説明

パターン評価装置、パターン評価方法及び該方法を用いたデバイス製造方法

【課題】 最小線幅0.2ミクロン以下のパターンを有する試料の欠陥検査等の評価を、マルチビームを用いて高スループットで行なう。
【解決手段】 単一のカソードから放出された電子線をマルチ開口で分離し、マルチビームを作る。集束したマルチビームを用いて、評価すべき試料と同じZ座標にあるマーカ上を走査する。マーカ上の走査点から放出された電子線をE×B分離器で一次電子線から分離し、単一の検出器で検出する。単一の検出器を用いた検出によって、ビーム分解能、ビーム間隔およびビーム強度のうちの少なくとも一つを評価する。次にE×B分離器の偏向方向を逆にし、試料上の走査点から放出された二次電子群を二次光学系へ導く。複数の検出器で二次電子群によるマルチビームの各ビームに対応する信号を検出し、試料面上のパターンの評価を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は最小線幅0.2μm以下のパターンを有する試料の欠陥検査等の評価を高スループットで行なう方法及びそのような方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の第1発明に関して言えば、パターンの評価を複数の電子線すなわちマルチビームで行なう方法は提案されているが、実用的な製品は未だ発売されていない。また、マルチビームをどのようにして観測し、どのようにして評価すべきかを記した文献はこれまでに見当たらない。
【0003】
本願の第2発明に関して言えば、従来、光軸から等距離の位置に8個程度のマルチビームを作り、それによって試料上を走査し、試料からの二次電子を写像投影光学系で拡大して試料の評価を行なう方法が提案されていた。光軸から等距離の位置にマルチビームを作ろうとすると、光軸を中心とした円周上にビームを並べる必要がある。10個以上のビームを作ろうとすると、円周の直径を大きくする必要があり、電子銃及びレンズ収差に大きい負担が生じる問題が明らかになってきた。
【0004】
本願の第3発明に関して言えば、マルチビームを用いるパターン評価装置については従来からいくつかの方式が提案されている。従来のマルチビームではビームの数を増やそうとすると、対物レンズは勿論、縮小レンズやコンデンサレンズの収差により、光軸から遠いビームの分解能が落ちる問題点があった。さらに一次電子線と二次電子の合焦条件を同時に満たすことが困難である問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の第1発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、マルチビームの調整方法に重点を置いたパターン評価方法を提供し、さらにこのような評価方法を用いて、歩留まり良くデバイスを製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
本願の第2発明は、上記問題点を克服することにより、10個以上のマルチビームを発生させて、これにより試料上を走査することによって高スループットで試料の評価を行なう方法を提供し、さらにそのような方法を用いて歩留まり良くデバイスを製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
本願の第3発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、光軸からある程度まで離れたビームも試料上に細く絞って形成でき、また一次ビームと二次ビームを同時に合焦させることが可能なビーム形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1発明によれば、
複数の電子線を試料に照射し、試料面上のパターンの評価を行なう方法であって、
a.マルチ開口を用いてマルチビームを作るステップと、
b.マルチビームを集束し、集束されたマルチビームを用いて、評価すべき試料と同じZ座標にあるマーカ上を走査するステップと、
c.マーカ上の走査点から放出された電子線をE×B分離器で一次電子線から分離し、検出器で検出するステップと、
d.前記検出器を用いた検出によって、ビーム分解能、ビーム間隔およびビーム強度のうちの少なくとも一つを評価するステップと、
e.E×B分離器の偏向方向を逆にし、試料上の走査点から放出された二次電子群を二次光学系へ導くステップと、
f.複数の検出器で二次電子群によるマルチビームの各ビームに対応する信号を検出し、試料面上のパターンの評価を行なうステップと、
を有することを特徴とするパターン評価方法が提供される。
【0009】
本願の第1発明によればまた、
複数の電子線を試料に照射し、試料面上のパターンの評価を行なう方法であって、
a.マルチビームを作るステップと、
b.マルチビームを集束し、集束されたマルチビームを用いて、評価すべき試料面上を走査するステップと、
c.試料面上の走査点から放出された二次電子群による複数の電子線をE×B分離器で一次電子線から分離し、二次光学系へ導くステップと、
d.前記複数の電子線に対応した複数の検出器でマルチビームの各ビームに対応する信号を検出し、試料面上のパターンの評価を行なうステップと、
を有し、ここで、一次光学系の対物レンズとその上流のレンズとの間の距離が、二次光学系での対物レンズとその次の下流のレンズとの間の距離より大きいことを特徴とするパターン評価方法も提供される。
【0010】
本願の第1発明の2番目に記載したパターン評価方法において、前記一次光学系の対物レンズとその上流のレンズとの間の距離を、二次光学系での対物レンズとその次の下流のレンズとの間の距離の2倍以上とすることができる。
【0011】
本願の第1発明の1番目に記載したパターン評価方法において、前記マーカは、平坦な基板上に設けられ、それぞれがビーム間隔より小寸法の径を有する複数の重金属のドットからなるドットパターンか、それぞれがビーム間隔より小寸法の径を有する複数の穴を備えたマーカか、あるいは、x軸又はy軸に平行に延び、ビーム間隔より大寸法の幅を有するナイフエッジ状のパターンとすることができる。
【0012】
