説明

パネルの段差連結構造

【課題】高さの異なるパネル同士を、簡単な手段で、容易に、かつ互いの対向面に隙間が形成されることのないように段差連結する。
【解決手段】高さの高いパネル1における連結側側面の側部フレーム3に、連結孔4を穿設し、この連結孔4に、平板状の固定片8aと、この固定片8aの一端に連設された上向きの押え片8cとからなる連結金具8における前記押え片8cを嵌合し、この押え片8cの内側面を、前記側部フレーム3における連結孔4の上部裏面に圧接させた状態で、前記固定片8aを、高さの低いパネル2の上端面に固着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内を仕切るローパーテイション等の間仕切パネルにおける高さの異なるパネル同士を連結するためのパネルの段差連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高さの異なるパネル同士を連結する際は、両パネルの互いに対向する下端部の側端面同士を、引掛け金具により連結したのち、高さの高いパネルの上端部の側端面と高さの低いパネルの側端部の上端面同士を、L字状の連結金具とねじにより連結する構造のものが一般的に知られている。
【0003】
また、高さの高いパネルの側端面に、上下方向を向くあり溝状断面の係合溝を設け、この係合溝に一端部を上下動可能に係合させた連結部材の水平をなす他端部を、高さの低いパネルの側端部上面にねじにより固定して連結する構造のものもある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−232695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記L字状の連結金具を用いた連結構造では、両方のパネルの取付面に複数のめねじ孔を設け、このめねじ孔に複数のねじを螺合してパネル同士を連結する必要があるため、めねじ孔の加工や連結作業が面倒である。
【0005】
上記連結部材の一端部を高さの高いパネルの側端面の係合溝に係合し、水平をなす他端部を高さの低いパネルの上面にねじ止めした連結構造のものでは、係合溝と連結部材の係合部との間に僅かに隙間が形成されることがある。
【0006】
このようになると、両パネルの対向面間にも若干の隙間が形成されるようになり、見栄えが悪くなったり、連結強度を低下させたりする。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、高さの異なるパネル同士を簡単な手段で容易に連結しうるとともに、パネル同士の対向面間に隙間が形成されることのないようにして、見栄えを向上させるとともに、連結強度を大としうるようにした、パネルの段差連結構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 高さの異なるパネル同士を、互いの側端面を当接させて左右方向に直列状に連結するためのパネルの段差連結構造において、高さの高いパネルにおける連結側側面の側部フレームに、連結孔を穿設し、この連結孔に、平板状の固定片と、この固定片の一端に連設された上向きの押え片とからなる連結金具における前記押え片を嵌合し、この押え片の内側面を、前記側部フレームにおける連結孔の上部裏面に圧接させた状態で、前記固定片を、高さの低いパネルの上端面に固着する。
【0009】
(2) 上記(1)項において、固定片に対する押え片の角度を、90°よりもやや小さい鋭角とし、前記固定片をボルトの締付けにより高さの低いパネルの上端面に固着する際において、前記ボルトの締付け時に、前記押え片を外側方に弾性変形させて、側部フレームの裏面に圧接させることにより、その反力をもって、両パネル同士を引き付け合うようにする。
【0010】
(3) 上記(1)項または(2)項において、固定片と押え片とを、固定片の一端より外側方に延出する、連結孔の開口幅より狭幅の連結片により連結するとともに、前記押え片の幅を、連結孔の開口幅より大きく、上下寸法より小とする。
【0011】
(4) 上記(3)項において、連結片を、側部フレームの側端面に設けた凹溝内に嵌合するとともに、前記凹溝の奥面に、押え片が嵌合される連結孔を穿設する。
【0012】
(5) 上記(4)項において、固定片の幅を側部フレームの凹溝よりも大とし、固定片と連結片との連設部に形成された段部の側端を、側部フレームにおける凹溝を挟む両側面に当接するようにする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、高さの高いパネルの側部フレームの側端面には、連結金具の押え片が嵌合する連結孔を設けるのみでよいため、めねじ孔やねじ止め作業が不要となり、高さの異なるパネル同士を容易に段差連結することができる。
