説明

バッグ及びバッグ用保形具

【課題】バック本体内でバッグ用保形具の折り畳み及び組み立てを迅速・容易に行う。
【解決手段】可撓性又は柔軟性を備えたバック本体内を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持する折り畳み可能なバッグ用保形具Aを構成するに、バック本体の底部内面に対応する底面保形部材3の周縁部に、バック本体の各側部内面に対応する側面保形部材4,5を起伏自在に取付け、底面保形部材3の周縁方向で隣接する各々の両側面保形部材4,5の外面にわたって、一方の側面保形部材5の隣接側端面5aを他方の側面保形部材4の内面に当て付けた係止状態においては、一方の側面保形部材5の底面保形部材3側への倒れ込みを引っ張り状態で阻止し、且つ、一方の側面保形部材5の隣接側端面5aを他方の側面保形部材4の内面の外方に離脱させた係止解除状態においては、他方の側面保形部材4の底面保形部材3側への倒れ込みを許容する屈曲可能な連結体8を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球用ヘルメットやキャッチャー防具セット等を収納する可撓性又は柔軟性を備えたバック本体内に、当該バック本体を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持する折り畳み可能なバッグ用保形具を設けてあるバッグ及びバッグ用保形具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバッグでは、前記バッグ用保形具を構成するに、バック本体の底部内面に対応する長方板状に形成された底面保形部材の周縁部に、バック本体の各側部内面に対応する長方板状に形成された一対の長辺側の側面保形部材及び略正方板状に構成された一対の短辺側の側面保形部材をそれぞれ折り目を介して折り畳み可能に連設するとともに、前記長辺側の各側面保形部材の外面における左右両側部には、それに隣接する短辺側の側面保形部材の外面に回り込み可能で、且つ、先端側に雄ホックを備えた可撓性の接続片を水平姿勢で取付け、前記短辺側の側面保形部材の外面における左右両側部には、水平方向に略一直線状に伸展されている接続片の雄ホックに係合可能な雌ホックを取付けていた(特許文献1参照)。
【0003】
そして、起立姿勢にある長辺側の各側面保形部材に設けられている接続片の雄ホックを起立姿勢にある短辺側の側面保形部材に設けられている雌ホックに係合することにより、短辺側の側面保形部材の隣接側端面を長辺側の側面保形部材の内面に当接させた状態で固定連結していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭56−4437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のバッグ用保形具では、前記長辺側の各側面保形部材に設けられている接続片の雄ホックを短辺側の側面保形部材に設けられている雌ホックに係合させた状態では、前記短辺側の側面保形部材の隣接側端面が長辺側の側面保形部材の内面に当接した融通のない状態で強固に固定連結されるため、このバッグ用保形具を折り畳む場合、少なくともバック本体の開口部をバッグ用保形具のホック取付け位置よりも下方に押下げ、対外的に露出した状態で接続片の雄ホックを雌ホックから垂直方向に係合解除操作しなければならず、バッグ用保形具の折り畳み操作が煩雑化していた。
【0006】
特に、特許文献1では、前記底面保形部材の周縁部と各側面保形部材の下端部との連設箇所に形成される折り目が、底面保形部材及び側面保形部材の各厚みよりも小なる溝幅で底面保形部材の上面側に開口する条溝に構成されているため、一対の長辺側の側面保形部材を底面保形部材の上面側に折り畳むことが難しく、図6に開示されているように、バッグ用保形具をバッグ本体から取り出したのち、底面保形部材の上下両面に対してそれぞれ長辺側の側面保形部材を折り畳む必要がある。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、バック本体内でバッグ用保形具の折り畳み及び組み立てを迅速・容易に行うことのできるバッグ及びバッグ用保形具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、可撓性又は柔軟性を備えたバック本体内に、当該バック本体を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持する折り畳み可能なバッグ用保形具を設けてあるバッグであって、