さらに本願の第1発明によれば、
a)ウェーハを準備するステップと、
b)ウェーハプロセスを行うステップと、
c)プロセス後のウェーハの評価を上述したいずれかの方法を用いて行なうステップと、
d)前記ステップb)およびc)を必要な数だけ繰り返すステップと、
e)ウェーハをダイに分割し、デバイスを組み立てるステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法も提供される。
【0013】
さらに、本願の第1発明の別態様として、
複数の電子線を試料に照射し、試料面上のパターンの評価を行なう装置であって、
a.マルチビームを作る手段と、
b.マルチビームを集束し、集束されたマルチビームを用いて、評価すべき試料面上を走査する手段と、
c.試料面上の走査点から放出された二次電子群による複数の電子線をE×B分離器で一次電子線から分離し、二次光学系へ導く手段と、
d.前記複数の電子線に対応した複数の検出器でマルチビームの各ビームに対応する信号を検出し、試料面上のパターンの評価を行なう手段と、
を有し、ここで、一次光学系の対物レンズとその上流のレンズとの間の距離が、二次光学系での対物レンズとその次の下流のレンズとの間の距離より大きいことを特徴とするパターン評価装置も提供される。
【0014】
このパターン評価装置において、前記一次光学系の対物レンズとその上流のレンズとの間の距離を、二次光学系での対物レンズとその次の下流のレンズとの間の距離の2倍以上とすることができる。
【0015】
本願の第2発明によれば、
複数のビームで試料面上のパターンの評価を行なう方法であって、
a.カソードを有する電子銃から放出された電子線を複数の開ロに照射し、マルチビームを形成するステップと、
b.上記複数の開口を通過したビームのクロスオーバを、該クロスオーバの寸法より十分大きい寸法を有するNA開口またはその近傍に形成するステップと、
c.上記クロスオーバの拡大像を対物レンズの主面近傍のZ座標位置に結像させるステップと、
d.上記マルチ開口の像を少なくとも縮小レンズと対物レンズとで試料面上に縮小像を形成するステップと、
e.縮小レンズと対物レンズとの間に設けた少なくとも2段の偏向器を用いてマルチビームで試料上を走査するステップと、
f.試料上の走査点から放出された二次電子群を対物レンズで加速・集束するステップと、
g.対物レンズを通過した二次電子群をE×B分離器で偏向し、二次光学系に入射させるステップと、
h.二次光学系により上記二次電子群の相互の間隔を拡大し、複数の二次電子検出器に導くステップと、
i.上記検出器で検出された信号から試料面上のパターンの評価を行なうステップと、
を有することを特徴とするパターン評価方法が提供される。
【0016】
本願の第2発明によればまた、
複数のビームで試料面上のパターンの評価を行なう方法であって、
a.カソードを有する電子銃から放出された電子線にして、3次の球面収差が負であるかあるいはカソードより試料側でクロスオーバを作らない発散ビームである電子線を複数の開口に照射し、マルチビームを形成するステップと、
b.上記複数の開口を通過したビームのクロスオーバをNA開口またはその近傍に結像させるステップと、
c.上記クロスオーバの拡大像を対物レンズの主面の近傍に結像させるステップと、
d.上記マルチ開口の像を縮小レンズと対物レンズとで試料面上に縮小像を形成するステップと、
e.縮小レンズと対物レンズとの間に設けた少なくとも2段の偏向器を用いてマルチビームで試料上を走査するステップと、
f.試料上の走査点から放出された二次電子群を対物レンズの方向に加速・集束するステップと、
g.対物レンズを通過した二次電子群をE×B分離器で偏向し、二次光学系に入射させるステップと、
h.二次光学系により上記二次電子群の相互の間隔を拡大し、複数の二次電子検出器に導くステップと、
i.上記検出器で検出された信号から試料面上のパターンの評価を行なうステップと、
を有することを特徴とするパターン評価方法も提供される。
【0017】
本願の第2発明の上述したいずれかのパターン評価方法において、上記NA開口またはその近傍にクロスオーバを結像させるレンズを、マルチ開口の直前あるいは直後に配置されたコンデンサレンズとし、該コンデンサレンズの励起条件を、マルチ開口の光軸から遠い開口を通過したビームがNA開口に結像することを条件として設定されるようにすることができる。
【0018】
また、本願の第2発明の上述したいずれかのパターン評価方法において、試料面から該試料面の法線方向に対して±90°の範囲内に放出された二次電子群の全てを途中で遮断することなく二次電子検出器方向に導くようにすることができる。
【0019】
さらに本願の第2発明によれば、
a)ウェーハを準備するステップと、
b)ウェーハプロセスを行うステップと、
c)プロセス後のウェーハの評価を上述したいずれかに記載の方法を用いて行なうステップと、
d)前記ステップb)およびc)を必要な数だけ繰り返すステップと、
e)ウェーハをダイに分割し、デバイスを組み立てるステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法も提供される。
【0020】
本願の第3発明によれば、
複数の電子線で試料面上のパターンを走査し、該パターンを評価する方法であって、
a.複数のビームを発生させるステップと、
b.少なくとも2段のレンズを用いて、前記複数のビームを縮小し、試料面上に合焦させるステップと、
c.偏向器を用いて前記複数のビームで同時に試料面上を走査するステップと、
d.試料上の走査点から放出された二次電子、反射電子又は透過電子を対物レンズの方向に向けて加速・集束し、対物レンズを透過させるステップと、
e.対物レンズを通過した複数の二次電子線をE×B分離器で一次光学系から分離し、二次光学系に入射させるステップと、
f.二次光学系で前記複数の二次電子線の互いの間隔を拡大し、検出器に入射させるステップと、
を有し、
前記E×B分離器の直後のレンズの外形形状は円錐あるいは頂点の半径の小さい円錐台形状であることを特徴とするパターン評価方法が提供される。
【0021】
本願の第3発明によればまた、
