説明

パネル固定金具

【課題】 屋根の取り付け位置の自由度が高く、パネルの取り付け高さを揃えることが容易であるパネルの固定具を提供する。
【解決手段】 中空アンカー21とシート状のシール部材30を有する取付部材2によって野地板103上に取り付けられ、屋根の上にパネル部材101を固定するパネル固定具である。固定具1は、野地板103上に配置される取付脚4と平板状の天板部5とを有する本体部3と、前記天板部5に立設し、高さ位置変更可能に設けられた位置決め部13を有するボルト部6と、前記ボルト部6に外挿されて前記ボルト部の位置決め部13に当接支持され、前記パネル部材の下面を支持する下側狭持部材7と、前記下側狭持部材7に対向して設けられ前記ボルト部6に螺合するナット部材20で固定され、前記パネル部材101の上面を支持する上側狭持部材8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の家屋の屋根、特にスレート屋根の上に太陽電池パネルなどのパネルを取り付けるためのパネル固定金具に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の家屋の屋根上に太陽電池パネルを設置する場合、特許文献1〜3に開示されているように、長尺状のレール金具を屋根材に井桁状又は屋根の傾斜方向に沿って互いに平行になるように取り付け、このレール金具に固定金具を固定して太陽電池パネルをレール金具に固定する方法が主流である。太陽電池パネルのサイズに合わせてレール金具の任意の位置に固定金具を配置する。このように長尺状のレール金具を設けるのは、日本家屋の軒先構造の構成による屋根と固定具との取り付け位置の問題によるものである。
【0003】
すなわち、日本の家屋の軒先構造は、大部分が棟木から軒先にかけて伸びる垂木を、間隔を置いて平行に配置し、その上に野地板を取り付けたあと、瓦やスレート瓦を取り付ける構成である。そして、これらの屋根構造は表面に反りやうねりがあり、その上に寸法が均一で反りやうねりのない太陽電池パネルを直接載せると、屋根構造の反りやうねりを吸収できず取り付けが困難になるという問題があった。このため、屋根の上にレール状の金具を配置して平面出しを行い、その上に太陽電池パネルを固定することで反りやうねりのある屋根にも太陽電池パネルを揃えた状態で取り付けを容易にするというものである。
【0004】
また、屋根板に金具などを取り付ける際には、屋根板と金具とをしっかりと固定するために、垂木の部分にネジなどで金具を固定する必要がある。よって、屋根と金具との固定位置に制約があり、屋根に固定可能な場所と太陽電池パネルの固定具との取り付け位置が必ずしも一致しないために、レール金具を垂木の部分に取付け、さらに、レール金具上のいずれかの位置で太陽電池パネルのサイズに応じた取り付け位置を特定しているという背景もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−193392号公報
【特許文献2】特開平11−124971号公報
【特許文献3】特開2006−37545号公報
【特許文献4】特開2011-157761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このレール金具を用いた方法では、レール金具の取り付けを野地板の上から垂木にビスを打ち込んで固定するため、屋根の上から垂木の位置を特定する必要があり、この手間が大きいという問題があった。すなわち、現在では、屋根の上から赤外線センサを用いて垂木の位置を特定することが主流となっているが、当該センサの精度が低く、必ずしも垂木の位置を正確に特定することができないこともあった。そして、垂木からずれた状態で野地板に取り付けられた金具は、屋根にしっかりと固定できないばかりか、野地板を貫通したビス孔から雨漏りを発生させる原因となる。
【0007】
また、太陽電池パネルの備品価格構成についてみると、レール金具における費用がもっとも大きく、低価格の太陽電池パネルの取り付け部材を開発するにはレール金具をなくすことが必要である。特許文献4(特開2011-157761号公報)には、レール部材を省略した太陽電池パネルの取り付け部材が開示されている。この取り付け部材は、屋根材に取り付けられる固定部材にボルトの頭部を挿入させられる溝が設けられ、溝内でボルトの位置をスライドさせてパネルを固定するボルトの位置を調整可能とするものである。この取り付け部材によれば、溝寸法の範囲でパネルの取り付け位置を調整することができる。
【0008】
ただし、特許文献4の金具においても、屋根への取り付けは垂木の位置である必要があるため、調整幅を大きくするために金具が大型化せざるを得ず、コストダウンの要請に十分応えることができるものではなかった。また、レール金具をなくすと、上記の取り付け位置及び屋根のうねりに関する問題が生じるため、これを実現することは依然として困難である。
