説明

パネル収容ケース

【課題】設備費を抑えつつ、様々なサイズの複数枚のパネルを収容することが可能なパネル収容ケースを提供する。
【解決手段】複数枚のパネルPを互いに間隔をあけて保持した状態に収容するパネル収容ケース10であって、上部が開口部とされ、内部がパネルPの収容空間とされた有底のケース本体20と、ケース本体20の上部に被せられてケース本体20の開口部を塞ぐ蓋体と、パネルPの側縁部を係合可能な上下方向に沿う複数の保持溝61が間隔をあけて形成された一対の溝ユニット53と、一対の溝ユニット53をケース本体20内における対向位置に保持することにより保持溝61同士を対向させてパネルPの両側縁部を係合可能とする保持ユニット81とを備え、一対の溝ユニット53は、保持ユニット81によって、互いの間隔が調整可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等の各種のパネルを複数枚収容するパネル収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどに用いられるガラス基板等のパネルは、専用のケースに複数枚収容されて搬送される。
【0003】
このようなケースとしては、相対向する内壁に側部支持溝を有する発泡ボックス本体と、発泡ボックス本体の上部開口を閉じる発泡蓋部材とを備え、相対向する内壁の側部支持溝にパネルの縁部を入れて複数枚のパネルを、間隔をあけて収容するものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−8194号公報
【特許文献2】特開平7−132986号公報
【特許文献3】特開2004−51131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ディスプレイは、多品種・小ロットで生産されることが多く、このため、ディスプレイに用いられるパネルも様々なサイズとなる。しかし、上記のケースは、同一サイズのパネルを収容するものであるので、それぞれのサイズに対応した複数種類の専用のケースを用意しなければならず、設備費が嵩んでいた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、設備費を抑えつつ、様々なサイズの複数枚のパネルを収容することが可能なパネル収容ケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のパネル収容ケースは、複数枚のパネルを互いに間隔をあけて保持した状態に収容するパネル収容ケースであって、
上部が開口部とされ、内部が前記パネルの収容空間とされた有底のケース本体と、該ケース本体の上部に被せられて前記ケース本体の開口部を塞ぐ蓋体と、前記パネルの側縁部を係合可能な上下方向に沿う複数の保持溝が間隔をあけて形成された一対の溝ユニットと、該一対の溝ユニットを前記ケース本体内における対向位置に保持することにより前記保持溝同士を対向させて前記パネルの両側縁部を係合可能とする保持ユニットとを備え、
前記一対の溝ユニットは、前記保持ユニットによって、互いの間隔が調整可能とされていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、溝ユニットの間隔を調整することで、様々なサイズのパネルを複数枚収容することができる。これにより、多品種・小ロットで生産されることが多いディスプレイの製造現場でのパネル搬送用のケースとして好適なものとすることができる。また、サイズに対応した専用のケースを用意する必要がなくなり、設備費の削減を図ることができる。
【0009】
本発明のパネル収容ケースにおいて、前記一対の溝ユニットは、前記ケース本体に対して着脱可能であっても良い。
【0010】
この構成によれば、パネルの側縁部を保持する保持溝を有する溝ユニットが着脱可能であるので、保持溝が汚れた場合でも、ケース全体を洗浄するような煩雑な洗浄作業を行うことなく、溝ユニットだけをケース本体から取り外して容易に洗浄することができ、これにより、常に清浄な溝ユニットでパネルを保持することができる。しかも、損傷し易い保持溝を有する溝ユニットが着脱可能であるので、保持溝が損傷した場合あるいはパネルの保持ピッチや厚さが変更となっても、ケース全体を交換することなく、新たな溝ユニットあるいは異なるピッチや幅寸法の保持溝を有する溝ユニットに交換することで容易に対処することができ、設備費を抑えることができる。また、保持溝を有することにより複雑形状となる溝ユニットが着脱可能であるので、ケース本体を単純形状とすることができ、成型用の金型の単純化及び製造の容易化により、大幅なコストダウン及び製作期間の短縮化を図ることができる。
