説明

バーコード記録装置およびバーコード記録方法

【課題】バーコード内の白スペースの反射率低下による白濃度の不均一性を極力減らし、読み取り品質の高いバーコードの記録装置およびバーコード記録方法を実現すること。
【解決手段】バーコードの記録において、バーコードの左右両端の黒バーの外側(クワイエットゾーン)に第二の濃度で記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体にバーコードの記録を行うバーコード記録装置およびバーコード記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にバーコードをプリンタで記録する場合、電子写真式のプリンタでは、紙面上で黒バーの隣に位置する白スペースにトナーが散ってしまう場合がある。一方インクジェットプリンタでも同様に、白スペースにインクの副滴が散ってしまう場合がある。特許文献1には、プリンタに反射率検知手段を設け記録媒体の下地の反射率を検知し、背景記録を行い、反射率全体を下げることで、バーコードの濃度ムラを改善する方法が記載されている。この方法を用いることにより、白スペースに散ったトナーや副滴が付着した場合でも、白スペースに背景記録と同様の記録が行われるので、散ったトナーや副滴は、背景の記録に紛れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−023270号公報
【特許文献2】特開2008−299138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、白スペースに散ったトナーの付着や副滴の付着、さらに、上記背景記録についても、白スペースの反射率が低減してしまう場合がある。上記電子写真式のプリンタや上記インクジェットプリンタ等のバーコード記録装置において、白スペースの反射率が低減してしまうことにより以下の問題が生じる。図5(b)の縦軸は、反射率を示し、横軸はバーコードのバーに交差する方向における位置を示す。図5(b)において、黒バーと黒バーとの間の白スペースは、黒バー記録時の飛び散り501によって、記録媒体の完全な白色ではなくなっている。この飛び散り501は、電子写真の場合はトナーの飛び散り、インクジェットの場合はインクのにじみや副滴の散りが原因である。このような汚れによって、バーコード内の白スペースγの反射率M’は記録媒体の未記録部αの反射率Lよりも低くなっている。これによって、白スペースγの反射率がばらつき、MOD(濃度ばらつきの項目)が低下し(反射率Mが小さくなる)、バーコードのランクが低下する。
【0005】
特許文献1のように記録媒体の下地に背景記録を行う場合、白い記録媒体を汚してしまい画像品位が低下する。さらにすでに飛び散りが発生しているバーコードの白スペース(黒バーと黒バーの間)にも背景記録を行う事で本来白くならなくてはならない白スペースの反射率をさらに落としてしまう恐れがある。また背景の濃さに制限をつけない場合、MOD(黒バー、および白スペースの濃度の均一性)は安定するが、背景をつける事でSC(シンボルコントラスト)黒最小反射率と白最大反射率の差)が確保されない恐れがある。
【0006】
本発明は、バーコード内の白スペースの反射率低下した場合でも、読み取り品質の高いバーコードの記録装置およびバーコード記録方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明のバーコード記録装置は、バーコードを第一の濃度で記録媒体に記録する記録手段と、前記バーコードの記録データを生成手段と、前記バーコードの反射率を検出する検出手段と、を備えたバーコード記録装置であって、前記記録手段が記録した前記バーコードの反射率を前記検出手段によって検出し、前記記録手段は、前記バーコードにおける黒バーと黒バーとの間の白スペースの反射率以上の反射率となる第二の濃度で、前記バーコードの両端部に位置する端部黒バーに隣接して該端部黒バーよりも外側に、前記端部黒バーの幅よりも広い幅のバーを記録する補正を実施することを特徴とする。
【0008】
