説明

パンツの防水股部の連結構造

【課題】防水股部の連結構造を有するパンツを提供する。
【解決手段】パンツ本体と、底部に防水層を有する吸水シート1と、防水縁被覆部4とを有し、吸水シート1の縦方向の端部が2つの防水縁被覆部4によってパンツ本体上にそれぞれ縫合されるパンツの防水股部の連結構造である。特に、前記防水縁被覆部4の下部に縫合され、かつ、外側4bに位置する縁被覆部防水層9の外側9bだけがパンツ本体上に縫合される一方、防水縁被覆部4の内側4aの開口側は吸水シート1の端面と上、下両面の縁とを被覆し、かつ、前記縁被覆部防水層9の内側9aと共に前記吸水シート1に縫合され、防水縁被覆部4の外側縫合線41と吸水シート1の端面との間に隔水間隔Hが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツの防水股部の連結構造に関し、下着の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
防水股部が設けられているパンツは、主に漏れ防止の機能を有し、尿失禁患者や老人、生理時の女性に理想的な介護衛生用品である。
一般に、パンツの防水股部は柔らかい防水層と高吸着性の吸水層とからなる構造を有し、吸水層は水分を迅速に吸収かつ拡散し、下部の防水層は水分が外に漏れるのを防止する。これと同時に、前記防水股部はより優れた通気快適性と洗浄性とを要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、防水股部において積層される吸水層および防水層の上下両端は、2つの防水縁被覆部によってパンツ内に直接縫合固定され、縫合後の針穴が吸水層、防水層および防水縁被覆部を貫通している。このため、吸水層内に吸着された水分の一部が前記針穴を通じて防水層および防水縁被覆部からパンツの外部に滲み出し、衣物を汚してしまうという問題点がある。
【0004】
本発明は、滲み出しの問題点を解決できるパンツの防水股部の連結構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る前記課題を達成するために、本発明に係るパンツの防水股部の連結構造は、パンツ本体と、底部に防水層を有する吸水シートと、防水縁被覆部とを有し、吸水シートの縦方向の端部が2つの防水縁被覆部によってパンツ本体上にそれぞれ縫合されるパンツの防水股部の連結構造において、前記防水縁被覆部の下部に縫合され、かつ、外側に位置する縁被覆部防水層の外側だけがパンツ本体上に縫合される一方、防水縁被覆部の内側の開口側は吸水シートの端面と上、下両面の縁とを被覆し、かつ、前記縁被覆部防水層の内側と共に前記吸水シートに縫合され、防水縁被覆部の外側縫合線と吸水シートの端面との間に隔水間隔Hを設けた構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、吸水シートの縦方向の端部が、2つの防水縁被覆部の内側の開口側に縫合され、2つの防水縁被覆部の外側がパンツ本体上に縫合され、防水縁被覆部およびパンツ本体の外側縫合線と吸水シートの端面との間に隔水間隔が設けられている。このため、吸水シート内の水分が防水縁被覆部とパンツ本体とを縫合する外側縫合線の針穴から漏れ出ることがなく、滲み出しや漏れを防止できるという効果を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明における防水股部の斜視構造模式図。
【図2】本発明における防水股部からパンツ本体を取り除いた構造模式図。
【図3】図2のA−A断面構造の模式図(その1)。
【図4】図2のA−A断面構造の模式図(その2)。
【図5】図2のA−A断面構造の模式図(その3)。
【図6】本発明の防水股部の他の構造模式図。
【図7】図6のB−B断面の拡大構造模式図。
【図8】図6のC−C断面の拡大構造模式図。
【図9】本発明の防水股部のさらなる斜視構造模式図。
【図10】本発明の防水股部のさらなる構造模式図。
【図11】図10のD−D断面の拡大構造模式図。
【図12】本発明の防水股部のまた他の斜視構造模式図。
【図13】本発明の防水股部のまた他の構造模式図。
