パット及びこれを用いた衣料
【課題】 左右のバストカップ部の下端縁に沿ったカップ保形用ボーンの装着を容易又は不要とすることができ、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の製造コストをダウンするができるとともに、着用感やデザイン性を向上させることが可能なパット及びこれを用いた衣料を提供することを課題とする。
【解決手段】 ボーン部材が装着されるパットにおいて、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成して課題を解決した。
【解決手段】 ボーン部材が装着されるパットにおいて、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成して課題を解決した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ブラジャー、ボディスーツ、フィットスリップ、レオタード等のファンデーションや、水着等のその他の女性用衣料、あるいは人体に装着するサポーターなどを広く含む衣料において、左右のバストカップ部に装着されるカップパットや、補正機能及びクッション的な機能を持たせるためにサポーターなどに装着されるパット等を含むパット及びこれを用いた衣料に関し、特にカップ保形用ボーンなどのボーン部材の装着が容易又は不要なパット及びこれを用いた衣料に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種のブラジャー、ボディスーツ、フィットスリップ、レオタード等のファンデーションや、水着等のその他の衣料においては、左右のバストカップ部にカップパットが装着され、バストカップ部の着用感を高めたり、女性のバスト形状を美的に創出したり、バストカップ部の補正効果をアップさせるように構成されている。
【０００３】
また、上記ブラジャーやボディスーツ等の衣類においては、女性のバスト形状を美的に創出する効果を更に高めたり、バストカップ部の補正効果を更にアップさせるために、左右のバストカップ部の下端縁に沿って、カップ保形用ボーンを装着するように構成したものが多く用いられている。
【０００４】
上記ブラジャーやボディスーツ等の衣類において、左右のバストカップ部の下端縁に沿って、カップ保形用ボーンを装着するには、カップ保形用ボーンの全周をテープ状の布片によって覆うように縫製するとともに、当該テープ状の布片の一端部又は両端部を左右のバストカップ部の下端縁に沿って縫製するように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記従来のブラジャーやボディスーツ等の衣類においては、左右のバストカップ部の下端縁に沿って、カップ保形用ボーンをそれぞれ装着する際に、カップ保形用ボーンの全周をテープ状の布片によって覆うように縫製するとともに、当該テープ状の布片の一端部又は両端部を左右のバストカップ部の下端縁に沿って縫製する必要がある。
【０００６】
ところが、上記カップ保形用ボーンは、左右のバストカップ部の下端縁に沿って、二次元的又は三次元的に湾曲した形状に形成されているため、当該カップ保形用ボーンの全周をテープ状の布片によって覆うように縫製したり、当該テープ状の布片の一端部又は両端部を左右のバストカップ部の下端縁に沿って縫製するには、当該縫製作業に相当の熟練を必要とし、縫製作業が非常に面倒であって、製造コストが高くなるという問題点を有していた。
【０００７】
また、上記カップ保形用ボーンは、その全周がテープ状の布片によって覆うように縫製された上で、左右のバストカップ部の下端縁に沿ってそれぞれ縫着されるため、左右のバストカップ部の下端縁が厚くなり、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の着用感を損ねたり、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の外観が、バストカップ部の下端縁の厚みが強調されてしまい、デザイン的にスッキリしたバストカップ部の下端縁を創出することができないという問題点を有していた。
【０００８】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、左右のバストカップ部の下端縁に沿ったカップ保形用ボーンの装着を容易又は不要とすることができ、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の製造コストをダウンするができるとともに、着用感やデザイン性を向上させることが可能なパット及びこれを用いた衣料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するため、請求項１に記載された発明は、ボーン部材が装着されるパットにおいて、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成したことを特徴とするパットである。
【００１０】
上記パットは、ボーン部材という剛性部を必要とし、当該ボーン部材が所定の部位に装着される構成となっている。このボーン部材を挿入する溝部は、ボーン部材を外見的にも、人体への接触性的にも、表着への影響的にも、ボーンをパットに極力一体化させることを目的に、パット内面に向けて形成され、ボーン部材を埋設するように構成される。
【００１１】
本発明は、ボーン部材が人体に及ぼす抵抗、即ち、ボーン部材の目的である骨格構造の強度を高めるほど、人体への抵抗が高まること、ボーン部材の人体への抵抗を考慮するほど凸状化し、表着に響くため、ボーン部材が表着のシルエットに影響するのを低減すること、ボーン部材と人体との間のクッションの役割を果たし、安全性を高めることを可能とするものである。
【００１２】
また、請求項２に記載された発明は、前記パットは、女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットからなり、前記カップパットにカップ保形用ボーンを挿入する溝部を形成したことを特徴とするパットである。
【００１３】
この請求項２に記載された発明は、主に、当該パットを用いた衣料として、ファデーションという最も人体に密接に接触し、且つファデーションという、基礎衣料としての役割を持ち、多くの女性に利用されているブラジャーを選定したものである。また、ブラジャーは、その使命である乳房シルエットを高めるため、バストカップ部にウレタン等の発泡体からなるパットを構成し、更に乳房基底下辺部輪郭に剛性の高い金属からなるボーン部材を配していることから、人体への抵抗（ボーン部材を肌側にデザインした場合）乃至表着への響き（ボーンをブラジャーパットの表側にデザインした場合）を生み、最も改善を求められる代表であるため、その適用効果が大きい。
【００１４】
さらに、請求項３に記載された発明は、前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットの肌側、又は表側に形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載のパットである。
但し、上記ボーン部材を挿入する溝部をパットの肌側に形成する場合には、溝部の開口部が肌側に位置することから、当該開口部を塞ぐ材質並びにテクニックは、安全性と、接触性並びに衛生性（通気性、吸汗性等）をデザインすること、更には当該溝部を表側にデザインする場合、開口部は極力表着に響かない材質並びにテクニックとすることが望ましい。
【００１５】
又、請求項４に記載された発明は、前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットの製造時又は製造後に形成することを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載のパットである。
この請求項４に記載された発明において、ボーン部材を挿入する溝部は、例えば、パットを製造する発泡時（金型にて発泡）又は鋳造時（金型樹脂成型）にデザイン、又はパッド金型熱成型時に同時プレスしてデイザン、又は更に製品化されたパット（これは必ずしもモールド成型によるパットに限定されず、パーツによって縫い合わされたパットも含む）を熱プレスし別工程によって形成しても良い。
【００１６】
更に、請求項５に記載された発明は、前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットを構成する材料の圧縮を伴わない溝構造、パットの成形時に当該溝部を圧縮する溝構造、当該溝部にあて布又は中空体を同時接着させ溝構造の強化をデイザンした溝構造、更にはボーン部材の挿入を容易とした溝構造、立体ボーン部材等の形状に合わせた溝構造、合成樹脂等からなるボーン部材を同時に溝部内に熱接着又は熱溶着させ埋設させる溝構造のうちの少なくともいずれか１つの構造からなることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載のパットである。
【００１７】
なお、溝部にあて布又は中空体を同時接着させ溝構造の強化をデイザンした溝構造は、洗濯等によってもボーン部材の先端がパットを突き破らない等の強度を持たせたものである。
【００１８】
また、請求項６に記載された発明は、前記パットは、鋳造又は射出成形等によるパット、又は成形型内発泡方式によるパット、発泡シート体又はスライス体をプレス成形したパット、不織布等の綿状態パット、ダブルラッセル編等のパットのうちのいずれか１つからなることを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載のパットである。
【００１９】
さらに、請求項７に記載された発明は、前記パットは、補形性・弾力性・ソフト性等の物性的、且つ医療性・通気性・抗菌性等の衛生性、更にはエコロジー的配慮がなされていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載のパットである。
上記パットは、例えば、抗菌作用を有するウレタンによって形成されるか、又は通気性が高いウレタンによって形成される。
【００２０】
又、請求項８に記載された発明は、前記パットと溝部は、パットを被覆する裏地、表地と同時に形成されることを特徴とする請求項１乃至７のいずれかに記載のパットである。この場合には、パットの生産性を向上させることができる。
【００２１】
また、請求項９に記載された発明は、人体に装着されるパットにおいて、前記パットの一部に、当該パットを構成する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該パットを構成する素材の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記パットの一部にパット保形用ボーンとしての機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とするパットである。
【００２２】
さらに、請求項１０に記載された発明は、前記パットが女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットであって、前記カップパットの素材を加熱加圧して所定の形状に形成する際に、当該カップパットの下端縁に沿った部分に相当する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該カップパットの下端縁に沿った部分の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記カップパットの下端縁部にカップ保形用ボーンの機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とする請求項９に記載のパットである。