前記バッグ用保形具を構成するに、前記バック本体の底部内面に対応する底面保形部材の周縁部に、前記バック本体の各側部内面に対応する側面保形部材を起伏自在に取付けるとともに、前記底面保形部材の周縁方向で隣接する各々の両側面保形部材の外面にわたって、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に当て付けた係止状態においては、一方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを引っ張り状態で阻止し、且つ、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に沿って外方に離脱させた係止解除状態においては、他方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを許容する屈曲可能な連結体を設けてある点にある。
【0009】
上記構成によれば、バック本体を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持するバッグ用保形具の組み立て完了時においては、起立姿勢にある他方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを、一方の側面保形部材の隣接側端面との当接による係合で阻止することができ、また、一方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを、隣接する両側面保形部材の外面にわたって設けた屈曲可能な連結体による引っ張り作用によって阻止することができる。
【0010】
前記バッグ用保形具の折り畳み時には、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に沿って外方に離脱させた係止解除状態に操作することにより、一方の側面保形部材の隣接側端面による倒れ込み阻止作用が解除され、且つ、前記連結体の屈曲性により、他方の側面保形部材が底面保形部材側に倒れ込むことになり、これに連れて一方の側面保形部材が底面保形部材側である先行倒伏の他方の側面保形部材側に倒れ込むことになる。
【0011】
したがって、バッグ本体内に装着されたバッグ用保形具を折り畳む又は組み立てる場合でも、前記底面保形部材の周縁方向で隣接する側面保形部材の上部側を把持して係合解除状態又は係合状態に操作するだけで済むから、従来のホック式に比してバック本体内でバッグ用保形具の折り畳み及び組み立てを迅速・容易に行うことができる。
【0012】
本発明による第2の特徴構成は、前記連結体の一端部が一方の側面保形部材の外面における上側部位に取付けられ、且つ、前記連結体の他端部が他方の側面保形部材の外面における下側部位に取付けられている点にある。
【0013】
上記構成によれば、前記バッグ用保形具の組み立て完了時には、前記連結体が一方の側面保形部材の外面の上側部位から他方の側面保形部材の外面の下側部位にわたって斜め掛け渡されるため、隣接する両側面保形部材を起立姿勢に確実に維持することができるものでありながら、前記バッグ用保形具の折り畳み時においては、一方の側面保形部材の隣接側端面を係止解除位置に操作したとき、連結体の他端部が下側部位に連結されている分だけ他方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込み抵抗が少なくなり、各側面保形部材をスムーズに折り畳むことができる。
【0014】
本発明による第3の特徴構成は、前記底面保形部材の周縁部と各側面保形部材の下側縁部との間に間隙を形成した状態で当該底面保形部材と各側面保形部材とを起伏可能に連結する可撓性のヒンジ体が設けられている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記バッグ本体の内部寸法が若干減少側に変動した場合でも、前記底面保形部材の周縁部と各側面保形部材の下側縁部との間に形成された間隙の範囲内で、且つ、ヒンジ体の可撓の範囲内において、前記各側面保形部材がバッグ本体の内面との当接によって相対移動し、バッグ本体の内部形態に対応した立体形態で各側面保形部材が起立姿勢に安定保持されるから、バッグ用保形具の取り扱いの容易化を図りながら適用範囲の拡大図ることができる。
【0016】
さらに、前記底面保形部材の周縁部と各側面保形部材の下側縁部との間に形成された間隙によって、各側面保形部材を底面保形部材の上面に重合姿勢で容易に折り畳むことができる。
【0017】
本発明による第4の特徴構成は、前記バッグ用保形具の底面保形部材及び各側面保形部材がそれぞれ弾性変形可能な樹脂板から構成されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、バッグ本体の内部形態や被収納物品の収納状況に応じて各側面保形部材を適宜湾曲変形させながら立体形態に調整することが可能であるとともに、収納される被収納物品の取り扱いが少々乱暴でもバッグ用保形具及びバッグ本体の損傷を抑制することができる。
【0019】
