パイプの連結構造及びこれを用いた掃除具
【課題】パイプの連結構造及びこれを用いた掃除具に関し、パイプ同士を容易に連結可能とし、かつ引き抜き強度を向上することができるようにしたものである。
【解決手段】筒状の雄パイプ100を筒状の雌パイプ(例えばグリップ70)に挿入することにより、雄パイプ100及び雌パイプ(例えばグリップ70)を軸方向に連結するパイプの連結構造である。雄パイプ100又は雌パイプ(例えばグリップ70)のどちらか一方に突起部101を有し、他方に嵌合孔72を有し、突起部101を嵌合孔72に嵌合することにより、雄パイプ100及び雌パイプ(例えばグリップ70)が連結される。雄パイプ100又は雌パイプ(例えばグリップ70)のどちらか一方の周面に、雄パイプ100を雌パイプ(例えばグリップ70)に挿入する際に雄パイプ100を内方に変形させる凸部102を有する。
【解決手段】筒状の雄パイプ100を筒状の雌パイプ(例えばグリップ70)に挿入することにより、雄パイプ100及び雌パイプ(例えばグリップ70)を軸方向に連結するパイプの連結構造である。雄パイプ100又は雌パイプ(例えばグリップ70)のどちらか一方に突起部101を有し、他方に嵌合孔72を有し、突起部101を嵌合孔72に嵌合することにより、雄パイプ100及び雌パイプ(例えばグリップ70)が連結される。雄パイプ100又は雌パイプ(例えばグリップ70)のどちらか一方の周面に、雄パイプ100を雌パイプ(例えばグリップ70)に挿入する際に雄パイプ100を内方に変形させる凸部102を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パイプの連結構造及びこれを用いた掃除具に関し、パイプ同士を容易に連結可能とし、かつ引き抜き強度を向上することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の筒状パイプの内挿端部を他方の筒状パイプの外挿端部に挿入することにより、筒状パイプ同士を連結可能な掃除具用柄が知られている(特許文献1の段落番号「0012」、図1〜3参照)。
前記内挿端部と外挿端部との周面には、突起係合穴をそれぞれ形成している(特許文献1の段落番号「0012」、図1〜3参照)。
【0003】
前記内挿端部の内側には、係合突起を有する略U字状のバネ片が、突起係合穴から係合突起を突出させた状態で内設されている(特許文献1の段落番号「0013」、図3(a)参照)。
前記内挿端部を外挿端部に挿入すると、バネ片のバネ力に抗して係合突起が押し込まれ、外挿端部の突起係合穴の位置まで押し込まれると、バネ片のバネ力により、係合突起が外挿端部の突起係合穴にはまり込む(特許文献1の段落番号「0013」、図3(b)及び(c)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-314363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の掃除具用柄では、バネ片により係合突起を弾性的に突出させていたので、挿入力を低減できるが、逆に引き抜き強度が低下するという問題点があった。
すなわち、従来の掃除具用柄では、引き抜き強度を向上しようとすると、バネ片のバネ力を強める必要があったが、バネ力を強めると、挿入力が増加してしまうという欠点があった。
【0006】
また、従来の掃除具用柄では、バネ力を強めると、挿入時に外挿端部の開口縁や突起係合穴の穴縁に係合突起が当たっり、こすれて削れる等して、破損し易くなり、係合突起を破損すると、引き抜き強度の低下を来すという欠点があった。
これに加え、従来の掃除具用柄では、バネ片により係合突起を弾性的に突出させる構造としていたので、パイプの連結構造が複雑となり、部品点数も多く、製造が困難であるという問題点もあった。
【0007】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、パイプ同士を容易に連結可能とし、かつ引き抜き強度を向上することができるようにしたものである。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、雄パイプを雌パイプに挿入する際に、凸部により雄パイプを内方に変形させることで、突起部を嵌合孔に嵌合する方向に突出させることができ、嵌合孔から突起部を外れ難くすることができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項2に記載の発明は、雄パイプの周面の、突起部を挟む両側に、長手方向に沿うスリットを有することで、雄パイプの突起部を撓み易くでき、結果として挿入力を低減することができるようにしたものである。
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの突起部を撓み易くすることで、突起部の削れ等による破損を防止することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項3に記載の発明は、雄パイプの外周部の少なくとも一部の断面を波形状とすることで、雄パイプの突起部を撓み易くでき、結果として挿入力を低減することができるようにしたものである。
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの突起部を撓み易くすることで、突起部の削れ等による破損を防止することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0011】
すなわち、請求項4に記載の発明は、雌パイプの内周面に、雄パイプの外周部の波形状に嵌り合うことが可能な突条部を有することで、雌パイプ内での雄パイプの回り止めとなり、雄パイプの回転を防止することができるようにしたものである。
これに加え、請求項4に記載の発明によれば、雄パイプの波形状が雌パイプの突条部に嵌り合った状態で挿入させることから、突条部に挿入時のガイドとして機能を持たせることができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0012】
すなわち、請求項5に記載の発明は、掃除具の柄に好適なパイプの連結構造を提供することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0014】