【００２３】
また、請求項１１に記載された発明は、ボーン部材が装着されるパットを用いた衣料において、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成したことを特徴とする衣料である。
【００２４】
さらに、請求項１２に記載された発明は、人体に装着されるパットを用いた衣料において、前記パットの一部に、当該パットを構成する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該パットを構成する素材の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記パットの一部にパット保形用ボーンとしての機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とする衣料である。
【００２５】
上記請求項１１又は１２に記載された発明では、衣料として、ブラジャー等のファデーションは勿論のこと、これに順ずる水着等のスポーツウェアー、更にはサポータ、並びに医療的な補正具などに適用できることは勿論である。
【００２６】
上記請求項２又は９に係る発明は、ボーン構造の一体化を目的としたものであり、パットを構成する発泡体などの素材の必要箇所を、凸状又は凹溝状に圧縮等することによって、ボーン機能部を一体的に形成したものである。
【００２７】
例えば、バストカップの周辺又はバストサイドのボーン構造として、凹溝を２〜複数本設け、肋骨のような効果を生むことにポイントを置いたものである。
【００２８】
上記ボーン部材を挿入する溝部、あるいは凹溝状又は凸状のボーン機能部の構造は、例えば、バストカップ部において、乳房基底の下部３／４を前提とする既ファンデーションのバストカップボーンを前提とするが、バストサイド部又はバストセンター部のサポートの役割をも持つことから、バストカップ部に限定されるものではない。例えば、ウエスト部に装着するウエストニッパーや、スポーツ並びに医療用のパットに適用することが可能である。
【００２９】
また、上記ボーン部材を挿入する溝部、あるいは凹溝状又は凸状のボーン機能部の構造は、パットを製作する金型発泡成形・金型射出成形・金型流し込み成形等の成形型にデザインする手段、パット成形後にプレス圧縮によってデザインする手段（発泡成形のパット体のカットアンドソウイングパット等）、あるいはパット製作時に熱プレス成型等によって同時成型する手段などが挙げられる。
【００３０】
さらに、上記ボーン部材を挿入する溝部、あるいは凹溝状又は凸状のボーン機能部は、パットの表側（人体に対しパットを介した表側）、又は裏側（人体側）にデザインしても良く、更にはダブルパットの中間に配置するように構成しても良い。
【００３１】
又さらに、上記ボーン部材を挿入する溝部は、ボーンを挿入して内蔵化させる目的から、ボーンの寸法形状に合わせて設定するのが望ましく、又、人体への抵抗を考慮して、ボーンの先端を幾分人体から遠ざけ（溝の深さ、奥行きを適宜設定し）て、且つ生産性を考慮してボーンの寸法に関係なく、異なるボーンにも対応できる形状に溝部を形成しても良い。
【００３２】
更に、上記パット自体の形状並びに材質は、原則として、対応とするパットの外観形状は限定されるものではなく、例えば、当該対象であるバストパットは、乳房基底部周辺のみを形成するものから、バスト周辺の身頃部を含むものまであって良い。また、上記パットの内面形状も、限定されるものではなく、如何なる部分の厚みが厚いか薄いかは自由に設定可能である。上記パットの材質は、ウレタン発泡体を前提とするが、ダブルラッセル編等による中空編物であっても良いし、シリコン等の金型成型による鋳造式タイプの物でも良い。ここで、重要なのは、本発明の対象となる製品そのものの、基本的な要求を満たす形状並びに材質であることである。すなわち、本発明の対象となる製品に求められる安全性、衛生性に加えて、精巧性や着用感等を満足させることは、本発明によって損なわれないように注意することが望ましい。
【００３３】
また、本発明を適用することによって得られる二次的な製品としては、ボーン部材を被覆又は挿入するカバー構造物が挙げられるが、このカバー構造物は、原則として、現在普及している製品を用いることで対応できるが、実用性並びにコスト的に重要であるが、より本発明の目的とする安全性を高め、表着への響きを考慮すると、必要以上の厚みのないチューブ体であることが好ましいし、チューブ体をボーン挿入用の溝部に一体化するなどして、省力化を図ることが望ましい。
【発明の効果】
【００３４】
この発明によれば、左右のバストカップ部の下端縁に沿ったカップ保形用ボーンの装着を容易又は不要とすることができ、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の製造コストをダウンするができるとともに、着用感やデザイン性を向上させることが可能なパット及びこれを用いた衣料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３５】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【００３６】
実施の形態１
図２はこの発明の実施の形態１にカップとしてのカップパットを適用したブラジャーを示すものである。
【００３７】
図２において、１は女性用衣料としてのブラジャーを示すものであり、このブラジャー１は、女性の左右のバストをそれぞれ覆う左右のバストカップ部２、３を備えている。これらの左右のバストカップ部２、３は、当該左右のバストカップ部２、３の下方から側方にわたって設けられる身頃体４と一体的に縫着されている。上記ブラジャー１は、身頃体４の背面側に位置する両端部を、フックやアイ等の係止具によって連結することにより、当該身頃体４は、人体骨格の全周を覆うように輪状に形成されている。通常ブラジャーにおいては、乳房輪郭（バスト基底）を以ってバストカップ及び身頃体の区分をしている。しかし、当該バストカップは、より人体の立体性とバストカップ部並びに身頃部切替線が人体に与えるゴロツキ感（抵抗）を解消、さらにはバストアップ力、バスト寄せ力を高めるために、バスト周辺身頃を一体設計したデザインパターンまで含むバストカップ又はバストパッドである。当該バストカップ体は、ボディアームピット部において身頃と接続される。なお、上記身頃体４は、その背面側を構成する素材に伸縮性を持たせるとともに、当該身頃体４を円筒状に形成することによって、フックやアイ等からなる係止具を使用しないように構成しても良い。図２中、５、６は左右の肩にかける肩紐部材としてのストラップを示すものである。
【００３８】
また、上記左右のバストカップ部２、３は、図３に示すように、本実施の形態に係るカップパット７を、表地８と裏地９とで挟持した状態で、当該表地８及び裏地９とカップパット７の下端縁、並びにバストカップ部２、３の上縁を縫着することによって構成されている。なお、カップパット７は、必要に応じてモールド成形されたものを、そのまま使用しても良いが、当該カップパット７自体も、薄い表地と裏地とで接着等により表裏両面及び外周縁が被覆されるように構成しても良い。
【００３９】
ところで、この実施の形態では、女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットにおいて、前記カップパットの端縁部に、カップ保形用ボーンを挿入する溝部を形成するように構成されている。
【００４０】
また、この実施の形態では、前記溝部は、前記カップパットの下端縁部に沿って形成されるように構成されている。
【００４１】
すなわち、この実施の形態に係るカップパット７は、例えば、図８（Ａ）に示すように、モールド成型されたバスト用のカップパットからなり、通常、乳房基底を輪郭とするモールド型によって熱プレス形成されたパット体である。このカップパット７は、モールド成型以外に、発泡体そのものや、射出成型（鋳型成型）又は金型発泡（鋳型発泡）等の方式によって製造することが可能である。また、上記カップパット７の材質は、ポリウレタン発泡体を中心とするが、これに限定されるものではなく、ファイバーフィルやダブルラッセル等の編み物によって形成しても良い。さらに、上記カップパット７の規格は、形状、厚みなど限定されるものではないが、本発明の意図から、カップボーンの厚みを吸収することに意味があることから、カップ保形用ボーンを挿入する溝部を形成する部分は、ボーンの厚みよりも厚いことが必要である。また、上記カップパット７は、図８（Ｂ）に示すように、基本となる乳房基底を輪郭とする形状に対して、乳房基底周辺部（身頃部：ボディ部）までを一体化してデザインしても勿論良い。さらに、上記カップパット７は、図８（Ｃ）に示すように、必ずしもすべて一体的に形成されている必要はなく、シート体からなる複数のパーツを接着又は縫製によって一体化するように構成しても良い。
【００４２】
この実施の形態にカップパット７は、図１、図４及び図７に示すように、例えば、発泡ウレタン等の素材そのものや、当該発泡ウレタン等の素材を、加熱加圧してモールド成形することによって、所定のカップ形状を有するように形成されている。上記カップパット７は、例えば、３／４カップ程度の形状に形成されているが、その形状は、１／２カップ状など任意であって良いことは勿論である。また、上記カップパット７は、図４に示すような平面形状、図５に示すような裏面形状、及び図６に示すような外観斜視形状を有している。さらに、上記カップパット７の断面形状は、図７に示すように、その下部７ａが比較的肉厚に形成されており、人体のバストの容積をカバーし、ボリュームをアップさせる機能を果たすように設定されているとともに、その上部７ｂは、上端部に向けて徐々に厚さが薄くなるように設定されていて、女性のバストの美的な形状をアップさせるように構成されている。
【００４３】
さらに、上記カップパット７は、図１、図４及び図７に示すように、略円弧状に湾曲した下端縁部７ｃが、所定の肉厚を有し、且つ外周に突出するように構成されているとともに、当該下端縁部７ｃの表面側には、カップ保形用ボーン１０を挿入する溝部１１が形成されている。この溝部１１の深さは、適宜設定されるが、例えば、カップ保形用ボーン１０の厚みよりやや深く設定されているのが望ましい。
【００４４】
上記の如く構成されるカップパット７は、図２及び図９（Ａ）に示すように、ブラジャー１の左右のバストカップ部２、３に、そのすべての外周縁が縫製されることによって装着されるが、図９（Ｂ）に示すように、その一部の外周縁が縫製されるか、又はすべての外周縁や表面が接着等の手段によって装着されるように構成しても良い。
【００４５】
上記カップ保形用ボーン１０としては、例えば、図１０に示すように、平面上において、略Ｕ字形状に湾曲して形成されたものが用いられ、当該カップ保形用ボーン１０は、コーティングを施した金属線から構成したものや、線状の合成樹脂等から構成したものであっても良い。このカップ保形用ボーン１０は、図３に示すように、カップパット７の下端縁部７ｃに設けられた溝部１１に挿入された状態で、その表面側及び裏面側にテープ状の布片１２、１３を当てた状態で、表地８及び裏地９とともに、縫糸１４によって幅方向の両端部が縫着されることにより、カップパット７の溝部１１に固定されている。
