部ガラス19Bの取付部においても、側部端面8bが側部ガラス19Aや後部ガラス19Bよりも外側へ張り出すように構成している。そして、シール部材23は接着剤でキャビンフレーム30及びガラスに固定しており、シール部材23の下部には堰の役目を果たすプレート71がキャビンフレーム30に固設され、シール部材23の取付を容易とし、接着剤が垂れ落ちることも防止している。
【0037】
また、フロントガラスは上ガラスと下ガラス35に分割して構成され、上ガラスは上方に収納可能に、下ガラス35は着脱可能に構成されており、夏季等暑い時期において、開放して作業を行うときや下部手前作業位置が見難い場合等では、該フロントガラスを外して、風通しをよくし、視認性を向上できるようにしている。この外した下ガラス35はキャビン8内に立てかけておくと、倒れたり、移動の時に蹴ったりして割るおそれがあるので、本発明では、下ガラス35の取付部の下方に収納空間を形成して、下ガラス35を収納してゴムベルト等の弾性体からなる帯状部材36で固定できるようにしている。
【0038】
即ち、図17、図18に示すように、下ガラス35の下片を支持して取り付けるためのキャビンの前カバー37は下ガラス35を収納できる広さの凹状に構成して、前カバー37の内面側には適宜間隔を開けてゴム等の緩衝材39を配置し、収納時に下ガラス35が直接前カバー37に当たらないようにしている。そして、前カバー37内側の両側に下ガラス35より幅広の帯状部材36の両端を固定する。
【0039】
このような構成において、下ガラス35を外して、図18(a)、図18(b)に示すように、帯状部材36を引っ張って収納する空間を形成して、下ガラス35を外してその状態のまま手前下方へ降ろせば帯状部材36内に収納され、収納後は図17、図18(c)に示すように、該帯状部材36自身が有する弾性力によって下ガラス35を前カバー37側に引っ張り緩衝材39に押し付けて固定するのである。
【0040】
また、下ガラス35を収納して固定する他の実施例として図19、図20に示すように、下ガラス35をレール状に構成した左右のガイド体40・40に差し込んで、該ガイド体40を前カバー37に固定するように構成することもできる。即ち、ガイド体40は平面視コ字状のレール状に構成されて、左右のガイド体40・40を下ガラス35の幅に合わせた位置で連結軸46で連結して、ステップまたは前カバー37の下部に枢支して一体的に前後回動できるように配置し、該ガイド体40の上部にはロック部材41が配置されて、該ロック部材41を前カバー37に設けた係止部に係止固定してロックできるようにしている。このロック構成の一実施例として、ガイド体40の上部に筒体42を前後水平方向に固定して、該筒体42にロックレバー43を挿入し、該ロックレバー43の先端にフック部43aを設け、該フック部43aの側方の前カバー37に係止体44を設け、ロックレバー43を回動することによりフック部43aを係止体44に係合させてロックできるようにしている。但し、係止体44は係合孔とすることも可能であり、ロックレバー43はバネ付勢してヤック位置に維持する構成とすることもできる。
【0041】
即ち、作業機取付部を除く旋回フレームを略円形に構成して、その直径をクローラ式走行装置1の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビンにおいて、該キャビン8の後部を、平面視で略旋回フレーム2の半径Rの外周形状に沿った曲面状に形成し、更にキャビン8の少なくとも片側の側面を多角形状に構成し、前記多角形状に構成したキャビン8の側面の隣接する二面を、前後に分割して間をヒンジ24によって枢支し、開閉時に二つ折れとなり開閉できるように構成した中折れのドア15とし、該中折れのドア15を、後ドア15aと前ドア15bにより構成し、該後ドア15aの幅L1と、前ドア15bの幅L2を同じ長さ(L1=L2)に構成し、該中折れのドア15は全開したときに、前記旋回フレーム2の半径R内に納まるように、該ドア15の後部位置のキャビン8の側面に、前記後方に向けて回動して開けた状態の中折れのドア15が納まる、円弧状の窪んだ空間18を構成し、該円弧状の窪んだ空間18はキャビン8のルーフ8aの下方に形成したので、室内空間を従来よりも大きくできて、居住性を向上でき、レバー操作するときも空間に余裕ができて、操作性も向上できたのである。そして、作業時の安全性も向上できて、ひいては海外のキャビン規格にも適合できるようになったのである。
【0042】
また、前記旋回フレーム上の作業機取付部を除く略全面をキャビンで覆ったので、掘削作業の邪魔にならず、室内空間を大きくすることができて、小さなバックホーであっても圧迫感がなく操縦操作することが可能となり、居住性を向上できたのである。
【0043】
また、前記旋回フレームの作業機取付部と、少なくとも片側面のタンクカバー部を除く略全面上をキャビンで覆ったので、室内空間を拡大しながらも、タンクカバーは外側から開けることができてメンテナンスを損なうことがなく、操縦性や作業性を向上できたのである。
【0044】
また、前記旋回フレーム上の一側上に燃料タンクを配置し、該燃料タンク上を跨いでキャビンを載置し、該燃料タンクの側面をキャビンの側面の一部を構成するようにしたので、キャビンは燃料タンクの部分だけ省くことができて、キャビンの室内空間を大きくしながらも、材料費を低減して、メンテナンス性も悪化させることなく、居住性を向上できたのである。
【0045】
また、前記キャビンの後部をエンジンルームの後部外周端上に位置するように構成したので、キャビンとエンジンルームを覆うボンネットが略一直線上にあり、凹凸が小さく、外観を向上できたのである。また、キャビンは旋回フレーム内側に位置して、旋回時に他の障害物に接触することもないのである。
【0046】
また、前記キャビン側壁を内側へ傾斜させたので、外観上、頭部が大きく見えることなく安定した外観形状となり、旋回時に他の障害物に接触することもないのである。