複数の電子線で試料上のパターンを走査し、該パターンを評価する方法であって、
a.複数のビームを発生させるステップと、
b.少なくとも2段のレンズを用いて、前記複数のビームを縮小して試料面上に合焦させるステップと、
c.偏向器を用いて前記複数のビームで同時に試料面上を走査するステップと、
d.試料上の走査点から放出された二次電子、反射電子又は透過電子を対物レンズの方向に向けて加速・集束し、対物レンズを透過させるステップと、
e.対物レンズを通過した複数の二次電子線を写像光学系で拡大するステップと、
f.写像光学系で拡大された複数の二次電子線をその数に対応した検出器で検出し、二次元画像を形成するステップと、
を有し、
前記少なくとも2段のレンズのうち1段のレンズは3枚の電極を有し、その中央電極は正の高電圧を与えられる静電レンズまたは電磁レンズであることを特徴とするパターン評価方法も提供される。
【0022】
また、本願の第3発明の上述したいずれかのパターン評価方法において、前記複数のビームを発生する方式を、先端の尖ったカソードを有する電子銃から放出される電子線を複数の開口に照射する方式とすることができる。
【0023】
また、本願の第3発明の上述した1番目または2番目に記載のパターン評価方法において、前記複数のビームを発生させるステップを複数の光軸を有する系で形成することができる。
【0024】
さらに本願の第3発明によれば、
a)ウェーハを準備するステップと、
b)ウェーハプロセスを行うステップと、
c)プロセス後のウェーハの評価を上述したいずれかに記載の方法を用いて行なうステップと、
d)前記ステップb)およびc)を必要な数だけ繰り返すステップと、
e)ウェーハをダイに分割し、デバイスを組み立てるステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法も提供される。
【0025】
さらに本願の第3発明の別態様によれば、
複数の電子線で試料面上のパターンを走査し、該パターンを評価する装置であって、
a.複数のビームを発生させる手段と、
b.少なくとも2段のレンズを用いて、前記複数のビームを縮小し、試料面上に合焦させる手段と、
c.偏向器を用いて前記複数のビームで同時に試料面上を走査する手段と、
d.試料上の走査点から放出された二次電子、反射電子又は透過電子を対物レンズの方向に向けて加速・集束し、対物レンズを透過させる手段と、
e.対物レンズを通過した複数の二次電子線をE×B分離器で一次光学系から分離し、二次光学系に入射させる手段と、
f.二次光学系で前記複数の二次電子線の互いの間隔を拡大し、検出器に入射させる手段と、
を有し、
前記E×B分離器の直後のレンズの外形形状は円錐あるいは頂点の半径の小さい円錐台形状であることを特徴とするパターン評価装置が提供される。
【0026】
このパターン評価装置において、前記複数のビームを発生する方式を、先端の尖ったカソードを有する電子銃から放出される電子線を複数の開口に照射する方式とすることができる。
【0027】
また、前記複数のビームを発生させるステップを複数の光軸を有する系で形成することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本願の第1発明の実施形態について、図1ないし図4を参照して説明する。
図1は本願の第1発明のパターン評価方法で用いられる電子光学系の全体像である。電子銃は、熱電子を放出するLaBカソード1、ウェーネルト2およびアノード3から成り、アノード3はレンズ4を構成している。ここでLaBカソード1は、0.5mm角程度の角柱形状の単結晶の先端を頂角が60度ないし90度の円錐形状となるように尖らせ、その先端を15ないし40μmの曲率半径を有する半球面形状に研磨したものを使用した。電子銃から放出される電子線の放出角をこのレンズ4で調整可能にしている。レンズ4で放出角を調整された電子線は、コンデンサレンズ7で集束されNA開口11にクロスオーバを結ぶ。符号5,6は軸合わせ偏向器を示す。コンデンサレンズ7の下流にはマルチ開口8が設けられ、このマルチ開口8によってマルチビームを発生させる。これらのマルチビームは縮小レンズ12と対物レンズ17とで2段に縮小され、それぞれの径が100nm以下のマルチビームを試料18上に形成する。符号9,10は、NA開口11および縮小レンズ12への軸合わせ用の偏向器を示す。走査用偏向器13および15を用いて、これらのマルチビームで試料18上を二次元走査し、それによって試料上のパターンの評価が行なわれる。
【0029】
しかしその前に、マルチビームの特性を評価する必要がある。そのため、試料と同じZ座標にあるマーカ上をマルチビームで走査し、マーカから発生した二次電子を対物レンズで加速、集束し、E×B分離器15,16によって図1で見て左方へと偏向し、これを単一の二次電子検出器14で検出する。これにより、ビーム分解能、ビーム間隔およびビーム強度のうちの少なくとも一つを評価する。まず、ビーム間隔を評価するには、マーカとして、平坦な基板上に符号27で示したような重金属のドットからなるドットパターンを用いる(図2参照)。ここでは4個のドットがあるが、これらの間隔は、ビーム間の最大間隔より十分大きく、それぞれのドットの直径はビーム間の最小間隔より小さいので、一つのドットの近傍をマルチビームで二次元走査することにより、マルチビームの数のドットの像がビーム間隔の情報を持って形成される。この像からマルチビーム相互間の距離が実測できる。
【0030】
ビーム電流すなわちビーム強度を個々のビームについて測定するには、図3に記したようなファラデーカップを用いる。ファラデーカップ26の上には負の電源25を印加されたアパーチャ24が設けられている。このアパーチャ24に入射しないビーム電流は測定されず、アパーチャ24を通ったビームのみが電流計PAで測定される。このアパーチャ24の径の寸法をビーム間隔より小さくすれば、個々のビームについてビーム電流を測定することができる。
【0031】
