説明

パルス幅変調回路およびスイッチングアンプ

【課題】 電源オフ状態に移行する際に、漏れ電流によって蓄積手段が充電され、2つの出力素子の入力が共にハイレベルになり、次に電源オン状態に移行する際に、発振動作を開始することができないとい問題を解決すること。
【解決手段】 パルス幅変調回路は、電流I1によりコンデンサC2が充電され、電流I2によりコンデンサC1が充電されることにより、インバータINV1、INV2からパルスを出力するパルス発生手段21と、入力信号に基づいて、一定電流からの電流I1と電流I2との分配比を制御し、コンデンサC1、C2の充電時間を制御することにより、パルスのパルス幅を制御する変調手段22と、電源オン状態から電源オフ状態に移行する際に、ダイオードD1、D2からの漏れ電流を電源電圧ラインVCにバイパスさせることにより、漏れ電流がコンデンサC1、C2へと流れることを阻止する抵抗R3、R4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス幅変調回路に関し、詳細には、マルチバイブレータを備えるパルス幅変調回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は従来のパルス幅変調回路60を示す回路図である。パルス幅変調回路60は、コンデンサC1、C2をトランジスタQ2、Q1のコレクタ電流によって充放電することにより、インバータINV1、INV2からハイレベルまたはローレベルの2つのレベルを有するパルスを出力する。そして、トランジスタQ1に入力信号であるオーディオ信号inを入力し、定電流からのトランジスタQ1、Q2のコレクタ電流の分配比を制御し、コンデンサC1、C2の充電時間を制御することによって、出力パルスのパルス幅を変調する。その結果、パルス幅変調回路60は、インバータINV1、INV2からそれぞれPWM(パルス幅変調)信号を出力する(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
パルス幅変調回路60は、インバータINV1、INV2の入力が、一方がハイレベルであり、他方がローレベルである場合に、発振動作(一方がハイレベルを出力する時に、他方がローレベルを出力する動作を繰り返すことをいう)を継続し、PWM信号を出力することができる。しかし、コンデンサC1、C2の両方が充電された状態になり、インバータINV1、INV2の入力が共にハイレベルになると、発振動作が停止し、PWM信号を出力できなくなるという問題がある。
【0004】
ここで、パルス幅変調回路60が電源オン状態から電源オフ状態に移行する際の動作について説明する。電源電圧VAがオフ状態になることにより、定電流回路62からトランジスタQ1、Q2を介してコンデンサC1、C2に電流が流れなくなる。一方、インバータINV1、INV2用の電源電圧VBも徐々に電圧が低下していくが、完全に電源電圧VBが0Vになるまでの間に、電源電圧VBからダイオードD1を介してコンデンサC1に漏れ電流(逆電流)が流れ、コンデンサC1を充電する。また、電源電圧VBからダイオードD2を介してコンデンサC2に漏れ電流が流れ、コンデンサC2を充電する。
【0005】
ダイオードD1、D2の温度が低い場合には、ダイオードD1、D2を介してコンデンサC1、C2に流れる漏れ電流は数nA(例えば、約3nA)程度と小さく、電源VBが0Vになるまでの間に、コンデンサC1、C2が漏れ電流によって充電されたとしても、インバータINV1、INV2の入力が共にハイレベルになることがなく、出力が共にローレベルになることはない。従って、電源オン状態に移行する際には、インバータINV1、INV2の入力が、一方がハイレベル、他方がローレベルという状態が生じ、パルス幅変調回路60は正常に発振動作を開始することができる。
【0006】
一方、ダイオードD1、D2の温度が例えば100度程度まで上昇すると、ダイオードD1、D2を介してコンデンサC1、C2に流れる漏れ電流は200倍の約600nA程度まで上昇する。従って、電源VBが0Vになるまでの間に、漏れ電流によりコンデンサC1、C2がかなり充電されることにより、インバータINV1、IN2が発振動作を継続し、電源VBが0Vになる(つまり、インバータINV1、INV2が動作しなくなる)直前の僅かな時間において、インバータINV1、INV2の入力が共にハイレベルになるような電荷がコンデンサC1、C2に充電され、インバータINV1、INV2の出力が共にローレベルになってしまう期間が生じる。電源オフ状態になった後、十分に時間が経過してから、電源オン状態に移行する場合には、コンデンサC1、C2の充電電圧が放電されている、又は、インバータINV1、INV2が動作を停止し、共にローレベルを出力していないので、パルス幅変調回路60は正常に発振動作を開始することができる。しかし、電源VBが未だ0Vになっておらず、インバータINV1、INV2が未だ動作を継続し、入力が共にハイレベルであり、出力が共にローレベルである、この僅かな時間に、再度電源オン状態に移行する場合、パルス幅変調回路60が発振動作を開始できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007―28455号公報