【0011】
本発明のパネル収容ケースにおいて、前記ケース本体及び前記蓋体は、六角形状に形成された複数のセルを平面状に配列して一体化させたコア材と、該コア材の表裏を覆う平面板とからなるハニカムパネルから形成されていても良い。
【0012】
この構成によれば、軽量かつ高強度なハニカムパネルを用いているので、ケース全体の軽量化及び高強度化を図ることができる。これにより、強度を要する大型サイズのパネルの収容ケースとして好適なものとすることができ、しかも、大型サイズのパネルを収容するために大型化してもケース自体の重量を極力抑えることができる。また、外力や外部からの衝撃に対しても十分な耐久性を確保することができる。
【0013】
本発明のパネル収容ケースにおいて、前記ケース本体及び前記蓋体は、内面側を構成する内殻と、外面側を構成する外殻とからなる二重構造を有し、少なくとも前記内殻がガスバリア性を有するものでも良い。
【0014】
この構成によれば、内殻と外殻との二重構造であるので、強度をさらに高めることができる。特に、内殻と外殻との間に隙間を持たせれば、収容空間内のパネルに対する緩衝距離を確保することができ、外力や外部からの衝撃を吸収してパネルへの影響を極力抑えることができる。また、少なくとも内殻がガスバリア性を有するので、マスクガラス等のガスバリア性を要するパネルの収容・搬送用として好適なものとすることができる。
【0015】
本発明のパネル収容ケースにおいて、前記保持溝は、その開口縁部が、底部へ向かって次第に窄まるテーパ形状とされていても良い。
【0016】
この構成によれば、保持溝へパネルの側縁部を挿入する際に、テーパ形状とされた保持溝の開口縁部によってパネルの側縁部が円滑に案内される。これにより、収容空間へのパネルの収容作業の容易化を図ることができる。
【0017】
本発明のパネル収容ケースにおいて、前記保持溝は、その深さ寸法が3mm以上であっても良い。
【0018】
この構成によれば、パネルの側縁部を保持溝によって確実に係合して保持することができ、搬送時にもガタつきなく良好な収容状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のパネル収容ケースによれば、設備費を抑えつつ、様々なサイズの複数枚のパネルを収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係るパネル収容ケースの斜視図である。
【図2】実施形態に係るパネル収容ケースを構成するケース本体の上面側から視た図である。
【図3】実施形態に係るパネル収容ケースの縦断面図である。
【図4】ケース本体及び蓋体を構成する外殻に用いられるハニカムパネルの斜視図である。
【図5】パネル収容ケースのパネル支持部付近における横断面図である。
【図6】ケース本体の内部構成を示す斜視図である。
【図7】パネル支持部の構成部品の斜視図である。
【図8】小型サイズのパネルを収容したパネル収容ケースの縦断面図である。
【図9】小型サイズのパネルを収容したパネル収容ケースのパネル支持部付近における横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るパネル収容ケースの実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は実施形態に係るパネル収容ケースの斜視図、図2は実施形態に係るパネル収容ケースを構成するケース本体の上面側から視た図、図3は実施形態に係るパネル収容ケースの縦断面図、図4はケース本体及び蓋体を構成する外殻に用いられるハニカムパネルの斜視図、図5はパネル収容ケースのパネル支持部付近における横断面図、図6はケース本体の内部構成を示す斜視図、図7はパネル支持部の構成部品の斜視図である。
【0023】
