説明

バリケード

【課題】多数重ね置いたり又は並べ置いたりした際に整一な状態で保管できる開閉式のバリケードを提供する。
【解決手段】バリケード1Aは、前側の脚部材2における脚部材本体部21の中心軸線CLが、回動部11周りにおいて該回動部11よりも前方に偏位していると共に、後側の脚部材2における脚部材本体部21の中心軸線CLが、該回動部11周りにおいて該回動部11よりも後方に偏位しており、閉脚状態βとするとバリケード前面xとバリケード後面yとが互いに平行となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開脚することで自立して使用可能となる開脚状態、又は、閉脚することで鉛直方向に重ね置き又は水平方向に並び置きして保管可能となる閉脚状態、となる開閉式のバリケードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工事現場等で使用されるバリケードはよく知られている。該バリケードは、開閉式となっており、開脚させると自立可能となり、工事現場等の所要位置に設置されて車両や人の侵入を防止する。一方、該バリケードは、閉脚させるとコンパクトな形態となるため、多数のバリケードを鉛直方向に重ね置き又は水平方向に並び置きして保管可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、相互の支持脚を閉じる方向に力を加えると閉脚する木製バリケードが開示されている。また、特許文献2には、第2の脚体を第1の脚体の支柱間に収納することによって閉じた状態となるバリケードが開示されている。さらに、特許文献3には、コの字状断面の柱部材が互いに嵌め合い状態に重ねられて閉じた状態となるバリケードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−355916号公報
【特許文献2】特開2003−342922号公報
【特許文献3】特開2009−41288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている構成は、次のような問題がある。すなわち、保管すべく、支持脚の上端部に設定された回動部を中心に該支持脚を閉じて、該支持脚と該支持脚に設けられた下部平板とが当接した閉脚状態とした際に、保管時に隣接することとなる他のバリケードが当接するバリケード前面とバリケード後面とが互いに平行にならない。このため、該バリケードを多数重ね置き、又は並び置いた場合には、バリケードの上端が並ぶ位置と下端が並ぶ位置とで厚みの偏りが生じてしまい、多数のバリケードを整一な状態で保管しておくことができないという問題が生じる。特にバリケードを積み上げた場合は、荷崩れが起こりやすく、危険である。また、特許文献2に開示されている構成も、脚体と左右方向の連結部材とが当接した閉脚状態において、バリケード前面とバリケード後面とが互いに平行にならず、上記特許文献1にかかる構成と同様の問題が生じる。さらに、特許文献3に開示されている構成は、コの字状断面の柱部材が互いに嵌め合う状態で閉脚状態となるため、該閉脚状態でバリケード前面とバリケード後面とが互いに平行となりうるが、仮に脚部材に管材を適用した場合には、コの字状断面の柱部材を構成することができず、閉脚状態でバリケード前面とバリケード後面とを平行にすることができなくなる。
【0006】
そこで、本発明は、脚部材の断面形状に制限されることなく、閉脚状態でバリケード前面とバリケード後面とが平行となることにより、多数のバリケードを整一な状態で保管しておくことができる開閉式のバリケードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、開脚することで自立して使用可能となる開脚状態、又は、閉脚することで鉛直方向に重ね置き又は水平方向に並び置きして保管可能となる閉脚状態、となる開閉式のバリケードであって、互いに各上端部が回動自在に連結された前後一対の脚部材を備え、該前後一対の脚部材が左右に配置され、かつ各前後一対の脚部材における脚部材同士が連結している回動部間に、上側横架部が差し渡されており、前記回動部において前側の脚部材の中心軸線が、該回動部周りにおいて該回動部よりも前方に偏位していると共に、後側の脚部材の中心軸線が、該回動部周りにおいて該回動部よりも後方に偏位しており、前記閉脚状態では、各前後一対の脚部材において該脚部材の閉じる方向への回動が規制され、かつ、保管時に隣接する他のバリケードが当接することとなるバリケード前面とバリケード後面とが互いに平行になることを特徴とするバリケードである。