また、連結金具の押え片の内側面を、側部フレームにおける連結孔の上部裏面に圧接させた状態で、固定片を、高さの低いパネルの上端面に固着しているので、両パネルの側端面間に隙間が形成される恐れは小さく、見栄えを向上させうるとともに、連結強度も大となる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、押え片を外側方に弾性変形させて、両パネル同士を引き付け合うようにすることにより、両パネルの側端面間に隙間が形成されるのが防止されるとともに、両パネルの連結強度はより大となり、前後方向にぐらつくのが防止される。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、連結金具を、水平としたままの状態で、その固定片の上下の面がほぼ垂直となるように90°向きを変え、かつ固定片を前後方向を向くようにすると、押え片を連結孔に嵌合することができ、さらに、嵌合状態において固定片を上方に垂直位置まで回動させたのち、下向きに回動させることにより、押え片の連結孔よりの抜け止めがなされる。
また、この状態において固定片をボルトにより低い方のパネルの上端面に締付けると、連結孔の開口幅より大とした押え片の内側面が、側部フレームにおける連結孔の上部裏面に広い面積で圧接するため、両パネルの連結強度はさらに高まる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、連結片が側部フレームの側端面の凹溝に嵌合されているので、両パネルに前後方向の外力が加わってもぐらつく恐れはない。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、連結金具の固定片を、側部フレームの外側方に突出した状態で保持しうるので、固定片を、高さの低いパネルの上端面に固着する作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用したローパーテイションの一部の斜視図で、ハイパネル(1)の右方の側端面に、ローパネル(2)が段差連結されている。
【0019】
図2は、段差連結部、すなわち図1の(A)部の拡大斜視図、図3は、同じく分解斜視図を示すもので、ハイパネル(1)における連結側側面である右側面には、上下方向を向く側部フレーム(3)が取付けられ、その側片(3a)の中央には、平面視外向コ字状断面をなすように内向きに凹ませた凹条部(3b)が、上下方向に全長に亘って形成されている。
【0020】
凹条部(3b)の凹溝(3c)の奥面におけるローパネル(2)の上端部と対向する付近には、方形をなす連結孔(4)が穿設されている。
【0021】
ローパネル(2)の上面には、ほぼ上向コ字状断面をなす上部フレーム(5)が取付けられ、またハイパネル(1)の連結側側面である左側面には、上記ハイパネル(1)の側部フレーム(3)と等幅をなす側部フレーム(6)が取付けられている。
【0022】
側部フレーム(6)の側片(6a)の中央にも、図4に示すように、上記凹条部(3b)と反対方向に平面視コ字状をなすように内向きに凹ませた凹条部(6b)が形成されている。この凹条部(6b)と側片(6a)の一部の上端部は、後記する連結金具(8)が嵌合されるとともに、その下面を支持しうるように、切欠いてあり、側面視上向コ字状の凹部(7)が形成されている。なお、凹部(7)の上端は、上部フレーム(5)の凹部の上面とほぼ等高をなすとともに、連結孔(4)の上端よりもやや下方に位置するようにしてある。
【0023】
(8)は、連結金具で、例えば厚さが4.5mmの厚肉の鋼板により、細長平板状に形成された固定片(8a)と、その一端よりほぼ水平な連結片(8b)を介して起立する短寸の押え片(8c)とからなっている。固定片(8a)の幅(前後寸法)は、凹条部(3b)の凹溝(3c)の溝幅よりも大とされている。
【0024】
連結片(8b)の幅は、凹条部(3b)の凹溝(3c)に嵌合されるように、その溝幅と同等もしくは若干小さく、かつ上記ハイパネル(1)の側部フレーム(3)に穿設した連結孔(4)を挿通しうるように、その開口幅よりも僅かに小とされている。また、押え片(8c)の上端部の最大幅は、連結片(8b)及び連結孔(4)の幅よりも大きく、かつ連結孔(4)の上下寸法よりは小とされている。
【0025】