図1から図3に示すように、本実施形態に係るパネル収容ケース10は、その内部に、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどに用いられるガラス基板等のパネルPを複数枚収容するもので、直方体形状に形成されている。このパネル収容ケース10は、ケース本体20と蓋体30とを有している。ケース本体20は、上部が開口された有底の箱状に形成されており、蓋体30は、ケース本体20の上部に着脱可能とされている。そして、この蓋体30をケース本体20に被せるように装着することにより、ケース本体20の上部の開口部20aが閉鎖される。
【0024】
ケース本体20は、底板部21と、この底板部21の両側縁に連設された側板部22と、底板部21の両端縁に連設された端板部23とを有しており、これらの底板部21、側板部22及び端板部23によって囲われた内部が、収容空間とされている。
【0025】
ケース本体20は、内面側を構成する内殻25と、外面側を構成する外殻26とを有する二重構造とされている。ケース本体20の上部の開口部20aでは、内殻25が上方へ突出されている。
【0026】
蓋体30は、上板部31と、この上板部31の両側縁に連設された側板部32と、上板部31の両端縁に連設された端板部33とを有している。
【0027】
蓋体30も、内面側を構成する内殻35と、外面側を構成する外殻36とを有する二重構造とされている。蓋体30の下部の開口部30aでは、外殻36が下方へ突出されている。
【0028】
そして、このケース本体20の上部に蓋体30を被せて装着すると、ケース本体20の上部で上方へ突出した内殻25が、蓋体30の下部で下方へ突出された外殻36の内側へ入り込み、これにより、ケース本体20の開口部20aを塞ぐように、蓋体30が装着される。そして、このように、ケース本体20に蓋体30を被せて装着すると、ケース本体20の内殻25と蓋体30の外殻36とが厚さ方向に重なり、よって、パネル収容ケース10内が密閉される。
【0029】
外殻26,36には、軽量かつ高強度のハニカムパネルが用いられる。このハニカムパネルは、図4に示すように、六角形状に形成された複数のセル41を平面状に配列して一体化させたコア材42を有しており、このコア材42の表裏が平面板43で覆われた構造を有している。そして、外殻26,36は、ハニカムパネルを箱状に折り曲げたり、互いに接合することにより形成されている。なお、ハニカムパネルは、ケース本体20及び蓋体30の角部以外の箇所で熱溶着されて隙間なく接合されている。
【0030】
ケース本体20及び蓋体30を構成する内殻25,35及び外殻26,36は、熱可塑性樹脂からなるもので、それぞれ優れたガスバリア性及び静電性を有している。なお、ガスバリア性は、内殻25,35だけが有していても良い。
【0031】
図5から図7に示すように、ケース本体20の収容空間には、両端側に、パネル支持部50が設けられている。このパネル支持部50は、パネル保持溝部材51とバックアップ材52とからなる溝ユニット53を有しており、これらの溝ユニット53は、ケース本体20に対して着脱可能とされている。また、この溝ユニット53と端板部23との間には、スペーサ55が設けられており、このスペーサ55によって、溝ユニット53と端板部23との隙間が塞がれている。
【0032】
溝ユニット53を構成するパネル保持溝部材51は、収容空間の内部側の面に、上下方向に沿う複数の保持溝61を有している。これらの保持溝61は、所定ピッチをあけて配列されている。そして、互いに対向するパネル保持溝部材51の互いに対向する保持溝61に、パネルPの両側縁部が挿入される。これにより、パネルPは、その両側縁部が互いに対向するパネル保持溝部材51の保持溝61に係合され、よって、複数枚のパネルPがケース本体20の収容空間内に間隔をあけて保持されて収容される。
【0033】
パネル保持溝部材51の保持溝61のピッチは、パネルPの仕様に応じて設定されており、例えば、5mm〜10mmの範囲で設定される。なお、大型サイズのパネルPでは、50mm程度のピッチとされる場合もある。また、保持溝61の幅寸法は、パネルPの厚さに応じて設定される。
【0034】
パネル保持溝部材51の保持溝61の深さ寸法は、保持するパネルPが外れない深さ寸法とされており、3mm以上とするのが好ましい。また、各保持溝61は、その開口縁部が、それぞれの保持溝61の底部へ向かって次第に窄まるテーパ形状とされており、これにより、保持溝61へパネルPの側縁部を容易に挿入することができるようになっている。
【0035】