【0008】
このように本発明は、脚部材の中心軸線を回動部に対して偏位させて該中心軸線上に回動部が位置しないような構成としたことを大きな特徴としている。こうすることで、脚部材の断面形状に制限されることなく、各前後一対の脚部材において該脚部材の閉じる方向への回動が規制された閉脚状態でバリケード前面とバリケード後面とを互いに平行とすることが可能となり、多数のバリケードを重ね置き又は並び置いた際にこれらバリケードが整一に配列されることになる。したがって、本発明にかかるバリケードは、安定して高く積み上げたり、コンパクトに並べ置いたりすることができる利点がある。また、前記したように本発明は、脚部材の断面形状に制限を受けないため、例えば脚部材として簡素で軽量なパイプ(管材)を用いることも可能である。
【0009】
また、上記構成にあって、前記脚部材が、脚部材本体部と、該脚部材本体部の上端部から屈曲して差し出されているオフセット部と、からなり、該オフセット部の先端部に、前記回動部が配置されており、前側の脚部材における脚部材本体部の中心軸線が、該回動部周りにおいて該回動部よりも前方に偏位していると共に、後側の脚部材における脚部材本体部の中心軸線が、該回動部周りにおいて該回動部よりも後方に偏位しているものとしてもよい。
【0010】
かかる構成とすることにより、比較的細い外径寸法の脚部材を用いた場合にも、該回動部に対して脚部材本体部の中心軸線を所要距離だけ偏位させることが可能となり、閉脚状態で適切にバリケード前面とバリケード後面とを平行にすることができる。
【0011】
また、前記回動部が、一方の脚部材の上端部に突設された左右方向の軸部と、他方の脚部材の上端部に設けられた、前記軸部に回動自在に嵌合している嵌合部と、で構成されているものとしてもよい。
【0012】
かかる構成とすることにより、部品点数を増やすことなく前記回動部を簡易な構造とすることが可能となるため、脚部材の連結作業が容易になり、全体としてバリケードの組付け作業が簡便なものとなる。
【0013】
さらに、上記構成にあって、一方の脚部材の前記軸部に第1の係止部が設けられ、他方の脚部材の前記嵌合部に前記第1の係止部に係止可能な第2の係止部が設けられ、該前後一対の脚部材が開く方向に回動して該第1の係止部と該第2の係止部とが係止した状態になると、前記前後一対の脚部材の開く方向への回動が規制されて前記開脚状態となる構成が提案される。
【0014】
かかる構成にあっては、例えば軸部と第1の係止部とを、あるいは嵌合部と第2の係止部とをそれぞれ一体成形することが可能となり、部品点数を増やすことなく簡易な構造で脚部材の開く方向への回動を確実に規制することができる。
【0015】
また、前記前後一対の脚部材の上端部における連結構造が、左右に配置された該前後一対の脚部材間において互いに非鏡像関係の同一形状となっている構成とすることもできる。
【0016】
このように前記連結構造を、非鏡像関係の同一形状とすると、該連結構造を構成する部品を、共通の金型等を用いて作製することが可能となり、全体としてバリケードの製造コストを抑えることが可能となる。
【0017】
また、前記左右に配置された前後一対の脚部材間において前側の脚部材同士及び後側の脚部材同士にそれぞれ差し渡された下側横架部を備えており、前記前側の下側横架部と、前記後側の下側横架部との間に、リンク部材からなる伸縮自在な開き角度規制手段が掛け渡されており、該開き角度規制手段が最大に伸長した位置で、前後一対の脚部材の開く方向への回動が規制されて前記開脚状態となる構成が好ましい。
【0018】
かかる構成とすることにより、下側横架部を用いて脚部材の開き角度を規制することができるため、該バリケードの構造を複雑にすることなく、確実に開脚状態を保持することが可能となる。
【0019】
さらに、前記開き角度規制手段が、左右方向に複数列設されており、少なくとも一対の開き角度規制手段の間に、左右方向に配向された操作杆が差し渡されており、該操作杆が引き上げられると、該操作杆の上昇に伴い前記開き角度規制手段が収縮すると共に前側の下側横架部と後側の下側横架部とが接近し、前後一対の脚部材が閉じる方向へ回動する構成が好ましい。
【0020】