【特許文献2】特開2006―352269号公報
【特許文献3】特許第3591519号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電源オフ状態に移行する際に、漏れ電流によって蓄積手段が充電され、2つの出力素子の入力が共にハイレベルになり、次に電源オン状態に移行する際に、発振動作を開始することができないとい問題を解決するパルス幅変調回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態によるパルス幅変調回路は、第1蓄積手段、第2蓄積手段、第1の出力素子および第2の出力素子を有し、第1の電流により前記第1蓄積手段が充電され、かつ、第2の電流により前記第2蓄積手段が充電されることにより、前記第1の出力素子および前記第2の出力素子からパルスを出力するパルス発生手段と、入力信号に基づいて、一定電流からの前記第1の電流と前記第2の電流との分配比を制御し、前記第1の電流による前記第1蓄積手段の充電時間、および、前記第2の電流による前記第2蓄積手段の充電時間を制御することにより、前記パルスのパルス幅を制御する変調手段と、電源オン状態から電源オフ状態に移行する際に、漏れ電流を所定箇所にバイパスさせることにより、前記漏れ電流が前記第1蓄積手段および/または前記第2蓄積手段へと流れることを阻止する阻止手段とを備える。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記パルス発生手段が第1ダイオードおよび第2ダイオードを有し、前記漏れ電流が、前記第1ダイオードを介して前記第1蓄積手段へと流れ、かつ、前記第2ダイオードを介して前記第2蓄積手段へと流れるものであり、前記阻止手段が、前記第1ダイオードから前記第1蓄積手段へと流れる漏れ電流を前記所定箇所へとバイパスさせる第1抵抗、および/または、前記第2ダイオードから前記第2蓄積手段へと流れる漏れ電流を前記所定箇所へとバイパスさせる第2抵抗を有する。
【0011】
好ましい実施形態においては、前記第1抵抗が、電源オン状態の際に前記第1の電流を前記第1蓄積手段へと流すことができ、かつ、電源オフ状態に移行する際に前記漏れ電流を前記第1蓄積手段へと流さないような抵抗値に設定されており、前記第2抵抗が、電源オン状態の際に前記第2の電流を前記第2蓄積手段へと流すことができ、かつ、電源オフ状態に移行する際に前記漏れ電流を前記第2蓄積手段へと流さないような抵抗値に設定されている。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によるパルス幅変調回路は、第1蓄積手段、第2蓄積手段、第1の出力素子および第2の出力素子を有し、第1の電流により前記第1蓄積手段が充電され、かつ、第2の電流により前記第2蓄積手段が充電されることにより、前記第1の出力素子および前記第2の出力素子からパルスを出力するパルス発生手段と、入力信号に基づいて、一定電流からの前記第1の電流と前記第2の電流との分配比を制御し、前記第1の電流による前記第1蓄積手段の充電時間、および、前記第2の電流による前記第2蓄積手段の充電時間を制御することにより、前記パルスのパルス幅を制御する変調手段とを備え、前記第1の出力素子および前記第2の出力素子に電源電圧を供給する電源ラインと前記第1蓄積手段との間に第1ダイオードが接続され、前記電源ラインと前記第2蓄積手段との間に第2ダイオードが接続され、前記第1ダイオードと所定箇所との間に第1抵抗が接続されている、および/または、前記第2ダイオードと所定箇所との間に第2抵抗が接続されている。
【発明の効果】
【0013】
阻止手段は、電源オン状態から電源オフ状態に移行する際に、漏れ電流を所定箇所にバイパスさせることにより、漏れ電流が第1蓄積手段および/または第2蓄積手段へと流れることを阻止する。従って、漏れ電流によって第1蓄積手段および/または第2蓄積手段が充電され、第1の出力素子および第2の出力素子の入力が共にハイレベルになることが防止され、次に電源オン状態に移行する際に、発振動作を開始することができないとい問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるスイッチングアンプを示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態によるパルス幅変調回路を示す概略回路図である。
