説明

パッドクリップの組付け構造

【課題】パッドクリップの構成に変化を加える事なくブレーキパッドに負荷する付勢力の負荷方向と、その力の割合を調整することのできるパッドクリップの組付け構造を提供する。
【解決手段】一対のスライドピンに支承されるアウタパッドをスライドピンに付勢させるパッドクリップの組付け構造であって、パッドクリップは、アウタパッドを構成するプレッシャプレートを挟持する支持部と、プレッシャプレートの板面に沿って配置されるベース部と、スライドピンに当接し、付勢力を生じさせるバネ部とを有し、アウタパッドにはパッドクリップの支持部を取り付けるための辺である座を設け、貫通孔を構成する円弧部の中心を通るロータ半径方向に沿った第1の直線lと、前記中心を通り座に対して垂直に交わる第2の直線lとの成す角θの設定により、パッドクリップによる付勢力におけるロータ半径方向とロータ円周方向の分力の割合を変化させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスクブレーキ装置に係り、特にブレーキパッドをピンスライドさせるフローティング型のディスクブレーキ装置におけるパッドクリップの組付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキパッドをピンスライドさせるタイプのフローティング型ディスクブレーキ装置としては、特許文献1や、特許文献2に開示されているような構成のものが知られている。このような構成のディスクブレーキ装置では、各々図示はされていないが、パッドクリップと呼ばれるバネが備えられ、スライドピンに支承されるブレーキパッドを押さえ付けている。
【0003】
ブレーキパッドに設けられた貫通孔(貫通部)とスライドピンとの間には、その構成上僅かな隙間が設けられる。このためブレーキパッドは、単純にスライドピンに支承されているだけでは、車両走行時の振動や、制動時の慣性力、トルクなどによりロータの半径方向や円周方向に振動し、ラトル音やクロンク音(カチン音)を生じさせることとなる。
【0004】
このため、ブレーキパッドは、パッドクリップを介してスライドピンに押し付けられ、ロータの半径方向、または円周方向、あるいはその両方への移動(ガタツキ)が抑制されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭55−142127号公報
【特許文献2】特表2006−520448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に開示されているような構成のディスクブレーキ装置では一般的に、キャリパとブレーキパッドとの間に大型のパッドクリップを設けることにより、キャリパを基点としてブレーキパッドをロータの半径方向内周側へ押し下げる構造が採られている。
【0007】
しかしこのような構造を採った場合、パッドクリップの構成によってブレーキパッドに対する付勢力の方向が決まってしまう。また、ブレーキパッドは必ずロータの半径方向内周側への付勢力を与えられることとなる。
【0008】
これに対し、ブレーキパッドに付与される振動やトルクは一定では無く、またその方向も一定とは限らない。このため、ディスクブレーキ装置には、ラトル音の軽減作用が強いものや、クロンク音(カチン音)の軽減作用が強いもの、および両者の特性を併せ持ったものなど、種々の特性に対応可能な構造が望まれてきているが、従来のディスクブレーキ装置の構造ではその要望に対応することが困難とされている。
【0009】
そこで本発明では、上記問題を解消し、パッドクリップの構成に変化を加える事なくブレーキパッドに負荷する付勢力の負荷方向と、その力の割合を調整することのできるパッドクリップの組付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るパッドクリップの組付け構造は、プレッシャプレートに形成された貫通孔を介してディスクブレーキ装置を構成する一対のスライドピンに支承されるブレーキパッドを前記スライドピンに付勢させるパッドクリップの組付け構造であって、前記パッドクリップは、前記ブレーキパッドを構成するプレッシャプレートを挟持する支持部と、前記プレッシャプレートの板面に沿って配置されるベース部と、前記スライドピンに当接し、付勢力を生じさせるバネ部とを有し、前記ブレーキパッドには前記パッドクリップの支持部を取り付けるための辺である座を設け、前記貫通孔を構成する円弧部の中心を通るロータ半径方向に沿った第1の直線と、前記中心を通り前記座に対して垂直に交わる第2の直線との成す角の設定により、前記パッドクリップによる付勢力におけるロータ半径方向とロータ円周方向の分力の割合を変化させる構成としたことを特徴とする。
【0011】
また、上記のような特徴を有するパッドクリップの組付け構造では、前記第1の直線と前記第2の直線との成す角が45度未満となるように前記座の角度を設定することができる。
このような構造とすることによれば、ロータの半径方向に負荷する力がロータの円周方向に負荷する力よりも強くなる。
【0012】
また、上記のような特徴を有するパッドクリップの組付け構造では、前記第1の直線と前記第2の直線との成す角が45度となるように前記座の角度を設定することもできる。