第1に、例えば図1〜5に示すように、筒状の雄パイプ(100)を筒状の雌パイプ(例えばグリップ70)に挿入することにより、雄パイプ(100)及び雌パイプ(例えばグリップ70)を軸方向に連結するパイプの連結構造である。
第2に、例えば図1、図3及び図5に示すように、雄パイプ(100)又は雌パイプ(例えばグリップ70)のどちらか一方に突起部(101)を有し、他方に嵌合孔(72)を有し、突起部(101)を嵌合孔(72)に嵌合することにより、雄パイプ(100)及び雌パイプ(例えばグリップ70)が連結される。
【0015】
なお、本実施の形態においては、突起部(101)を雄パイプ(100)の外周に設け、嵌合孔(72)を雌パイプ(例えばグリップ70)に設けたが、これらに限定されず、図示しないが、雌パイプ(例えばグリップ70)の内周に突起部を設け、当該突起部が嵌合する嵌合孔を雄パイプ(100)に設けても良い。
第3に、雄パイプ(100)又は雌パイプ(例えばグリップ70)のどちらか一方の周面に、例えば図1及び図3に示すように、雄パイプ(100)を雌パイプ(例えばグリップ70)に挿入する際に雄パイプ(100)を内方に変形させる凸部(102)を有する。
【0016】
なお、本実施の形態においては、凸部(102)を雄パイプ(100)の外周に設けたが、これらに限定されず、図示しないが、雌パイプ(例えばグリップ70)の内周に凸部を設けても良い。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、雄パイプ(100)の周面の、突起部(101)を挟む両側に、例えば図1及び図3に示すように、長手方向に沿うスリット(103)を有する。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、例えば図1に示すように、雄パイプ(100)の外周部の少なくとも一部の断面を波形状(104)とする。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0019】
すなわち、雌パイプ(例えばグリップ70)の内周面に、例えば図1、図3及び図4に示すように、雄パイプ(100)の外周部の波形状(104)に嵌り合うことが可能な突条部(73)を有する。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、掃除具であって、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、例えば図2に示すように、パイプ構造によってパイプを連結してなる柄(50)を有する掃除具(10)である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、パイプ同士を容易に連結可能とし、かつ引き抜き強度を向上することができる。
【0022】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、雄パイプを雌パイプに挿入する際に、凸部により雄パイプを内方に変形させることで、突起部を嵌合孔に嵌合する方向に突出させることができ、嵌合孔から突起部を外れ難くすることができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0023】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの周面の、突起部を挟む両側に、長手方向に沿うスリットを有することで、雄パイプの突起部を撓み易くでき、結果として挿入力を低減することができる。
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの突起部を撓み易くすることで、突起部の削れ等による破損を防止することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0024】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、雄パイプの外周部の少なくとも一部の断面を波形状とすることで、雄パイプの突起部を撓み易くでき、結果として挿入力を低減することができる。
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの突起部を撓み易くすることで、突起部の削れ等による破損を防止することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、雌パイプの内周面に、雄パイプの外周部の波形状に嵌り合うことが可能な突条部を有することで、雌パイプ内での雄パイプの回り止めとなり、雄パイプの回転を防止することができる。
これに加え、請求項4に記載の発明によれば、雄パイプの波形状が雌パイプの突条部に嵌り合った状態で挿入させることから、突条部に挿入時のガイドとして機能を持たせることができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0026】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、掃除具の柄に好適なパイプの連結構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】グリップとキャップとの一部分解斜視図である。
【図2】掃除具の斜視図である。
【図3】グリップとキャップとの他の一部分解斜視図である。
【図4】グリップの一部を断面にしたキャップとの分解斜視図である。
【図5】グリップとキャップとを連結した状態の一部斜視図である。
【図6】グリップの正面図である。
【図7】グリップの平面図である。
【図8】グリップの底面図である。
【図9】グリップの左側面図である。
【図10】グリップの右側面図である。
【図11】図9のA−A線に沿う断面図である。
【図12】図11のB部の拡大図である。
【図13】図6のC−C線に沿う断面図である。
【図14】図6のD−D線に沿う断面図である。
【図15】図8のE−E線に沿う断面図である。
【図16】キャップの斜視図である。
【図17】キャップの正面図である。
【図18】キャップの平面図である。
【図19】キャップの底面図である。
【図20】キャップの左側面図である。
【図21】キャップの右側面図である。
【図22】図20のF−F線に沿う断面図である。
【図23】図17のG−G線に沿う断面図である。
