説明

バーチャルスライド装置

【課題】サンプルが含まれていない領域の画像をより短時間に取得することができる。
【解決手段】撮影制御部112は、第1の像に基づいた全体画像信号を第2の撮像部109に出力させ、全体画像信号に基づいて第1の領域のうちサンプル101が含まれない領域の位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて第2の領域とサンプル101が含まれない領域とが重なるようにステージ102と光学系の相対位置を変化させ、第2の像に基づいた第1の部分画像信号を第1の撮像部108に出力させ、第3の平面に導かれた光に基づいたスペクトル情報をカラーセンサ111に取得させ、第1の領域のうちサンプル101が含まれる領域の少なくとも一部を第2の領域が走査するようにステージ102と光学系との相対位置を変化させながら第2の像に基づいた複数の第2の部分画像信号を第1の撮像部108に出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーチャルスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病理標本のスライド画像をデジタル撮影するバーチャルスライド装置において、色再現性を向上させる技術が特許文献1および特許文献2に記載されている。初めに、特許文献1に記載のバーチャルスライド装置について説明する。
【0003】
図5は、従来知られているバーチャルスライド装置1000の構成を示した概略図である。図示する例では、光源1001の光は、ステージ1005の上に配置されたサンプル1002を透過して、第1の対物レンズ1003を透過して、ハーフミラー1009で分岐し、一方は視野範囲選択手段1011を通してカラーセンサ1010に入射する。また、ハーフミラー1009で分岐したもう一方の光は、デジタル撮影装置1004に入射する。
【0004】
撮影制御手段1006は、サンプル1002の部分画像撮影のために、ステージ1005と、デジタル撮影装置1004、カラーセンサ1010を制御する。具体的には、撮影制御手段1006は、ステージ1005を移動させながらデジタル撮影装置1004が画像を撮影し、同時にカラーセンサ1010がスペクトル情報を取得するように制御する。なお、撮影制御手段1006は、タイリング間ののりしろができるようにステージ1005(サンプル1002)を移動しながらデジタル撮影装置1004が画像を撮像するように制御する。
【0005】
画像の貼り合わせ情報生成手段1007は、デジタル撮影装置1004から入力される部分画像の画像処理を行ってのりしろ部を認識し、画像の貼り合わせ情報を生成する。画像ファイル生成手段1008は、カラーセンサ1010の出力値に基づいて、デジタル撮影装置1004が撮影した画像の色を補正する。また、画像ファイル生成手段1008は、画像の貼り合わせ情報生成手段1007が生成した画像の貼り合わせ情報に基づいてサンプル1002の画像ファイルを生成する。
【0006】
次に、特許文献2に記載のバーチャルスライド装置における画像の色補正方法について説明する。特許文献2に記載されているバーチャルスライド装置における画像の色補正方法は、サンプルをステージから取り除いた状態で、背景光の画像として光源が発した照明光のみの画像を観察画像と同様の撮影手順によって取得し、この画像を色補正に用いることで色再現性の向上を実現する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−256312号公報
【特許文献2】特開2009−14354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来知られているバーチャルスライド装置では、サンプルがない領域の画像を取得するには、サンプルがないスライドガラスの上にカバーガラスが置かれた空のスライドを置いて撮影するか、もしくは、サンプルがあるスライドガラスにおいて、撮影者がサンプルの位置を確認しながらサンプルがない位置で画像を撮像する必要があるため、撮影時間が増大するという問題がある。