【0009】
よって、特許文献4の金具においては、屋根の反りやうねりに関する問題は解消されておらず、屋根の反りなどに起因して太陽電池パネルの取り付け高さを揃えることが困難であり、見栄えよく取り付けることができないという問題もあった。
【0010】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、屋根の取り付け位置の自由度が高く、パネルの取り付け高さを揃えることが容易であるパネル固定具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成のパネル固定具を提供する。
【0012】
本発明の第1態様によれば、中空アンカーとシート状のシール部材を有する取付部材によって野地板上に取り付けられ、屋根の上にパネル部材を固定するパネル固定具であって、
野地板上に配置される取付脚と平板状の天板部とを有する本体部と、
前記天板部に立設し、高さ位置変更可能に設けられた位置決め部を有するボルト部と、
前記ボルト部に外挿されて前記ボルト部の位置決め部に当接支持され、前記パネル部材の下面を支持する下側狭持部材と、
前記下側狭持部材に対向して設けられ前記ボルト部に螺合するナット部材で固定され、前記パネル部材の上面を支持する上側狭持部材とを備えるパネル固定具を提供する。
【0013】
本発明の第2態様によれば、前記位置決め部は、前記下側狭持部材の下面を支持するフランジ部と、前記フランジ部の上側に設けられ前記下側狭持部材のボルト部外挿孔に挿入される螺合調整部とを備える、第1態様のパネル固定具を提供する。
【0014】
本発明の第3態様によれば、取付脚は、前記取付部材が挿入される固定穴を有する平面部を備えており、前記平面部は、前記固定穴の周囲が上側にエンボス状に構成されていることを特徴とする、第1又は第2態様のパネル固定具を提供する。
【0015】
本発明の第4態様によれば、前記ボルト部は、前記天面部に設けられた長孔に設けられており、天面部との相対位置を変更可能に構成されていることを特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つのパネル固定具を提供する。
【0016】
本発明の第5態様によれば、前記中空アンカーは、ネジ部材と、前記ネジ部材に螺合して野地板下面側に当接されるアンカー部材とを備え、前記シール部材は、前記ネジ部材とアンカー部材との間に設けられることを特徴とする、第1から第4態様のいずれか1つのパネル固定具を提供する。
【0017】
本発明の第6態様によれば、前記シール部材は、周縁に突状の斜辺部分が形成されるように構成されており、棟木側に前記斜辺が配置されるように設けられることを特徴とする、第5態様のパネル固定具を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パネル固定具が中空アンカーを有する取付部材によって野地板に取り付けられるため、取り付け位置が垂木の位置に限定されない。したがって、取付場所の制限をなくすことができる。また、取付部材にはシート状のシール部材が含まれており、野地板に設けられた取付孔からの漏水を防止することができる。
【0019】
また、ボルト部材に設けられた位置決め部により、下側狭持部材の高さ位置を変更することができるため、屋根などの反りやうねりによるパネル部材の取り付け高さを調整可能であり、高さを揃えた取り付けが容易である。
【0020】
本発明の第2態様によれば、位置決め部は、フランジ部と下側狭持部材のボルト部外挿孔に挿入される螺合調整部を有することにより、下側狭持部材の上側から位置決め部の高さを調整することができる。よって、下側狭持部材の高さ調整を容易にすることができる。
【0021】
本発明の第3態様によれば、取付脚がエンボス状に構成されていることにより、シート状のシール部材が当該エンボスに入り込みより水密にすることができる。
【0022】
本発明の第4態様によれば、ボルト部の位置を変更可能であり、取り付け位置の調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態にかかる太陽電池パネルの固定具の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の太陽電池パネルの固定具の組立て分解図である。
【図3】図1の固定具を用いて太陽電池パネルを屋根に設けた状態を示す模式図である。
【図4】太陽電池パネルを固定した状態にある本実施形態にかかる固定具の側面図である。
【図5】取付部材に用いられる中空アンカーの構成を示す図である。
【図6】取付部材による固定具の取付け構成を示す分解図である。
【図7】取付部材による固定具の取付け構成を示す図である。