このような構造とすることによれば、ロータの半径方向に負荷する力と円周方向に負荷する力が均衡することとなる。
【0013】
さらに、上記のような特徴を有するパッドクリップの組付け構造では、前記第1の直線と前記第2の直線との成す角が45度よりも大きくなるように前記座の角度を設定することもできる。
このような構造とすることによれば、ロータの円周方向に負荷する力がロータの半径方向に負荷する力よりも強くなる。
【発明の効果】
【0014】
上記のような特徴を有するパッドクリップの組付け構造によれば、パッドクリップの構成を変える事無くブレーキパッドに負荷する付勢力の負荷方向と、その力の割合を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】発明に係るパッドクリップの組付け構造を適用することのできるディスクブレーキ装置の平面形態を示す図である。
【図2】発明に係るパッドクリップの組付け構造を適用することのできるディスクブレーキ装置の正面形態を示す図である。
【図3】発明に係るパッドクリップの組付け構造を適用することのできるディスクブレーキ装置の右側面形態を示す図である。
【図4】発明に係るパッドクリップの組付け構造を適用することのできるディスクブレーキ装置の右下面側斜視図である。
【図5】実施形態に係るディスクブレーキ装置におけるスライドピンと係合部の構成を示す図である。
【図6】アウタパッドおよびパッドクリップの係合状態を示す斜視図である。
【図7】実施形態に係るディスクブレーキ装置のアウタパッドにおける貫通孔のピッチPとスライドピンのピッチPの関係、および制動トルク負荷時の様子を説明するための図である。
【図8】一対のパッドクリップの構成を示す側面側斜視図である。
【図9】一対のパッドクリップの構成を示すバネ部側から見た斜視図である。
【図10】実施形態に係るディスクブレーキ装置におけるスライドピンに対するアウタパッドの押し付け形態を示す図である。
【図11】実施形態に係るパッドクリップの組付け構造を説明するための一例を示す図であり、貫通孔の中心を通る第1の直線lと第2の直線lとの角度θが45°の場合の例を示す図である。
【図12】実施形態に係るパッドクリップの組付け構造を説明するための一例を示す図であり、貫通孔の中心を通る第1の直線lと第2の直線lとの角度θが45°未満の場合の例を示す図である。
【図13】実施形態に係るパッドクリップの組付け構造を説明するための一例を示す図であり、貫通孔の中心を通る第1の直線lと第2の直線lとの角度θが45°より大きい場合の例を示す図である。
【図14】実施形態に係るディスクブレーキ装置におけるロータ回入側のスライドピンとアウタパッドの貫通孔との動作関係を説明するための図である。
【図15】実施形態において制動時にアウタパッドに生ずる偶力がロータ回転方向と逆向きとなる構成の一例を示す図である。
【図16】実施形態において制動時にアウタパッドに生ずる偶力がロータ回転方向と同一方向となる構成の一例を示す図である。
【図17】実施形態において制動時にアウタパッドに生ずる偶力が逆転した場合におけるスライドピンに対するアウタパッドの押し付け形態を示す図である。
【図18】発明に係るパッドクリップの組付け構造を適用することのできるディスクブレーキ装置の他の例における正面形態を示す図である。
【図19】他の実施形態に係るディスクブレーキ装置のアウタパッドにおける貫通孔のピッチPとスライドピンのピッチPの関係、および制動トルク負荷時の様子を説明するための図である。
【図20】他の実施形態に係るディスクブレーキ装置におけるスライドピンに対するアウタパッドの押し付け形態を示す図である。
【図21】他の実施形態において制動時にアウタパッドに生ずる偶力が逆転した場合におけるスライドピンに対するアウタパッドの押し付け形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のパッドクリップの組付け構造に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1から図4を参照して、本発明のパッドクリップの組付け構造を適用することのできるディスクブレーキ装置について説明する。なお、図1は本発明のパッドクリップの組付け構造を適用可能なディスクブレーキ装置の一例を示す平面図であり、図2は正面図、図3は右側面図である。また、図4は右下側からの斜視図である。
【0017】
ディスクブレーキ装置10は、サポート38と、このサポート38に係合するスライドピン24(24a,24b)、およびスライドピン24に係合するキャリパ12、並びにブレーキパッド(インナパッド52,アウタパッド58)を基本として構成される。
【0018】
サポート38は、ディスクブレーキ装置10を車両に固定すると共に、車輪と共に回転するロータ(不図示)の制動トルクを受け止めるトルク受けとしての役割を担う。サポート38は、詳細を後述するスライドピン24を係合させるために設けられる一対のトルク受け部40(40a,40b)と、一対のトルク受け部40を連結するサポートブリッジ部46とを有し、全体形状として略コ字状を成す。
【0019】