【0047】
また、前記キャビンのルーフの外周端を、窓ガラスの外側面よりも外側に張り出して構成したので、雨滴等がガラスのシール部材に直接当たることがなくなり、シール部材の寿命を長くすることが可能となり、雨水の浸入も長期的に防止することが可能となったのである。
【0048】
また、前記多角形状に構成したキャビン側面を、隣接する二面を中折れドアとし、該二面のドアの長さを略同じ寸法としたので、室内空間を拡大することが可能となり、居住性を向上し、更に、操作レバー周囲の空間も広くなって、操縦性も向上できたのである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】バックホーの全体側面図である。
【図2】同じく後面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】キャビンの他の実施例を示す平面図である。
【図5】ドアの他の実施例を示す側面図である。
【図6】同じく他の実施例を示す側面図である。
【図7】ガラスの取付を示す斜視図である。
【図8】従来のドアを示す平面図である。
【図9】ドアの側面図である。
【図10】中折れドアのヒンジの第一実施例を示し、(a)は図9におけるA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図11】ヒンジの第二実施例を示す平面断面図である。
【図12】ヒンジの第三実施例を示す平面断面図である。
【図13】ヒンジの第四実施例を示す平面断面図である。
【図14】ドア上部のキャビンルーフとの位置関係を示す断面図である。
【図15】同じく従来の断面図である。
【図16】後部ガラスとキャビンルーフとの位置関係を示す断面図である。
【図17】フロントガラスの収納状態を示す一部斜視図である。
【図18】フロントガラスの収納手順を示す側面図である。
【図19】フロントガラス収納構成の他の実施例を示す斜視図である。
【図20】同じくロック部を示す斜視図である。
【図21】従来のドアヒンジを示す断面図である。
【図22】従来のドアヒンジを示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 クローラ式走行装置
2 旋回フレーム
7 掘削作業機
8 キャビン
8a ルーフ
8b 側部端面
15 ドア
16 作業機取付部
17 タンクカバー
19 ガラス
24 ヒンジ
36 帯状部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機取付部を除く旋回フレームを略円形に構成して、その直径を走行装置の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビンにおいて、該キャビンに設けるドアを中折れ式として、中折れ部分に配置するヒンジの枢支軸中心を、両ドアのガラス厚さ中心延長線上に配置したことを特徴とするバックホーのキャビン。
【請求項2】
請求項1記載のバックホーのキャビンにおいて、前記両ドアのガラス端をシール部材で連結し、ヒンジは迂回させたことを特徴とするバックホーのキャビン。
【請求項3】
請求項1記載のバックホーのキャビンにおいて、前記キャビンにおいて、キャビンフレームのガラスを取り付ける取付縁部に孔またはボスを設けたことを特徴とするバックホーのキャビン。
【請求項4】
請求項1記載のバックホーのキャビンにおいて、前記キャビンのフロント下ガラスを着脱可能とし、キャビン内部にフロントガラスの幅よりも長い帯状部材を水平方向に張り、前記フロントガラスを帯状部材で緊張して収納するようにしたことを特徴とするバックホーのキャビン。
【請求項1】
作業機取付部を除く旋回フレームを略円形に構成して、その直径を走行装置の略幅内に構成した後方小旋回型バックホーのキャビンにおいて、該キャビンに設けるドアを中折れ式として、中折れ部分に配置するヒンジの枢支軸中心を、両ドアのガラス厚さ中心延長線上に配置したことを特徴とするバックホーのキャビン。
【請求項2】
請求項1記載のバックホーのキャビンにおいて、前記両ドアのガラス端をシール部材で連結し、ヒンジは迂回させたことを特徴とするバックホーのキャビン。
【請求項3】
請求項1記載のバックホーのキャビンにおいて、前記キャビンにおいて、キャビンフレームのガラスを取り付ける取付縁部に孔またはボスを設けたことを特徴とするバックホーのキャビン。
【請求項4】
請求項1記載のバックホーのキャビンにおいて、前記キャビンのフロント下ガラスを着脱可能とし、キャビン内部にフロントガラスの幅よりも長い帯状部材を水平方向に張り、前記フロントガラスを帯状部材で緊張して収納するようにしたことを特徴とするバックホーのキャビン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−106606(P2008−106606A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298676(P2007−298676)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【分割の表示】特願2000−10444(P2000−10444)の分割
【原出願日】平成12年1月19日(2000.1.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【分割の表示】特願2000−10444(P2000−10444)の分割
【原出願日】平成12年1月19日(2000.1.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
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