パネル保持溝部材51は、真空成型あるいは圧空成型等で成型された樹脂シート部材からなるもので、この樹脂シート部材には、摩擦係数が小さく、耐摩耗性及び自己潤滑性に優れ、パネルPとの接触による発塵を抑える樹脂材料が用いられている。このような樹脂材料としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリオキシメチレン(POM)、非晶質ポリエチレンテレフタレートシート(A−PET)、ポリカーボネート(PC)などを用いるのが好ましい。これらの樹脂でパネル保持溝部材51を成型すれば、一般的に用いられるポリプロピレン(PP)から成型した場合と比較して、発塵を抑制することができ、また、パネルPからの色転写や汚れの付着を抑制することができる。これにより、パネル保持溝部材51に転写した色や付着した汚れが次に保持するパネルPへ再転写したり再付着するような不具合もなくすことができる。
【0036】
また、パネル保持溝部材51には、収容空間の内部側の面における両側部近傍に、上下方向へわたって、発泡プラスチック等の弾性材料からなるクッション材63が貼り付けられている。
【0037】
溝ユニット53を構成するバックアップ材52は、化学架橋導電性もしくは静電性を有する樹脂発泡体等の弾性材料から形成されたもので、パネル保持溝部材51の裏側に配設されてパネル保持溝部材51を支持する。
【0038】
このバックアップ材52は、パネル保持溝部材51側に、複数の突条部65を有しており、これらの突条部65が、パネル保持溝部材51の保持溝61の間に配置され、パネルPの側縁部を係合する保持溝61を支持している。
【0039】
このバックアップ材52としては、例えば発泡合成樹脂等、更にその一例として発泡ポリスチレン (EPS)から成型されている。このバックアップ材52は、金型によって成型しても良く、また、板状の発泡ポリスチレンのブロックから削り出して形成しても良い。
【0040】
溝ユニット53と端板部23との隙間に設けられたスペーサ55は、バックアップ材52と同様に、化学架橋導電性もしくは静電性を有する樹脂発泡体等の弾性材料から形成されたものである。このスペーサ55も、例えば発泡合成樹脂等、更にその一例として発泡ポリスチレン (EPS)から成型されている。
【0041】
そして、バックアップ材52及びスペーサ55の弾性変形後の復元力によってパネル保持溝部材51がパネルP側へ押圧され、よって、パネル保持溝部材51の保持溝61に保持されたパネルPが、揺れやガタつきなく確実に保持される。
【0042】
また、図3に示すように、ケース本体20の底部及び蓋体30の天井部には、それぞれクッション材71が設けられている。これらのクッション材71も、バックアップ材52やスペーサ55と同様に、化学架橋導電性もしくは静電性を有する樹脂発泡体等の弾性材料から形成されたもので、例えば発泡合成樹脂等、更にその一例として発泡ポリスチレン (EPS)から成型されている。
【0043】
ケース本体20の側板部22の内面には、互いに対向する位置に、保持ユニット81が設けられている。これらの保持ユニット81は、側板部22の内面に固定されたベースプレート82と、このベースプレート82を介して側板部22に固定されるガイドプレート83とを有しており、これらのベースプレート82及びガイドプレート83は、固定ビス84で側板部22に固定される。
【0044】
そして、ケース本体20には、ガイドプレート83と端板部23との間に、溝ユニット53及びスペーサ55が上方から挿し込まれ、これにより、溝ユニット53及びスペーサ55がケース本体20における両端に保持される。
【0045】
ガイドプレート83には、固定ビス84が螺合可能な複数のネジ孔85が形成されており、これらのネジ孔85は、その位置がガイドプレート83の幅方向にずらされている。これにより、ガイドプレート83は、固定ビス84を螺合させるネジ孔85を変更することにより、側板部22に対して、その固定位置が、側板部22に沿って水平方向へ変更可能とされている。
【0046】
このように、ガイドプレート83の固定位置を変更することで、このガイドプレート83と端板部23との間に保持される溝ユニット53の保持位置が変更される。
【0047】