このようにすると、図5に示すように、連結金具(8)を水平としたまま、その固定片(8a)の上下の面がほぼ垂直となるように90°向きを変えた状態で、固定片(8a)を後方(前方でもよい)に向けたとき、押え片(8c)を連結孔(4)に挿入することができ、また押え片(8c)を連結孔(4)に挿入した状態で、矢印のように、連結金具(8)を上向きに垂直位置まで回動させたのち、図6に示すように下向きに回動させると、連結片(8b)がほぼ水平をなして連結孔(4)より外方に突出するとともに、押え片(8c)が連結孔(4)の開口部の裏面に係合することにより、連結孔(4)よりの抜け止めがなされる。
【0026】
また、図6の状態としたときには、固定片(8a)と連結片(8b)との連設部に形成された前後の段部(8d)(8d)の側端面が、側部フレーム(3)の側片(3a)における凹溝(3c)を挟む前後の両側面に当接することにより、連結金具(8)は、水平位置よりもやや下傾した状態で係止保持されるようになっている。
【0027】
連結金具(8)における固定片(8a)に対する押え片(8c)の曲げ角度は、90°よりも若干小さい鋭角(例えば85〜89°)としてある。
【0028】
次に、ハイパネル(1)とローパネル(2)とを連結する手順について説明する。
まず、図7に示すように、ハイパネル(1)における側部フレーム(3)の側端面の下端部に、上向鉤状の係止金具(9)を取付け、この係止金具(9)に、ローパネル(2)の側部フレーム(6)の下部側端面に穿設された係合孔(図示略)を、上方より引っ掛けて係止する。
【0029】
ついで、ハイパネル(1)の側部フレーム(3)の連結孔(4)に、連結金具(8)の押え片(8c)を、上述した図5及び図6に示す要領で係止する。
【0030】
ついで、ハイパネル(1)の側部フレーム(3)の側端面に、ローパネル(2)の側部フレーム(6)の側端面を当接させるとともに、連結金具(8)の固定片(8a)を、ローパネル(2)の上部フレーム(5)内に位置させる。
【0031】
図8は、この状態を示す縦断正面図で、固定片(8a)における押え片(8c)側の端部下面が、ローパネル(2)の側部フレーム(6)の上端部に形成した凹部(7)内において、凹条部(6b)の上端に当接して支持されることにより、押え片(8c)の上部の右側面(内側面)が、連結孔(4)の上部裏面に面接触する。
【0032】
これにより、連結金具(8)は、押え片(8c)を鋭角をなすように折曲してあるため、水平位置よりも若干上向きに傾斜した状態となり、ローパネル(2)における上部フレーム(5)の底片(5a)の上面と固定片(8a)との間には、若干の隙間が形成される。
【0033】
なお、この際、凹部(7)の上端を若干下方に位置させて、固定片(8a)の下面を、上部フレーム(5)における底片(5a)の側端の上面、もしくはそれらの両方に当接させるようにしてもよい。
【0034】
この状態において、図9に示すように、固定片(8a)と上部フレーム(5)の底片(5a)とに穿設された左右2個ずつの挿通孔(10)(10)に、六角孔付きボルト(11)(11)を上方より挿入し、ローパネル(2)の本体上面に形成されためねじ(12)(12)に螺合して締付けることにより、両パネル(1)(2)同士は容易に段差連結される。
【0035】
この連結時に、固定片(8a)が、上部フレーム(5)の底片(5a)の上面に密着するとともに、押え片(8c)が、その狭幅をなす基部を中心としてハイパネル(1)側に強制的に弾性変形させられ、その際の反力が、ハイパネル(1)とローパネル(2)とに互いに引き付け合う方向の力として作用することにより、両パネル(1)(2)同士の連結強度は大となる。
【0036】
また、両パネル(1)(2)の側部フレーム(3)(6)の対向面同士が強く当接し合うため、それらの対向面間に隙間が形成される恐れはなく、見栄えが向上する。
【0037】
さらに、連結孔(4)の開口幅よりも大とされ、かつ若干鋭角に折曲した押え片(8c)が、ハイパネル(1)側である外側方に弾性変形することにより、側部フレーム(3)の凹条部(3b)における連結孔(4)の上部裏面と広い面積で面接触するようになるため、両パネル(1)(2)に前後方向の外力が加わっても、それらがぐらついたり、押え片(8c)が当接している部分の側部フレーム(3)が変形したりするのが防止される。
【0038】
すなわち、もし、押え片(8c)の固定片(8a)に対する角度を、90°以上の鈍角をなすものとすると、押え片(8c)が外側方に弾性変形した際に、固定片(8c)に対する押え片(8c)の角度がさらに大きい鈍角をなすようになり、凹条部(3b)の裏面と面接触しなくなるため、上記のような効果は得られない。
【0039】
さらにまた、連結片(8b)は、側部フレーム(3)の凹溝(3c)内に嵌合されているため、両パネル(1)(2)の前後方向へのぐらつき防止効果がより大となる。
