説明

バラスト処理水の受入装置及び船舶

【課題】既設のバラストラインに容易に組み込むことができ、予め水生生物や細菌類が所定値以下となるまで殺滅されたクリーンなバラスト水を簡単にバラストタンクに受け入れることのできるバラスト処理水の受入装置を提供すること。
【解決手段】バラストポンプ14によってシーチェスト11から取水されるバラスト水をバラストタンクに移送するバラストライン12を備えた船舶1に搭載されるバラスト処理水の受入装置2であって、一端がバラストライン12におけるバラストポンプ14の入口側に接続される導入配管21と、導入配管21にそれぞれ設けられ、バラスト処理水を受給するための複数の受水口23b’、23d’と、複数の受水口23b’、23d’の各々の流路の開閉を行う開閉弁24と、開閉弁24を制御して複数の受水口23b’、23d’のうちからバラスト処理水を受給する1又は2以上の受水口を選択する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバラスト処理水の受入装置及び船舶に関し、詳しくは、バラスト水の処理装置を持たない既造船舶のバラストタンクに、予め水生生物や細菌類が殺滅されたクリーンなバラスト水(バラスト処理水)を受け入れるためのバラスト処理水の受入装置及びこれを供えた船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ船等の貨物用船舶から排水されるバラスト水中には、それを取水した港湾に生息する水生生物や細菌類が混入しており、船舶の移動に伴い、これら水生生物や細菌類が同時に異国に運ばれることから、もともとその海域には生息していなかった生物種が、既存生物種に取って代わるといった生態系の破壊が深刻化している。
【0003】
このような背景のもと、国際海事機関(IMO)の外交会議において、船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための条約(以下、条約という)が採択され、バラスト水管理の実施義務が2009年以降の建造船から適用される予定となっている。
【0004】
このため、船舶からは条約を満たすクリーンなバラスト水を排水できるようにすることが求められている。
【0005】
例えば特許文献1〜3には、水生生物や細菌類を殺滅するための具体的な手段が開示されている。
【特許文献1】特開2004−160437号公報
【特許文献2】特開2003−200156号公報
【特許文献3】米国特許第6125778号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
船舶から条約を満たすようなクリーンなバラスト水を排水できるようにするには、水中の水生生物や細菌類を所定値以下となるように殺滅処理するための処理装置を船舶内に設置して取水時にバラスト水の処理を行う方法が考えられる。
【0007】
しかし、処理装置を新たに搭載することはコストがかかるばかりでなく、特に既造船舶の場合、既設の配管類や装置類がスペースを取っているため、船舶内部に新たに処理装置を設置するスペースを確保することは困難である。
【0008】
このため、本発明者は、水生生物や細菌類が所定値以下となるまで殺滅されたクリーンなバラスト水(バラスト処理水)を生成することのできる処理装置を搭載したバラスト処理水供給船を用意し、このバラスト処理水供給船からバラスト水の処理装置を持たない船舶、特に既造船舶に対してバラスト処理水を供給することを検討しているが、この場合、次のような解決すべき新たな問題がある。
【0009】
一般に、バラスト水の取水は水面下の船底付近に設けられたシーチェストから行われるため、バラスト処理水を受け入れる場合もこのシーチェストから受け入れる方法が考えられる。しかし、バラスト処理水を受け入れるためのホースを水面下に位置するシーチェストに接続することは極めて困難である。
【0010】
また、仮にバラスト処理水を受け入れることができたとしても、バラスト処理水供給船が常に十分な供給能力を備えているとは限らないため、通常通りシーチェストからバラスト水を取水する場合と同様の作業時間でバラスト処理水の受給を完了できるとは限らない。バラスト処理水の受給が遅れると、それだけ出航が遅延する等、船舶の運航スケジュールに支障をきたすおそれがある。
【0011】
本発明者は、かかる問題点を解決し得るようなバラスト処理水の受給を可能にするための船舶における最低限の付加設備について検討した結果、本発明に至ったものであり、本発明は、既設のバラストラインに容易に組み込むことができて、予め水生生物や細菌類が所定値以下となるまで殺滅されたクリーンなバラスト水(バラスト処理水)を簡単にバラストタンクに受け入れることのできるバラスト処理水の受入装置を提供することを課題とする。
【0012】