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、サンプルが含まれていない領域の画像をより短時間に取得することができるバーチャルスライド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、サンプルを設置するステージと、前記サンプル全体を含む第1の領域の像を第1の平面に結像し、前記第1の領域に含まれる第2の領域の像を第2の平面に結像させ、前記第2の領域の少なくとも一部からの光を第3の平面に導く光学系と、第1の平面に結像された第1の像および第2の平面に結像された第2の像を各々撮像して画像信号を出力する撮像部と、前記第3の平面に導かれた光のスペクトル情報を取得するカラーセンサと、前記第1の像に基づいた全体画像信号を前記撮像部に出力させ、前記全体画像信号に基づいて前記第1の領域のうちサンプルが含まれない領域の位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて前記第2の領域と前記サンプルが含まれない領域とが重なるように前記ステージと前記光学系の相対位置を変化させ、前記第2の像に基づいた第1の部分画像信号を前記撮像部に出力させ、前記第3の平面に導かれた光に基づいたスペクトル情報を前記カラーセンサに取得させ、前記第1の領域のうち前記サンプルが含まれる領域の少なくとも一部を前記第2の領域が走査するように前記ステージと前記光学系との相対位置を変化させながら前記第2の像に基づいた複数の第2の部分画像信号を前記撮像部に出力させる制御部と、前記スペクトル情報と前記第1の部分画像信号とに基づいて前記第2の部分画像信号を補正し、当該第2の部分画像信号を用いて前記サンプルを含む画像を生成する画像処理部と、を備えることを特徴とするバーチャルスライド装置である。
【0011】
また、本発明のバーチャルスライド装置において、前記撮像部は、前記第1の領域に含まれる、前記サンプルに関連する情報を示す記号を撮像し、前記画像処理部は、前記撮像部が撮像した前記記号から前記サンプルに関連する情報を取得し、当該情報に基づいて前記第2の部分画像信号を補正することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のバーチャルスライド装置において、前記制御部は、前記第1の領域のうち、前記全体画像信号の値が所定の閾値よりも大きい領域を前記サンプルが含まれない領域と特定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のバーチャルスライド装置において、前記制御部は、前記第1の領域のうち、前記全体画像信号の値が所定の閾値よりも小さい領域から所定の距離だけ離れた領域を前記サンプルが含まれない領域と特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光学系はサンプル全体を含む第1の領域の像を第1の平面に結像し、第1の領域に含まれる第2の領域の像を第2の平面に結像させ、第2の領域の少なくとも一部からの光を第3の平面に導く。また、撮像部は、第1の平面に結像された第1の像および第2の平面に結像された第2の像を各々撮像して画像信号を出力する。また、カラーセンサは、第3の平面に導かれた光のスペクトル情報を取得する。また、制御部は、第1の像に基づいた全体画像信号を撮像部に出力させ、全体画像信号に基づいて第1の領域のうちサンプルが含まれない領域の位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて第2の領域とサンプルが含まれない領域とが重なるようにステージと光学系の相対位置を変化させ、第2の像に基づいた第1の部分画像信号を撮像部に出力させ、第3の平面に導かれた光に基づいたスペクトル情報をカラーセンサに取得させ、第1の領域のうちサンプルが含まれる領域の少なくとも一部を第2の領域が走査するようにステージと光学系との相対位置を変化させながら第2の像に基づいた複数の第2の部分画像信号を撮像部に出力させる。また、画像処理部は、スペクトル情報と第1の部分画像信号とに基づいて第2の部分画像信号を補正し、当該第2の部分画像信号を用いてサンプルを含む画像を生成する。これにより、サンプルが含まれていない領域を特定することができるため、サンプルが含まれていない領域の画像をより短時間に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態におけるバーチャルスライド装置の構成を示した概略図である。