本発明による第5の特徴構成は、前記ヒンジ体と側面保形部材とを止め付ける締結具の一部が、前記連結体の他端部を他方の側面保形部材の外面に止め付けるための締結具に兼用構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記ヒンジ体と側面保形部材とを止め付ける締結具の一部を利用して、連結体の他端部を他方の側面保形部材の外面に止め付けることができるので、止め付け工数の削減と製作コストの低廉化とを図ることができる。
【0021】
本発明による第6の特徴構成は、可撓性又は柔軟性を備えたバック本体内に装着して、当該バック本体を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持する折り畳み可能なバッグ用保形具であって、
前記バック本体の底部内面に対応する底面保形部材の周縁部に、前記バック本体の各側部内面に対応する側面保形部材を起伏自在に取付けるとともに、前記底面保形部材の周縁方向で隣接する各々の両側面保形部材の外面にわたって、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に当て付けた係止状態においては、一方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを引っ張り状態で阻止し、且つ、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に沿って外方に離脱させた係止解除状態においては、他方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを許容する屈曲可能な連結体を設けてある点にある。
【0022】
上記構成によれば、バック本体を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持するバッグ用保形具の組み立て時においては、起立姿勢にある他方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを、当該他方の側面保形部材の内面に当接する一方の側面保形部材の隣接側端面との係合で阻止することができ、また、一方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを、隣接する両側面保形部材の外面にわたって設けた屈曲可能な連結体による引っ張り作用によって阻止することができる。
【0023】
前記バッグ用保形具の折り畳み時には、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に沿って外方に離脱させた係止解除状態に操作することにより、当該一方の側面保形部材の隣接側端面による倒れ込み阻止作用が解除され、且つ、前記連結体の屈曲性により、他方の側面保形部材が底面保形部材側に倒れ込むことになり、これに連れて一方の側面保形部材が底面保形部材側である先行倒伏の他方の側面保形部材側に倒れ込むことになる。
【0024】
したがって、バッグ本体内に装着されたバッグ用保形具を折り畳む又は組み立てる場合でも、前記底面保形部材の周縁方向で隣接する側面保形部材の上部側を把持して係合解除状態又は係合状態に操作するだけで済むから、従来のホック式に比してバック本体内でバッグ用保形具の折り畳み及び組み立てを迅速・容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態のバッグを示す斜視図
【図2】バッグ内に野球用ヘルメットを収納したときの斜視図
【図3】バッグ用保形具の上面側の斜視図
【図4】バッグ用保形具の底面側の斜視図
【図5】側面保形部材を係合解除操作したときの斜視図
【図6】長辺側の一対の側面保形部材を倒伏したときの斜視図
【図7】短辺側の一対の側面保形部材を倒伏したときの斜視図
【図8】折り畳まれたバッグ用保形具を収納した状態でバッグを折り畳んだときの斜視図
【図9】本発明の第2実施形態のバッグ用保形具を示す要部の斜視図
【図10】本発明の第3実施形態のバッグ用保形具を示す要部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
図1、図2は、可撓性又は柔軟性を備えたバックの一例で、野球用ヘルメットHやキャッチャー防具セット等を収納する発泡ビニール、ナイロン、皮革等の軟質素材製のボストンバッグを示し、矩形状の底面部1Aと当該底面部1Aの両長辺に連続する一対の側面部(以下、長辺側面部と記載する)1Bと底面部1Aの両短辺に連続する一対の側面部(以下、短辺側面部と記載する)1Cと、各側面部1B・1Cの上側端に連続する上面部1Dとから可撓性又は柔軟性のあるバッグ本体1が構成されている。
【0027】