【図8】図1の固定具の取付部材に用いられる防水シートの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルの固定具について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態にかかる太陽電池パネルの固定具の構成を示す斜視図である。図2は、図1の太陽電池パネルの固定具の組立て分解図である。図3は、図1の固定具を用いて太陽電池パネルを屋根に設けた状態を示す模式図である。
【0026】
図1に示す本実施形態にかかる太陽電池パネルの固定具1は、図3,図4に示すように、既存の家屋の屋根100上に太陽電池パネル101を固定するためのものである。取り付けの対象となる家屋の屋根の構造は、間隔を置いて互いに並行に設けられる垂木102の上に野地板103等の屋根下地が設けられ、さらに野地板の上に瓦やスレート瓦などの化粧板材104が設けられた構成である。
【0027】
固定具1は、スレート瓦などの化粧板材104の上から取付部材により直接固定される。取付部材2は、図5に示す中空アンカー21を備えており、化粧板材104及び野地板103を貫通してパネル固定具1を固定する。取付部材2については、詳細は後述する。
【0028】
パネル固定具1は、化粧板材104上に配置される取付脚4と、取付脚4に対して高い位置に設けられた矩形平板状の天板部5とを有する本体3と、本体3の天板部5から立設されたボルト部6と、ボルト部6に取り付けられたパネル狭持部7、8とを備える。
【0029】
本体3は、略T字の金属板を折り曲げて構成されており、矩形の天板部5の3つの辺に沿って取付脚4が設けられている。取付脚4は、屋根などの取付対象物上に載置される平板状の部分を有し、中央に取付部材2の中空アンカー21が挿入される固定穴9が設けられており、さらに、固定穴9の周囲が上側に凸となるようにエンボス部10が設けられている。
【0030】
天板部5には、T字形の長孔11が設けられている。長孔11は、ボルト部6を固定するための部材であり、天板部5の下面側にボルト部6の頭が位置し、固定ナット12によりボルト部6が天板部5の長孔11の任意の位置に固定される。長孔11は、一端がボルト部6の頭部を挿通させるために幅広に設けられており、天板部5の上面側からボルト部6を長孔11に挿入することができる。
【0031】
ボルト部6には、位置決め部13が螺合する。位置決め部13は、下側のパネル狭持部7を支持するための部材であり、フランジ14及びフランジの上側に位置する螺合調整部15を有している。螺合調整部15は、内面にボルト部6と螺合するネジ溝が切られており、外径寸法が下側のパネル狭持部7の挿通孔16と略等しく構成されている。また、螺合調整部15の上側部分は面取りされており、治具を用いることで、パネル狭持部7の上側からボルト部6との相対位置を変更可能になっている。
【0032】
下側及び上側のパネル狭持部7、8は、板上の部材を折り曲げて構成され、ボルト部6に挿通されて配置され、太陽電池パネル101を支持するための部材である。下側パネル狭持部7及び上側パネル狭持部8は、挿通孔16、17が設けられている中間部の両端に支持片18、19が設けられており、上下一対のパネル狭持部7,8によって太陽電池パネル101を上下から狭持する。
【0033】
なお、下側パネル狭持部7は、上記の通り位置決め部13により決められた位置に固定されており、上側パネル狭持部8は固定ナット20により、ボルト部6に固定される。
【0034】
図4は、太陽電池パネルを固定した状態にある本実施形態にかかる固定具の側面図である。なお、図4では、中空アンカーなどの取付部材については記載を省略している。図4に示すように、固定具1は、野地板103の上に設けられた化粧板材104であるスレート瓦の上から屋根100に取り付けられ、2枚の太陽電池パネル101の間に配置されてそれぞれのパネル端部をパネル狭持部7,8により上下から狭持して固定する。なお、屋根100への固定具1の取り付けについての詳細は後述する。
【0035】
下側のパネル狭持部7は、上記の通り、位置決め部13のフランジ14に当接することよってボルト部6に対する位置が変更可能に構成されており、また、ボルト部6に対して互いに対向する位置に設けられた支持片18が太陽電池パネル101の下面と当接する。したがって、螺合調整部15により位置決め部13のボルト部6に対する位置を変更することによって、太陽電池パネルの取り付け高さを変更することができる。
【0036】
上側のパネル狭持部8は、上記の通り、挿通孔17がボルト部6に外挿され、ボルト部6に対して互いに対向する位置に設けられた支持片19が太陽電池パネル101の上面と当接する。上側のパネル狭持部8は、下側パネル狭持部7の支持片18と供に太陽電池パネル101の上下面を狭持するように固定ナット20により固定される。このとき、固定ナット20は、太陽電池パネル101の脱落を防止するため、上側のパネル狭持部8を下側パネル狭持部7側に押圧付勢された状態となるように強固に締められる。