かかる構成とすることにより、作業者が容易にバリケードを開脚状態から閉脚状態とすることができるため、バリケードの撤去作業や保管作業が迅速に行える利点がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明のバリケードは、閉脚状態でバリケード前面とバリケード後面とが平行となるため、鉛直方向に重ね置いた際又は水平方向に並び置いた際に整一に配列可能となる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1にかかる開脚状態のバリケードを示す側面図。
【図2】図1に示すバリケードの正面図。
【図3】実施例1にかかる閉脚状態のバリケードを示す側面図。
【図4】図3に示すバリケードの正面図。
【図5】前後一対の脚部材における回動部を拡大して示す拡大斜視図であって、(a)は閉脚状態を示す拡大斜視図、(b)は開脚状態を示す拡大斜視図。
【図6】開き角度規制手段の回動部を拡大して示す拡大斜視図。
【図7】閉脚状態における前後一対の脚部材の下端部を拡大して示す拡大斜視図。
【図8】実施例2にかかる開脚状態のバリケードを示す正面図。
【図9】実施例3にかかる前後一対の脚部材における回動部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の開閉式のバリケードを具体化した実施例を詳細に説明する。なお、説明上、該バリケードに対して前後方向、及び左右方向を規定しているが、本発明の要旨を限定するものではない。また、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0024】
(実施例1)
図1に示すように、バリケード1Aは、回動自在に連結された前後一対の脚部材2,2を備えている。具体的には、各脚部材2,2の上端部に回動部11が設定されており、該回動部11を介して該脚部材2,2が回動する。また、各脚部材2は、直線形状の脚部材本体部21と、該脚部材本体部21の上端部から前記回動部11に向かって屈曲して差し出されているオフセット部22とを備えている。そして、該オフセット部22の先端部(図1において上端部)に、前記回動部11が配されている。なお、脚部材本体部21に対するオフセット部22の屈曲角度や屈曲形状は、本実施例のものに限定されることはなく、例えば鋭角に折れ曲がる形状であってもよいし、緩やかに湾曲する形状であってもよい。
【0025】
また、前記バリケード1Aにおいては、図2に示すように、前記前後一対の脚部材2,2が、左右に並んで二つ配置されている。そして、該左右に配置された前後一対の脚部材2,2の間であって、前記回動部11に対応する位置には、看板40が吊り下げられた上側横架部4が差し渡されている。また、図1,2に示すように、該左右に配置された前後一対の脚部材2,2の間であって、前側の脚部材2,2の下端部同士、及び後側の脚部材2,2の下端部同士には、それぞれ下側横架部6,6が差し渡されている。
【0026】
また、図1に示すように、前記前側の下側横架部6と、前記後側の下側横架部6との間には、リンク部材7A,7Aで構成された開き角度規制手段7が掛け渡されている。さらに詳述すると、該開き角度規制手段7の各リンク部材7A,7Aは、回動部51を介して互いに連結されていると共に、前記前側の下側横架部6及び前記後側の下側横架部6に対してそれぞれ回動自在に連結されている。そして、該開き角度規制手段7は、前記回動部51を中心にして開閉することにより、前後方向に伸縮する。
【0027】
また、図4に示すように、前記開き角度規制手段7は、前側の下側横架部6と後側の下側横架部6との間において左右に並んで二つ列設されており、該左右一対の開き角度規制手段7,7の回動部51,51間には、左右方向に配向された操作杆8が差し渡されている。
【0028】
また、図1,図3に示すように、本発明のバリケード1Aは、前側の脚部材2における脚部材本体部21の中心軸線CLが、前記回動部11周りにおいて該回動部11よりも前方に偏位していると共に、後側の脚部材2における脚部材本体部21の中心軸線CLが、該回動部11周りにおいて該回動部11よりも後方に偏位している。
【0029】
さらに、図5に従って前記回動部11について詳述する。
前後一対の脚部材2,2において、一方の脚部材2の上端部に、左右方向に配向された軸部13が形成され、他方の脚部材2の上端部に、ほぼC字状の嵌合部15が形成されている。そして、該嵌合部15の先端に形成された切欠部を介して、該嵌合部15内に該軸部13が圧入されることにより、該軸部13と該嵌合部15とが回動自在に嵌合している。そして、該軸部13周りに該嵌合部15が回動して該前後一対の脚部材2,2が開閉することとなる。