また本発明のバーコード記録方法は、バーコードを第一の濃度で記録媒体に記録する記録工程と、前記バーコードの記録データを生成工程と、前記バーコードの反射率を検出する検出工程と、を備えたバーコード記録方法であって、前記記録工程で記録した前記バーコードの反射率を前記検出工程によって検出し、第二の記録工程が、前記バーコードにおける黒バーと黒バーとの間の白スペースの反射率以上の反射率となる第二の濃度で、前記バーコードの両端部に位置する端部黒バーに隣接して該端部黒バーよりも外側に、前記端部黒バーの幅よりも広い幅のバーを記録する補正を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によればバーコード記録装置は、記録手段が記録したバーコードの反射率を検出手段によって検出する。そして記録手段は、バーコードにおける黒バーと黒バーとの間の白スペースの反射率以上の反射率となる第二の濃度で、バーコードの両端部に位置する端部黒バーに隣接して端部黒バーよりも外側に、端部黒バーの幅よりも広い幅のバーを記録する補正を実施する。これによって、バーコード内の白スペースの反射率低下による白濃度の不均一性を極力減らし、読み取り品質の高いバーコードの記録装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置である電子写真方式レーザプリンタを示した概略構成図である。
【図2】本発明における画像形成装置の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明におけるバーコード記録処理のフローチャートである。
【図4】バーコード記録方法によって得られたバーコードの一例である。
【図5】(a)は、本発明におけるバーコード記録方法によって得られたバーコードとその反射率を模式化したものであり、(b)は、補正を行わない場合のバーコードとその反射率を模式化したものである。
【図6】本実施形態における記録動作を示したフローチャートである。
【図7】(a)、(b)は、バーコードのバーが延在する方向に対して、交わる方向に記録を行った場合と、バーと平行な方向に記録を行った場合の記録結果を示した図である。
【図8】(a)は、幅の広いバーを記録した際のバーコードと反射率との関係を示した図であり、(b)は、バーの幅によって端部補正処理の実行の有無を判断する記録処理のフローチャートである。
【図9】(a)は、本実施形態のバーコードの反射率のグラフであり、(b)は、端部補正処理を行わないバーコードの反射率グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。尚、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置である電子写真方式レーザプリンタ(以下、単にレーザプリンタともいう)を示した概略構成図である。レーザプリンタ101は、像担持体としての感光ドラム102を備えており、その感光ドラム102の周囲には当該感光ドラム102の回転方向aに沿って順に、帯電ローラ103、現像装置104、転写ローラ105、クリーニング装置106が配設されている。帯電ローラ103と現像装置104との間の上方位置には、露光装置107が配設されている。また感光ドラム102と転写ローラ105との対向領域に形成される転写ニップ部における転写材搬送方向の下流側には、搬送ガイド108および定着装置109が配設されている。
【0013】
上述した感光ドラム102は、本実施形態では負帯電の有機感光ドラムである。この負帯電の有機感光ドラムは、駆動手段(不図示)により所定の周速(プロセススピード)で矢印a方向(時計回り方向)に回転駆動され、その回転過程において接触する前記帯電ローラ103により負極性の一様な帯電を受ける。また、接触帯電部材としての帯電ローラ103は、前記感光ドラム102表面に所定の押圧力で当接して従動回転し、図示を省略した帯電バイアス電源から印加される帯電バイアスによって前記感光ドラム102を所定の極性、電位に均一に帯電する。現像装置104は、現像容器110の開口部に前記感光ドラム102表面と所定距離だけ離れて回転自在な現像剤担持部材としての現像スリーブ111を備えている。そして、現像装置104は、感光ドラム102との対向領域である現像領域において当該感光ドラム102上の静電潜像にトナーtを付着させてトナー像として顕像化する。
【0014】
接触転写部材としての転写ローラ105は、感光ドラム102表面に所定の押圧力で接触して転写ニップ部を形成している。そして、図示を省略した転写バイアス電源から印加される転写バイアスにより、感光ドラム102と転写ローラ105との間の転写ニップ部にて感光ドラム102表面のトナー像を記録媒体などの記録媒体Pに転写する。またクリーニング装置106は、クリーニングブレード112を有しており、転写後において前記感光ドラム102の表面上に残留している転写残トナーをクリーニングブレード112で除去して回収する構成になされている。
【0015】
