説明

バーコード印刷装置

【課題】バーコード印刷時における尾引き現象を防止することにより、バー幅とスペース幅の比率が適切なバーコード印刷を実現できるバーコード印刷装置を提供する。
【解決手段】主走査方向に平行なバーとスペースを有するバーコードを含む印刷データを印刷するバーコード印刷装置において、印刷データにおけるバーコードの位置を示すバーコード位置情報と印刷データにおけるライン毎のデータ値に基づいてバーコードのバーからスペースへの変化点を検出する検出手段と、前記検出手段によりバーコードのバーからスペースへの変化点を検出した場合、スペースの直前のバーを印刷するための駆動信号をタイミングを早めて出力する出力手段を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードを含む印刷データを印刷するバーコード印刷装置に関し、とくにバーが主走査方向に平行になっているバーコードを印刷するバーコード印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーが主走査方向に平行になっているバーコード(縦バーコード)をサーマルプリンタで印刷する場合、印刷媒体を副走査方向に移動させながらバーの位置にライン状に配設された発熱体を発熱させることにより印刷を行っている。感熱方式の場合は感熱紙を発色させて、また熱転写方式の場合はインクリボンのインクを溶融して印刷媒体に熱転写して、それぞれ印刷を行う。図11に従来のバーコード印刷の仕方を示す。
【0003】
図11において、右側に印刷媒体Pとサーマルプリンタに具備されたサーマルヘッド2を示し、左側に印刷結果を拡大して示す。サーマルヘッド2には発熱素子2aがライン状に設けられている。印刷媒体Pは副走査方向に搬送され、印刷媒体Pの左側にはバーコードBが印刷される。印刷媒体Pを副走査方向に移動しながらサーマルヘッド2の該当する発熱素子を発熱させることにより、バーコードBが主走査方向に平行に印刷される。バーコードBにスペースが存在する場合、左側に白丸で示すように、ライン状に印刷しないことでスペースとしての間隔を確保している。このようなバーコードを印刷する従来技術として、例えば特開2008−3994号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−3994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来のバーコード印刷においては、ドットが副走査方向に伸びる所謂尾引き現象が発生する。これを図を用いて説明する。図12は従来のバーコード印刷を示す説明図で、左側にバーコード印刷における理想の印刷結果を示し、右側にサーマルプリンタによる実際の印刷結果を示す。図12において、サーマルプリンタの場合、サーマルヘッド内部の発熱素子を発熱させることで印刷を行う。このとき印刷媒体は副走査方向(矢印A方向)に搬送されているため、バーの印刷のために発熱させた発熱素子の熱がスペースの部分になっても垂下しきれず、ドットが副走査方向(スペースの方向)に伸びる。これが所謂尾引き現象である。この尾引き現象は、縦罫線を印刷する場合に縦のラインがつながるという利点もあるが、バーコード印刷の場合はバーの幅とスペースの幅の比率に狂いが生じ、バーコードのランクが落ちたり、最悪の場合読取り不能になったりするという問題があった。
【0006】
したがって本発明は、バーコード印刷時における尾引き現象を防止することにより、バー幅とスペース幅の比率が適切なバーコード印刷を実現できるバーコード印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、主走査方向に平行なバーとスペースを有するバーコードを含む印刷データを印刷するバーコード印刷装置において、印刷データにおけるバーコードの位置を示すバーコード位置情報と印刷データにおけるライン毎のデータ値に基づいてバーコードのバーからスペースへの変化点を検出する検出手段と、前記検出手段によりバーコードのバーからスペースへの変化点を検出した場合、スペースの直前のバーを印刷するための駆動信号をタイミングを早めて出力する出力手段を具備したことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、主走査方向に平行なバーとスペースを有するバーコードを含む印刷データを印刷するバーコード印刷装置において、印刷データにおけるバーコードの位置を示すバーコード位置情報と印刷データにおけるライン毎のデータ値に基づいてバーコードの1ドット幅のバーを検出する検出手段と、前記検出手段によりバーコードの1ドットバーを検出した場合、該1ドット幅のバーを印刷するための駆動信号を出力時間を短くして出力する出力手段を具備したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バーコード印刷時における尾引き現象が防止され、バー幅とスペース幅の比率が適切なバーコード印刷を実現できるバーコード印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1のサーマルプリンタを示す概略構成図である。
