説明

バランス/アンバランス信号出力回路

【課題】簡易な構成で無駄なくバランス出力とアンバランス出力とを選択的に切り替えて出力する。
【解決手段】バランス/アンバランス信号出力回路は、バランス出力の場合、D/Aコンバータ10,12でそれぞれアナログ正相信号、アナログ逆相信号を生成し、切替スイッチ20,22でバランスHOT端子及びバランスCOLD端子から出力する。アンバランス出力の場合、D/Aコンバータ10,12でそれぞれアナログ正相信号を生成し、切替スイッチ24,26でアンバランス端子から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランス/アンバランス信号出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オーディオ装置においてバランス信号とアンバランス信号を出力する回路が知られている。
【0003】
図6及び図7に、バランス信号とアンバランス信号を出力する回路構成の一例を示す。図6は、D/Aコンバータから正相信号を出力する場合の構成であり、図7は、D/Aコンバータから正相信号及び逆相信号を出力する場合の構成である。
【0004】
図6において、D/Aコンバータ100から正相信号DAC+が出力される。正相信号DAC+は、アンプ102,104,106にそれぞれ供給される。アンプ104は反転アンプである。アンプ102,104,106の出力端にはそれぞれ切替スイッチ108,110,112が接続され、グラウンドとアンプ102,104,106の出力端とを切り替えて出力する。切替スイッチ108をアンプ102側に切り替えることでバランスHOT信号が出力される。また、切替スイッチ110をアンプ104側に切り替えることでバランスCOLD信号が出力される。さらに、切替スイッチ112をアンプ106側に切り替えることでアンバランス信号が出力される。従って、バランス信号を出力する場合には、切替スイッチ108,110をそれぞれアンプ102,104側に切り替えると共に、切替スイッチ112をグラウンド側に切り替える。また、アンバランス信号を出力する場合には、切替スイッチ108,110をそれぞれグラウンド側に切り替えると共に、切替スイッチ112をアンプ106側に切り替える。
【0005】
図7において、D/Aコンバータ100から正相信号DAC+及びその位相を180°反転させた逆相信号DAC−が出力される。正相信号DAC+は、アンプ102,105にそれぞれ供給される。また、逆相信号DAC−は、アンプ103,105にそれぞれ供給される。アンプ105は差動アンプであり、正相信号DAC+と逆相信号DAC−の差動を演算して出力する。アンプ102,103,105の出力端にはそれぞれ切替スイッチ108,110,112が接続され、グラウンドとアンプ102,103,105の出力端とを切り替えて出力する。切替スイッチ108をアンプ102側に切り替えることでバランスHOT信号が出力される。また、切替スイッチ110をアンプ103側に切り替えることでバランスCOLD信号が出力される。さらに、切替スイッチ112をアンプ105側に切り替えることでアンバランス信号が出力される。従って、バランス信号を出力する場合には、切替スイッチ108,110をそれぞれアンプ102,103側に切り替えると共に、切替スイッチ112をグラウンド側に切り替える。また、アンバランス信号を出力する場合には、切替スイッチ108,110をそれぞれグラウンド側に切り替えると共に、切替スイッチ112をアンプ105側に切り替える。
【0006】
なお、下記の特許文献1には、バランス入力とアンバランス入力の端子を共通化し、手動操作によるスイッチの切替によりバランス入力とアンバランス入力を切り替えることが開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、ピンプラグの挿抜によりバランス接続とアンバランス接続を切り替えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3148532号
【特許文献2】実公平03−005116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図6の構成では、バランスHOT信号とバランスCOLD信号を出力するために、非反転アンプ102と反転アンプ104を用いることになり、HOTとCOLDで違う構成のアンプが用いられることからバランス出力の対称性が問題となる。
【0010】
また、図7の構成では、バランスHOT信号とバランスCOLD信号を出力するために、ともに非反転アンプ102,103を用いることになるから対称性の問題はないものの、3つのアンプが必要となるため構成が複雑化するとともに部品点数の増大によるコスト増加を招く。特に、アンバランス出力において、出力動作に寄与するのは差動アンプ105のみであり、アンプ102,103はアンバランス出力には全く寄与しないことから無駄な回路となる。