このバッグ本体1の上面部1Dと一方の長辺側面部1Bの上側部分とにわたって横断面視で略L字状に開口する開口部1Eが形成されているとともに、前記一方の長辺側面部1Bには、ファスナー2を介して前記開口部1Eを開閉する開口カバー1Fが連設さている。
【0028】
そして、前記バック本体1内には、当該バック本体1を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持する折り畳み可能なバッグ用保形具Aが着脱自在に装着されている。
このバッグ用保形具Aは、図3、図4に示すように、バッグ用保形具Aに対応する形状、大きさ、つまり、前記底面部1Aの内面寸法よりも少し小さな寸法で相似形又は略相似形となる矩形板状の底面保形部材3の周縁部に、前記バック本体1の各側部内面に対応する形状、大きさ、つまり、前記長辺側面部1Bの内面寸法よりも小で、特に、横幅方向寸法よりも高さ寸法の方が減少率が大きくなる横長長方形状の板状の側面保形部材(以下、長辺用側面保形部材と記載する)4と、前記短辺側面部1Cの内面寸法よりも小で、且つ、長辺用側面保形部材4と同じ高さに構成された正方形状に近い板状の側面保形部材(以下、短辺用側面保形部材と記載する)5とが起伏自在に取付けられている。
【0029】
例えば、前記バック本体1の長さ約74cm×幅約40cm×高さ約44cmとしたとき、バッグ用保形具Aの長さ約72cm×幅約39cm×高さ約27cmに設定されている。
【0030】
前記底面保形部材3及び各側面保形部材4,5がそれぞれ弾性変形可能なポリエチレン(PE)等の樹脂板から構成されているとともに、前記底面保形部材3の周縁部と各側面保形部材4,5の下側縁部との間に間隙Sを形成した状態で当該底面保形部材3と各側面保形部材4,5とを起伏可能に連結する発泡ビニール製や皮革製等の可撓性のあるヒンジ体6が、締結具の一例であるリベット7で止着されている。
【0031】
前記底面保形部材3の短辺と短辺用側面保形部材5の下側縁部との間に形成される間隙(ヒンジ体6の間隙に相当する連結長さ)Sは、図6、図7に示すように、三層状態に積み重ねられた底面保形部材3と両長辺用側面保形部材4との総合積層厚み(底面保形部材3の厚みと両長辺用側面保形部材4の厚み及びそれらの重合間に挟み込まれるヒンジ体6の厚み、連結体8の厚み等を含む)を迂回して、最上段の長辺用側面保形部材4の上面に短辺用側面保形部材5を重合させることのできる隙間寸法(例えば、約2cm)に構成されている。
【0032】
また、前記底面保形部材3の長辺と長辺用側面保形部材4の下側縁部との間に形成される間隙Sは、二層状態に積み重ねられた底面保形部材3と一方の長辺用側面保形部材4との総合積層厚み(底面保形部材3の厚みと一つの長辺用側面保形部材4の厚み及びそれらの重合間に挟み込まれるヒンジ体6の厚み、連結体8の厚み等を含む)を迂回して、最上段の長辺用側面保形部材4の上面に他方の長辺用側面保形部材4を重合させることのできる隙間寸法以上であればよいが、当該実施形態では、前記底面保形部材3の短辺と短辺用側面保形部材5の下側縁部との間に形成される間隙Sと同一寸法に構成されている。
【0033】
前記底面保形部材3の長辺部と長辺用側面保形部材4とは、長辺方向に間隔を置いた二箇所に配置したヒンジ体6で連結されているとともに、前記底面保形部材3の短辺部と短辺用側面保形部材5とは、短辺方向中央部に配置したヒンジ体6で連結されている。
【0034】
前記底面保形部材3の周縁方向の六箇所に配設されるヒンジ体6の各々は同一寸法に構成されているとともに、各ヒンジ体6と底面保形部材3及び各ヒンジ体6と各側面保形部材4,5の各々は、三箇所に配置したリベット7で止着されている。
【0035】
そのため、前記バッグ本体1の内部寸法が若干減少側に変動した場合でも、前記底面保形部材3の周縁部と各側面保形部材4,5の下側縁部との間に形成された間隙Sの範囲内で、且つ、ヒンジ体6の可撓の範囲内において、前記各側面保形部材4,5がバッグ本体1の内面との当接によって相対移動し、バッグ本体1の内部形態に対応した立体形態で各側面保形部材4,5が起立姿勢に安定保持されるから、バッグ用保形具Aの取り扱いの容易化を図りながら適用範囲の拡大図ることができる。
【0036】
さらに、前記底面保形部材3の周縁部と各側面保形部材4,5の下側縁部との間に形成された間隙Sによって、各側面保形部材4,5を底面保形部材3の上面に確実、スムーズに重合姿勢で折り畳むことができる。
【0037】
前記底面保形部材3の周縁方向で隣接する各々の両側面保形部材4,5の外面にわたって、図3、図4に示すように、起立姿勢にある一方の短辺用側面保形部材5の隣接側端面5aを起立姿勢にある他方の長辺用側面保形部材4の内面に当て付けた係止状態においては、一方の短辺用側面保形部材5の底面保形部材3側への倒れ込みを引っ張り状態で阻止し、且つ、図5に示すように、起立姿勢にある一方の短辺用側面保形部材5の隣接側端面5aを起立姿勢にある他方の長辺用側面保形部材4の内面に沿って外方に離脱させた係止解除状態においては、他方の長辺用側面保形部材4の底面保形部材3の上面側への倒れ込みを許容する屈曲可能な可撓性の連結体8を設けてある。