【図24】組立状態の正面図である。
【図25】組立状態の左側面図である。
【図26】図24のH−H線に沿う断面図である。
【図27】図24のI−I線に沿う断面図である。
【図28】図25のJ−J線に沿う断面図である。
【図29】図28のK部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(掃除具10)
図2中、10は、掃除具であり、本願発明に係るパイプの連結構造は、当該掃除具10の後述する柄50を構成するパイプの連結に使用されている。
掃除具10は、図2に示すように、大別すると、次の各パーツから構成されている。
なお、掃除具10のパーツは、次の(1)〜(4)に限定されない。
【0029】
(1)掃除シート20
掃除シート20は、図2に示すように、後述するヘッド部30に装着され、交換可能なものである。
(2)ヘッド部30
ヘッド部30は、図2に示すように、掃除シート20を装着可能なものである。
【0030】
(3)自由継手40
自由継手40は、図2に示すように、ヘッド部30と後述する柄50との間に位置し、柄50を前後方向、左右方向に自由自在に動くようにするものである。
(4)柄50
柄50は、図2に示すように、自由継手40を介してヘッド部30に接続されたものである。(柄50)
柄50には、図2に示すように、大別すると、次の各パーツを備えている。
【0031】
(1)シャフト60
シャフト60は、図2に示すように、棒状に形成され、下端部が自由継手40を介してヘッド部30に連結されている。シャフト60は、図示しないが、複数本のパイプを伸縮可能につないで構成され、長さの調整機構を備えている。
(2)グリップ70(雌パイプ)
グリップ70は、図1〜5に示すように、シャフト60の上端部に連結され、円筒形に形成され、雌パイプを構成する。
【0032】
また、グリップ70は、シャフト60に向かって徐々に細くなるように形成されている。
(3)キャップ80(雄パイプ100))
キャップ80は、図1〜5に示すように、グリップ70の後述する開口部71に挿入され、当該開口部71を閉塞するものである。キャップ80には、後述するが、雌パイプを構成するグリップ70の開口部71に挿入可能な雄パイプ100を有する。
(グリップ70(雌パイプ))
グリップ70は、雌パイプ部分が、適度な剛性を有する熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン(PP)で一体的に形成されている。
【0033】
なお、グリップ70の樹脂は、ポリプロピレン(PP)に限定されない。
グリップ70は、図6〜15に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)開口部71
(2)嵌合孔72
(3)突条部73
なお、グリップ70の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(開口部71)
開口部71は、図1、図3及び図4に示すように、グリップ70の一端部に位置し、キャップ80の後述する雄パイプ100を挿入するものである。開口部71は、先端部に向かって下り傾斜するように、斜めに傾斜させている。
(嵌合孔72)
嵌合孔72は、図1、図3〜5、図12及び図29に示すように、開口部71にキャップ80の後述する雄パイプ100を挿入した際に、雄パイプ100の同じく後述する突起部101が嵌合するためのものである。嵌合孔72は、図12に示すように、グリップ70の内外に貫通し、図8に示すように、雄パイプ100の挿入方向に長く延びる略長方形状に形成されている。また、雄パイプ100を挿入方向の先端部、すなわち嵌合孔72の先端部は、雄パイプ100の後述する突起部101の外形に適合させて半円形に形成している。
【0034】
なお、嵌合孔72を、略長方形状に形成したが、これに限定されない。
また、嵌合孔72の周囲には、図1、図3、図8及び図12に示すように、グリップ70の外周面から窪んだ窪み部72aを設けている。
(突条部73)
突条部73は、図1、図3及び図4に示すように、雄パイプ100の外周部の後述する波形状104に嵌り合うことが可能なものである。突条部73は、図10に示すように、グリップ70の内周から中心に向かって複数本突出し、図11に示すように、雄パイプ100の挿入方向に長く延びるリブ状に形成されている。
【0035】
突条部73は、雄パイプ100の波形状104の凹んだ谷部分にはまり込み、谷部分にはまり込んだ状態で雄パイプ100の挿入方向に相対的にスライド可能に構成されている。
(キャップ80(雄パイプ100))
キャップ80は、二色成形され、後述する雄パイプ100を一次成形した後、当該雄パイプ100をインサートして、後述するキャップ本体90を二次成形する。雄パイプ100は、適度な弾性と剛性を有する熱可塑性樹脂、例えばグリップ70と同様に、ポリプロピレン(PP)で一体的に形成されている。キャップ本体90は、弾性に富む熱可塑性樹脂、例えば熱可塑性エラストマー(TPE)で一体的に形成されている。
【0036】
なお、雄パイプ100の樹脂は、ポリプロピレン(PP)に限定されず、又、キャップ80の樹脂も、熱可塑性エラストマー(TPE)に限定されない。
キャップ80は、図16〜23に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)キャップ本体90
(2)雄パイプ100
なお、キャップ80の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(キャップ本体90)
キャップ本体90は、図1、図3及び図4に示すように、キャップ80の一端部に位置し、その外径をグリップ70の開口部71の内径より大きく形成している。このため、後述する雄パイプ100をグリップ70の開口部71に挿入して装着した状態において、図29に示すように、当該開口部71をキャップ本体90により塞ぐことができるようにしている。
【0037】
また、キャップ80の先端部は、図1、図3及び図4に示すように、先端部に向かって下り傾斜するように、斜めに傾斜させている。
キャップ本体90には、図16〜23に示すように、次の各部を備える。
なお、キャップ本体90の各部は、次の(1)に限定されない。
(1)取付穴91
取付穴91は、図示しないが、フックに引っ掛けたり、或いは紐を通して取り付けるためのものであり、図1、図3、図4及び図22に示すように、キャップ80の斜めに傾斜した端部に位置し、その厚み方向に略楕円形に貫通している。
