説明

パンティストッキング

【課題】デザイン性に優れ、通常のパンティストッキングと同様に装着でき、夏の暑いシーズンに装着した場合でもムレの発生が少ないパンティストッキングを提供する。
【解決手段】このパンティストッキング1は、上部のパンティ部2と、その下方のストッキング部3と、パンティ部2とストッキング部3との間のガーター部6とから構成され、一般的なパンティストッキングに対して、ボディ部5の編み目が粗く、ヒップ部7の編み目はさらに粗くなるように編成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンティストッキングに関し、特に、夏の暑いシーズンに装着した場合でもムレの発生が少ないパンティ部を備えたパンティストッキングに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の生活習慣上、人が靴を履くときに足に装着する衣料としての靴下を多くの人々が使用している。そのような衣料の中で、特に、女性の下半身を覆うパンティストッキングは、外出時における女性の脚部の保護および保温さらには脚線美の向上の観点等から、広く世間に浸透している。
しかし、パンティストッキングを夏の暑いシーズンに装着すると、パンティ部でムレ等が発生し、心地よい装着感が得られないという欠点がある。また、近年のファッションも要因し、夏のシーズンにはパンティストッキングを装着しない女性も増えている。このようなパンティストッキング装着時のムレ感を解消するため、パンティストッキングのパンティ部の股部および両サイド部に円形状の開口部を設けたハンガータイプと呼ばれるパンティストッキングが提案されている。
【0003】
たとえば、特開2001−115303号公報(特許文献1)は、このようなパンティストッキングを開示する。このパンティストッキングは、ウエスト部、パンティ部、レッグ部およびトウ部を構成する左右一対の筒状編成体を、パンティ部のウェール方向に股開口部およびサイド開口部を形成しつつ編成し、次いで、各筒状編成体の股開口部上端からウエスト部までの編成部を垂直方向に裁断し、各筒状編成体のそれぞれ対峙する裁断片を縫合して製造されることを特徴とする。
【0004】
このパンティストッキングによると、筒状編成体の編成時にパンティ部に股開口部およびサイド開口部を形成させるため、製造工程を増加させることなく、大量生産が可能で、低コストのパンティストッキングを得ることができる。このパンティストッキングによると、夏の暑いシーズンに装着した場合でもムレの発生がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−115303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたパンティストッキングは、デザイン的に好ましくないこと、装着時に開口部に脚を挿入してしまうおそれがあり装着しにくいこと、という問題点がある。特に、デザイン的には、開口部を有するパンティ部がアウター(スカート等)で隠れるとしても、装着者が好感を抱くデザインではない。
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、デザイン性に優れ、通常のパンティストッキングと同様に装着でき、夏の暑いシーズンに装着した場合でもムレの発生が少ないパンティストッキングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のパンティストッキングは以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明のパンティストッキングは、パンティ部とストッキング部とを含んで構成され、前記パンティ部は腹部側のボディ部と臀部側のヒップ部とで少なくとも構成されている。前記ヒップ部の編み目が他の部位の編み目よりも粗いことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記ヒップ部の編み目が前記ボディ部の編み目よりも粗いとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパンティストッキングによれば、デザイン性に優れ、通常のパンティストッキングと同様に装着でき、夏の暑いシーズンに装着した場合でもムレの発生を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るパンティストッキングの編成状態を示す概略側面図である。
【図2】図1のパンティストッキングの装着状態を前(腹)側から見た斜視図である。
【図3】図1のパンティストッキングの装着状態を後(背中)側から見た斜視図である。
【図4】図1のパンティストッキングのボディ部の拡大図である。
【図5】図1のパンティストッキングのヒップ部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るパンティストッキング1を、図面に基づき詳しく説明する。図1は、パンティストッキング1の編成状態の概略側面図であって、図2は、このパンティストッキング1の装着状態を前(腹部)側から見た斜視図であって、図3は、このパンティストッキング1の装着状態を後(背中)側から見た斜視図である。
これらの図に示すように、このパンティストッキング1は、全体が一体的に編成されるパンティストッキングであって、大略的には、上部のパンティ部2と、その下方のストッキング部3と、パンティ部2とストッキング部3との間のガーター部6とから構成されている。なお、このパンティストッキング1においては、パンティ部2は立体的に編まれ、ストッキング部3は平面的に編まれている。このパンティストッキング1は、左右一対の筒状編成体であって、公知の丸編み機等の編み機を用いて、通常のパンティストッキングと同じく、ポリウレタン等の弾性糸とナイロン等の非弾性糸とを組み合わせて編成される。
【0012】
パンティ部2は、脚挿入口となるウエストバンド部4と、その下につながり前面側の大部分であって腹部を締めるボディ部5と、ボディ部5の後面側の大部分を占めるヒップ部7とから構成される。詳しくは、後述するように、一般的なパンティストッキングの同じ部位の編み目に対して、ボディ部5の編み目が粗く、ヒップ部7の編み目はさらに粗くなるように構成されている。
【0013】
ストッキング部3は、大腿部8から膝部9およびふくらはぎ部10を経てアンクル部11に至るレッグ部12と、アンクル部11より先端側の足部13とから構成される。足部13は、つま先となるトウ部14と、踵となるヒール部15と、土踏まず部を含む足底となるソール部16とから構成される。