【００４６】
また、上記の如く構成されるカップパット７を装着した左右のバストカップ部２、３は、例えば、図１１（Ａ）（Ｂ）に示すように、当該カップパット７の表面をカップ表地１５によって覆うととともに、当該カップパット７の湾曲した下端縁に沿って身頃体１６を連接し、更にその身頃体１６の裏面下部に仕上げテープ１７を配置した状態で縫製されることによって構成されるように構成しても良い。
【００４７】
さらに、上記の如く構成されるカップパット７を装着した左右のバストカップ部２、３は、図９（Ｂ）に対応した図１１（Ｃ）（Ｄ）に示すように、当該カップパット７の表面をカップ表地１５によって覆うととともに、当該カップ表地１５の下端縁を裏面側に折り返して、身頃体をも一体的に構成するカップパット７の裏面下部に仕上げテープ１７を配置した状態で縫製されることによって構成されるように構成しても良い。
【００４８】
図１２はカップパットの端縁部に形成されるカップ保形用ボーンを挿入する溝部の形状及び配置を種々示したものである。
【００４９】
図１２（Ａ）は、カップパット７の下端縁部の裏面側に円弧状の溝部１１を形成したものであり、この溝部１１には、ボーン１０を被覆した帯状に形成されたボーンループ体１８のボーンの部分が挿入され、当該ボーンループ体１８の両端縁が縫い糸１４によって縫着されるように構成されている。
【００５０】
また、図１２（Ｂ）は、図９（Ｂ）に対応した態様を示したものであり、ボーンループ体１８がカップパット７の裏面側（肌側）ではなく、パット体の表面側（外面側）に配設されており、ボーン１０を挿入する溝部１１がカップパット７の表面側（外面側）に形成されている。この場合には、ボーン１０が人体への抵抗となるのを回避することができるが、ボーン１０の凸形状がバストカップ部２、３の表面側に露呈する虞れがあるため、外観が低下する可能性がある。
【００５１】
さらに、図１２（Ｃ）は、図１２（Ｂ）に示すボーン挿入用の溝部１１に、直接ボーンループの役割を持たせたものであり、当該ボーン挿入用の溝部１１をプレスによって圧縮するときに同時に、補強布（クインズコート）１９を圧着又は接着するように構成したものである。この場合はボーン１０の外面側をカバーすることで、ループ体をカップパット７と一体化することができる。また、この場合には、ボーン挿入用の溝部１１の強度を高めるために、図１２（Ｇ）に示すように、ボーン挿入用の溝部１１に対応したカップパット７を他部より厚くデザインし、圧縮度を高めることによって強度を高めるように構成するのが望ましい。
【００５２】
又、図１２（Ｄ）は、ボーン挿入用の溝部１１とボーン１０とを、プレス圧着するように構成したものである。この場合は、図１２（Ｇ）（Ｈ）に示すように、溝部１１の強度を高めるために、ボーン挿入用の溝部１１に対応したカップパット７を他部より厚く設定し、カップパット７の圧縮度を高めることによって強度を高めるように構成するのが望ましく、また、ボーン１０としては、カップパット７との一体性を高めるために、合成樹脂系のボーンを使用するのが好ましい。
【００５３】
更に、図１２（Ｅ）は、ボーン挿入用の溝部１１に一体的に又は二次工程によって、ボーンループを接着内蔵させ、当該ボーンループにボーン１０を挿入するように構成したものである。
【００５４】
また、図１２（Ｆ）は、カップパット７の裏面側に形成されたボーン挿入用の溝部１１の周辺を厚く形成し、当該ボーン挿入用の溝部１１をより深く形成してボーン１０そのものを完全に埋設させるように構成したものであり、ボーン挿入用の溝部１１を裏面側に形成した場合でも、ボーン１０の人体への抵抗を無くすことができるようになっている。
【００５５】
図１３は、図９（Ｂ）に対応したボーン挿入用の溝部の配置を示したものである。
【００５６】
上記ボーン挿入用の溝部１１は、カップパット７の上縁ヘッジを貫通せずに、ボーン１０の先端を概ね包むようにデザインされている。特に、図１２（Ｄ）に示すように、ボーン１０をカップパット７に一体的に成型した上でボーン挿入用の溝部１１に埋蔵させるように構成した場合は、ボーン１０先端の人体への影響を少なくすることができる。
【００５７】
また、本発明は、カップパット７の下端縁に配設されるボーン１０に限らず、バストカップ部２、３の側面などに配設されるフラットボーン１０に適用しても良いことは勿論である。
【００５８】
さらに、図１３（Ｂ）は、左右のバストカップ部２、３に対してボーン１０を一体的に形成した形態を示したものである。
【００５９】
又、図１３（Ｃ）は、ボーン１０の挿入用の溝部１１を、製品上縁エッジ部を貫通するように構成した形態を示したものである。
【００６０】
更に、図１３（Ｃ）に示すように、左右のバストカップ部２、３に対して一体的に形成されたボーン１０を、ボーン挿入用の溝部１１に直接埋蔵させることで、特にボリュームのある女性の左右乳房間の谷間間隔を狭めるように構成したものである。
【００６１】
また、この実施の形態では、前記カップパット７は、抗菌作用を有するウレタンによって形成されるように構成されている。
【００６２】
上記カップパット７は、例えば、発泡ウレタンフォームによって形成されるが、この発泡ウレタンフォームとしては、抗菌作用を有するウレタンを使用するのが望ましい。この抗菌作用を有するウレタンとしては、例えば、ブリジストン（株）製のエバーライトＺ（商品名）と呼ばれるポリウレタンフォームが使用される。このエバーライトＺ（商品名）と呼ばれるポリウレタンフォームは、ウレタンフォームの材料に抗菌剤を添加して、一体発泡させたウレタンフォームであり、抗菌剤の成分によって活性酸素を生成し、当該活性酸素が細菌の細胞を死滅させることによって、抗菌作用を発揮するものであり、しかも抗菌作用の持続時間が長く、広範囲の細菌に効果を発揮し、しかも安全性が高いという特徴を有している。
【００６３】
このように、カップパット７を構成するウレタンフォームとして、抗菌作用を有するウレタンを使用することにより、使用者から発生する汗によって雑菌が繁殖するのを抑え、ニオイが発生することがなく、快適な着用感を得ることができる。
【００６４】
以上の構成において、この実施の形態に係るカップパットを用いたブラジャーでは、次のようにして、左右のバストカップ部の下端縁に沿ったカップ保形用ボーンの装着を容易にすることができ、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の製造コストをダウンするができるとともに、着用感やデザイン性を向上させることが可能となっている。
【００６５】
すなわち、この実施の形態に係るカップパットを用いたブラジャー１では、図１乃至図３に示すように、カップパット７の下端縁部７ｃに沿って、その表面側にカップ保形用ボーン１０を挿入する溝部１１が形成されるように構成されている。そのため、上記カップパット７にカップ保形用ボーン１０を装着して、左右のバストカップ部２、３を構成する際に、カップパット７の下端縁部７ｃに沿って設けられた溝部１１にカップ保形用ボーン１０を挿入した状態で、当該左右のバストカップ部２、３を構成する表地８や裏地９及びテープ状の布片１２，１３を、カップパット７の下端縁部に沿って縫着すれば良く、熟練した技術を必要とすることなく、左右のバストカップ部２、３の下端縁に沿ってカップ保形用ボーンを容易に装着をすることができ、ブラジャー１等の女性用衣料の衣類の製造コストを大幅にダウンするができる。
【００６６】
また、上記カップ保形用ボーン１０は、カップパット７の下端縁に沿って、その表面側に設けられた溝部１１に挿入されているので、女性のバスト部の肌側に位置することがなく、当該カップ保形用ボーン１０がバスト部の皮膚に当たることがないので、優れた着用感を得ることができ、しかも当該カップ保形用ボーン１０は、カップパット７の表面側に位置するので、カップ保形用ボーン１０がカップパット７の裏面側に位置する場合と異なって、カップ保形用ボーン１０によって美しいバスト形状を創出する効果や、バスト補正効果なども、今まで以上に発揮することが可能となり、着用感やデザイン性を向上させることが可能となっている。
【００６７】
実施の形態２
この発明の実施の形態２について、前記実施の形態１と同一の部分には同一の符合を付して説明すると、この実施の形態２では、カップパットは、通気性が高いウレタンによって形成されるように構成されている。
【００６８】
すなわち、上記カップパット７は、例えば、発泡ウレタンフォームによって形成されるが、この発泡ウレタンフォームとしては、通気性が高い、例えば、通気度が厚さ１７ｍｍで１００ｃｃ／ｃｍ2 ／ｓｅｃ以上のウレタンを用いるのが望ましい。なお、通気度の測定は、１平方ｃｍの筒から空気を送り、発泡ウレタンフォームを介して１分間に反対側から出る空気の量を測定して評価したものである。通気性が高いウレタンとしては、例えば、ブリジストン（株）製のエバーライトＳＦ（商品名）と呼ばれるポリウレタンフォームである品番「ＱＴＷ−３０」や、「ＱＴＹ−２０」などを使用するのが望ましい。このエバーライトＳＦ（商品名）と呼ばれるポリウレタンフォームは、ポリウレタンフォームを特殊加工して、発泡ウレタンフォームの三次元骨格構造の空間を仕切る膜状物質を完全に除去したものであり、通気性が高くなっている。
【００６９】
このように、カップパット７を構成する素材として、通気性の高いウレタンを使用することにより、蒸れずに涼しく、着用感に優れ、しかもカップパットのワイヤーの溝に従来汗が溜まりやすかったが、本発明では、従来品の１０倍以上の通気性を有するため、カップパット７のワイヤー溝などに汗が溜まるのを防止することができる。
【００７０】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態１と同様であるので、その説明を省略する。
【００７１】
実施の形態３
図１４及び図１５はこの発明の実施の形態３を示すものであり、前記実施の形態１と同一の部分には同一の符合を付して説明すると、この実施の形態３では、女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットにおいて、前記カップパットの素材を加熱加圧して所定の形状に形成する際に、当該カップパットの下端縁に沿った部分に相当する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該カップパットの下端縁に沿った部分の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記カップパットの下端縁部にカップ保形用ボーンの機能を果たすボーン機能部を一体的に形成するように構成されている。
【００７２】
すなわち、この実施の形態３では、図１４に示すように、カップパット７の下端縁に沿ってカップ保形用ボーンを挿入する溝部が設けられているのではなく、カップパット７の下端縁７ｃに沿った部分２０の剛性が高く、且つ半円形状に小さく突出した形状に設定されており、当該剛性が高く設定された下端縁部分２０がカップ保形用ボーンの機能を発揮するように構成されている。
【００７３】
上記カップパット７の下端縁に沿った部分２０の剛性を高く設定する手段としては、例えば、当該カップパットを構成する素材２１を、加熱加圧してモールド成形する前に、図１５に示すように、カップパット７の縫い代となる下端部２２を除いて、又は縫い代の部分と一体的に、当該下端縁部２３を隣接するカップ部２４に比較して、３０〜５０％程度厚く設定し、この厚く設定された下端縁部２３を加熱加圧してモールド成形することにより、当該下端縁部２３の剛性を高める手段が挙げられる。なお、上記下端縁部２３は、モールド成形後に厚くならないように成形しても良い。また、図１５（Ｂ）では、カップパット７の厚さの変化を示すため、便宜上、一部を破断して図示している。