【図2】本実施形態において、第1の撮像部が部分画像を撮像する部分画像領域と、第2の撮像部が全体画像を撮像する全体画像領域と、画像ファイル生成部が生成するサンプル画像とを示した概略図である。
【図3】本実施形態におけるバーチャルスライド装置の動作手順を示したフローチャートである。
【図4】本実施形態におけるバーコードが付されたスライドガラスの概略図である。
【図5】従来知られているバーチャルスライド装置の構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態におけるバーチャルスライド装置1の構成を示した概略図である。図示する例では、バーチャルスライド装置1は、ステージ102と、ステージ駆動部103と、光源104と、第1の対物レンズ105と、第2の対物レンズ106と、ハーフミラー107と、撮像素子を備えた第1の撮像部108(撮像部)と、撮像素子を備えた第2の撮像部109(撮像部)と、視野領域変更部110と、カラーセンサ111と、撮像制御部112(制御部)と、画像ファイル生成部113(画像処理部)と、サンプル位置検出部114と、貼り合わせ情報生成部115を備える。なお、例えば、第1の対物レンズ105と、第2の対物レンズ106と、ハーフミラー107とが、請求項に係る光学系に相当する。
【0017】
ステージ102は、スライドガラス上にサンプル101を載置した試料を載置するための台である。ステージ駆動部103は、撮像制御部112の制御に基づいて、ステージ102を、第1の撮像部108が備える撮像素子および第2の撮像部109が備える撮像素子の撮像面と水平な方向及び垂直な方向(三次元方向)に駆動させる。光源104は、サンプル101を照射する光を発生する。
【0018】
第1の対物レンズ105は、サンプル101の部分領域(第2の領域)の画像(部分画像)を拡大して撮像するために用いる対物レンズであり、第2の対物レンズ106よりも拡大率が高い対物レンズである。第2の対物レンズ106は、サンプル101全体を含む領域(第1の領域)の画像(全体画像)を撮像するために用いる対物レンズであり、第1の対物レンズ105よりも拡大率が低い対物レンズである。また、一時点において、第1の対物レンズ105と第2の対物レンズ106とのどちらか一方を、サンプル101に対向するように配置することができる構成となっている。サンプル101に対向するように配置された場合、第1の対物レンズ105および第2の対物レンズ106は、サンプル101の所定領域からの光束を集光させ、集光させた光をハーフミラー107に対して照射する。ハーフミラー107は、第1の対物レンズ105または第2の対物レンズ106からの光の一部を視野領域変更部110の方向に反射し、一部を透過する。
【0019】
第1の撮像部108は、第2の撮像部109が備える撮像素子よりも画素数の多い撮像素子を備えており、受光した光の強度に応じた電気信号に光電変換することで高解像度の画像を撮像する。第2の撮像部109は、第1の撮像部108が備える撮像素子よりも画素数の少ない撮像素子を備えており、受光した光の強度に応じた電気信号に光電変換することで低解像度の画像を撮像する。また、一時点において、第1の撮像部108と第2の撮像部109とのどちらか一方を、ハーフミラー107が透過した光を受光する位置に配置することができる構成となっている。本実施形態では、第1の対物レンズ105がサンプル101に対向するように配置された場合、第1の撮像部108は、ハーフミラー107が透過した光を受光する位置に配置される。また、第2の対物レンズ106がサンプル101に対向するように配置された場合、第2の撮像部109は、ハーフミラー107が透過した光を受光する位置に配置される。これにより、第1の撮像部108は、サンプル101の部分画像を高解像度で撮像することができ、第2の撮像部109は、サンプル101全体を含む領域の画像を低解像度で撮像することができる。
【0020】
視野領域変更部110は、ハーフミラー107とカラーセンサ111との間に配置されており、ハーフミラー107からの光のうち、一部の領域の光を遮り、一部の領域の光を透過する。視野領域変更部110を透過した光は、カラーセンサ111に入射する。また、視野領域変更部110は、ハーフミラー107からの光のうち、光を遮る領域を変更することができる。すなわち、視野領域変更部110は、カラーセンサ111の視野範囲(第3の領域)を変更することができる。
【0021】