【0011】
本発明の目的は、バランス出力の対称性を維持しつつ、簡易な構成でバランス信号とアンバランス信号を切り替えて出力することができる回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のバランス/アンバランス信号出力回路は、アナログ正相信号を増幅する第1アンプと、アナログ正相信号、あるいは前記アナログ正相信号の位相を反転させたアナログ逆相信号のいずれかを選択的に増幅する第2アンプと、前記第1アンプからの出力とグラウンドとを選択的に切り替えてバランスHOT端子に出力する第1切替スイッチと、前記第2アンプからの出力とグラウンドとを選択的に切り替えてバランスCOLD端子に出力する第2切替スイッチと、前記第2アンプからの出力とグラウンドとを選択的に切り替えてアンバランス端子に出力する第3切替スイッチと、前記第1アンプからの出力とグラウンドとを選択的に切り替えて前記アンバランス端子に出力する第4切替スイッチとを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、バランス出力の場合に、前記第2アンプは、前記アナログ逆相信号を増幅し、前記第1切替スイッチは、前記第1アンプからの出力を前記バランスHOT端子に出力し、前記第2切替スイッチは、前記第2アンプからの出力を前記バランスCOLD端子に出力し、前記第3切替スイッチ及び第4切替スイッチは、ともにグラウンドに切り替えられ、アンバランス出力の場合に、前記第2アンプは、前記アナログ正相信号を増幅し、前記第1切替スイッチ及び第2切替スイッチは、ともにグラウンドに切り替えられ、前記第3切替スイッチは、前記第2アンプからの出力を前記アンバランス端子に出力し、前記第4切替スイッチは、前記第1アンプからの出力を前記アンバランス端子に出力する。
【0014】
また、本発明の他の実施形態では、前記第2アンプの前段に設けられ、前記アナログ正相信号の位相を反転してアナログ逆相信号を出力する反転素子と、前記アナログ正相信号と、前記反転素子からの前記アナログ逆相信号とを選択的に切り替えて前記第2アンプに出力する第5切替スイッチとを備える。
【0015】
また、本発明の他の実施形態では、デジタルデータをアナログ正相信号に変換して前記第1アンプに出力する第1D/Aコンバータと、前記デジタルデータあるいは前記デジタルデータを反転した反転デジタルデータのいずれかを選択的に変換してアナログ正相信号あるいはアナログ逆相信号を前記第2アンプに出力する第2D/Aコンバータとを備える。
また、本発明のさらに他の実施形態では、前記第2D/Aコンバータの前段に設けられ、前記デジタルデータを反転する反転素子と、前記デジタルデータと、前記反転素子からの反転デジタルデータとを選択的に切り替えて前記第2D/Aコンバータに出力する第5切替スイッチとを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バランス出力の対称性を維持しつつ、簡易な構成で無駄なくバランス信号とアンバランス信号を切り替えて出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態のLチャンネルの回路構成図である。
【図2】第1実施形態におけるバランス出力時の回路構成図である。
【図3】第1実施形態におけるアンバランス出力時の回路構成図である。
【図4】第2実施形態のLチャンネルの回路構成図である。
【図5】第3実施形態のLチャンネルの回路構成図である。
【図6】従来の回路構成図である。
【図7】従来の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1に、本実施形態におけるバランス/アンバランス信号出力回路の回路構成を示す。本実施形態の回路は、例えばオーディオシステムにおけるデジタルアナログコンバータ装置(DACコンポーネント)に組み込むことができる。
【0020】
図1は、Lチャンネル及びRチャンネルの回路構成のうち、Lチャンネルの回路構成を示したものである。Rチャンネルの回路構成もLチャンネルと同様であることから、その説明は省略する。
【0021】
図1において、Lチャンネルのデジタルオーディオデータに対し、2個のD/Aコンバータ10,12が設けられる。D/Aコンバータ(第1D/Aコンバータ)10には、デジタルオーディオデータ(正相)が供給されるとともに、ワードクロック及びビットクロックの各クロック信号が供給される。
【0022】