【００７４】
このように、上記実施の形態３では、カップパット７の素材２１を加熱加圧して所定の形状に形成する際に、当該カップパット７の下端縁７ｃに沿った部分２３に相当する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該カップパットの下端縁に沿った部分の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記カップパット７の下端縁部２３にカップ保形用ボーンの機能を果たすボーン機能部を一体的に形成するように構成されているので、カップパット７の下端縁に沿ってカップ保形用ボーン１０を挿入したり、縫着する作業がまったく不要となり、左右のバストカップ部２、３の下端縁に沿ったカップ保形用ボーンの装着を不要とすることができ、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の製造コストをダウンするができるとともに、着用感やデザイン性を向上させることが可能なカップパット及びこれを用いた女性用衣料を提供することができる。
【００７５】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態１と同様であるので、その説明を省略する。
【００７６】
実施の形態４
図１６はこの発明の実施の形態４を示すものであり、前記実施の形態１と同一の部分には同一の符合を付して説明すると、この実施の形態４では、カップ保形用ボーンとして２次元的に湾曲したボーンではなく、３次元的に湾曲したボーンを用いるように構成されている。
【００７７】
すなわち、この実施の形態４では、図１６に示すように、断面偏平形状の弾性線材を用いて形成され、この弾性線材の広幅面側が正面Ｇとなるようにブレストカップの略下側縁形状に湾曲させて形成されたブレストカップ保形用ボーン３０であり、ブレスト下部側に位置する中央底部（ＢＤ間）とブレスト身体中心側に位置する身体中心側立部（ＡＢ間）及びブレスト腋下側に位置する腋下側立部（ＤＥＦ間）とが平面上から離れる方向に湾曲した湾曲形状を有すると共に、上記中央底部の略中心（Ｃ点）を基準にして少なくとも上記腋下側立部（ＤＥＦ間）がその始点（Ｄ点）から先端（Ｆ点）にかけて４５〜９０°の範囲で正面Ｇが外側を向く方向に捩じれた捩れ形状を有しており、装身時には、腋下側立部（ＤＥＦ間）がその捩れ形状に基づいて身体中心側立部（Ａ〜Ｂ間）より大きく弾性変形してこれら身体中心側立部先端（Ａ点）と腋下側立部先端（Ｆ点）との間が所定の範囲で拡開するように構成された保形用ボーン３０を用いている。
【００７８】
また、この実施の形態４では、カップパット７の下端縁に沿って、カップ保形用ボーン３０の形状に沿って、３次元的に湾曲した溝部１１が形成されるように構成されている。このカップパット７の下端縁に沿って形成される溝部１１は、当該カップパット７をモールド成形する際に、上述したカップ保形用ボーン３０の形状に倣った３次元的に湾曲した形状に形成される。
【００７９】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態１と同様であるので、その説明を省略する。
【００８０】
なお、本発明の主たるポイントは、人体に密着するファンデーションに多く構成され、人体シルエットを理想的なシルエットに補正する、又は人体の脊柱の特に腰部または背部の保護を目的とするために配設されるボーンにおいて、人体への抵抗（圧迫感など）を軽減すると同時に、着用時の表着への美的シルエットの損傷を軽減させることにあると同時に医療的視点から見た、サポーター等におけるボーン構成に対する人体への抵抗を軽減させることにある。
【００８１】
そのため、所定の厚みを有する基布にボーン本体の厚みを埋蔵させてしまうことによるフラット化に対し、逆にボーンを配置する身頃体に必要とする範囲（最も人体に抵抗を与えない範囲又は腹部を押さえる等の機能を加えることのできる範囲）に厚みを持たせ、局部的な接触抵抗を無くすように構成することも、本発明の応用範囲には含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【００８２】
【図１】図１はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す側面図である。
【図２】図２はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを適用した女性用衣料としてのブラジャーを示す構成図である。
【図３】図３はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを適用した女性用衣料としてのブラジャーを示す断面図である。
【図４】図４はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す正面図である。
【図５】図５はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す背面図である。
【図６】図６はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す外観斜視図である。
【図７】図７はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す断面図である。
【図８】図８はカップパットの異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図９】図９はカップパットを使用したバストカップ部の異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図１０】図１０はカップ保形用ボーンを示す平面図である。
【図１１】図１１はカップパットを装着したバストカップ部の異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図１２】図１２はボーン挿入用の溝部とボーンとの異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図１３】図１３はボーン挿入用の溝部とボーンとの異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図１４】図１４はこの発明の実施の形態３に係るカップパットの成形前の状態を示す斜視図である。
【図１５】図１５はこの発明の実施の形態３に係るカップパットの成形前の状態を示す斜視図及び断面図である。
【図１６】図１６はこの発明の実施の形態４に係るカップパットで使用されるカップ保形用ボーンを示す斜視図である。
【符号の説明】
【００８３】
１：ブラジャー、２、３：左右のバストカップ部、７：カップパット、１０：カップ保形用ボーン、１１：溝部。
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ブラジャー、ボディスーツ、フィットスリップ、レオタード等のファンデーションや、水着等のその他の女性用衣料、あるいは人体に装着するサポーターなどを広く含む衣料において、左右のバストカップ部に装着されるカップパットや、補正機能及びクッション的な機能を持たせるためにサポーターなどに装着されるパット等を含むパット及びこれを用いた衣料に関し、特にカップ保形用ボーンなどのボーン部材の装着が容易又は不要なパット及びこれを用いた衣料に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種のブラジャー、ボディスーツ、フィットスリップ、レオタード等のファンデーションや、水着等のその他の衣料においては、左右のバストカップ部にカップパットが装着され、バストカップ部の着用感を高めたり、女性のバスト形状を美的に創出したり、バストカップ部の補正効果をアップさせるように構成されている。
【０００３】
また、上記ブラジャーやボディスーツ等の衣類においては、女性のバスト形状を美的に創出する効果を更に高めたり、バストカップ部の補正効果を更にアップさせるために、左右のバストカップ部の下端縁に沿って、カップ保形用ボーンを装着するように構成したものが多く用いられている。
【０００４】
上記ブラジャーやボディスーツ等の衣類において、左右のバストカップ部の下端縁に沿って、カップ保形用ボーンを装着するには、カップ保形用ボーンの全周をテープ状の布片によって覆うように縫製するとともに、当該テープ状の布片の一端部又は両端部を左右のバストカップ部の下端縁に沿って縫製するように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記従来のブラジャーやボディスーツ等の衣類においては、左右のバストカップ部の下端縁に沿って、カップ保形用ボーンをそれぞれ装着する際に、カップ保形用ボーンの全周をテープ状の布片によって覆うように縫製するとともに、当該テープ状の布片の一端部又は両端部を左右のバストカップ部の下端縁に沿って縫製する必要がある。
【０００６】
ところが、上記カップ保形用ボーンは、左右のバストカップ部の下端縁に沿って、二次元的又は三次元的に湾曲した形状に形成されているため、当該カップ保形用ボーンの全周をテープ状の布片によって覆うように縫製したり、当該テープ状の布片の一端部又は両端部を左右のバストカップ部の下端縁に沿って縫製するには、当該縫製作業に相当の熟練を必要とし、縫製作業が非常に面倒であって、製造コストが高くなるという問題点を有していた。
【０００７】
また、上記カップ保形用ボーンは、その全周がテープ状の布片によって覆うように縫製された上で、左右のバストカップ部の下端縁に沿ってそれぞれ縫着されるため、左右のバストカップ部の下端縁が厚くなり、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の着用感を損ねたり、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の外観が、バストカップ部の下端縁の厚みが強調されてしまい、デザイン的にスッキリしたバストカップ部の下端縁を創出することができないという問題点を有していた。
【０００８】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、左右のバストカップ部の下端縁に沿ったカップ保形用ボーンの装着を容易又は不要とすることができ、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の製造コストをダウンするができるとともに、着用感やデザイン性を向上させることが可能なパット及びこれを用いた衣料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するため、請求項１に記載された発明は、ボーン部材が装着されるパットにおいて、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成したことを特徴とするパットである。
【００１０】
上記パットは、ボーン部材という剛性部を必要とし、当該ボーン部材が所定の部位に装着される構成となっている。このボーン部材を挿入する溝部は、ボーン部材を外見的にも、人体への接触性的にも、表着への影響的にも、ボーンをパットに極力一体化させることを目的に、パット内面に向けて形成され、ボーン部材を埋設するように構成される。
