説明

パチンコホール用椅子カバー

【課題】簡易且つ安価にマッサージ機能を有するパチンコホール用椅子カバーを提供する。
【解決手段】パチンコホール用椅子の背もたれ部の上端側から被せられる椅子カバーは,背もたれ部の前面側及び背面側のいずれか一方を覆う第1のカバー部と,他方を覆う第2のカバー部とを有し,第1のカバー部と第2のカバー部の周縁部は,背もたれ部に被せるための開口部を形成するように接合され,第1のカバー部は,互いに仕切られた複数の内部領域を有するシート状の袋体であって,各内部領域に硬質の球体が収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,パチンコホールのパチンコ台やスロット台などの遊技機に面するように固定設置される遊技者用椅子に装着される椅子カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコホールには,遊技島に列状に配置される複数のパチンコ機やスロット機などの遊技機それぞれに面するように,遊戯者用の椅子が配置されている。遊戯者用の椅子は,床面から上方に延びる脚部の上面に配設された着座水平部と,着座水平部から起立した背もたれ部とを有する構成が一般的である。
【0003】
遊技者は,遊技者用の椅子に着座したまま,単調な動作を繰り返すことになり,長時間の着座は,遊技者を疲労させる。
【0004】
特許文献1は,椅子に着座している遊技者の疲労を軽減させるために,椅子にマッサージ機を取り付け,そのマッサージ機が遊技者の肩部分を背後から間欠的に指圧する構成について開示している。
【0005】
特許文献2は,椅子の背もたれ部に,バイブレータ又は押圧子などのマッサージ施療子を内蔵し,足踏みスイッチによりマッサージ施療子を始動停止させる構成について開示している。
【0006】
また,特許文献3,4は,椅子の背もたれ部を覆うカバーに,クッションを収容し,遊技者の背中の痛みや疲労を軽減させる構成について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−310709号公報
【特許文献2】実用新案登録第3013325号公報
【特許文献3】実用新案登録第3158254号公報
【特許文献4】実用新案登録第3158255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,特許文献1,2の構成は,遊技者用の椅子に電気的及び機械的なマッサージ機構を追加的に付加する必要があり,構成が複雑となり且つメンテナンスも必要となり,導入には多大な費用を要する。また,特許文献3,4の構成は,椅子の背もたれ部にカバーを掛ける簡易な構成であるものの,背もたれ部にクッション性を与えるのみであり,マッサージ機能は有していないため,その疲労の軽減効果は限定的である。
【0009】
そこで,本発明の目的は,簡易且つ安価にマッサージ機能を有するパチンコホール用椅子カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の椅子カバーの第1の構成は,パチンコホール用椅子の背もたれ部の上端側から被せられ,前記背もたれ部を覆う椅子カバーであって,前記背もたれ部の前面側及び背面側のいずれか一方を覆う第1のカバー部と,他方を覆う第2のカバー部とを有し,前記第1のカバー部と前記第2のカバー部の周縁部は,前記背もたれ部に被せるための開口部を形成するように接合され,前記第1のカバー部は,互いに仕切られた複数の内部領域を有するシート状の袋体であって,各内部領域に硬質の球体が収容されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の椅子カバーの第2の構成は,パチンコホール用椅子の背もたれ部の上端側から被せられ,前記背もたれ部を覆う椅子カバーであって,前記背もたれ部に被せるための開口部を有するカバー本体と,互いに仕切られた複数の内部領域を有し,各内部領域に硬質の球体が収容されるシート状の袋体とを有し,前記袋体の縁部は,前記カバー本体の前記開口部と対向する縁部に折り曲げ可能に接合され,前記カバー本体が前記背もたれ部に被せられた状態において,前記袋体は,前記背もたれ部の前面及び背面のいずれかに変更可能に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,指圧マッサージ機能を有するパチンコホール用椅子カバーを簡易且つ安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態における椅子カバーを示す図である。
【図2】第1の実施の形態における椅子カバーをパチンコホール用椅子の背もたれに被せた状態を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における椅子カバーを示す図である。
【図4】第2の実施の形態における椅子カバーをパチンコホール用椅子の背もたれに被せた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら,かかる実施の形態例が,本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