また、D/Aコンバータ(第2D/Aコンバータ)12には、デジタルオーディオ信号(正相)が反転素子13及び切替スイッチ14を介して供給されるとともに、ワードクロック及びビットクロックの各クロック信号が供給される。切替スイッチ14は、a接点及びb接点を有し、a接点側に切り替わるとデジタルオーディオデータ(正相)を反転素子13で反転したデジタルオーディオデータ(逆相)がD/Aコンバータ12に供給され、b接点側に切り替わるとデジタルオーディオデータ(正相)がそのままD/Aコンバータ12に供給される。
【0023】
D/Aコンバータ10の出力端子には、アンプ(第1アンプ)16が接続され、アンプ16の出力端はさらに切替スイッチ20,26に接続される。
【0024】
D/Aコンバータ12の出力端子には、アンプ(第2アンプ)18が接続され、アンプ18の出力端はさらに切替スイッチ22,24に接続される。
【0025】
切替スイッチ(第1切替スイッチ)20は、アンプ16側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端はバランスHOT出力端子に接続される。
【0026】
切替スイッチ(第2切替スイッチ)22は、アンプ18側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端はバランスCOLD出力端子に接続される。
【0027】
切替スイッチ(第3切替スイッチ)24は、アンプ18側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端はアンバランス出力端子に接続される。
【0028】
切替スイッチ(第4切替スイッチ)26は、アンプ16側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端は切替スイッチ24と同様にアンバランス出力端子に接続される。
【0029】
切替スイッチ20,22,24,26は、ミュート回路を兼ねており、ユーザがミュートを希望する場合にはその接点を全てグラウンド側に切り替える。
【0030】
また、切替スイッチ(第5切替スイッチ)14と切替スイッチ20,22,24,26は連動しており、ユーザは単一の手動操作スイッチを切り替えることでこれらの切替スイッチ14,20,22,24,26が連動して切り替わる。
【0031】
以下、バランス信号を出力する場合と、アンバランス信号を出力する場合に分けて本実施形態における回路の動作を説明する。
【0032】
図2に、バランス出力する場合の回路構成を示す。切替スイッチ14はa接点側、すなわち反転素子13側に切り替わる。また、切替スイッチ20はアンプ16側、切替スイッチ22はアンプ18側、切替スイッチ24,26はともにグラウンド側に切り替わる。
【0033】
D/Aコンバータ10には、デジタルオーディオデータ(正相)が供給される。D/Aコンバータ10は、デジタルオーディオデータをアナログ信号に変換し、アナログ正相信号としてアンプ16に出力する。アンプ16は、アナログ正相信号を増幅し、切替スイッチ20,26に出力する。
【0034】
D/Aコンバータ12には、反転素子13で反転されたデジタルオーディオデータ、すなわちデジタルオーディオデータ(逆相)が供給される。D/Aコンバータ12は、デジタルオーディオデータ(逆相)をアナログ信号に変換し、アナログ逆相信号としてアンプ18に出力する。アンプ18は、アナログ逆相信号を増幅し、切替スイッチ22,24に出力する。
【0035】
切替スイッチ20はアンプ16側、切替スイッチ22はアンプ18側に接点が切り替わっているので、切替スイッチ20はアンプ16からのアナログ正相信号をバランスHOT端子に出力し、切替スイッチ22はアンプ18からのアナログ逆相信号をバランスCOLD端子に出力する。一方、切替スイッチ24,26はともにグラウンド側に切り替わっているので、ミュート状態にあり信号は出力されない。
【0036】
以上のように、バランスHOT端子からアナログ正相信号が出力され、バランスCOLD端子からアナログ逆相信号が出力される。アンバランス端子からは出力されないが、2つのアンプ16,18はともにバランス出力のために動作している点に着目されたい。さらに、バランス出力のためのアンプ16,18はともに同一アンプであるため、一方を非反転アンプ、他方を反転アンプとする場合に生じ得る対称性のずれも生じない。
【0037】
図3に、アンバランス出力する場合の回路構成を示す。切替スイッチ14はb接点側に切り替わる。また、切替スイッチ20,22はグラウンド側、切替スイッチ24はアンプ18側、切替スイッチ26はアンプ16側に切り替わる。
【0038】
D/Aコンバータ10には、デジタルオーディオデータ(正相)が供給される。D/Aコンバータ10は、デジタルオーディオデータをアナログ信号に変換し、アナログ正相信号としてアンプ16に出力する。アンプ16は、アナログ正相信号を増幅し、切替スイッチ20,26に出力する。