【0030】
また、図5aに示すように、前記回動部11における軸部13の幅広頭部13Aには、第1係止部14が突設されていると共に、前記嵌合部15の根端部近傍には、前記第1係止部14に係止可能な第2係止部16が設けられている。そして、該前後一対の脚部材2,2が開く方向に回動し、該第1係止部14と該第2係止部16とが係止した状態になると(図5b参照)、該前後一対の脚部材2,2の開く方向への回動が規制される。
【0031】
さらに、図6に従って前記開き角度規制手段7における回動部51について詳述する。
開き角度規制手段7におけるリンク部材7A,7Aにおいて、一方のリンク部材7Aの端部には、左右方向に配向された軸部53が形成されており、他方のリンク部材7Aの端部には、該軸部53に回動自在に嵌合するほぼC字状の嵌合部55が形成されている。そして、該軸部53の周りに該嵌合部55が装着されて回動することで、リンク部材7A,7Aが開閉し、開き角度規制手段7が前後方向に伸縮する。
【0032】
さらに、図6に示すように、該軸部53に形成された幅広頭部53Aには、第3係止部54が突設されている。また、該嵌合部55の根端部近傍には、前記第3係止部54に係止可能な第4係止部56が設けられている。そして、該回動部51を中心にリンク部材7A,7Aが回動して該第3係止部54と該第4係止部56とが係止した位置で、該開き角度規制手段7を構成するリンク部材7A,7Aが水平方向で略一直線となり、該開き角度規制手段7が最も伸長した状態となる。
【0033】
これまでに述べた構成のバリケード1Aは、図1に示すように、前後一対の脚部材2,2を開くことで、自立して使用可能となる開脚状態αとなる。該開脚状態αにあっては、前記開き角度規制手段7が最大に伸長し、前後一対の脚部材2,2の開く方向への回動が規制されている。また、前記回動部11における前記軸部13の第1係止部14と嵌合部15の第2係止部16とが係止して、該前後一対の脚部材2,2の開く方向への回動が規制され、安定的に開脚状態αが保持されている。
【0034】
そして、バリケード1Aを保管すべく、前記開脚状態αのバリケード1Aの下部に配された前記操作杆8を作業者が引き上げると、図3,図4に示すように、該操作杆8の上昇に伴い前記開き角度規制手段7のリンク部材7A,7Aが折り畳まれて該開き角度規制手段7が収縮すると共に、前記リンク部材7A,7Aが前記前側の下側横架部6及び前記後側の下側横架部6に対して回動しながら、前側の下側横架部6と後側の下側横架部6とが互いに接近し、前後一対の脚部材2,2が閉じる方向へ回動する。そして、図7に示すように、一方の脚部材2と、他方の脚部材2の下側横架部6の端部により構成される当接部60とが干渉して各前後一対の脚部材2,2において該脚部材2の閉じる方向への回動が規制されると、図3に示すように、保管時に隣接する他のバリケード1A,1Aが当接することとなるバリケード前面xとバリケード後面yとが互いに平行となる。このように、バリケード1Aは、脚部材2の上端部に前記オフセット部22を設けて脚部材本体部21の中心軸線CLを回動部11に対して偏位させたため、閉脚状態βのバリケード1Aを鉛直方向に多数重ね置いたり、水平方向に多数並び置いたりして多数のバリケード1Aを整一な状態で保管することができる。
【0035】
なお、前記脚部材2の脚部材本体部21、上側横架部4、下側横架部6、開き角度規制手段7を構成するリンク部材7A、及び操作杆8は、例えば硬質塩化ビニル製であって、管軸に直交する断面が円形で全長に亘って一定外径のパイプ(管材)で構成することが好ましい。また、前記パイプを使用した場合、パイプ同士を接続するために、適宜、樹脂製の継手を用いるのが好ましい。このように、樹脂製のパイプや継手を使用すると、バリケード1Aが低コストで軽量、かつ大量生産可能となる利点がある。また、前記脚部材2のオフセット部22は、図5に示すように、パイプからなる前後一対の脚部材本体部21,21同士を回動自在に連結する継手Pに突成されているパイプ接続部P1,P1で構成するようにしてもよい。また、該継手Pは、脚部材本体部21を構成する樹脂製パイプにインサート成形を施すことによって構成することも可能である。また、脚部材2の脚部材本体部21、上側横架部4、下側横架部6、開き角度規制手段7を構成するリンク部材7A、及び操作杆8は、長尺の板状部材や角材等で構成されていてもよい。さらに、隣り合うバリケード1A同士の接触面積を増加させて重ね置きした際の安定性を高めるために、脚部材2、上側横架部4、あるいは下側横架部6の外表面にリブが適宜形成されていてもよい。