トルク受け部40の先端側にはそれぞれ、スライドピン24を係合させるためのネジ孔42(図5参照)が設けられている。トルク受け部40とサポートブリッジ部46との接合箇所には、サポート38を車両等に固定するための取付孔44が設けられている。また、一対のトルク受け部40の対向する側面には、対向位置に、略コ字状の凹部48が形成されている。凹部48は、詳細を後述するインナパッド52(ブレーキパッド)を保持すると共に摺動させるための摺動レールとしての役割を担う。
【0020】
スライドピン24は、上述したサポート38のトルク受け部40に設けられたネジ孔42に螺合され、詳細を後述するキャリパ12とアウタパッド58(ブレーキパッド)の摺動レールとしての役割を担うと共に、制動時には、アウタパッド58のトルク受けとしての役割も担う。
【0021】
スライドピンは図5に示すように、サポート38との螺合部30を基点として、先端側にアウタパッド58の摺動部を有し、基端側にキャリパ12の摺動部を有することとなる。このため、スライドピン24は、締付けのためのボルト頭26とキャリパ摺動部28、螺合部30、およびアウタパッド摺動部32を有することとなる。本実施形態に係るキャリパ12は詳細を後述するように、アーム部20に設けられた貫通孔22を介してスライドピン24に係合し、また、貫通孔22とスライドピン24との間には、スリーブ34とブーツ36が設けられる。スリーブ34は、キャリパ12のスライド量を確保する。一方ブーツ36は、スリーブ34と貫通孔22との間の摺動部にダストが付着することを防止すると共に、スリーブ34と貫通孔22とのダンピング機能を有する。
【0022】
キャリパ12は、キャリパ本体14と爪部18、キャリパブリッジ部16、およびアーム部20を基本として構成される。キャリパ本体14には、図示しないロータのインナ側に配置され、少なくともシリンダ(不図示)と、ピストン15が設けられる。シリンダ内には、ブレーキ操作により作動油が流入し、流入した作動油を介してピストン15が押し出され、詳細を後述するインナパッド52におけるプレッシャプレート54を押圧することとなる。シリンダの開口部とピストン15の先端部の間には、蛇腹状のピストンブーツ(不図示)が設けられ、摺動部へのダストの付着防止が図られている。
【0023】
爪部18は、ロータを介してキャリパ本体14と反対側、すなわちロータのアウタ側に配置され、詳細を後述するアウタパッド58を支持する役割を担う。爪部18は、詳細を後述するキャリパブリッジ部16を基点として、ロータ半径方向内側へ向けて延設されている。このため、爪部18とキャリパ本体14とはロータを介して対向する位置に設けられる。また、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、爪部18におけるロータの回入側と回出側の双方に貫通孔18a,18aが設けられ、詳細を後述するアウタパッド58を爪部18の内壁に凹凸嵌合可能な構成としている。
【0024】
アーム部20は、キャリパ本体14から両端側(ロータの回入側と回出側)へ延設された係合部である。アーム部20の先端側には、スライドピン24におけるキャリパ摺動部28に係合するための貫通孔22(図5参照)が設けられており、この貫通孔22を介してスライドピン24との係合が成される。
【0025】
本実施形態に係るディスクブレーキ装置10ではブレーキパッドとして、サポート38に設けられた凹部48を摺動するインナパッド52と、スライドピン24a,24bを摺動するアウタパッド58とを備える。なお、インナパッド52、アウタパッド58共に、プレッシャプレート54,60と、プレッシャプレート54,60に添着された摩擦部材であるライニング56,62とを基本として構成される。
【0026】
インナパッド52におけるプレッシャプレート54は、ライニング56よりも一回り大きな金属の平板により略扇状に形成されたプレート本体と、このプレート本体の両端に突設された耳部(不図示)を有する。プレッシャプレート54の耳部をサポート38に形成された凹部48に遊嵌させることで、インナパッド52がロータの軸方向へスライド可能となる。なお、サポート38の凹部48には、金属板により構成されたパッドクリップ50が設けられ、インナパッド52がロータ軸方向へ摺動する際の摺動抵抗の低減と走行時の引き摺り防止が図られている。
【0027】
アウタパッド58におけるプレッシャプレート60は図6に示すように、ライニング62よりも一回り大きな金属の平板により略扇状に形成されたプレート本体60aと、このプレート本体60aの両端に、プレート本体60aを基点として略V字状となるように突設されたアーム部60bおよびアーム部60bの先端側に形成された貫通孔66(66a,66b)を有する。アウタパッド58は、アーム部60bの貫通孔66にスライドピン24におけるアウタパッド摺動部32を挿通させることで、スライドピン24上での摺動が可能となる。また、アウタパッド58におけるプレッシャプレート60のライニング添着面と反対側の爪部18との当接面には、キャリパ12の爪部18に設けた貫通孔18aに対応する位置に、一対の凸部64が形成されている。一対の凸部64を爪部18の貫通孔18a(凹部)に嵌合させることで、キャリパ12をアウタパッド58に対して安定保持させることが可能となる。
【0028】