【0038】
前記連結体8の一端部8aは、短辺用側面保形部材5の外面における短辺方向一端部寄りの上側部位に締結具の一例であるリベット7で止着されているとともに、前記連結体8の他端部8bは、長辺用側面保形部材4の外面における長辺方向一端部寄りの下側部位において、前記ヒンジ体6を取付けるための三つのリベット7のうち、中央側に位置するリベット7を兼用して止着されている。
【0039】
そのため、前記連結体8は、短辺用側面保形部材5の外面の上側部位から長辺用側面保形部材4の外面の下側部位にわたって斜めに掛け渡されることになり、当該連結体8の途中部分が、長辺用側面保形部材4の隣接側端面4aに対して屈曲状態で掛止される。
【0040】
前記連結体8は、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料を用いて可撓性のある帯状(ベルト状)に構成され、それの一端部8aは折り返して重ね合わされているとともに、他端部8bは長辺用側面保形部材4の外面とヒンジ体6との間に挟み込まれている。
【0041】
前記連結体8の長さは、起立姿勢にある短辺用側面保形部材5の隣接側端面5aを起立姿勢にある他方の長辺用側面保形部材4の内面に沿って外方に離脱させた係止解除位置までの引き出し操作を許容し、且つ、その係止解除状態での他方の長辺用側面保形部材4の底面保形部材3の上面側への倒れ込み操作を許容することのできる融通のある長さ及び可撓性に構成されている。
【0042】
そして、図3、図4に示すように、バック本体1を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持するバッグ用保形具Aの組み立て完了時においては、起立姿勢にある他方の長辺用側面保形部材4の底面保形部材3の上面側への倒れ込みを、当該他方の長辺用側面保形部材4の内面に当接する一方の短辺用側面保形部材5の隣接側端面5aとの当接による係合で阻止することができ、また、一方の短辺用側面保形部材5の底面保形部材3の上面側への倒れ込みを、隣接する両側面保形部材4,5の外面にわたって設けた屈曲可能な連結体8による引っ張り作用によって阻止することができる。
【0043】
前記バッグ用保形具Aの折り畳み時には、図5に示すように、起立姿勢にある一方の短辺用側面保形部材5の隣接側端面5aを起立姿勢にある他方の長辺用側面保形部材4の内面に沿って外方に離脱させた係止解除位置にまで引き出し操作することにより、図5、図6に示すように、一方の短辺用側面保形部材5の隣接側端面5aによる倒れ込み阻止作用が解除され、且つ、前記連結体8の可撓性(屈曲性)により、他方の長辺用側面保形部材4が底面保形部材3の上面側に重合状態で倒れ込むことになり、図7に示すように、これに連れて一方の短辺用側面保形部材5が底面保形部材3側である先行倒伏の他方の長辺用側面保形部材4側に倒れ込むことになる。
【0044】
したがって、バッグ本体1内に装着されたバッグ用保形具Aを折り畳む又は組み立てる場合でも、前記底面保形部材3の周縁方向で隣接する側面保形部材4,5の上側部を把持して係合解除状態又は係合状態に操作するだけで済むから、バック本体1内でバッグ用保形具Aの折り畳み及び組み立てを迅速・容易に行うことができる。
【0045】
図8は、バック本体1内でバッグ用保形具Aが折り畳まれたのち、バック本体1をそれの両短辺側面部1Cが上方に向く状態に折り畳み操作したもので、バック本体1の持つ可撓性又は柔軟性によって操作された折り畳み姿勢又はそれに近い折り畳み姿勢に維持される。
【0046】
尚、当該第1実施形態では、前記連結体8の他端部8bを長辺用側面保形部材4の外面における長辺方向一端部寄りの下側部位に対して、前記ヒンジ体6を取付けるためのリベット7の一部を兼用して止着したが、専用のリベット7等の締結具で止着してもよい。
【0047】
また、前記底面保形部材3の長辺と両長辺用側面保形部材4の下側縁部との間に形成される間隙Sを設定するにあたって、両長辺用側面保形部材4の折り畳み順番が確定している場合、一番目に折り畳まれる長辺用側面保形部材4の下側縁部と底面保形部材3の長辺との間に形成される間隙Sは、底面保形部材3の厚みを迂回して底面保形部材3の上面に一番目の長辺用側面保形部材4を重合させることのできる隙間寸法に設定し、二番目に折り畳まれる長辺用側面保形部材4の下側縁部と底面保形部材3の長辺との間に形成される間隙Sは、二層状態に積み重ねられた底面保形部材3と一番目の長辺用側面保形部材4との総合積層厚み(底面保形部材3の厚みと一番目の長辺用側面保形部材4の厚み及びそれらの重合間に挟み込まれるヒンジ体6の厚み、連結体8の厚み等を含む)を迂回して、一番目の長辺用側面保形部材4の上面に二番目の長辺用側面保形部材4を重合させることのできる隙間寸法に設定してもよい。