【0036】
また、本実施例のバリケード1Aは、前後一対の脚部材2,2の上端部における連結構造が、左右に配置された該前後一対の脚部材2,2間において互いに非鏡像関係の同一形状となっている。すなわち、図2,図4に示すように、バリケード1Aを正面視した際に、各前後一対の脚部材2,2における隣り合う脚部材2,2は左右に隣り合っているところ、左側の前後一対の脚部材2,2にあっては、前側の脚部材2が右側に配され、後側の脚部材2が左側に配されている。そして、該前側の脚部材2に軸部13が形成され、該後側の脚部材2に嵌合部15が形成されている。一方、右側の前後一対の脚部材2,2にあっては、前側の脚部材2が右側に配され、後側の脚部材2が左側に配されている。そして、該後側の脚部材2に軸部13が形成され、該前側の脚部材2に嵌合部15が形成されている。このように、左右に配置された前後一対の脚部材2,2間において、脚部材2,2を連結している回動部11の構造が互いに非鏡像関係の同一形状となるようにすると、回動部11を構成する継手Pを左右に配置された前後一対の脚部材2,2において共通して用いることが可能となり、該継手Pを製造するための金型、あるいは継手Pを、脚部材本体部21を構成する樹脂製パイプにインサート成形するための金型が一種で足りるため、全体としてバリケード1Aの製造コストを抑えることが可能となる。
【0037】
また、前後一対の脚部材2,2の回動部11や開き角度規制手段7の回動部51を構成するために樹脂製継手を使用した場合、該継手を成形加工する際に軸部13,53や嵌合部15,55を一体成形して作製することができる。かかる構成とすることにより、回動部11,51の構造が簡素となると共に、回動部11,51に金属製のボルト等の固定手段を使用する必要がなくなるため、例えば錆の発生などの問題を排除できる。
【0038】
また、上記構成のバリケード1Aは、全体として簡素な構造体であり、組付け作業も簡便であるため、低コストで大量生産することが可能である。なお、本発明は金属製の脚部材やコの字状の断面を有する脚部材を用いた構成を積極的に排除するものではない。
【0039】
(実施例2)
本実施例のバリケード1Bは、図8に示すように、前後一対の脚部材2,2の上端部における連結構造が、左右に配置された該前後一対の脚部材2,2間において互いに鏡像関係となっている。すなわち、バリケード1Bを正面視した際に、左側の前後一対の脚部材2,2にあっては、前側の脚部材2は右側に配され、後側の脚部材2は左側に配されている。そして、該前側の脚部材2に軸部13が形成され、該後側の脚部材2に嵌合部15が形成されている。一方、右側の前後一対の脚部材2,2にあっては、前側の脚部材2は左側に配され、後側の脚部材2は右側に配されている。そして、該前側の脚部材2に軸部13が形成され、該後側の脚部材2に嵌合部15が形成されている。したがって、左側の前後一対の脚部材2,2の回動部11を構成する継手、及び右側の前後一対の脚部材2,2の回動部110を構成する継手は、別々の成形型によって作製されることとなる。かかる構成にあっても、該バリケード1Bを鉛直方向に多数重ね置いたり、水平方向に多数並び置いたりして多数のバリケード1Bを整一な状態で保管することができる。
【0040】
(実施例3)
また、前記回動部11,110については、他の形態が提案される。
すなわち、図9a,図9bに示すように、バリケード1A,1Bを平面視した際に、前後一対の脚部材2,2の各中心軸線CLが、該バリケード1A,1Bにおける左右方向に対して直交する同一の鉛直平面内に含まれるように、各脚部材2,2を連結する回動部111,112であってもよい。かかる構成の回動部111,112を採用したバリケード1A,1Bにあっては、閉脚状態βとした際に、該前後一対の脚部材2,2同士が干渉して該脚部材2の閉じる方向への回動が規制され、この状態でバリケード前面xとバリケード後面yとが互いに平行となる。
【0041】