【0038】
なお、取付穴91を、略楕円形に形成したが、これに限定されず、円形や多角形に形成しても良い。
(雄パイプ100)
雄パイプ100は、図1、図3、図4に示すように、キャップ80の一端部に位置し、その外径をグリップ70の開口部71の内径以下、本実施の形態では内径にほぼ等しく形成している。
【0039】
また、雄パイプ100は、挿入方向の先端部に向かって先細り状に形成し、挿入性を向上している。
雄パイプ100には、図16〜23に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(4)については、後述する。
(1)突起部101
(2)凸部102
(3)スリット103
(4)波形状104
なお、雄パイプ100の各部は、上記した(1)〜(4)に限定されない。
(突起部101)
突起部101は、図1、図3及び図29に示すように、雄パイプ100の外周から突出し、グリップ70の嵌合孔72に嵌合可能なものである。
【0040】
突起部101は、挿入方向に長く延びたリブ状に形成され、その平面を嵌合孔72に適合した略長方形状に形成している。また、雄パイプ100を挿入方向の前方側に位置する、突起部101の先端部は、平面が半円形に形成され、嵌合孔72にはまり込み易くしている。
なお、突起部101を、略長方形状に形成したが、これに限定されず、挿入方向の後端部が切り立っていれば良い。
(凸部102)
凸部102は、図1、図3及び図4に示すように、雄パイプ100の外周から突出し、雄パイプ100をグリップ70の開口部71に挿入する際に雄パイプ100を内方に変形させるものである。
【0041】
凸部102は、図20に示すように、突起部101を含む直径方向と、雄パイプ100の円の中心において直交する直径方向の両端部に一対位置し、グリップ70の開口部71の内径より大径に突出する。凸部102は、雄パイプ100の端面から挿入方向に延び、長さを突起部101と略等しく形成している。
(スリット103)
スリット103は、図1、図3、図4及び図19に示すように、雄パイプ100の周面の、突起部101を挟む両側に位置し、長手方向に沿って延びている。
【0042】
スリット103は、突起部101の両側に隣接して位置し、雄パイプ100を挿入方向の後ろ側に位置する、突起部101の後端部側から挿入方向の後方に向かって、挿入方向に沿って長く延びている。
なお、スリット103を一対形成したが、これに限らず、3本以上形成しても良い。
(波形状104)
波形状104は、図1、図16及び図20に示すように、雄パイプ100の外周部の少なくとも一部の断面形状である。
【0043】
波形状104は、雄パイプ100の略全長に渡って形成されている。
波形状104の凹んだ谷部分には、グリップ70の開口部71の内周面から突出する突条部73が嵌り合い、突条部73が嵌り合った状態で、雄パイプ100が開口部71の奥に向かって進行する。
波形状104の凹んだ谷部分と、突条部73とにより、グリップ70の開口部71に対する雄パイプ100の挿入位置を規制している。
(グリップ70とキャップ80との連結方法)
上記した構成を有するグリップ70とキャップ80との連結方法について説明する。
【0044】
キャップ80の雄パイプ100を、グリップ70の開口部71に合わせて挿入する。
このとき、雄パイプ100の波形状104の谷部分に、開口部71の内周面から突出する突条部73が嵌り合うように挿入する。
雄パイプ100を挿入すると、その外周からの突出量が最も大きい突起部101が、開口部71の内周面に押されて、雄パイプ100全体が扁平に撓む。
【0045】
図20を例に挙げて説明すると、突起部101が同図において下側に位置することから、雄パイプ100全体が上下方向に押しつぶれるようにして扁平に撓む。
このとき、突起部101の両側に一対のスリット103を位置させていることから、突起部101の周囲が中空内方に向かって大きく撓む。
その後、雄パイプ100全体が扁平に撓んだ状態で、開口部71の奥に向かって進行し、雄パイプ100の突起部101が、グリップ70の嵌合孔72の位置まで進むと、樹脂の弾性復元力により、図29に示すように、突起部101が嵌合孔72に嵌り込む。
【0046】
このため、雄パイプ100がグリップ70の開口部71から抜けなくなり、又、開口部71はキャップ本体90により塞がれる。
一方、突起部101が嵌合孔72に嵌り込んだ位置において、雄パイプ100の外周から突出する一対の凸部102が、グリップ70の開口部71の内周面に押されて、雄パイプ100全体が扁平に撓む。
【0047】
図20を例に挙げて説明すると、一対の凸部102が同図において左右両側に位置することから、雄パイプ100全体が左右方向に押しつぶれるようにして扁平に撓む。
このため、突起部101が半径方向外向きに付勢され、嵌合孔72に深くはまり込もうとする。
したがって、嵌合孔72に深くはまり込もうとする方向に突起部101が付勢されることで、雄パイプ100の引き抜き強度を向上することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 掃除具 20 掃除シート
30 ヘッド部 40 自由継手
50 柄 60 シャフト
70 グリップ(雌パイプ) 71 開口部
72 嵌合孔 72a 窪み部
73 突条部 80 キャップ
90 キャップ本体 91 取付穴
100 雄パイプ
101 突起部 102 凸部
103 スリット 104 波形状
【技術分野】
【0001】
この発明は、パイプの連結構造及びこれを用いた掃除具に関し、パイプ同士を容易に連結可能とし、かつ引き抜き強度を向上することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の筒状パイプの内挿端部を他方の筒状パイプの外挿端部に挿入することにより、筒状パイプ同士を連結可能な掃除具用柄が知られている(特許文献1の段落番号「0012」、図1〜3参照)。
前記内挿端部と外挿端部との周面には、突起係合穴をそれぞれ形成している(特許文献1の段落番号「0012」、図1〜3参照)。
【0003】
前記内挿端部の内側には、係合突起を有する略U字状のバネ片が、突起係合穴から係合突起を突出させた状態で内設されている(特許文献1の段落番号「0013」、図3(a)参照)。