【0048】
〔第2実施形態〕
図9に示すように、前記連結体8の一端部8aを、長辺用側面保形部材4の外面における長辺方向一端部寄りの上側部位に締結具の一例であるリベット7で止着するとともに、前記連結体8の他端部8bを短辺用側面保形部材5の外面における短辺方向一端部寄りの下側部位において、前記ヒンジ体6を取付けるための二つのリベット7の一方を兼用して止着してもよい。
【0049】
そして、前記バック本体1を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持するバッグ用保形具Aの組み立て完了時においては、起立姿勢にある一方の短辺用側面保形部材5の底面保形部材3の上面側への倒れ込みを、当該一方の短辺用側面保形部材5の内面に当接する他方の長辺用側面保形部材4の隣接側端面4aとの当接による係合で阻止することができ、また、他方の長辺用側面保形部材4の底面保形部材3の上面側への倒れ込みを、隣接する両側面保形部材4,5の外面にわたって設けた屈曲可能な連結体8による引っ張り作用によって阻止することができる。
【0050】
前記バッグ用保形具Aの折り畳み時には、起立姿勢にある他方の長辺用側面保形部材4の隣接側端面4aを起立姿勢にある一方の短辺用側面保形部材5の内面に沿って外方に離脱させた係止解除位置にまで引き出し操作することにより、他方の長辺用側面保形部材4の隣接側端面4aによる倒れ込み阻止作用が解除され、且つ、前記連結体8の可撓性(屈曲性)により、一方の短辺用側面保形部材5が底面保形部材3の上面側に重合状態で倒れ込むことになり、これに連れて他方の長辺用側面保形部材4が底面保形部材3側である先行倒伏の短辺用側面保形部材5側に倒れ込むことになる。
【0051】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、当該第2実施形態では、前記連結体8の他端部8bを短辺用側面保形部材5の外面における短辺方向一端部寄りの下側部位に対して、前記ヒンジ体6を取付けるためのリベット7の一部を兼用して止着したが、専用のリベット7等の締結具で止着してもよい。
【0052】
〔第3実施形態〕
上述の各実施形態では、前記連結体8の両端部8a,8bを、底面保形部材3の周縁方向で隣接する各々の両側面保形部材4,5の外面にリベット7等の締結具で止着したが、図10に示すように、前記連結体8の両端部8a,8bに、係合手段10の一方を構成するフック状に起毛されたフック面ファスナー10A(又はループ状に密集して起毛されたループ面ファスナー10B)を付設するとともに、両側面保形部材4,5の外面における連結体8の取付け領域には、係合手段10の他方の構成部材で、前記連結体8のフック面ファスナー10A(又はループ面ファスナー10B)に貼り付く状態で脱着可能に係合するループ面ファスナー10B(又はフック面ファスナー10A)を付設して、前記連結体8の両端部8a,8bの取付け位置を調整可能に構成してもよい。
【0053】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、前記フック面ファスナー10Aとループ面ファスナー10Bとで脱着可能な係合手段10を構成したが、この係合手段10としては、前記連結体8の両端部8a,8bの取付け位置を無段階又は有段階的に調整可能な状態で脱着できるものであれば、如何なる構造のものを用いてもよい。
【0054】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記底面保形部材3及び各側面保形部材4,5をそれぞれ弾性変形可能な樹脂製の板から構成したが、底面保形部材3及び各側面保形部材4,5を樹脂製又は木製等で枠状に構成してもよい。
また、前記底面保形部材3及び各側面保形部材4,5を構成する樹脂板に緩衝シートを貼り付けてもよい。
【0055】
(2)上述の第1実施形態では、前記バッグ用保形具Aの各側面保形部材4,5の高さを、バック本体1の内面高さの約6割に構成したが、各側面保形部材4,5の高さを、バッグ用保形具Aの内面高さよりも若干小さく構成してもよい。
要するに、前記バッグ用保形具Aの底面保形部材3及び各側面保形部材4,5の各寸法及び形状は、バック本体1を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持することのできる範囲でバック本体1の底部内面及び各側部内面に対応して適宜設定するとよい。
【0056】
(3)上述の第1実施形態では、前記連結体8を、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料を用いて可撓性のある帯状(ベルト状)に構成したが、この連結体8を伸縮性のあるゴム製バンド、繊維製バンド、チェーン、ワイヤー等から構成してもよい。