【図2】実施例1の制御系を示す回路ブロック図である。
【図3】実施例1のヘッド制御部を示すブロック図である。
【図4】実施例1のデコーダの詳細構成を示すブロック図である。
【図5】実施例1のサーマルプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例1の印刷動作を示すタイムチャートである。
【図7】実施例1における印刷結果を示す説明図である。
【図8】実施例2のデコーダの詳細構成を示すブロック図である。
【図9】実施例2の印刷動作を示すタイムチャートである。
【図10】実施例2における印刷結果を示す説明図である。
【図11】従来のバーコード印刷の仕方を示す説明図である。
【図12】従来のバーコード印刷を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。図1は本発明の実施例1のサーマルプリンタを示す概略構成図、図2は実施例1の制御系を示す回路ブロック図である。以下に説明する実施例においては、バーコード印刷装置の例として感熱紙を使用するサーマルプリンタを用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1において、実施例1のサーマルプリンタ1には、サーマルヘッド2、ラインフィード(LF)モータ3、プラテン4、印刷媒体5、ギア列6、ロール紙ホルダ7および用紙ガイド8が設けられている。サーマルヘッド1は主走査方向に配列された発熱素子を有し、発熱素子の熱を印刷媒体5に与える。プラテン4は印刷媒体5を挟んでサーマルヘッド2に圧接して回転可能に設けられ、印刷媒体5はプラテン4の回転により搬送される。
【0013】
プラテン4はギア列6を介してラインフィードモータ3により回転される。印刷媒体5は、ラインフィードモータ3の回転方向により排出する方向又はその反対方向に搬送される。印刷媒体5はロール紙ホルダ7により回転可能に支持され、用紙ガイド8に案内されてサーマルヘッド2とプラテン4の間に挟みこまれるようにセットされる。
【0014】
図2において、CPU9はサーマルプリンタ1の動作全体を制御するもので、コントロール信号バス15を介してLSI10、ROM11、RAM12に接続されている。ROM11は制御用プログラムを格納する。RAM12は動作に必要なデータ等を格納する。CPU9はROM11にアクセスしてROM11に書き込まれているプログラムを受信したり、LSI10やRAM12にアクセスしてLSI10やRAM12とデータの送受信をしたりし、印刷の際にはLSI10に対して、縦バーコードが含まれるか否かの情報および含まれる場合はバーコードは印刷データのなかのどの位置にあるかの情報(バーコード位置情報)を送信する。
【0015】
LSI10は、バスインタフェース(IF)16、操作部インタフェース(IF)17、ヘッド制御部18、モータ制御部19および外部インタフェース(IF)20を有する。LSI10は、コントロール信号バス15とバスIF16を介してCPU9とデータの送受信を行う。外部IF20は上位ホスト14に接続され、操作部IF17は操作部13に接続され、ヘッド制御部18はサーマルヘッド2に接続され、モータ制御部19はラインフィードモータ3に接続されている。
【0016】
LSI10は外部IF20を介して上位ホスト14とのデータ送受信の制御を行う。またLSI10は操作部IF17を介してオペレータが行った操作部13のスイッチ操作や点灯動作等を制御する。またLSI10は、ヘッド制御部18を介してサーマルヘッド2を制御し、さらにモータ制御部19を介してLFモータ3を制御する。
【0017】