また、本発明は、予め水生生物や細菌類が所定値以下となるまで殺滅されたクリーンなバラスト水(バラスト処理水)を簡単にバラストタンクに受け入れることのできる船舶を提供することを課題とする。
【0013】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0015】
(請求項1)
バラストポンプの作動によってシーチェストから取水されるバラスト水をバラストタンクに移送するバラストラインを備えた船舶に搭載されるバラスト処理水の受入装置であって、
一端が前記バラストラインにおける前記バラストポンプの入口側に接続される導入配管と、
前記導入配管にそれぞれ設けられ、バラスト処理水を受給するための複数の受水口と、
前記複数の受水口の各々の流路の開閉を行う開閉弁と、前記開閉弁を制御して前記複数の受水口のうちからバラスト処理水を受給する1又は2以上の受水口を選択する制御手段とを備えてなることを特徴とするバラスト処理水の受入装置。
【0016】
(請求項2)
前記複数の受水口は、接続部の口径が異なる2以上のグループに分けられていることを特徴とする請求項1記載のバラスト処理水の受入装置。
【0017】
(請求項3)
前記受水口は接続ホースの先端に形成されていると共に、船舶デッキ上に設けられ、前記接続ホースの各々を吊下げ支持して船体側方への繰り出し及び収納を行うホースハンドリングダビットを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のバラスト処理水の受入装置。
【0018】
(請求項4)
前記受水口は、船体側面に開口することを特徴とする請求項1又は2記載のバラスト処理水の受入装置。
【0019】
(請求項5)
バラストポンプの作動によってシーチェストから取水されるバラスト水をバラストタンクに移送するバラストラインと、
請求項1〜4のいずれかに記載のバラスト処理水の受入装置とを備えることを特徴とする船舶。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、既設のバラストラインに容易に組み込むことができて、予め水生生物や細菌類が所定値以下となるまで殺滅されたクリーンなバラスト水(バラスト処理水)を簡単にバラストタンクに受け入れることのできるバラスト処理水の受入装置を提供することができる。
【0021】
また、本発明によれば、予め水生生物や細菌類が所定値以下となるまで殺滅されたクリーンなバラスト水(バラスト処理水)を簡単にバラストタンクに受け入れることのできる船舶を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
図1はバラスト処理水の受入装置を装備した船舶の概略構成を示す側面図、図2はその平面図、図3はバラスト処理水の受入装置を装備した船舶の内部構成を示す概略図である。
【0024】
図中、1はバラスト処理水を受給する船舶(既造船舶)、2はバラスト処理水の受入装置である。受入装置2は、図1、図2ではデッキ1A上に設けられた部分のみが示されている。
【0025】
船舶1の内部には、船底付近に設けられたシーチェスト11からバラスト水を取水してバラストタンク(図示せず)に注水するためのバラストライン12が配設されている。バラストライン12には、該バラストライン12の開閉を行う開閉弁13と、バラストライン12中のバラスト水をバラストタンクに移送するためバラストポンプ14とが設けられており、これらはいずれも船舶1内の既設の装備である。
【0026】
ここで、このバラストポンプ14は3000m3/hrの能力を有するものとする。
【0027】
本発明に係るバラスト処理水の受入装置2は、受給したバラスト処理水を既設のバラストライン12に移送するための導入配管21を備えている。
【0028】
導入配管21は、一端21aが船舶1内部においてバラストライン12に接続された船内配管部21bと、該船内配管部21bに連続し、デッキ1A上を貫通して船舶1を横断する方向に分岐するT字状部21cと、該T字状部21cの端部がそれぞれ船首側に延びて形成された右舷直管部21d及び左舷直管部21eによって構成されている。
【0029】
船内配管部21bの一端21aの介設箇所は、バラストポンプ14の入口側(吸込み側)であって、開閉弁13とバラストポンプ14との間に位置される。従って、開閉弁13を閉じた状態にしてバラストポンプ14を作動させれば、シーチェスト11からの取水は阻止され、導入配管21側からの取水が可能となる。
【0030】
右舷直管部21d及び左舷直管部21eには、それぞれ接続管22a〜22dを介して接続ホース23a〜23dの一端が接続されている。各接続ホース23a〜23dの他端(先端)にはバラスト処理水の受水口23a’〜23d’が形成されている。
【0031】
各接続管22a〜22dは、右舷直管部21d及び左舷直管部21eからそれぞれ側方に向けて分岐されており、接続ホース23a〜23dを介して受給されるバラスト処理水の流量を調整すると共に開閉を行う開閉弁24と、その流量を計測する流量計25とが各々設けられている。