【図14】図13のE−E断面の拡大構造模式図。
【図15】本発明の防水股部にフラップを加えた斜視構造模式図。
【図16】本発明の防水股部にフラップを加えた構造模式図。
【図17】図17A,17Bは図4,図5で図示した断面構造の部分拡大模式図。
【図18】図17A,17Bで示した断面構造の応用例を示す部分拡大模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本発明に係るパンツの防水股部の連結構造は、パンツ本体3と、底部に防水層を有する吸水シート1とからなり、前記吸水シート1の縦方向両側に縦縁被覆部2を有する。前記吸水シート1には高分子吸水材料成分の高吸湿繊維を使用し、前記吸水シート1の底部には防水コーティング層または防水布を有し、前記縦縁被覆部2には防水布を使用している。
【0009】
図1,図2に示すように、本発明の吸水シート1の縦方向の端部が、それぞれ2つの防水縁被覆部4によってパンツ本体3上に縫合されている。前記防水縁被覆部4も防水布を使用し、図1〜3に示すように、前記防水縁被覆部4は積層状である。そして、防水縁被覆部4の外側はパンツ本体3上に縫合され、防水縁被覆部4の内側の開口側は、吸水シート1の端面と上、下両面の縁とを被覆し、かつ、吸水シート1に縫合されている。これにより、防水縁被覆部4の外側縫合線41(図1参照)と吸水シート1の端面との間に隔水間隔H(図3参照)が設けられている。
【0010】
図4に示すように、本発明の防水縁被覆部4は折り重ねて一部を接着一体化した後、その外側がさらにパンツ本体3上に縫合される一方、防水縁被覆部4の内側の開口側が吸水シート1の端面と上、下両面の縁とを被覆し、かつ、吸水シート1に縫合されている。なお、前記防水縁被覆部4は、1枚構造のものを折り重ねて使用する場合について説明したが、別体の2枚の生地の一部を接着一体化して使用してもよいことは勿論である。
また、図5に示すように、前記防水縁被覆部4の外側は、織物、編み物、あるいは不織布構造を有する1枚構造であり、パンツ本体3上に縫合されている。一方、防水縁被覆部4の内側の開口側は吸水シート1の端面と上、下両面の縁とを被覆し、かつ、前記吸水シート1に縫合されている。このため、防水縁被覆部4の外側縫合線41と吸水シート1の端面との間にはいずれも隔水間隔Hが設けられている。前記隔水間隔Hは、1mm〜25mmの間にあり、前記隔水間隔Hによって吸水シート1内の水分を防水縁被覆部4とパンツ本体3との縫合箇所から浸出できなくしている。さらに漏れを防止するために、図4、5に示すように、防水縁被覆部4の下部に、縁被覆部防水層9をさらに有し、前記縁被覆部防水層9の内側は防水縁被覆部4と共に吸水シート1の一端と縫合され、縁被覆部防水層9の外側は防水縁被覆部4と共にパンツ本体3上に縫合される。
【0011】
前述の防水構造をより詳細に説明すると、図17A,17Bに示すように、防水縁被覆部4は、その下部に縁被覆部防水層9を有する。そして、前記縁被覆部防水層9の内側9aは防水縁被覆部4の内側4a,4aと共に吸水シート1の一端に縫合糸10で縫合されている。このため、縁被覆部防水層9全体を針孔が貫通しておらず、内側4aを縫合する縫合糸10が縁被覆部防水層9の表面から露出することがないので、漏れを効果的に防止できる。一方、前記縁被覆部防水層9の外側9bは防水縁被覆部4の外側4bと共にパンツ本体3上に縫合糸で縫合される。
なお、図18に図示するように、前記縁被覆防水層9だけで防水縁被覆部4の外側4bを構成し、パンツ本体3上に外側9b(4b)を縫合糸で縫合してもよい。
【0012】
本発明は、防水股部の快適性をさらに向上させるため、図6〜8に示すように、吸水シート1の上部に、脱臭消毒層6をさらに設けてもよく、前記脱臭消毒層6の上部に乾燥層5をさらに有していてもよい。乾燥層5、脱臭消毒層6および吸水シート1は積み重ねられた後、縫合固定され、あるいは、乾燥層5、脱臭消毒層6および吸水シート1は両側の縦縁被覆部2および防水縁被覆部4によって固定される。本発明では、吸水シート1の底部の防水層に防水コーティング層7がさらに積層されている。
【0013】