前記内挿端部を外挿端部に挿入すると、バネ片のバネ力に抗して係合突起が押し込まれ、外挿端部の突起係合穴の位置まで押し込まれると、バネ片のバネ力により、係合突起が外挿端部の突起係合穴にはまり込む(特許文献1の段落番号「0013」、図3(b)及び(c)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-314363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の掃除具用柄では、バネ片により係合突起を弾性的に突出させていたので、挿入力を低減できるが、逆に引き抜き強度が低下するという問題点があった。
すなわち、従来の掃除具用柄では、引き抜き強度を向上しようとすると、バネ片のバネ力を強める必要があったが、バネ力を強めると、挿入力が増加してしまうという欠点があった。
【0006】
また、従来の掃除具用柄では、バネ力を強めると、挿入時に外挿端部の開口縁や突起係合穴の穴縁に係合突起が当たっり、こすれて削れる等して、破損し易くなり、係合突起を破損すると、引き抜き強度の低下を来すという欠点があった。
これに加え、従来の掃除具用柄では、バネ片により係合突起を弾性的に突出させる構造としていたので、パイプの連結構造が複雑となり、部品点数も多く、製造が困難であるという問題点もあった。
【0007】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、パイプ同士を容易に連結可能とし、かつ引き抜き強度を向上することができるようにしたものである。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、雄パイプを雌パイプに挿入する際に、凸部により雄パイプを内方に変形させることで、突起部を嵌合孔に嵌合する方向に突出させることができ、嵌合孔から突起部を外れ難くすることができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項2に記載の発明は、雄パイプの周面の、突起部を挟む両側に、長手方向に沿うスリットを有することで、雄パイプの突起部を撓み易くでき、結果として挿入力を低減することができるようにしたものである。
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの突起部を撓み易くすることで、突起部の削れ等による破損を防止することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項3に記載の発明は、雄パイプの外周部の少なくとも一部の断面を波形状とすることで、雄パイプの突起部を撓み易くでき、結果として挿入力を低減することができるようにしたものである。
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの突起部を撓み易くすることで、突起部の削れ等による破損を防止することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0011】
すなわち、請求項4に記載の発明は、雌パイプの内周面に、雄パイプの外周部の波形状に嵌り合うことが可能な突条部を有することで、雌パイプ内での雄パイプの回り止めとなり、雄パイプの回転を防止することができるようにしたものである。
これに加え、請求項4に記載の発明によれば、雄パイプの波形状が雌パイプの突条部に嵌り合った状態で挿入させることから、突条部に挿入時のガイドとして機能を持たせることができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0012】
すなわち、請求項5に記載の発明は、掃除具の柄に好適なパイプの連結構造を提供することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0014】
第1に、例えば図1〜5に示すように、筒状の雄パイプ(100)を筒状の雌パイプ(例えばグリップ70)に挿入することにより、雄パイプ(100)及び雌パイプ(例えばグリップ70)を軸方向に連結するパイプの連結構造である。
第2に、例えば図1、図3及び図5に示すように、雄パイプ(100)又は雌パイプ(例えばグリップ70)のどちらか一方に突起部(101)を有し、他方に嵌合孔(72)を有し、突起部(101)を嵌合孔(72)に嵌合することにより、雄パイプ(100)及び雌パイプ(例えばグリップ70)が連結される。
【0015】
なお、本実施の形態においては、突起部(101)を雄パイプ(100)の外周に設け、嵌合孔(72)を雌パイプ(例えばグリップ70)に設けたが、これらに限定されず、図示しないが、雌パイプ(例えばグリップ70)の内周に突起部を設け、当該突起部が嵌合する嵌合孔を雄パイプ(100)に設けても良い。
第3に、雄パイプ(100)又は雌パイプ(例えばグリップ70)のどちらか一方の周面に、例えば図1及び図3に示すように、雄パイプ(100)を雌パイプ(例えばグリップ70)に挿入する際に雄パイプ(100)を内方に変形させる凸部(102)を有する。
【0016】
なお、本実施の形態においては、凸部(102)を雄パイプ(100)の外周に設けたが、これらに限定されず、図示しないが、雌パイプ(例えばグリップ70)の内周に凸部を設けても良い。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、雄パイプ(100)の周面の、突起部(101)を挟む両側に、例えば図1及び図3に示すように、長手方向に沿うスリット(103)を有する。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、例えば図1に示すように、雄パイプ(100)の外周部の少なくとも一部の断面を波形状(104)とする。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0019】
すなわち、雌パイプ(例えばグリップ70)の内周面に、例えば図1、図3及び図4に示すように、雄パイプ(100)の外周部の波形状(104)に嵌り合うことが可能な突条部(73)を有する。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、掃除具であって、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、例えば図2に示すように、パイプ構造によってパイプを連結してなる柄(50)を有する掃除具(10)である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、パイプ同士を容易に連結可能とし、かつ引き抜き強度を向上することができる。