【図3】図2のパルス幅変調回路の動作を示すタイムチャートである。
【図4】従来のパルス幅変調回路を示す概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。まず、図1を参照して、本発明のパルス幅変調回路20が適用されるスイッチングアンプの概略構成を説明する。スイッチングアンプ10は、パルス幅変調回路20、ドライバ11、スイッチング出力回路12、LPF(Low Pass Filter)13を備える。
【0016】
パルス幅変調回路20は、入力信号をパルス幅変調して第1のPWM信号OUT1および第2のPWM信号OUT2を生成する。第1のPWM信号OUT1および第2のPWM信号OUT2は、通常、一方がハイレベルの信号である場合に他方がローレベルの信号である。ドライバ11は、第1のPWM信号OUT1および第2のPWM信号OUT2が入力され、電源電圧に基づいて、後述のスイッチ素子を駆動するための駆動信号DRV1およびDRV2を出力する。
【0017】
スイッチング出力回路12は、第1の電源(例えば正の電源+VD)と第2の電源(例えば負の電源−VD)との間に接続され、駆動信号に応答して正の電源+VDまたは負の電源−VDを出力する。スイッチング出力回路12は、スイッチ素子(例えば、MOSFET)15、16を有する。
【0018】
LPF13は、スイッチング出力回路12の出力端とスイッチングアンプ10の出力端との間に接続され、高周波成分を除去して、スピーカー等の負荷に出力する。LPF13は、コイル17およびコンデンサ18を有する。
【0019】
図2は、パルス幅変調回路20の概略構成を説明する回路図である。パルス幅変調回路20は、パルス発生手段21、変調手段22、および、阻止手段23を備える。パルス発生手段21および変調手段22は、無安定マルチバイブレータを使用したPWM回路を構成する。
【0020】
パルス発生手段21は、電流I1および電流I2により、コンデンサC1、C2に電荷を充電し、第1の出力素子および第2の出力素子からハイレベルまたはローレベルの2つのレベルを有するパルスを出力する。第1の出力素子、第2の出力素子は、本例では、インバータINV1、INV2である。インバータINV1、INV2は、入力が所定の閾値以上になるとローレベルの信号を出力し、入力が所定の閾値未満になるとハイレベルの信号を出力する。インバータINV1、INV2は、発振動作(一方のインバータがハイレベルを出力する時に、他方のインバータがローレベルを出力する動作を繰り返すことをいう)を実行することにより、それぞれパルスを出力する。
【0021】
パルス発生手段21は、インバータINV1、INV2、コンデンサC1、C2、ダイオードD1、D2を含み、コンデンサC1、C2の充電時間に対応した幅のパルスを出力する。インバータINV1およびINV2は、出力パルスのハイレベルに略対応する電源VBおよびローレベルに略対応する電源(または、接地電位、総称して所定箇所という。)VCに接続されている。インバータINV1は、出力がコンデンサC2の一端に接続され、入力がコンデンサC1の一端とトランジスタQ2のコレクタとに接続されている。インバータINV2は、出力がコンデンサC1の他端に接続され、入力がコンデンサC2の他端とトランジスタQ1のコレクタとに接続されている。ダイオードD1は、電源電圧ラインVBとコンデンサC1の一端との間に接続され、ダイオードD2は、電源電圧ラインVBとコンデンサC2の他端との間に接続されている。
【0022】
変調手段22は、入力信号(例えば、オーディオ信号)inに基づいて電流I1と電流I2との分配比を制御することにより、インバータINV1、INV2の出力パルスのパルス幅を変化させる。変調手段22は、定電流回路25、トランジスタQ1、Q2、抵抗R1、R2を有する。定電流回路25は、電源VAに接続され、定電流Iを発生させる。電流I1はトランジスタQ1のコレクタ電流であり、電流I2はトランジスタQ2のコレクタ電流であり、電流I1と電流I2との和は、定電流回路25で発生される定電流Iに等しい。すなわち、電流I1と電流I2とは、定電流Iから分配されている。トランジスタQ1のベースに入力信号inが与えられることにより、電流I1と電流I2との分配比が入力信号inに応じて制御される。その結果、コンデンサC1およびC2の充電時間が制御され、インバータINV1、INV2の出力パルスのパルス幅を変化させることができる。
【0023】