図3は実施例1のヘッド制御部を示すブロック図である。図3において、ヘッド制御部18は、コマンド受信部21、モータ制御部インタフェース(IF)22、ラスタデータバッファコントローラ23、ラスタデータバッファ24、レジスタ群25、デコーダ26、ヘッド転送データバッファ27およびデータ転送部28を有する。コマンド受信部21は、ヘッド制御部18の内部の各部およびヘッド制御部18外の各部に接続され、バスIF16から受信したデータをデコードし、必要な各部にアクセスしてデータをリード・ライトする。
【0018】
モータ制御部IF22は、ラインフィードモータ3の動作を制御するもので、ラインフィードローラ3の励磁相切替周期などの印刷タイミングのトリガとなる情報をデータ転送部28に送信する。ラスタデータバッファコントローラ23はFIFOコントローラであり、レジスタ群25に書き込まれている設定内容にしたがってラスタデータバッファ24のアクセスアドレスをコントロールし、コマンド受信部21を介してCPU1などから受信される印刷データをラスタデータバッファ24にリード/ライトし、リードデータはデコーダ26の要求にしたがって該デコーダ26に送信する。
【0019】
ラスタデータバッファ24は、DRAMなどのリードライト可能なメモリで構成され、印刷データが書き込まれる。レジスタ群25は、図示しない制御ブロックを含めた各ブロックの制御パラメータなどのデータを格納するもので、CPU9などから送信されたバーコードが印刷データのどの位置にあるかを示すバーコード位置情報をデコーダ26に送信したり、印刷データに縦バーコードが含まれていることを示す縦バーコードフラグをデータ転送部28に送信したりする。
【0020】
デコーダ26は、レジスタ群25に書き込まれた情報によって、ラスタデータバッファコントローラ23に対し印刷ラインを指定することで格納されている印刷データを順次読出し、このとき指定したラインによって印刷データのどの位置のデータを読み出したかを認識し、バーコード位置情報と一致した場合にはデータ転送部28に通知する機能を有する。また熱履歴制御を行う場合には、レジスタ群25に書き込まれた情報によってデータ補正を行ってヘッド転送データバッファ27に転送する。
【0021】
ヘッド転送データバッファ27は、デコーダ26から受信したデータを順次データ転送部28へ送信する。データ転送部28は、ヘッド転送データバッファ27から転送されるデータをサーマルヘッド2に送信し、モータ制御部IF22からの印刷タイミングに応じてストローブ信号(駆動信号)を出力する。そして縦バーコードフラグが立っている場合、ストローブ信号出力タイミングを変化させることができる。
【0022】
図4は実施例1のデコーダの詳細構成を示すブロック図である。図4において、デコーダ26は、印刷ライン情報部31、リードデータ部32、印刷位置情報変換部33、比較器34、バー/スペース判定回路35および熱履歴制御補正部36を有する。印刷ライン情報部31は、図示しない印刷起動トリガにより読み出したいラインをインクリメントしていき、ラスタデータバッファコントローラ23はそれに従ってラスタデータバッファ24からデータをリードし、リードしたデータをデコーダ26に渡す。印刷ライン情報部31からの印刷ライン情報は、印刷位置情報変換部33にも送信され、印刷位置情報変換部33では受信した情報をバーコード位置情報との比較が可能な値に変換し、比較器34に送信する。
【0023】
リードデータ部32は、3ライン分以上の印刷ラインのデータを保持するバッファを有し、ラスタデータバッファ24の連続したアドレスの同じビットの値を読み出すことができ、読み出したデータを熱履歴制御補正部36へも送信する。比較器34は、図3に示すレジスタ群25から送信されるバーコード位置情報と印刷位置情報変換部33からの印刷位置情報変換値とを比較し、一致した場合はバーコード一致フラグをバー/スペース判定回路35に出力する。
【0024】
リードデータが“1”なら印刷するドット、リードデータが“0”なら印刷しないドットを表わす場合、バー/スペース判定回路35は、印刷するラインnのデータ値Qnと、その1ライン前のデータ値Q(n−1)および次に印刷するラインのデータ値Q(n+1)を比較し、QnとQ(n−1)が“1”で、Q(n+1)が“0”である場合で、かつこれらの印刷データがバーコードの印刷位置にあるデータである場合、バーからスペースに切り替わる変化点であると判定し、データ転送部28にその情報を転送する。熱履歴制御補正部36は、リードデータ部32から受信したデータに対して必要な熱履歴制御補正を加えて転送データバッファ27に送信する。
【0025】