【0022】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、雄パイプを雌パイプに挿入する際に、凸部により雄パイプを内方に変形させることで、突起部を嵌合孔に嵌合する方向に突出させることができ、嵌合孔から突起部を外れ難くすることができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0023】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの周面の、突起部を挟む両側に、長手方向に沿うスリットを有することで、雄パイプの突起部を撓み易くでき、結果として挿入力を低減することができる。
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの突起部を撓み易くすることで、突起部の削れ等による破損を防止することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0024】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、雄パイプの外周部の少なくとも一部の断面を波形状とすることで、雄パイプの突起部を撓み易くでき、結果として挿入力を低減することができる。
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、雄パイプの突起部を撓み易くすることで、突起部の削れ等による破損を防止することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、雌パイプの内周面に、雄パイプの外周部の波形状に嵌り合うことが可能な突条部を有することで、雌パイプ内での雄パイプの回り止めとなり、雄パイプの回転を防止することができる。
これに加え、請求項4に記載の発明によれば、雄パイプの波形状が雌パイプの突条部に嵌り合った状態で挿入させることから、突条部に挿入時のガイドとして機能を持たせることができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0026】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、掃除具の柄に好適なパイプの連結構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】グリップとキャップとの一部分解斜視図である。
【図2】掃除具の斜視図である。
【図3】グリップとキャップとの他の一部分解斜視図である。
【図4】グリップの一部を断面にしたキャップとの分解斜視図である。
【図5】グリップとキャップとを連結した状態の一部斜視図である。
【図6】グリップの正面図である。
【図7】グリップの平面図である。
【図8】グリップの底面図である。
【図9】グリップの左側面図である。
【図10】グリップの右側面図である。
【図11】図9のA−A線に沿う断面図である。
【図12】図11のB部の拡大図である。
【図13】図6のC−C線に沿う断面図である。
【図14】図6のD−D線に沿う断面図である。
【図15】図8のE−E線に沿う断面図である。
【図16】キャップの斜視図である。
【図17】キャップの正面図である。
【図18】キャップの平面図である。
【図19】キャップの底面図である。
【図20】キャップの左側面図である。
【図21】キャップの右側面図である。
【図22】図20のF−F線に沿う断面図である。
【図23】図17のG−G線に沿う断面図である。
【図24】組立状態の正面図である。
【図25】組立状態の左側面図である。
【図26】図24のH−H線に沿う断面図である。
【図27】図24のI−I線に沿う断面図である。
【図28】図25のJ−J線に沿う断面図である。
【図29】図28のK部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(掃除具10)
図2中、10は、掃除具であり、本願発明に係るパイプの連結構造は、当該掃除具10の後述する柄50を構成するパイプの連結に使用されている。
掃除具10は、図2に示すように、大別すると、次の各パーツから構成されている。
なお、掃除具10のパーツは、次の(1)〜(4)に限定されない。
【0029】
(1)掃除シート20
掃除シート20は、図2に示すように、後述するヘッド部30に装着され、交換可能なものである。
(2)ヘッド部30
ヘッド部30は、図2に示すように、掃除シート20を装着可能なものである。
【0030】
(3)自由継手40
自由継手40は、図2に示すように、ヘッド部30と後述する柄50との間に位置し、柄50を前後方向、左右方向に自由自在に動くようにするものである。
(4)柄50
柄50は、図2に示すように、自由継手40を介してヘッド部30に接続されたものである。(柄50)
柄50には、図2に示すように、大別すると、次の各パーツを備えている。
【0031】
(1)シャフト60
シャフト60は、図2に示すように、棒状に形成され、下端部が自由継手40を介してヘッド部30に連結されている。シャフト60は、図示しないが、複数本のパイプを伸縮可能につないで構成され、長さの調整機構を備えている。
(2)グリップ70(雌パイプ)
グリップ70は、図1〜5に示すように、シャフト60の上端部に連結され、円筒形に形成され、雌パイプを構成する。
【0032】
また、グリップ70は、シャフト60に向かって徐々に細くなるように形成されている。
(3)キャップ80(雄パイプ100))
キャップ80は、図1〜5に示すように、グリップ70の後述する開口部71に挿入され、当該開口部71を閉塞するものである。キャップ80には、後述するが、雌パイプを構成するグリップ70の開口部71に挿入可能な雄パイプ100を有する。
(グリップ70(雌パイプ))
グリップ70は、雌パイプ部分が、適度な剛性を有する熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン(PP)で一体的に形成されている。