ビーム分解能を測定するには、図4に示したように、x軸に平行に延びるナイフエッジ状の穴31であって、y軸方向の最小ビーム間隔より小寸法の幅を有し且つx軸方向の最大ビーム間隔より大寸法の長さを有するナイフエッジ状の穴(スリット)31を用いる。このナイフエッジ状の穴31をマルチビームで横切るように走査する。走査振幅が十分大きければ33で示したような信号波形かファラデーカップ電流として得られる。各ビームがy軸へ投影したビーム間隔をdyとし、信号33の各段の立上り部で、12%から88%に立上る時間をt、とすると、各ビームの分解能△yiは、
【0032】
【数1】

【0033】
で算出できる。x軸方向のビーム寸法△Xiを求めるには、同様の波形信号を得て、
【0034】
【数2】

【0035】
から算出する。但しこの場合は、符号32のビーム群と符号34のビーム群とにおいてy軸方向のビーム間隔より大寸法の長さを有するナイフエッジ状ファラデーカップ穴を横切ってビームの走査を行なう必要がある。
【0036】
図2に示すドット28,29,30は、ドット27より径寸法が大きい。ドットが小さすぎると信号が小さく、見付け難いため、これらの大寸法のドット28,29,30を利用してビーム位置を確認し、その後、より小さいドット27を探すようにする。このようにして評価したビームが設計どおりになっていなければ、レンズあるいは偏向器を調整して設計どおりになるよう調整する。設計通りになれば評価が終了する。より具体的には、ビーム間隔が広すぎる場合は縮小レンズの焦点距離を短くすればよいし、ビーム寸法が大きい場合は、対物レンズによる焦点合わせのやり直し、軸合わせのやり直し、非点補正のやり直しを行えばよく、ビーム強度が不足している場合は電子銃電流を増加させる調整を行えばよい。
【0037】
このようにして一次ビームの評価が終了すると、E×B分離機の偏向方向を逆にし、二次光学系のレンズ19,21の方向へ二次電子群を偏向させる。ここで、試料18におけるビームエネルギーは、一次ビームか数100eVであるのに対して二次電子は数eVとエネルギー差が大きいので、同じ対物レンズ17で一次ビームと二次ビームを同時に合焦させる必要がある。このためには、縮小レンズ12と対物レンズ17との間の距離を、対物レンズ17と第1拡大レンズ19との間の距離より長くすればよい。理想的には前者の寸法を後者の寸法の2倍以上にすれば、比較的大きい一次ビームのランディングエネルギーで、一次ビームおよび二次ビームともに合焦条件を満たすことができる。即ち、対物レンズによる二次電子の像点を、第1拡大レンズ19の近くへ結像させることが可能となる。第1拡大レンズ19で拡大された二次電子像はさらに拡大レンズ21で拡大され、MCP23の前面にて二次電子像を作り、MCP23で各ビームの二次電子は増倍され、マルチアノード40で吸収され、抵抗41で電圧信号に変換され、マルチ増幅器42で増幅され、A/Dコンバータ43でデジタル信号に変換される。画像形成回路44で二次元画像が作られ、各ビームの作る画像を繋ぎ合わせて試料像を作る。
【0038】
各ビームの信号強度を合わせるにもドット30のパターンを使う。このドット30の径はビーム間隔より十分大きな寸法なので、信号強度は十分大きい。そしてマルチ増幅器42で得られる信号は、それぞれ各ビームの信号に分かれているので、隣の信号と混乱が生じることはない。信号の振幅を合わせるためには、マルチ増幅器42の利得を調整可能にしておけばよい。
【0039】
本願の第1発明によれば、マルチビームの一次ビーム光学系及び二次ビーム光学系を独立に評価できるので、設計通りのマルチビームでパターン評価を高精度で行なえる。
本願の第2発明の実施形態について、図5を参照して説明する。
【0040】
図5は本願の第2発明のパターン評価方法に使われる電子光学系の詳細を示したものである。電子銃はカソード101、ウェーネルト102およびアノード103で構成されている。カソード101は加熱用タングステンフィラメント128に溶接されている。フィラメント128に電流を流すことによってカソードを加熱し、カソードから電子銃電流を流す。この電子銃から放出される電子線がクロスオーバを作らずに発散ビームを形成するよう、3つの電極のそれぞれの電圧が決められる。その結果、このビームの三次の球面収差は負の値を取ることがシュミレーションで明らかになっている。また、発散ビームの軌道をカソード方向に延長すると、カソードの後方に虚のクロスオーバが形成されることが、同じくシュミレーションからわかる。電子銃から放出された発散ビームは、コンデンサレンズ106で収束され、NA開口110にクロスオーバを形成する。コンデンサレンズ106の下にはマルチ開口107が配置され、該マルチ開口107によってマルチビームが発生される。NA開口110の径より十分小さい寸法のクロスオーバがNA開口110あるいはその近傍に形成されていれば、電子線は実質的に遮断されず、ほとんど100%のビームがこのNA開口110を通過する。さらに、NA開口の寸法がクロスオーバ寸法より十分大きいので、NA開口が正確にクロスオーバ位置に一致していなくても問題はなく、収差はクロスオーバ寸法で規定される開口角で決まるので、収差的にも問題はない。したがって、レンズ調整の許容値が甘くてよい。
【0041】
縮小レンズ111による上記クロスオーバの結像は、対物レンズ115の主面のわずかに上方の収差が最小になるz座標位置に結像される。ところでマルチ開口107の光軸から遠い場所の開口と光軸に近い開口とでは、前者のほうが収差が大きい。そして、電子銃が作るクロスオーバでの球面収差と、コンデンサレンズ106および縮小レンズ107による球面収差との差によって、対物レンズ主面近傍でのクロスオーバの収差が発生する。本発明では電子銃が作るクロスオーバは負の球面収差を持っているので、両者の差の収差しか発生せず、したがって、従来よりは影響は小さいbマルチ開口107の光軸から離れた開口を通ったビームが、対物レンズ主面の収差の小さいZ座標位置で光軸と交わるようにすれば、光軸近くの開口を通ったビームとの収差の差が緩和される。試料面上の走査は、静電偏向器112と、E×B分離器114の内側の静電偏向器との2段の偏向器を用いて行なった。この2段の偏向器の偏向量比は、上記のクロスオーバ位置とは異なる位置であるが対物レンズの主面よりわずかに上方の、偏向収差が最も小さくなる位置が偏向主点になるような偏向量比とした。