【0032】
なお、ここでは、右舷及び左舷にそれぞれ2本ずつの接続ホース23a〜23dが設けられているが、接続ホース23a〜23dの配置態様は特に問わず、例えば右舷側又は左舷側に4本全てを配置するようにしてもよい。
【0033】
各接続ホース23a〜23dは、後述するバラスト処理水供給船に向けて延長可能な長さを有するフレキシブルなホースからなり、船舶1のデッキ1A上に立設されたホースハンドリングダビッド26にそれぞれ吊下げ支持されている。各接続ホース23a〜23dは、このホースハンドリングダビット26によって船体側方への繰り出し及び収納がそれぞれ個別に行われるようになっている。
【0034】
また、接続ホース23a〜23dは、ここでは受水口23a’〜23d’の接続部の口径が異なる2種類のグループに分かれている。
【0035】
すなわち、4本の接続ホース23a〜23dのうちの3本の接続ホース23a〜23cは、それぞれ1000m3/hr用の口径の接続部を受水口23a’〜23c’に備えたホースのグループとされている。従って、1000m3/hr用の口径の接続部を備えたバラスト処理水供給船からバラスト処理水を受給する場合に、これら3本の接続ホース23a〜23cを使用することができる。
【0036】
このとき、これら3本の接続ホース23a〜23cを同時に使用することで、それぞれ1000m3/hrの供給能力を有する3隻のバラスト処理水供給船から、合計3000m3/hrのバラスト処理水を受給することができる。
【0037】
また、残りの1本の接続ホース23dは、接続ホース23a〜23cの接続部の口径よりも大きい3000m3/hr用の口径の接続部を受水口23d’に備えたホースのグループとされている。
【0038】
このため、この1本の接続ホース23dによって3000m3/hrのバラスト処理水の受給に対応することができるようなっている。
【0039】
船舶の持っているバラストポンプの容量が3000m3/hrの場合、バラスト処理水供給船のポンプ容量も3000m3/hrが望ましいが、寄港地やバラスト処理水供給スケジュールによってポンプ容量の小さいバラスト処理水供給船しか用意できない場合があるので、このようにバラスト処理水の受水箇所を多数設けている。
【0040】
船舶の運航会社は、船舶運航管理ウェブサイト等を利用して、事前にバラスト処理水供給のスケジュールを連絡すると共に、バラスト処理水供給船を保有する会社も上述のウェブサイトに参加して、バラスト処理水供給船の保有情報を流し、船舶の入港スケジュールを得ることが好ましい。
【0041】
更に、バラスト処理水供給船保有会社は、バラスト処理水供給の受付システムを構築して、バラスト処理水供給のスケジュール管理をすることが好ましい。
【0042】
図4は、かかる受入装置2の制御を行う制御部の構成を示す構成図である。
【0043】
制御部3は、各開閉弁24の開閉及び開度調整を行うべく、各開閉弁24と制御可能に接続されている。また、各流量計25は、各々の測定値が制御部3に入力されるように接続されている。
【0044】
入力部4は、例えば作業者による各開閉弁24を制御するための入力操作を受け付け、制御部3に入力信号を出力する。制御部3では、入力部4からの入力信号に基づいて、各開閉弁24を個別に制御することにより、接続ホース23a〜23dの流路を個別に開閉制御し、バラスト処理水を受給する接続ホース23a〜23dを選択する。
【0045】
表示部5は、例えば接続ホース23a〜23dのうちの受給を行っているホースの情報、そのときの流量計25の測定値の情報等の各種情報を表示する。
【0046】
これら制御部3、入力部4及び表示部5は、例えば船舶1の操舵室等に設置される。
【0047】
次に、かかるバラスト処理水の受入装置2を搭載した船舶1において、バラスト処理水供給船からバラスト処理水を受給する様子について、図5、図6に示す模式図を用いて説明する。
【0048】
図5は、各々1000m3/hrのバラスト処理水の供給能力を有する3隻のバラスト処理水供給船100からバラスト処理水を受給する様子を示している。
【0049】
ここで、バラスト処理水供給船100は、水生生物や細菌類が所定値以下となるように殺滅されたクリーンなバラスト処理水を生成するための処理装置を備えたバラスト水処理のための専用船である。処理装置は、水生生物や細菌類を、条約を満足する程度に殺滅するものであり、例えば熱、超音波、紫外線、銀イオン、電気等を用いた物理的処理法、濾過、剪断力、キャビテーション等を用いた機械的処理法、オゾン、酸素除去、塩素等を用いた化学的処理法、又は、これらの2種以上の処理法を複合させた複合処理法等が挙げられる。
【0050】