そして、ガイドプレート83の固定位置を変更することにより、幅寸法の異なる複数種類のパネルPを溝ユニット53の互いに対向する保持溝61に係合させて保持させることができる。このように、ガイドプレート83の固定位置を変更することで、例えば、第1世代基板の横寸法300mmから第3世代基板の横寸法550mmに対応することが可能である。具体的には、300mm、320mm、350mm、370mm、380mm、400mm、410mm…というように、異なるパネルPの横寸法に対応することができる。なお、ガイドプレート83の固定位置の変更は、固定ビス84をねじ込むネジ孔85を選択する構造に限らず、例えば、ラッチ機構によってガイドプレート83の固定位置を変更できるようにしても良い。
【0048】
このように、ガイドプレート83の固定位置を変更して溝ユニット53の保持位置を変更すると、この溝ユニット53の保持位置の変更に伴って、溝ユニット53と端板部23との隙間が変動する。したがって、この隙間へ挿入するスペーサ55としては、その隙間の寸法に合わせて用意した厚さ寸法のものを選択して用いる。
【0049】
上記構成のパネル収容ケース10に複数枚のパネルPを収容させるには、ケース本体20の収容空間内に、互いに対向する溝ユニット53を構成するパネル保持溝部材51の互いに対向する保持溝61に両側縁部を挿入させながらパネルPを入れる。これにより、互いに対向する保持溝61に両側縁部が係合されたパネルPが間隔をあけて収容される。その後、ケース本体20の上部に、蓋本体30を被せて装着し、収容空間内を密閉する。すると、各パネルPがクッション材71によって上下から挟持され、上下方向にも確実に保持される。
【0050】
図8及び図9は、小型サイズのパネルPを収容した状態を示している。図8及び図9に示すように、小型サイズのパネルPを収容させる場合は、ガイドプレート83の固定位置を調整することにより、互いに対向する溝ユニット53を、パネルPの横寸法に合わせて近づける。また、溝ユニット53の保持位置の変更に伴って、溝ユニット53と端板部23との隙間が広くなるため、この隙間に対応する厚めのスペーサ55を挿入する。また、小型サイズのパネルPは、横寸法だけでなく縦寸法も小さいため、ケース本体20の底部におけるクッション材71と底板部21との間に、高さ調整スペーサ72を入れる。この高さ調整スペーサ72も、化学架橋導電性もしくは静電性を有する樹脂発泡体等の弾性材料から形成されたものであり、例えば発泡合成樹脂等、更にその一例として発泡ポリスチレン (EPS)から成型されている。
【0051】
その後、ケース本体20の収容空間内に、互いに対向する溝ユニット53を構成するパネル保持溝部材51の互いに対向する保持溝61に両側縁部を挿入させながらパネルPを入れる。これにより、互いに対向する保持溝61に両側縁部が係合されたパネルPが間隔をあけて収容される。その後、ケース本体20の上部に、蓋本体30を被せて装着し、収容空間内を密閉する。すると、各パネルPがクッション材71によって上下から挟持され、上下方向にも確実に保持される。
【0052】
以上、説明したように、上記実施形態に係るパネル収容ケースによれば、溝ユニット53の間隔を調整することで、様々なサイズのパネルPを複数枚収容することができる。これにより、多品種・小ロットで生産されることが多いディスプレイの製造現場でのパネル搬送用のケースとして好適なものとすることができる。また、サイズに対応した専用のケースを用意する必要がなくなり、設備費の削減を図ることができる。
【0053】
また、パネルPの側縁部を保持する保持溝61を有するパネル保持溝部材51とバックアップ材52とからなる溝ユニット53が着脱可能であるので、保持溝61が汚れた場合でも、ケース全体を洗浄するような煩雑な洗浄作業を行うことなく、溝ユニット53をケース本体20から取り外して容易に洗浄することができ、これにより、常に清浄な溝ユニット53でパネルPを保持することができる。しかも、損傷し易い保持溝61が形成されたパネル保持溝部材51を有する溝ユニット53が着脱可能であるので、保持溝61が損傷した場合あるいはパネルPの保持ピッチや厚さが変更となっても、ケース全体を交換することなく、新たな溝ユニット53あるいは異なるピッチや幅寸法の保持溝61を有する溝ユニット53に交換することで対処することができ、設備費を抑えることができる。また、保持溝61を有することにより複雑形状となる溝ユニット53が着脱可能であるので、ケース本体20を単純形状とすることができ、成型用の金型の単純化及び製造の容易化により、大幅なコストダウン及び製作期間の短縮化を図ることができる。