【００１１】
本発明は、ボーン部材が人体に及ぼす抵抗、即ち、ボーン部材の目的である骨格構造の強度を高めるほど、人体への抵抗が高まること、ボーン部材の人体への抵抗を考慮するほど凸状化し、表着に響くため、ボーン部材が表着のシルエットに影響するのを低減すること、ボーン部材と人体との間のクッションの役割を果たし、安全性を高めることを可能とするものである。
【００１２】
また、請求項２に記載された発明は、前記パットは、女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットからなり、前記カップパットにカップ保形用ボーンを挿入する溝部を形成したことを特徴とするパットである。
【００１３】
この請求項２に記載された発明は、主に、当該パットを用いた衣料として、ファデーションという最も人体に密接に接触し、且つファデーションという、基礎衣料としての役割を持ち、多くの女性に利用されているブラジャーを選定したものである。また、ブラジャーは、その使命である乳房シルエットを高めるため、バストカップ部にウレタン等の発泡体からなるパットを構成し、更に乳房基底下辺部輪郭に剛性の高い金属からなるボーン部材を配していることから、人体への抵抗（ボーン部材を肌側にデザインした場合）乃至表着への響き（ボーンをブラジャーパットの表側にデザインした場合）を生み、最も改善を求められる代表であるため、その適用効果が大きい。
【００１４】
さらに、請求項３に記載された発明は、前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットの肌側、又は表側に形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載のパットである。
但し、上記ボーン部材を挿入する溝部をパットの肌側に形成する場合には、溝部の開口部が肌側に位置することから、当該開口部を塞ぐ材質並びにテクニックは、安全性と、接触性並びに衛生性（通気性、吸汗性等）をデザインすること、更には当該溝部を表側にデザインする場合、開口部は極力表着に響かない材質並びにテクニックとすることが望ましい。
【００１５】
又、請求項４に記載された発明は、前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットの製造時又は製造後に形成することを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載のパットである。
この請求項４に記載された発明において、ボーン部材を挿入する溝部は、例えば、パットを製造する発泡時（金型にて発泡）又は鋳造時（金型樹脂成型）にデザイン、又はパッド金型熱成型時に同時プレスしてデイザン、又は更に製品化されたパット（これは必ずしもモールド成型によるパットに限定されず、パーツによって縫い合わされたパットも含む）を熱プレスし別工程によって形成しても良い。
【００１６】
更に、請求項５に記載された発明は、前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットを構成する材料の圧縮を伴わない溝構造、パットの成形時に当該溝部を圧縮する溝構造、当該溝部にあて布又は中空体を同時接着させ溝構造の強化をデイザンした溝構造、更にはボーン部材の挿入を容易とした溝構造、立体ボーン部材等の形状に合わせた溝構造、合成樹脂等からなるボーン部材を同時に溝部内に熱接着又は熱溶着させ埋設させる溝構造のうちの少なくともいずれか１つの構造からなることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載のパットである。
【００１７】
なお、溝部にあて布又は中空体を同時接着させ溝構造の強化をデイザンした溝構造は、洗濯等によってもボーン部材の先端がパットを突き破らない等の強度を持たせたものである。
【００１８】
また、請求項６に記載された発明は、前記パットは、鋳造又は射出成形等によるパット、又は成形型内発泡方式によるパット、発泡シート体又はスライス体をプレス成形したパット、不織布等の綿状態パット、ダブルラッセル編等のパットのうちのいずれか１つからなることを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載のパットである。
【００１９】
さらに、請求項７に記載された発明は、前記パットは、補形性・弾力性・ソフト性等の物性的、且つ医療性・通気性・抗菌性等の衛生性、更にはエコロジー的配慮がなされていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載のパットである。
上記パットは、例えば、抗菌作用を有するウレタンによって形成されるか、又は通気性が高いウレタンによって形成される。
【００２０】
又、請求項８に記載された発明は、前記パットと溝部は、パットを被覆する裏地、表地と同時に形成されることを特徴とする請求項１乃至７のいずれかに記載のパットである。この場合には、パットの生産性を向上させることができる。
【００２１】
また、請求項９に記載された発明は、人体に装着されるパットにおいて、前記パットの一部に、当該パットを構成する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該パットを構成する素材の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記パットの一部にパット保形用ボーンとしての機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とするパットである。
【００２２】
さらに、請求項１０に記載された発明は、前記パットが女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットであって、前記カップパットの素材を加熱加圧して所定の形状に形成する際に、当該カップパットの下端縁に沿った部分に相当する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該カップパットの下端縁に沿った部分の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記カップパットの下端縁部にカップ保形用ボーンの機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とする請求項９に記載のパットである。
【００２３】
また、請求項１１に記載された発明は、ボーン部材が装着されるパットを用いた衣料において、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成したことを特徴とする衣料である。
【００２４】
さらに、請求項１２に記載された発明は、人体に装着されるパットを用いた衣料において、前記パットの一部に、当該パットを構成する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該パットを構成する素材の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記パットの一部にパット保形用ボーンとしての機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とする衣料である。
【００２５】
上記請求項１１又は１２に記載された発明では、衣料として、ブラジャー等のファデーションは勿論のこと、これに順ずる水着等のスポーツウェアー、更にはサポータ、並びに医療的な補正具などに適用できることは勿論である。
【００２６】
上記請求項２又は９に係る発明は、ボーン構造の一体化を目的としたものであり、パットを構成する発泡体などの素材の必要箇所を、凸状又は凹溝状に圧縮等することによって、ボーン機能部を一体的に形成したものである。
【００２７】
例えば、バストカップの周辺又はバストサイドのボーン構造として、凹溝を２〜複数本設け、肋骨のような効果を生むことにポイントを置いたものである。
【００２８】
上記ボーン部材を挿入する溝部、あるいは凹溝状又は凸状のボーン機能部の構造は、例えば、バストカップ部において、乳房基底の下部３／４を前提とする既ファンデーションのバストカップボーンを前提とするが、バストサイド部又はバストセンター部のサポートの役割をも持つことから、バストカップ部に限定されるものではない。例えば、ウエスト部に装着するウエストニッパーや、スポーツ並びに医療用のパットに適用することが可能である。
【００２９】
また、上記ボーン部材を挿入する溝部、あるいは凹溝状又は凸状のボーン機能部の構造は、パットを製作する金型発泡成形・金型射出成形・金型流し込み成形等の成形型にデザインする手段、パット成形後にプレス圧縮によってデザインする手段（発泡成形のパット体のカットアンドソウイングパット等）、あるいはパット製作時に熱プレス成型等によって同時成型する手段などが挙げられる。
【００３０】
さらに、上記ボーン部材を挿入する溝部、あるいは凹溝状又は凸状のボーン機能部は、パットの表側（人体に対しパットを介した表側）、又は裏側（人体側）にデザインしても良く、更にはダブルパットの中間に配置するように構成しても良い。
【００３１】
又さらに、上記ボーン部材を挿入する溝部は、ボーンを挿入して内蔵化させる目的から、ボーンの寸法形状に合わせて設定するのが望ましく、又、人体への抵抗を考慮して、ボーンの先端を幾分人体から遠ざけ（溝の深さ、奥行きを適宜設定し）て、且つ生産性を考慮してボーンの寸法に関係なく、異なるボーンにも対応できる形状に溝部を形成しても良い。
【００３２】
更に、上記パット自体の形状並びに材質は、原則として、対応とするパットの外観形状は限定されるものではなく、例えば、当該対象であるバストパットは、乳房基底部周辺のみを形成するものから、バスト周辺の身頃部を含むものまであって良い。また、上記パットの内面形状も、限定されるものではなく、如何なる部分の厚みが厚いか薄いかは自由に設定可能である。上記パットの材質は、ウレタン発泡体を前提とするが、ダブルラッセル編等による中空編物であっても良いし、シリコン等の金型成型による鋳造式タイプの物でも良い。ここで、重要なのは、本発明の対象となる製品そのものの、基本的な要求を満たす形状並びに材質であることである。すなわち、本発明の対象となる製品に求められる安全性、衛生性に加えて、精巧性や着用感等を満足させることは、本発明によって損なわれないように注意することが望ましい。
【００３３】
また、本発明を適用することによって得られる二次的な製品としては、ボーン部材を被覆又は挿入するカバー構造物が挙げられるが、このカバー構造物は、原則として、現在普及している製品を用いることで対応できるが、実用性並びにコスト的に重要であるが、より本発明の目的とする安全性を高め、表着への響きを考慮すると、必要以上の厚みのないチューブ体であることが好ましいし、チューブ体をボーン挿入用の溝部に一体化するなどして、省力化を図ることが望ましい。
【発明の効果】
【００３４】
この発明によれば、左右のバストカップ部の下端縁に沿ったカップ保形用ボーンの装着を容易又は不要とすることができ、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の製造コストをダウンするができるとともに、着用感やデザイン性を向上させることが可能なパット及びこれを用いた衣料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３５】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【００３６】