カラーセンサ111は、サンプル101からの光のうち、視野領域変更部110を透過した光のスペクトル情報を検出する。撮像制御部112は、ステージ駆動部103と、第1の対物レンズ105と、第2の対物レンズ106と、第1の撮像部108と、第2の撮像部109と、カラーセンサ111との制御を行い、サンプル101の画像およびスペクトル情報を取得する。
【0022】
貼り合わせ情報生成部115は、第1の撮像部108が撮像した複数枚の部分画像それぞれに対して隣接する部分画像を認識し、さらに、隣接する部分画像同士ののりしろ部を認識し、認識した結果に基づいて全ての部分画像を貼り合わせて一枚の全体画像を生成するために用いる貼り合わせ情報を生成する。
【0023】
画像ファイル生成部113は、貼り合わせ情報生成部115が生成した貼り合わせ情報に基づいて、全ての部分画像を貼り合わせて一枚のサンプル画像を生成する。また、画像ファイル生成部113は、カラーセンサ111が取得したスペクトル情報と、第1の撮像部108が撮像したサンプル101が含まれていない部分画像とに基づいて、生成したサンプル画像の色補正を行う。サンプル101が保持されているスライドガラスは、それぞれ色や透過率が異なる。そのため、色補正の方法としては、例えば、サンプル101が含まれていない部分画像の画像情報(スペクトル情報)を、サンプル101が含まれている部分画像の画像情報(スペクトル情報)で除算する。これにより、スライドガラスの特性を補正し、純粋なサンプル101の画像情報(スペクトル情報)を取得することができる。また、上述したスライドガラスの特性を補正したサンプル101の画像情報(スペクトル情報)を、例えば前もって取得していた標準の画像の画像情報(スペクトル情報)に合わせるように補正することで、よりサンプル101の色の再現性を良くすることができる。なお、画像ファイル生成部113は、カラーセンサ111が取得したスペクトル情報と、第1の撮像部108が撮像したサンプル101が含まれていない部分画像とに基づいて部分画像それぞれの色補正を行った後、色補正後の部分画像を貼り合わせてサンプル画像を生成するようにしてもよい。
【0024】
次に、第1の撮像部108が部分画像を撮像する部分画像領域と、第2の撮像部109が全体画像を撮像する全体画像領域と、画像ファイル生成部113が生成するサンプル画像とについて説明する。図2は、本実施形態において、第1の撮像部108が部分画像を撮像する部分画像領域と、第2の撮像部109が全体画像を撮像する全体画像領域と、画像ファイル生成部113が生成するサンプル画像とを示した概略図である。図示する例では、サンプル101が含まれていない部分画像を撮像する領域である部分画像領域201が示されている。また、サンプル画像の生成に用いる部分画像を撮像する領域である56個の部分画像領域202が示されている。また、全体画像を撮像する領域である全体画像領域301が示されている。また、画像ファイル生成部113が生成するサンプル画像401が示されている。
【0025】
この場合、第1の撮像部108は、部分画像領域201の部分画像を撮像することで、色補正を行うための部分画像(第1の部分画像信号)を取得することができる。また、第1の撮像部108は、56個の部分画像領域202の撮像を行うことで、サンプル画像401を生成するために必要な全ての部分画像領域202の部分画像(第2の部分画像信号)を取得することができる。また、第2の撮像部109は1回の撮像でサンプル101全体を含む全体画像領域301の全体画像を撮像することができる。また、56個の部分画像領域201の部分画像を合わせると、サンプル画像401となる
【0026】
なお、図2に示す例ではのりしろ部が示されていないが、第1の撮像部108が撮像する部分画像にはのりしろ部が含まれる。例えば、第1の撮像部108が部分画像領域202の部分画像を撮像する場合、図示する部分画像領域201の周囲の領域の画像を含む部分画像を撮像する。
【0027】