また、本実施形態に係るアウタパッド58には、プレッシャプレート60における爪部18との当接面に第2クリップ68が設けられている。第2クリップ68は、その中心部を基部70として両側に延設された一対のバネ部72を有するクリップである。第2クリップ68は、プレッシャプレート60に対し、基部70が固定されることで機能する。基部70は、プレッシャプレート60に設けられた一対の凸部64間の中心位置に固定されている。なお、基部70の固定手段としては、カシメや、ネジ止めなどを挙げることができる。
【0029】
このような第2クリップ68を設けたアウタパッド58では、アウタパッド58を爪部18へ固定する際、プレッシャプレート60に設けた凸部64を貫通孔18aへ嵌合させると共に、第2クリップ68により爪部18を挟み込むことで、アウタパッド58を爪部18へ付勢させる。これにより、アウタパッド58の倒れ込みを防ぎ、ライニングの偏摩耗を防止することができる。また、アウタパッド58は、詳細を後述する一対のパッドクリップ74により、スライドピン24に対して安定接触することとなる。このため、スライドピン24を介して安定保持されるアウタパッド58に対して爪部18を付勢させることで、キャリパ12のガタツキを防止し、安定させることができる。なお、第2クリップ68のように、基部70からバネ部72の作用点である先端までの距離を長くすることにより、荷重のバラツキを抑制することができる。また、本実施形態では爪部18の内壁に設ける凹部について貫通孔18aとして表現しているが、貫通孔に替えて有底の袋穴としても良い。
【0030】
また、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、アウタパッド58における貫通孔66a,66bの中心ピッチPと、スライドピン24a,24bの中心ピッチPとが
>P
の関係を満たすように、貫通孔66a,66bのピッチPが定められている。このような構成とした場合図7に示すように、制動初期時等の低制動トルク発生時には回出側に配置されたスライドピン24bのみに貫通孔66bの内壁が接触し、スライドピン24bのみに制動トルクが負荷されることとなる。一方、高い制動トルクが生じた場合には、回出側に配置されたスライドピン24bが制動トルク負荷方向に撓み、回入側に配置されたスライドピン24aに貫通孔66aの内壁が接触することとなり、一対のスライドピン24a,24bに制動トルクが分散されることとなる。このように、制動トルクの高低に応じて制動トルクを分散させることを可能にすることで、スライドピン24の大径化等、強度補強を行う必要性がなくなり、スライドピンの大径化に伴う重量増加等を抑制することができる。
【0031】
アウタパッド58には、アーム部60bに一対のパッドクリップ74(第1パッドクリップ)が設けられている。以下、パッドクリップの構成を説明した上で、アウタパッド58に対するパッドクリップ74の組付け構造について詳細に説明する。
【0032】
アーム部60bに設けられたパッドクリップ74は、貫通孔66a,66bに挿通されたスライドピン24a,24bに付勢し、パッドクリップ74で保持されたアウタパッド58を付勢方向と逆側に押し付ける役割を担う。本実施形態に係るパッドクリップ74は、ロータの回入側と回出側とで同じものが採用される。具体的な構成としては図8、図9に詳細を示すように、ベース部76と支持部80、およびバネ部82を基本として構成される。ベース部76は、詳細を後述する支持部80とバネ部82との間に位置する部位であり、本実施形態の場合、スライドピン24を挿通させるための貫通孔78が設けられ、プレッシャプレート60の面に沿って配置される。支持部80は、ベース部76からアウタパッド58のプレッシャプレート60側へ屈曲された板片により構成される。支持部80は、板片を略コ字状(横U字状)に形成することで、プレッシャプレート60を厚み方向に挟持可能とされる。また、バネ部82は、ベース部76を基点として、支持部80とは反対側に向けてロール状に曲げ形成された板片である。このように形成されたロール部をスライドピン24に押し当てることで、支持部80によって挟持されたプレッシャプレート60がバネ部82側へ引き寄せられることとなる。つまり、本実施形態に係るパッドクリップ74を用いることによれば、スライドピン24を基点(アース)として、アウタパッド58をバネ部82の配置方向に引き寄せることができ、車両走行時のラトル音や、制動時のクロンク音(カチン音)を抑制することができる。このような構成のパッドクリップ74は、支持部80やバネ部82を形成するための曲げ方向がいずれも捻れを含まない一方向であるため、加工性が良い。また、展開状態での平面形態がシンプルであり、板取性が良いため、材料歩留まりが良好で、製造コストが安価となる。
【0033】