【0042】
試料116上の走査点から放出された二次電子は、試料に−4kV、対物レンズの下の軸対称電極129に+16kV程度の電圧が印加されていることにより形成された加速電界に引かれて、加速・集束される。試料面の法線に対して±90°以内の角度で放出された二次電子は、細いビームとなって対物レンズを通過し、E×B分離器114で一次光学系から分離されて二次光学系117の方向へ向かうが、ここでは非常に細いビームとなっているので、NA開口を設けないで、試料から発生した二次電子をほとんど検出器方向まで導くようにした。さらに信号のコントラストを向上したい場合には、各検出器の前面に小開口を設け、隣のビームから来た二次電子が迷い込まないようにしてもよい。二次光学系117に入射したマルチビームに対応する二次電子群は、拡大レンズ118,120によって相互間の間隔が拡大され、MCP122にて走査位置の拡大像を作る。MCP122でビーム毎に増倍された二次電子は、マルチアノード123で吸収され、抵抗124で電圧信号に変えられ、増幅器・A/D変換器125でデジタル信号に変えられる。画像形成回路126で二次元画像が作られ、比較器127で欠陥検査等の評価が行なわれる。
【0043】
一次ビーム単独でもビーム分解能等を評価できるように、試料面と同一Z座標位置に設けられたマーカを走査する。マーカから放出された二次電子は、E×B分離器114の偏向方向を逆にすることにより、単一の二次電子検出器113の方へ導かれる。これによってマルチビームの個々を独立に評価できる。偏向器104,105は、コンデンサレンズ106およびマルチ開口107に対する軸合わせのためのもので、偏向器108,109は、NA開口110および縮小レンズ111に対する軸合わせ用である。拡大レンズ118は、E×B分離器に接近して配置できるように、レンズ外形が円錐形形状になるように作られている。偏向器119は、一次ビームの走査に同期して駆動され、二次ビームが常にレンズ120のレンズ中心を通るようにしている。また偏向器121は、走査に同期して駆動され、MCP122上の所定の位置に二次電子が入射するよう補正が行なわれる。
【0044】
本願の第2発明によれば、二次ビームを二次光学系に入れる前に一次ビームの強度、分解能、相対位置、姿勢等が評価できるので、正確なビーム調整を行なうことができる。また、一次ビーム、二次ビーム共NA開口でビームを遮ぎらないので強度の揃ったビームで照射でき、強度の揃った二次電子信号が得られる。
【0045】
本願の第3発明の実施形態について、図6および図7を参照して説明する。
図6は本願の第3発明のパターン評価方法で用いられる電子光学系の概略を示したものである。単結晶LaBカソード201、ウェーネルト202およびアノード203から成る電子銃を空間電荷制限条件で使用することにより、ショット雑音の小さい一次電子線を発生させることができる。2段の軸合わせ偏向器204,205を設け、コンデンサレンズ206,207,209とマルチ開口210とを軸合わせ可能にしている。コンデンサレンズの中央電極207には正の高電圧電源208から電圧が与えられ、低収差の集束を可能にしている。この結果、電子銃が作るクロスオーバ像をNA開口213にて収差少なく合焦させることができる。また、このコンデンサレンズを電磁レンズにしても同様の低収差を実現できる。即ち、光軸近くの開口を通ったビームも、光軸から離れた開口を通ったビームも、NA開口213の中心を主光線が通ることになる。マルチ開口210の下には2段の偏向器211,212を設け、それによってNA開口213と縮小レンズ214,215,217とを同時に軸合わせ可能にしている。縮小レンズの中央電極215には正の電源216から高電圧が与えられ、マルチ開口210の縮小像が作られる。この縮小レンズ214,215,217は、NA開口213の像を対物レンズ221,222,224の上側電極221の近傍に作る。この縮小レンズを正電圧動作させることによって、その球面収差を小さくする。また、この縮小レンズを電磁レンズにすることにより球面収差を同様に小さくできる。それによって、クロスオーバでの収差が小さくなると同時に、マルチ開口210の縮小像に関する収差も小さくなる。マルチ開口210の縮小像は対物レンズ221,222,224でさらに縮小され、試料226上にマルチビームを形成する。このレンズ221,222,224においても、電源223から正の高圧を中央電極222に与え、低収差をもたらす動作をさせるとともに、下側電極224にも電源225から正の電圧を与えてさらに低収差にすることを可能にしている。また、このレンズを電磁レンズとすることにより、低収差にできる。試料226は、2段の偏向器218と219を用いてマルチビームによって走査される。
【0046】
試料226の走査点から放出された二次電子は、対物レンズ221,222,224の下側電極224の正の電圧と、電源227から試料226に与えられる負の電圧とが作る加速電界で加速され、細く集束されて対物レンズ221,222,224を通過し、E×B分離器219,220に入射し、そこで二次光学系の方向へ偏向される。二次光学系においては、E×B分離器219,220の後に設けられた第1拡大レンズ228,229,230と第2拡大レンズ232,233,234とによって二次電子像が拡大され、MCP236の前面にマルチビームの像が形成される。一次電子の結像条件としては、縮小レンズ214,215,217のすぐ下の点250が物点になり、当然に像点は試料226上となる。二次電子は一次電子よりはるかにビームエネルギーが小さいので、一次ビームの合焦条件と同じ対物レンズ条件のもとでは、二次ビームの像点はE×B分離器219,220の近傍となる。この像点は第1拡大レンズ228,229,230の物点となる。第1拡大レンズ228,229,230が拡大レンズとして動作するためには、レンズ電極229と物点との間の距離が小さい必要がある。この条件を満たすには、E×B分離器219,220の偏向角を大きくするか、拡大レンズ228,229,230の外形を円錐形あるいは頂点の上側円の半径が小さい円錐台形状にするかの選択が考えられる。前者では一次ビームにおける偏向色収差が大きいために一次ビームを細く絞れないという問題があるので、本実施の形態では後者の方式を採った。即ち、前側電極228の外径を最も小さくし、中央電極229はこれより少し大きい外径とし、後側電極230の外径を最も大きくして、拡大レンズ全体の形状を円錐台形とした。一次ビームの通路に影響を与えないように、このレンズ228,229,230はE×B分離器219,220に近い物点に近付けるようにした。MCP236に入射したマルチビームに対応する二次電子像は、それぞれが増倍され、MCP236の背面の近くに置かれたマルチアノードで吸収され、抵抗237で電気信号に変えられ、増幅され、A/Dコンバータ238でデジタル信号に変えられる。二次元画像形成回路239で二次元画像が作られ、これが比較器240でパターンデータ241と比較されて、欠陥検査等の評価が行なわれる。