ここで熱履歴制御について一言すると、サーマルヘッドの発熱素子を発熱させることにより印刷を行うが、その際、発熱温度は発熱した素子自身の蓄熱や他の発熱素子からの影響を受ける。これらの影響を考慮して発熱素子に対して適切な印字エネルギーを与える制御を一般に熱履歴制御という。
【0026】
次に実施例1の動作を説明する。図5は実施例1のサーマルプリンタの動作を示すフローチャートである。オペレータがサーマルプリンタ1に電源を投入すると(ステップ1)、サーマルプリンタ1はイニシャル処理を行い(ステップ2)、データ受信待ち状態になる。上位ホスト14から印刷データが送られてくると、印刷データを受信し、受信が完了すると(ステップ3)、受信コマンドの中に縦方向のバーコード(従来技術として説明した図9に示すバーコードで、バーが主走査方向に平行なバーコード)があるか否かのチェックを行い(ステップ4)、縦バーコードがある場合は、ヘッド制御部18のレジスタ群25の縦バーコードフラグをONし、レジスタ群25にバーコード位置情報を書き込み(ステップ5)、縦バーコードがない場合は、縦バーコードフラグをOFFし(ステップ6)、印刷処理に移行する(ステップ7)。印刷処理完了後は、再度ステップ3の印刷データ受信待ちに戻る。
【0027】
図6は実施例1の印刷動作を示すタイムチャートで、図6(a)は縦バーコードフラグONの場合の動作を示し、図6(b)は縦バーコードフラグがOFFの場合の動作を示す。図7は実施例1における印刷結果を示す説明図で、図7(a)は縦バーコードフラグONの場合の印刷結果を示し、図7(b)は縦バーコードフラグOFFの場合の印刷結果を示す。
【0028】
図6(a)において、モータ制御部19から2相励磁信号(φA励磁信号およびφB励磁信号)が出力され、相切替毎に、印刷データ(バーの場合は“1”、スペースの場合は“0”)が出力される。レジスタ群25からは縦バーコードフラグの信号が出力されるが、図6(a)の場合はフラグ有(ON)の信号が出力されている。またデコーダ26のバー/スペース判定回路35から反転/非反転信号が出力される。バー/スペース判定回路35は、バーの後にスペースが来ると判定した場合、反転/非反転信号が反転を示すHighを出力する。その出力のタイミングは、スペースの前のバーよりさらに一つ前のバーの1−2相励磁位置である。反転信号は、スペースの前のバーより一つ前のラインがバーである場合に出力され、それ以外の場合は、非反転信号が出力される。データ転送部28から出力されるストローブ信号は、2相励磁位置から所定のタイミングで出力される。
【0029】
図6(a)の場合、レジスタ群25から縦バーコードフラグON(有)が出力されている。nラインを印刷する場合、デコーダ26は印刷データにおけるバーコード位置に指定されているデータについて、(n−1)ラインと(n+1)ラインのデータを見てnラインと(n+1)ラインでバーからスペースに反転するデータであることを検出した場合、即ち、バーの後にスペースが来ると判定した場合、バー/スペース判定回路35が、(n−1)ラインの1−2相励磁位置のタイミングで、反転を示す信号を出力する。
【0030】
データ転送部28は、縦バーコード有信号とバー/スペース反転信号が出力された場合、ストローブ信号の出力タイミングを変更する。これは、どのタイミングで出力するかを予めレジスタ群25に指定しておくことにより行う。本実施例の場合は、通常2相励磁の相切替位置を基準にしている場合に、その1/4ステップ手前のw1−2相励磁位置に切替える。このように、バーからスペースに切り替わる部分でストローブ信号の出力タイミング、即ち、印刷タイミングを早めることにより、図7(a)に示すように、nラインの印刷位置が他のラインより上方の位置になる。これにより尾引き現象による(n+1)ラインのスペースへの発色を防止することができる。なお図7(a)に点線で示すドットは、従来のnラインの印刷位置を示す。
【0031】
図6(b)は縦バーコードが印刷データに含まれない場合の動作を示す。図において、レジスタ群25から出力される縦バーコードフラグはOFF(無)となっている。またバー/スペース判定回路35からはバーからスペースへの反転を示す信号を出力している。この場合は、例えば、デコーダ26に前回のバーコード位置データが残っていて、バーコードで言えばバーからスペースに反転するデータであると検出した場合であるが、このような場合において、nラインを印刷する際、縦バーコードフラグがOFFになっているので、ストローブ信号は早められずに、通常のタイミングで出力される。印刷結果を図7(b)に示す。図に示すように、nラインの印刷位置は通常の印刷位置となる。
【0032】