図9〜11に示すように、本発明は、吸水シート1の保水能力をさらに向上させるために、吸水シート1の上部に、縦方向に沿って吸水凸条部11がさらに設けられる。前記吸水シート1の中間には吸水凸条部11が対称に縫合されて形成され、前記吸水凸条部11の両側は自由な状態を呈している。
【0014】
また、図12〜14に示すように、前記吸水凸条部11の両側が吸水シート1上に縫合され、多層構造を採用する場合に、吸水凸条部11の上部も乾燥層5および脱臭消毒層6が設けられている。そして、前記吸水シート1の底部の防水層には防水コーティング層7がさらに積層されている。
【0015】
図15〜16に示すように、本発明は、既存のパンツ(図示せず)の股部に吸水シート1だけを位置ズレしないように着脱可能に固定するための構造である。
すなわち、吸水シート1の両側にはさらに縦縁被覆部2が縫合され、左右の2つのフラップ8の内側が縦縁被覆部2および吸水シート1の両側に縫合されている。そして、前記フラップ8の外側部の一方は表面、他方は裏面に互いに係合する面ファスナー81がそれぞれ連結されている。このため、使用時、フラップ8を底部の一側に向けて引っくり返し、かつ、面ファスナー81を相互に接着させることにより、既存のパンツの股部に吸水シート1だけを位置ズレしないように着脱可能に固定できる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明に係るパンツの防水股部の連結構造は前述のパンツに限らず、他のパンツに適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0017】
1:吸水シート
2:縦縁被覆部
3:パンツ本体
4:防水縁被覆部
4a:内側
4b:外側
41:外側縫合線
5:乾燥層
6:脱臭消毒層
7:防水コーティング層
8:フラップ
81:面ファスナー
9:縁被覆部防水層
9a:内側
9b:外側
10:縫合糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンツ本体(3)と、底部に防水層を有する吸水シート(1)と、防水縁被覆部(4)とを有し、吸水シート(1)の縦方向の端部が2つの防水縁被覆部(4)によってパンツ本体(3)上にそれぞれ縫合されるパンツの防水股部の連結構造において、
前記防水縁被覆部(4)の下部に縫合され、かつ、外側(4b)に位置する縁被覆部防水層(9)の外側(9b)だけがパンツ本体(3)上に縫合される一方、防水縁被覆部(4)の内側(4a)の開口側は吸水シート(1)の端面と上、下両面の縁とを被覆し、かつ、前記縁被覆部防水層(9)の内側(9a)と共に前記吸水シート(1)に縫合され、防水縁被覆部(4)の外側縫合線(41)と吸水シート(1)の端面との間に隔水間隔Hが設けられていることを特徴とするパンツの防水股部の連結構造。
【請求項2】
前記吸水シート(1)の上部に脱臭消毒層(6)をさらに設け、かつ、脱臭消毒層(6)の上部に乾燥層(5)をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のパンツの防水股部の連結構造。
【請求項3】
前記吸水シート(1)の底部の防水層に防水コーティング層(7)をさらに積層したことを特徴とする請求項1または2に記載のパンツの防水股部の連結構造。
【請求項4】
前記隔水間隔Hが1mmないし25mmの間にあることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のパンツの防水股部の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−229516(P2012−229516A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171269(P2012−171269)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2010−75569(P2010−75569)の分割
【原出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(510086545)
【Fターム(参考)】