【0033】
なお、グリップ70の樹脂は、ポリプロピレン(PP)に限定されない。
グリップ70は、図6〜15に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)開口部71
(2)嵌合孔72
(3)突条部73
なお、グリップ70の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(開口部71)
開口部71は、図1、図3及び図4に示すように、グリップ70の一端部に位置し、キャップ80の後述する雄パイプ100を挿入するものである。開口部71は、先端部に向かって下り傾斜するように、斜めに傾斜させている。
(嵌合孔72)
嵌合孔72は、図1、図3〜5、図12及び図29に示すように、開口部71にキャップ80の後述する雄パイプ100を挿入した際に、雄パイプ100の同じく後述する突起部101が嵌合するためのものである。嵌合孔72は、図12に示すように、グリップ70の内外に貫通し、図8に示すように、雄パイプ100の挿入方向に長く延びる略長方形状に形成されている。また、雄パイプ100を挿入方向の先端部、すなわち嵌合孔72の先端部は、雄パイプ100の後述する突起部101の外形に適合させて半円形に形成している。
【0034】
なお、嵌合孔72を、略長方形状に形成したが、これに限定されない。
また、嵌合孔72の周囲には、図1、図3、図8及び図12に示すように、グリップ70の外周面から窪んだ窪み部72aを設けている。
(突条部73)
突条部73は、図1、図3及び図4に示すように、雄パイプ100の外周部の後述する波形状104に嵌り合うことが可能なものである。突条部73は、図10に示すように、グリップ70の内周から中心に向かって複数本突出し、図11に示すように、雄パイプ100の挿入方向に長く延びるリブ状に形成されている。
【0035】
突条部73は、雄パイプ100の波形状104の凹んだ谷部分にはまり込み、谷部分にはまり込んだ状態で雄パイプ100の挿入方向に相対的にスライド可能に構成されている。
(キャップ80(雄パイプ100))
キャップ80は、二色成形され、後述する雄パイプ100を一次成形した後、当該雄パイプ100をインサートして、後述するキャップ本体90を二次成形する。雄パイプ100は、適度な弾性と剛性を有する熱可塑性樹脂、例えばグリップ70と同様に、ポリプロピレン(PP)で一体的に形成されている。キャップ本体90は、弾性に富む熱可塑性樹脂、例えば熱可塑性エラストマー(TPE)で一体的に形成されている。
【0036】
なお、雄パイプ100の樹脂は、ポリプロピレン(PP)に限定されず、又、キャップ80の樹脂も、熱可塑性エラストマー(TPE)に限定されない。
キャップ80は、図16〜23に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)キャップ本体90
(2)雄パイプ100
なお、キャップ80の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(キャップ本体90)
キャップ本体90は、図1、図3及び図4に示すように、キャップ80の一端部に位置し、その外径をグリップ70の開口部71の内径より大きく形成している。このため、後述する雄パイプ100をグリップ70の開口部71に挿入して装着した状態において、図29に示すように、当該開口部71をキャップ本体90により塞ぐことができるようにしている。
【0037】
また、キャップ80の先端部は、図1、図3及び図4に示すように、先端部に向かって下り傾斜するように、斜めに傾斜させている。
キャップ本体90には、図16〜23に示すように、次の各部を備える。
なお、キャップ本体90の各部は、次の(1)に限定されない。
(1)取付穴91
取付穴91は、図示しないが、フックに引っ掛けたり、或いは紐を通して取り付けるためのものであり、図1、図3、図4及び図22に示すように、キャップ80の斜めに傾斜した端部に位置し、その厚み方向に略楕円形に貫通している。
【0038】
なお、取付穴91を、略楕円形に形成したが、これに限定されず、円形や多角形に形成しても良い。
(雄パイプ100)
雄パイプ100は、図1、図3、図4に示すように、キャップ80の一端部に位置し、その外径をグリップ70の開口部71の内径以下、本実施の形態では内径にほぼ等しく形成している。
【0039】
また、雄パイプ100は、挿入方向の先端部に向かって先細り状に形成し、挿入性を向上している。
雄パイプ100には、図16〜23に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(4)については、後述する。
(1)突起部101
(2)凸部102
(3)スリット103
(4)波形状104
なお、雄パイプ100の各部は、上記した(1)〜(4)に限定されない。
(突起部101)
突起部101は、図1、図3及び図29に示すように、雄パイプ100の外周から突出し、グリップ70の嵌合孔72に嵌合可能なものである。
【0040】
突起部101は、挿入方向に長く延びたリブ状に形成され、その平面を嵌合孔72に適合した略長方形状に形成している。また、雄パイプ100を挿入方向の前方側に位置する、突起部101の先端部は、平面が半円形に形成され、嵌合孔72にはまり込み易くしている。
なお、突起部101を、略長方形状に形成したが、これに限定されず、挿入方向の後端部が切り立っていれば良い。
(凸部102)
凸部102は、図1、図3及び図4に示すように、雄パイプ100の外周から突出し、雄パイプ100をグリップ70の開口部71に挿入する際に雄パイプ100を内方に変形させるものである。
【0041】
凸部102は、図20に示すように、突起部101を含む直径方向と、雄パイプ100の円の中心において直交する直径方向の両端部に一対位置し、グリップ70の開口部71の内径より大径に突出する。凸部102は、雄パイプ100の端面から挿入方向に延び、長さを突起部101と略等しく形成している。
(スリット103)
スリット103は、図1、図3、図4及び図19に示すように、雄パイプ100の周面の、突起部101を挟む両側に位置し、長手方向に沿って延びている。
【0042】
スリット103は、突起部101の両側に隣接して位置し、雄パイプ100を挿入方向の後ろ側に位置する、突起部101の後端部側から挿入方向の後方に向かって、挿入方向に沿って長く延びている。