阻止手段23は、パルス幅変調回路20が電源オン状態から電源オフ状態に移行する際に、漏れ電流を所定箇所である電源電圧ラインVCにバイパスさせることにより、漏れ電流がコンデンサC1および/またはC2へと流れることを阻止する。詳細には、阻止手段23は、電源オフ状態に移行する際に、電源電圧ラインVBからダイオードD1を介してコンデンサC1へと漏れ電流(逆電流)が流れることを阻止し、および/または、電源電圧ラインVBからダイオードD2を介してコンデンサC2へと漏れ電流(逆電流)が流れることを阻止する。これにより、電源オフ状態に移行する際に、コンデンサC1、C2が漏れ電流により充電され、インバータINV1、INV2の入力が共にハイレベルの状態で電源オフ状態になることが防止される。
【0024】
阻止手段23は、抵抗R3およびR4を有する。抵抗R3はダイオードD1のアノードと電源電圧ラインVCとの間に接続されており、ダイオードD1からの漏れ電流を電源電圧ラインVCへと流す(バイパスさせる、または、迂回させる。)。抵抗R4はダイオードD2のアノードと電源電圧ラインVCとの間に接続されており、ダイオードD2からの漏れ電流を電源電圧ラインVCへと流す(バイパスさせる、または、迂回させる。)。抵抗R3の抵抗値は、パルス幅変調回路20が電源オン状態の際に電流I2をコンデンサC1へと流すことができ、かつ、電源オフ状態に移行する際に漏れ電流をコンデンサC1へと流さないような値に設定されている。そのため、特に限定されないが、抵抗R3は、1メガΩ程度の大きな抵抗値に設定されている。同様に、抵抗R4の抵抗値は、パルス幅変調回路20が電源オン状態の際に電流I1をコンデンサC2へと流すことができ、かつ、電源オフ状態に移行する際に漏れ電流をコンデンサC2へと流さないような値に設定されている。そのため、特に限定されないが、抵抗R4は、1メガΩ程度の大きな抵抗値に設定されている。
【0025】
以上の構成を有するパルス幅変調回路20について、図3を参照して、PWM信号を出力する基本動作を説明する。図3の各波形は、図2の各点の波形に対応している。
【0026】
電流I2はダイオードD1を通して電源VBに流れる。一方、電流I1はコンデンサC2へと流れ、コンデンサC2を充電する。コンデンサC2が充電されることにより、A点の電位は徐々に上昇していく(t1〜t2)。t2において、インバータINV2の入力(A点)がインバータINV2の閾値以上になると、インバータINV2の出力(D点)がローレベルに反転する。インバータINV2の出力がローレベルになると、コンデンサC1が放電し、コンデンサC1を介してインバータINV2の出力に接続されているインバータINV1の入力(B点)がローレベルになり、インバータINV1の出力(C点)がハイレベルに反転する。インバータINV1の出力がハイレベルに反転すると、インバータINV2の入力(A点)がハイレベルになる。この後、電流I2によってコンデンサC1が充電されることによって、上記と逆の動作が行われる(t2〜t3)。なお、コンデンサC2の充電によりインバータINV2の入力がローレベルから閾値まで達する時間は電流I1の大きさによって制御され、コンデンサC1の充電によりインバータINV1の入力がローレベルから閾値まで達する時間は電流I2の大きさによって制御される。この動作を繰り返すことにより、インバータINV1、INV2からはハイレベルまたはローレベルのパルスを交互に出力する。
【0027】
次に、パルス幅変調回路20が電源オン状態から電源オフ状態に移行する際の動作を説明する。電源電圧ラインVAから電圧が供給されなくなり、電流I1および電流I2がコンデンサC1、C2へと流れなくなる。一方、電源電圧ラインVBからの電圧も徐々に低下するが、電源電圧VBが0Vになるまでの間に、漏れ電流が、電源電圧ラインVBからダイオードD1を介してコンデンサC1へと流れようとし、電源電圧ラインVBからダイオードD2を介してコンデンサC2へと流れようとする。しかし、ダイオードD1を介して流れる漏れ電流は、抵抗R3を介してその大半が電源電圧ラインVCへとバイパスされることにより、コンデンサC1へと流れることが阻止される。ダイオードD2を介して流れる漏れ電流は、抵抗R4を介してその大半が電源電圧ラインVCへとバイパスされることにより、コンデンサC2へと流れることが阻止される。
【0028】
その結果、パルス幅変調回路20が電源オフ状態になる際に、漏れ電流によりコンデンサC1、C2がかなり充電されるという状態が生じず、「インバータINV1、IN2が発振動作を継続し、電源VBが0Vになる(つまり、インバータINV1、INV2が動作しなくなる)直前の僅かな時間において、インバータINV1、INV2の入力が共にハイレベルになるような電荷がコンデンサC1、C2に充電され、インバータINV1、INV2の出力が共にローレベルになってしまう期間が生じる」ことがない。