実施の形態１
図２はこの発明の実施の形態１にカップとしてのカップパットを適用したブラジャーを示すものである。
【００３７】
図２において、１は女性用衣料としてのブラジャーを示すものであり、このブラジャー１は、女性の左右のバストをそれぞれ覆う左右のバストカップ部２、３を備えている。これらの左右のバストカップ部２、３は、当該左右のバストカップ部２、３の下方から側方にわたって設けられる身頃体４と一体的に縫着されている。上記ブラジャー１は、身頃体４の背面側に位置する両端部を、フックやアイ等の係止具によって連結することにより、当該身頃体４は、人体骨格の全周を覆うように輪状に形成されている。通常ブラジャーにおいては、乳房輪郭（バスト基底）を以ってバストカップ及び身頃体の区分をしている。しかし、当該バストカップは、より人体の立体性とバストカップ部並びに身頃部切替線が人体に与えるゴロツキ感（抵抗）を解消、さらにはバストアップ力、バスト寄せ力を高めるために、バスト周辺身頃を一体設計したデザインパターンまで含むバストカップ又はバストパッドである。当該バストカップ体は、ボディアームピット部において身頃と接続される。なお、上記身頃体４は、その背面側を構成する素材に伸縮性を持たせるとともに、当該身頃体４を円筒状に形成することによって、フックやアイ等からなる係止具を使用しないように構成しても良い。図２中、５、６は左右の肩にかける肩紐部材としてのストラップを示すものである。
【００３８】
また、上記左右のバストカップ部２、３は、図３に示すように、本実施の形態に係るカップパット７を、表地８と裏地９とで挟持した状態で、当該表地８及び裏地９とカップパット７の下端縁、並びにバストカップ部２、３の上縁を縫着することによって構成されている。なお、カップパット７は、必要に応じてモールド成形されたものを、そのまま使用しても良いが、当該カップパット７自体も、薄い表地と裏地とで接着等により表裏両面及び外周縁が被覆されるように構成しても良い。
【００３９】
ところで、この実施の形態では、女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットにおいて、前記カップパットの端縁部に、カップ保形用ボーンを挿入する溝部を形成するように構成されている。
【００４０】
また、この実施の形態では、前記溝部は、前記カップパットの下端縁部に沿って形成されるように構成されている。
【００４１】
すなわち、この実施の形態に係るカップパット７は、例えば、図８（Ａ）に示すように、モールド成型されたバスト用のカップパットからなり、通常、乳房基底を輪郭とするモールド型によって熱プレス形成されたパット体である。このカップパット７は、モールド成型以外に、発泡体そのものや、射出成型（鋳型成型）又は金型発泡（鋳型発泡）等の方式によって製造することが可能である。また、上記カップパット７の材質は、ポリウレタン発泡体を中心とするが、これに限定されるものではなく、ファイバーフィルやダブルラッセル等の編み物によって形成しても良い。さらに、上記カップパット７の規格は、形状、厚みなど限定されるものではないが、本発明の意図から、カップボーンの厚みを吸収することに意味があることから、カップ保形用ボーンを挿入する溝部を形成する部分は、ボーンの厚みよりも厚いことが必要である。また、上記カップパット７は、図８（Ｂ）に示すように、基本となる乳房基底を輪郭とする形状に対して、乳房基底周辺部（身頃部：ボディ部）までを一体化してデザインしても勿論良い。さらに、上記カップパット７は、図８（Ｃ）に示すように、必ずしもすべて一体的に形成されている必要はなく、シート体からなる複数のパーツを接着又は縫製によって一体化するように構成しても良い。
【００４２】
この実施の形態にカップパット７は、図１、図４及び図７に示すように、例えば、発泡ウレタン等の素材そのものや、当該発泡ウレタン等の素材を、加熱加圧してモールド成形することによって、所定のカップ形状を有するように形成されている。上記カップパット７は、例えば、３／４カップ程度の形状に形成されているが、その形状は、１／２カップ状など任意であって良いことは勿論である。また、上記カップパット７は、図４に示すような平面形状、図５に示すような裏面形状、及び図６に示すような外観斜視形状を有している。さらに、上記カップパット７の断面形状は、図７に示すように、その下部７ａが比較的肉厚に形成されており、人体のバストの容積をカバーし、ボリュームをアップさせる機能を果たすように設定されているとともに、その上部７ｂは、上端部に向けて徐々に厚さが薄くなるように設定されていて、女性のバストの美的な形状をアップさせるように構成されている。
【００４３】
さらに、上記カップパット７は、図１、図４及び図７に示すように、略円弧状に湾曲した下端縁部７ｃが、所定の肉厚を有し、且つ外周に突出するように構成されているとともに、当該下端縁部７ｃの表面側には、カップ保形用ボーン１０を挿入する溝部１１が形成されている。この溝部１１の深さは、適宜設定されるが、例えば、カップ保形用ボーン１０の厚みよりやや深く設定されているのが望ましい。
【００４４】
上記の如く構成されるカップパット７は、図２及び図９（Ａ）に示すように、ブラジャー１の左右のバストカップ部２、３に、そのすべての外周縁が縫製されることによって装着されるが、図９（Ｂ）に示すように、その一部の外周縁が縫製されるか、又はすべての外周縁や表面が接着等の手段によって装着されるように構成しても良い。
【００４５】
上記カップ保形用ボーン１０としては、例えば、図１０に示すように、平面上において、略Ｕ字形状に湾曲して形成されたものが用いられ、当該カップ保形用ボーン１０は、コーティングを施した金属線から構成したものや、線状の合成樹脂等から構成したものであっても良い。このカップ保形用ボーン１０は、図３に示すように、カップパット７の下端縁部７ｃに設けられた溝部１１に挿入された状態で、その表面側及び裏面側にテープ状の布片１２、１３を当てた状態で、表地８及び裏地９とともに、縫糸１４によって幅方向の両端部が縫着されることにより、カップパット７の溝部１１に固定されている。
【００４６】
また、上記の如く構成されるカップパット７を装着した左右のバストカップ部２、３は、例えば、図１１（Ａ）（Ｂ）に示すように、当該カップパット７の表面をカップ表地１５によって覆うととともに、当該カップパット７の湾曲した下端縁に沿って身頃体１６を連接し、更にその身頃体１６の裏面下部に仕上げテープ１７を配置した状態で縫製されることによって構成されるように構成しても良い。
【００４７】
さらに、上記の如く構成されるカップパット７を装着した左右のバストカップ部２、３は、図９（Ｂ）に対応した図１１（Ｃ）（Ｄ）に示すように、当該カップパット７の表面をカップ表地１５によって覆うととともに、当該カップ表地１５の下端縁を裏面側に折り返して、身頃体をも一体的に構成するカップパット７の裏面下部に仕上げテープ１７を配置した状態で縫製されることによって構成されるように構成しても良い。
【００４８】
図１２はカップパットの端縁部に形成されるカップ保形用ボーンを挿入する溝部の形状及び配置を種々示したものである。
【００４９】
図１２（Ａ）は、カップパット７の下端縁部の裏面側に円弧状の溝部１１を形成したものであり、この溝部１１には、ボーン１０を被覆した帯状に形成されたボーンループ体１８のボーンの部分が挿入され、当該ボーンループ体１８の両端縁が縫い糸１４によって縫着されるように構成されている。
【００５０】
また、図１２（Ｂ）は、図９（Ｂ）に対応した態様を示したものであり、ボーンループ体１８がカップパット７の裏面側（肌側）ではなく、パット体の表面側（外面側）に配設されており、ボーン１０を挿入する溝部１１がカップパット７の表面側（外面側）に形成されている。この場合には、ボーン１０が人体への抵抗となるのを回避することができるが、ボーン１０の凸形状がバストカップ部２、３の表面側に露呈する虞れがあるため、外観が低下する可能性がある。
【００５１】
さらに、図１２（Ｃ）は、図１２（Ｂ）に示すボーン挿入用の溝部１１に、直接ボーンループの役割を持たせたものであり、当該ボーン挿入用の溝部１１をプレスによって圧縮するときに同時に、補強布（クインズコート）１９を圧着又は接着するように構成したものである。この場合はボーン１０の外面側をカバーすることで、ループ体をカップパット７と一体化することができる。また、この場合には、ボーン挿入用の溝部１１の強度を高めるために、図１２（Ｇ）に示すように、ボーン挿入用の溝部１１に対応したカップパット７を他部より厚くデザインし、圧縮度を高めることによって強度を高めるように構成するのが望ましい。
【００５２】
又、図１２（Ｄ）は、ボーン挿入用の溝部１１とボーン１０とを、プレス圧着するように構成したものである。この場合は、図１２（Ｇ）（Ｈ）に示すように、溝部１１の強度を高めるために、ボーン挿入用の溝部１１に対応したカップパット７を他部より厚く設定し、カップパット７の圧縮度を高めることによって強度を高めるように構成するのが望ましく、また、ボーン１０としては、カップパット７との一体性を高めるために、合成樹脂系のボーンを使用するのが好ましい。
【００５３】
更に、図１２（Ｅ）は、ボーン挿入用の溝部１１に一体的に又は二次工程によって、ボーンループを接着内蔵させ、当該ボーンループにボーン１０を挿入するように構成したものである。
【００５４】
また、図１２（Ｆ）は、カップパット７の裏面側に形成されたボーン挿入用の溝部１１の周辺を厚く形成し、当該ボーン挿入用の溝部１１をより深く形成してボーン１０そのものを完全に埋設させるように構成したものであり、ボーン挿入用の溝部１１を裏面側に形成した場合でも、ボーン１０の人体への抵抗を無くすことができるようになっている。
【００５５】
図１３は、図９（Ｂ）に対応したボーン挿入用の溝部の配置を示したものである。
【００５６】
上記ボーン挿入用の溝部１１は、カップパット７の上縁ヘッジを貫通せずに、ボーン１０の先端を概ね包むようにデザインされている。特に、図１２（Ｄ）に示すように、ボーン１０をカップパット７に一体的に成型した上でボーン挿入用の溝部１１に埋蔵させるように構成した場合は、ボーン１０先端の人体への影響を少なくすることができる。
【００５７】
また、本発明は、カップパット７の下端縁に配設されるボーン１０に限らず、バストカップ部２、３の側面などに配設されるフラットボーン１０に適用しても良いことは勿論である。
【００５８】
さらに、図１３（Ｂ）は、左右のバストカップ部２、３に対してボーン１０を一体的に形成した形態を示したものである。
【００５９】
又、図１３（Ｃ）は、ボーン１０の挿入用の溝部１１を、製品上縁エッジ部を貫通するように構成した形態を示したものである。
【００６０】
更に、図１３（Ｃ）に示すように、左右のバストカップ部２、３に対して一体的に形成されたボーン１０を、ボーン挿入用の溝部１１に直接埋蔵させることで、特にボリュームのある女性の左右乳房間の谷間間隔を狭めるように構成したものである。
【００６１】
また、この実施の形態では、前記カップパット７は、抗菌作用を有するウレタンによって形成されるように構成されている。
【００６２】