【0047】
なお、符号231,235は偏向器を示す。
電子線による評価のスループットを上げるには、マルチビームのビーム数が多いほうが良い。ビーム数を多くするため、本実施の形態では図7に符号242ないし249で示したようなマルチビームの配置とした。この例では光軸から半径5.3μm以内に22本のビームを作った。ビーム間の最小間隔は2μmであり、y方向に投影したビーム間隔は0.5μmである。
【0048】
このビームをx方向に走査することによって容易に二次元画像を作ることができる。
本願の第3発明の方法によれば、一本の光軸の近くに複数のビームを作ることができるので、パターン評価を高スループットで行なうことができる。
【0049】
次に上述した本願の各発明に係わる半導体デバイスの製造方法の実施の形態の例を説明する。
図8は、本発明の半導体デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。この例の製造工程は以下の各主工程を含む。
1.ウェーハを製造するウェーハ製造工程(又はウェーハを準備するウェーハ準備工程)400
2.露光に使用するマスクを製作するマスク製造工程(又はマスクを準備するマスク準備工程)401
3.ウェーハに必要な加工処理を行うウェーハプロセッシング工程402
4.ウェーハ上に形成されたチップを1個ずつ切り出し、動作可能にならしめるチップ組立工程403
5.できたチップを検査するチップ検査工程404
なお、それぞれの工程はさらにいくつかのサブ工程からなっている。
【0050】
これらの主工程の中で、半導体のデバイスの性能に決定的な影響を及ぼす主工程がウェーハプロセッシング工程である。この工程では、設計された回路パターンをウェーハ上に順次積層し、メモリやMPUとして動作するチップを多数形成する。このウェーハプロセッシング工程は以下の各工程を含む。
1.絶縁層となる誘電体薄膜や配線部、あるいは電極部を形成する金属薄膜等を形成する薄膜形成工程(CVDやスパッタリング等を用いる)
2.この薄膜層やウェーハ基板を酸化する酸化工程
3.薄膜層やウェーハ基板等を選択的に加工するためのマスク(レチクル)を用いてレジストのパターンを形成するリソグラフィー工程
4.レジストパターンに従って薄膜層や基板を加工するエッチング工程(例えばドライエッチング技術を用いる)
5.イオン・不純物注入拡散工程
6.レジスト剥離工程
7.さらに加工されたウェーハを検査する検査工程
なお、ウェーハプロセッシング工程は必要な層数だけ繰り返し行い、設計通り動作する半導体デバイスを製造する。
【0051】
図9は、図8のウェーハプロセッシング工程の中核をなすリソグラフィー工程を示すフローチャートである。このリソグラフィー工程は以下の工程を含む。
1.前段の工程で回路パターンが形成されたウェーハ上にレジストをコートするレジスト塗布工程500
2.レジストを露光する露光工程501
3.露光されたレジストを現像してレジストのパターンを得る現像工程502
4.現像されたレジストパターンを安定化させるためのアニール工程503
以上の半導体デバイス製造工程、ウェーハプロセッシング工程、リソグラフィー工程については、周知のものであり、これ以上の説明を要しないであろう。
【0052】
上記7の検査工程に本発明に係るパターン評価方法を用いると、微細なパターンを有する半導体デバイスでも、スループットよく検査ができるので、全数検査が可能となり、製品の歩留まり向上、欠陥製品の出荷防止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本願の第1発明の実施の形態で用いられる電子光学系の概略図。
【図2】マーカのパターンに用いられる各種のドットを示す平面図。
【図3】単一の二次電子検出器として用いられるファラデーカップの構成を示す概略図。
【図4】ビーム分解能の測定方法を説明するための図。
【図5】本願の第2発明の実施の形態で用いられる電子光学系の概略図。
【図6】本願の第3発明の実施の形態で用いられる電子光学系の概略図。
【図7】本願の第3発明の実施の形態で用いられるマルチビームの配置を示す図。
【図8】デバイス製造プロセスのフローチャートである。
【図9】リソグラフィー工程のフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1,101,201: カソード、 2,102,202: ウェーネルト、 3,103,203: アノード、 5,6,104,105,108,109,204,205: 軸合わせ偏向器、 7,106,206,207,209: コンデンサレンズ、 8,107,210: マルチ開口、 9,10: NA開口と縮小レンズヘの軸合わせ偏向器、 11,110,213: NA開口、 12,111,214,215,217: 縮小レンズ、 13,112: 走査用偏向器、 15,16,114: E×B分離器、 17,115,221,222,224: 対物レンズ、 18,116,226: 試料、 19,21,118,120,228,229,230: 拡大レンズ、 20,22,119,121,131,135: 軸合わせ偏向器、 23,122,236: MCP、 26: ファラデーカップ、 27,28,29,30: ドット、 40,123: マルチアノード、 41,124,237: 抵抗、 42,125: マルチ増幅器、 43,125,238: A/Dコンバータ、 44,126,239: 画像形成回路、 127,240: 比較器、 128:加熱用タングステンフィラメント、 129: 軸対称電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子線を試料に照射し、試料面上のパターンの評価を行なう方法であって、