かかる3隻のバラスト処理水供給船100が船舶1に横付けされたら、ホースハンドリングダビット26を操作することにより、収納されている1000m3/hr用の口径のホース接続部を有する接続ホース23a、23b、23cを繰り出して各バラスト処理水供給船100の供給口と接続する。このとき、制御部3は、これら接続ホース23a、23b、23cに対応する開閉弁24を開き、3000m3/hr用の口径の接続部を有する接続ホース23dに対応する開閉弁24を閉じる。
【0051】
バラスト処理水供給船100内の供給ポンプの作動によりバラスト処理水の供給が開始されたら、船舶1内のバラストポンプ14を作動させることにより、各接続ホース23a、23b、23cを介してバラスト処理水をバラストライン12に導入する。このときバラストライン12中の開閉弁13は閉じた状態にある。
【0052】
各バラスト処理水供給船100からは、それぞれ1000m3/hrずつのバラスト処理水が供給される。受入装置2は、これらを合流することによって合計3000m3/hrのバラスト処理水の受給を行うことができる。従って、バラストポンプ14によってシーチェスト11から通常通りバラスト水を取水する場合と同様の注水時間で所要量のバラスト処理水を受給することができる。
【0053】
このとき、制御部3は、各接続ホース23a〜23cに対応する流量計25の測定値を監視することにより、必要に応じて開閉弁24の開度を調整して、各接続ホース23a〜23cからの流量を個別に制御することもできる。
【0054】
このようにしてバラスト処理水が受入装置2によってバラストライン12中に導入された後は、既設のバラストライン12によって従来通り各バラストタンクに注水される。
【0055】
所要量のバラスト処理水が導入されたら、バラストポンプ14の作動停止の後、接続ホース23a、23b、23cと各バラスト処理水供給船100との接続を解除し、ホースハンドリングダビット26を操作して接続ホース23a、23b、23cを収納する。
【0056】
図6は、同じく船舶1において、バラスト処理水供給船からバラスト処理水の供給を受ける他の態様を示しており、ここでは、3000m3/hrのバラスト処理水の供給能力を有する1隻のバラスト処理水供給船200からバラスト処理水を受給する様子を示している。
【0057】
バラスト処理水供給船200が船舶1に横付けされたら、ホースハンドリングダビット26を操作することにより、収納されている3000m3/hr用の口径の接続部を有する接続ホース23dを繰り出してバラスト処理水供給船200の供給口と接続する。このとき、制御部3は、接続ホース23dに対応する開閉弁24を開き、1000m3/hr用の口径の接続部を有する接続ホース23a、23b、23cに対応する開閉弁24を閉じる。
【0058】
バラスト処理水供給船200内の供給ポンプの作動によりバラスト処理水の供給が開始されたら、船舶1内のバラストポンプ14を作動させることにより、接続ホース23dを介してバラスト処理水をバラストライン12に導入する。このときバラストライン12中の開閉弁13は閉じた状態にある。
【0059】
バラスト処理水供給船200からは、3000m3/hrのバラスト処理水が供給されるので、3000m3/hr用の口径の接続部を有する接続ホース23d単独で、そのまま3000m3/hrのバラスト処理水を導入することができる。従って、バラストポンプ14によってシーチェスト11から通常通りバラスト水を取水する場合と同様の注水時間で所要量のバラスト処理水を受給することができる。
【0060】
このとき、制御部3は、接続ホース23dに対応する流量計25の測定値を監視することにより、必要に応じて開閉弁24の開度を調整して、接続ホース23dからの流量を制御することもできる。
【0061】
このようにしてバラスト処理水がバラストライン12中に導入された後は、既設のバラストライン12によって従来通り各バラストタンクに注水される。
【0062】
所要量のバラスト処理水が導入されたら、バラストポンプ14の作動停止の後、接続ホース23dとバラスト処理水供給船200との接続を解除し、ホースハンドリングダビット26を操作して接続ホース23dを収納する。
【0063】
このようにバラスト処理水の受入装置2を搭載した船舶1によれば、バラスト水の処理装置を搭載しなくても、既設のバラストライン12を利用して、バラストタンク内にクリーンなバラスト処理水を貯留することができる。
【0064】
また、受入装置2は、バラスト処理水供給船の供給能力に対応させて、複数の接続ホース23a〜23dのうちの1又は2以上のホースを選択的に使用することができるので、個々の供給能力がバラストポンプ14の能力よりも小さいバラスト処理水供給船からバラスト処理水を受給する場合であっても、2以上の接続ホースを使用して複数隻のバラスト処理水供給船から同時にバラスト処理水を受給することにより、バラストポンプ14の能力に対応したバラスト処理水の受給が可能である。このため、通常時に比べてバラスト処理水の注水時間が大幅にかかってしまうような問題はない。
【0065】