一方、露光装置107は、ホストコンピュータ120などから入力される画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光(露光ビーム)をレーザ出力部(不図示)から出力する。そして、帯電された感光ドラム102の表面を反射ミラー113を介して走査露光Lすることにより、画像情報に対応した静電潜像を形成する構成を備えている。さらに、定着装置109は、内部にハロゲンヒータ(不図示)等の加熱部材を備えた定着ローラ114と加圧ローラ115とを有している。そして、定着ローラ114と加圧ローラ115との間の定着ニップ部にて転写材Pを挟持搬送しながら、転写材Pの表面に転写されたトナー像を加熱・加圧して熱定着させる構成を備えている。
【0016】
一方、給紙装置116を構成しているカセット内に積層状に格納された記録媒体などの記録媒体Pは、ピックアップローラ117により給紙され、感光ドラム102上でのトナー像の形成と同期してレジストローラ対(不図示)まで搬送される。そして、感光ドラム102上のトナー像が感光ドラム102と転写ローラ105間の転写ニップ部に到達すると、このタイミングに合わせて記録媒体Pがレジストローラ対(不図示)によって転写前ガイド118を通して転写ニップ部に搬送される。そして転写バイアス電源からトナーtと逆極性(正極性)の転写バイアスが印加された転写ローラ105により、転写ニップ部に搬送された記録媒体Pに感光ドラム102と転写ローラ105間に発生する静電力によって感光ドラム102上のトナー像が転写される。そのトナー像が転写された記録媒体Pは、搬送ガイド108を介して定着装置109に搬送され、定着ローラ114と加圧ローラ115間の定着ニップにてトナー像を転写材Pに加熱・加圧して熱定着する。トナー像が定着された転写材Pは、排紙ローラ対119を介して外部に排紙され、一連の画像形成動作を終了する。また、転写後に感光ドラム102に残留している転写残トナーは、クリーニング装置106のクリーニングブレード112によって除去されて回収される。
【0017】
図2は、本発明における画像形成装置の構成を示したブロック図である。ホストPC120内のバーコード生成の操作部201でユーザが所望のバーコード種類、大きさ(ナローバー幅)、方向を指定し、バーコード生成手段210によってバーコード画像データが生成される。ホストPC120で生成されたバーコードデータはケーブル202を介して制御部203に受信される。制御部203は、プリンタ101の記録データの受信、記録動作、記録媒体搬送等全般の制御を掌る制御部を構成する演算処理装置である。制御部203はバーコードの検出を行うバーコード検出部204、検出したバーコードの端部補正処理を行う端部補正部205、補正されたバーコードを実際記録する為の記録制御を行う記録制御部206を含む。記録制御部206は露光装置、感光ドラム等の記録手段207を制御し実際の記録動作の制御や、記録媒体を搬送させる為の搬送部208の制御を行う。また、プリンタ101内には記録媒体の記録面の反射率が検知する反射率検知部209を有し、検知された反射率の数値によって端部補正部の補正制御を行う。
【0018】
図3は、本発明におけるバーコード記録処理のフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って本発明のバーコード記録処理を説明する。記録処理が開始されると、制御部203は、記録手段207によりステップS300でバーコードの記録を実行させる。そして、制御部203は、ステップS301で、記録エリア内のバーコードを検知する。その後、制御部203は、ステップS302で、検知されたバーコード端部の黒バー2本(左端部黒バー、右端部黒バー)を検知する。このバーコード検知方法については本発明では限定しないが、バーコードの特殊な形状を記憶させ、それを検出する事によって判別する手法等がある(特許文献2)。制御部203は、次にステップS303に移行して、記録手段207により、記録データとして左端部の黒バーの外側に第二の濃度のバーを追加させる。この時の第二の濃度は第一の濃度よりも非常に薄く、黒バーより白に近い濃度で作成する必要がある。この第二の濃度については後述する。そして、制御部203は、ステップS304で、記録手段207により、同様に記録データとして右端部の黒バーの外側にも第二の濃度で生成されたバーを追加する。そして、その後制御部203は、ステップS305で、追加された記録データに基づいて最終的に記録(第二の記録)を行う補正バーコードの記録データを生成する。そしてステップS306で、制御部203は、この補正されたバーコードデータに基づいて、記録手段207により、実際の記録動作を実行させ、記録動作が終了したら記録処理を終了させる。