次に、サンプル101が含まれていない部分画像領域201の判定方法について説明する。サンプル位置検出部114は、例えば、第2の撮像部109が撮像した1枚の全体画像の画素値を用いて部分画像領域毎に画素値の平均値を算出し、算出した平均値が所定の閾値よりも高い部分画像領域にはサンプル101が含まれていないと判定する。なお、サンプル101が含まれていない部分画像領域の決定方法はこの方法に限らず、どのような方法を用いてもよい。例えば、サンプル位置検出部114は、第2の撮像部109が撮像した1枚の全体画像の画素値を用いて部分画像領域毎に画素値の平均値を算出し、算出した平均値が所定の閾値よりも低い部分画像領域にはサンプル101が含まれていると判定する。そして、サンプル位置検出部114は、サンプル101が含まれていると判定した部分画像領域よりも所定の距離以上離れた部分画像領域にはサンプル101が含まれていないと判定するようにしてもよい。
【0028】
このように、バーチャルスライド装置1は、サンプル101が含まれていない部分画像領域201を判定することができるため、画像の色補正に用いる、第1の撮像部108が撮像したサンプル101が含まれていない部分画像をより短時間に取得することができる。
【0029】
次に、バーチャルスライド装置1によるサンプル101の撮像手順について説明する。図3は、本実施形態におけるバーチャルスライド装置1の動作手順を示したフローチャートである。
(ステップS101)撮像制御部112は、第2の対物レンズ106をサンプル101に対向する位置に配置し、第2の撮像部109をハーフミラー107が透過した光を受光する位置に配置し、第2の対物レンズ106と第2の撮像部109とを用いて、サンプル101を含む全体画像を撮像する。その後、ステップS102の処理に進む。
【0030】
(ステップS102)サンプル位置検出部114は、ステップS101の処理で第2の撮像部109が撮像した全体画像を用いて、サンプル101が含まれていない部分画像領域201を判定し、サンプル101が含まれていない部分画像領域201の位置情報を特定する。その後、ステップS103の処理に進む。なお、サンプル101が含まれていない部分画像領域201が複数存在する場合、サンプル位置検出部114は、いずれか1つの部分画像領域201の位置情報を特定する。例えば、サンプル位置検出部114は、サンプル101が含まれていない部分画像領域201のうち、現在のステージ102(サンプル101)の位置から一番距離が近い部分画像領域201の位置情報を特定する。
【0031】
(ステップS103)撮像制御部112は、第1の対物レンズ105をサンプル101に対向する位置に配置し、第1の撮像部108をハーフミラー107が透過した光を受光する位置に配置する。その後、ステップS104の処理に進む。
(ステップS104)撮像制御部112は、第1の撮像部108が、サンプル101が含まれていない部分画像領域201の部分画像を撮像できるように、ステージ駆動部103を制御してステージ102(サンプル101)を水平方向に移動させる。なお、撮像制御部112は、ステップS102の処理でサンプル位置検出部114が特定した位置情報に基づいて、ステージ102(サンプル101)の移動方向および移動量を決定する。その後、ステップS105の処理に進む。
【0032】
(ステップS105)撮像制御部112は、第1の撮像部108に部分画像領域201の部分画像を撮像させ、カラーセンサ111にスペクトル情報を取得させる。第1の撮像部108は部分画像を撮像し、撮像した部分画像を画像ファイル生成部113に対して出力する。また、カラーセンサ111は、スペクトル情報を取得し、取得したスペクトル情報を画像ファイル生成部113に対して出力する。なお、このときにカラーセンサ111がスペクトル情報を取得する領域は、例えば、部分画像領域201の中央部分の領域である。画像ファイル生成部113は、このときに第1の撮像部108が出力する部分画像を、画像の色補正に用いる部分画像として記憶する。また、画像ファイル生成部113は、カラーセンサ111が出力するスペクトル情報を記憶する。その後、ステップS106の処理に進む。
【0033】
(ステップS106)撮像制御部112は、第1の撮像部108がサンプル101の全ての部分画像領域201の部分画像を撮像したか否かを判定する。第1の撮像部108はサンプル101の全ての部分画像領域201の部分画像を撮像したと撮像制御部112が判定した場合にはステップS109の処理に進み、それ以外の場合にはステップS107の処理に進む。
【0034】
(ステップS107)撮像制御部112は、第1の撮像部108が、まだ撮像していない部分画像領域202の部分画像を撮像できるように、ステージ駆動部103を制御してステージ102(サンプル101)を水平方向に移動させる。その後、ステップS108の処理に進む。