なお、実施例1,2にかかるバリケード1A,1Bは、一方の脚部材2と、他方の脚部材2に接続された下側横架部6に設けられた当接部60とが干渉したところで閉脚状態βとなり、実施例3にかかる構成の場合は、前後一対の脚部材2,2同士が互いに干渉したところで閉脚状態βとなるが、これらの構成に代えて、各脚部材2,2に別途当接部60を構成する突起部等を設けて一方の脚部材2の当接部60と他方の脚部材2とが干渉すると前後一対の脚部材2,2の閉じる方向への回動が規制されて閉脚状態βとなるような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1A,1B バリケード
2 脚部材
4 上側横架部
6 下側横架部
7 開き角度規制手段
7A,7A リンク部材
8 操作杆
11,110〜112 回動部
13 軸部
14 第1係止部
15 嵌合部
16 第2係止部
21 脚部材本体部
22 オフセット部
CL 中心軸線
x バリケード前面
y バリケード後面
α 開脚状態
β 閉脚状態




【特許請求の範囲】
【請求項1】
開脚することで自立して使用可能となる開脚状態、又は、閉脚することで鉛直方向に重ね置き又は水平方向に並び置きして保管可能となる閉脚状態、となる開閉式のバリケードであって、
互いに各上端部が回動自在に連結された前後一対の脚部材を備え、該前後一対の脚部材が左右に配置され、かつ各前後一対の脚部材における脚部材同士が連結している回動部間に、上側横架部が差し渡されており、
前記回動部において前側の脚部材の中心軸線が、該回動部周りにおいて該回動部よりも前方に偏位していると共に、後側の脚部材の中心軸線が、該回動部周りにおいて該回動部よりも後方に偏位しており、
前記閉脚状態では、各前後一対の脚部材において該脚部材の閉じる方向への回動が規制され、かつ、保管時に隣接する他のバリケードが当接することとなるバリケード前面とバリケード後面とが互いに平行になることを特徴とするバリケード。
【請求項2】
前記脚部材が、脚部材本体部と、該脚部材本体部の上端部から屈曲して差し出されているオフセット部と、からなり、
該オフセット部の先端部に、前記回動部が配置されており、
前側の脚部材における脚部材本体部の中心軸線が、該回動部周りにおいて該回動部よりも前方に偏位していると共に、後側の脚部材における脚部材本体部の中心軸線が、該回動部周りにおいて該回動部よりも後方に偏位している
請求項1に記載のバリケード。
【請求項3】
前記回動部が、
一方の脚部材の上端部に突設された左右方向の軸部と、
他方の脚部材の上端部に設けられた、前記軸部に回動自在に嵌合している嵌合部と、
で構成されている
請求項1又は請求項2に記載のバリケード。
【請求項4】
一方の脚部材の前記軸部に第1の係止部が設けられ、他方の脚部材の前記嵌合部に前記第1の係止部に係止可能な第2の係止部が設けられ、
該前後一対の脚部材が開く方向に回動して該第1の係止部と該第2の係止部とが係止した状態になると、前記前後一対の脚部材の開く方向への回動が規制されて前記開脚状態となる
請求項3に記載のバリケード。
【請求項5】
前記前後一対の脚部材の上端部における連結構造が、左右に配置された該前後一対の脚部材間において互いに非鏡像関係の同一形状となっている
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のバリケード。
【請求項6】
前記左右に配置された前後一対の脚部材間において前側の脚部材同士及び後側の脚部材同士にそれぞれ差し渡された下側横架部を備えており、
前記前側の下側横架部と、前記後側の下側横架部との間に、リンク部材からなる伸縮自在な開き角度規制手段が掛け渡されており、該開き角度規制手段が最大に伸長した位置で、前後一対の脚部材の開く方向への回動が規制されて前記開脚状態となる
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のバリケード。
【請求項7】
前記開き角度規制手段が、左右方向に複数列設されており、少なくとも一対の開き角度規制手段の間に、左右方向に配向された操作杆が差し渡されており、
該操作杆が引き上げられると、該操作杆の上昇に伴い前記開き角度規制手段が収縮すると共に前側の下側横架部と後側の下側横架部とが接近し、前後一対の脚部材が閉じる方向へ回動する
請求項6に記載のバリケード。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−7179(P2013−7179A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139331(P2011−139331)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】