【0039】
D/Aコンバータ12にも、デジタルオーディオデータ(正相)が供給される。D/Aコンバータ12は、デジタルオーディオデータ(正相)をアナログ信号に変換し、アナログ正相信号としてアンプ18に出力する。アンプ18は、アナログ逆相信号を増幅し、切替スイッチ22,24に出力する。
【0040】
切替スイッチ20,22はグラウンド側に切り替わっているので、ミュート状態にあり信号は出力されない。切替スイッチ24はアンプ18からのアナログ正相信号をアンバランス端子に出力し、切替スイッチ26はアンプ16からのアナログ正相信号をアンバランス端子に出力する。
【0041】
以上のように、アンバランス端子からアナログ正相信号が出力される。バランス端子からは出力されないが、2つのアンプ16,18はともにアンバランス出力のために動作しており、しかも2つのアンプ16,18でともにアナログ正相信号を増幅して出力しており、ドライブ性能が実質的に2倍となっている点に着目されたい。
【0042】
なお、本実施形態では、バランス信号とアンバランス信号が選択的に出力され、バランス信号とアンバランス信号が同時に出力されることはないが、バランス信号とアンバランス信号を同時に使用する場合は極めて稀であることから、実用上は問題は生じない。また、バランス信号とアンバランス信号が選択的に出力されるため、たとえバランス端子とアンバランス端子に同時にケーブル等を接続しても、互いに影響を及ぼすことはない。
【0043】
<第2実施形態>
上記の第1実施形態では、D/Aコンバータ10,12を用いているが、必ずしもD/Aコンバータを用いる必要はない。
【0044】
図4に、本実施形態におけるバランス/アンバランス信号出力回路の回路構成を示す。本実施形態の回路は、2つのアンプ16,18、反転素子14、切替スイッチ14,20,22,24,26から構成される。
【0045】
アナログ正相信号は、アンプ16に供給される。また、アナログ正相信号は、反転素子13及び切替スイッチ14を介してアンプ18に供給される。
【0046】
アンプ(第1アンプ)16の出力端は、切替スイッチ20,26に接続される。また、アンプ(第2アンプ)18の出力端は、切替スイッチ22,24に接続される。
【0047】
切替スイッチ(第1切替スイッチ)20は、アンプ16側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端はバランスHOT出力端子に接続される。
【0048】
切替スイッチ(第2切替スイッチ)22は、アンプ18側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端はバランスCOLD出力端子に接続される。
【0049】
切替スイッチ(第3切替スイッチ)24は、アンプ18側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端はアンバランス出力端子に接続される。
【0050】
切替スイッチ(第4切替スイッチ)26は、アンプ16側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端は切替スイッチ24と同様にアンバランス出力端子に接続される。
【0051】
切替スイッチ20,22,24,26は、ミュート回路を兼ねており、ユーザがミュートを希望する場合にはその接点を全てグラウンド側に切り替える。
【0052】
また、切替スイッチ(第5切替スイッチ)14と切替スイッチ20,22,24,26は連動しており、ユーザは単一の手動操作スイッチを切り替えることでこれらの切替スイッチ14,20,22,24,26が連動して切り替わる。
【0053】
アンプ16,18、及び切替スイッチ20〜26の構成は第1実施形態と同様である。
【0054】
バランス出力する場合、切替スイッチ14がa接点側に切り替わる。また、切替スイッチ20,22がそれぞれアンプ16、18側に切り替わり、切替スイッチ24,26がグラウンド側に切り替わる。
【0055】
アンプ16は、アナログ正相信号を増幅して切替スイッチ20、26に出力する。また、アンプ18には、反転素子13からのアナログ逆相信号が供給され、アンプ18は、アナログ逆相信号を増幅して切替スイッチ22,24に出力する。
【0056】
切替スイッチ20は、アンプ16からのアナログ正相信号をバランスHOT端子に出力する。また、切替スイッチ22は、アンプ18からのアナログ逆相信号をバランスCOLD端子に出力する。切替スイッチ24,26はグラウンド側に切り替わっているので、ミュート状態にあり信号を出力しない。
【0057】