図1は,本発明の第1の実施の形態における椅子カバーを示す図であり,図1(a)は正面図,図1(b)は背面図,図1(c)は側面図,図1(d)は図1(a)のA−A線における側断面図である。また,図2は,第1の実施の形態における椅子カバーをパチンコホール用椅子の背もたれに被せた状態を示す図であり,図2(a)は,椅子カバーの正面側を背もたれの前面側に配置した状態を示し,図2(b)は,椅子カバーの背面側を背もたれの前面側に配置した状態を示す。
【0016】
図1において,椅子カバー1は,前面カバー部10と,背面カバー部11と,前面カバー部10内に収容される複数の硬質球体12と有して構成される(図1(a)には,説明のために,前面カバー部10内の硬質球体12が点線で示される)。前面カバー部10が椅子の背もたれの前面側に配置されるように椅子カバー1が椅子の背もたれに被せられた状態において,利用者は,椅子の背もたれに背中をもたれることで,硬質球体12による指圧マッサージ効果を得ることができる。
【0017】
前面カバー部10と背面カバー部11とは面合わせされ,椅子の背もたれに被せるための開口部13を残して,これらの周縁部が縫い合わせられる。
【0018】
さらに,前面カバー部10は,互いに仕切られた複数の内部領域14を有するシート状の袋体であって,各内部領域14にそれぞれ硬質球体12が収容されている。例えば,図1(a)に示されるように,前面カバー部10には,好ましくは,硬質球体12が収容される領域の四方を,前面カバー部10と背面カバー部11とを縫合することにより仕切り,閉じた内部領域14(図1(a)の参照番号14は,説明のために,前面カバー部10の内部を示す)を形成し,好ましくは上下左右に等間隔に配置された複数の内部領域が設けられる。各硬質球体12をそれぞれの内部領域14内に閉じ込め,各硬質球体12の前面カバー部10内での位置を実質的に固定される。これにより,椅子カバー1を椅子の背もたれに被せた状態において,各硬質球体12が互いに離間していても,硬質球体12が前面カバー部10内で落下せずに,仕切られた各内部領域14内に留まり,指圧マッサージ効果を得るのに適切な位置に硬質球体12が保持された状態で,椅子カバー1を椅子に被せることができる。図1の例では,前面カバー部10に2列3段のマトリックス状の内部領域が設けられ,合計6個の硬質球体12が収容される状態が示されるが,内部領域の数や,そのマトリックス状の配置状態は図1の例に限られない。
【0019】
硬質球体12は,好ましくは,硬質ゴムやウレタン樹脂などで形成される直径3〜5cm程度の球体であって,材質,寸法は適宜変更可能である。
【0020】
前面カバー部10及び背面カバー部11は,一般的な布生地,合成皮革などの材料を使用可能である。また,メッシュ材料を用いることで,通気性を付与することができ,背中の蒸れを防止し,より快適な着座を提供することができる。背面カバー部11のみメッシュ仕様であってもよい。
【0021】
また,前面カバー部10は2枚の生地を面合わせし,上述したように,硬質球体12を収容させ,内部領域14が形成されるように縫合される。また,前面カバー部10の内側に,シート状のクッション材(低反発材料を含む)を配置することで,硬質球体12からの圧力を緩和し,より快適な指圧マッサージ効果を得ることができる。
【0022】
さらに,椅子カバー1は,背もたれに被せる向きを逆にすることで,図2(a)に示すように,前面カバー部10が背もたれの前面側(利用者の背中に接触する側)に配置され背面カバー部11が背もたれの背面側(通路側)に配置される状態と,その反対,すなわち,図2(b)に示すように,背面カバー部11が背もたれの前面側に配置され前面カバー部10が背もたれの背面側に配置される状態とのいずれかを選択可能となっている。利用者が前面カバー部10による指圧マッサージの使用を欲する場合は,図2(a)に示すように,前面カバー部10が背もたれの前面側になるように椅子カバー1を被せ,指圧マッサージの使用を欲しない場合は,図2(b)に示すように,前面カバー部10を背もたれの背面側になるように被せればよい。
【0023】
このように,第1の実施の形態における椅子カバー1によれば,パチンコホール用椅子の背もたれに被せる椅子カバーの少なくとも一面に,互いに離間させて複数の硬質球体を収容させることで,指圧マッサージ機能を有する椅子カバーを簡易且つ安価に提供することができる。
【0024】
図3は,本発明の第2の実施の形態における椅子カバーを示す図であり,図3(a)は正面図,図3(b)は側面図である。また,図3(c)は図3(a)のB−B線における側断面図であって,畳まれた状態を示す。背面は正面と同一である。第2の実施の形態の椅子カバー2は,椅子の背もたれに被せるための開口部23を有するカバー本体20と,内部領域24に複数の硬質球体22が収容されるシート状の袋体21とを有して構成され,袋体21の縁部は,カバー本体20の開口部23と対向する縁部に折り曲げ又は折り畳み可能に接合されている(図3(a)には,説明のために,袋体21内の硬質球体12が点線で示される)。そして,カバー本体20がパチンコホール用椅子の背もたれに被せられた状態において,袋体21は,背もたれの前面側及び背面側のいずれかに変更可能に配置される。
【0025】
カバー本体20は,背もたれの上端側から被せるための開口部23を有するカバーであって,例えば,2枚の生地を面合わせして,開口部23を残して,その周縁部を縫合することで形成される。カバー本体20は,一般的な布生地,合成皮革などの材料を使用可能であり,メッシュ素材を用いることもできる。
【0026】