【0019】
図4は、本発明におけるバーコード記録方法によって得られたバーコードの一例である。図のように本実施形態では、バーコードの両端部から更に外側のバーコードが記録されていない所謂クワイエットゾーンにも記録を行っている。つまり、バーコードの左右端部の全バーコードを構成する第一の濃度の黒バーに、濃度の薄い第二の濃度のバーを追加している。このような追加記録(以下では、補正ともいう)を行う事によって得られる効果を以下に説明する。なお、このクワイエットゾーンとは、各バーコードによって、そのバーコード両端部に設けられた所定範囲のバーコード未記録部である。
【0020】
図5(a)は、本発明におけるバーコード記録方法によって得られたバーコードとその反射率を模式化したものである。なお、図5(a)の縦軸は、反射率を示し、横軸はバーコードのバーに交差する方向における位置を示す。一方、図5(b)は、補正を行わない場合のバーコードとその反射率を模式化したものである。図5(b)の縦軸は、反射率を示し、横軸はバーコードのバーに交差する方向における位置を示す。図5(b)において、黒バーと黒バーとの間の白スペースは、黒バー記録時の飛び散り501によって、記録媒体の完全な白色ではなくなっている。この飛び散り501は、電子写真の場合はトナーの飛び散り、インクジェットの場合はインクのにじみや副滴の散りが原因である。このような汚れによって、バーコード内の白スペースγの反射率M’は記録媒体の未記録部αの反射率Lよりも低くなっている。これによって、白スペースγの反射率がばらつき、MOD(濃度ばらつきの項目)が低下し(反射率Mが小さくなる)、バーコードのランクが低下する。これは、バーコードの白スペースγの反射率を検出する際に、バーコード内の白スペースγだけではなく、バーコード外の未記録部分であるクワイエットゾーンαも含めて反射率を検出しているためである。クワイエットゾーンαには記録が行われていないため、飛び散り501等も無く、記録媒体の下地の状態である。つまり、白スペースγの反射率は、飛び散り501がある事によって、クワイエットゾーンαの反射率に対して低い値となってしまう。
【0021】
そこで本発明では、図5(a)のようにバーコードの端部より外側のクワイエットゾーンαに、バーコード両端部の黒バーと隣接して黒バーの幅よりも広い第二の濃度のバー502を追加する事で、白スペースγの反射率とクワイエットゾーンαの反射率との差を少なくしている。クワイエットゾーンαの白反射率Lを下げる事によって、クワイエットゾーンαの反射率を白スペースの反射率Mに近づける。この補正によってクワイエットゾーンαの反射率は、反射率Lから反射率L’へと変わる。このような補正によって、白スペースにおける反射率の最大値と黒反射率の最小値を2で割った黒白の閾値であるスレッシュホールド値503が下り白スペースの反射率Mが増加し、バーコード全体の白スペースγの反射率のばらつきを防ぐ事が可能となる。
【0022】
ここで、クワイエットゾーンαに記録する第二の濃度について説明する。一般的にバーコードは黒バーと白スペースの反射率比が一定以上確保されている必要がある。この反射率(最大白反射率―最少黒反射率)は、シンボルコントラスト(SC)で規定されている。その為、第二の濃度で記録されるバーの反射率は、第一の濃度で記録される黒バーの反射率以上の反射率であり、第一の濃度で記録される黒バーの反射率と十分に差があるように設定する必要がある。つまり、第二の濃度は、第一の濃度で記録される黒バーの反射率と十分に差があるように、第一の濃度よりも充分に薄い濃度であり、かつ白スペースの濃度よりも薄い濃度とする。なおシンボルコントラスト(SC)のランクは以下のように規定されている。
70%以上 Aランク
55〜70% Bランク
40〜55% Cランク
20〜40% Dランク
20%以下 Fランク
【0023】
Bランク以上の読み取り性能にするには、第一の濃度と第二の濃度との反射率の差が55%以上となるような第二の濃度を採用して記録処理を行えばよい。さらに精度を上げるには白スペース反射率と同様の反射率を有する濃度を第二の濃度の黒バーとして記録を行う。
【0024】
なお、本実施形態では、バーコードを記録する第一の濃度と補正を実施する際の第二の濃度とに分けたが、補正を行う濃度は第二の濃度の1種類の濃度に限定するものではなく、第3の濃度、第4の濃度と複数(2種類以上)の濃度であってもよい。
【0025】