【0037】
次に、固定具1を屋根100に取り付ける取付部材2について説明する。図5は、取付部材に用いられる中空アンカーの構成を示す図である。図6は、取付部材2による固定具の取付け構成を示す分解図である。
【0038】
取付部材2は、図5に示す中空アンカー21を用いて、野地板103及び化粧板材104としてのスレートの上から固定具1を屋根100に固定する。固定具1の屋根100への取り付け位置は、垂木102が設けられている箇所に限定されるものではなく、垂木102の間の領域であってもよい。なお、後述するように、固定具1の取り付け位置が偶然的に垂木が設けられている位置である場合は、従来から広く行われているビス止めにより、固定具1を固定することができる。
【0039】
中空アンカー21は、図5に示すように、ネジ部材22とアンカー部材23とで構成されている。ネジ部材22は頭部24が大きくルーフボルトタイプのネジ頭で構成されている。頭部24の大きさは、固定具1の取付脚4に設けられたエンボス部10とほぼ同じ程度の大きさに構成されていることが好ましい。
【0040】
アンカー部材23は、ネジ部材22の胴体部分に設けられる。アンカー部材23は、ステンレスなどの金属材料で構成されており、上端に設けられたフランジ部25と下端に設けられた可動部26との間を複数の可曲アンカー27で連結した構成である。可動部26は、ネジ部材22にねじ込まれることによって、頭部24側に移動するため、それぞれの可曲アンカー27が屈曲して外側に広がり、野地板103の裏面を支持する。
【0041】
取付部材2を用いて固定具1を屋根100に固定するには、図6に示すように、化粧板材104及び野地板103に一体的にあけた貫通孔105にアンカー部材23を挿入し、その上に防水シート30を配置し、さらに本体3の取付脚4を配置した後、パッキン31を介してネジ部材22を挿入する。
【0042】
防水シート30及びパッキン31は、厚さ2mm程度のブチルゴムなどのゴムで構成されていることが好ましい。防水シート30は、本体3の3つの取付脚4に対応する位置に貫通孔が設けられており、1つの固定具1に対して1枚のシートが用いられる。
【0043】
図7は、取付部材による固定具の取付け構成を示す図である。図7に示すように、固定時には、アンカー部材23の可動部26が野地板103側に移動し、可曲アンカー27が外側へ広がることによって、野地板103及び化粧板材104を挟み込む。さらに、ネジ部材の頭部24がパッキン31及び防水シート30を押圧し、取付脚4のエンボス部10内へ入り込み、これらの隙間からの水の侵入が防止される。
【0044】
次に、本実施形態にかかる固定具1を用いた太陽電池パネル101の取付手順について説明する。
【0045】
まず、本実施形態にかかる固定具1を取り付けるためのけがき線を屋根100上に書き、固定具の取り付け位置を特定する。次いで固定具1の取り付け位置に貫通孔105をあける。
【0046】
次いでアンカー部材23を当該貫通孔105に挿入した後、防水シート30を配置する。本実施形態では、防水シート30は、図8に示すように矢印形状に構成されており、突状に形成された矢印の頭部32及び胴部33に取付脚4が配置される。また、矢印の頭部32の斜辺32aを棟木側となるように屋根100上に配置することで、矢印90に示すように、棟木側から流れてきた雨水などが斜辺32aに沿って防水シート30の外側へ案内され、防水シートの表面に流れにくくなり、野地板103に設けられた貫通孔105からの漏水を防止することができる。
【0047】
次いで、記述のように固定具1を取付部材2により屋根100に固定し、さらに各太陽電池パネルの高さが一定となるように位置決め部13の高さを調整した後、太陽電池パネル101を固定具に固定する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態にかかる固定具1によれば、中空アンカーを有する取付部材によって野地板に直接本体を取り付けることにより、取り付け位置の制約がなく、太陽電池パネルの取付け位置を自由に決定することができる。したがって、太陽電池パネルを狭持するためのボルト部の位置調整の幅を大きくする必要がなく、固定具を小型化することができる。
【0049】
また、取付脚に設けられたエンボス部と防水シート30を用いることで、野地板からの漏水を防止することができる。なお、防水シートの形状は図8に示すような矢印形状に限定されるものではなく、突状部分を有し棟木側に斜辺が形成されるようなものであれば、その形状は問わない。例えば、多角形形状の防水シート等も好適に使用可能である。
【0050】