【0035】
(ステップS108)撮像制御部112は、第1の撮像部108に部分画像領域202の部分画像を撮像させ、カラーセンサ111にスペクトル情報を取得させる。第1の撮像部108は部分画像を撮像し、撮像した部分画像を画像ファイル生成部113と貼り合わせ情報生成部115とに対して出力する。また、カラーセンサ111は、スペクトル情報を取得し、取得したスペクトル情報を画像ファイル生成部113に対して出力する。なお、このときにカラーセンサ111がスペクトル情報を取得する領域は、例えば、部分画像領域201の中央部分の領域である。画像ファイル生成部113は、第1の撮像部108が出力する部分画像と、カラーセンサ111が出力するスペクトル情報とを記憶する。その後、ステップS106の処理に戻る。
【0036】
(ステップS109)貼り合わせ情報生成部115は、第1の撮像部108が撮像した複数枚の部分画像それぞれに対して隣接する部分画像を認識し、さらに、隣接する部分画像同士ののりしろ部を認識し、認識した結果に基づいて全ての部分画像を貼り合わせて一枚のサンプル画像401を生成するために用いる貼り合わせ情報を生成する。その後、ステップS110の処理に進む。
【0037】
(ステップS110)画像ファイル生成部113は、ステップS109の処理で貼り合わせ情報生成部115が生成した貼り合わせ情報に基づいて、ステップS106の処理で記憶した部分画像を貼り合わせて一枚のサンプル画像401を生成する。また、画像ファイル生成部113は、ステップS105の処理で記憶した色補正に用いる部分画像と、ステップS105およびステップSS108の処理で記憶したスペクトル情報とを用いて、生成したサンプル画像401の色補正を行う。その後、処理を終了する。なお、画像ファイル生成部113は、色補正に用いる部分画像と各部分画像領域202で取得したスペクトル情報を用いて部分画像それぞれの色補正を行った後、色補正後の部分画像を貼り合わせてサンプル画像401を生成するようにしてもよい。
【0038】
上述した通り、本実施形態によれば、バーチャルスライド装置1は、サンプル101が含まれていない部分画像領域201を判定し、サンプル101が含まれていない部分画像領域201の位置を特定することができるため、サンプル101が含まれていない部分画像をより短時間に取得することができる。サンプル101が含まれていない部分画像は、画像の色補正に用いる部分画像である。また、バーチャルスライド装置1は、サンプル101が含まれていない部分画像を用いて画像の色補正を行うため、画像の色補正をより精度良く行うことができる。
【0039】
なお、サンプル101を保持するスライドガラスに、サンプル101に関連する情報を含んだバーコード(記号)を付し、バーチャルスライド装置1がバーコードを読み取り、サンプル101の情報を取得することができるようにしても良い。図4は、本実施形態におけるバーコードが付されたスライドガラスの概略図である。図示する例では、スライドガラス212の上にサンプル101が載置されている。また、サンプル101はカバーガラス214で覆われている。また、スライドガラス212の左上部に、バーコード213が付されている。バーコード213は、スライドガラス212の上に載置されているサンプル101に関連する情報を含んでいる。例えば、サンプル101に関連する情報としては、サンプル101の部位情報である。また、図示する例では、第2の撮像部109が1回の撮像で画像を撮影する領域である全体画像領域301(第1の領域)が示されている。
【0040】
バーチャルスライド装置1がスライドガラス212に付されたバーコード213を読み取る方法としては以下の方法がある。例えば、第2の撮像部109は、1回の撮像でスライドガラス212全体を含む全体画像領域301の画像を撮影する。その後、画像ファイル生成部113は、第2の撮像部109が撮像した画像に含まれるバーコード213を読み取り、バーコード213に含まれているサンプル101に関連する情報を取得する。
【0041】
また、サンプル101に関連する情報を用いて、サンプル101を撮像した部分画像の色補正を行う方法としては以下の方法がある。例えば、サンプル101が病理サンプルである場合、病理サンプルの部位によって色が異なる。そのため、画像ファイル生成部113は、病理サンプルの色に合わせた色補正を行うことができるように、病理サンプルの特性に合わせて補正係数を決定して色補正を行う。