従って、電源VBが未だ0Vになっておらず、インバータINV1、INV2が未だ動作を継続している僅かな時間に、再度電源オン状態に移行する場合であっても、インバータINV1、INV2の入力が共にハイレベルになることが防止され、パルス幅変調回路20が発振動作を開始しないという問題を解決できる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、第1および第2の出力素子は、トランジスタやMOSFET等のスイッチ素子でもよい。さらに、第1の出力素子および第2の出力素子の入力が共にローレベルのときに発振が停止する構成にも、本発明が適用される。つまり、本実施形態のハイレベルとローレベルとを入れ替えた場合にも適用され得る。また、抵抗R3と抵抗R4とのいずれか一方のみが設けられてもよい。また、漏れ電流は、接地電位等にバイパスされてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、例えばオーディオ用のスイッチングアンプに用いられるパルス幅変調回路として特に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0031】
20 パルス幅変調回路
21 パルス発生手段
22 変調手段
23 阻止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蓄積手段、第2蓄積手段、第1の出力素子および第2の出力素子を有し、第1の電流により前記第1蓄積手段が充電され、かつ、第2の電流により前記第2蓄積手段が充電されることにより、前記第1の出力素子および前記第2の出力素子からパルスを出力するパルス発生手段と、
入力信号に基づいて、一定電流からの前記第1の電流と前記第2の電流との分配比を制御し、前記第1の電流による前記第1蓄積手段の充電時間、および、前記第2の電流による前記第2蓄積手段の充電時間を制御することにより、前記パルスのパルス幅を制御する変調手段と、
電源オン状態から電源オフ状態に移行する際に、漏れ電流を所定箇所にバイパスさせることにより、前記漏れ電流が前記第1蓄積手段および/または前記第2蓄積手段へと流れることを阻止する阻止手段とを備える、パルス幅変調回路。
【請求項2】
前記パルス発生手段が第1ダイオードおよび第2ダイオードを有し、前記漏れ電流が、前記第1ダイオードを介して前記第1蓄積手段へと流れ、かつ、前記第2ダイオードを介して前記第2蓄積手段へと流れるものであり、
前記阻止手段が、前記第1ダイオードから前記第1蓄積手段へと流れる漏れ電流を前記所定箇所へとバイパスさせる第1抵抗、および/または、前記第2ダイオードから前記第2蓄積手段へと流れる漏れ電流を前記所定箇所へとバイパスさせる第2抵抗を有する、請求項1に記載のパルス幅変調回路。
【請求項3】
前記第1抵抗が、電源オン状態の際に前記第1の電流を前記第1蓄積手段へと流すことができ、かつ、電源オフ状態に移行する際に前記漏れ電流を前記第1蓄積手段へと流さないような抵抗値に設定されており、
前記第2抵抗が、電源オン状態の際に前記第2の電流を前記第2蓄積手段へと流すことができ、かつ、電源オフ状態に移行する際に前記漏れ電流を前記第2蓄積手段へと流さないような抵抗値に設定されている、請求項2に記載のパルス幅変調回路。
【請求項4】
第1蓄積手段、第2蓄積手段、第1の出力素子および第2の出力素子を有し、第1の電流により前記第1蓄積手段が充電され、かつ、第2の電流により前記第2蓄積手段が充電されることにより、前記第1の出力素子および前記第2の出力素子からパルスを出力するパルス発生手段と、
入力信号に基づいて、一定電流からの前記第1の電流と前記第2の電流との分配比を制御し、前記第1の電流による前記第1蓄積手段の充電時間、および、前記第2の電流による前記第2蓄積手段の充電時間を制御することにより、前記パルスのパルス幅を制御する変調手段とを備え、
前記第1の出力素子および前記第2の出力素子に電源電圧を供給する電源ラインと前記第1蓄積手段との間に第1ダイオードが接続され、前記電源ラインと前記第2蓄積手段との間に第2ダイオードが接続され、
前記第1ダイオードと所定箇所との間に第1抵抗が接続されている、および/または、前記第2ダイオードと所定箇所との間に第2抵抗が接続されている、パルス幅変調回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のパルス幅変調回路を備える、スイッチングアンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−61399(P2011−61399A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207780(P2009−207780)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000000273)オンキヨーサウンド&ビジョン株式会社 (502)
【Fターム(参考)】