さらに、ボルト部に設けられた上下一対のパネル狭持部7,8の高さを変更可能に構成されていることにより、反りやうねりのある屋根の上にレール状の部材を設けることなく太陽電池パネルの高さ位置の調整を行うことができ、連続して設けられた太陽電池パネルの表面出しが容易となる。また、レール状の部材を省略することができるため、太陽電池パネルの取り付けのためのコストを抑えることができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。例えば、本体部は中空アンカーを用いた取付部材により野地板上に直接取り付けることができるものであればその形状は特に問われない。例えば、本実施形態のようにスレート瓦を用いた屋根の場合はスレート瓦の上から直接固定具を固定しているが、例えば、瓦屋根の場合は一度瓦を取り除き、直接野地板上に固定具を固定したあと、ボルト部を通す穴を空けた瓦を再度配置することで適用可能である。なお、この場合、野地板と瓦の間に本体部が配置されることとなるため、必要に応じて本体を薄く構成することが好ましい。なお、この場合であっても、平面状の取付脚にエンボス部を設け、さらにシール部材を挟むことによって、野地板上に設けられた貫通孔からの漏水を防止することができる。
【0052】
また、上下一対のパネル狭持部の形状は、ボルト部によってその固定位置を変更できるものであればよく、取付け対象の太陽電池パネルの形状や厚み寸法などによって、任意の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 固定具
2 取付部材
3 本体
4 取付脚
5 天板部
6 ボルト部
7,8 パネル狭持部
9 固定穴
10 エンボス部
11 長孔
12 固定ナット
13 位置決め部
14 フランジ
15 螺合調整部
16,17 挿通孔
18,19 支持片
20 固定ナット
21 中空アンカー
22 ネジ部材
23 アンカー部材
24 頭部
25 フランジ部
26 可動部
27 可曲アンカー
30 防水シート
31 パッキン
100 屋根
101 太陽電池パネル
102 垂木
103 野地板
104 化粧板材
105 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空アンカーとシート状のシール部材を有する取付部材によって野地板上に取り付けられ、屋根の上にパネル部材を固定するパネル固定具であって、
野地板上に配置される取付脚と平板状の天板部とを有する本体部と、
前記天板部に立設し、高さ位置変更可能に設けられた位置決め部を有するボルト部と、
前記ボルト部に外挿されて前記ボルト部の位置決め部に当接支持され、前記パネル部材の下面を支持する下側狭持部材と、
前記下側狭持部材に対向して設けられ前記ボルト部に螺合するナット部材で固定され、前記パネル部材の上面を支持する上側狭持部材とを備えるパネル固定具。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記下側狭持部材の下面を支持するフランジ部と、前記フランジ部の上側に設けられ前記下側狭持部材のボルト部外挿孔に挿入される螺合調整部とを備える、請求項1に記載のパネル固定具。
【請求項3】
取付脚は、前記取付部材が挿入される固定穴を有する平面部を備えており、前記平面部は、前記固定穴の周囲が上側にエンボス状に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のパネル固定具。
【請求項4】
前記ボルト部は、前記天面部に設けられた長孔に設けられており、天面部との相対位置を変更可能に構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載のパネル固定具。
【請求項5】
前記中空アンカーは、ネジ部材と、前記ネジ部材に螺合して野地板下面側に当接されるアンカー部材とを備え、前記シール部材は、前記ネジ部材とアンカー部材との間に設けられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載のパネル固定具。
【請求項6】
前記シール部材は、周縁に突状の斜辺部分が形成されるように構成されており、棟木側に前記斜辺が配置されるように設けられることを特徴とする、請求項5に記載のパネル固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112991(P2013−112991A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259841(P2011−259841)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(311016673)株式会社Shinsei (1)
【出願人】(593146394)株式会社ヤハタホールディングス (6)