【0054】
また、軽量かつ高強度なハニカムパネルを用いているので、ケース全体の軽量化及び高強度化を図ることができる。これにより、強度を要する大型サイズのパネルPの収容ケースとして好適なものとすることができ、しかも、大型サイズのパネルPを収容するために大型化してもケース自体の重量を極力抑えることができる。また、外力や外部からの衝撃に対しても十分な耐久性を確保することができる。
【0055】
しかも、内殻25,35と外殻26,36との二重構造であるので、強度をさらに高めることができる。特に、内殻25,35と外殻26,36との間に隙間を持たせれば、収容空間内のパネルPに対する緩衝距離を確保することができ、外力や外部からの衝撃を吸収してパネルPへの影響を極力抑えることができる。また、内殻25,35及び外殻26,36がガスバリア性を有するので、マスクガラス等のガスバリア性を要するパネルPの収容・搬送用として好適なものとすることができる。
【0056】
また、保持溝61へパネルPの側縁部を挿入する際に、テーパ形状とされた保持溝61の開口縁部によってパネルPの側縁部が円滑に案内される。これにより、ケース本体20の収容空間へのパネルPの収容作業の容易化を図ることができる。
【0057】
さらに、保持溝61の深さ寸法が3mm以上であるので、パネルPの側縁部を保持溝61によって確実に係合して保持することができ、搬送時にもガタつきなく良好な収容状態を維持することができる。
【符号の説明】
【0058】
10…パネル収容ケース、20…ケース本体、20a…開口部、25,35…内殻、26,36…外殻、30…蓋体、41…セル、42…コア材、43…平面板、53…溝ユニット、61…保持溝、81…保持ユニット、P…パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のパネルを互いに間隔をあけて保持した状態に収容するパネル収容ケースであって、
上部が開口部とされ、内部が前記パネルの収容空間とされた有底のケース本体と、該ケース本体の上部に被せられて前記ケース本体の開口部を塞ぐ蓋体と、前記パネルの側縁部を係合可能な上下方向に沿う複数の保持溝が間隔をあけて形成された一対の溝ユニットと、該一対の溝ユニットを前記ケース本体内における対向位置に保持することにより前記保持溝同士を対向させて前記パネルの両側縁部を係合可能とする保持ユニットとを備え、
前記一対の溝ユニットは、前記保持ユニットによって、互いの間隔が調整可能とされていることを特徴とするパネル収容ケース。
【請求項2】
前記一対の溝ユニットは、前記ケース本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載のパネル収容ケース。
【請求項3】
前記ケース本体及び前記蓋体は、六角形状に形成された複数のセルを平面状に配列して一体化させたコア材と、該コア材の表裏を覆う平面板とからなるハニカムパネルから形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネル収容ケース。
【請求項4】
前記ケース本体及び前記蓋体は、内面側を構成する内殻と、外面側を構成する外殻とからなる二重構造を有し、少なくとも前記内殻がガスバリア性を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のパネル収容ケース。
【請求項5】
前記保持溝は、その開口縁部が、底部へ向かって次第に窄まるテーパ形状とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のパネル収容ケース。
【請求項6】
前記保持溝は、その深さ寸法が3mm以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のパネル収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−188146(P2012−188146A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53832(P2011−53832)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】