【0040】
なお、上述の手順で両パネル(1)(2)同士を段差連結した後、ハイパネル(1)におけるローパネル(2)よりも上方の側部フレーム(3)の側端面と、ローパネル(2)の上部フレーム(5)の上端面とには、目隠し用のカバー(図示略)が止着される。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0042】
上記実施形態の側部フレーム(3)は、凹条部(3b)を有し、その凹溝(3c)の奥面に、連結金具(8)の押え片(3c)が嵌合される連結孔(4)を穿設してあるが、側部フレーム(3)の外端面をフラットなものとし、それに連結孔を穿設してもよい。この際には、連結金具(8)の連結片(8b)を省略し、押え片(8c)を、固定片(8a)の一端に直接連設すればよい。
【0043】
また、上記実施形態では、押え片(8c)の幅(前後寸法)を、連結孔(4)の開口幅及び連結片(8b)の幅よりも大としているが、それらの幅をほぼ等しくし、押え片(8c)を、ハイパネル(1)と対向させて、その側方より連結孔(4)に直接嵌合させうるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を適用して連結された高さの異なるパネル同士の斜視図である。
【図2】図1のA部の拡大斜視図である。
【図3】同じく、段差連結する前のA部の分解斜視図である。
【図4】ローパネルの連結側の上部の斜視図である。
【図5】ハイパネルの連結孔への連結金具を取付ける際の第1手順を示す斜視図である。
【図6】同じく第2手順を示す斜視図である。
【図7】ハイパネルとローパネルの下端部同士の連結要領を示す正面図である。
【図8】ハイパネルとローパネルの段差連結部の連結金具締付け前の縦断正面図である。
【図9】同じく、連結金具締付け後の段差連結部の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0045】
(1)ハイパネル
(2)ローパネル
(3)側部フレーム
(3a)側片
(3b)凹条部
(3c)凹溝
(4)連結孔
(5)上部フレーム
(5a)底片
(6)側部フレーム
(6a)側片
(6b)凹条部
(7)凹部
(8)連結金具
(8a)固定片
(8b)連結片
(8c)押え片
(8d)段部
(9)係止金具
(10)挿通孔
(11)ボルト
(12)めねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さの異なるパネル同士を、互いの側端面を当接させて左右方向に直列状に連結するためのパネルの段差連結構造において、高さの高いパネルにおける連結側側面の側部フレームに、連結孔を穿設し、この連結孔に、平板状の固定片と、この固定片の一端に連設された上向きの押え片とからなる連結金具における前記押え片を嵌合し、この押え片の内側面を、前記側部フレームにおける連結孔の上部裏面に圧接させた状態で、前記固定片を、高さの低いパネルの上端面に固着したことを特徴とするパネルの段差連結構造。
【請求項2】
固定片に対する押え片の角度を、90°よりもやや小さい鋭角とし、前記固定片をボルトの締付けにより高さの低いパネルの上端面に固着する際において、前記ボルトの締付け時に、前記押え片を外側方に弾性変形させて、側部フレームの裏面に圧接させることにより、その反力をもって、両パネル同士を引き付け合うようにした請求項1記載のパネルの段差連結構造。
【請求項3】
固定片と押え片とを、固定片の一端より外側方に延出する、連結孔の開口幅より狭幅の連結片により連結するとともに、前記押え片の幅を、連結孔の開口幅より大きく、上下寸法より小としてなる請求項1または2記載のパネルの段差連結構造。
【請求項4】
連結片を、側部フレームの側端面に設けた凹溝内に嵌合するとともに、前記凹溝の奥面に、押え片が嵌合される連結孔を穿設してなる請求項3記載のパネルの段差連結構造。
【請求項5】
固定片の幅を側部フレームの凹溝よりも大とし、固定片と連結片との連設部に形成された段部の側端を、側部フレームにおける凹溝を挟む両側面に当接するようにしてなる請求項4記載のパネルの段差連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−247243(P2007−247243A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71320(P2006−71320)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)