アウタパッド58の押し付け方向は、アーム部60bに対するパッドクリップ74の取り付け形態に依存する。例えば本実施形態の場合、図6に示すように、プレート本体60aを基点として略V字状に延設されているアーム部60bにおけるロータ半径方向外側に位置する辺を支持部80により挟持し、ベース部76を貫通孔66(66a,66b)に重ね合わせるように取り付けている。このような取り付け形態とした場合、ロータの回入側に配置されたパッドクリップ74は、スライドピン24aに対して、バネ部82をロータ半径方向外側のロータ回出側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24aに対して、ロータ半径方向内側のロータ回入側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66aではロータ半径方向外側のロータ回出側に位置する内周面がスライドピン24aに付勢する。一方、ロータの回出側に配置されたパッドクリップ74は、スライドピン24bに対して、バネ部82をロータ半径方向外側のロータ回入側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24bに対して、ロータ半径方向内側のロータ回出側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66bではロータ半径方向外側のロータ回入側に位置する内周面がスライドピン24bに付勢する(図10参照)。
【0034】
本実施形態では、パッドクリップ74の組付け形態を安定させるために、支持部80の挟持する辺に座65を設け、貫通孔66を構成する円弧部(優弧)の中心Oから座65へ向けて伸ばした直線l(第2の直線)が、座65と垂直に交わるように構成している。このような構成とした場合、図11乃至図13に示すように、円弧部の中心Oを通るロータ半径方向に沿った直線l(第1の直線)と、座65に垂直に交わる直線lとの成す角θを変えることで、パッドクリップ74による付勢力の分力であるF(円周方向)、F(半径方向)の割合を変化させることができる。角度θの変化に伴う分力FとFの関係は、次のようなものとなる。すなわち、θ<45°の場合にはF<Fとなり、円周方向に働く分力よりも半径方向に働く分力が強くなる。また、θ=45°の場合にはF=Fとなり、円周方向に働く分力と半径方向に働く分力とが均衡する。そして、θ>45°の場合には、F>Fとなり、円周方向に働く分力が半径方向に働く分力よりも強くなる。
【0035】
円周方向に働く分力よりも半径方向に働く分力が強い場合には、アウタパッド58の半径方向への移動を抑制する力が強くなる。この結果、アウタパッド58の振動等によって生ずるラトル音を抑制する効果を高めることができる。一方、円周方向に働く分力が半径方向に働く分力よりも強い場合には、アウタパッド58の円周方向への移動を抑制する力が強くなる。この結果、制動時のクロンク音(カチン音)を抑制する効果を高めることができる。そして、F=F、あるいはF≒Fとした場合には、両者の効果を得ることができる。
【0036】
このように、アウタパッド58に対するパッドクリップ74の取り付け辺(座65)の角度を変化させることで、パッドクリップの形態や特性を変更する事無く、アウタパッド58に負荷する付勢力の負荷方向と、その力の割合を調整することができる。
【0037】
また、本実施形態では、アウタパッド58における貫通孔66の形態を次のようなものとしている。すなわち、スライドピン24を押し付ける側の壁面の平面形態を円弧状とし、押し付け側と反対側の壁面を平坦とし、いわゆる円弧と弦を組み合わせた形態としている。なお、本実施形態の場合、円を弦によって分けられる2つの円弧のうち、弧状部が長い方、すなわち優弧と弦を組み合わせた馬蹄形の貫通孔66を構成している。本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、パッドクリップ74によりアウタパッド58をスライドピン24に押し付ける形態を採っている。このため、スライドピン24を押し付けた側と反対側に位置する貫通孔66の壁面とスライドピン24との間には大きな隙間が生ずることとなる。そして、スライドピン24と貫通孔66の壁面との間に必要以上の隙間を設けた場合、スライドピン24と貫通孔66との間でのラトル音が増大する要因となる。よって、その隙間を埋めるように貫通孔66の一部を狭めることで、無用なガタツキを防止し、ラトル音の抑制を成すことができる。
【0038】
このような構成を有するディスクブレーキ装置10によれば、爪部18に嵌着されたアウタパッド58をスライドピン24に対してメタルタッチで支持することとなる。このため、スライドピン24に対してスリーブ34およびブーツ36を介して係止されたキャリパ12の倒れ込みを防止し、ガタツキを抑えることができる。
【0039】
次に、このような構成を有するディスクブレーキ装置10における制動時の動作について説明する。まず、車両運転者が図示しないブレーキペダルやブレーキレバーを操作すると、キャリパ本体14のシリンダに作動油が充填される。シリンダへの作動油の充填に伴い、シリンダ内に収容されているピストン15がロータ側へ押し出される。シリンダから押し出されたピストン15は、サポート38のトルク受け部40に支持されたインナパッド52のプレッシャプレート54を押圧し、インナパッド52におけるライニング56をロータの摺動面に押し付ける。インナパッド52のライニング56がロータに押し付けられると、キャリパ本体14は押し付け力の反力を受け、スライドピン24に沿ってロータから離間するようにスライドする。キャリパ本体14がロータから離間するようにスライドすると、キャリパブリッジ部16によりキャリパ本体14に連接されている爪部18は、ロータ側に引き寄せられるように動作する。爪部18がロータ側に引き寄せられると、爪部18に固定されたアウタパッド58のプレッシャプレートが爪部18により押圧され、スライドピン24に沿ってロータ側へスライドし、ライニング62がロータ摺動面に押し付けられる。