アンバランス出力する場合、切替スイッチ14がb接点側に切り替わる。また、切替スイッチ20,22がグラウンド側に切り替わり、切替スイッチ24,26がそれぞれアンプ18、16側に切り替わる。
【0058】
アンプ16は、アナログ正相信号を増幅して切替スイッチ20、26に出力する。また、アンプ18にも、アナログ正相信号が供給され、アンプ18は、アナログ正相信号を増幅して切替スイッチ22,24に出力する。
【0059】
切替スイッチ20,22は、グラウンド側に切り替わっているので、ミュート状態にあり信号を出力しない。切替スイッチ24は、アンプ18からのアナログ正相信号をアンバランス端子に出力する。また、切替スイッチ26は、アンプ16からのアナログ正相信号をアンバランス端子に出力する。
【0060】
本実施形態においても、バランス出力、アンバランス出力のいずれも、アンプ16,18が動作しており無駄となっていない。また、バランス出力の場合でも、バランスHOTとバランスCOLDはともに同一のアンプ16,18からの出力であるため、対称性が維持される。さらに、アンバランス出力の場合、2つのアンプ16,18を用いてバランス出力を生成しているので、ドライブ性能が向上する。
【0061】
<第3実施形態>
図5に、本実施形態におけるバランス/アンバランス信号出力回路の回路構成を示す。本実施形態の回路は、2つのアンプ16,18、切替スイッチ20,22,24,26及び切替スイッチ28,30から構成される。
【0062】
アナログ正相信号は、アンプ16に供給されるとともに、切替スイッチ28を介してアンプ18に供給される。また、アナログ逆相信号は、切替スイッチ30を介してアンプ18に供給される。
【0063】
アンプ(第1アンプ)16の出力端は、切替スイッチ20、26に接続される。また、アンプ(第2アンプ)18の出力端は、切替スイッチ22,24に接続される。
【0064】
切替スイッチ(第1切替スイッチ)20は、アンプ16側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端はバランスHOT出力端子に接続される。
【0065】
切替スイッチ22(第2切替スイッチ)は、アンプ18側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端はバランスCOLD出力端子に接続される。
【0066】
切替スイッチ(第3切替スイッチ)24は、アンプ18側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端はアンバランス出力端子に接続される。
【0067】
切替スイッチ(第4切替スイッチ)26は、アンプ16側とグラウンド側を切り替えるスイッチであり、その出力端は切替スイッチ24と同様にアンバランス出力端子に接続される。
【0068】
切替スイッチ20,22,24,26は、ミュート回路を兼ねており、ユーザがミュートを希望する場合にはその接点を全てグラウンド側に切り替える。
【0069】
また、切替スイッチ28,30と切替スイッチ20,22,24,26は連動しており、ユーザは単一の手動操作スイッチを切り替えることでこれらの切替スイッチ20,22,24,26,28,30が連動して切り替わる。切替スイッチ28、30は択一的に開閉し、切替スイッチ28がオン状態のときには切替スイッチ30はオフ状態にあり、切替スイッチ28がオフ状態のときには切替スイッチ30はオン状態にある。
【0070】
アンプ16,18、及び切替スイッチ20〜26の構成は第1実施形態と同様である。
【0071】
バランス出力する場合、切替スイッチ28がオフ状態、切替スイッチ30がオン状態となる。また、切替スイッチ20,22がそれぞれアンプ16、18側に切り替わり、切替スイッチ24,26がグラウンド側に切り替わる。
【0072】
アンプ16は、アナログ正相信号を増幅して切替スイッチ20、26に出力する。また、アンプ18には、切替スイッチ30を介してアナログ逆相信号が供給され、アンプ18は、アナログ逆相信号を増幅して切替スイッチ22,24に出力する。
【0073】
切替スイッチ20は、アンプ16からのアナログ正相信号をバランスHOT端子に出力する。また、切替スイッチ22は、アンプ18からのアナログ逆相信号をバランスCOLD端子に出力する。切替スイッチ24,26はグラウンド側に切り替わっているので、ミュート状態にあり信号を出力しない。
【0074】
アンバランス出力する場合、切替スイッチ28がオン状態、切替スイッチ30がオフ状態となる。また、切替スイッチ20,22がグラウンド側に切り替わり、切替スイッチ24,26がそれぞれアンプ18、16側に切り替わる。
【0075】
アンプ16は、アナログ正相信号を増幅して切替スイッチ20、26に出力する。また、アンプ18にも、切替スイッチ28を介してアナログ正相信号が供給され、アンプ18は、アナログ正相信号を増幅して切替スイッチ22,24に出力する。