以下、本実施形態に係るパンティストッキング1において特徴を備えるパンティ部2について詳しく説明する。
【0014】
ウエストバンド部4は、パンティストッキング1のずり下がりを防止するともに装着時の着脱を可能とするような構成となるように糸の種類および編み組織が選ばれて編成されており、ボディ部5は、腹部周囲にフィットさせるべく伸縮性に富む構成となるように糸の種類および編み組織が選ばれて編成されている。なお、ボディ部5は、より強い締付圧を付与するような構成となるように糸の種類および編み組織が選ばれて編成されても構わない。ヒップ部7は、ボディ部5よりも締付圧を低くしてふくらみのある形状を出せるような構成となるように編み組織が選択されて編成されている。ヒップの丸みにあわせた着用を可能にすることにより、快適な着用感と、ウエストがズレ落ちるのを防止している。
【0015】
なお、パンティ部2は、ボディ部5の前面中央部でウエストバンド部4から鼠蹊部に向けて略V字形領域を占めるように腹部締付部を配置するようにしても構わない。そして、この腹部締付部は、ボディ部5の前面中央部で腹部にボディ部5よりも強い締付圧を付与するような構成となるように糸の種類および編み組織が選ばれて編成されている。
特に、このパンティストッキング1で特徴的であるのは、パンティ部2の編成であって、ボディ部5およびヒップ部7の編み組織が少なくとも従来のパンティストッキングの編み組織よりも編み目が粗く構成されている点である。すなわち、このパンティストッキング1のボディ部5の編み組織における編み目が従来のパンティストッキングのボディ部の編み組織における編み目よりも粗く、このパンティストッキング1のヒップ部7の編み組織における編み目が従来のパンティストッキングのヒップ部の編み組織における編み目よりも粗い。ここで、編み目の粗さは、編み組織を基準に比較しているが、装着前の製品および装着時においても、編み組織を基準した場合と同様に、従来のパンティストッキングよりもこのパンティストッキング1の方が粗くなっている。
【0016】
さらには、このように、ボディ部5およびヒップ部7の編み目が従来のパンティストッキングの同じ部位における編み目よりも粗いことに加えて、ボディ部5の編み目よりもヒップ部7の編み目がより粗くなるように構成されている。そして、ボディ部5の編み目は、ヒップ部7以外の他の部位の編み目よりも粗い。従って、このパンティストッキング1においては、ヒップ部7の編み目が最も粗く、ボディ部5の編み目が次に粗いことになる。なお、ボディ部5は、上述したように腹部の締め付け効果をも有する必要があるので、その効果を発現するとともに、上述した編み目の粗さになるように、糸の種類および編み組織が選ばれて編成されている。
【0017】
図4にパンティストッキング1のボディ部5の拡大図を、図5にパンティストッキング1のヒップ部7の拡大図をそれぞれ示す。これらの図は、装着時のパンティストッキング1を肉眼で観察した場合の編み目の状態を模式的に示している。
図4および図5に示すように、ヒップ部7の編み目は、ボディ部5の編み目よりも粗く、かつ、ボディ部5の編み目は他の部位の編み目よりも粗い。さらに、ヒップ部7の編み目およびボディ部5の編み目は、従来のパンティストッキングの同じ部位の編み目よりも粗い。このため、ヒップ部7およびボディ部5においては、従来のパンティストッキングよりも空気が流通しやすく、通気性がアップしている。その結果、夏の暑いシーズンにこのパンティストッキング1を装着した場合でもムレの発生を抑制することができる。特に、ヒップ部7の編み目がより粗くなっているので、このパンティストッキング1の装着者が椅子に座る等により、臀部の皮膚、下着、パンティストッキング1および椅子の座面が密着するが、装着者が椅子から立ち上がると、空気が流通してムレの発生を抑制することができる。
【0018】
このような編み目の粗さを構成するための糸の選択および編み組織の選択は適宜行われるものであって、限定されるものではない。すなわち、従来のパンティストッキングの基本的な機能である女性の脚部の保護および脚線美の向上を発現しつつ、編み組織で判断しても、製品を見て判断しても、装着時を見て判断しても、従来のパンティストッキングの編み目より粗いように構成できるものであれば、糸の選択および編み組織の選択は限定されるものではない。
【0019】
以上のようにして、本実施形態に係るパンティストッキング1によると、パンティ部の編み目の粗さを粗くしたので、従来のパンティストッキングの機能を維持しつつ、従来のパンティストッキングよりも通気性がよくムレを抑制できる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
たとえば、吸汗性を備えるように糸および編み組織が選択されていたり、紫外線カットを備えるように糸が選択されていたり、伝線にしにくいように糸および編み組織が選択されていたりしていることも好適である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、パンティストッキングに好適であり、夏の暑いシーズンに装着した場合でもムレの発生を防止するパンティストッキングに特に好適である。
【符号の説明】
【0022】
1 パンティストッキング
2 パンティ部
3 ストッキング部
4 ウエストバンド部
5 ボディ部
6 ガーター部
7 ヒップ部
8 大腿部
9 膝部
10 ふくらはぎ部
11 アンクル部
12 レッグ部
13 足部
14 トウ部
15 ヒール部
16 ソール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンティ部とストッキング部とを含んで構成されるパンティストッキングであって、前記パンティ部は腹部側のボディ部と臀部側のヒップ部とで少なくとも構成され、
前記ヒップ部の編み目が他の部位の編み目よりも粗いことを特徴とするパンティストッキング。
【請求項2】
前記ヒップ部の編み目が前記ボディ部の編み目よりも粗いことを特徴とする、請求項1に記載のパンティストッキング。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−53379(P2013−53379A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190638(P2011−190638)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】