【0040】
上記動作によりインナパッド52とアウタパッド58によりロータ摺動面が挟持されると、摩擦力によりインナパッド52とアウタパッド58は、ロータ回出方向へ連れ回りする力を受ける。この時、インナパッド52はプレッシャプレート54における耳部がサポート38のトルク受け部40に形成された凹部48に当接し、制動時に生ずる制動トルクを受けることで制動力を生じさせる。一方アウタパッド58は、回出側のスライドピン24bと回入側のスライドピン24aの双方により制動トルクを受け、これを車両本体に固定されたサポート38に伝達することで、制動力を生じさせる。なお、上述したように、アウタパッド58における制動トルクは、回出側のスライドピン24bと回入側のスライドピン24aに分散し、入力される。
【0041】
また、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、スライドピン24に対して貫通孔66の半径方向外側に位置する内周面が押し付けられた状態を維持しているため、アウタパッド58が制動トルクを受けた際、引き側(回入側)では、図14に示すように、貫通孔66aにおける円弧状の内周面に沿って(点線、および破線で示した軌跡に沿って)スライドピン24aが移動するようにプレッシャプレート60がずれることとなる。このため、高制動トルク負荷時にスライドピン24aが急激に反対側の壁面に衝突するという事態が生じず、押しアンカから押し+引きアンカへの切り替わりが急激に行われず、除々に切り替わる為、接触変化の安定化が図れる。その結果、制動時のクロンク音(カチン音)が抑制される。また、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、インナパッド52のみをサポート38で保持する形態としたため、サポート38がロータを跨ぐ構成とする必要が無い。このため、アウタ側の凹部形成等のためのサポート38の切削加工時間を短縮することができ、また軽量化が図れる。
【0042】
上記実施形態においては、貫通孔66を構成する優弧の直径をφD、スライドピン24の直径をφdとした場合(図10参照)、φDとφdの差となるΔdが、スライドピン24(上記実施形態の場合スライドピン24b)が弾性変形することにより得られるアウタパッド58のシフト距離よりも短くなるように定める。このような構成とすることで、スライドピン24が弾性変形する範囲で制動トルクの分散が図られることとなる。
【0043】
上記実施形態に係るディスクブレーキ装置10では図15に示すように、制動時にアウタパッド58に生ずる偶力(モーメント)が矢印Aに示す方向に働いている場合を前提として説明した。このような方向にモーメントを生じさせるための手段の一例としては、ロータ中心軸Cからアウタパッド58のモーメント中心までの距離tよりも、ロータ中心軸Cから貫通孔66の中心までの距離tが長い場合の構成を挙げることができ、上記実施形態に係るディスクブレーキ装置10の構成もこれに準じている。このため、上述したようなパッドクリップの組付け構造を採った場合には、後続トルク受けとなる貫通孔66aにおいて、スライドピン24aが予め貫通孔66aにおける押し付け壁面(ロータ半径方向外周側)に押し付けられることとなり、クロンク音(カチン音)の発生を抑制することができる。
【0044】
一方、制動時にアウタパッド58に生ずる偶力(モーメント)が矢印A′に示すように逆向きとなった場合(図16参照)、スライドピン24に対するアウタパッド58の押し付け方向が逆向きとなるようにパッドクリップが装着される(パッドクリップは不図示)。この場合におけるスライドピン24と貫通孔66との関係は、図17に示すようなものとなる。具体的には、ロータの回入側に配置されたパッドクリップ74(図8参照)は、スライドピン24aに対して、バネ部82をロータ半径方向内側のロータ回出側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24aに対して、ロータ半径方向外側のロータ回入側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66aではロータ半径方向内側のロータ回出側に位置する内周面がスライドピン24aに付勢する。一方、ロータの回出側に配置されたパッドクリップ74は、スライドピン24bに対して、バネ部82をロータ半径方向内側のロータ回入側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24bに対して、ロータ半径方向外側のロータ回出側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66bではロータ半径方向内側のロータ回入側に位置する内周面がスライドピン24bに付勢する。このような構成とした場合であっても、第1の直線lと第2の直線lによって成す角θを制御するように座65の角度を調整することで、円周方向に働く分力Fと半径方向に働く分力Fの割合を変化させることができる。つまり、パッドクリップの形態を変化させること無く、その組付け構造の変化のみで対応することが可能となる。
【0045】