以上のように実施例1によれば、主走査方向に平行なバーとスペーサの羅列により構成される縦バーコードを印刷する場合、コマンドからバーコード位置を判別し、その位置情報と印刷データからバーコードのバーからスペースへの変化点を検出し、縦バーコード有情報とバーからスペースへの変化点検出信号からストローブ信号を早めて出力するようにしたので、尾引き現象によるスペース部分への発色を防止することができ、バーとスペースの適切な比率を確保することが可能になる。
【実施例2】
【0033】
次に本発明の実施例2を説明する。図8は実施例2のデコーダの詳細構成を示すブロック図である。図8において、デコーダ26は、実施例1と同様にバー/スペース判定回路35を有するが、バー/スペース判定回路35は、nラインの印刷データ値Qnと、1ライン前に印刷したデータQ(n−1)と、次に印刷するラインのデータQ(n+1)を比較し、Q(n−1)とQ(n+1)が“0”で、Qnが“1”である場合で、かつ縦バーコード位置にあるデータである場合、1ドット幅のデータであると判定し、判定結果をデータ転送部28に出力する機能を付加されている。その他の構成は上述の実施例1と同様である。
【0034】
次に実施例2の動作を説明する。図9は実施例2の印刷動作を示すタイムチャートで、図9(a)は縦バーコードフラグONの場合の動作を示し、図9(b)は縦バーコードフラグがOFFの場合の動作を示す。図10は実施例2における印刷結果を示す説明図で、図10(a)は縦バーコードフラグONの場合の印刷結果を示し、図10(b)は縦バーコードフラグOFFの場合の印刷結果を示す。
【0035】
図9(a)において、レジスタ群25からは縦バーコードフラグONの信号が出力される。またデコーダ26のバー/スペース判定回路35から反転/非反転信号が出力される。バー/スペース判定回路35は、バーの後にスペースが来ると判定した場合、反転/非反転信号が反転を示すHighを出力する。その出力のタイミングは、スペースの前のバーよりさらに一つ前のバーの1−2相励磁位置である。データ転送部28から出力されるストローブ信号は、2相励磁位置から所定のタイミングで出力される。
【0036】
さらにバー/スペース判定回路35からは、1ドットバー信号が出力されている。nラインを印刷する場合、デコーダ26は印刷データにおけるバーコード位置に指定されているデータについて、(n−1)ラインと(n+1)ラインのデータを見てnラインがバーのデータで、(n−1)ラインと(n+1)ラインがスペースのデータであることを検出した場合、即ち、nラインが1ドット幅のバーであると判定した場合、バー/スペース判定回路35が、(n−1)ラインの1−2相励磁位置のタイミングで、1ドットバー信号を出力する。
【0037】
データ転送部28は、縦バーコード有信号と1ドットバー信号が出力された場合、ストローブ信号を出力時間が短くなるように変更する。これは、ストローブ信号の出力時間を予めレジスタ群25に指定しておくことにより行う。図9(a)に示すように、通常の出力時間を点線で示し、出力時間を短くした本実施例の場合を実線で示す。このように、1ドット幅のバーを印刷する場合、ストローブ信号の出力時間を短くすることにより、図10(a)に示すように、nラインの1ドット幅バーの幅が小さくなり、尾引き現象による(n+1)ラインのスペースへの発色を防止することができる。
【0038】
図9(b)は縦バーコードが印刷データに含まれない場合の動作を示す。図において、レジスタ群25から出力される縦バーコードフラグはOFF(無し)となっている。またバー/スペース判定回路35からはバーからスペースへの反転を示す信号を出力している。この場合は、例えば、デコーダ26に前回のバーコード位置データが残っていて、1ドット幅のバーのデータであると検出した場合であるが、このような場合において、nラインを印刷する際、縦バーコードフラグがOFFになっているので、ストローブ信号は通常の出力時間で出力される。この場合の印刷結果を図10(b)に示す。図に示すように、nラインの印刷位置は通常の印刷位置となる。
【0039】
以上のように実施例2によれば、主走査方向に平行なバーとスペーサの羅列により構成される縦バーコードの1ドット幅バーを印刷する場合、コマンドからバーコード位置を判別し、その位置情報と印刷データから1ドット幅のバーを検出し、縦バーコード有情報と1ドット幅バー検出信号からストローブ信号を出力時間を短くして出力するようにしたので、尾引き現象によるスペース部分への発色を防止することができ、バーとスペースの適切な比率を確保することが可能になる。