このように、バーコードの記録において、バーコードの左右両端の黒バーの外側(クワイエットゾーン)に第二の濃度で記録する。これによって、バーコード内の白スペースの反射率低下による白濃度の不均一性を極力減らし、読み取り品質の高いバーコードの記録方法を実現することができた。なお、本実施形態では電子写真方式を用いたが、インクジェット方式のプリンタでも同様の効果を得る事ができる。
【0026】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0027】
黒バーの記録による飛び散りは、記録速度(記録媒体搬送速度)が速くなるにつれて多くなり、記録速度が遅い場合は飛び散りが少なくなる傾向がある。そこで、本実施形態では、記録速度が一定値以上の場合のみ、バーコードの左右両端部のクワイエットゾーンαに第二の濃度のバーの記録を行う。
【0028】
図6は、本実施形態における記録動作を示したフローチャートである。以下このフローチャートに沿って本実施形態の記録動作を説明する。まず、記録動作が開始されると、制御部203は、ステップS601で記録速度を検知し、その後ステップS602で記録速度が所定値以上であるかどうかを判断する。そして、所定値以上である場合には、ステップS603に移行して制御部203は、補正処理(第二の濃度のバーの記録)を行うよう処理を行い、ステップS604で記録処理を行う。ステップS602で記録速度が所定値未満の場合には、制御部203は、ステップS603の処理は行わずに、ステップS604で記録手段207により、記録処理を実行させる。なお、この時の記録速度の設定は、インクや記録ヘッド、トナーの種類によっても変化するので、各プリンタの特性に合わせて設定する必要がある。
【0029】
図7(a)、(b)は、バーコードのバーが延在する方向に対して、交差した方向に記録を行った場合と、バーと平行な方向に記録を行った場合の記録結果を示した図である。このように、記録方向が異なる場合に、バーコードの向きによって端部補正処理の実行有無を決定しても良い。黒バーと黒バーとの間の白スペースへの飛び散りは、図7Aのように記録方向と垂直に黒バーがある場合に発生する。その為、記録方向と平行に黒バーがある場合は、図7Bのように飛び散りの影響を受けない。そこで、記録方向と平行に黒バーがある場合は、端部補正処理を行う事によって逆にバーコードのランクが下がる恐れがある為、端部補正処理を行わない。
【0030】
図8(a)は、幅の広いバーを記録した際のバーコードと反射率との関係を示した図である。バーの幅が広い場合には、黒バーに挟まれた白スペース部の幅も広くなる。そして、白スペースにおける、黒バーから離れた部分では、黒バーを記録する際に生じる飛び散りが無く、正確に反射率を読み取ることができる。そのため、黒バーの幅を検出可能な管出手段によって、黒バーの幅を検出し、その検出バーの幅によって端部補正処理の実行の有無を判断してもよい。
【0031】
図8(b)は、バーの幅によって端部補正処理の実行の有無を判断する記録処理のフローチャートである。以下このフローチャートに沿って本実施形態の記録動作を説明する。
【0032】
先ず、記録動作が開始されると、制御部203は、ステップS801でナローバーの幅を検知し、その後ステップS802で、バーの幅が所定値以下であるかどうかを判断する。そして、所定値以下である場合には、制御部203は、ステップS803に移行して補正処理(第二の濃度のバーの記録)を行うよう処理を行い、ステップS804で記録手段207により、記録処理を実行させる。ステップS802でバーの幅が所定値以下でない場合には、制御部203は、ステップS803の処理は行わずに、ステップS804で記録処理を行う。
【0033】
このように、記録を行うバーコードに対して一律に端部補正処理を行うのではなく、必要な場合のみに本制御を行う。これによって、バーコード内の白スペースの反射率低下による白濃度の不均一性を極力減らし、読み取り品質の高いバーコードの記録方法を実現することができた。
【0034】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では基本的な構成についてのみ説明する。
【0035】
記録装置内部に、記録したバーコードの反射率を測定する反射率測定手段と複数の第二の濃度パターンを内蔵させ、端部補正処理における第二の濃度のバーの記録には、検知された白スペースの反射率に近似した濃度を採用して記録処理を行ってもよい。
【0036】