このような構成とする場合には、貫通孔66における優弧と弦との関係は、相対的に、優弧がロータ半径方向内側、弦が半径方向外側に位置することとなる。なお、このような方向にモーメントを生じさせるための手段の一例としては、図16に示すように、ロータ中心軸Cからアウタパッド58のモーメント中心までの距離tが、ロータ中心軸Cから貫通孔66の中心までの距離tよりも長い場合の構成を挙げることができる。
【0046】
次に、本発明のパッドクリップの組付け構造を適用することのできるディスクブレーキ装置に係る他の形態について、図18を参照して説明する。なお、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10aの殆どの構成は、上述した実施形態に係るディスクブレーキ装置10と同様である。よって、その構成を同一とする箇所には図面に同一符号を附して詳細な説明は省略することとする。
【0047】
本実施形態に係るディスクブレーキ装置10aは、上述した実施形態に係るディスクブレーキ装置と異なり、アウタパッド58における貫通孔66a,66b間の中心ピッチPとスライドピン24a,24b間の中心ピッチPとの関係が、
<P
となるように構成されている(図19参照)。
【0048】
このような構成のため制動時においては、低制動トルク負荷時には回入側に配置されたスライドピン24aのみが貫通孔66aに接触することとなる。一方、制動トルクが高くなった場合には、回入側に配置されたスライドピン24aが回出側(制動トルク方向)に撓み、回出側に配置されたスライドピン24bが貫通孔66bに接触することとなり、制動トルクの分散が図られる。
【0049】
また、本実施形態では、一対のパッドクリップ74のうちのロータ回入側に配置されたパッドクリップ74(例えば図18参照)は、スライドピン24aに対して、バネ部82をロータ半径方向内側のロータ回入側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24aに対して、ロータ半径方向外側のロータ回出側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66aではロータ半径方向内側のロータ回入側に位置する内周面がスライドピン24aに付勢する。一方、ロータの回出側に配置されたパッドクリップ74は、スライドピン24bに対して、バネ部82をロータ半径方向内側のロータ回出側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24bに対して、ロータ半径方向外側のロータ回入側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66bではロータ半径方向内側のロータ回出側に位置する内周面がスライドピン24bに付勢する(図20参照)。
【0050】
このような作用を成すパッドクリップ74は、上述した第1の実施形態に係るパッドクリップ74と同様な形態のもので良い。第1の実施形態と異なる点は、アウタパッド58に対するパッドクリップ74の取り付け形態にあり、この取り付け形態の相違によって、スライドピン24に対するアウタパッド58の押し付け方向を相違させることができる。具体的には、本実施形態の場合、プレッシャプレート60のアーム部60bにおけるロータ半径方向内側に位置する辺を支持部80により挟持する構成としている。このような構成のディスクブレーキ装置10aでは、上述したディスクブレーキ装置10と比べてアウタパッド58の押し付け方向が逆転することとる。しかし、このような構成とした場合であっても、第1の直線lと第2の直線lによって成す角θを制御するように座65の角度を調整することで、円周方向に働く分力Fと半径方向に働く分力Fの割合を変化させることができ、パッドクリップの形態も変化させる必要は無い。
【0051】
また、貫通孔66とスライドピン24との間における隙間の問題に関しては、上述した第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置10とは逆になる。このため、本実施形態では、貫通孔66におけるロータ半径方向外側に位置する部分に平坦部を設ける構成とした。このような構成とすることで、第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置10と同様な効果を奏することができる。
【0052】
本実施形態に係るディスクブレーキ装置10aでも、図15に示すように、制動時にアウタパッド58に生ずる偶力(モーメント)が矢印Aに示す方向に働いている場合を前提として説明した。このような方向にモーメントを生じさせるための手段の一例としては上述したように、ロータ中心軸Cからアウタパッド58のモーメント中心までの距離tよりも、ロータ中心軸Cから貫通孔66の中心までの距離tが長い場合の構成を挙げることができる。このため、上述したようなパッドクリップの組付け構造を採った場合には、後続トルク受けとなる貫通孔66bにおいて、スライドピン24bが予め貫通孔66bにおける押し付け壁面(ロータ半径方向内周側)に押し付けられることとなり、クロンク音(カチン音)の発生を抑制することができる。
【0053】