a.マルチ開口を用いてマルチビームを作るステップと、
b.マルチビームを集束し、集束されたマルチビームを用いて、評価すべき試料と同じZ座標にあるマーカ上を走査するステップと、
c.マーカ上の走査点から放出された電子線をE×B分離器で一次電子線から分離し、検出器で検出するステップと、
d.前記検出器を用いた検出によって、ビーム分解能、ビーム間隔およびビーム強度のうちの少なくとも一つを評価するステップと、
e.E×B分離器の偏向方向を逆にし、試料上の走査点から放出された二次電子群を二次光学系へ導くステップと、
f.複数の検出器で二次電子群によるマルチビームの各ビームに対応する信号を検出し、試料面上のパターンの評価を行なうステップと、
を有することを特徴とするパターン評価方法。
【請求項2】
複数の電子線を試料に照射し、試料面上のパターンの評価を行なう方法であって、
a.マルチビームを作るステップと、
b.マルチビームを集束し、集束されたマルチビームを用いて、評価すべき試料面上を走査するステップと、
c.試料面上の走査点から放出された二次電子群による複数の電子線をE×B分離器で一次電子線から分離し、二次光学系へ導くステップと、
d.前記複数の電子線に対応した複数の検出器でマルチビームの各ビームに対応する信号を検出し、試料面上のパターンの評価を行なうステップと、
を有し、ここで、一次光学系の対物レンズとその上流のレンズとの間の距離が、二次光学系での対物レンズとその次の下流のレンズとの間の距離より大きいことを特徴とするパターン評価方法。
【請求項3】
請求項2に記載のパターン評価方法において、前記一次光学系の対物レンズとその上流のレンズとの間の距離が、二次光学系での対物レンズとその次の下流のレンズとの間の距離の2倍以上であることを特徴とするパターン評価方法。
【請求項4】
請求項1に記載のパターン評価方法において、前記マーカは、平坦な基板上に設けられ、それぞれがビーム間隔より小寸法の径を有する複数の重金属のドットからなるドットパターンか、それぞれがビーム間隔より小寸法の径を有する複数の穴を備えたマーカか、あるいは、x軸又はy軸に平行に延び、ビーム間隔より大寸法の幅を有するナイフエッジ状のパターンであることを特徴とするパターン評価方法。
【請求項5】
a)ウェーハを準備するステップと、
b)ウェーハプロセスを行うステップと、
c)プロセス後のウェーハの評価を請求項1ないし4のいずれかに記載の方法を用いて行なうステップと、
d)前記ステップb)およびc)を必要な数だけ繰り返すステップと、
e)ウェーハをダイに分割し、デバイスを組み立てるステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項6】
複数の電子線を試料に照射し、試料面上のパターンの評価を行なう装置であって、
a.マルチビームを作る手段と、
b.マルチビームを集束し、集束されたマルチビームを用いて、評価すべき試料面上を走査する手段と、
c.試料面上の走査点から放出された二次電子群による複数の電子線をE×B分離器で一次電子線から分離し、二次光学系へ導く手段と、
d.前記複数の電子線に対応した複数の検出器でマルチビームの各ビームに対応する信号を検出し、試料面上のパターンの評価を行なう手段と、
を有し、ここで、一次光学系の対物レンズとその上流のレンズとの間の距離が、二次光学系での対物レンズとその次の下流のレンズとの間の距離より大きいことを特徴とするパターン評価装置。
【請求項7】
請求項6に記載のパターン評価装置において、前記一次光学系の対物レンズとその上流のレンズとの間の距離が、二次光学系での対物レンズとその次の下流のレンズとの間の距離の2倍以上であることを特徴とするパターン評価装置。
【請求項8】
複数のビームで試料面上のパターンの評価を行なう方法であって、
a.カソードを有する電子銃から放出された電子線を複数の開口に照射し、マルチビームを形成するステップと、
b.上記複数の開口を通過したビームのクロスオーバを、該クロスオーバの寸法より十分大きい寸法を有するNA開口またはその近傍に形成するステップと、
c.上記クロスオーバの拡大像を対物レンズの主面近傍のZ座標位置に結像させるステップと、
d.上記マルチ開口の像を少なくとも縮小レンズと対物レンズとで試料面上に縮小像を形成するステップと、
e.縮小レンズと対物レンズとの間に設けた少なくとも2段の偏向器を用いてマルチビームで試料上を走査するステップと、
f.試料上の走査点から放出された二次電子群を対物レンズで加速・集束するステップと、
g.対物レンズを通過した二次電子群をE×B分離器で偏向し、二次光学系に入射させるステップと、
h.二次光学系により上記二次電子群の相互の間隔を拡大し、複数の二次電子検出器に導くステップと、
i.上記検出器で検出された信号から試料面上のパターンの評価を行なうステップと、
を有することを特徴とするパターン評価方法。
【請求項9】
複数のビームで試料面上のパターンの評価を行なう方法であって、
a.カソードを有する電子銃から放出された電子線にして、3次の球面収差が負であるかあるいはカソードより試料側でクロスオーバを作らない発散ビームである電子線を複数の開口に照射し、マルチビームを形成するステップと、
b.上記複数の開口を通過したビームのクロスオーバをNA開口またはその近傍に結像させるステップと、
c.上記クロスオーバの拡大像を対物レンズの主面の近傍に結像させるステップと、
d.上記マルチ開口の像を縮小レンズと対物レンズとで試料面上に縮小像を形成するステップと、
e.縮小レンズと対物レンズとの間に設けた少なくとも2段の偏向器を用いてマルチビームで試料上を走査するステップと、
f.試料上の走査点から放出された二次電子群を対物レンズの方向に加速・集束するステップと、