図9(a)は、本実施形態のバーコードの反射率のグラフ、図9(b)は、端部補正処理を行わないバーコードの反射率グラフである。本実施形態では、プリンタ内にバーコードの反射率検知手段を設け、バーコードの白スペースの反射率を測定し、その反射率と同等の濃度を第二の濃度のバーとして端部補正処理を行う。これによって、白スペースの反射率Sと記録媒体下地(クワイエットゾーン部)の反射率Rとが同じ反射率となりMOD値が100%に近くなり、MOD値が非常に安定したバーコードを作成する事ができる。
【0037】
このように、記録装置内部に、記録したバーコードの反射率を測定する反射率測定手段と複数の第二の濃度パターンを内蔵させ、端部補正処理における第二の濃度の記録には、検知された白スペースの反射率に近似した濃度を採用して記録処理を行う。これによって、バーコード内の白スペースの反射率低下による白濃度の不均一性を極力減らし、読み取り品質の高いバーコードの記録方法を実現することができる。
【0038】
(他の実施形態)
以上の実施形態においては、白スペースの反射率を測定し、その反射率に基づいて第二の濃度のバーの濃度を決定して、記録手段207により記録媒体に対し第二の濃度のバーを記録させていた。しかし、本発明はこれに限ったものではなく、白スペースの反射率をあらかじめ実験等により決定しておき、あらかじめ決定している第二の濃度にて、録手段207により記録媒体に対し第二の濃度のバーを記録させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
101 レーザプリンタ
501 飛び散り
502 黒バー
α クワイエットゾーン
γ 白スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードを第一の濃度で記録媒体に記録する記録手段と、前記バーコードの記録データを生成手段と、を備えたバーコード記録装置であって、
前記記録手段は、前記バーコードにおける黒バーと黒バーとの間に位置する白スペースの反射率以上の反射率となる第二の濃度で、前記バーコードの両端部に位置する端部黒バーよりも外側に、前記端部黒バーの幅よりも広い幅のバーを記録する補正を実施することを特徴とするバーコード記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体を搬送する搬送手段を備え、該搬送手段は、複数の搬送速度で前記記録媒体を搬送し、搬送速度が所定値以上である場合に、前記補正を実施することを特徴とする請求項1に記載のバーコード記録装置。
【請求項3】
前記バーコードの反射率を検出する検出手段と、を備え、
前記検出手段は、前記バーコードにおける前記バーの幅を検出可能であり、前記黒バーの幅が所定値以下の場合に前記補正を実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバーコード記録装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記バーコードにおける前記黒バーの延在する方向を検出することが可能であり、前記黒バーの延在する方向が、前記記録媒体の搬送方向と交差する方向の場合に、前記補正を実施することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のバーコード記録装置。
【請求項5】
前記補正を実施する際の濃度として、少なくとも2種類以上の濃度を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のバーコード記録装置。
【請求項6】
前記補正によって実施する記録の幅は、前記バーコードに基づいて定められる領域であるクワイエットゾーンの幅よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のバーコード記録装置。
【請求項7】
バーコードを第一の濃度で記録媒体に記録する記録工程と、前記バーコードの記録データを生成工程と、前記バーコードの反射率を検出する検出工程と、を備えたバーコード記録方法であって、
前記記録工程で記録した前記バーコードの反射率を前記検出工程によって検出し、第二の記録工程が、前記バーコードにおける黒バーと黒バーとの間の白スペースの反射率以上の反射率となる第二の濃度で、前記バーコードの両端部に位置する端部黒バーに隣接して該端部黒バーよりも外側に、前記端部黒バーの幅よりも広い幅のバーを記録する補正を実施することを特徴とするバーコード記録方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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