一方、制動時にアウタパッド58に生ずる偶力(モーメント)が矢印A′に示すように逆向きとなった場合(図16参照)、スライドピン24に対するアウタパッド58の押し付け方向が逆向きとなるようにパッドクリップが装着される(パッドクリップは不図示)。いわゆる引きアンカの場合、貫通孔66aが制動トルクを受けた後、この貫通孔66aを基点としてアウタパッド58が偶力発生方向に回動することとなるためである。この場合におけるスライドピン24と貫通孔66との関係は、図21に示すようなものとなる。本実施形態と共通な第1の実施形態に係るパッドクリップ74(図8参照)による付勢を例に挙げて説明すると、ロータの回入側に配置されたパッドクリップ74は、スライドピン24aに対して、バネ部82をロータ半径方向外側のロータ回入側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24aに対して、ロータ半径方向内側のロータ回出側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66aではロータ半径方向外側のロータ回入側に位置する内周面がスライドピン24aに付勢する。一方、ロータの回出側に配置されたパッドクリップ74は、スライドピン24bに対して、バネ部82をロータ半径方向外側のロータ回出側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24bに対して、ロータ半径方向内側のロータ回入側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66bではロータ半径方向外側のロータ回出側に位置する内周面がスライドピン24bに付勢する。このような構成とした場合であっても、上記と同様に、第1の直線lと第2の直線lによって成す角θを制御するように座65の角度を調整することで、円周方向に働く分力Fと半径方向に働く分力Fの割合を変化させることができる。
【0054】
図21に示すように、このような構成とする場合には、貫通孔66における優弧と弦との関係は、相対的に、優弧がロータ半径方向外側、弦が半径方向内側に位置することとなる。なお、このような方向にモーメントを生じさせるための手段の一例としては、上記と同様、図16に示すように、ロータ中心軸Cからアウタパッド58のモーメント中心までの距離tが、ロータ中心軸Cから貫通孔66の中心までの距離tよりも長い場合の構成を挙げることができる。
【符号の説明】
【0055】
10………ディスクブレーキ装置、12………キャリパ、14………キャリパ本体、15………ピストン、16………キャリパブリッジ部、18………爪部、20………アーム部、22………貫通孔、24(24a,24b)………スライドピン、26………ボルト頭、28………キャリパ摺動部、30………螺合部、32………アウタパッド摺動部、34………スリーブ、36………ブーツ、38………サポート、40(40a,40b)………トルク受け部、42………ネジ孔、44………取付孔、46………サポートブリッジ部、48………凹部、50………パッドクリップ、52………インナパッド、54………プレッシャプレート、56………ライニング、58………アウタパッド、60………プレッシャプレート、60a………プレート本体、60b………アーム部、62………ライニング、64………凸部、66(66a,66b)………貫通孔、68………第2クリップ、70………基部、72………バネ部、74………パッドクリップ、76………ベース部、78………貫通孔、80………支持部、82………バネ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレッシャプレートに形成された貫通孔を介してディスクブレーキ装置を構成する一対のスライドピンに支承されるブレーキパッドを前記スライドピンに付勢させるパッドクリップの組付け構造であって、
前記パッドクリップは、前記ブレーキパッドを構成するプレッシャプレートを挟持する支持部と、前記プレッシャプレートの板面に沿って配置されるベース部と、前記スライドピンに当接し、付勢力を生じさせるバネ部とを有し、
前記ブレーキパッドには前記パッドクリップの支持部を取り付けるための辺である座を設け、
前記貫通孔を構成する円弧部の中心を通るロータ半径方向に沿った第1の直線と、前記中心を通り前記座に対して垂直に交わる第2の直線との成す角の設定により、前記パッドクリップによる付勢力におけるロータ半径方向とロータ円周方向の分力の割合を変化させる構成としたことを特徴とするパッドクリップの組付け構造。
【請求項2】
前記第1の直線と前記第2の直線との成す角が45度未満となるように前記座の角度を設定することを特徴とする請求項1に記載のパッドクリップの組付け構造。
【請求項3】
前記第1の直線と前記第2の直線との成す角が45度となるように前記座の角度を設定することを特徴とする請求項1に記載のパッドクリップの組付け構造。
【請求項4】
前記第1の直線と前記第2の直線との成す角が45度よりも大きくなるように前記座の角度を設定することを特徴とする請求項1に記載のパッドクリップの組付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−172740(P2012−172740A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33909(P2011−33909)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】