【0040】
本発明は、スペースの直前のバーを印刷する際に、その一つ前のラインがバーである場合には、実施例1のように、ストローブ信号の出力タイミングを早くし、その一つ前のラインがスペースである場合には、実施例2のように、ストローブ信号の出力時間を短くするようにしたものである。実施例1における(n−1)ラインとnラインがバーである場合のnラインのバーの印刷の際に、実施例2のように、ストローブ信号の出力時間を短くするようにしても尾引き現象によるスペース部分への発色を防止することができる。
【0041】
しかしながら、本発明を適用するライン型のサーマルプリンタにおいては、バーコードと同時にイメージやキャラクタを印刷する可能性がある。バーコードの印刷に合わせてストローブ信号の出力時間を短くすると、イメージやキャラクタの印刷が薄くなるおそれがある。上記実施例1と実施例2を組み合わせることにより、イメージやキャラクタの印刷への影響を最小限に止めることができる。また実施例1におけるストローブ信号の出力タイミングをどのくらい早くするかについては、スペース部分への発色を防止できればよいので、上記実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は感熱紙を使用するダイレクトサーマル方式のサーマルプリンタを例にして説明したが、このほかのインクリボンを使用する熱転写方式のサーマルプリンタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 サーマルプリンタ
2 サーマルヘッド
5 印刷媒体
18 ヘッド制御部
25 レジスタ群
26 デコーダ
28 データ転送部
35 バー/スペーサ判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に平行なバーとスペースを有するバーコードを含む印刷データを印刷するバーコード印刷装置において、
印刷データにおけるバーコードの位置を示すバーコード位置情報と印刷データにおけるライン毎のデータ値に基づいてバーコードのバーからスペースへの変化点を検出する検出手段と、
前記検出手段によりバーコードのバーからスペースへの変化点を検出した場合、スペースの直前のバーを印刷するための駆動信号をタイミングを早めて出力する出力手段を具備したことを特徴とするバーコード印刷装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記検出手段が前記スペースの直前のバーの1ライン前のデータ値がバーを示すことを検出した場合に、前記スペースの直前のバーを印刷する駆動信号をタイミングを早めて出力する請求項1記載のバーコード印刷装置。
【請求項3】
主走査方向に平行なバーとスペースを有するバーコードを含む印刷データを印刷するバーコード印刷装置において、
印刷データにおけるバーコードの位置を示すバーコード位置情報と印刷データにおけるライン毎のデータ値に基づいてバーコードの1ドット幅のバーを検出する検出手段と、
前記検出手段によりバーコードの1ドットバーを検出した場合、該1ドット幅のバーを印刷するための駆動信号を出力時間を短くして出力する出力手段を具備したことを特徴とするバーコード印刷装置。
【請求項4】
主走査方向に平行なバーとスペースを有するバーコードを含む印刷データを印刷するバーコード印刷装置において、
印刷データにおけるバーコードの位置を示すバーコード位置情報と印刷データにおけるライン毎のデータ値に基づいてバーコードのスペースの直前のバーの1ライン前のラインがバーであることを検出する第1の検出手段と、
印刷データにおけるバーコードの位置を示すバーコード位置情報と印刷データにおけるライン毎のデータ値に基づいてバーコードの1ドット幅のバーを検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段が前記スペースの直前のバーの1ライン前のデータ値がバーを示すことを検出した場合に、前記スペースの直前のバーを印刷する駆動信号をタイミングを早めて出力し、前記第2の検出手段がバーコードの1ドットバーを検出した場合、該1ドット幅のバーを印刷するための駆動信号を出力時間を短くして出力する出力手段を具備したことを特徴とするバーコード印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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