上記カップパット７は、例えば、発泡ウレタンフォームによって形成されるが、この発泡ウレタンフォームとしては、抗菌作用を有するウレタンを使用するのが望ましい。この抗菌作用を有するウレタンとしては、例えば、ブリジストン（株）製のエバーライトＺ（商品名）と呼ばれるポリウレタンフォームが使用される。このエバーライトＺ（商品名）と呼ばれるポリウレタンフォームは、ウレタンフォームの材料に抗菌剤を添加して、一体発泡させたウレタンフォームであり、抗菌剤の成分によって活性酸素を生成し、当該活性酸素が細菌の細胞を死滅させることによって、抗菌作用を発揮するものであり、しかも抗菌作用の持続時間が長く、広範囲の細菌に効果を発揮し、しかも安全性が高いという特徴を有している。
【００６３】
このように、カップパット７を構成するウレタンフォームとして、抗菌作用を有するウレタンを使用することにより、使用者から発生する汗によって雑菌が繁殖するのを抑え、ニオイが発生することがなく、快適な着用感を得ることができる。
【００６４】
以上の構成において、この実施の形態に係るカップパットを用いたブラジャーでは、次のようにして、左右のバストカップ部の下端縁に沿ったカップ保形用ボーンの装着を容易にすることができ、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の製造コストをダウンするができるとともに、着用感やデザイン性を向上させることが可能となっている。
【００６５】
すなわち、この実施の形態に係るカップパットを用いたブラジャー１では、図１乃至図３に示すように、カップパット７の下端縁部７ｃに沿って、その表面側にカップ保形用ボーン１０を挿入する溝部１１が形成されるように構成されている。そのため、上記カップパット７にカップ保形用ボーン１０を装着して、左右のバストカップ部２、３を構成する際に、カップパット７の下端縁部７ｃに沿って設けられた溝部１１にカップ保形用ボーン１０を挿入した状態で、当該左右のバストカップ部２、３を構成する表地８や裏地９及びテープ状の布片１２，１３を、カップパット７の下端縁部に沿って縫着すれば良く、熟練した技術を必要とすることなく、左右のバストカップ部２、３の下端縁に沿ってカップ保形用ボーンを容易に装着をすることができ、ブラジャー１等の女性用衣料の衣類の製造コストを大幅にダウンするができる。
【００６６】
また、上記カップ保形用ボーン１０は、カップパット７の下端縁に沿って、その表面側に設けられた溝部１１に挿入されているので、女性のバスト部の肌側に位置することがなく、当該カップ保形用ボーン１０がバスト部の皮膚に当たることがないので、優れた着用感を得ることができ、しかも当該カップ保形用ボーン１０は、カップパット７の表面側に位置するので、カップ保形用ボーン１０がカップパット７の裏面側に位置する場合と異なって、カップ保形用ボーン１０によって美しいバスト形状を創出する効果や、バスト補正効果なども、今まで以上に発揮することが可能となり、着用感やデザイン性を向上させることが可能となっている。
【００６７】
実施の形態２
この発明の実施の形態２について、前記実施の形態１と同一の部分には同一の符合を付して説明すると、この実施の形態２では、カップパットは、通気性が高いウレタンによって形成されるように構成されている。
【００６８】
すなわち、上記カップパット７は、例えば、発泡ウレタンフォームによって形成されるが、この発泡ウレタンフォームとしては、通気性が高い、例えば、通気度が厚さ１７ｍｍで１００ｃｃ／ｃｍ2 ／ｓｅｃ以上のウレタンを用いるのが望ましい。なお、通気度の測定は、１平方ｃｍの筒から空気を送り、発泡ウレタンフォームを介して１分間に反対側から出る空気の量を測定して評価したものである。通気性が高いウレタンとしては、例えば、ブリジストン（株）製のエバーライトＳＦ（商品名）と呼ばれるポリウレタンフォームである品番「ＱＴＷ−３０」や、「ＱＴＹ−２０」などを使用するのが望ましい。このエバーライトＳＦ（商品名）と呼ばれるポリウレタンフォームは、ポリウレタンフォームを特殊加工して、発泡ウレタンフォームの三次元骨格構造の空間を仕切る膜状物質を完全に除去したものであり、通気性が高くなっている。
【００６９】
このように、カップパット７を構成する素材として、通気性の高いウレタンを使用することにより、蒸れずに涼しく、着用感に優れ、しかもカップパットのワイヤーの溝に従来汗が溜まりやすかったが、本発明では、従来品の１０倍以上の通気性を有するため、カップパット７のワイヤー溝などに汗が溜まるのを防止することができる。
【００７０】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態１と同様であるので、その説明を省略する。
【００７１】
実施の形態３
図１４及び図１５はこの発明の実施の形態３を示すものであり、前記実施の形態１と同一の部分には同一の符合を付して説明すると、この実施の形態３では、女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットにおいて、前記カップパットの素材を加熱加圧して所定の形状に形成する際に、当該カップパットの下端縁に沿った部分に相当する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該カップパットの下端縁に沿った部分の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記カップパットの下端縁部にカップ保形用ボーンの機能を果たすボーン機能部を一体的に形成するように構成されている。
【００７２】
すなわち、この実施の形態３では、図１４に示すように、カップパット７の下端縁に沿ってカップ保形用ボーンを挿入する溝部が設けられているのではなく、カップパット７の下端縁７ｃに沿った部分２０の剛性が高く、且つ半円形状に小さく突出した形状に設定されており、当該剛性が高く設定された下端縁部分２０がカップ保形用ボーンの機能を発揮するように構成されている。
【００７３】
上記カップパット７の下端縁に沿った部分２０の剛性を高く設定する手段としては、例えば、当該カップパットを構成する素材２１を、加熱加圧してモールド成形する前に、図１５に示すように、カップパット７の縫い代となる下端部２２を除いて、又は縫い代の部分と一体的に、当該下端縁部２３を隣接するカップ部２４に比較して、３０〜５０％程度厚く設定し、この厚く設定された下端縁部２３を加熱加圧してモールド成形することにより、当該下端縁部２３の剛性を高める手段が挙げられる。なお、上記下端縁部２３は、モールド成形後に厚くならないように成形しても良い。また、図１５（Ｂ）では、カップパット７の厚さの変化を示すため、便宜上、一部を破断して図示している。
【００７４】
このように、上記実施の形態３では、カップパット７の素材２１を加熱加圧して所定の形状に形成する際に、当該カップパット７の下端縁７ｃに沿った部分２３に相当する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該カップパットの下端縁に沿った部分の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記カップパット７の下端縁部２３にカップ保形用ボーンの機能を果たすボーン機能部を一体的に形成するように構成されているので、カップパット７の下端縁に沿ってカップ保形用ボーン１０を挿入したり、縫着する作業がまったく不要となり、左右のバストカップ部２、３の下端縁に沿ったカップ保形用ボーンの装着を不要とすることができ、ブラジャーやボディスーツ等の衣類の製造コストをダウンするができるとともに、着用感やデザイン性を向上させることが可能なカップパット及びこれを用いた女性用衣料を提供することができる。
【００７５】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態１と同様であるので、その説明を省略する。
【００７６】
実施の形態４
図１６はこの発明の実施の形態４を示すものであり、前記実施の形態１と同一の部分には同一の符合を付して説明すると、この実施の形態４では、カップ保形用ボーンとして２次元的に湾曲したボーンではなく、３次元的に湾曲したボーンを用いるように構成されている。
【００７７】
すなわち、この実施の形態４では、図１６に示すように、断面偏平形状の弾性線材を用いて形成され、この弾性線材の広幅面側が正面Ｇとなるようにブレストカップの略下側縁形状に湾曲させて形成されたブレストカップ保形用ボーン３０であり、ブレスト下部側に位置する中央底部（ＢＤ間）とブレスト身体中心側に位置する身体中心側立部（ＡＢ間）及びブレスト腋下側に位置する腋下側立部（ＤＥＦ間）とが平面上から離れる方向に湾曲した湾曲形状を有すると共に、上記中央底部の略中心（Ｃ点）を基準にして少なくとも上記腋下側立部（ＤＥＦ間）がその始点（Ｄ点）から先端（Ｆ点）にかけて４５〜９０°の範囲で正面Ｇが外側を向く方向に捩じれた捩れ形状を有しており、装身時には、腋下側立部（ＤＥＦ間）がその捩れ形状に基づいて身体中心側立部（Ａ〜Ｂ間）より大きく弾性変形してこれら身体中心側立部先端（Ａ点）と腋下側立部先端（Ｆ点）との間が所定の範囲で拡開するように構成された保形用ボーン３０を用いている。
【００７８】
また、この実施の形態４では、カップパット７の下端縁に沿って、カップ保形用ボーン３０の形状に沿って、３次元的に湾曲した溝部１１が形成されるように構成されている。このカップパット７の下端縁に沿って形成される溝部１１は、当該カップパット７をモールド成形する際に、上述したカップ保形用ボーン３０の形状に倣った３次元的に湾曲した形状に形成される。
【００７９】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態１と同様であるので、その説明を省略する。
【００８０】
なお、本発明の主たるポイントは、人体に密着するファンデーションに多く構成され、人体シルエットを理想的なシルエットに補正する、又は人体の脊柱の特に腰部または背部の保護を目的とするために配設されるボーンにおいて、人体への抵抗（圧迫感など）を軽減すると同時に、着用時の表着への美的シルエットの損傷を軽減させることにあると同時に医療的視点から見た、サポーター等におけるボーン構成に対する人体への抵抗を軽減させることにある。
【００８１】
そのため、所定の厚みを有する基布にボーン本体の厚みを埋蔵させてしまうことによるフラット化に対し、逆にボーンを配置する身頃体に必要とする範囲（最も人体に抵抗を与えない範囲又は腹部を押さえる等の機能を加えることのできる範囲）に厚みを持たせ、局部的な接触抵抗を無くすように構成することも、本発明の応用範囲には含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【００８２】
【図１】図１はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す側面図である。
【図２】図２はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを適用した女性用衣料としてのブラジャーを示す構成図である。
【図３】図３はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを適用した女性用衣料としてのブラジャーを示す断面図である。
【図４】図４はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す正面図である。
【図５】図５はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す背面図である。
【図６】図６はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す外観斜視図である。
【図７】図７はこの発明の実施の形態１に係るカップパットを示す断面図である。