【0042】
以上、この発明の一実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0043】
例えば、上述した実施形態では、第1の撮像部108と第2の撮像部109とを別々に備え、第1の撮像部108が部分画像を撮像し、第2の撮像部109が全体画像を撮像しているがこれに限らない。例えば、第1の撮像部108が、全体画像と部分画像の両方を撮像するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1・・・バーチャルスライド装置、101・・・サンプル、102・・・ステージ、103・・・ステージ駆動部、104・・・光源、105・・・第1の対物レンズ、106・・・第2の対物レンズ、107・・・ハーフミラー、108・・・第1の撮像部、109・・・第2の撮像部、110・・・視野領域変更部、111・・・カラーセンサ、112・・・撮像制御部、113・・・画像ファイル生成部、114・・・サンプル位置検出部、115・・・貼り合わせ情報生成部、201,202・・・部分画像領域、212・・・スライドガラス、213・・・バーコード、214・・・カバーガラス、301・・・全体画像領域、401・・・サンプル画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを設置するステージと、
前記サンプル全体を含む第1の領域の像を第1の平面に結像し、前記第1の領域に含まれる第2の領域の像を第2の平面に結像させ、前記第2の領域の少なくとも一部からの光を第3の平面に導く光学系と、
第1の平面に結像された第1の像および第2の平面に結像された第2の像を各々撮像して画像信号を出力する撮像部と、
前記第3の平面に導かれた光のスペクトル情報を取得するカラーセンサと、
前記第1の像に基づいた全体画像信号を前記撮像部に出力させ、前記全体画像信号に基づいて前記第1の領域のうちサンプルが含まれない領域の位置情報を取得し、当該位置情報に基づいて前記第2の領域と前記サンプルが含まれない領域とが重なるように前記ステージと前記光学系の相対位置を変化させ、前記第2の像に基づいた第1の部分画像信号を前記撮像部に出力させ、前記第3の平面に導かれた光に基づいたスペクトル情報を前記カラーセンサに取得させ、前記第1の領域のうち前記サンプルが含まれる領域の少なくとも一部を前記第2の領域が走査するように前記ステージと前記光学系との相対位置を変化させながら前記第2の像に基づいた複数の第2の部分画像信号を前記撮像部に出力させる制御部と、
前記スペクトル情報と前記第1の部分画像信号とに基づいて前記第2の部分画像信号を補正し、当該第2の部分画像信号を用いて前記サンプルを含む画像を生成する画像処理部と、
を備えることを特徴とするバーチャルスライド装置。
【請求項2】
前記撮像部は、前記第1の領域に含まれる、前記サンプルに関連する情報を示す記号を撮像し、
前記画像処理部は、前記撮像部が撮像した前記記号から前記サンプルに関連する情報を取得し、当該情報に基づいて前記第2の部分画像信号を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載のバーチャルスライド装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の領域のうち、前記全体画像信号の値が所定の閾値よりも大きい領域を前記サンプルが含まれない領域と特定する
ことを特徴とする請求項1に記載のバーチャルスライド装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の領域のうち、前記全体画像信号の値が所定の閾値よりも小さい領域から所定の距離だけ離れた領域を前記サンプルが含まれない領域と特定する
ことを特徴とする請求項1に記載のバーチャルスライド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−109064(P2013−109064A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252462(P2011−252462)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】