しかも、船舶1の内部には、既設のバラストライン12に対してバラストポンプ14の入口側に導入配管21の一端21aを取り付けるだけの単純な構成を付加するだけでよいため、既造船舶の場合でも大掛かりな改修工事は必要なく、狭いスペース内にも設置可能であり、極めて簡単且つ安価に組込むことができる。
【0066】
また、船舶1内には特別な設置スペースを必要としないため、新造船の場合でも、従来の設計図がほぼそのまま使用できる利点もある。
【0067】
なお、以上の説明では、受入装置2は4本の接続ホース23a〜23dを有するものとしたが、これに限定されず、接続ホースは複数本であればよい。
【0068】
また、複数の接続ホースのうち、バラスト処理水供給船からバラスト処理水を受給する際に使用する接続ホースの本数及び受水口の接続部の口径は、以上説明した態様に限定されず、バラストポンプ14の能力、想定されるバラスト処理水供給船の供給能力等を勘案して適宜決定することができる。
【0069】
更に、受入装置2は、各接続ホースとホースハンドリングダビット以外の構成部材を船舶内に設置してもよく、また、導入配管21をホース(フレキシブルホース)によって形成してもよい。
【0070】
また、バラスト処理水を受給するための複数の受水口は、以上説明した接続ホース23a〜23dの先端に形成するものに限らず、例えば図7に示すように船舶1の船体側面1aにそれぞれ開口するものとしてもよい。
【0071】
この場合、例えばバラスト処理水供給船100、200が保有する供給ホース300を受水口23a’…に接続することにより、バラスト処理水の受給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】バラスト処理水の受入装置を装備した船舶の概略構成を示す側面図
【図2】バラスト処理水の受入装置を装備した船舶の平面図
【図3】バラスト処理水の受入装置を装備した船舶の内部構成を示す概略図
【図4】受入装置の制御を行う制御部の構成を示す構成図
【図5】受入装置によってバラスト処理水供給船からバラスト処理水の供給を受ける様子を説明する模式図
【図6】受入装置によってバラスト処理水供給船からバラスト処理水の供給を受ける他の様子を説明する模式図
【図7】船体側面の受水口からバラスト処理水を受給する様子を示す模式図
【符号の説明】
【0073】
1:船舶
1A:デッキ
11:シーチェスト
12:バラストライン
13:開閉弁
14:バラストポンプ
2:受入装置
21:導入配管
21a:一端
21b:船内配管部
21c:T字状部
21d:右舷直管部
21e:左舷直管部
22a〜22d:接続管
23a〜23d:接続ホース
23a’〜23d’:受水口
24:開閉弁
25:流量計
26:ホースハンドリングダビット
100、200:バラスト処理水供給船
300:供給ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラストポンプの作動によってシーチェストから取水されるバラスト水をバラストタンクに移送するバラストラインを備えた船舶に搭載されるバラスト処理水の受入装置であって、
一端が前記バラストラインにおける前記バラストポンプの入口側に接続される導入配管と、
前記導入配管にそれぞれ設けられ、バラスト処理水を受給するための複数の受水口と、
前記複数の受水口の各々の流路の開閉を行う開閉弁と、前記開閉弁を制御して前記複数の受水口のうちからバラスト処理水を受給する1又は2以上の受水口を選択する制御手段とを備えてなることを特徴とするバラスト処理水の受入装置。
【請求項2】
前記複数の受水口は、接続部の口径が異なる2以上のグループに分けられていることを特徴とする請求項1記載のバラスト処理水の受入装置。
【請求項3】
前記受水口は接続ホースの先端に形成されていると共に、船舶デッキ上に設けられ、前記接続ホースの各々を吊下げ支持して船体側方への繰り出し及び収納を行うホースハンドリングダビットを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のバラスト処理水の受入装置。
【請求項4】
前記受水口は、船体側面に開口することを特徴とする請求項1又は2記載のバラスト処理水の受入装置。
【請求項5】
バラストポンプの作動によってシーチェストから取水されるバラスト水をバラストタンクに移送するバラストラインと、
請求項1〜4のいずれかに記載のバラスト処理水の受入装置とを備えることを特徴とする船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−189205(P2008−189205A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27381(P2007−27381)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)