【図８】図８はカップパットの異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図９】図９はカップパットを使用したバストカップ部の異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図１０】図１０はカップ保形用ボーンを示す平面図である。
【図１１】図１１はカップパットを装着したバストカップ部の異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図１２】図１２はボーン挿入用の溝部とボーンとの異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図１３】図１３はボーン挿入用の溝部とボーンとの異なった態様をそれぞれ示す構成図である。
【図１４】図１４はこの発明の実施の形態３に係るカップパットの成形前の状態を示す斜視図である。
【図１５】図１５はこの発明の実施の形態３に係るカップパットの成形前の状態を示す斜視図及び断面図である。
【図１６】図１６はこの発明の実施の形態４に係るカップパットで使用されるカップ保形用ボーンを示す斜視図である。
【符号の説明】
【００８３】
１：ブラジャー、２、３：左右のバストカップ部、７：カップパット、１０：カップ保形用ボーン、１１：溝部。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ボーン部材が装着されるパットにおいて、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成したことを特徴とするパット。
【請求項２】
前記パットは、女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットからなり、前記カップパットにカップ保形用ボーンを挿入する溝部を形成したことを特徴とするパット。
【請求項３】
前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットの肌側、又は表側に形成されていることを特徴とする請求項２に記載のパット。
【請求項４】
前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットの製造時又は製造後に形成することを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載のパット。
【請求項５】
前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットを構成する材料の圧縮を伴わない溝構造、パットの成形時に当該溝部を圧縮する溝構造、当該溝部にあて布又は中空体を同時接着させ溝構造の強化をデイザンした溝構造、更にはボーン部材の挿入を容易とした溝構造、立体ボーン部材等の形状に合わせた溝構造、合成樹脂等からなるボーン部材を同時に溝部内に熱接着又は熱溶着させ埋設させる溝構造のうちの少なくともいずれか１つの構造からなることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載のパットである。
【請求項６】
前記パットは、鋳造又は射出成形等によるパット、又は成形型内発泡方式によるパット、発泡シート体又はスライス体をプレス成形したパット、不織布等の綿状態パット、ダブルラッセル編等のパットのうちのいずれか１つからなることを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載のパット。
【請求項７】
前記パットは、補形性・弾力性・ソフト性等の物性的、且つ医療性・通気性・抗菌性等の衛生性、更にはエコロジー的配慮がなされていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載のパット。
【請求項８】
前記パットと溝部は、パットを被覆する裏地、表地と同時に形成されることを特徴とする請求項１乃至７のいずれかに記載のパット。
【請求項９】
人体に装着されるパットにおいて、前記パットの一部に、当該パットを構成する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該パットを構成する素材の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記パットの一部にパット保形用ボーンとしての機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とするパット。
【請求項１０】
前記パットが女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットであって、前記カップパットの素材を加熱加圧して所定の形状に形成する際に、当該カップパットの下端縁に沿った部分に相当する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該カップパットの下端縁に沿った部分の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記カップパットの下端縁部にカップ保形用ボーンの機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とする請求項９に記載のパット。
【請求項１１】
ボーン部材が装着されるパットを用いた衣料において、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成したことを特徴とする衣料。
【請求項１２】
人体に装着されるパットを用いた衣料において、前記パットの一部に、当該パットを構成する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該パットを構成する素材の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記パットの一部にパット保形用ボーンとしての機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とする衣料。
【請求項１】
ボーン部材が装着されるパットにおいて、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成したことを特徴とするパット。
【請求項２】
前記パットは、女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットからなり、前記カップパットにカップ保形用ボーンを挿入する溝部を形成したことを特徴とするパット。
【請求項３】
前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットの肌側、又は表側に形成されていることを特徴とする請求項２に記載のパット。
【請求項４】
前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットの製造時又は製造後に形成することを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載のパット。
【請求項５】
前記ボーン部材を挿入する溝部は、パットを構成する材料の圧縮を伴わない溝構造、パットの成形時に当該溝部を圧縮する溝構造、当該溝部にあて布又は中空体を同時接着させ溝構造の強化をデイザンした溝構造、更にはボーン部材の挿入を容易とした溝構造、立体ボーン部材等の形状に合わせた溝構造、合成樹脂等からなるボーン部材を同時に溝部内に熱接着又は熱溶着させ埋設させる溝構造のうちの少なくともいずれか１つの構造からなることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載のパットである。
【請求項６】
前記パットは、鋳造又は射出成形等によるパット、又は成形型内発泡方式によるパット、発泡シート体又はスライス体をプレス成形したパット、不織布等の綿状態パット、ダブルラッセル編等のパットのうちのいずれか１つからなることを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載のパット。
【請求項７】
前記パットは、補形性・弾力性・ソフト性等の物性的、且つ医療性・通気性・抗菌性等の衛生性、更にはエコロジー的配慮がなされていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載のパット。
【請求項８】
前記パットと溝部は、パットを被覆する裏地、表地と同時に形成されることを特徴とする請求項１乃至７のいずれかに記載のパット。
【請求項９】
人体に装着されるパットにおいて、前記パットの一部に、当該パットを構成する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該パットを構成する素材の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記パットの一部にパット保形用ボーンとしての機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とするパット。
【請求項１０】
前記パットが女性の左右のバスト部に配置して使用されるカップパットであって、前記カップパットの素材を加熱加圧して所定の形状に形成する際に、当該カップパットの下端縁に沿った部分に相当する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該カップパットの下端縁に沿った部分の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記カップパットの下端縁部にカップ保形用ボーンの機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とする請求項９に記載のパット。
【請求項１１】
ボーン部材が装着されるパットを用いた衣料において、前記パットにボーン部材を挿入する溝部を形成したことを特徴とする衣料。
【請求項１２】
人体に装着されるパットを用いた衣料において、前記パットの一部に、当該パットを構成する素材の厚みを厚く設定するか、又は当該パットを構成する素材の圧縮率を高く設定して剛性を高めることにより、前記パットの一部にパット保形用ボーンとしての機能を果たすボーン機能部を一体的に形成したことを特徴とする衣料。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【公開番号】特開２００６−９７１７５（Ｐ２００６−９７１７５Ａ）
【公開日】平成１８年４月１３日（２００６．４．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２８３７５７（Ｐ２００４−２８３７５７）
【出願日】平成１６年９月２９日（２００４．９．２９）
【出願人】（０００１３３４５６）株式会社ダッチェス (3)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年４月１３日（２００６．４．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年９月２９日（２００４．９．２９）
【出願人】（０００１３３４５６）株式会社ダッチェス (3)
【Ｆターム（参考）】
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