【0057】
(4)上述の第1実施形態では、前記底面保形部材3の周縁部と各側面保形部材4,5の下側縁部との間に間隙Sを形成した状態で当該底面保形部材3と各側面保形部材4,5とを起伏可能に連結する発泡ビニール製や皮革製等の可撓性のあるヒンジ体6を、締結具の一例であるリベット7で止着したが、この可撓性のヒンジ体6を縫製等で止着してもよい。
また、前記底面保形部材3の周縁部と各側面保形部材4,5の下側縁部との間に間隙Sを形成した状態で当該底面保形部材3と各側面保形部材4,5とを金属製又は樹脂製の蝶番で起伏自在に止着してもよい。
【符号の説明】
【0058】
A バッグ用保形具
S 隙間
1 バック本体
3 底面保形部材
4 側面保形部材(長辺用側面保形部材)
4a 隣接側端面
5 側面保形部材(短辺用側面保形部材)
5a 隣接側端面
6 ヒンジ体
7 締結具(リベット)
8 連結体
8a 一端部
8b 他端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性又は柔軟性を備えたバック本体内に、当該バック本体を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持する折り畳み可能なバッグ用保形具を設けてあるバッグであって、
前記バッグ用保形具を構成するに、前記バック本体の底部内面に対応する底面保形部材の周縁部に、前記バック本体の各側部内面に対応する側面保形部材を起伏自在に取付けるとともに、前記底面保形部材の周縁方向で隣接する各々の両側面保形部材の外面にわたって、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に当て付けた係止状態においては、一方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを引っ張り状態で阻止し、且つ、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に沿って外方に離脱させた係止解除状態においては、他方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを許容する屈曲可能な連結体を設けてあるバッグ。
【請求項2】
前記連結体の一端部が一方の側面保形部材の外面における上側部位に取付けられ、且つ、前記連結体の他端部が他方の側面保形部材の外面における下側部位に取付けられている請求項1記載のバッグ。
【請求項3】
前記底面保形部材の周縁部と各側面保形部材の下側縁部との間に間隙を形成した状態で当該底面保形部材と各側面保形部材とを起伏可能に連結する可撓性のヒンジ体が設けられている請求項1又は請求項2記載のバッグ。
【請求項4】
前記バッグ用保形具の底面保形部材及び各側面保形部材がそれぞれ弾性変形可能な樹脂板から構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のバッグ。
【請求項5】
前記ヒンジ体と側面保形部材とを止め付ける締結具の一部が、前記連結体の他端部を他方の側面保形部材の外面に止め付けるための締結具に兼用構成されている請求項3記載のバッグ。
【請求項6】
可撓性又は柔軟性を備えたバック本体内に装着して、当該バック本体を設定立体形状又はそれに近い立体形状に維持する折り畳み可能なバッグ用保形具であって、
前記バック本体の底部内面に対応する底面保形部材の周縁部に、前記バック本体の各側部内面に対応する側面保形部材を起伏自在に取付けるとともに、前記底面保形部材の周縁方向で隣接する各々の両側面保形部材の外面にわたって、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に当て付けた係止状態においては、一方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを引っ張り状態で阻止し、且つ、起立姿勢にある一方の側面保形部材の隣接側端面を起立姿勢にある他方の側面保形部材の内面に沿って外方に離脱させた係止解除状態においては、他方の側面保形部材の底面保形部材側への倒れ込みを許容する屈曲可能な連結体を設けてあるバッグ用保形具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−140(P2012−140A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135199(P2010−135199)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000108258)ゼット株式会社 (36)
【Fターム(参考)】