なお、スリット103を一対形成したが、これに限らず、3本以上形成しても良い。
(波形状104)
波形状104は、図1、図16及び図20に示すように、雄パイプ100の外周部の少なくとも一部の断面形状である。
【0043】
波形状104は、雄パイプ100の略全長に渡って形成されている。
波形状104の凹んだ谷部分には、グリップ70の開口部71の内周面から突出する突条部73が嵌り合い、突条部73が嵌り合った状態で、雄パイプ100が開口部71の奥に向かって進行する。
波形状104の凹んだ谷部分と、突条部73とにより、グリップ70の開口部71に対する雄パイプ100の挿入位置を規制している。
(グリップ70とキャップ80との連結方法)
上記した構成を有するグリップ70とキャップ80との連結方法について説明する。
【0044】
キャップ80の雄パイプ100を、グリップ70の開口部71に合わせて挿入する。
このとき、雄パイプ100の波形状104の谷部分に、開口部71の内周面から突出する突条部73が嵌り合うように挿入する。
雄パイプ100を挿入すると、その外周からの突出量が最も大きい突起部101が、開口部71の内周面に押されて、雄パイプ100全体が扁平に撓む。
【0045】
図20を例に挙げて説明すると、突起部101が同図において下側に位置することから、雄パイプ100全体が上下方向に押しつぶれるようにして扁平に撓む。
このとき、突起部101の両側に一対のスリット103を位置させていることから、突起部101の周囲が中空内方に向かって大きく撓む。
その後、雄パイプ100全体が扁平に撓んだ状態で、開口部71の奥に向かって進行し、雄パイプ100の突起部101が、グリップ70の嵌合孔72の位置まで進むと、樹脂の弾性復元力により、図29に示すように、突起部101が嵌合孔72に嵌り込む。
【0046】
このため、雄パイプ100がグリップ70の開口部71から抜けなくなり、又、開口部71はキャップ本体90により塞がれる。
一方、突起部101が嵌合孔72に嵌り込んだ位置において、雄パイプ100の外周から突出する一対の凸部102が、グリップ70の開口部71の内周面に押されて、雄パイプ100全体が扁平に撓む。
【0047】
図20を例に挙げて説明すると、一対の凸部102が同図において左右両側に位置することから、雄パイプ100全体が左右方向に押しつぶれるようにして扁平に撓む。
このため、突起部101が半径方向外向きに付勢され、嵌合孔72に深くはまり込もうとする。
したがって、嵌合孔72に深くはまり込もうとする方向に突起部101が付勢されることで、雄パイプ100の引き抜き強度を向上することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 掃除具 20 掃除シート
30 ヘッド部 40 自由継手
50 柄 60 シャフト
70 グリップ(雌パイプ) 71 開口部
72 嵌合孔 72a 窪み部
73 突条部 80 キャップ
90 キャップ本体 91 取付穴
100 雄パイプ
101 突起部 102 凸部
103 スリット 104 波形状
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の雄パイプを筒状の雌パイプに挿入することにより、前記雄パイプ及び前記雌パイプを軸方向に連結するパイプの連結構造であって、
前記雄パイプ又は雌パイプのどちらか一方に突起部を有し、他方に嵌合孔を有し、前記突起部を前記嵌合孔に嵌合することにより、雄パイプ及び雌パイプが連結され、
前記雄パイプ又は雌パイプのどちらか一方の周面に、前記雄パイプを前記雌パイプに挿入する際に雄パイプを内方に変形させる凸部を有することを特徴とするパイプの連結構造。
【請求項2】
前記雄パイプの周面の、前記突起部を挟む両側に、長手方向に沿うスリットを有することを特徴とする請求項1に記載のパイプの連結構造。
【請求項3】
前記雄パイプの外周部の少なくとも一部の断面を波形状とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパイプの連結構造。
【請求項4】
前記雌パイプの内周面に、前記雄パイプの前記外周部の波形状に嵌り合うことが可能な突条部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパイプの連結構造。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のパイプ構造によってパイプを連結してなる柄を有する掃除具。
【請求項1】
筒状の雄パイプを筒状の雌パイプに挿入することにより、前記雄パイプ及び前記雌パイプを軸方向に連結するパイプの連結構造であって、
前記雄パイプ又は雌パイプのどちらか一方に突起部を有し、他方に嵌合孔を有し、前記突起部を前記嵌合孔に嵌合することにより、雄パイプ及び雌パイプが連結され、
前記雄パイプ又は雌パイプのどちらか一方の周面に、前記雄パイプを前記雌パイプに挿入する際に雄パイプを内方に変形させる凸部を有することを特徴とするパイプの連結構造。
【請求項2】
前記雄パイプの周面の、前記突起部を挟む両側に、長手方向に沿うスリットを有することを特徴とする請求項1に記載のパイプの連結構造。
【請求項3】
前記雄パイプの外周部の少なくとも一部の断面を波形状とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパイプの連結構造。
【請求項4】
前記雌パイプの内周面に、前記雄パイプの前記外周部の波形状に嵌り合うことが可能な突条部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパイプの連結構造。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のパイプ構造によってパイプを連結してなる柄を有する掃除具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2013−85604(P2013−85604A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226871(P2011−226871)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]