【0076】
切替スイッチ20,22は、グラウンド側に切り替わっているので、ミュート状態にあり信号を出力しない。切替スイッチ24は、アンプ18からのアナログ正相信号をアンバランス端子に出力する。また、切替スイッチ26は、アンプ16からのアナログ正相信号をアンバランス端子に出力する。
【0077】
本実施形態においても、バランス出力、アンバランス出力のいずれも、アンプ16,18が動作しており無駄となっていない。また、バランス出力の場合でも、バランスHOTとバランスCOLDはともに同一のアンプ16,18からの出力であるため、対称性が維持される。さらに、アンバランス出力の場合、2つのアンプ16,18を用いてバランス出力を生成しているので、ドライブ性能が向上する。
【0078】
なお、第1〜第3実施形態のバランス/アンバランス信号出力回路は、バランス出力とアンバランス出力を備える装置であれば、そのいずれかの実施形態が適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
10,12 D/Aコンバータ、13 反転素子、14 切替スイッチ、16,18 アンプ、20,22,24,26,28,30 切替スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ正相信号を増幅する第1アンプと、
アナログ正相信号、あるいは前記アナログ正相信号の位相を反転させたアナログ逆相信号のいずれかを選択的に増幅する第2アンプと、
前記第1アンプからの出力とグラウンドとを選択的に切り替えてバランスHOT端子に出力する第1切替スイッチと、
前記第2アンプからの出力とグラウンドとを選択的に切り替えてバランスCOLD端子に出力する第2切替スイッチと、
前記第2アンプからの出力とグラウンドとを選択的に切り替えてアンバランス端子に出力する第3切替スイッチと、
前記第1アンプからの出力とグラウンドとを選択的に切り替えて前記アンバランス端子に出力する第4切替スイッチと、
を備えることを特徴とするバランス/アンバランス信号出力回路。
【請求項2】
請求項1記載のバランス/アンバランス信号出力回路において、
バランス出力の場合に、
前記第2アンプは、前記アナログ逆相信号を増幅し、
前記第1切替スイッチは、前記第1アンプからの出力を前記バランスHOT端子に出力し、
前記第2切替スイッチは、前記第2アンプからの出力を前記バランスCOLD端子に出力し、
前記第3切替スイッチ及び第4切替スイッチは、ともにグラウンドに切り替えられ、
アンバランス出力の場合に、
前記第2アンプは、前記アナログ正相信号を増幅し、
前記第1切替スイッチ及び第2切替スイッチは、ともにグラウンドに切り替えられ、
前記第3切替スイッチは、前記第2アンプからの出力を前記アンバランス端子に出力し、
前記第4切替スイッチは、前記第1アンプからの出力を前記アンバランス端子に出力する
ことを特徴とするバランス/アンバランス信号出力回路。
【請求項3】
請求項2記載のバランス/アンバランス信号出力回路において、
前記第2アンプの前段に設けられ、前記アナログ正相信号の位相を反転してアナログ逆相信号を出力する反転素子と、
前記アナログ正相信号と、前記反転素子からの前記アナログ逆相信号とを選択的に切り替えて前記第2アンプに出力する第5切替スイッチと、
を備えることを特徴とするバランス/アンバランス信号出力回路。
【請求項4】
請求項2記載のバランス/アンバランス信号出力回路において、
デジタルデータをアナログ正相信号に変換して前記第1アンプに出力する第1D/Aコンバータと、
前記デジタルデータあるいは前記デジタルデータを反転した反転デジタルデータのいずれかを選択的に変換してアナログ正相信号あるいはアナログ逆相信号を前記第2アンプに出力する第2D/Aコンバータと、
を備えることを特徴とするバランス/アンバランス信号出力回路。
【請求項5】
請求項4記載のバランス/アンバランス信号出力回路において、
前記第2D/Aコンバータの前段に設けられ、前記デジタルデータを反転する反転素子と、
前記デジタルデータと、前記反転素子からの反転デジタルデータとを選択的に切り替えて前記第2D/Aコンバータに出力する第5切替スイッチと、
を備えることを特徴とするバランス/アンバランス信号出力回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5291(P2013−5291A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135629(P2011−135629)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】