g.対物レンズを通過した二次電子群をE×B分離器で偏向し、二次光学系に入射させるステップと、
h.二次光学系により上記二次電子群の相互の間隔を拡大し、複数の二次電子検出器に導くステップと、
i.上記検出器で検出された信号から試料面上のパターンの評価を行なうステップと、
を有することを特徴とするパターン評価方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載のパターン評価方法において、上記NA開口またはその近傍にクロスオーバを結像させるレンズが、マルチ開口の直前あるいは直後に配置されたコンデンサレンズであり、該コンデンサレンズの励起条件は、マルチ開口の光軸から遠い開口を通過したビームがNA開口に結像することを条件として設定されることを特徴とするパターン評価方法。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれかに記載のパターン評価方法において、試料面から該試料面の法線方向に対して±90°の範囲内に放出された二次電子群の全てを途中で遮断することなく二次電子検出器方向に導くことを特徴とするパターン評価方法。
【請求項12】
a)ウェーハを準備するステップと、
b)ウェーハプロセスを行うステップと、
c)プロセス後のウェーハの評価を請求項8ないし11のいずれかに記載の方法を用いて行なうステップと、
d)前記ステップb)およびc)を必要な数だけ繰り返すステップと、
e)ウェーハをダイに分割し、デバイスを組み立てるステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項13】
複数の電子線で試料面上のパターンを走査し、該パターンを評価する方法であって、
a.複数のビームを発生させるステップと、
b.少なくとも2段のレンズを用いて、前記複数のビームを縮小し、試料面上に合焦させるステップと、
c.偏向器を用いて前記複数のビームで同時に試料面上を走査するステップと、
d.試料上の走査点から放出された二次電子、反射電子又は透過電子を対物レンズの方向に向けて加速・集束し、対物レンズを透過させるステップと、
e.対物レンズを通過した複数の二次電子線をE×B分離器で一次光学系から分離し、二次光学系に入射させるステップと、
f.二次光学系で前記複数の二次電子線の互いの間隔を拡大し、検出器に入射させるステップと、
を有し、
前記E×B分離器の直後のレンズの外形形状は円錐あるいは頂点の半径の小さい円錐台形状であることを特徴とするパターン評価方法。
【請求項14】
複数の電子線で試料上のパターンを走査し、該パターンを評価する方法であって、
a.複数のビームを発生させるステップと、
b.少なくとも2段のレンズを用いて、前記複数のビームを縮小して試料面上に合焦させるステップと、
c.偏向器を用いて前記複数のビームで同時に試料面上を走査するステップと、
d.試料上の走査点から放出された二次電子、反射電子又は透過電子を対物レンズの方向に向けて加速・集束し、対物レンズを透過させるステップと、
e.対物レンズを通過した複数の二次電子線を写像光学系で拡大するステップと、
f.写像光学系で拡大された複数の二次電子線をその数に対応した検出器で検出し、二次元画像を形成するステップと、
を有し、
前記少なくとも2段のレンズのうち1段のレンズは3枚の電極を有し、その中央電極は正の高電圧を与えられる静電レンズあるいは電磁レンズであることを特徴とするパターン評価方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載のパターン評価方法において、前記複数のビームを発生する方式は、先端の尖ったカソードを有する電子銃から放出される電子線を複数の開口に照射する方式であることを特徴とするパターン評価方法。
【請求項16】
請求項13または14に記載のパターン評価方法において、前記複数のビームを発生させるステップは複数の光軸を有する系で形成されることを特徴とするパターン評価方法。
【請求項17】
a)ウェーハを準備するステップと、
b)ウェーハプロセスを行うステップと、
c)プロセス後のウェーハの評価を請求項13ないし16のいずれかに記載の方法を用いて行なうステップと、
d)前記ステップb)およびc)を必要な数だけ繰り返すステップと、
e)ウェーハをダイに分割し、デバイスを組み立てるステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項18】
複数の電子線で試料面上のパターンを走査し、該パターンを評価する装置であって、
a.複数のビームを発生させる手段と、
b.少なくとも2段のレンズを用いて、前記複数のビームを縮小し、試料面上に合焦させる手段と、
c.偏向器を用いて前記複数のビームで同時に試料面上を走査する手段と、
d.試料上の走査点から放出された二次電子、反射電子又は透過電子を対物レンズの方向に向けて加速・集束し、対物レンズを透過させる手段と、
e.対物レンズを通過した複数の二次電子線をE×B分離器で一次光学系から分離し、二次光学系に入射させる手段と、
f.二次光学系で前記複数の二次電子線の互いの間隔を拡大し、検出器に入射させる手段と、
を有し、
前記E×B分離器の直後のレンズの外形形状は円錐あるいは頂点の半径の小さい円錐台形状であることを特徴とするパターン評価装置。
【請求項19】
請求項18に記載のパターン評価装置において、前記複数のビームを発生する方式は、先端の尖ったカソードを有する電子銃から放出される電子線を複数の開口に照射する方式であることを特徴とするパターン評価装置。
【請求項20】
請求項18に記載のパターン評価装置において、前記複数のビームを発生させるステップは複数の光軸を有する系で形成されることを特徴とするパターン評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−19032(P2006−19032A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192654(P2004−192654)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】