袋体21は,上述の第1の実施の形態における前面カバー部10と同様に,互いに仕切られた複数の内部領域24を有するシート状の袋体であって,各内部領域24に硬質球体22がそれぞれ収容されている。図1の前面カバー部10と同様に,好ましくは,硬質球体12が収容される領域の四方を,前面カバー部10と背面カバー部11とを縫合することにより仕切り,閉じた内部領域24を形成し,好ましくは上下左右に等間隔に配置された複数の内部領域24が設けられる(図3(a)の参照番号24は,説明のために,袋体21の内部を示す)。袋体21も,一般的な布生地,合成皮革などの材料を使用可能であり,メッシュ素材を用いることもできる。また,袋体21の内側には,シート状のクッション材(低反発材料を含む)が配置されていてもよい。
【0027】
硬質球体22も,第1の実施の形態の硬質球体12と同様に,例えば,硬質ゴムやウレタン樹脂などで形成される直径3〜5cm程度の球体であって,材質,寸法は適宜変更可能である。
【0028】
袋体21は,その一つの縁部が,カバー本体20の開口部23と対向する縁部に対して折り曲げ又は折り畳み可能に縫合により接合されている。
【0029】
図4は,第2の実施の形態における椅子カバーをパチンコホール用椅子の背もたれに被せた状態を示す図であり,図4(a)は,椅子カバー2の袋体21を背もたれの前面側に配置した状態を示し,図4(b)は,椅子カバー2の袋体21を背もたれの背面側に配置した状態を示す。カバー本体20が椅子の背もたれに被せられ,利用者は,背もたれの上端側でカバー本体20と接合している袋体21をめくるような動作を行うことで,利用者の好みに応じて,袋体21を背もたれの前面側又は背面側のいずれの側にも配置することができる。
【0030】
第2の実施の形態における椅子カバー2は,第1の実施の形態における椅子カバー1と比較して,カバーを被せ直すことなく,手間なく袋体21を背もたれの前面側にも背面側にも変更することができ,便利である。
【0031】
さらに好ましくは,図4に示されるように,椅子カバー2の袋体21の一方の面には,透明ポケット25が設けられる。透明ポケット25は,椅子カバー2の袋体21を背もたれの背面側に配置された状態において,外側(通路側)に露出した側の面に設けられる。上方側又は側方側が開口した透明ポケットには,パチンコ店の広告・イベントの宣伝などの情報が印刷されたシートが挿入可能である。袋体21が背もたれの背面側に配置された状態において,利用者は,通路を歩行中に,その透明ポケット25に挿入された広告などを視認することができる。
【0032】
透明ポケット25は,汎用的な透明ビニルシートで形成され,袋体21に接着,縫合などにより取り付けられる。
【0033】
このように,第2の実施の形態における椅子カバー1によれば,パチンコホールの椅子の背もたれに被せる椅子カバーに,互いに離間して配置された複数の硬質球体を収容させた袋体を取り付け,背もたれの前面側に配置することで,指圧マッサージ機能を有する椅子カバーを簡易且つ安価に提供することができる。また,袋体をめくるだけで,簡便な操作で容易にマッサージ機能の使用の有無の切替が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1,2:椅子カバー,10:前面カバー部,11:背面カバー部,12:硬質球体,13:開口部,14:内部領域,20:カバー本体,21:袋体,22:硬質球体,23:開口部,24:内部領域,25:透明ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコホール用椅子の背もたれ部の上端側から被せられ,前記背もたれ部を覆う椅子カバーであって,
前記背もたれ部の前面側及び背面側のいずれか一方を覆う第1のカバー部と,他方を覆う第2のカバー部とを有し,前記第1のカバー部と前記第2のカバー部の周縁部は,前記背もたれ部に被せるための開口部を形成するように接合され,
前記第1のカバー部は,互いに仕切られた複数の内部領域を有するシート状の袋体であって,各内部領域に硬質の球体が収容されていることを特徴とする椅子カバー。
【請求項2】
パチンコホール用椅子の背もたれ部の上端側から被せられ,前記背もたれ部を覆う椅子カバーであって,
前記背もたれ部に被せるための開口部を有するカバー本体と,
互いに仕切られた複数の内部領域を有し,各内部領域に硬質の球体が収容されるシート状の袋体とを有し,
前記袋体の縁部は,前記カバー本体の前記開口部と対向する縁部に折り曲げ可能に接合され,前記カバー本体が前記背もたれ部に被せられた状態において,前記袋体は,前記背もたれ部の前面及び背面のいずれかに変更可能に配置されることを特徴とする椅子カバー。
【請求項3】
請求項2において,
前記袋体は,前記背もたれ部の背面に配置された状態で外側に向いている面に,開口部を有する透明ポケットを有することを特徴とする椅子カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−94612(P2013−94612A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243139(P2011−243139)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(510156675)有限会社 アイケイコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】